メールやSNSの普及とともに、若い人たちの間で極めて簡潔な言葉(例:「りょ」=了解の短縮形)が使われているようです。俗に言う略語です。しかし、略語という認識がないままに使われている言葉が、結構日本語にはあります。「実は略語だった意外な言葉ランキング」(gooランキング 2016年9月調査)というものがありますので、御紹介します。
第1位は「ボールペン」です。これは和製英語で、正式な名称は「ボールポイントペン(Ball Point Pen)」です。
第2位は「食パン」。「主食用パン」の「主」と「用」が省略されました。そのほか、美術のデッサンの時に描いた線を消すのに用いる「消しパン」に対し、食用のパンのことを「食パン」と呼んだなど諸説あるようです。
第3位は「教科書」。正式名称は「教科用図書」で、文部科学大臣による検定に関する法令の名称も「教科用図書検定規則」となっています。
第4位は「経済」。中国の古典に登場する「経世済民」の略で、「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」の意味でした。
第5位は「切手」。「切符手形」の略です。日本では古くから、お金を払って得た権利を証明する紙片のことを切手と呼んでおり、江戸時代には米切手、酒切手などが使われていました。日本の近代郵便制度の創始者である前島 密(まえじま ひそか)が、いわゆる郵便切手に「切手」という言葉を当てたとのことです。
第6位は「演歌」。「演説歌」の略で、元々は明治時代の自由民権運動において政府批判を歌に託したものでした。
以下、第7位「レーザー(Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation)」、第8位「レーダー(Radio Detecting and Ranging)」、第9位「割り勘(割前勘定)」、第10位「軍手(軍用手袋)」となっています。
略語は外国語にもありますが、ひらがな・カタカナ・漢字に外来語を駆使して作り出すことができる日本語の略語は、ほかの言語にはない特徴です。これも一つの日本の文化と言えるかもしれません。