明けましておめでとうございます。県民の皆様、今年もどうぞよろしくお願いします。
12月7日(金曜日)の日本経済新聞の「景気回復 最長への関門(下)」というコラムが気になりました。「力不足の『メリハリ消費』増えない可処分所得」と見出しが付いています。
長期の景気回復でも消費者の財布のひもは緩んでいません。消費を喚起する環境が悪いわけではありません。44年ぶりの高い有効求人倍率を背景に賃上げが加速しています。厚生労働省によると2018年の定期昇給やベースアップによる1人平均の賃上げ額は、月5,675円で1999年以降最高だということです。
しかし、消費者の間には、自分のこだわりのモノやコトにお金をかける一方で、日用品などは低価格志向を貫く「メリハリ消費」が定着しているそうです。さらに、12月10日(月曜日)のブログでも御紹介しましたが、ネットによる消費が価格低下に拍車をかけています。日銀の分析では実店舗の値下げを促すなど消費者物価を0.1から0.2ポイント下げているそうです。
もっとも、価格が下がっても買う数量が増えれば消費は拡大するというのが通説ですが、必ずしもそうなっていません。日本チェーンストア協会によると、日用品など「住関品」が2018年に既存店ベースで前年同月を上回ったのは1か月だけ。メリハリ消費の浸透する若年層は消費に慎重だということです。
39歳以下の若年世帯の可処分所得から消費に回す比率を示す消費性向は低下傾向だそうです。老後の生活設計に加え、将来の収入や資産の見通しに不安を持っているがゆえに貯蓄に回されているということです。
そもそも、賃金が増えても消費に回せる可処分所得が伸びにくい状況が続いていることも事実です。ニッセイ基礎研究所によると2018年7月から9月期の実質可処分所得は、景気の底とされる2012年末とあまり変わっていないそうです。賃金など収入の動きを示す実質雇用者報酬が6パーセント伸びたのとは対照的です。要するに税や社会保険料の負担が増えているということです。
景気回復は2019年1月に戦後最長を記録するという見方が多いようですが、その実感がないと言われるのももっともです。
本当に消費を増やすためには、まずはもっと賃金を上げて可処分所得を増やす必要があるということかもしれません。