全国の消防団員の数が減ってきています。日本の人口減少や高齢化を考えると、そうだろうなと思われる方も多いと思います。

全国的な減少傾向の中にあって、埼玉県は女性の消防団員の増加などによって踏ん張っています。しかし、消防団員のなり手が不足しているというのは紛れもない事実です。消防署の職員と違って消防団員は他に仕事を持ちながら活動しています。消防団員はあくまで任意のボランティアです。若干の報酬はありますが、言わば手当のレベルでしかありません。しかし、近隣の火事や災害時において、地元の消防団は消防署や防災関連機関の皆さんの活動を助け、また、それをカバーするという意味で大変な活躍をしておられるわけです。

その消防団員を増やすため、最近、大学や専門学校に通う学生の消防団員への募集が熱心に行われるようになりました。これに伴い、学生の消防団員の数は年々増えてきております。例えば、平成24年は、埼玉県では64人、全国では2,335人でした。それが平成28年には埼玉県は95人、全国では3,222人に増えています。4年間で埼玉県は48パーセント、全国は38パーセントの増加です。

学生消防団員の獲得のためのいろいろな工夫もされています。例えば、飯能市と戸田市は学生消防団活動の認証制度をいち早く導入しました。これは、消防団員として活動した学生に、在学中の消防団活動の功績を認証し、証明書を発行する制度です。本年8月に日高市、10月にさいたま市と所沢市が導入し、熊谷市、狭山市、深谷市でも導入に向けた準備が進められています。

消防団員のような地域活動は、学生の皆さんにとってなかなか縁遠いものです。この認証は、消防団員としての活動が就職活動など様々な分野での評価につながり、学生の皆さんにとって現実的なメリットになるものです。学生の皆さんに消防団員という、これまで縁遠かった地域活動にデビューしてもらうための有力なアイデアであります。

また、県では本年2月に、県内の大学に対して、消防団活動に参加する学生に修学上の配慮をすることや、消防団活動を積極的に評価するようお願いしたところです。さらに、7月の市町村担当者会議において、いち早く認証制度を導入した2市から発表してもらい、意見交換を実施しました。学生の消防団員というのはまだまだなじみが薄いかもしれませんが、改めて県民の皆様にお知らせをしながら、地元の消防団活動に関心のある学生さんには是非とも応募していただきたいと思います。