最近、東京都大田区の民泊特区制度が話題になっていますが、衛生面や管理面などで難しい課題があるようで、実際はまだ3件しか申請がされていないようです。

 一方、埼玉県でも独自の民泊事業が展開されています。それは秩父地域の民家で小学校から高校までの教育旅行を受け入れるというものです。

 この事業は、埼玉県が受け入れる組織体制や衛生管理に関するガイドラインを策定し、これに基づいて秩父地域おもてなし観光公社と、秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町の1市4町が共同で平成26年度から開始したもので、観光公社が仲介する修学旅行などの児童生徒3~4人を1~2泊で受け入れています。

 宿泊家庭で行われる体験プログラムはそれぞれの民家が考案し、野菜の種まきや収穫、そば打ち、味噌ポテトや冷や汁うどん等の郷土料理づくりなど、バラエティに富んだプログラムを体験することができます。
 例えば、あるリンゴ農家ではリンゴの収穫を手伝ってもらいます。子供たちは朝5時に起床し、ラジオ体操をしてから作業に取り掛かります。都会で生まれ育ち、リンゴの木も見たことがない子供がほとんどで、農作業はとても新鮮に感じられるようです。
 受け入れ民家には宿泊料ではなく、生活体験の指導料として1人当たり1泊5,000円程度が観光公社を通して支払われます。また、子供たちに提供する食事には地場産品を使うことを勧めており、地域への経済効果も期待できる仕掛けになっています。
 秩父地域での民泊事業の様子は、2月3日(水曜日)付けの日本経済新聞(夕刊)でも特集されていました。
 こうした民泊事業は横須賀市なども実施していますが、秩父地域は、受入登録家庭が200軒を超え、300名規模の子供たちを受け入れることができる初めての地域となっています。
 修学旅行を通して滞在先に愛着が生まれた子供たちも少なからずいることでしょう。民泊での生活体験により秩父が「第二の故郷」となるようなファンづくりも事業目的の一つになっています。こうした事業によって埼玉県のファンが増え、将来、再来訪する人が増えるかもしれないという期待もあります。
 埼玉県独自の児童生徒向け民泊の展開をこれからも注視していただきたいと思います。