毎年、知事と埼玉大学の学生との意見交換会を行っています。埼玉大学のゼミの学生たちのチームから、埼玉県に政策提言をしていただくというものです。提言に対し、私はコメントをしたり、総括をするという立場で参加しています。今年は、11月1日(木曜日)に埼玉大学で開催されました。

今回は、「未来への道を拓く-ビッグデータ活用術-(久保田ゼミ)」、「開かれた子ども食堂を目指して-地域交流とともに-(江口ゼミ)」、「『空白の19~24』-政治は僕らにリーチするか-(松本ゼミ)」、「次世代が誇りを持てる商店街-子どもをつれて、ホシカワ-(川端ゼミ)」、「あなたの一歩が未来を変える!-新・埼玉県コバトン健康マイレージの提案-(齋藤ゼミ)」の5チームから提案がありました。
学生の皆さんは、私たちのように既存の枠組みや予算の枠組みなどを気にしない立場で自由な発想をされます。今年も極めて優れた政策提言をいただきましたので、その一部を御紹介したいと思います。

かつて、ホンダのカーナビを利用し、ブレーキの回数などから危険箇所をピックアップしながら道路の改修を行うという本県の取組が、全国的に評価されたことがありました。それに続くものとして、彼らは、「デリバリーバイクやシェアサイクルのデータもビッグデータとして活用できないか。」といった提案をしました。全く考えもつかないことでした。
確かに、デリバリーバイクは使えるかもしれません。シェアサイクルはまだまだ量が少ないので、そこは検討が必要かと思いましたが、発想はすばらしいものでした。

また、「子ども食堂」が今日、大きな意義を持っていることに着目しながら、「子ども『植堂』はどうだ。」という提案もありました。
これは、農作物を植え育てる段階から始めて、実った作物を収穫し、これを食べるところまで全て自分たちで体験する「植える食堂」です。稲作体験などが特に効果を上げそうなアイデアでした。
これもすぐ使えるかな、と思いました。正に育てる喜び、収穫の喜びをチームで考える。ただ施されるだけでなくて、自分たちで育てる。とても良い話でした。

今回の提案の中には、主権者教育とSNSを活用した普及啓発の強化など様々な取組を通じて、若者の投票行動を促すというものもありました。

今回、とりわけびっくりしたのは、埼玉県が展開している「埼玉県コバトン健康マイレージ」に対する提案です。不健康な人たちほどこうした取組に参加しないことを踏まえ、既に健康マイレージに参加している人に友達を勧誘していただこうというものです。
ゲームとしての楽しさや特典を取り入れ、参加した友達にも面白さや喜びを感じていただき、友達を勧誘した人にはポイントを付与するというものです。
友達を招待すればするほどポイントが高くなるというインセンティブがあるというのもすごいアイデアかなと思いました。ちょっとなかなか出てこない発想です。

ほかにも、本当に様々なアイデアをいただきました。すぐに使えそうなもの、若干の検討が必要なもの、もう少し手直しが求められるものなど様々でしたが、とにかく既存の枠にとらわれない方には、すばらしいアイデアが潜んでいるものだなということが改めて分かりました。

一部、理論が先行しているものもあり、「現場に足を運んで確認などをすればもっともっと良い提案になるのではないか」など、私の方からも少しアドバイスをさせていただきました。