今年6月、日本銀行は「インターネット通販の拡大が消費者物価指数の上昇を抑えている」との分析を公表しました。これによると生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価の指数を0.1ないし0.2ポイント下押ししている可能性があるそうです。

ネット通販が普及すると価格の一覧性が高まるため最安値競争が加速され、結果として価格を押し下げる働きがあると考えられています。

一方、消費者物価指数は実店舗の価格が調査対象で、ネット販売の価格は反映されていません。しかし、ネット通販が拡大することによって「既存の小売店が値下げをして指数が下押しされる」と分析しています。
例えばネットでの支出額が足元で前年比1割以上増えている日用品や衣料品など、ネット経由の支出が増えている品目ほど消費者物価の伸びが鈍っているそうです。一方で、ネット支出額の伸びが鈍化している食料品の物価は上昇基調にあります。
日銀は、家計消費に占めるネット支出の割合を3パーセント程度と想定していますが、これは今後高まる余地があると思われます。

日銀の分析どおり、ネット支出が増えれば増えるほど消費者物価が上昇しないということになれば、消費者にとってはうれしい話です。しかし、政府が狙うところのデフレ脱却は困難になるかもしれません。なかなか悩ましいところです。