「老後の備えに2,000万円必要」という金融庁の報告書が国民に不安を与えるものとして、麻生 太郎(あそう たろう)財務・金融担当大臣が受取を拒否し、国会で論争になっています。

私は、この報告書が少子高齢化の進展による日本社会の人口構造の変化を踏まえた問題を提起していることは、ある意味で事実だと思います。

政府が「今の年金制度は100年安心」などと言っていますが、本当に安心している人は少ないのではないでしょうか。人生100年時代の到来が叫ばれる中、現在の年金制度はどう考えても人生が80年ぐらいで終わる時代を想定したものだと思います。年金を支える世代の人数が少なくなるという問題も出てきています。

年金制度はこうした新しい時代を踏まえ、おのずと設定を変えていかなければならないと思います。全国知事会では「健康立国宣言」に基づき持続可能な社会保障制度の在り方について、47都道府県の好事例を集めています。できるだけ良いモデルを追求しながら、国とともに新しい社会保障制度を構築できるよう作業を進めているところです。

丁寧な議論が必要な時に、政権運営にとって不都合だという理由で問題を先送りするような事があってはならないと思います。