先日、内閣府が準天頂衛星「みちびき2号機」を6月1日(木曜日)に打ち上げることを発表しました。「みちびき」とは、日本版GPSとも呼ばれる人工衛星を利用した測位システムのことです。

「みちびき」のウェブサイトによれば、安定した位置情報を得るためには、自分の居場所から常に8機以上の衛星が見えている必要があるそうです。現在、米国が運用しているGPS衛星は30機ほどで地球全体をカバーしていますが、日本からは6機程度しか見ることができません。また、日本の都合でGPS衛星を増やすことはできないのです。

そこで、我が国が自前で衛星測位システムを構築するため、GPS衛星と互換性のある「みちびき」の1号機を平成22年9月に打ち上げました。今年6月に打ち上げる2号機も含めて、平成30年度には4機、平成35年度には7機の体制となる予定です。

GPS衛星と「みちびき」を組み合わせて利用すれば、日本から見ることのできる衛星の数は常に8機以上となり、安定した位置情報を得ることが期待できます。さらに、国土地理院のデータを併用することで、誤差数センチメートルと非常に高精度な位置情報を得ることもできるそうです。

このような高精度な位置情報によって、様々な分野で機器の自動運転が可能となるなど、私たちの暮らしや産業を大きく変える可能性があります。

例えば、農業の分野では、トラクターが農場の中を正確に自動走行できるようになるため、種まきから収穫までのほとんどの作業を自動化するなど、高齢化と人手不足に悩む農業の現場を大きく変えることが期待できます。

また、建設や物流の分野でも、重機の自動運転やドローンの自動飛行の研究が進められていますし、高齢者や障害のある方などの歩行をサポートするナビゲーションシステムへの応用も検討されています。

「みちびき」が、これからの超高齢化や労働者不足に伴う時代の課題を、正に解決する方向に導いてくれることを期待したいと思います。