11月20日(金曜日)に国の文化審議会が、古秩父湾堆積層(こちちぶわんたいせきそう)及び海棲哺乳類化石群(かいせいほにゅうるいかせきぐん)を国の天然記念物として指定するよう文部科学大臣に答申しました。
実は、秩父地域には明治時代以降、地質学の研究が盛んに行われてきた歴史があり、我が国の「地質学発祥の地」と言われています。県でも県立自然の博物館を中心に研究や普及活動を続けてきております。
こうした長年にわたる地道な研究成果が評価され、来年の春には、県内では48年ぶりの「国の天然記念物」として指定される見通しです。大変うれしい話です。
またまた秩父地域の名所の一つとして大きくクローズアップされそうです。この秩父地域の「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」というのは、今から1700万年から1500万年ぐらい前までは、秩父盆地が海であったことを示す証拠です。また、日本列島が形成される時代の地殻変動や生物群集などの変遷を示すものでもあります。
これまで、チチブクジラ、オガノヒゲクジラ、パレオパラドキシアなど、海に生息していた大きな生物の化石などがたくさん発見をされています。このうち県立自然の博物館所蔵の9件の化石標本が、今回答申された物件に含まれています。これらは、恐竜絶滅後に哺乳類が繁栄していった地質時代「新生代」の化石としても大変貴重です。
また、「古秩父湾堆積層」として答申されたのは、古秩父湾の誕生から終焉(しゅうえん)までの約200万年にわたる地質時代のストーリーが分かる6つの露頭(地層の露出した崖)です。高さ約100m、幅約400mにわたって地層が露出している「ようばけ」などのように、古秩父湾の地層の変遷が様々な形で露出しているのが、この秩父エリアの魅力です。
今回答申された「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」は、秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町と正に秩父エリア全域に広がっていますので、秩父郡市の観光資源としても生かされます。
秩父を舞台にしたアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(通称「あの花」)が大ヒットしましたが、今年公開されたアニメ映画「心が叫びたがってるんだ。」も秩父が舞台で「あの花」と同様に大ヒットしております。
秩父エリアの新たな観光スポットに、この「国指定天然記念物」が加わることを私も心から歓迎いたします。
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