「安倍一強」と言われてきましたが、森友・加計の問題、稲田朋美(いなだ ともみ)元防衛大臣の発言、豊田真由子(とよた まゆこ)衆議院議員の言動、そして防衛省の日報問題など、短期間にいろいろな問題が出てきて、ついに内閣支持率が40パーセントを割るところまでいきました。8月3日(木曜日)に内閣が改造されて支持率は40パーセント台に戻りましたが、それでも不支持率の方が上回っているという調査結果がほとんどです。

なぜこういう状況になったのかということについて、いろいろな分析がありますが、私は次のように考えています。政治は、多様な考え方や利害を整理することが主な仕事と言っても過言ではありません。したがって、お互いの主義主張を認め合う「相互互恵」の精神がないと成り立たない分野ではないかと思います。「一強」という言葉に代表されるような状況になりますと、これは同時に、他の者はほとんど存在しないということにつながりますので、そこが国民から拒否されたのではないかと思います。つまり、多様性こそが社会の大きな要素であるのに、その要素が外れていると国民が感じたのかもしれません。

アメリカのトランプ大統領に対しても、同じように多様性についての認識が極めて薄いということに対して、各界から強い批判が出ています。

やはり、異質なものを大事にする社会。それが人類を大きく育ててきたのではないかと思います。異質なものを全部排除していたら、人間もいつの間にか排除されてしまう可能性があります。顔が違っても、肌の色が違っても、言葉が異なっても、人類は小さな単位から徐々に大きな単位になり、そして世界ができるだけ共存できるような社会を作るために努力してきました。「多様性」は未来をつくる貴重な要素だと思います。