「思いやり予算」というかわいい名前の予算があります。
1987年(昭和62年)、当時の防衛大臣の金丸信氏、自民党の幹事長を務めた方が駐留米軍の費用負担を少しぐらい面倒を見てもいいのではないか、と言って62億円支出するようになりました。
日米地位協定という一種の条約みたいなものがあります。その中に、アメリカ側の負担義務の経費の一部を同協定の中で特別に締結して、日本側が負担したのが、おもいやり予算です。
この思いやり予算、どんどん増額になり、ピーク時には2700億円になりました。
民主党政権の時にこの予算にメスが入り、徐々に削減されて、現在は2100億円程度になっています。これも重要な国の支出ですので、国会でしっかり議論しています。
私は、本会議と参議院外交防衛委員会でこの問題を取り上げてきました。
19世のイギリスのさる首相の「永遠の同盟もなければ、永遠の敵もない。あるのは永遠のイギリスの国益のみ」という名セリフがあります。
戦後一貫して、日米同盟が堅持されてきました。
東アジアの軍事バランスやあるいは、インド太平洋地域における勢力均衡において、一定の効果があるのも事実ですので、このことが広く認められてきました。
残念なことに、あまりにも強力な米軍の存在によって、日本国は日本で守るという本来必要な思想が薄れていることが課題です。
大枠で日米同盟の意義や全体の方向は認めるとしても、ひとつひとつの論点は、余りある課題があります。例えば、米軍基地を提供している諸外国のなかで国内法の適用が無いのは我が国だけです。
事件が起きても立ち入りの検査権限も無ければ、場合によっては、現場検証さえもできないことが起こっています。
さる日本の首相は、戦後レジームの脱却だとか、日本を取り戻す、と言っておられましたが、全然、アメリカ対して要求を出したことがありません。
こうした点を日本国や日本国民は正しく認識して、本来在り得るべき姿を実現していかなければなりません。
むしろ必要なのは、思いやりよりけじめでしょうか。
参議院議員 上田清司