早稲田大学本庄高等学院の女子生徒の研究チームは、蚕が食べる桑の葉の中に植物の宝石と言われる「プラントオパール」を確認し、その分布を調べた論文が国際的専門誌「Flora」に掲載されたそうです。この研究は、文部科学省からスーパーサイエンスハイスクールに指定された同学院の女子生徒たちが、2010年から卒業論文のテーマとして始めたものです。
オパールは宝石として装飾品に使われるケイ酸鉱物ですが、一部の植物では水と一緒に取り込んだ土中のケイ酸イオンを表皮細胞などに蓄積し、ガラス状細胞体を形成します。これが正に「植物の宝石」とも言われるプラントオパールです。
地元で盛んだった養蚕に使われていた「一ノ瀬クワ」を同校で継続して研究していたところ、2013年当時の女子生徒が光学顕微鏡で桑の葉の表面に丸くて透明な鉱物を発見したそうです。そこで、その鉱物を特定するため、スーパーサイエンスハイスクールの運営指導員を務める東京大学物性研究所の松田巌(まつだ いわお)准教授に詳しく調べてもらったところ、その鉱物がプラントオパールであることが判明したそうです。
リケジョの高校生が桑の葉に植物の宝石を見つけた話です。まさしく植物から鉱物が取れる話です。土中の鉱物を吸収した植物から鉱物を採取するという方法で、日本が大資源国になるということも、あながち夢物語というわけではないのかもしれません。
鉱物は非常に硬く、ケイ酸などごく一部の例外を除いて水に溶けることがないため、植物が根から吸収することはできないと一般的には考えられているようです。しかし、火山灰で覆われた土中には相当な鉱物が含まれていますので、痩せた火山灰地に育ち、食べ物にもならないような植物の茎や葉っぱに、すばらしい鉱物が吸収されている可能性も全くゼロとは言い切れないのではないでしょうか。さらに、最新のバイオ技術で非常に吸収力の強い植物の品種をつくることも考えられないでしょうか。
日本の国土に眠る無尽蔵な鉱物をバイオ技術が掘り起こしてくれる、何とも夢のような話ですが、私はそれがいつの日か可能になるのではないかと想像しています。しかも近い将来に。