埼玉県を代表する偉人の一人である塙保己一(はなわ ほきいち)翁を御紹介いたします。
塙保己一翁は少年時代に視力を失いながらも江戸に出て学問を究め、当時、盲人の最高位とされた総検校(そうけんぎょう)の地位まで昇られました。日本中に散逸した古代・中世・近世の文献を集め、「群書類従(ぐんしょるいじゅう)」として666冊に及ぶ文献を編纂(へんさん)した江戸時代を代表する大学者です。目が見えないのになぜこのような編纂ができたのか、それは多くの弟子の力もあるでしょう。散逸した資料を大名や旗本のネットワークの力で手に入れるという作業もあったでしょう。いずれにしても、ハンディキャップがありながら後世に残る偉業を成し遂げた塙保己一翁には、こうした人とつながるネットワークの力が抜群であったと思われます。
そして、塙保己一翁を一躍有名にしたのは、いまだに世界中の尊敬を集めているヘレン・ケラーです。ヘレン・ケラーが日本に来られた際、2度にわたって埼玉県を訪れ、塙保己一翁について触れられています。ヘレン・ケラーは母親から「塙保己一翁という立派な先生もいるんですから、あなたも頑張りなさい」と教えられ、人生の目標としてこの塙保己一翁を挙げていたそうです。正に、奇跡の人ヘレン・ケラーの尊敬する方が塙保己一翁であったということです。
その塙保己一翁の生家のあった旧児玉町、現在の本庄市の有志の方々が市民による群読劇「塙保己一物語」を発表されます。11月20日(日曜日)14時開演、会場は児玉文化会館セルディです。この塙保己一物語劇化実行委員会の会長である竹並万吉(たけなみ まんきち)先生は前県議会議員で、塙保己一翁をこよなく尊敬され、そしてまた、ヘレン・ケラーの聖地まで訪ねられた方でもあります。
すばらしい物語を観ることができると思います。是非とも多くの方々に御覧いただきたいです。