運用又は将来に備えた預貯金や株式、債券などの金融資産を持っていない世帯、いわゆる「金融資産を持たない世帯」が増加しています。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(二人以上世帯調査)によると、金融資産を持たない世帯の割合が最も低かったのは昭和62年で3.3パーセントでした。それが平成29年には31.2パーセントまで増加しています。

金融資産を持たない世帯の割合の推移を見てみますと、昭和55年に5.3パーセントであったのが、バブル景気初期(昭和62年)には3.3パーセントまで下がり、バブル崩壊(平成3年)以降、徐々に上昇して平成15年には21.8パーセントになりました。その後、平成22年ぐらいまでは22パーセント程度で留まっていましたが、平成23年頃からまた上がり始め、平成29年には31.2パーセントと、約3世帯に1世帯というレベルまで上がっています。

国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、平均給与は平成9年の467万円をピークとして、平成21年には406万円まで下がりました。その後、少しずつ上がって平成28年には422万円となっています。ただし、社会保険料などが上がっておりますので、可処分所得、いわゆる手取り収入は必ずしも上がっていないという状況です。
このことが、金融資産を持たない世帯が増加している原因の一つであると言えるでしょう。