昨日、大相撲夏場所が横綱白鵬の全勝優勝で幕を閉じましたが、両国国技館の土俵には、埼玉県内の旧荒川流域で採取される「荒木田土(あらきだつち)」が使われていることが、5月13日(土曜日)の埼玉新聞に紹介されていました。
荒木田土は、東京都荒川区荒木田原(現在の荒川区町屋)で産出していたことから名付けられたそうです。土俵に使われるようになったのは、かつて国技館が荒川流域の蔵前にあったためともいわれています。
荒木田土は、次第に都内で採取できなくなり、現在は埼玉県内でのみ採掘されています。蛇行していた古荒川のカーブに、数千年かかって20センチから1メートルの厚さで堆積していますが、現在は田畑や住宅になっており、掘り当てるのは難しいといいます。しかも、国技館の土俵に使われるのは採取したうちの2%程度であり、土のダイヤモンドともいわれているそうです。
荒木田土は、土俵を鏡のような面に仕上げることができ、大きな力士による1日100組の取組が15日間続いても、崩れたりくぼむことがなく耐久性があります。さらに、調製された土に含まれる砂は丸く角がないので、力士は擦り傷を負うことがなく、土俵に適した土であるとのことです。
土俵づくりは機械を使わず、全て手作りだそうです。国技館にダンプ6台分、約30トンの荒木田土を県内から運び込み、呼出さんら45人が総出で3日間かけて新しい土俵を造成するとのことです。
土俵は神聖なため、場所ごとに表面を剥ぎ取って新しく造り直します。剥ぎ取った土は、高校や大学の大会で使用する土俵などに再利用されているといいます。
知らない方が多いと思いますが、埼玉の粘り強い土が日本の国技を支えていました。何だか誇らしい気持ちがします。