残念な報道が7月3日(金曜日)にありました。政府は北朝鮮による拉致被害者を含む全ての日本人の調査報告について、北朝鮮側から「包括的な調査を誠実に行ってきているが、今しばらく時間がかかる」と延期の連絡があったことを明らかにしました。昨年の7月4日の調査開始からちょうど丸1年に当たる、その前日の先送り通告でした。

私も衆議院議員時代から超党派の拉致問題の議員連盟を作り、当時在籍していた民主党を代表して、副会長として中川昭一(なかがわ しょういち)会長を支え、一生懸命活動しておりました。知事になってからも、県内外の集会などでも拉致問題の一日も早い解決を強く訴えてきました。また知事会の中にも、「北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会」をつくり、会長として様々なアピールを行ってきました。それだけに大変残念なニュースです。

昨年の5月26日、日朝両政府がストックホルムで協議をし、北朝鮮による拉致被害者らの調査実施の見返りに日本政府による独自制裁の一部を解除することで合意をしたにも関わらず、調査開始から1年経ってこのような残念な結果になってしまいました。横田めぐみさんの御両親などの顔を思い浮かべると、何とも辛い思いです。

現在の北朝鮮の政治状況を見ていると、うっかり現状を変えようとすれば粛清(しゅくせい)されかねないという恐怖感が国全体に漂っているのではないか、というように感じます。こんな状況の下では、担当者たちが本気で調査に取り組むわけがないのではないかと推察します。現在の政権が極端に走らないよう関係5か国で一定程度の距離を詰めて、北朝鮮と交渉できるような環境をつくる以外に拉致問題の交渉は始まらないのではないかと愚考するところです。

安全保障関連法案の審議が大変忙しく、悩ましい安倍総理だと思いますが、もう家族の皆さん達は御高齢です。是非、総力を挙げて取り組んでいただきたいものです。