DOCOMOMO Japanによる「日本におけるモダン・ムーブメント建築216選」に、埼玉会館が選定されました。

「DOCOMOMO」は、近代建築の推進に寄与した建築物の記録と保存を目的とする国際学術組織です。その日本支部である「DOCOMOMO Japan」は、日本建築の近代化に関して重要な文化的資産と考えるものを選定し、保存と記録をする活動を進めています。

1999年に最初の20件が選定されて以来、2016年までに208件の建築物が選ばれていますが、今回新たに埼玉会館を含む8件が選定されました。

埼玉会館は、モダニズム建築の巨匠、ル・コルビュジエに学び日本の近代建築に大きな足跡を残した前川 國男(まえかわ くにお)氏が設計を手掛けた建物で、昭和41年4月に竣工しました。
建物の約6割を地下に配置し開放的な空間構成としていることや、建物の外壁に前川建築の特徴である打ち込みタイル工法を採用していることが大きな特徴です。
また、大ホールは「音響家が選ぶ優良ホール100選」に選ばれるなど音質にも定評があります。

これまでに、前川氏が手掛けた京都会館(現:ロームシアター京都)や東京文化会館などのほか、国立代々木競技場(設計:丹下 健三(たんげ けんぞう)氏)、代官山ヒルサイドテラス(設計:槇 文彦(まき ふみひこ)氏)など著名な建築物が選定されています。

埼玉県内では、秩父セメント第2工場(現:秩父太平洋セメント秩父工場)、所沢聖地霊園礼拝堂・納骨堂、武蔵嵐山カントリークラブ(現:嵐山カントリークラブ)に次いで4例目となります。

選定に当たって、改修工事により外観は竣工当初の姿になるとともに、施設内は省エネ化や舞台設備の更新などが行われ、これからも使い続けていく模範的な公共施設ということ、また前川氏の公共施設の代表作であることが評価されたようです。

施設の設置者として大変うれしく感じるとともに、これからも重要な文化的資産として末永く活用していきたいと思います。

※DOCOMOMOとは
The Documentation and Conservation of buildings, sites and neighborhoods of the Modern Movementの略