安倍総理はアベノミクスによる経済成長を強調されていますが、このところの日本のGDPの伸び率は1パーセント程度です。米国やEUの伸び率は2パーセントを超えており、世界の平均から比べると、成長の力強さは今一つという感が無きにしもあらずです。
日本の勤労者世帯の可処分所得が10年前と比べて減っていることはよく知られています。それでは日本経済はこのまま沈むのかというと、新しく育ちつつある成長市場もあります。それはシニア市場です。
日本では、これまで人口のボリュームゾーンである団塊の世代を狙って様々なビジネスが生まれてきましたが、この世代は現在70歳前後になっています。また、日本には1,800兆円という世界第2位の個人金融資産がありますが、その6割以上を団塊の世代を含むシニア世代が保有していると言われています。
マーケットの規模からして、これからのビジネスチャンスが巨大なシニア市場にあることはほぼ間違いないでしょう。そして、日本のシニア市場で成功した事業は、多分に世界のシニア市場でも成功する可能性が高いと思います。きめ細かく、物事に対して繊細な感性を持っている日本の消費者に愛されるモノやサービスは、世界市場でも通用するのではないでしょうか。
日本のシニア市場はそう遠くない時期に4,000万人という巨大市場になります。続いてアメリカや中国、インドといった国々も早晩日本と同じようにシニア市場が大きくなっていきます。
改めてシニア市場をビジネスチャンスとして捉える、企業にはそうした強い意識が当然働いているはずですが、まだまだ巨大市場を動かすレベルには至っていないように感じます。
60歳になったら1,000円程度で映画が観られるサービスなどが人気のようです。確かに手頃な料金にすればシニアを映画館に引っ張ることができるかもしれませんが、さしたる利益は出ないのではないでしょうか。シニアにアピールし、彼らを動かす強力な弾が欲しいところです。