前埼玉県議会議員(本庄市選出)の竹並万吉(たけなみ まんきち)氏を中心とする本庄市民有志によるヘレン・ケラー生誕地訪問団のメンバー10名が県庁にお越しになり、ヘレン・ケラーの生誕地であるアメリカ・アラバマ州タスカンビア市を訪問されたことについて、お話をいただきました。
県民の皆様もよく御存知のように、ヘレン・ケラーは見えない、聞こえない、話せないという三重のハンディを背負いながらも、世界各地を歴訪し、障害者の教育と福祉の発展に尽くされ、今なお世界的に敬愛される方であります。昭和12年、昭和23年、そして昭和30年と、3度にわたり来日もされています。ヘレン・ケラーは家庭教師のアン・サリバン女史によって啓発され、生涯をハンディのある人たちのために尽くされた、すばらしい人格者であります。
一方で本庄市には、盲目のハンディを抱えながら、努力して偉大な国学者になった塙保己一(はなわ ほきいち)翁という江戸期の偉人がおられます。ヘレン・ケラーは母親から「日本の塙保己一先生は、あなたの人生の目標となる方ですよ」と教えられました。そしていつしかヘレン・ケラーも、この塙保己一翁こそが自分が尊敬する憧れの人だと考えるようになりました。ヘレン・ケラーは3回の来日の際、塙保己一翁ゆかりの各地を訪ねられ、塙保己一翁の銅像に手を触れている写真も残っています。また、昭和12年には旧埼玉会館で講演をされ、「塙保己一先生のおかげで自分の人生があった」という趣旨のことを話されています。
そうしたこともあり竹並氏をはじめとする訪問団の御一行は、両国市民の交流を目指し、タスカンビア市のビリーシューメェカー市長を表敬訪問され、熱心かつ有意義な意見交換をされたということです。世界的に著名なヘレン・ケラーと塙保己一翁のこの結び付きは、時間と空間を越えた正に不思議な御縁であります。
遠く離れたアメリカの人口8,500人ほどのタスカンビア市民と本庄市民が、ヘレン・ケラーと塙保己一翁の縁で国際交流ができれば、これもまた塙保己一翁の功績を広く県民の皆様にはもちろん、アメリカの人々にも伝えることができるのかなと感じた、大変ほほ笑ましく有り難い報告でありました。