日本から海外に留学する学生が極めて少なくなっているということを平成22年に知り、改めて調べましたら、留学生の数は平成16年をピークに下がる一方であることが分かりました。
これではよくないと思い、平成23年度の予算で「埼玉県グローバル人材育成基金」という10億円規模の基金を作り、6年間の期限で、毎年200人くらいの奨学生を海外に送り出す事業を展開しました。この10億円という予算規模は当時の文部科学省における大学等海外留学支援制度の1年分の予算でしたので、文部科学省もびっくりし、財務省との交渉の中で翌年度には約2倍、そして現在では90億円規模の予算を投入し、海外に向けた奨学生派遣を拡大しているところです。また、埼玉県の取組が他の自治体にも良い意味での刺激を与え、東京都や大阪府などが追随して、多くの学生を世界に送り出す取組を始めました。
この「埼玉県グローバル人材育成基金」が3月末で6年間の期限となりますので、平成29年度からは衣替えをする予定です。
基金を県ではなく、公益財団法人埼玉県国際交流協会に設置してもらい、産学官をメンバーとする「グローバル人材育成センター埼玉」に運営をお任せすることとしました。行政の枠から離れることで自由な展開が可能となります。
新しい展開として「冠付きの奨学金」の創設があります。50万円以上の寄附をいただいた方の個人のお名前、あるいは企業名を冠した奨学金を設立するものです。例えば、山田太郎さんという方が寄附をされたとすれば、「山田太郎奨学金」という名称で、その方の寄附の枠の中で奨学生を派遣することができます。
あるいは○○産業株式会社など企業名を奨学金の名前に付けて奨学生を送り出すこともできます。
こうした冠付き奨学金を受けた奨学生は暖かい支援の手を差し伸べてくれた方にずっと感謝の気持ちを忘れないでしょうし、それが留学先での励みや将来、社会に恩返しをしたいという気持ちにもつながっていくと思います。あるいは、両者の縁が何らかの形で続く可能性もあります。これもよいことだと思います。是非、この事業がスタートする時には多くの皆さんや企業に冠の主になっていただきたいと思います。