経済協力開発機構(OECD)が72の国と地域の15歳の生徒を対象に、数学的リテラシー(応用力)・科学的リテラシー・読解力の3分野について、3年おきに実施している学習到達度調査(PISA)の結果が公表されました。気になるのは日本であります。日本の順位は科学的リテラシーが前回(2012年)の4位から2位に、数学的リテラシーは7位から5位に順位を上げましたが、逆に読解力は4位から8位に落ちて、平均点も22点下がっています。

2000年の調査では日本は数学的リテラシーが1位、科学的リテラシーが2位、読解力が8位でした。2003年には数学的リテラシーが6位で、科学的リテラシーが2位のまま、そして読解力が14位と下がり、さらに、2006年には数学的リテラシーが10位、科学的リテラシーが6位、読解力が15位と調査するたびに順位が下がった結果、ゆとり教育の弊害があるのではないかという議論が大きく沸き起こり、ゆとり教育の見直しが始まりました。

これを受け、早速、2009年には数学的リテラシーが9位、科学的リテラシーが5位、読解力が8位と、それぞれ順位が上がりました。そして2012年には数学的リテラシーが更に7位になり、科学的リテラシーが4位、読解力も4位になってきましたので、脱ゆとり教育の成果ではないかなどと言われておりました。

ところが今回(2015年)、数学的リテラシーが5位、科学的リテラシーが2位となる一方、読解力が8位に下がったこともあり、読解力が課題になったところです。ある意味では、数学であろうと理科であろうと歴史であろうと、まず読解力がないことには全てが始まりません。正に学力の基礎です。

要因としては、スマートフォンやインターネットを利用する時間が増える中で、長い文章を丁寧に読むことが苦手になっているのではないか、などと指摘をされているところです。こうした課題をどのようにして克服していくのか、改めて日本人の知恵が問われています。