今回も「悩ましい国語辞典」から、スコップとシャベルはどちらが大きいかという話を御紹介します。
 「日本国語大辞典」では「スコップ」のことは「小型のシャベル」と解説し、「シャベル」のことは「土、砂などをすくったり、穴を掘ったりするための金属製の道具」と解説しています。私が使っている講談社の「現代実用辞典」でも同じようにスコップのことを「小型のシャベル」としております。

 しかし、普段少し大きな穴を掘ったり、雪かきをする時には「スコップ」を使っている気がしますし、花壇など庭いじりをする時には「シャベル」を使っているような気がします。
 一方、「シャベルカー」とか「ショベルカー」という言葉は聞きますが、「スコップカー」という言葉は聞いたことがありません。この場合は「シャベル」の方が大きいイメージがあるようです。いずれにしても、その違いがはっきりしていない気がします。

 この謎に関して、小学館の「大辞泉」では「東日本では大型のものをスコップ、小型のものをシャベルといい、逆に西日本では大型のものをシャベル、小型のものをスコップということが多い」と解き明かしているそうです。
 なかなか使い分けがはっきりしない言葉があるということを改めて知ったところです。しかし、それでもコミュニケーションが成り立っているところに「生き物」としての言葉の柔軟性のようなものを感じます。

 念のため英和辞典でも調べてみたところ、「スコップ」はオランダ語、「ショベル」は英語から来た言葉だそうです。英語の「scoop」という言葉には「(穀物・砂糖・石炭などをすくう)すくいシャベル」という意味のほかに、「(新聞などの)特ダネ、スクープ」という意味もあるそうです。
 時々、政治家の問題発言が新聞などで報じられます。不用意に「シャベル」と「スクープ」されて墓穴を掘ってしまうかもしれません。