ダイヤモンド・オンラインに掲載されている、統計データ分析家である本川裕(ほんかわ ゆたか)氏の「社会実情データ・エッセイ」(http://diamond.jp/category/s-dataessay)を読みました。今回のテーマは「日本国民の政治家への信頼度はなぜ世界最低レベルなのか」というもので、「政治家は正しいことをしていると信頼」している人と、「政治家は自己利益の追求だけだ」と思う人との相関関係についてのデータを基に論じていました。

このデータによれば、「政治家は正しいことをしていると信頼」している国民の比率が高い国々として、スイス、スウェーデン、デンマーク、ニュージーランドなどがありました。反対に、低い方ではスロベニア、クロアチア、ラトビア、リトアニア、ポーランドなどと並んで日本があり、その比率は10%以下です。ドイツ、イギリス、アメリカ、韓国、台湾、メキシコなどは20%前後、フランスはそれより少し下がります。

一方、「政治家は自己利益の追求だけだ」と考える国民の比率が高い国々としてスロベニア、クロアチア、ラトビア、メキシコ、ベネズエラなどがあり、何と80%近い国民がそう考えています。そして50%から60%辺りにフィリピン、ロシア、インド、アメリカ、日本、フランスといった感じです。

このような結果を読み取っていくと、北欧諸国は比較的政治家が正しいことをしているという信頼度が高く、また自己利益の追求もしていないと思われている。ニュージーランド、オーストラリアも同じような分類になるようです。日本の場合は、政治家が自己利益の追求をしているとはそんなに思われていませんが、正しいことをしているという信頼度が低くなっています。その逆に、フィリピンやロシアやインドなどは政治家が正しいことをしているという信頼度は高い一方で、自己利益の追求もしている、こうした評価にあるようです。プーチン大統領などを思い浮かべればいいのかもしれません。結構、自己利益の追求をしているような感じはするけれども、一方では国家のために正しいことをやっていると、そういう国民の信頼があるようです。アメリカや英国やドイツ、フランスなどはだいたい真ん中という感じです。ロシアと近接している国々やアルゼンチン、スペインなどは両方とも評価が低いという分類です。

本川さんは、人口が多い国々は国民と政治家との距離が遠くなってしまうため政治家が信頼を得にくいのかもしれない、また、人口の少ないスイスやスウェーデンやデンマークやニュージーランドなどは比較的政治家と国民との距離が近く、評価につながるのではないかと分析されています。

新興国などでは政治家の実績がより重視され、先進国では実績もモラルも求められている。こんなことがざくっと言えるのではないかと思います。日本の場合、残念ながら信頼度が低く、政治家のモラルも中位で決して良いレベルではないと、少なくとも国民は思っているようです。あれもこれもできた時代から厳しい選択を迫られる時代になっています。それにも関わらず、政治は相変わらず国民から遠いところでの議論ばかりで身近に感じられないという気持ちがそうした数字に表れ、また選挙における投票率の低さにも関係しているのではないか思います。