滑川町の吉田 昇(よしだ のぼる)町長、嵐山町の岩澤 勝(いわさわ まさる)町長が県庁にお越しになりました。せんだって設立されました「比企丘陵農業遺産推進協議会」の設立の経緯などについての御報告です。
既に新聞などでも報道されましたが、埼玉県の比企丘陵地域は「ため池」とともに農業が発達してきたという歴史があります。比企丘陵地域の「ため池農法」(山と山の間に堤を築き、たまった雨水や湧き水を利用し、米作りを行う農法)は、6世紀後半から7世紀にかけて定着していたと推察されています。
土木技術の発展に伴って大規模河川からの引水が可能となり、多くの地域でため池は姿を消してしまいましたが、比企丘陵地域は小規模なため池が保存され、現在では、日本有数のため池集中立地地域になっています。水田面積当たりの「ため池」箇所数は全国トップクラスだそうです。また、ため池とその集水域の森林により、国の天然記念物の「ミヤコタナゴ」や国蝶(こくちょう)の「オオムラサキ」をはじめとする豊かな生態系が育まれています。
そこで、改めてこの「ため池農法」という地域資産である農業環境を維持継承していくことを目的として、熊谷市、深谷市、東松山市、滑川町、嵐山町、小川町、吉見町、寄居町の3市5町と、JA埼玉中央、JAくまがやの2つのJAが協議会を設立し、日本農業遺産、さらには世界農業遺産を目指す取り組みを行っています。
ちなみに、8市町には貯水量1,000立方メートル以上の主なため池だけでも353か所があります。滑川町だけでも113か所あるそうです。「ため池農法」を現在にも生かしていくという試みが極めて重要です。
今後、推進協議会の取組によって、是非とも農業遺産の認定につながるよう、県としてもバックアップしていきたいと思います。