県民の皆さんは世界で熊谷市だけに生き残った奇跡の魚がいることを御存じでしょうか。熊谷市と埼玉県の魚「ムサシトミヨ」のことです。

ムサシトミヨは、いわゆる絶滅危惧種といわれている魚で、トゲウオ目トゲウオ科トミヨ属に分類されています。体長は3.5から6センチメートルほどで、色は暗い緑色です。水温が10から18度ぐらいのきれいで冷たい湧き水があり、水草が茂る細い流れの川にしか生息していません。背びれ、腹びれ、尻びれにトゲを持ち、敵から身を守るときなどにトゲを出します。また、体に鱗はありません。

トゲウオの仲間は、国内ではムサシトミヨのほかにイトヨ、ハリヨ、イバラトミヨ、エゾトミヨ、トミヨの6種類しかいません。京都府や兵庫県にいたミナミトミヨは昭和35年頃に絶滅したそうです。湧き水が出ていた昭和30年代頃までは、県内では上里町、本庄市、川越市などでもムサシトミヨが確認できたそうですが、現在の生息地は熊谷市を流れる元荒川の最上流部のみとなりました。

ムサシトミヨを守るため、県は熊谷市とともに平成2年に「ムサシトミヨ保全推進協議会」をつくりました。会には地元保護団体の皆様にも御参加いただき、生息環境の保全や保護思想の普及など大変に御尽力いただいております。
12月20日(木曜日)には、地元保護団体の一つである「熊谷市ムサシトミヨをまもる会」の江守 和枝(えもり かずえ)会長と布施田 富夫(ふせだ とみお)副会長が、ムサシトミヨを守るための要望に県庁までお越しになりました。

埼玉県は熊谷市とともにムサシトミヨを守るため、これからも最大限の努力をしていきます。
ムサシトミヨは川ではめったに見ることができませんが、熊谷市ムサシトミヨ保護センター、熊谷市江南庁舎、さいたま水族館(羽生市)、埼玉県環境科学国際センター(加須市)などで一般公開しています。
是非、世界で熊谷市だけに生き残った奇跡の魚を御覧いただきたいと思います。

熊谷市ムサシトミヨ保護センター見学などのお問い合わせ先
(ムサシトミヨ保全推進協議会事務局(熊谷市環境部環境政策課内))
電話:048-536-1547
開館日:毎月第1・第3日曜日9時~10時
それ以外の日に見学を希望される場合は、1週間前までに御連絡ください。