最近、子育て支援の一環として、多子世帯支援の枠組みを充実する国や地方自治体の政策が増えてきました。埼玉県でも3人目からの保育料の支援や多子世帯向けの住宅支援等をメニューとして増やしました。それは一人の人間が社会人になるまでには大きな費用がかかるからです。

一人の人間が大学を卒業し、社会人になるまでに一体幾らかかるのか、保育や教育についての様々な資料を基に試算してみました。
保育サービスを0歳から6年間受けたとすると総額でだいたい608万円、小学校入学以前の医療費が16万円、小学校6年間で510万円、中学校3年間で319万円、公立高校3年間で344万円、国立大学4年間で1,232万円、トータルで3,029万円となります。

次に、一人の人間が社会人になるまでに国や自治体が負担する費用、いわゆる一人当たりの公費負担額は幾らになるのか計算してみましょう。
保育サービスに365万円、小学校入学以前の医療費無料化に16万円、小学校451万円、中学校269万円、公立高校275万円(ちなみに私立高校の場合148万円)、国立大学として721万円、締めて一人当たり公費負担総額は2,097万円となります。要するに一人の人間が社会人になるまでにだいたい3,000万円かかり、そのうち2,000万円が公費ということになり、残り1,000万円が御両親なり御家族、あるいは御本人が負担しているということになります。

一方、一人の人間が大学卒業から60歳定年までの間に稼ぐ額ですが、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば、退職金を除き2億5,420万円だそうです。そして、埼玉県税務概況を基に試算した数字では、国民一人当たりでみた一生のうちに負担する税金は、企業が負担する法人税なども含め5,367万円になります。
税金の5分の2が社会人になるまでの間の人づくりに注ぎ込まれていることになります。