昨日に引き続き、『ハーバードでいちばん人気の国・日本 なぜ世界最高の知性はこの国に魅了されるのか』(佐藤智恵著・PHP新書)についてです。
日本経済もハーバード大学では関心の的になっているそうです。日本経済は異例づくめだそうです。戦後の急速な成長も異例なら、20年以上にわたる経済停滞も異例。金融政策の歴史やアベノミクスについても、次々と教材が執筆されているそうです。
現在成長中の新興国が経済停滞を迎えたとき、参考にするのは今の日本がどのようにこの問題を解決したかということになるようです。日本は高度に発達した文明社会であるがゆえに、世界の様々な問題を先取りしている。そこに日本から学ぶ意味があるということで、現在ハーバード大学では日本論が盛んになっているということです。
この本の中では、一貫して日本のことを評価する話がいろいろな論点から出されています。例えば、日本がインフラ先進国であるという評価があります。世界に先んじて整備されたアメリカのインフラが今は老朽化して深刻な状態にある一方、日本のインフラは極めてしっかりしていることについての評価です。インフラにはメンテナンスと改善が不可欠ですが、日本では当たり前になっています。
日本がインフラ先進国である具体的な理由が三つ挙げられています。一つ目は、日本は戦後、インフラを全てゼロから再建しなくてはならなかったということです。その時代の最新技術を使って、最初から新しいインフラを構築できたため、日本のインフラは他国よりも優れているということです。
二つ目は、日本国民の意識の高さが挙げられています。日本人は社会に対する責任感がとても強いと思われています。「自分が何かモノをつくるのであれば、それは国全体のためにならなくてはならない」という意識を持っていること。日本には企業の利益よりも社会全体の利益を優先する文化があります。こうしたことについての評価がとても高いようです。
三つ目は、日本人が秩序と清潔を重んじる国民だということです。家の中でも観光地でも清掃が行き届いていて、散らかっていることはありません。日本人は腐蝕したり劣化しているものを見ると、「新しいものにしたい」、「きれいにしたい」と直感的に思ってしまうのではないかと思われているそうです。
(次回へ続く)