少し前になりますが、4月13日(月曜日)の日本経済新聞に名古屋外国語大学の亀山郁夫(かめやま いくお)学長の記事が掲載されていました。亀山学長は、ウォールストリートジャーナルの論文を引用し、「100年後の未来に世界で使用される言語は、現在の6,000から600まで減ると予測される。かといって、ITの進展等による英語一元化の流れの中であっても英語だけになるわけではなく、ほかの言語の希少性も相対的に増してくる。英語に加えてもう一つの外国語の習得が必要である」と語っておられます。

多言語の習得は、認知症予防にも思わぬ効果を発揮するそうです。アメリカ神経学会の公認機関誌「ニューロロジー」に、バイリンガル(二言語使用者)は認知症になりにくいという研究レポートが掲載されていました。これによれば、バイリンガルは一つの言語しか話せない人と比べて、認知症発症年齢が4.5年遅いとのことです。

「脳トレ」の第一人者である東北大学の川島隆太(かわしま りゅうた)教授は、対面でコミュニケーションを取りながら簡単な「読み」「書き」「計算」を行うことで認知症の改善を目指すプログラムを開発しました。現在、国内で1万人が実践するこのプログラムは、アメリカの高齢者介護施設でも実践されており、この模様はドキュメンタリー映画にもなりました。

脳トレも多言語取得と同様に脳機能の活性化につながるようです。頭のアンチエイジングには様々な刺激を与えることが大事なのはよく理解できる話です。次の数字を見ると、「もう一つ外国語の取得を」という気持ちにもなりますが、一方で英語だけでも大変なのにという思いも頭によぎります。

世界の言語別使用人口(文部科学省資料 2005年)

1位 中国語 10億7,500万人

2位 英語 5億1,400万人

3位 ヒンディー語 4億9,600万人

4位 スペイン語 4億2,500万人

5位 ロシア語 2億7,500万人