また一つ、埼玉県内の史跡の歴史的価値を示すニュースです。
国の文化審議会は、昨年11月17日(金曜日)に深谷市・熊谷市にある「幡羅官衙(はらかんが)遺跡群」を国指定史跡に指定するよう文部科学大臣に答申しました。近く答申どおり告示される予定で、県内の国指定史跡はこれで計20件になります。
この遺跡群は、いずれも古代の武蔵国幡羅郡(はらぐん)に属する、深谷市内の幡羅官衙遺跡と熊谷市内の西別府祭祀(にしべっぷさいし)遺跡からなっています。
古代の役所である郡家(ぐうけ)が、7世紀後半に成立し、11世紀前半に廃絶するまでの300年以上にわたる歴史が確認できる、極めて重要な遺跡だということです。
深谷市の幡羅官衙遺跡では、税として納められた稲などを保管した正倉(しょうそう)とみられる遺構の発見をきっかけに、多くの建築物や鍛冶工房の跡などが確認されました。
熊谷市の西別府祭祀遺跡は、代々行われていた水辺の祭祀の跡で、祭祀具の石製模造品が見つかったことで所在が判明しました。この祭祀場は郡の政治と密接に関わっていたとみられています。
また、幡羅官衙遺跡の東側には寺院跡の「西別府廃寺」の存在も確認されています。郡役所跡、祭祀場跡、寺院跡の3つがそろっているのは、全国でもほかに2例しかなく、これらが正に三位一体で機能していたことが確認できる大変貴重な遺跡だそうです。
県内の国指定史跡には、吉見百穴(ひゃくあな)や埼玉(さきたま)古墳群、鉢形城跡などがありますが、これに新たな地域の宝が加わりました。幡羅官衙遺跡群は、古代史を知る上で貴重な遺跡の一つであり、その歴史的な意義は極めて大きいと思います。