7月28日(木曜日)と29日(金曜日)に、全国知事会が福岡市で開催されました。ここで沖縄の米軍基地問題に関する研究会を設置することが決定しました。翁長雄志(おなが たけし)沖縄県知事が改めて沖縄県の現状について問題提起をされ、私を含む何人かの知事が、その問題提起を受けてコメントするという形で議論が進み、全国知事会の共有の問題として取り上げていこうではないかということになりました。

翁長知事の話を聞いて驚きました。我々はなんとなく、沖縄県は米軍基地の恩恵で経済が回っているようなイメージを持っておりましたが、実は全くそうではないということが提供された資料で明らかになりました。例えば、県民総所得に占める基地関連収入の割合は、復帰前の1965年(昭和40年)に30.4%であったものが、復帰直後の1972年(昭和47年)に15.5%、現在(平成25年)では5.1%と大きく低下していました。

また、返還された米軍基地の跡地では開発が進み、かつての基地時代と比べて飛躍的に経済が発展していることも明らかになりました。例えば、那覇新都心地区では、返還前に年52億円だった直接経済効果(地代収入や軍雇用者所得、基地交付金など)が、返還後には年1,634億円(立地企業の売上高や不動産賃貸額)と32倍になっていますし、雇用者数も返還前は168人だったものが15,560人と93倍になっています。税収効果も返還前は年6億円だったのが、年199億円で33倍といった具合であります。小禄金城(おろくかなぐすく)地区や桑江・北前地区でも同じようなことが言えます。これら三つの基地跡地全体でみると、直接経済効果が返還前は年89億円、返還後が年2,459億円で28倍。雇用者数は返還前が327人で返還後が23,564人で72倍。税収効果は返還前が年9.8億円だったものが返還後には年298億円で30倍といったような具合です。

こうしたことはほとんど知られていないと思います。在沖縄米軍基地の在り方を考えるうえで、まずは私たち自身が沖縄についての正しい認識を持つことが重要ではないかと感じたところです。研究会にも参加し、沖縄の現状について改めてよく認識したいと思います。