埼玉県では「川の消火基地」の整備が着実に進んでいます。「川の消火基地」とは、地震などの大規模災害によって通常の消火栓が使えなくなった場合などに、代わりに川の水を使って消火活動に充てるという仕組みです。大規模災害時は、通常の消火栓を使えない場合もあるかもしれないし、火災が発生している近くでは消火栓にホースをつなぐことが不可能な場合もあるでしょう。こうした場合に、川の水を消火に使えということになります。川の要所要所に吸水するためのピットを整備しておき、いざ火災という時には、この吸水ピットと消火ポンプ車のホースをつないで川の水を直接放水しようというものです。
東京外郭環状道路以南の6市(川口市、草加市、蕨市、戸田市、八潮市、三郷市)は、木造住宅密集地域を数多く抱えており、東京湾北部地震が発生した場合の被害想定では、焼失棟数が全県の約半数に及び、死者数も全県死者数の約8割を占めるだろうと想定されています。このため、「川の消火基地」はまず、この県南6市を対象に100か所の整備を進めています。平成25年度に26か所、26年度に32か所、27年度は42か所の整備を行うことにしています。
この100か所を整備することで、県南6市の市街地12,500haのうちの5,500ha、約45%がカバーできるようになります。もとより、訓練をしておかないといざという時に使えません。このため、これまで草加市、蕨市、三郷市の3市で延べ5回の訓練を実施していますが、今年度は6市全てで実施する予定です。消防当局と消防団によって、こうした「川の消火基地」を活用した訓練が行われることが、いざという時に大きな備えになります。
埼玉県のこうした取組が国においても高く評価され、国が策定する新たな「首都圏広域地方計画」にも位置付けられる方向で検討されているようです。 埼玉県発のこうしたアイディアが、国においても取り上げられそうなことを、大変誇りに思います。