7月19日(木曜日)、国の文化審議会は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に、2020年の登録を目指す候補として「北海道・北東北の縄文遺跡群」を選びました。こうしたこともあり、今、縄文時代が熱い視線を浴びています。
縄文時代に日本に居住していた人々である「縄文人」が、東アジアや東南アジアに住み着いた共通の祖先から最も早く枝分かれし、約2万年ないし3万年前には出現していた可能性があると、総合研究大学院大学などのチームが平成28年9月1日付けの日本人類遺伝学会の専門誌に発表しています。

チームは、福島県新地(しんち)町にある三貫地貝塚(さんがんじかいづか)で発掘された約3千年前の縄文人の奥歯から抽出したDNAの配列を解析しました。すると、縄文人は日本人を含むアジアのどこの人たちとも大きな隔たりがあることが分かりました。チームの斎藤 成也(さいとう なるや)総合研究大学院大学教授は「縄文人はユーラシア大陸の他の集団と比べても非常に特異だといえる。」としています。

DNAは時間とともに突然変異が起こるため、分かれてからの時間が長いほど違いが大きくなるそうです。アフリカで誕生した人類の祖先は、枝分かれしてヨーロッパ人に、さらに枝分かれしてパプアニューギニア・オセアニア人になりましたが、今回の研究でその次に枝分かれしたのが縄文人であることが分かりました。つまり、東ユーラシアの共通祖先の中で最も早い2万~3万年前に、縄文人は出現していたということです。縄文人以外のグループは更にアメリカ先住民、東南アジア人、中国人や日本人に分かれていくため、現代の日本人に受け継がれている縄文人のDNAは12パーセント程度に過ぎないといいます。

もちろん1つの学説ではありますが、私たちの祖先の中に縄文人がいたことはどうやら間違いないようです。将来のことに頭を悩ますことが多い今日、時には古代のロマンに浸るのもいいのではないでしょうか。