7月16日(木曜日)に衆議院本会議において安倍政権の重要政策の一つである安全保障関連法案が、5野党が退席して採決に応じない中で可決されました。国民の理解が十分進んだと言えない中で採決されてしまったことは、残念な結果だなと思っています。
ただ、我が国の安全保障問題の本質は、憲法第9条との整合性だけではなく、昨今の東アジア情勢の中で日本の安全をどう守るのかという切実な問題であると多くの国民の皆さんも感じておられると思います。
「権利はあるが行使せず」という立場を貫いてきた集団的自衛権の問題も、自衛隊の活動範囲が拡大することで、戦争に加担したり、巻き込まれてしまう可能性が高まるのではないかという危惧を持つ方も少なくありません。
国会の議論は全くかみ合っていませんが、それぞれの考え方の接点が全くないかというと、私は接点を見つけることは可能だと考えています。
少なくとも、北朝鮮の核開発と独裁的な国家運営、中国の軍事的な拡大と周辺諸国との続発するトラブル、そしてプーチン政権になって以来のロシアも領土的野心を隠そうとしていません。また、アメリカが果たしてきた世界のバランサーとしての機能が弱ってきました。アメリカ一国で世界秩序を維持するのが難しい時代に世界は突入しています。こうした認識は共通していると思います。
そういう中で、日本の独立と国民の生命財産をしっかり守るにはどのような在り方が良いのかについて、与野党間でしっかりとした議論がなされ、国民が納得できる方向に収れんさせるべきだと思います。
日本を取り巻く国際情勢の認識について、与野党間で決定的に大きな差があるわけではないと私は思っています。認識に差がないのであれば、たとえ方法論が異なっていたとしても、真摯に議論を尽くすことにより、とるべき方向性は徐々に収れんされるはずです。それが正に議論であり政治の役目であると思っています。
論語に「異端を攻むるはこれ害のみ」という言葉があります。特定の主義主張に凝り固まってしまうことを戒め、なおかつ自分と反対の意見を持つ人たちを排除することを戒めています。そういう意味で、今一度徹底して議論することで、全部は無理としても意見が一致するところはいくつもあるはずです。異なる意見を政治の力で収れんさせることこそ政治家の務めであり、政治の目的ではないかと私は思います。正に「良識の府」としての参議院において、国民が納得できる方向で安全保障関連法案の議論が収れんしていくことを期待します。
なお、明日から埼玉県知事選の選挙期間に入りますので、しばらくこのブログはお休みをさせていただきます。