4月の消費者物価指数が2.1パーセント上昇しました。増税時を除くと、13年半ぶりに2パーセントを超えました。既に企業物価指数は10%上昇しています。2パーセント程度では何やらたいしたことないと思えるかもしれませんが、どうしてどうして、そうではないと思います。
ロシアとウクライナの戦争によって、ロシアのエネルギー供給に経済制裁が加わり、世界全体のエネルギー供給量が減りましたし、世界有数の小麦産出国であるロシアとウクライナからの小麦の輸出も止まっています。
折から、中国の生活水準が年々上がることにより、中国の食糧、エネルギーの爆買いがもともとあり、じわじわと原材料等の上昇が続いてきたところにこのショックです。
日本はなぜか、ガソリン価格の上昇については抑え込みに熱心で、すでに燃料価格の抑制策のために1兆5千億円ほど使っています。
本来なら令和4年度の食糧・エネルギーの家計負担増が7万3千円と試算されたところですが、燃料価格抑制によって1万円程度負担が減っています。
原材料の輸入もタイムラグがあります。仕入れの在庫もあったりします。シンクタンクなどの調査によれば、7月くらいから本格的な値上げラッシュになるようです。
もともと日本は鉱物資源を17兆円、食料品を7兆円、併せて24兆円を輸入していたわけでありますが、円安によって、この輸入分の費用も増えています。貿易収支はすでに赤字になりました。
国際収支は過去の日本の投資によって配当金などがありプラスですが、いつまでもという訳にはいかないかもしれません。
円安であれば、輸出企業が利益を上げる。日本経済は円安にリードしながら株価が上昇し、なんとなく上手くいっているように見えてきました。しかし、事実は30年間給与の上がらない国になっていますので、GDPの6割以上と言われる国内の消費が不振です。
これからの日本の課題は、かつて世界から称賛された所得の再分配機能を復活させることです。一定程度の物価高がやむを得ないものと捉え、所得の再分配、つまり、給与を上げる経済に当面の政策を総動員して達成すべきです。
参議院議員 上田清司