中華食堂の「日高屋」を利用されている方は多いのではないでしょうか。実は「日高屋」は埼玉県が発祥で、現会長の神田正(かんだ ただし)氏が昭和48年にさいたま市大宮区で創業したラーメン店から出発しました。チェーン展開にいち早く取り組み、駅前一等地への出店戦略や徹底したローコスト・オペレーションの推進により飛躍的に発展してきました。会社帰りのサラリーマンから学生、家族連れ、女性など幅広い層に支持されています。

 2015年11月21日号の「週刊ダイヤモンド」に「外食業界随一を誇る収益率の高さ」と題して、「日高屋」などを展開する株式会社ハイデイ日高が紹介されていました。人気の秘密は帰宅前にご飯を食べながら「ちょっと一杯」ビールを飲んでも割安なことです。平均客単価は670円程度で、ラーメン、ギョーザにビールを1杯付けても910円というお手軽さが受けているそうです。全メニューの売上高に占めるアルコール飲料の比率は14.5パーセントとのことです。同業の中華料理チェーンは4~5パーセント台にあり、いかに比率が高いかがうかがい知れます。
ハイデイ日高の2014年度の売上高営業利益率は11.8パーセント。中華の同業他社は3~8パーセントですから、ずば抜けて高い状況です。営業利益は12期連続、当期純利益は10期連続で増益を達成しているそうです。

 好業績を支えている秘密の一つは「究極のドミナント戦略」にあると紹介されています。ドミナント戦略とは特定の地域に集中して店舗を展開し、経営効率を高めるマーケティング戦略のことです。日高屋は370店のほとんどが東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県に集中しています。また、狭い地域でもドミナント戦略を貫き、一つの駅の周辺に複数の店舗を展開しています。帰り道に「つい立ち寄る」客が多いと分析し、駅で降りた人が通る動線上にそれぞれ店舗を構え、集客につなげる狙いがあるそうです。

 面白いところでは、「焼鳥日高」という立ち飲みの焼き鳥屋を21店舗展開しているそうです。神田会長いわく「福利厚生の一環で」作った店だそうです。年をとって重い中華鍋を振るのは無理でも、焼き鳥の串なら扱えるからだそうです。「60歳を過ぎて仕事を辞めようかという人も、焼き鳥なら70歳まで働ける。そういう職場を残してあげたい」と神田会長はテレビ番組に出演して答えていました。
従業員を大事にする会社だからこそ、大きく発展しているのかもしれません。