知事公館の中庭の池に「ヒレナガニシキゴイ」というヒレの長い美しいコイが泳いでおります。このヒレナガニシキゴイ、実は天皇陛下と御縁があります。

40年前の昭和52年(1977年)、陛下がまだ皇太子でいらっしゃった時代に加須市にある埼玉県水産試験場(現在の埼玉県水産研究所)を行啓(ぎょうけい)されました。この時、インドネシアに黒色のヒレの長いコイがいることを御存知だった陛下が、この水産試験場にいるニシキゴイと掛け合わせると新しい優雅なコイができるかもしれないね、と職員におっしゃったそうです。そのことをしっかり受け止めた職員は、インドネシアから黒いヒレナガゴイを入手し、交配させること7代の後に、ニシキゴイのきれいな色彩と普通のコイの2倍も長いヒレを合わせ持つ改良品種を誕生させることに成功しました。

先般、インドネシアのジョコ大統領夫妻が皇居に参内された際、皇后陛下がインドネシアの黒いヒレナガゴイと日本のニシキゴイとを掛け合わせ、新品種の誕生につながったというお話をされたそうです。埼玉生まれのヒレナガニシキゴイが天皇陛下の御発案から生まれたということは、大変すごい話です。

知事公館でイベントがある時には、私もこの話を皆さんに披露して実物を御覧いただいております。金魚のようにとてもヒレの長いコイが優美に泳ぐ姿を見ることができますので、何かの折に知事公館を訪れることがあれば、是非このヒレナガニシキゴイを御鑑賞いただきたいと思います。