政府は1月29日(火曜日)に公表した1月の月例経済報告で、景気全体の基調判断を「緩やかに回復している」と据え置きました。第2次安倍内閣が発足した2012年12月から始まった景気拡大期間は6年2か月となり、「戦後最長になった」という認識が示されています。
しかし、なにやらこの景気回復は「緩やか」過ぎるというきらいが無きにしもあらずです。少なくとも湧き立つような景気回復の状況には見えません。その理由の一つには、可処分所得が減っていることもあって、消費が弱いということがあるでしょう。
昨年11月21日(水曜日)のブログでも取り上げた、一般財団法人日本総合研究所の寺島 実郎(てらしま じつろう)会長のお話によれば、2000年を基調にして2017年を見ていくと、全世帯消費支出は10.7パーセントも減少しています。この期間の家計消費の変化を見ると、「衣食住」のうちの「衣」関連がマイナス35パーセント、「食」関連がマイナス1パーセント、「住」関連がマイナス17.7パーセントとなっています。さらに、「こづかい・交際費」関連がマイナス33.2パーセント。「教育・娯楽」関連もマイナス19.2パーセントです。「光熱・通信」関連だけがプラスで11.7パーセントも増えていますが、これはスマホの使用料でしょうか。
こんなことから、夜の付き合いに関しても、私の印象では4,000円から6,000円ぐらいの居酒屋は軒並みお客が少ない状態で、2,000円から3,000円のところが大盛況という感じがします。正にお小遣い・交際費が減ったせいでしょう。
また、メルカリやユニクロの力もあるのでしょうが、ファッションなどの衣料関係にお金をかける人も少なくなっているような気がします。住まいに関しても、必ずしも急ぐ必要がないカーテンやカーペットの入れ替えなどは後回しという家庭が増えているようです。
こうした路地裏の経済学から見てみると、戦後最長という景気回復の実態がよく見えてくるのではないかと思います。