SKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、川口市にある「SKIPシティ」を会場として平成16年から始めた、世界初のデジタル映画祭です。映画祭の開催には、映像産業の集積や若手クリエイターの発掘及び育成という意味も込めています。今年で14回目を迎えますが、昨年末までに国内の映画館の97パーセントはデジタル化しており、時代を先取りしたことについて、埼玉県として誇りを持って良いと思っています。
今年は85の国と地域から810の作品が集まりました。その中からノミネートされた作品が、映画祭で上映されます。注目すべきところは、この映画祭が、正に若手クリエイターの登竜門として日本映画界の中に定着してきたことです。
例えば、2012年に『チチを撮りに』で長編部門監督賞とSKIPシティアワードを受賞した中野量太(なかの りょうた)監督は、昨年10月に「湯を沸かすほどの熱い愛」で商業デビューしました。同作品では、宮沢りえ(みやざわ りえ)さんが日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を、杉咲花(すぎさき はな)さんが同最優秀助演女優賞を受賞し、オダギリジョーさんという人気俳優も出演されているすばらしい作品です。
2013年に『神奈川芸術大学映像学科研究室』で長編部門審査員特別賞を受賞した坂下雄一郎(さかした ゆういちろう)監督は松竹のプロジェクトに抜てきされ、『東京ウィンドオーケストラ』で今年1月に商業デビューしました。名脇役と言われる小市慢太郎(こいち まんたろう)さんが存在感を発揮していて、ただただ感心するばかりです。
さらにさかのぼりますと、2009年に『ロストパラダイス・イン・トーキョー』で長編部門SKIPシティアワードを受賞した白石和彌(しらいし かずや)監督は、昨年6月に長編3作品目の『日本で一番悪い奴ら』を公開しました。主演の綾野剛(あやの ごう)さんは、ニューヨーク・アジア映画祭ライジングスター賞を受賞しています。
また、2007年に『星屑夜曲』で短編部門奨励賞を受賞した外山文治(そとやま ぶんじ)監督は、『此の岸のこと』でモナコ国際映画祭2011において短編部門最優秀作品賞を含む5賞を受賞しました。
さらに、2005年に『珈琲とミルク』で短編部門の最優秀作品賞を受賞した熊坂出(くまさか いずる)監督は、その後『パーク アンド ラブホテル』で第58回ベルリン国際映画祭最優秀新人作品賞を、『リルウの冒険』で第6回シネマデジタルソウル国際映画祭グランプリを獲得しています。
このように出身監督が立派な実績を上げることでSKIPシティ国際Dシネマ映画祭が注目され、それによってSKIPシティに新たな才能が呼び込まれ、ここで育ち、また輩出されていく、といういい循環ができつつあります。
今年の映画祭は、7月15日(土曜日)から7月23日(日曜日)までの9日間です。オープニング作品も、コンペティション作品も、特別上映も、食指が動く作品がそろっています。特に特集企画は御注目です。
ここで御紹介したいところですが、詳細は6月1日(木曜日)に発表いたしますので、楽しみにもう少しお待ちください。