平成28年7月5日(火曜日)

アクティブシニアの活躍推進について
国勢調査速報の結果について
バングラデシュ・ダッカにおける襲撃事件について
東京都知事選の立候補者について(1)
埼玉高速鉄道株式会社の決算について
東京都知事選の立候補者について(2)
参議院議員選の応援等について
知事発表
アクティブシニアの活躍推進について

アクティブシニアの活躍推進について(PDF:608KB)

知事

今日は、アクティブシニアの活躍推進についての中間報告をさせていただきます。俗に言う日本の社会は、多くの若い人達で1人のお年寄りを支えるという、そういうパターンについて、胴上げ型、10人とか12人とかで1人を支えている時代がありました。例えば1965年については13.1人で1人を支えると。それが2010年になりますと3.2人に1人、いわゆる騎馬戦型という言い方をしております。それが2025年になりますと2.1人に1人、つまり2人で1人。そして、2040年のピークには1.6人に1人、いわゆる肩車型社会だと。このときの顔写真が、よくマンガなんかに出てきますと、両方とも涙顔になっています。こちら(胴上げ型)のほうはみんな明るいんですが、こちら(肩車型)だと涙顔になっている。しかし本当にそうなんだろうかと私たちは考えなくてはならないと思っております。また、本当にそうあってはならないと思っております。実はシニアの概念も全然異なってきたのではないかと思っております。現在の80歳や90歳の方々はその年齢まで生きると想定しておられなかった方々が多いと思います。したがいまして、それに合わせるかたちで健康を維持すること、あるいはまた、認知症に準じるかたちへの準備、予防法も考えてこなかった。しかし、現在の60歳や70歳の方々は多分90歳まで生きるのではないかということを意識されておられて、したがって、それに耐えられる体を鍛えておこうという準備がなされておられますし、また認知症予防についても深い認識をされている方々も多いと思います。事実民間のトレーニングジム、あるいはスポーツジム、プールなどで、年代別で一番参加されているのは70代(後に「60代」に訂正)だということが明らかになっております。そういう意味で、60代の方々は90歳になることを前提に鍛えておられる、シニアの概念が異なってきているということに関心をもっていました。シニアの就労や社会活動についてどのような認識をもっているかということについて、埼玉県の世論調査(後に「内閣府調査」に訂正)でいきますと、シニアの方々の72%は仕事をしたいという希望をもっております。そして社会活動もしたいという方々は、少なくとも社会参加の経験のある、ないで言いますと、ある方々が45%、ない方々が55%。しかもこのない方々に関しては、きっかけがないという方々が23.2%でありますので、やはりきっかけさえあれば、この社会活動も80%弱(後に削除)参加される可能性がありうるということが世論調査などでわかっております。したがいまして新しいシニア像を埼玉県といたしましては、支えられる人ではなくて、元気ですから、場合によっては社会を担う人でもあるという、こういう理念に変えていただこうという考え方を持っております。その理念は2つあります。就労につなげていって、企業での働く場を拡大していただこう。定年制を止めるとか、定年の後の継続雇用を進めていくとか、そして、就労の中でもシニアへの就労支援を行っていく、第2ステージを考えていくというような考え方にしていく。また、社会活動につなげる場合、地域デビューを支援しようと先ほども申し上げました。きっかけをつかんでいない、都内でずっと働いていた、地域活動をしていなかった、隣近所に友達がいない、したがって、情報不足。そういう人達の地域デビューを支援しようじゃないかということであります。また、もともと様々な社会的経験や見識や様々な活動体験を持っている方々については、例えば商社で、外国で暮らして語学が強いと。そういう人達は語学の専門家として、ボランティアの活動に参加していただく。そういう仕組みを作っていくことによって、より社会参加が増えていくのではないかということで、今年度から本格的にそうした仕掛けを用意させていただきました。

具体的に、企業で働く場の拡大でありますが、企業訪問によってとにかく、仕事場を増やしていただこうと考えております。要するに働きやすい場を創っていきましょうと。県内の中小企業を中心に100社(後に「1000社」に訂正)を訪問しながら、ヒアリングを行ってシニアの活躍の場をどんどん開拓していこう。そして、シニアの活躍に取り組む企業を発見しながら、県が認定して、シニア活躍推進宣言企業として内外に情報を発信していただく。「なるほどそういう方法があったのか」ということで県のホームページなどを通じて発表して、評価をして、こういう企業をどんどん増やしていく仕組みにさせていただきます。ウーマノミクスプロジェクトの多様な働き方実践企業と同じようなやり方であります。女性の働き方を変えた企業をどんどん評価して、そして、それを真似ていただく、それと同じようなことをやってまいります。そして、シニア向けの仕事のモデルづくりを行ってまいります。企業にコンサルタントを派遣して、シニア向けの仕事を創出、あるいはこういうモデルがありますよということで、県内企業に提案をして、シニアのスキルを生かせるような事務を行ったり、場合によっては、今お話にも出ておりますが、スーパーなどで、夜の店長などというお話もございます。店長や副店長が長い時間頑張っておられる。これをカバーするために夜だけ管理職の経験のある方が店長を行うだとか、そういう新しい仕事のあり方などが今提案されているところでございますし、勃々とそういう話が出てきているところですが、企業にコンサルタントを派遣して、そうしたものを提案し開拓していく。徹底して企業で働く場を拡大してというかたちをとっていきたいと思っております。

そして、ハローワークもございますが、やはり、シニア世代の方々に改めて、退職後の仕事の提案、セカンドキャリアを作ったらいかがですかということで、働くことをもう1回考えてみるというそういう提案のセミナーなどをどんどん展開したいと思っております。28年度に275回、7,700人程度を予定しております。そして、就職相談、キャリアカウンセラーによる面談・相談などを行ってまいります。そして、職業を紹介していく。さいたま市内にあるハローワーク浦和・就業支援サテライト内に設置をして、こちらが窓口になってセカンドキャリアの提案をしっかりと行ってまいります。セカンドキャリアセンターを常設の部分、そして、さいたま市以外の7市がそれぞれ「私のところでもやりたい」ということで場所を提供していただき、そこに県の関係スタッフが行って、セカンドキャリアセンターをそれぞれのところに臨時的に作って、地域の掘り起しを行っていく、これを今年度展開してまいります。

先ほども申し上げましたやる気があるのだけどきっかけがないという相談です。これも実質のところ市町村にやっていただかなければならない話であります。地域にどんな奉仕活動があるか、どんな社会活動があるか、そんなことを市町村が持っておりますので、今年度市町村の中から6市町村を選びまして、提案をいただいて、1市町村あたり300万のいわば奨励金、補助金を出させていただいて、それぞれの市町村のアイデアと実行力で地域デビューを何人させられるかなどを競っていただく。そして、そうした知恵の蓄積をこの6市町村からいただいて、来年度にその知恵を県下残りの市町村にこういう方法で地域デビューなんかをさせたらいかがだろうかという御提案をさせていく。一遍にはできないかもしれませんが、この6市町村に続く、手挙げ方式で、「うちもやります」というかたちで、どんどん展開していただいて、やる気はあるけどきっかけがないというアクティブシニアの地域デビューを行っていただく、仕掛けを今年度させていただいております。実質的に始まるのは10月からだと理解しております。県と市町村とやり取りもしなければなりませんし、補助金を出していきますので議会の承認等々も必要になってきますので、10月くらいから実質的なスタートということになります。

それから多様なボランティア活動を支援してまいりましょうという話でございます。分野別のボランティアで活躍されている方にそれぞれの経験とかスキルを、それぞれ分野別に登録をしていただく。そしてその登録にしたがってニーズのあるところに派遣をしていてそこで活躍していただく。海外に駐在された商社の方が、あえて海外企業と展開をしようという中小企業(後に「NGOなど」に訂正)のアドバイザーになっていただく。あるいは教職員として非常に頑張った方が、地域の補習塾をやっている市町村(後に削除)などの講師として、手伝いにいくとか、あるいは元々公認会計士やあるいは企業などで法務畑、経理畑をやっていた方などがそうした事務の能力を買っていただいて、NPO団体としての活動は熱心だけどもどうも書面がうまくできないとかいうところもございますので、そういう書面作りのアドバイザーに活躍していくとか、様々な能力を持った方を一旦ボランティアバンクの中に登録をしていただいて派遣していく、こうしたことをやっていきたいと思います。そして、地域デビューと少し重なる部分もありますが、ボランティアとしての第一歩をどんどん進めていただきたい。「とにかくボランティアをしたいんだけど、自分のイメージとしては、こういうことをしたいんだけどあるかな。具体的にどうだろう。」とそういう方々を受け止めるためのボランティア講座を展開して、県内各地区でボランティア講座を開催して、総勢で1000人くらいの受講者を考えております。そして、そうした講座を受けた方々と活動団体とのマッチングをしっかりトータルでサポートさせていただきます。7・8・9月と関係市町村を巻き込みながらボランティア活動に邁進する人たちを増やしていきたいと考えております。

時事

今いろいろな取組の計画を伺いましたが、これによって例えばシニアの就業者数をどれぐらい伸ばしたいとか、あるいはボランティアの登録者数をどれぐらいを目指したいとかそういった数値で表せるような目標はありますか。

知事

はい。これは先ほど申しあげましたように、市町村で展開していただく部分に関して、目標値などを出していただいて、それはどのくらい達成できるかなどを確認していこうという考え方を持っております。いくつか数値も申し上げました。(パネル(1)企業での「働く場」の拡大を指差しながら)例えばこういうふうに、企業訪問を1,000社訪問しながら確実にまさしくシニアの活動できるような舞台をどんどん増やしていくというかたちで、その時にこちらの方でどのくらいやってくれというようなかたちではなかなか言えないもんで、聞き込みをしながら、どのくらいのカバーができるのかということが徐々にわかってきますので、こうしたことを確認しながら、場合によっては推計値などを出していくことは可能だと思っています。(パネル(2)シニアへの就業支援を指差しながら)例えばここで就職支援セミナーなどを7,700人から予定しておりますので、これは具体的にセカンドキャリアセンターを通じてどのくらい就職できるのか、新しいセカンドキャリアが生まれるのか、というのをやってみなきゃ少しわからない部分があります。現在のところ何人ということはやっておりませんが、基本的にはこうした部分が出てきますので、ここの部分だけはある程度の確保をしておりますので、ここからどのくらいの歩留まりかということについて、やる中である程度発揮していきますので、途中からは少し推計値は出せるかもしれません。今の時点ではそういう旨の推計値は用意しておりません。

幹事社質問
国勢調査速報の結果について

時事

総務省が先週2015年の国勢調査の抽出速報の結果を発表しました。今の知事発表にも関連しますが、高齢化が一層進んでいる実態が明らかになっています。また中身を見ると一人暮らしの高齢者が増えていることですとか、労働力人口が減っているといった課題も出てきています。これを県としてどのように受け止めて、どのような課題を認識して取り組んでいきたいと考えていらっしゃるか改めてお聞かせください。

知事

知事に就任してからなんだかんだ多分400回近く講演を行っておりますが、特に3年ぐらい経った段階から日本の人口動態を一つのグラフにしながら全体を見る話をさせていただきました。その中身は2003年からの人口減少が話題になったところですが、一番のポイントは1995年だというふうに申し上げてまいりました。これはいわゆる生産年齢人口、15歳から64歳までのいわゆる働き手の数が8,700万でここがピークです。それから20年たった現在2015年、これが7,700万人、1,000万いわゆる働き手の層が減っているんですね。これはもう人口動態表を見れば10年前に分かる話でありますので、私はそのころから例えば女性のチャレンジ支援、そしてその延長線上のウーマノミクスプロジェクト、つまり15歳から64歳までの生産年齢人口が減少する、そういう時に日本の国力が減退することは明らかでありますので、持続的な成長、大きく成長する必要はありませんが、大きくへこまない、現状を維持することを可能にするには、女性の社会参加と高齢者の元気、この二つがキーワードになるということで、女性のチャレンジ支援、そしてそれに続くウーマノミクスプロジェクトと、これは埼玉県が特別にまた30代40代の層が社会参加、つまり労働参加率(後に「労働力率」に訂正)が低いという状況がございました。しかし、直近の統計を見ますと、ほぼこれが解消される傾向になってきたことが分かりました。特に埼玉県では女性の労働力率が高くなったということが、統計上も明らかになってきております。ウーマノミクスプロジェクトなどもひとつの成果だと思っております。

もう一つ、高齢者の元気であります。高齢者の元気というのは別の言葉で言えば、就労したり社会活動したりといったシニアのアクティブな活動を社会が受け入れていく、社会がそういう条件を整えていくという、そういうことでありますし、そのことが逆に医療費などを中心とする介護、社会保障関係の費用負担を大きく減らすことに繋がると。これは埼玉県下でも、高齢化率の最も高い秩父郡市などが最も(後期高齢者1人あたりの)医療費が少ないという現象が起きております。とりわけ小鹿野町などは小鹿野町立病院を中心とした予防医学と健康運動などを通じて、しっかりとこうしたシニアのカバーをされていること、そしてまた6人に1人が地芝居に参加していると言われるぐらい活発なボランティアや社会活動が行われる土地柄になっていることなどが大きな要因ではないかと言われているところですが、同じようなことを埼玉全県下で展開できれば、私はそのことが可能になるんではないかというふうに思っております。最初に話したとおり、現在の80歳90歳の方々は、80歳90歳まで生きることを想定して準備をされてきたわけではなくて、したがって体に様々な欠陥があったり、場合によって認知症などのことでお悩みになられる方もおられる。しかし、現在の60代70代の方々は90まで生きるのではなかろうかという何となく予感を感じて、ならば寝たきりにならないようにというそういう思いで、日頃から体の鍛錬などをやっておられると。まさにそうしたニーズがあるところに私たちはそのニーズを受け止める仕掛けをするということで、このアクティブシニアプロジェクトもございますし、健康長寿プロジェクトもありますし、あるいは万全の体制としての地域包括ケアシステムの構築などもありますし、私は決して高齢化を恐れてはいません。むしろ恐れなくてはいけないのが、7人に1人と言われるような、一人世帯などで暮らす方々の寂しさ、そうしたものをいかに引っ張り出して寂しくないような元気な生活を行われるか、このことが重要でないかと思っておりますので、これは市町村の取組によるところも大きいのですが、県とすれば市町村と一緒になってこうした取組をすることで、いわゆる2015年以降の調査で高齢化の実態や一人暮らしの高齢者の増加、労働人口減少などの課題に果敢に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

その他の質問
バングラデシュ・ダッカにおける襲撃事件について

NHK

バングラデシュのダッカで起きたテロ事件で埼玉県出身の下平さんが犠牲になられました。知事の受け止めとコメントをお願いします。

知事

最も世界で貢献されて頑張っておられる方が、しかも有能でかつ立派な方が犠牲になられるというこの不条理、大変残念でなりません。思うだけで涙が出るような思いです。本当に残念という以外ありません。テロをする方々にも理屈があるのかもしれませんが、しかしどんな理屈があろうと、無差別の殺人は絶対許されるべきではない。とりわけ非戦闘員を虐殺するようなことは絶対許してはならない、こんなふうに思います。

東京都知事選の立候補者について(1)

朝日

今度の東京都知事選に小池百合子さんが出馬されるということは発表しているんですれども、それに加えて元岩手県知事の増田さんも出馬が取りざたされているんですが、知事の受け止めを教えてください。

知事

なかなか難しいですね。まだ正式には増田さんは表明されておりませんし。それから流動的ですよね。今の地点ではコメントのしようがないですね。言えることはいかに早く都民の信頼を回復するかということと、東京都政並びに東京オリンピック・パラリンピックという日本の課題、両方を担わなくてはならないという大変重い責任がありますので、そういう重い責任を担うことができる方を都民がどう選ばれるかという話になってきますので、それぞれ良いとこ悪いとこがあると思いますので、ちょっとコメントがしづらいですね。

埼玉高速鉄道株式会社の決算について

埼玉

埼玉高速鉄道のことなんですけれども、今年の3月期決算で2001年の開業以来、初めて黒字になりましたけれども、知事の受け止めを教えてください。

知事

はい。ちょうど15年に私は知事に就任したわけでございますが、この埼玉高速鉄道は13年に開業しましたが、1,000億(後に「600億」に訂正)の資本に1,500億の有利子負債を抱えてのスタートで、ちょうど1,532億になっておりました。根雪が膨らんでおりました。そこからのスタートで、民間人の社長をスカウトして、経営改革に頑張っていただいて、18年の3年で償却前黒字、そして21年の段階で補助金なしでの償却前黒字達成が可能になりましたが、1,200億台の有利子負債を抱えて、極端なことをいえば、儲けた分の2倍くらいの金利を払わなくてはいけないという、そういう構造がずっと続いておりましたので、半永久的に最終損益は黒字(後に「赤字」に訂正)だというかたちになってしまいますので、これではなかなか企業的価値が上がらないということで、ちょうど当時いわゆるADR、私的整理法のあり方の仕組みが、活用できるということが分かりましたので、有利子負債などを半減させたり、あるいはまた企業の減損をやったりして、身を軽くして、そういう大改革を26年度にやったわけでありますが、早速その効果が出て、この時点で有利子負債が前の年まで1,161億からあったわけですが、584億で約半分くらいになったと、有利子負債が。したがって、金利負担も半分以下になるという、そういう状況も出てまいりました。毎年の金利負担なども。そんなことから今回、大幅な黒字が達成できた。当初見込みよりも大幅な黒字達成ができたのは、いくつかちょっとラッキーな部分もあります。国立競技場が解体、使用されないということもあり、その分が埼スタに回ってくる、サッカーの試合が。また、沿線のまちづくりも進んできましたので、定期客を中心とした乗降客が増えて、ついに10万人突破ということで、初めてそういうことができて。そういうものが相重なって今回、最終的に15億1,600万の黒字になったということで。今後この基調は、基本的には続くものだと思っております。ただ、残念ながら有利子負債有り、そしてこれまでは新しい車両、新しい様々な施設でございましたので、そうした補修費関係などは、ほとんど使わないで済んでいたわけでありますが、これからは老朽化もしてまいりますので、そういう意味での、補修のための費用であるとか、場合によっては車両の転換とか、その他の設備更新とかがいきますので、決してまだまだ油断できる状況ではない、こんなふうに思っております。

東京都知事選の立候補者について(2)

埼玉

先ほどの東京都知事選の関係なんですけれども、お二人続けて任期途中で辞任をされているという状況を踏まえまして、いろいろ候補者を擁立する側としては実務型の方ですとか、東京という首都ということでかなり著名な方がというような、いろいろな声があるようですけれども、知事としてはどんな人物といいましょうか、ふさわしいというようなお考えがありますでしょうか。

知事

やはり政治的に東京をどうするのかという、良くも悪くも一国の首都でありますから、首都としての東京の位置づけをどうするかということを、やはりきちっと意味づけなければならないと思います。今回は特に、4年後に東京オリンピック・パラリンピックの開催都市であるということもございますので、国との調整、開催県との調整、また民間もやっておりますので。例えば、埼玉における霞ヶ関カンツリー倶楽部などは民間でございますので、こうした民間の企業との調整だとか、そういう調整がたくさんありますので、ただ東京オンリーで突っ走るのではなくて、やはり関係の自治体の長や、あるいは文科省をはじめとする政府、オリンピック組織委員会等々の調整など、やはり幅広な人間関係や調整能力も必要でありますので、そうしたことが要求されると。本当はかなり実力のある政治家などが望ましいというふうなことになってしまうのでしょうけれども、ただ何かそういう政治家が、何かいろいろと難しい問題を抱えているのではないかということで、もうこの際そういうことを抜きにして実務家の方がよいのではないかと。その方が、問題が少ないのではないかと、そういう話題が出てきていることは事実だと思います。どちらがいいかというのは、やはり最終的には都民が判断することだと思います。

埼玉

都知事選に関連しまして、まだ正式発表ではないんですけれども、元労働大臣の山口敏夫さんが、どうも検討といいましょうか、出馬をするというような報道が今流れているんですけれども、元新自由クラブの幹事長でもありますし、埼玉でずっと当選を重ねてきた方ですけれども、このことについては、何か知事の御所見はありますでしょうか。

知事

うーん。何かね、最近よく森組織委員会会長や竹田JOCの会長など、あるいは舛添さんも含めて、批判をされておられる文書などを発行されておられますので、その延長線上なのかどうか分かりませんが、今申し上げたように多岐にわたっておりますので、一つの争点だけではなかなかダメなのかなと。例えば、「クリーンな政治をします」と言ったら、普通、何か少しむにゃむにゃむにゃとしたような事件の後は、そういうスローガンだけで何か選挙が戦えそうですけれども、東京都知事の場合は、それだけで済まないような感じがしますよね。だから、どんなかたちで構想を巡らされるのか分かりませんので、今の段階ではコメントのしようがないと思います。

参議院議員選の応援等について

共同

参院選に関連してお伺いしたいんですけれども、昨日は北朝霞の方で埼玉の大野候補、週末は東北の方に行かれていたと思うんですけれども、知事としてはどういう基準と言いますか、どういう方に対して応援に行かれているのかということと、関連して、埼玉で埼玉選挙区からこれから受かる方にはどういうことを知事として期待しているのかということをお伺いします。

知事

私は15年の夏の選挙で、当時の民主党を離党して無所属になりましたので、党派性は問われておりませんので、それ以降は党派性関係なく、自分が是非国政で頑張っていただきたいと思う方々を応援させていただいています。共産党は全くない、社民党もない状態ですが、それ以外はほとんどの党の皆さんたちで、友情関係あり、また私なりにこの方は是非当選させるべきだと思う方を中心に、それ以降衆参いずれの選挙も応援させていただいたりしております。ただ、期間中は、小選挙区は1人区でございますので、衆議院選は県内では不介入の状態であります。参議院選挙は3人まで当選ができますので、基本的には3人候補者の応援ができるという意味での3人に対しては等距離、自分の立場は変わっておりません。ただ、残念ながら要請がない、要請のあるところに自分の時間との調整の中で、判断で応援に行っている、そういう状態です。

(終)

平成28年6月28日(火曜日)

健康長寿埼玉モデルの推進について
「彩の国2020ドリームアスリート」を決定
ムサシトミヨの保護や繁殖について
さいたま水族館等の管理体制について
県営プールの監視体制について
参議院議員選挙の応援について
リオデジャネイロオリンピックに出場する埼玉県選手について
知事発表
健康長寿埼玉モデルの推進について

健康長寿埼玉モデルの推進について(PDF:951KB)

知事

こんにちは。本日は埼玉県が進めます健康長寿埼玉モデルの全県展開の状況について、県民の皆様に御報告をしたいと思います。埼玉県は現在、全国で最も若い県の一つでありますけれども、高齢化に進むそのスピードは全国一速いと言われております。そういう意味で高齢化社会になったときに、いかに健康寿命を延伸し医療費の抑制につなげるかということが、重要なファクターだと思っております。約15年前(後に「2010年」に訂正)には59万の、いわゆる75歳以上の人口であったわけですが、それが2025年には、118万人、約倍になってしまうという状況であります。医療費の推計についても1.5倍くらいになる可能性が高いと言われております。そうした背景のもとに、健康長寿埼玉プロジェクトを平成24年度からやっておりました。埼玉県のいくつかの市において、例えば毎日歩くことでどの程度健康になり、また医療費が削減できるのか。あるいはまた、筋肉トレーニングでどの程度元気になり、また医療費が削減できるのかなどを、3年間かけて丁寧に検証した結果、1万歩運動では約24,000円、それから筋肉(トレーニング)では約79,000円からの医療費の抑制につながることが分かりまして、これを全県的に展開する運動のモデルの市町村を作ろう(後に「モデルにして市町村に広めていこう」に訂正)ということで、昨年度からとことんモデルで2市町、志木市と三芳町に1,000人単位で運動を展開していただこうと、やっておるところでもございます。そして同時に、通常100人以上の健康増進運動をやっているところにもお願いをしているところでございますが、今回改めて(後に「平成27年度は」に訂正)、とことんモデルに2市町、埼玉モデルが18市町、合わせて20の市町で展開することになりました。例えば、昨年志木市が行っております健康寿命のプロジェクトの部分でありますけれども、歩数を6,000歩から2,000歩伸ばして8,000歩にする中で、どのような状況が起こったかということについての検証結果が出ております。いわゆる腹囲、おなかの周りですけれども、2センチ減少しています。平均値で94.3から92.3と。メタボの改善につながっていますと。それから、目を開けて片足立ちで8.3秒向上させると、45秒から54秒まで。ロコモティブシンドローム、要は体の(筋力や)柔軟性が弱くなってきますと転倒リスクが増えるということで、その転倒リスクをいかに減らすかということで、この15秒以下の方々は、いわゆるロコモの疑いがあると言われているところですが、こうしたことをやることによって、いわゆる悪玉コレステロールをどんどん減らしていくという、動脈硬化リスクを減らしてきているところでもあります。こうしたところを、志木市は1,000人単位の規模で実験をやることによって、1人当たり約30,016円の年間の医療費の削減効果があったということを出してきておられます。このデータ分析に関しては、東京医療保健大学の山下和彦教授が、データと指導をなさっているところでもございます。この結果については、本年の10月に日本公衆衛生学会で発表される予定です。御案内のとおり、とことんモデルが新たに5市町になりました。昨年の三芳町、志木市に加えて、毎日1万歩運動が三芳町、鴻巣市、北本市、筋力アップトレーニングが志木市、ふじみ野市というかたちで、とことんモデルの市町が5か所になり、埼玉モデルの部分が新たに加わりまして23市町村に増えて、20から28に結果的に増加しております。18の埼玉モデルの市町が23に増えて、合わせて28の市町村でこの健康モデルが参加していただけるかたちになっております。全体の参加者の数ですが、4,700人から約15,000人になりましたので、3倍の数になったということでございます。もとより、100人のクラスから1,000人のクラス、その1,000人クラスをどんどんまた展開していただくことで、埼玉県中の健康長寿埼玉プロジェクトに参加する人たちをどんどん増やしていこうということでございます。準備ができ次第、各市町村には参加していただこうと思っております。また、健康長寿埼玉プロジェクトの今後の展開でございますが、基本的にはとことんモデルと埼玉モデルを併用しながらやっておりますが、より効果的に実証されたモデルを集中的に行っていこうということで、現在28年度でありますが、これをどんどん増やして、最終的により多くの方々に参加していただこうと考えております。ただし、やはり多くの方々に参加していただくには、いわゆる見える化と一種の御褒美というのでしょうか、そういうものが必要だと言われております。志木市でも現在、何らかのかたちでポイント制度が導入されているところですが、埼玉県全体にポイント制度を導入しようと考えております。健康マイレージ事業を実施しようと。現在、そのシステムづくりを行っているところですが、健康無関心層の取り込みなどによって、多くの県民参加を図るには、具体的にウォーキングをしたらウォーキングをしたで、どの程度今進んでいるのかということを、自分からチェックができると。どこに行ってもチェックができると。そして、そのチェックした時にどういう御褒美があるのかということなども、やはり確認することによって自分自身を鼓舞する、あるいは激励するというかたちでやっていけば、多くの参加者が可能ではないかと考えております。そういう意味で、現在システムを構築しているところですが、これを稼働させながら参加市町村を中心に多くの方々に参加していただきたいと考えているところです。もう一つは、物事にはリーダーが必要でございます。いろいろなグループの中に、健康長寿サポーターのメンバーがグループの中に1人でも2人でもいると、そうした方々の一種の緩やかなリーダーシップで、グループがより活性化されると考えております。現在、この健康長寿サポーターの数が46,394人登録されております。これは本年3月末の登録でございますけれども、これを32年度までに75,000人の登録をしたいと思っております。要するに県民の100人のうち1人は、健康長寿を支えるいわばリーダー、サポーターとして基本的な認識と自覚を持っていただき、そしてグループの中に入っていただいて、それぞれ何らかのかたちで指導していただく、そういうメンバーを増やすことによって、確実に地域からの裾野を拡大したかたちでの運動展開が可能になるだろうということで、着実にこの46,394人を年度年度の計画の中で、最終的に32年度までに75,000人にしていこうと考えております。こうしたことを繰り返しながら、最終的に健康寿命の延伸と医療費の抑制につなげていきたいと考えているところでございます。

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「彩の国2020ドリームアスリート」を決定

「彩の国2020ドリームアスリート」を決定について(PDF:541KB)

知事

これが第1点の報告でございますが、今日はもう1つの報告がございます。彩の国2020ドリームアスリートの決定が終わりました。東京オリンピックへの出場、活躍が期待できる選手を52名、22の競技で指定をしまして、そしてその方々に様々な特典を与えながら同時に、競技の中で活躍をしていただくための支援をする。そういうまさに夢を実現するアスリートを育てようという仕組みを、埼玉県は用意をさせていただきました。中学生男女合わせて7名、高校生が25名、大学生・社会人が20名、合計で52名でございます。そして、追加競技が8月のIOC総会での決定がありますので、その後決まった段階で更に加えていく場合がありうるということも合わせて考えたいと思っております。目標としては、2020年の東京オリンピックで埼玉県から100名、出場させていただきたいと思っております。2012年のロンドンでは、埼玉県から40名でございました。日本代表293名の中の14%でありましたが、リオを経て2020年の中では約20%、東京オリンピックで500名の選手の中の100名を埼玉勢で確保していこうと、こういう考え方を持っております。具体的にどんな形でサポートするのかというと、特別強化費の助成をいたします。経済的にバックアップしましょうと。一人最大年間40万円の助成額を出しますと。具体的には、海外や国内の遠征費に使ってください。あるいは合宿費に使ってください。また、個人的なコーチやトレーナーに係る費用の応援をさせていただきますと。そしてもう一つは、スポーツ科学による支援を行いますと。身体能力の測定や分析については、強化選手の中には恵まれた方々もおられますが、そうでない方々もおられますので、早稲田大学スポーツ科学部で、MRIなど専門的な器具を使用しながら、具体的にどのレベルで今進んでいるかとか、どのくらいまで筋肉が強化されたかとか、様々な身体能力についての測定、分析、そしてその伸び具合などを専門スタッフによる指導をさせていただきます。埼玉県体育協会に配置しながら、フィジカルトレーナーや管理栄養士やメンタルトレーナーなども用意をして、様々な支援をさせていただく用意をしているところでもございます。こうした用意をすることで、まさに強力なアスリートがさらに強力になっていただくように、頑張っていただきたいと考えております。具体的に、現在リオのオリンピックに出場する埼玉の選手が12競技の41名決定をしているところでございます。主なところでは瀬戸大也選手、競泳でございます。ご存じ、毛呂山出身。そしてバドミントンの奥原希望選手。そして、体操の加藤凌平選手などが決まっているところでございます。また、パラリンピックでも6競技10名が決まっているところでもございます。こうした方々も含めて東京オリンピックで頑張っていただく若いアスリートの皆さん達にもしっかり支援をして東京オリンピックでは大活躍をしていただき、埼玉勢の名を挙げていただきたいと考えているところでございます。以上2つ御報告をさせていただきました。

埼玉

健康長寿埼玉プロジェクトのほうで、とことんモデル、埼玉モデルということで展開されているわけなんですけど、知事としてはその途中経過については、そのモデルの取組の成果などはどのように県民に知って頂きたいという考えがありますか。そこをちょっとお尋ねしたいんですけど。

知事

やはり100人レベルと1000人レベルではその検証の精度の差が出てくると思っております。100人レベルだともともとレベルの高い人が参加していて、更に良くなるということですが、1000人単位になってくると少しばらつきが出てきますので、そういうばらつきの平均値がどう変わるかということに関してはまさに埼玉県民の平均値が出てくるので、とことんモデルの検証値を有効に使って、それを63市町村にしっかりと認識していただいて、大勢の参加をお願いしたいと思っております。100人レベルのモデル参加のほうは、まずはやっていこう、取り組もうというところのスタートで、最終的には1000人以上の部分に取り組んでいただくことによって、全市、全町的な運動になっていくだろうと考えておりますので、そういう展開を望んでおります。

埼玉

ドリームアスリートのほうで1点お尋ねしたいんですけど、これだけの素晴らしいアスリートがいるということで、県民の方にも知っていただく、あるいは全県的に応援していただくような何か取組も必要な気がするんですけど、知事としては発信の仕方について何かお考えがありますか。

知事

はい、これまではそれぞれの協会、例えば陸上協会、あるいは水泳協会だとか、それぞれの所属する協会が強化選手の支援をしていたということでありました。今回は、埼玉県全体で、スポーツ局も誕生し、スポーツ振興全体として応援するという体制をとらせていただきました。まずは合宿費や遠征費でお金が無いからちょっと遠慮しようという部分で、その遠慮が無くなった。後の協会等々でも募金をしながら支援をしていただいているのですが、(後に削除)県の予算のなかで、1人あたり40万出させていただきますというかたちで、県全体で応援するという仕組みが作られたということと、それから科学的な分析・測定などもなさっておられるところもあったのですが、望めば、まあ望まなくても利用していただきたいのですけど、出来るだけスポーツ能力、身体能力、そうしたものを科学的に分析して、特に東京オリンピックまではまだ時間がありますので、今の時点でどうなのか、1年後にどうなるのか、2年後にどうなるのか、3年後にどうなるのか。あと体のバイオリズムなんかもどこでピークがくるかどうかもそれぞれの個性があるはずですので、そういうものが全部調べることが可能だと。ここまではなかなかやっておられなかったことですから、(後に削除)こうしたことを丁寧にやることによって、潜在的な能力を全て発揮していただく。そうすることで、より大きな力を付けていただいて、記録を伸ばしていただく。結果的に金メダルを始め、入賞されていくということになってくると、結果としてそのことが、スポーツ王国埼玉の名を挙げ、そして青少年に夢を与え、更にまたスポーツ振興の礎にもなっていくという、こういういい循環を作っていくために、このまさしくドリームアスリートというものを指定させていただいて応援をする、このこと自体がまさに発信に繋がるのかなと思っております。もとよりスター的な色彩の強い、先ほども御紹介した方々なども、まさにスター性の高い方達なので、こうした方々が活躍すればするほど埼玉県勢の強さだとかそういうものが表に出て、結果として埼玉県の一種の誇りになっていく、あるいは埼玉のブランド力が高くなってくる、そうしたことを期待しているところでございます。

毎日

健康長寿埼玉モデルで、志木市の例などが挙がっているかと思うんですけど、ここで1年間で3万円ほどの抑制効果があることが分かったということなんですけど、全体の目標として、県全体として・・・。

知事

イメージはあります。例えば現在63市町村の国民健康保険のいわゆる赤字分、一般会計から繰り入れをして帳尻を合わせている分が、合計300億をちょっと超えております。この部分を健康長寿埼玉プロジェクトで解消できないかと。この部分が解消できれば、まさに保険財政が安定する。わざわざ一般会計から繰り入れしなくてもいい。県に移管もされますので、県としても各市町村で行っている様々な取組みのなかで、結果としてそれぞれの市町村で、いわゆる赤字の部分がほとんど解消される状態になることが、結果としてその300億円をまたほかのところで使えるというのでしょうか。これはマイナスのところで使うのとプラスのところで使うというのは全然違ってきますので。こういうイメージがあります。例えば、40歳以上の人が10人に1人、毎日1万歩運動をやっていただくことができれば、それだけで100億円の医療費の抑制が可能だということが計算上できております。したがって40歳以上の人が10人に3人、毎日1万歩運動をやっていただければ、300億円の医療費の抑制効果が起こりうる。これは計算上です。実際にどこまでなるかというのは別問題ですけど、いずれにしてもざくっとした医療費の抑制ということで言えばそういう目標はあります。国保の赤字を解消しましょうと。

毎日

大きなところでいうと国保分の300億の赤字の解消、これを目標にやっていくということでしょうか。

知事

そうですね。当面それが一つの目標です。それ以上に大きいのはお金だけではなくて、いわゆる長生きすることも大体分かってきているんですね、いろいろなかたちで。ただ、長生きすればいいというわけではなくて、いかに健康寿命を長くすることができるか。いわゆる寝たきりにならないとかです。あるいは認知症にならないとか、この部分が一番重要ですので、この部分と結果的には、こういう風に努力をしているとその部分は後から医療費の部分で付いてきますので、医療費が目的ではないです。いわゆる健康寿命が延伸されることが目的です。でも結果的にはその部分は付いてくる。

共同

ドリームアスリートの件ですけど、基本的なところで埼玉県選手というのは、埼玉県出身であるか所属している所属先が埼玉県内にあるとか、そういうことになるのでしょうか。

知事

正確な定義を私も承知しておりませんが、基本的には埼玉県に何らかのかたちに所属しているということですよね。

スポーツ振興課長

本県の登録選手である方、それから県内の学校を卒業された方、この2種類の方を埼玉県の選手としてカウントさせていただいております。

知事

学校卒業していなくても、在学中の方も含める・・・。

スポーツ振興課長

はい。

知事

他県の方でも・・・。

スポーツ振興課長

はい、他県の方でも埼玉県に移って登録選手になった場合は、本県選手としてカウントさせていただいております。

知事

まあ、大体私の概念と同じでした。

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ムサシトミヨの保護や繁殖について

さいたま水族館等の管理体制について

県営プールの監視体制について

埼玉

大きく2点ありまして、まず1点目が6月12日にさいたま水族館で火災が発生しまして、天然記念物の魚など26種、1600匹が亡くなりました。特に世界でも埼玉県の熊谷市にしか生息していない絶滅危惧種のムサシトミヨが大量に亡くなりました。ムサシトミヨについては昨年、熊谷市の保護施設でも大量に亡くなっております。保護や繁殖という点で影響がないのかお尋ねします。また2014年にはさいたま水族館の元職員の故意の行為により観賞魚が亡くなりました。他の県の動物園の施設なども含めて安全や運営の管理体制を見直す考えがあるのかお尋ねします。それともう1点は昨年夏に県が運営するプールで利用者が心肺停止になるなどの事故が相次ぎました。営業開始を前にして監視員の増員や、監視体制を強化するお考えがあるのかをお尋ねします。以上2点をお願いします。

知事

まず、水族館の火災の事故でございますが、この原因については、警察と消防の方が明らかにしておりません。早急に明らかにしていただきたいと思っております。予断をするわけではありませんが、いわゆる電気マットというのでしょうか。温めるための。そのあたりの火災度が一番高いということで、その辺に原因があるのかなということが、今、思われている節がございますが、これもまだはっきりしておりません。問題はムサシトミヨなど、いわば天然記念物、埼玉県の魚でもありますけども、これはもう熊谷の所でもいったん事故がございましたので、以来、これをしっかり守るということに関しては、非常に気を付けております。もともと各地区の水族館に一定程度の割合で、種の保存という形で分散はずっとしております。ざくっと申し上げれば井の頭文化園、しながわ水族館、越前松島、琵琶湖、宮津、京都、なかがわ、これは栃木県ですけれども、こういったところに少ないところでも30匹ぐらい、多いところは4~500匹というかたちで、種の保存はそれぞれ依頼をしながらお願いをしております。もちろん向こうにとっても観賞用のいい目玉にもなるということでございます。また同じように埼玉県でもそういう部分が受け持っているそうでございます。他のもので。それから、これはいわゆるプロの人たちでやっておられるわけですけども、メインのムサシトミヨの保護センターの部分も、1か所ではなく分散させて、いわば同じプールに入れないでいくつかのプールというのでしょうか、そういう分け方をしたりして、昨年の事故以来、そういう手配をさせていただき、それにこの部分、保護センターと水族館がメインでありますので、メインのいわば種の保存の場所でもありますので、そういう意味では水族館でのこの火災事故というのは極めて残念というのでしょうか、非常に思っております。またそれから、熊谷市内の小中学校の3校で、1000匹を毎年繁殖させております。これもやはりある意味では種の保存のために分散させている。分散させておくということは大事なことだと考えております。ただ非常に神経質というのでしょうか、微妙な魚というんですか、ある意味では温度だとか水質等々、気難しいところがありますので、どこでも分散はできないというところがつらいところなので、丁寧なところ、可能なところだけやっているという状況でございます。

埼玉

他の施設なども含めてですね、安全や運営の管理体制を見直すお考えはあるのか。

知事

基本的には、十分な管理体制をやっているつもりではありますが、今回の水族館の火災を受けて、さいたま水族館に関しては常時点検とか、保守点検とか、過去のやっていることに関しての瑕疵というのでしょうか、手違いだとかそういうものはなかったわけですけども、消防署や警察の原因結果次第によっては改めて保守点検や巡回のあり方について、改める必要があるかどうかも確認して、丁寧に確認したいと思います。やはり何か原因があってことが起きているわけですから、その原因が起こるような状況がどこかにあったとすれば、やはりそれは断固阻止しなければいけないと思いますので、それはどういった形なら阻止できるのか。多分、保守点検だとか巡回の点検などはまた改めて必要なことをしなければならないと思っております。2番目のプールの案件ですが、まず埼玉の水上公園の開設は昭和46年、54年、63年と平成4年というかたちで、4施設(後に「さいたま水上公園」に訂正)で昭和55年に1名、昭和56年に1名、水難事故がございました。昨年4歳の幼児と72歳の高齢者がプールで死亡されるという事故が、痛ましい事故がありました。【発言後、訂正あり】原因がある程度は分かっているわけですが、少女の場合は本来行ってはいけないところに行っておったというところに一番の原因があるわけですが、それは基本的には保護者の保護のもとで一定程度きちっとおさえていただきたいところですが、それでも監視員がもし発見できればという話も無きにしもあらずです。72歳の高齢者に関してはいまだに原因がわからないままで終わっております。溺死なのかそれともそれ以外の原因なのか、ご家族の関係で明らかにされておりません。したがって、実質的に昨年この少女の事故に関して基本的には保護されるべきであったと思いますが、やはり監視の体制もさらに強力であれば、場合によっては未然に防げたのではないかという議論もございますので、今後、監視体制をさらに強化するということに関しては、その後、体制を整えております。具体的には数のレベルでいえば、人数を66名。4プールで増員をしております。27年度と比べて28年度、66名増員しております。223名から289名。それから、監視体制のルーティーン業務もいわゆる120分監視して80分待機・休息というサイクルを、集中力がより増すようにということで、90分監視で60分の待機・休息ということですので、120分間の監視を90分に縮めて、その分、できるだけ注意力を高めてもらおうと。量の部分と質の部分を両方で高める体制をとらせていただきました。極めてレアケースではありますけども、しかしレアケースといえども、こういうことが絶対ないように、関係のところでは努力していただきたいと思っております。

知事

【訂正】先ほど私、4歳の少女の方が、不幸にしてとか言いました。こちらは、違いますね。失礼しました。溺れていたんですが、死んではおられない。それから、先ほど高齢者の方は、やはり死亡の原因はいまだ不明であります。病院からもご家族からも死亡の原因に関しては明らかにされていないということでございます。

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その他の質問
参議院議員選挙の応援について

毎日

参院選のことでちょっとお伺いしたいんですけども、この前の公示の日に知事は大野さんの第一声においでになられたということで、選挙前は各党とは等距離であるということをおっしゃってらっしゃったと思うんですけども、その思いは、念のためのご確認ですけども、今も変わらないのかということをお伺いします。

知事

自分のスタンスはそうですが、党派によっては違うスタンスもとられますので。必ずしも結果的には等距離になってないかもしれませんが、考え方としては等距離のつもりでおります。

毎日

他の党から今のところ例えば街頭とかですね応援してほしいとかですね、そういう要請というのは現状…

知事

依頼はありません。

毎日

民進党さんだけが、第一声の時が民進党さんだけだった。

知事

そうですね。出陣式に是非来ていただきたいという強い要請がありましたので、その御要請にお応えはしたというかたちです。今後また御要請があれば日程等も見ながら調整したいと思います。

毎日

それはどこの党ともということ…

知事

もちろんそうですし、ただし今のところないということです。

毎日

知事としてはオープンな視点であるということは間違いない。

知事

そのつもりです。ただ私個人的には埼玉県以外のところにも、もう既に行ったりしております。党派は関係なく。友人関係だとかそういう関係で、応援依頼だとか、あるいはまた、応援依頼がなくても私が個人的に応援したい方がおるところには伺ったりします。

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リオデジャネイロオリンピックに出場する埼玉県選手について

埼玉

先ほどのオリンピックの関係とちょっとまたかぶってしまうんですけども、昨日、陸上の方でリオ五輪の日本代表が発表されましたけども、いろんな種目で埼玉県勢の選手の方が選ばれていますけども、改めて知事の期待するような思いのようなものを聞かせていただいてもいいでしょうか。

知事

そうですね、あるいは県民の皆様には御理解、御存知ないこともあるかもしれませんが、実はいわゆる国民体育大会、いわゆる国体のレベルでは平均で埼玉県の順位が3.9位。この3.9位という数字は東京都に次いで2位なんですね。全国で平均2位の力を持っている埼玉県であります。またスポーツ少年団の登録団員数も日本一。非常にスポーツの裾野が広いところです。日本でも有数にです。もちろん人口が1番多い東京都が有利なわけですけども、しかし5番目の埼玉県が2番目に入っているというのも事実であります。国体レベルでです。従って有力な選手が多いということもこれもまた事実だと思っています。そういう意味でも、それこそ愛知や大阪、神奈川ほど埼玉県はお金を持ってはおりませんが、足らざるところを一種のネットワークでしっかり支えて、堂々と日本の中でも、この素晴らしい、スポーツ的な意味での位置を占めたいと思っておりますし、またそうすることが埼玉県の中で少年少女のスポーツに対する関心、そしてまた競技力の向上、さらに埼玉プライド、あるいは埼玉のいわばブランド力の向上に繋がると思っておりますので、できるだけしっかり、どこかの知事さんは金はないけどカニはあるとか言ってましたけれど、金はなくても人材はいる埼玉県というぐらいのかたちでしっかりアピールをしたいと思っています。

平成28年5月30日(火曜日)

平成28年6月定例会付議予定議案について
蚊を媒介とする感染症対策について
消費税増税の再延期について
参議院議員選挙の争点について
参議院議員選挙の各党からの支援依頼について
シリアでの邦人ジャーナリストの消息不明について
知事発表
平成28年6月定例会付議予定議案について

平成28年6月定例会付議予定議案について(PDF:1,519KB)

知事

本日は6月定例会付議予定議案についての説明並びに御報告を致します。6月6日に招集日でございます。今回は議案が少なく7件でございます。予算1件、条例4件、専決処分の承認1件、基本的な計画の策定等1件。主な内容としては、一般会計補正予算、そしてまた条例としては埼玉県産業技術総合センター条例の一部を改正する条例、いわゆるサイテックでございますが、そこの部分です。報告では、予算繰越報告、専決処分報告、公社等の経営状況報告がございます。次のパネルで中身を説明させていただきます。

一般会計では5億2,595万1千円が額になります。補正後の累計では1兆8,810億5,195万1千円となります。内容はいわゆるTPPを踏まえて、農業者による高収益化を図るための取組を支援する産地パワーアップ支援、国の補助事業でございますが、この予算組み。そして、埼玉県が取り組んでおりますアニ玉祭について国庫補助が採択されましたので、外国人観光客の誘致促進のために更にこのアニ玉祭を充実させようという中身になります。このアニ玉祭は昨年10月17日に行われて、3万2千人からの集客が記録されておりますが、この国からの補助金を主催者であります産業文化センターに交付するための補正を行うものであります。額は738万3千円でございます。また、環太平洋パートナーシップ協定、TPP協定の大筋合意を踏まえて、農業の体質強化策を集中的に行うために、産地の強化策と言うんでしょうか、できるだけ生産コストの削減だとか、あるいは販売額の増加に繋がる目標値を定めて、その目標達成に必要な大型農業機械の導入や施設農業(後に「農業施設の整備」に修正)の補助をするという、そういう意味での資金を国から導入するということでの予算の執行になってまいります。

産業技術総合センターによる中小企業支援でありますが、基本的には技術面から支援するのがまず仕事であります。中小企業の技術支援の実績として、機器を貸し出したりしております。それから依頼の様々な実験などを行っております。それから技術相談などを行っておりますが、その総計が1年間、平成27年度で、47,935件ということですので、大変大きな役割を果たしております。実は三県知事会の合意によってお互いにこの試験施設の乗り入れをやりましょうというかたちで行っているところでございますが、平成23年の埼玉から群馬・新潟の利用が1,341件だったのですが、平成27年には、約25%増えて、1,674件に増えております。料金も同じということもあり、お互いに利用できるものをお互いに利用しようというかたちで間違いなく試験施設などが、共同で使われたりしております。研究開発の事例では、既に発表しましたマグネシウム蓄電池の開発、早期製品化に向けた研究会を発足しているところですけれども、マグネシウム蓄電池の開発はこのサイテック、産業技術総合センターでできた物でもあります。それから商業化支援事例では例えば、身体に優しい医療用の針でありますが、そうした麻酔針などにも使っているような電解研磨技術を支援したりしております。それから、顧客ニーズを取り入れたオリジナルの日本人形の開発、3次元データ化を支援して、例えばひな人形などを購入するときなどに、お孫さんならお孫さんの顔に似せた、全く同じ顔だとやや気持ちが悪いかもしれませんので、やや似せた顔を作って、「それは君の人形だよ」とか、これは「何々ちゃんの顔だよ」というかたちで、そういうことが可能になるような支援とかも行ったりしております。

それと今回は新たな試験研究機器の購入を致しました。これは私自身がまだ見ておりませんので、あまり説明するのを良しとしないところでもございますが、振動試験機、これは例えばヘリであるとか飛行機であるとか車であるというのは、いろんなボルトやネジが締まっていますが、このボルトやネジは振動によって緩んだりします。どの程度緩むのかとか、そういったことを事前に測ることによって、そのボルトの力、あるいはネジの締める力とかが分かるという振動試験機というのを、1社ごとに買っていたら、なかなか大変でありますので、こういうものを使って自社の製品のチェックをしていくという、そういう役割を果たしたりいたします。

それから全焦点三次元形状測定機、これが腕時計に使用される小さな歯車など、主に精密機械産業での利用が見込まれておりますが、いわゆる表面形状というものを裏側でも横でも真正面から見れるというそういうかたちですので、それこそ打ち付けたものをわざわざ外したりすることなく見ることができるということですので、精密機械等々を作っておられるような、そういったところの方々には非常に分かりやすい、便利なものだということになってまいります。

それから蛍光X線微小部分析計ですが、材料の中に含まれている元素を破壊しないで分析することができる。したがって、めっき等に含まれる有害物質の分析だとか、材料内部の微小な異物の検出など、品質管理などに非常に有力だと。できたものにロスがないかチェックするのに非常に便利だということになります。御案内のとおり、めっきなどは日本最高の技術でありますが、それでも異物が混入したり、むらっけがあったりする。そういうものをきちっと極小の部分まで分析することが可能になりますので、むらっけが無くなってしまう、そういう機器であります。

それから、電磁式・渦電流式膜厚計、めっきや塗装などの厚さを測定する機器で、これは料金的にはあまり高くありませんし、コンパクト、ハンディーですので、比較的それぞれの事業所が持ったりしておりますが、滅多に使わないところがわざわざ買うこともないということで、めっき関連なんかの産業で非常に利用をされるものでもあります。こうした4機器を購入したところでもございます。

それから、公社等の経営状況の報告をやるところでありますが、大きなところを2つほど代表して御紹介申し上げます。株式会社さいたまアリーナでありますが、県が最大の出資者でありますが、このさいたまスーパーアリーナは現在、平成26年度の総来場数が336万人で、横浜アリーナが185万人であります。開業後15年で初めて、大規模改修を行いました。コミュニティアリーナは4月7日、メインアリーナは5月12日より再開をしております。さいたまスーパーアリーナの稼働率が、非常に高いものになっております。平成13年度は53.2%ですが、27年度には77.6と。休館日の46日間があります。それと点検日が。これを除くと実はこの数字と言うのは、ほぼフル稼働。27年度でたった1日、空いた日が。それ以外は、たまたま休館日であるとか、点検日であるとかということで、それ以外は全部埋まっているという状況であります。このスーパーアリーナもできた当時は大変、赤字で大変でありました。初年度などは15億5千万、私などが就任した時も6億8千万(後に「6億3千万」に修正)くらいの赤字でありましたが、順調に黒字化して、現在では改修したために休館日をたくさん設けたので27年度は減っておりますが、ピークでは10億3千万からの納付金をいただくまでになっております。この間、赤字だった合計が37億4千万、黒字になった部分が55億5千万と、累計で18億1千万の黒字化になってきておるところでもございます。日本一観客動員数の多いアリーナとして、現在では定着しているところでございます。

埼玉県住宅供給公社も、極めて優良な中身、内容を持っております。県営住宅の家賃の収納率が、三重県に次いで全国2位まで向上しております。98.75%、約7億円の増加。そして、高齢入居者へのサービス向上の取組などを行っております。特に、単身高齢者約3200世帯については、安否確認、見守りサポーター、あるいは合鍵の預け先制度、何かあった時に合鍵を親戚の方に預けていたり、御家族に預けていただいて、例えば新聞が3日間とかたまったりすれば、まさか壊して入るというわけにはいきませんので、合鍵の持ち主のところに連絡をとって来ていただくとか、あるいは供給公社の管理人が取りに行って開けるとか、そういうかたちなどもとって、緊急時に備えているメンバーなどがございます。いずれにしても、埼玉県住宅供給公社も、サービスの向上ということに関しても極めて良好であります。私が就任した頃は、この住宅供給公社の苦情などの手紙が一番多かった方です。県の各部門、出先機関、あるいはまた、県の出資法人、諸々の全ての手紙等々を読んでいるわけでありますが、実は自分の印象では、数えたわけではありませんが、ここが一番多かった。今はほとんどきておりません。親切にしてもらったという手紙やメールはよくいただいておりますが、もちろん、住人によっては「2階がうるさい」とかそういうことがあったりすることもあります。「新しく入居された方がうるさい」とか、あるいは「犬猫を飼っているのではないか」とか、そういう苦情等々が無きにしもあらずではありますが、いわゆる住宅供給公社の職員のサービスだとか、住宅供給公社体制の不備等々がほとんどなくなっている。民間の極めて優れたリーダーシップの高い理事長を、民間の会社の社長からスカウトして運営していただいていることなどが、両方にも共通した成果ではないかと思っているところです。

日経

今の出資法人の経営改善の状況、この良いところ2つありましたけれども、経営状況報告16件ありますけれども、逆にすごく懸念されるような法人とかというのはあったりしますか。

知事

基本的にはありません。県の出資法人は全面的な改革をスタートしてから極めて良好な成績を残しております。ほとんんどのものが赤字だったのを、ほとんど黒字にしてしまいました。

ただ、県の出資額が2番手とか3番手などのものなどについては、私の方に報告があがってこなかったりしてたので、そうしたものでいくつか、これまでにも何て言うんでしょうか、赤字であったり、経営内容がずさんであったものがありましたけれども、そういうものも、以前に問題指摘などされましたので、こんなのも県も関わったのかというかたちで、ただ2番手3番手だったもので、私が少なくとも見てたものは全部1番手のものでしたので、それは全部やってたつもりですが、2番手3番手4番手なんかの出資法人などでは赤字であったり課題があったりするものはございました。

日経

今、そういうものも・・

知事

はい、それは解決しつつあるというかたちです。例えばさいたま市が第一位であるとか、秩父市が第一位だとかそういうのがあったりしました。

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蚊を媒介とする感染症対策について

日経

先週、蚊を媒介とする感染症対策について広報をしていただいているんですけれども、今年は県民総ぐるみでの対策にすると拡大していくというリリースにもありましたけれども、県としては今年は特別に危機感をいだいているという要因があるんでしょうか。

また、県民総ぐるみということで知事から県民に対して呼び掛けたいとお考えのことがありましたらよろしくお願いします。

知事

まず一番今年度あるいはまた4年後を目指して考えなければならないのは、ジカウイルス感染症の蔓延をブロックしなければならないということです。御案内のとおり、比較的このジカウイルスに罹るものはブラジルなど中南米を中心に流行しているものでございますので、今年のリオのオリンピック・パラリンピックで海外渡航される方々で、現地で感染した蚊に刺されて、それでこちらにきて、その蚊に刺された方をまた日本の蚊にさされて、その蚊がまた違う方を刺す。そうすることで特に妊婦の方には小頭症の事例、病例などが時折ありますので、世界保健機関も中南米地帯で発生しているジカウイルス感染症については、緊急事態の声明をしておりますので、リオオリンピック・パラリンピックで日本の方々が訪れた場合、このジカウイルスの蚊に十分注意していただきたいと思います。何らかのかたちでブロックされるような仕掛けを現地でやっていただきたいと思いますし、また日本に戻って来られても何らかのかたちでチェックをする、これはまた埼玉県だけの問題ではなくて国全体の問題でありますけれども、埼玉県的にもそれをしっかりPRして、これからリオまであと何十日切ったぐらいですので、このジカウイルスについては注意をしていただきたいと思っています。

それからデング熱については、幸い後遺症がほとんどないこともありますけれども、しかし、やはり発熱や激しい頭痛で潜伏期間も5日前後ありますので、こうしたことも含めて今後こうしたジカウイルスあるいはデング熱などのアピール、どうすれば感染しないか、あるいはまた感染した場合も最小限にくい止めることができるかなどについてしっかりアピールしていきたいと思っているところです。

テレ玉

今のジカウイルスの話なんですけれども、具体的に県に関係あるオリンピックの選手に何か蚊の対策グッズを渡すですとか、またオリンピック前後に大きくPRするですとか何か具体的なことは何か考えはあるのでしょうか

知事

渡航される場合は現地において虫よけ剤の使用、また刺されない対策をされるということが一番ですので、これはもう旅行代理店等々を通じてこうしたもののアピールをしっかり国もやってまいりますが、埼玉県も選手団並びに関係者そして埼玉県発のいろんな旅行代理店関係もこうした部分についてしっかりアピールして、特に中南米の場合にはこのリオとの関係で今回は特別に渡航者が多いと思われますので、そういったところにしっかりアピールするようにしていきたいと思います。

ジカウイルスに関しては中南米に行かなければ特に課題があるわけではありませんので、中南米に行かれる方々がしっかりブロックしてもらうと。これに尽きると思っておりますので、関係団体や関係者にはしっかりこのことを徹底してアピールして、学んでいただきたいと思っています。

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その他の質問
消費税増税の再延期について

NHK

消費税のことについてお伺いしたいんですが、増税を2年半延期するという方向で調整するという話がありますけれども、まず知事の御認識として今埼玉県内の経済状況、景気状況を御覧になって、消費税を上げられる状況に知事としてあるとお考えになるのか、経済状況をどう見ているかということと、もう一つは2年前の解散のときにも、次は上げますという趣旨のことを総理は言ったのだから上げないんだったら解散じゃないかという議論も起きていますけれども、この点についてどう思われるかという2点について教えてください。

知事

まずは後者のところからスタートすれば、当時民主党政権下の野田総理のときに、自民党の谷垣幹事長、山口公明党代表3者で消費税増税と社会保障の一体改革ということでタイムスケジュールも決めて3党合意の上で国民に真意を問うというかたちを取った経緯があります。なかなか一般的には増税の部分は、時の政府与党に任せて野党は知らんぷりしていれば良いというのが一般論だと思います。そういう意味で当時の自民党公明党は大変立派な対応だったと私は思っております。もちろん人気の落ちてた当時の民主党のリーダーでもありました、代表でもあり総理でもあった野田前総理も大変な決断であったと思います。一般的に人気の無い政策はしたくない。これが世の常でありますので、そういう点でもあの3党合意というのは非常に各党の代表の皆さんたちが党内をよく抑えて合意を取られて、まさに社会保障の一体改革ですので、これは単に増税するということだけではなくて、要は社会保障のタイムスケジュールやシナリオを国民にきちっと提示して、安心社会をつくる、故に消費税増税は怖くないと、こういうものであったはずなんですね。

例えば消費が落ち込むものの原因の中にこういう話もございます。どれがどういう影響を何パーセント与えているかという分析はなかなか難しいかと思いますが、やはり所得が伸びないことの不安だとか、将来の年金体制の不安だとか、あるいは社会保障関係がいつまでたってもきちっと決まっていかない不安だとか、そういうものも、預金せざるを得ないという、少しでも預金しておこう、お金を使わないようにしようという消費マインドを減退させるものがあるという、そういうものがありますので、私は消費税増税というのは社会保障だとかそういうものとの関係が非常に重要だと思っています。かつて私などが20代のころ、お金が無くても車を買ったりすることができました。それは必ず給与があがるという一定程度の安心感がありましたので、皆さんも給料がそんなに高くなくても、住宅ローンを設定して、そのうちに給料が上がってボーナスも増えていくので、十分生活設計ができるという判断をそれぞれがなさったものだと思っております。そうしたことをきちっとやれば、私はまさに消費税増税と社会保障の一体改革が実現できれば、そう大きな課題ではないと思っています。現在の経済状況は、そういう意味では経済状況が良い悪いにも関わらず社会保障との一体改革ができていれば、消費税増税の条件づくりは可能だと思っています。

今の日本の経済状況をどう見るかというのは、基本的には需要不足、つまり消費が抑えられてなかなか需要が起きない、故に生産設備が起こらない、設備投資が起こらない、また故に企業も心配してなかなか賃金をあげようとしないという、そういう固まっているというんでしょうか、決して日本経済全体が悪いとは思いませんが、心理的に非常に固まっているというんでしょうか、そういう状態を私は意識しています。まさに、踊り場でちょっと上に上がろうかとするとなにかいろんな事件があってまた踊り場に戻る、また上がろうかと思うとまた踊り場に戻るという、この繰り返しをここ一年ほどやっているんではなかろうかと思っておりますので、安倍総理の認識の中ではこういう踊り場を一気に脱出するためには、消費税増税は邪魔になるとこういう御認識をされているのかと思っております。

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その他の質問
参議院議員選挙の争点について

埼玉

夏の参院選は、今の消費税も関わってくると思うんですけれども、一番の争点というのは知事は何と考えていらっしゃるのかというのが1点とですね、議席の行方ですね、自公与党が非改選含めて122ですか、取るのかどうか、その辺の見通しなど、もしお考えがありましたらお願いします。

知事

なかなか選挙の予想は出来かねますので、そちらの方は御勘弁いただくとして、一般的に争点にしなければならないのは、何と言っても持続的な経済対策は、一番有効なのは何なのかということを突き詰めていただきたいというふうに思っています。もちろん、アベノミクスの金融緩和や機動的な財政政策は、当初においては大変な成果を挙げたと。しかし、もともとこの二つとも時間稼ぎの政策であるというようなことを、一般的に言われておりました。本題は成長戦略、構造改革であったはずだと。これは、地方分権改革にもつながってまいります。構造改革全体として。例えば、より簡素な行政手続や簡素な行政が可能になれば、それだけ民間は1か月かかるものが2週間で済めばスピーディーな対応ができて、その分だけ経済活動が活発になっていく、そういうものがたくさんあります。我々も圏央道でいろいろ努力しました。本来5年かかるものを3年で片づけるとか、こうしたものはすごく企業にとって評価を受けました。そういうものを徹底して取り上げて、徹底的にやっていくという作業が、やはり小さいのではないかというふうに思っております。いくつかあります。例えば、確かに農地の権限を国から知事や市町村に移すという農地転用に関しても、しかしやはりここは協議が残っていますので、その協議でなかなか国との関係の中で難しいものがあります。優良農地と位置付けられれば、それを例えばインターチェンジのすぐそばでも、簡単に産業団地に切り替えることができないとか、こういうのをそれぞれの地方の計画の中でやれば、高速道路のインターチェンジ周辺だけは一気に経済活動が活発になって、必ずそれは全体の日本のGDPを押し上げていくものだと思っています。例えば、この10年間で都道府県ごとのGDPを一番上げたのは、愛知県なんですね。これはトヨタの力。2番目は埼玉県だと。トヨタに代わるようなものを、ホンダが持っているかというとそこまでは持っていないと。では何なんだといったら、やはり圏央道だとか東京外かく環状道路等々の立地の良さなどによる企業立地とか、本社の純増とか、こういったものが埼玉の経済のシェアを押し上げたものだと思っていますので、もし同じような条件で他の所ができていけば、全体としてやはり押し上げていくのではないかと思いますので、できるだけこの構造改革を中心とした景気対策、経済政策などをきちっと論点にしていただくべきだと思っています。

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参議院議員選挙の各党からの支援依頼について

読売

参院選に絡んでなんですけれども、6月22日に公示の予定となっていまして、今のところ現職3人と新人で共産とかおおさか維新とか幸福実現さんとかが出馬表明しているんですけれども、街では知事と大野元裕さんの一緒のポスターとかもよく見かけるんですけれども、各党とか陣営からの知事への支援依頼というのは、今どんな状況になっているんでしょうか。

知事

私は、基本的には3党、自民、民進、公明3党等距離のつもりでおります。依頼があれば、全部お断りする予定はありません。内々には公明党はありますけれども、表立ってはありません。例えばポスターで一緒の顔にしろとか、そういう話はございません。是非応援してくださいとは言われております、内々には。自民党の方からは特別にございません。ただ、個人的には言われております、よろしくと

朝日

先ほどの質問に関連して、これまでの会見でも出ていましたけれども、例えば公明さんから今、内々に依頼があるというお話が知事もおっしゃっていますけれども、例えば具体的には公示後に例えば街頭に一緒に立つとか、そういうのを想定されているという理解でよろしいでしょうか。

知事 そうですね。かつては自民党の県連の役員などが、3党で取り決めをされておりました。特に県議団の団長クラスが、各党の代表の県議団の代表の人とだいたい話を付けた上で、では街頭は2回ずつとか、箱は1回とか、そういういろいろ取り決めをされて、それに応じて私は行っていたと。それの御提示は、今回まだありませんと。

朝日

提示があればそのとおりに。

知事

そうです。定数3ですので、3人までは応援できるという計算ですので。

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シリアでの邦人ジャーナリストの消息不明について

NHK

全く話は別なんですが、埼玉県出身のフリージャーナリストの安田純平さんが、武装勢力に拘束されているとみられる画像がインターネットに載ったという話なんですが、知事のコメントというか、受け止めをお願いできれば

知事

まず私自身、確認を取ったわけではございません。それから御当地の入間市からも、県の方にまだ具体的な話は出てきておりません。内々にいつでも調べられるような準備はしているところでもございますが、外務省の方でも今、確認をしているような状況でございますので、外務省以上に私たちが確認できるようなソースと言うのでしょうか、ツールと言うのでしょうか、そういうものを持っておりませんので、そうした事実確認ができれば入間市と一緒になって、可能なことについてはできるだけ配慮していきたい、こんなふうに思います。

平成28年5月24日(火曜日)

知事発表
埼玉版ウーマノミクスプロジェクトの更なる推進

埼玉版ウーマノミクスプロジェクトの更なる推進について(PDF:1,064KB)

知事

こんにちは。今日は、埼玉版ウーマノミクスプロジェクトの4年の成果について、御報告をいたします。今、ウーマノミクスという言葉でグーグルで検索すると、実はこの埼玉県のウーマノミクスプロジェクトなどが、1位2位で検索されるかたちになっております。そのくらい、内容を充実させているという自負心を私たちは持っているところです。まず、何よりもこの働き方について、子育て支援も含めたワークライフバランスも考えると、女性が重要な役割を果たすには、どうしても柔軟な働き方を企業によって許していただくというのでしょうか、許容していただくような、それが大事だということで、多様な働き方を実践している企業の認定数の推移をずっと追いかけてきました。要するに、短時間労働だとか、あるいはまた振替休日だとか、いろんな形でその能力や意欲を生かすかたちで、なおかつ子育てにも何とかカバーができるような、そういうやり方をやっていただいている企業について追いかけていきますと。この4年間で464社から(後に削除)2036社まで達成しております。そしてまた、女性がいざ仕事をしたいというときに、いわゆるハローワークなどでも御紹介をいただけるところですが、女性だけに専門化した、特化したかたちでのキャリアセンターがあれば、もっと気楽に門を叩くことが可能ではないかということで、女性キャリアセンターを設置させていただきました。新都心の「WithYouさいたま」の一角の中にまず設けて、取組事業をしやすいようにやらせていただいたところ、年々、この女性キャリアセンターで相談をされ、そして就業しているかどうかについての確認をしっかりすることをやってまいりましたところ、当初の986人から約2倍近い数まで、女性の就業拡大が進んでいることが分かってまいりました。相談件数などでは、延べ6万9000、利用者の数は、例えば昨年だけでも1万4000というかたちで、大変利用もされていると。もちろん就職をしなくても、働き方だとかそういったかたちについても、あるいは子育てについても、結果としてここで相談されることなどもあったようであります。それから、輝く女性の応援団というかたちで、企業そのものが、企業的価値として女性の働くことに関して応援していますよというメッセージを発していただいている企業が、603社になりました。具体的には、例えば名刺をそれぞれの企業の社長さんなどが別刷りの名刺を持って、私はこんな名刺も持ってますというかたちで、女性の働きに関しては私たちはしっかり応援してますという、そういうメッセージを訴えていただいて、あるいはウーマノミクスプロジェクトのバッジを胸につけていただいた。そして、この運送事業者などではラッピングトラックを事業に使って、このウーマノミクスプロジェクトの応援をやっている。そうしたかたちでやったり、あるいはまた社内にポスターを貼っていただいて、女性の活躍を応援しますという女性応援団のポスター、それからイクメンというのがありますが、イクボスというかたちで、ちゃんと女性がいきいきと働いたり、あるいはまた子育てをしっかりやっていけるようにいいボスになりますという、そういうことをきちっと会社でやっていますということをアピールするためのポスターなども貼っていただいているところでもございます。こうして、女性応援の気運を高めるかたちで、具体的にさらに、中小企業の中でも仕事と育児の両立支援制度がありますと、きちっとしておりますというのが、平成23年(後に「24年」に訂正)当時若干下がってるのは東日本大震災などの影響などもありますが(後に「あるかもしれませんが」に訂正)、そのあと、急激にアップしてまいりまして、埼玉県の中小企業においてもしっかりと応援をするという、そうした気運がさらに実ってきているところでございます。具体的なかたちでも、プロジェクト開始前との比較の中でも、女性の就業率が平成23年度(後に削除)では57.9%が、5.7ポイントアップして63.6。女性の就業者数が132万6000人がプラス7.4万人で140万人に増えていると。こうしたものを、全国と比較していけばどんな感じなのかということをいえば、埼玉県では女性就業者数が5.3%増えているところでございますが、全国的にはプラス1.9の推移であるということで、明らかに埼玉のこうした応援プロジェクトが形に表れているのではないかというふうに私たちは思っております。そして、これからの取組はどうするのかということでいきますと、量も必要ですけど質の充実がもっと必要でしょうと。そして関係機関との連携がもっと必要になりましたと。県が主導的にやってきましたけれども、関係団体の指導的な力が必要でしょうと。これからは女性の応援だけではなくて、男性そのもの働き方見直しが重要になるでしょうと。女性だけの問題でありませんと、男性の問題でもありますと。商工団体69、業界団体31、合わせて100の団体で、女性の活躍推進リーダーを育成していただきましょうという話。市町村でも、やはりきちっとそうしたリーダーをつくっていただきましょうと。こうした運動を展開してまいります。そして女性の活躍するフィールドを拡大しましょうということで、27年度は会員企業向けのセミナーや先進企業の事例紹介などをやってきたところですが、その企業団体が22団体だったものを40団体に増やしていくというかたちになりました。これは具体的には、例えば建設業協会、トラック協会、まさに男性が働いている企業でも女性もOKですよという。男性イメージの強いトラック業界の運転手、建設業の事業所、ヘルメットをかぶって男性だけでありませんと、女性もかぶって仕事ができるんですと。そういうことのセミナーなどをしっかりやっていただいて、むしろ先進事例などをしっかりアピールしていただきながら、まさしく女性の活躍するフィールドを増やしていくという動きをしていただいているところでもございます。そして、認定企業もステップアップしていただこうと。いわば、これまで働く女性の部分で、いろいろ運動をしておりましたけれども、さらにステップアップ、つまりプラチナ、ゴールドというようなかたちで、最高がプラチナであったわけですけれども、さらにゴールドの方にはプラチナと、そしてシルバーの方にはゴールドというかたちで、それぞれ認定企業の内容をステップアップしていただこうという働きかけを28年度から31年度までにさらにステップアップをしていこうという、この動きをやっているところであります。それから働く女性応援講座の充実に関しても、改めて女性キャリアセンターを女性社員研修の拠点に使ってくださいということで、これまで324人、10回程度やっていたところでございますけれども、28年度の目標としては29回、1100人やっていくというかたちで。しっかり女性キャリアセンターを中心にして、中小企業の社員研修の拠点化にしていくと。こういうことを企画して、さらにバージョンアップしていこうと思っているところでございます。そして、さらに仕事と育児の両立をサポートする事業として、先ほどもお話しましたように、男性の働き方の見直しというかたちで、10日以上の育児休暇(後に「業」に訂正)を進めている企業25社に関して、アドバイザーを派遣して職場風土づくり、業務効率化などをやったり、あるいはまた奨励金を30万円。そして、働き方の見直しの宣言を企業においてしていただくことで、こうしたことをやることで、よりレベルの高い企業だということを内外にアピールをしていただくことによって、女性の社員などの優良社員を獲得するとか、そういうことにも繋がるようにということでやっておりますが、この部分に関しては25社限定にしておりますので、6月14日までに1次募集で選考させていただきたいと考えております。そして、シルバー、ゴールド、プラチナというのがありますが、男性の育児取得をプラス評価にするということで、プラチナプラス、ゴールドプラス、シルバープラスというかたちで、ワンポイント、新たに評価制度の導入の枠でワンポイントそれをつけるというかたちで、さらに男性の働き方の見直しを進めさせていただきたいと考えているところでございます。こうしたことを重ねながら、よりウーマノミクスプロジェクトの量、質ともに進化させていくことを今年度も展開していく予定でございます。以上、ウーマノミクスプロジェクトでございます。

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平成28年熊本地震に係る義援金及び災害見舞金について

平成28年熊本地震に係る義援金及び災害見舞金について(PDF:268KB)

知事

そしてもう1点、御報告がございます。報告事項でありますけども、熊本地震に係る義援金及び災害見舞金について、5月20日現在で、298の個人、団体で1371万7044円が集まっております。これが6月24日まででございます。埼玉りそな銀行と武蔵野銀行でございます。そして、災害見舞金を熊本県に対して100万円を贈呈。そして県の職員の義援金が100円募金でございますが、459万2751円、5月20日現在出ておりますが、本日災害見舞金及び県職員義援金を熊本県の東京事務所の所長に、本県の東京事務所所長を通じて、蒲島知事あてに見舞金、義援金をお渡しするというかたちの運びになっているところでもございます。以上、このようなかたちで、熊本地震に係る義援金及び災害見舞金について、熊本県側に本日手渡しをするというかたちをとっておりますことを御報告申し上げ、本日の報告に代えたいと思います。

日経

ウーマノミクスプロジェクトの方なんですけれども、認定企業へのステップアップの働きかけというところで認定件数31年度までで3000件といういことですが、現在どれぐらいの認定数があるのかということと、あと次の仕事と育児の両立サポート事業ですけど、募集開始から1ヶ月ぐらい経ってると思うんですけど、まだ25社は集まっていない状況なんでしょうか。

知事

はい。25社の部分に関しては、まだ事務局から報告を聞いておりませんので後ほど御連絡申し上げます。

それから、認定企業の部分でございますが、これまでの認定企業の数は、(パネル)1枚目のところですね、2,036でございます。認定企業としてはですね。

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幹事社質問
三県知事会議の成果等について

日経

5月の18日に群馬県と新潟県と三県知事会議がありましてその当日にも共同記者会見をされていると思いますけれども、その会議の成果について、改めて、この場でもご紹介ください。

それと、防災とか安全というところに地震もあって、関心が高まってますけれども、ドクターヘリの広域連携とか、3県の防災協定に基づく合意事項の意義、どのようにお考えであるかというところもお話いただければと思います。

知事

まずですね三県知事会のポイントはやはり、上越新幹線と関越道、17号で、3県が密接に結ばれてるということが一番のポイントです。これを起点にするかたちでの連携事業というのが、メインになっております。例えば、電気自動車のスタンドですね。17号沿いに埼玉から新潟まで、過不足なく設置しようということで、これも一気に設置をしておりますので電気自動車を使って少なくとも埼玉から新潟まで行く方々は、どこでも充電ができると。こういうことができたりしておりますし。それから、常設の試験センター、埼玉県では、サイテックあるいは北部の試験施設、こうしたものを相互乗り入れで、群馬県の施設を使ってもいい、埼玉県の企業が。群馬県の企業も埼玉県の施設を使っていい。新潟県の企業は企業で群馬県の施設を使ってもいいという相互乗り入れを自由にさせていただいて(後に「いるところを、さらに」を追加)料金も県内企業と同じ扱いにしていく。こういうすぐできることなどを、いくつか三県知事会で答えを出してきたところでもございますし、もうすでに防災協定に基づいて、埼玉県の一昨年の大雪の際も新潟県から除雪車が出動いただき、奥深い秩父の中での除雪作業では、極めて有効な援助をしていただいた経過もございます。後程後段の部分でありますがこの防災協定の中の一環で、すでに埼玉県と群馬県はドクターヘリの相互乗り入れをやっているところですが、この度新潟県で、長岡に基地ができることが、はっきりしましたので、長岡であれば、群馬とも近いという形で、群馬と新潟の相互のドクターヘリの乗り入れと、埼玉と新潟は少し距離がありますので、お互いに普段から利用しあうということはなかなか困難だと思いますが、しかし、大規模の災害などの時には、場合によっては、それぞれの県に常駐しながら、救難救助の活動をするとか、そうしたことも可能だということで、使える資源というのが、3県合わせることで強力になる。埼玉県は防災ヘリが3機ある。群馬県に1機、新潟県に1機というかたちで、合計5機使える、いざ大規模災害などの時にはです。そうしたことが、可能になるということで、防災ヘリなどは、防災協定の中で、しっかり使える。加えて今度はドクターヘリも、そうした大規模災害などのときには、拠点に必ずしもいちいち戻ることなく、それぞれの拠点で活用するようなことを、まだ細目は決めておりませんが、当然そうした細目について、これも医師団とそれから、防災航空隊と、そして病院側とのきちっとした合意をとらなければいけませんが、いろんな可能性が出てくるということで、相互に合意した上でさらに県民の安心安全の確立拡充を図っていきたいと思っているところでございます。

それで今回の三県知事会の中身で際立ったところは先ほどの防災協定や、ドクターヘリ以外では、いわゆる空港を利用した相互観光の推進、私たちは、勝手に新潟から東京間の縦断ゴールデンルートというかたちで言ってるんですが、これを海外メディアに発信しているところでございますけども、それなりの効果があったということが実証されております。細かい話は私自身も記憶しておりませんが、どの程度の実証状況かということについては関心がある方については後で担当から伺っていただきたいところですが、引き続きこのゴールデンルートの海外メディアによる情報発信を行っていこうということが、一つ決まりましたし、それから北東アジアを視野に入れたマーケットの開拓について引き続き連携していこうと。新潟を中心にした動きに群馬県も埼玉県もある意味では、相乗りをしながらやっていこうというかたちでございます。

そしてまた本県のラグビーワールドカップ2019の開催機運についても、各県のトップリーグ試合会場での熊谷の開催PR、3県の子供たちによるラグビー交流試合等を通じながら2019年の盛り上げをやりましょうというかたちでの協力体制の合意ができたところです。

それから、すでに群馬県と埼玉県の一部、特に富岡製糸場と北部の埼玉県の絹の遺産群との連携事業等もございますが、さらに、新潟・群馬・埼玉の歴史遺産を活用した発信を行っていこうということなどが大方決まったところでもございます。以上が合意内容でございます。

埼玉

ドクターヘリの運用のことでお伺いしたいんですけども、以前、県議会でも一般質問でも出てたと思うんですが、群馬・栃木・茨城の枠組みの中に埼玉も広域連携で入っていきたいという考えも、前にお答えになってたかと思うんですがその辺の見通しというのは、何かあるんでしょうか。

知事

はい。群馬と栃木と茨城の3県の相互利用がドクターヘリについてありますが、真ん中の栃木が過重になってるという事実がございます。例えば茨城と群馬の関係において、少し密度が薄いと。もともと3県の中で一番山の深いのが栃木で、本体そのものの利用が多い。加えて群馬からの要請、茨城からの要請があり、栃木の部分が格段に重いと。これに埼玉が加わればということの中で、栃木県が心配されてることは事実でございます。運用の実態をよく確認しなければというところで今のところ止まっております。一つは埼玉県の人口を心配されてると思っておりますが、埼玉県は、南部のほうはほとんどドクターヘリを使っておりません。秩父エリアで事象があがった場合に、川島の防災航空隊と、そして埼玉医科大学総合医療センターが一体的に秩父に飛んで、そして、埼玉医科大学総合医療センターの方に収容するパターン。あるいは北部のエリアで、緊急を要する場合に、そうした事例がありますが、それ以外のところは比較的周辺で、車の移動、高速道路などを使った、高速移動が可能なもので、あまりドクターヘリが使われておりません。この辺の実態なんかも正しく栃木県側には伝わっておりませんので、どちらかと言えば、大規模災害が特別な所で起こったときに、そうした資源を集中的に使うという意味で、利用価値がお互いにあるのかもしれませんが、一般的には群馬との連携で終わりで、形式上、通常の連携協定結んでも普段はそんなにお互いに使うことが少ないのではないかというふうに理解をしているところでございます。ただ、細目について細かい課題を確認し合わなければいけませんので、今の段階では何も決まっておりません。埼玉県議会で御提案がありましたので、私たちも正式な申し入れというよりも内々の提案をさせていただいているという状況です。

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その他の質問
舛添東京都知事の記者会見について

NHK

毎週ちょっと同じような質問で恐縮なんですが、東京都の舛添知事が先日会見しまして、自身の政治資金について、第三者に調査を委ねるということと、その上で引き続き知事という職も続けるということで説明をしてるんですが、率直にこの第三者に委ねるということと、知事を続けていくという舛添知事の判断について、知事の御意見御感想を伺わせてください。

知事

去るテレビ局から突撃インタビューみたいなかたちを受けたんですがそのときもちょっと申し上げました、なんか巻き添え知事みたいな感じなっちゃったんですけども。要するに、やはり都知事時代も含め国会議員時代も含め、丁寧に会計責任者から私も経験則で申し上げると、もちろん、「これでこういうことです」というかたちで、持ってきます。「これで提出しますけどよろしいですね」というかたちで一応見ていきます。それで気になる所があったら指示をしたりします。よっては訂正があったりします。まさに気になるところで、一項一項をまず追いかけるような時間というのはなかなかないと思います。それができるような方は、めったにいらっしゃらないんじゃないかというふうに思います。それができる方がよっぽど政治活動が少ない方だと思います。量的にですね。したがって、資金的にも少ない。そんなふうに私は理解しております。したがって少し気の毒だなと思っております。

ただし、今回に関しては多くの事象について、それなりに家族との休暇だと、日常生活の中で記憶に残りやすいようなものが、結構あると思います。収支報告書に出てきた一つ一つの細かいものではなくてです。そういう記憶に残るものまで第三者第三者と言ってると、信頼を裏切る可能性にも、なきにしもあらずということですので、私は、記憶に残ってることは、はっきり申し上げられて、記憶が定かでないものについて、うっかり言ってまさに記憶違いについてまた謝ったりするよりは、この際、いろんな不審が出てるところでありますから、第三者委員会に託しますというのを言われるのも、もっぱら方便だけで終わりという話ではないと思っておりますので、やはり分けることが大事じゃないかなと思っています。その部分がなくて、全て第三者というお話だったので、分かりづらくなったのではないかなと私は思っております。少なくとも記憶がはっきりした部分に関しては、本人の弁ではっきり申し上げる。記憶が定かでないものと極めて細かい話であれば、それは調べていただく。本当は自分で調べて報告すればいいのですが、そういう事態に至ってないということで、そうしたことを委ねられるということについては、やむを得ないのかなというふうな判断をしています。以上です。

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選挙管理委員会が発表した投票率向上に関する報告書について

埼玉

昨年の知事選のことでお伺いしたいんですけども、県の選挙管理委員会が投票率向上への、向上に向けた報告書を出されましたけども、その報告書の中で、居住地域への愛着が低い人ほど投票率が低いというデータが出たということなんですけども、知事はこれに関しての受け止めはいかがでしょうか。

知事

一般的にそこに住んで、1年未満に行われる選挙などは、どなたがいらっしゃるかということもよくわからない。ということで、その分だけでも投票率が、ゼロに近いような数字が出てきますね。新しく1年以内に住んだような人達。こういう数が毎年4、5万人ぐらい、埼玉県の場合おられますので、全体としての投票率を、ゼロですので、こういうのはですね。大幅に引き下げますね。これ、御案内のとおり、100キロで走ってて、50キロだったら平均速度は75キロになりますが、一旦ストップしますと0ですので100キロ走っていたものが50キロになるのと同じで、極めて低い投票率がそこに入ってしまうと大幅に低くします。そういう部分が、県南のエリアなどでたくさん出ております。そうしたところが、全体としての知事選など、引き下げる要因になってると思っております。これは知事選のみならず、市長選県議選等々に関しても、どうしても人口移動の激しいところではそういう傾向がある。これは否めない事実だと思っております。しかしさりとて、それでやむを得んというふうに思うんではなくて、そういう人たちでも分かる方法はないかということについて、選管も様々な努力をされておりますし、文字どおり、18歳からの投票可能な状況ができてはいるわけですから、やはり主権者教育みたいなものを通じて、たとえ、情報不足の中でも、限られた情報をピックアップしながら、選択肢を作るということは、極めて重要だということを主権者教育の中できちっと理解していただく。これが一番大事かなと思っています。三つ子の魂百までということですので、そうした教育が基本的に今までなされてきておりませんので、まさに18歳からの有権者という今回の新しい事態を踏まえて、高校生などの一種の選挙の必要性や、政治の価値などについての、なかなか難しい部分もありますが、それぞれ工夫をされて、しっかり打ち込んでいただければ、まさにしっかりとした主権者としての権利を行使できる状態が生まれるのではないかと。私は今度は主権者教育に、今まではほとんどなかったんですから、主権者教育に期待したいと思っています。

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衆参同日選挙について

NHK

選挙についてお伺いします。衆参同時選挙の可能性がまだ残っています。これについて知事はどういうふうにお考えになりますか。

知事

この頃、正論が言われなくなってきてるんですが、二院制度の意味というのは、やはり衆議院参議院が、選挙中でも、片一方の院が残ってるということで、いつでも国政の判断ができると。つまり、衆議院が選挙中でも参議院がきちっと生きてれば、参議院の判断をもって、緊急時における国会の意思だと。参議院が選挙中、半分は残ってるわけですけども、その時は衆議院が優先的に国会の判断だと。こういう二院制度のプラスの部分。二院があるがゆえに決定のスピードが遅いとか、そういうマイナスもあるわけですけど。二院制のいいところは、慎重に審議されるとか、緊急事態において片一方が選挙中でも、片一方の院で判断することができるという、この両方の双務性と独自性というものが、まさに危機の時には、有効になるということですから。いわば、仕掛けて同時選挙というのは基本的にいいものではないはずです。憲政の常道の中で。内閣不信任案が参議院選挙と同じ時期に行われて、それが可決されると。それは国会の意思で不信任が出たとしても、国民の意思を聞こうではないかというかたちで、解散に応じて解散でうち返すという。これはまさに、大義名分ですけども、仕掛けて、同時選挙に持っていくというのは、本来、望ましいものではないと私は思っております。ちょっと、生意気ですけどアカデミックに言うと。そういうふうに思っています。したがって、あるかないかという話であれば、基本的にはそういうことは望ましいものではない。ただし、権限は持っておられるわけですから。その時々の総理の判断を、やはり尊重するとかそういうことではなくて、やはりどういう判断でもって、解散に望まれるのかというその正当性があるか。院の二院制度という正当性を覆すだけの内容があるかどうか。そのことが問われるのではないかと私は思います。以上です。

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18歳以上が選挙権を持つことによる投票率への影響について

共同

またちょっと選挙に関して、先ほどの投票率の話がありましたけれども、18歳から有権者になるということで、知事は埼玉県内において、投票率というのはアップするとお考えですか。

知事

基本的にはアップすると思います。新しく出ていく有権者が積極的になるんではなかろうかと。一般的に20歳の方々は、積極性が高いと言われておりますので、18歳がクローズアップされるということに関して、高くなると思っております。主権者教育が十分であったかどうかということに関しては若干疑念があります。期間が短かったということですね、これはもう高校生の1年ぐらいからずっと繰り返し3年間、丁寧にやっていけば、相当レベルアップできるのではなかろうかと私は思っております。期間の短い部分ではちょっと残念のところがありますけど。しかし、最初の18歳ということで、関心が高まって、その部分に関しては投票率がアップできる。ゆえに、全体としてはアップに繋がるのではないかと思っております。

共同

20代の前半は特に埼玉県内すごく低いと言われていて、その辺との兼ね合いも含めても、18歳から20歳の間で、大幅にアップされる。

知事

大幅かどうか分かりませんね。もともと、生活感のない世代ですので。これやはり、自分で家賃を払い、ローンを払ったり、様々な医療費を払ったり、買い物したり、することで、生活の実感が出てまいりますので。やはり御自身が給与もない、そして御自身の手で生活をなさったり、あるいは結婚なさってより生活範囲というのでしょうか、そういうものが広がったり、子育ての費用がかかったり、そういうことに直面すればするほど、生活と政治が結びついてることなどが、より感覚的なものではなくて現実的なものになってきますので、より投票率に繋がってくると思いますが、どうしても20代の前半などは、ほとんどの方が独身で、なおかつ最近は親元から通っている方々が多いわけですから、生活の不自由さとかそういうものを感じませんので、ややつらい、投票などではつらい局面が、現実的にあると思っています。ただ先ほどから申し上げてますように、初めての1票というのは印象に残りやすいので、必ずや、投票率のアップには繋がると思っています。

共同

前半のその投票率アップにも寄与すると。

知事

そうですね、少なくとも18歳の部分がアップしますので、それはオンされると。

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カルソニックカンセイ(株)について

埼玉

カルソニックカンセイの件ですけれども、親会社の日産自動車が保有する全株式を売却するという報道がありましたけども、この影響について知事はどのように考えになりますでしょうか。

知事

そうですね、まだ新聞報道だけで正確に何も聞いておりません。それこそつい先ほどですね。1兆円売上突破したこととか、本社をこちらに移した頃の税引き後の利益だとか、租税負担を増やしていることとか、そういう御報告をされたばかりです。売り上げが6,000億ぐらいから1兆円と、それから税引き後の利益が二倍になったことなどとか、報告されたばかりですので、なんか嫌だなというようなニュースです。ただ、どういうかたちで、仮に、会社が存続していくのかによってはまた納税だとか、雇用だとか、そうした部分では一切関係ないというかたちになれば、大変ありがたいと思いますが、そういうものがあまり変化するのは嫌だなというふうに思います。

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埼玉の「埼」など都道府県名に使われる漢字の必修化について

埼玉

次期学習指導要領のことで、知事に一つお考えをお伺いしたいんですけども、ようやく改定に伴って、2020年度から小学校の国語の漢字の中に埼玉の「埼」の字を教えてもいいというような見通しになりましたけども、政令市ひらがな「さいたま」がある中で、ようやくという感じもするんですけども、このことについて。
知事

新しい漢字、覚えなければならない漢字の数の中に、20県ぐらいの県の名前が正式に入ってきてると。まだ、私も丁寧に読みきれなかったもので、申し訳ありません、数は正確じゃないかもしれませんが、埼玉県も入ってるということでそのこと自体が大変ありがたいなと思っています。難しい漢字の県等もありますので、しかし、47都道府県、難しい漢字であろうとそれぞれ居住されてる国民、そしてまた児童生徒においても、しっかり漢字として覚えていただくというのは、これは文化の問題ですので、漢字文化の問題でもありますから、大丈夫だと思っていますので、いいことだと。非常に評価したいと思います。

平成28年5月17日(火曜日)

埼玉県のDV対策について
熊本地震への支援及び県の防災減災対策について
故蜷川幸雄芸術監督について
熊本地震への支援・防災減災対策について 2
故蜷川幸雄芸術監督について 2
浦和レッズについて
アクティブシニア応援協議会について
舛添東京都知事の政治資金の扱いについて
准看護師養成校の新設について
舛添東京都知事の政治資金の扱いについて 2
知事発表
埼玉県のDV対策について

埼玉県のDV対策について(PDF:564KB)

知事

今日はドメスティックバイオレンスの現状、そして、相談や保護の課題について、県民の皆様に御報告しながら、また、このドメスティックバイオレンスの被害を減らすために御協力をお願いしたいと思います。いわゆるDVの相談の件数がこの10年で倍増しております。平成16年当時から比べて約2倍になってきているということでございます。(パネル(1)を指しながら)この青いラインは埼玉県に相談した件数です。赤の部分が市町村です。県が少なくなって、市町村が増えているというのは市町村の相談体制がどんどん充実してきたので、市町村に問い合わせをして問題解決や課題への取り組みが進み、増えてきているということでございます。この分が県が減ってきていると御理解いただきたいと思います。

基本的には男性が女性をいじめる話ですが、中には女性からいじめられるという話もあるわけですけど、何らかのかたちで被害を受けた方は、身近な市町村、あるいは県、内容によっては警察などに相談があり、そしてまた、その相談の中で、いろんなかたちの中で、場合によっては一時保護をしなければいけないとか、あるいはまた避難所に隠れなくてはいけないとか、中には相談をされた段階で自力で避難される場合もあるんですが、いずれにしても、ひとり親家庭の状況などが生まれやすいという状況もございますので、自立のための支援が必要だということで、生活保護の申請をしていただくとか、就業相談、つまり新たな就職をしていただくための相談だとか、あるいは子供が小さい場合には子育ての支援をどうするかなど、そういう課題が出てきております。一般的に言えば相談内容は、「悩みを聞いてほしい」、「別れるにはどうすればいいんだ」とか、「しつこい人だから追っかけられる可能性がある」とか、そんなことなどがあるようでございますし、また、逃げたい方も実家や親戚を頼って自力で避難される方もおられますが、先ほども申し上げましたが、なかなかそういう状態でない方に関しては一時保護をして、避難場所を定めてあげて、そちらに避難をしていただく。こういうことをやらなくてはいけない状態でございます。また、一時保護施設で落ち着いた人がいれば、それはそれで自立支援のための様々な作業をやっていかなくてはいけないと、こういう取組になっております。

こうした取組をしながら被害者を救済する、一方、鉄は熱いうちに打てという話もありますが、意外に若者の間でも知らず知らずのうちにドメスティックバイオレンスになっている場合もあるんだと。デートDVというものがあるんですが、SNSの発達によって、あるいはメールなどで、交際相手との間の暴力が非常に増加している。加害者のほうは分からなくても、被害者のほうにはそれを感じるという実態などもあって、メールがチェックされていく、数分置きに着信がされていく、GPS機能などを利用して追っかけをされる、あるいは監視をされるとか、交際中の写真が勝手にインターネット上に流れていく、こういうのも俗にデートDVと言います。20代のうちの約5人に1人が交際相手からの被害を経験していることが、26年度の内閣府の調査でも明らかになっているところでございます。将来、こうしたドメスティックバイオレンスの加害者・被害者にならないための啓発活動も必要だということで、中学生向けのデートDVのリーフレットを全中学3年生に配布したり、あるいは若者向けのものを県内大学及び短大等に配布したり、あるいはまたデートDV防止啓発アプリなども行っているところでございます。 こうしたことを県は展開しながら、できるだけ加害者を作らない、たまたま被害にあった方も救済されるような相談窓口の充実を図ってきたところでもございますが、埼玉県配偶者暴力相談支援センターは、埼玉県婦人相談センター内にございます。月曜から土曜まで9時30分から20時30分まで、日曜・祝日には恐縮ですが早めに終わらせていただいております。こちらのほうで相談ができます。もちろん市町村にも相談の窓口がありますが、市町村であると顔が割れて嫌だとか、そういう方は県のほうに御相談していただければ有り難いと思いますし、また、男女共同参画推進センターのなかでも、月曜から土曜まで10時から20時30分まで相談窓口がございます。ただし、祝日と第3木曜日と年末年始は休館となっていますので、御理解いただきたいと思います。ただ、一般的にこういったところは女性ばかりが集まっているきらいがありますので、男性被害者が相談しにくいというお話もございますので、男性のための電話相談の窓口も作っています。毎月第4日曜日11時から15時まで電話相談を受けておりますので、まずはこちらのほうから御活用いただきながら、実際にまた、With Youさいたま(埼玉県男女共同参画推進センター)などに改めて相談いただくという仕組みを取っております。もとより県の福祉事務所、市町村の担当課や最寄りの警察署でも緊急の場合には、例えば今すぐにでも対応しないと怪我をしそうな危険な状況、そういう状況が生まれそうなときは駆け込むことができますので、危険な状況の時には遠慮せずに、駆け込んでいただきたいと思います。加害者、被害者どちらも困難な状況になる前に、いろんな相談をしていただいて、比較的軽めの状態の時に問題解決が進むように県としても対応してまいりますので、県民の皆様、あるいは自分の知人、友人周辺で、そうしたことが起こっていたら、まずは相談してくださいとお伝えしていただければ有り難いと思います。以上でございます。

日経

中学3年生と大学、短大に配布しているデートDVのパンフレットなんですが、啓発という意味では作っても読んでもらわないとなかなか難しいと思うんですけど、例えば授業とかホームルームで活用するとか、読んでもらうための取組というのを何かお考えでしょうか。

知事

全体として、中学3年生、さいたま市を除いた部分には全員に配っているということでございますので、こういうことが起こっているという認識ぐらいまではされると。で、実際、自分が対象者なのかどうかとかそこまで気づかない可能性がありますので、被害者の場合は感じるわけですので、被害者のほうが相談をしていただいて、加害者を特定することによって、加害者に注意を促して、早めに事が重大化しないようにするということが、この若者向けには非常に重要なポイントになると思いますので、加害者が加害者だということを感じていませんので被害者の方が相談していただく、若い方々のところでは重要なポイントだと思っていますので、これも学校のなかで、担任の先生などがうまく説明していただければありがたいと思いますが、少なくともパンフレットを見るだけでも、こういうことだったら範疇に入るのかなということを考えて、ちょっとつらいなと思ったら御相談と、その段階でいいのではないかと思っております。

幹事社質問
熊本地震への支援及び県の防災減災対策について

日経

熊本地震の発生から1カ月が過ぎましたけども、個別にはいろいろ発表しているんですけど、この間の県による支援の状況を教えてください。それと、派遣されている職員からいろいろ報告等あると思うんですけど、それを踏まえ、今後の埼玉県としてどのような現地支援を行っていくか。また、あがってきたものを踏まえて、県の防災・減災対策にこういうことが活かせるんではないかということがあればお聞かせください。

知事

まず何よりも、熊本地震から1カ月経ったわけですが、お亡くなりになった方、被災された方、皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思っております。4月14日から保健師、被災建築物応急危険度判定士、警察官など合計で251人の被災地の派遣をしております。物的支援についてはブルーシート5千枚を要請に応じて提供しているところです。それから義援金等々が現在約1500万円集まっておりますが、必要な時期に熊本県の東京事務所を通じて、お渡ししたいと思っております。近々にそれをやろうを思っております。

それから今回の一番の課題は、ライフラインは徐々に復活していくわけですけど、避難所におられる方々の支援、これも被災地の職員の皆さん達が中心になってやられておるわけですが、看護師をはじめこうした者が派遣されながら、心のケアだとかそういったものをしっかりやっているところです。今後は徐々に被災地の市町村の職員が、いわば業務を離れて被災者の支援をしていたということですが、徐々に本来の業務に戻らないといけない。したがって、被災者の支援を他県の応援部隊にお願いをしていくという、こういうかたちになっていきますので、経験豊富というか、実力のあるというんでしょうか、リーダーシップのとれる人達を今後は派遣する段階になりつつあると、こういう認識があります。また、罹災証明の手続がだいぶ遅れております。これは度重なる余震が多いので、判定をしづらいというのが一番の原因だと思います。例えばこの1件の家で屋根が崩れております。納屋は完全に壊れましたと。この時点で罹災証明を出そうと思っても、次の余震で全部崩壊する可能性があるんです。ボディーブローのようにどんどん打たれて弱っているところに、最終的な1発で壊れると。そうすると、罹災証明を出した後に、また、罹災証明を出さなくてはいけないと、そういう二度手間もありますので。こうした部分もあるんで遅れている。我々の情報では、できるだけまとめて、罹災証明書も出したいという意向も現地のほうにあると思っておりますので、そうした部分に関しても判定士(後に「職員」に修正)をある時期になったら、大量に送り込む、一斉にそういう時期が来るんではないかと理解しております。ただ、いたずらに遅れているではないかという批判は必ずしもあたらないのではないかと現況のなかではあるとこんなふうに思っています。報告なんかを聞くと、刻々と動いておりますので、完全に崩壊してしまえば分かりやすいのですが、半壊とかそういったところではその後完全に崩壊する可能性もありますので、やりづらいというこういう話も聞いております。

それから埼玉県として今回の事象を受けて何が大事かということに関しては、肝心の庁舎や代替施設が使えないということが起こっておりますので、県内の部分では基本的には46市町村で、いわゆるバックアップデータ、仕事がすぐに出来るように、例えば本庁舎がダメでもすぐに耐震改修が終わっている施設、バックアップデータがないと仕事ができませんので、そういうことができているかどうか、いわゆる業務継続計画ですね、チェックをしたところ、46の市町村で策定済みでございますので、63市町村でございますので、17の市町村でまだ作成中ですので、4月26日に市町村の担当課長会議を開催して、早期策定をお願いしたところです。そういうことができれば、何かあってもコアができるんで、いろんなことができるというふうに思っているんでそういうふうにしてもらいたいと思っています。

それから、こうしたことも含めて県民の皆さま方にお願いしたいのは、やはりなんといっても家具を固定化すること。それから、災害用の伝言サービスの体験を一度やっていただくこと。それから、3日分以上の水と食料を基本的にバッグとかリュックの中に入れておいていただきたいということ。加えて、市町村で行われています無料の簡易耐震相談というのをやっております。無料で極めて簡単な耐震相談をやっておりますので、市町村の窓口に行って「自分の家は大丈夫でしょうか」というかたちで、無料で簡単な簡易な耐震無料相談をやってますので、これを受けていただければ、まずは安心と。そしてその上で、家具を固定化されたり、3日分の水や食料を用意をしていただいて、半年に1回くらいは水を取り替えたり食料を取り替えていただくと。そういうことをやっていただければ大変ありがたいと思っているところでございます。

今後埼玉県もまだまだ熊本の地震に関しても検証すべき課題があると思いますので、随時報告を見ながら検証をしっかりして、次なる災害の備えに対応していきたいと考えているところでございます。

故蜷川幸雄芸術監督について

日経

2つ目なんですけども、先週演出家の蜷川幸雄さんがお亡くなりになりました。まず、知事がどのように受け止めていらっしゃるかと、当日コメントも出していただいていますけれども、改めてお聞かせください。それと、1万人のゴールドシアター、県民の方も楽しみにされるようなこういうイベント、県も関わるものがありますけれども、そういったイベントで予定を変更されるようなものがあるようでしたら、それも教えてください。

知事

本当に彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督で、故蜷川幸雄氏の逝去というのは、まさに日本、世界を代表する最高級レベルの演出家ということで、大変残念でならないと思っております。シェイクスピアシリーズも37本のうち、あと5本を残すのみであったので、何とかこの5本も片づけていただきたいというふうに思っておりましたし、それ以上に日本一とも言うべき劇場からの発信力が、埼玉から日本中にそしてまた世界中に発信できるという、大変大きな力をいただいておりました。さいたまゴールドシアターしかり、そしてまた次代の俳優を育てるさいたまネクストシアターしかり、大変大きなものを作っていただきました。基本的には、この蜷川レガシーとも言うべき遺産というのは、しっかり継承していこうと思っております。いわゆる助手をなさっておられた演出家の方々もおられますし、この彩の国さいたま芸術劇場で育った俳優の方々も、この彩の国さいたま芸術劇場には特別な思いを、練習などを通じて思っていただいていることも明らかでありますので、蜷川劇場とも言うべき彩の国さいたま芸術劇場の価値を落とさないように、蜷川遺産というものをしっかり継承する仕組みを、できるだけ作っていきたいと思っております。また、1万人のゴールドシアターなどについても、とりあえず3,000人からスタートしていくわけですけれども、昨日までの段階で837人の方が応募しておりまして、蜷川芸術監督の遺志を継いだ方々に、ある意味ではきちっと演出をしていただいて、そしてまた蜷川芸術監督の志を表現する人たちにきちっと舞台に立っていただいて、この1万人のゴールドシアターができるかどうか分かりませんが、少なくとも3,000人の部分に関してはやり通して、その展開を見ながら1万人の群像劇が可能になるように、最大限芸文(芸術文化振興財団)のほうには頑張っていただきたいというふうに思いますし、現場の皆さんにも頑張っていただきたいというふうに思っております。基本的には、本当にまずは3,000人の群像劇を成功させて、それを見極めて1万人を計画できるかどうか、関係者としっかり話し合って決めていきたいというふうに思っております。

熊本地震への支援及び県の防災減災対策について 2

毎日

先ほどの地震の話なんですけれども、私も熊本の方に行きまして、自治体の方にいろいろとお話聞いていると、先ほどの庁舎の話もそうなんですけど、1回目はあるとしても2回目は全く想定できていなかった、2回目の地震さえなければ、もうちょっと業務の継続とかもスムーズにいけたのにという話であったりとか、物資についても熊本市なんかは1回目は対応できたけど、2回目はお手上げだったというような話もいろいろあって、震度7の地震が2回起きるということが全く想定されていなかった。それは全国的にもそうだと思うんですけど、先ほど知事もおっしゃっていた業務継続の関係からいっても、2回続いて起きてもある程度やっていけるようなかたちでやっていくには、いろいろな見直しが必要だと思うんです。地域防災計画には、震度7の地震が短期間に2回起きるという想定を立てているところはどこもなかったという一部報道もありますけども、そのあたり知事、今回のあのような結果を見られて、地域防災計画とか業務継続計画等の見直しと言うのでしょうか、そういうことを聞きたいと思います。

知事

とてもいい論点を指摘していただいたと思っています。いわゆる連続して震度7以上の地震があったことに対して、崩落度というのでしょうか、被害が広がったと。したがって、御懸念の部分で耐震改修や耐震構造のものが本当にもつのかどうかと、こういう御懸念があるのではないかというふうに思います。市町村の主たる役場を中心に耐震改修をやっているわけですが、それができていない場合には、近くの中央公民館であるとか何とかセンターというのを耐震改修や耐震構造の中で業務継続が可能な状態にしているところですが、それが本当に耐えられるのかどうかということについて、これはまた確認をするというのも大変なことでありますけれども、熊本で一定程度の経験を得ておりますので、これは一定程度の科学的根拠に基づいて、拠点だけはしっかり見直しておく必要があるのではないかというふうに思っております。大なり小なり、まさに助けなければならない司令塔が壊れているということでは話にもならないわけでありますので、司令塔がきちっと機能することが可能かどうかを、やはり確認しなくてはいけないと思いますが、その確認作業があるかどうかも今のところまだ確認ができておりません。どのようなかたちで本当に確認ができるのか。7以上の震度があって立て続けにまたそれがあった時に、どのような変化を起こすのかということを、今の時点ではなかなか調べられない状況ですので、一定程度の時間が経って熊本の事例を援用しながら、これは全国的にもやはり国の力を借りて、国の科学力の総力を結集して、測定できるようにやらなければならないのではないかというふうに私も思っております。これは相当国の力が必要になってくるのかなと思います。相当な力仕事、初めてのことだというふうに思いますので、それだけの機材だとか機器などが本当にあるのかどうか、そしてそれがチェックできるのかどうかもしっかり確認をして、それがあれば全国的には、例えば埼玉では63か所最小限度チェックをしないといけないわけですね。この県庁あるいは警察署等々。だから63か所で済まないかもしれません。もっとかもしれません。100か所くらいあるかもしれませんが、そうした拠点を一応はチェックしておくと。そうすれば、もっと強力な耐震改修が必要であるとか、そういったことも見えてくるかもしれません。あるいは、もうそういうレベルだと役に立たないのでもう一つ考えていくとか、そういうことも必要になるかもしれません。いずれにしても、予見できるものが今のところ材料としてありませんので、今後の課題としてしっかり受け止めておきたいと思っています。

毎日

先ほどの話ですけど、想定そのものを変えるということはお考えでしょうか。地震の想定とか、おそらく震度いくつかの地震が1回起きた場合の想定だと思うんですけれども、そこのところはまだ変えることも想定され得るのか。今回実際に起きてしまったわけですけれども。そこはどうでしょう。

知事

それも検討課題でしょうね。2度連続して起きた時にどうなるかということを確認する作業がやはりあると思いますので、その確認する作業の中で結構厳しい結果が出てくれば、完全にやり直しをしなければならないということになるかもしれません。

毎日

それは地域防災計画を…。

知事

そういうことになります。

毎日

その結果次第では、やはり見直しも余儀なくされるのではないかというお考えか。

知事

今の時点では何もまだ申し上げにくいところですけれども。こうした研究がなされてませんので。今後、その研究を国が総力を挙げてやるべきですね。

毎日

それに応じてまず考えると。

知事

対応したいと思います。

故蜷川幸雄芸術監督について 2

読売

蜷川先生の関係なんですけれども、芸術監督ということで非常に埼玉に御貢献された方だと思いますが、上田知事御自身が蜷川先生と何か思い出とか、こういう時にこういう話をしたとか、そういう具体的なエピソードがあれば教えていただきたいと思います。

知事

そうですね。たくさんありますが、私が一番印象深いのは、彩の国芸術劇場というのは、観客席以上に舞台が広いです。奥行きが広いです。したがって、もう次の場面を後ろ側に用意することが可能だというかたちで、演出の幅を広げることが可能で、観客席が小さいもので興業的にはいささか課題がないわけではありませんが、しかしその分だけ演技をされている俳優の息遣い、極端に言えば唾まで感じることができる。汗の流れ落ちるものも感じることができる。汗の匂いまで感じることができるくらい、迫真の演技を身近に感じることが可能であった。そういうことも含めて、蜷川芸術監督は私に「世界の劇場の中で5本の指以上のものが、この彩の国さいたま芸術劇場はある」と。では、「3本の指ですか」と聞いたら、「そこはちょっと言いにくい」と。しかし、5本の指以上だと言うから、では4本かなと思ったりしたのですけれども、「3本ですか」と言ったら、「3本と言い切るのはつらいけれども」なんて言いながら、物の見方がいろいろあるから、3本という言い方もあるのかもしれませんが、人によっては4本になるかもしれないと。ただ、5番目ということはないぞというニュアンスを感じました。そのくらい劇場を愛しておられたと言うのでしょうか、好きだったというより愛しておられたというのが、少なくとも表現上正しいのかと思っています。したがって、渋谷の文化村で行われる公演ですらも、彩の国さいたま芸術劇場で練習をされるという、たぶん俳優の方々は、都内にいた方が便利な場合が多かったのではなかろうかと思うんですけれども、あえて埼玉の方に忙しい有力な俳優の皆さんたちをこちらに呼んで、練習をさせるというのでしょうか、練習をするというのでしょうか、そういうことまでされているくらい、非常に気に入っていただいておりました。もう最高だと常に言って。何と言うのでしょうか、まさに溶け込んでおられたと言うのでしょうか。自分の居場所というそのくらいのですね。だからいつも、例えばゴールドシアターなどに激励などに私が行っても本当に生き生きとしておられて、ここにいること自体が楽しいという、そのくらい彩の国さいたま芸術劇場に関しては一体感を持っておられて、そういうエピソードを探せば山ほど出てくるくらい。だから、稽古場にはプレートもありますので、蜷川劇場のプレートもありますので、もし何か多くの県民の皆さんたちの、また議会などのお許しをいただければ、何らかのかたちで蜷川を冠したものが劇場の一角に、今もシェイクスピアや劇場の場面場面のポスターと言うのでしょうか、そうしたものが張りめぐらされているのですけれども、それ以上の何かを記念碑的に、モニュメント的に、メモリアル的に何か出せれば、まさに蜷川芸術監督に対する供養にもなるのかなと、こんな思いを持っております。

産経

議会の許しを得ればということ前提でしたけれども、イメージとしては、劇場の中に蜷川さんのメモリアルコーナーみたいのを作られる…

産経

全くないんです、イメージが。何かあったらいいなという。だから、どんなものが一番いいかも私の中には出てきません。場合によっては、県民募集なんかもあってもいいのかなと思います。無茶苦茶劇場が好きだった方ですのでね。呪いがかからないように、しっかりと。

その他の質問
浦和レッズについて

NHK

浦和レッズの関係でお伺いしたいんですが。筆頭株主の三菱自動車が日産の傘下に入るということで、いわゆるJリーグ規約の株式保有に抵触する可能性があるという話があがっているんですが、現状県としてどのように把握されていて、知事としてこの現状をどういうふうに受け止めているかと。今後何か県としてアクションとることがあるのかどうか、このあたりについてお聞かせください。

知事

今の段階でJリーグの規約の枠の中で解釈が済むのかどうか、済んでいただければ一番ありがたいなと思っております。これが基本的な立場です。そうじゃなくなったときにどうするかという議論は今の時点ではまだ考えておりません。何らかのかたちで打開策をその時は今のレッズの首脳陣と相談をしながら考えていくべきで、今の時点で県が「ああしろ、こうしろ」ということではないのかなと思っております。

アクティブシニア応援協議会について

埼玉

昨日アクティブシニア応援協議会第1回目が行われましたけれども、委員の方からはシニアの方のニーズをきめ細かく把握して、それを反映させていくべきじゃないかという御意見もありましたけれども、昨日の今日で恐縮なんですけれども、知事は意見を踏まえまして今後アクティブシニアが活躍するための環境をつくるためにはどのようなことが大事になっていくとお考えになっていますでしょうか。

知事

何らかのかたちでシニアの皆さんたちがアクティブであることだけはある程度はっきりしているんですね。ただいわゆる都内に通っておられたような人たちは、そのことのロスがありましたから、通うときの時間とかロスがあるので、平日に戻ってから何かの趣味の会に出るとか、あるいは地域活動で防犯のパトロールをやるとか、そういう機会にあまり恵まれていなかったので、改めて地域活動にデビューをするというこのプロセスが一番困難な部分ではないかというふうに思っています。この部分をまずクリアすれば、相当数のシニアの皆さんたちが就労でもボランティアでもあるいは趣味の世界でも、積極果敢に登場される可能性が高いと思っております。 人数がどうなのかということに対しては、市町村の住民基本台帳だとかそういったものでいけば、人数そのものは把握できるのかもしれませんが、これいちいちプライバシーの問題もありますので、電話で追っかけていくという話でもない世界だと思いますので、市町村の縁の中で取り込みをどんどん図っていくというかたちをとって、最終的にはある程度の人数も掌握できるようになっていくと思っています。今の時点で人数の掌握というのはちょっと困難だと思います。総数としての人数は分かっていても、じゃあその中で何パーセントの人たちが就労で、まあ就労も分かります、何パーセントの人たちがどうだというのは完全に把握するのは難しい。ただし一定程度の世論調査をすることで、割合を確認することは可能です。

舛添東京都知事の政治資金の扱いについて

朝日

東京都の舛添知事のお話なんですけれども。先週の金曜日に定例会見で御自身の政治資金の運営について説明された中でも、なかなか都民とか一般有権者の理解がなかなかできない部分とかがあったり、特にリゾートホテルに泊まった宿泊費、そこで会議をしたということで政治資金というかたちで出してたり、ちょっと感覚として理解しずらい部分があったりしたんですけれども、上田知事は報道等で見られただけかもしれないですけれども、説明聞かれて同じ政治家として納得できたのかどうかという点をまず教えていただければと思うんですけれども。

知事

僕らの世界というのは法理論的に解釈可能とか、法律をクリアしていれば良いということだけで済まされるかというのがあります。我々はリーダーでありますので、例えば政治資金の扱いに関しても、どの市町村民あるいは県民を代表する立場でありますし、舛添知事も都民を代表する立場でありますので、どの国会議員よりも説明可能な状態にしておかなくちゃいけないと、要するに法律がクリアしていても、あるいは法理論的には可能でも、説明するときに必ずしもみんなが納得するようなことができないような説明になってはいけないと思っております。そういうことがやっぱり法律以前の世界が私たちには要求されているんじゃないかと思っております。まさに私もニュースの中で、トップリーダーというのが何回かパッと流れたんですが、まさしくトップリーダーというのは解釈上可能、法律の枠内だけで済まないものを要求されている。こんなふうにお答えすれば分かっていただけるのかなと思っています

朝日

御自身の経験の中でこういう宿泊施設どう見ても会議を行うような場所ではないのかなという感じがするんですけれども、ああいう場所で、場合によってはあるかもしれないんですけれども、それを政治資金でやるというのはどうなのかなという感じはするんですけれども。

知事

なかなか思いつかないですね。もし政治資金でもやりませんが、正月二日とかにそういうリゾート地に秘書さんだとか選挙関係者を集めるんだったらその人たちの家族も呼ばないと申し訳ないと思いますね。その上で申し訳ないと2時間なら2時間、「会議やるのでよろしく」と。もちろんそれは政治資金ではなくて、まさに自腹をきって御招待するというようなかたちなのか。そのこと自体はひょっとしたら何らかの公選法に触れるのかもしれませんけども、触れない枠の中でそういうかたちを取らざるを得ないんじゃないかと思います。少なくとも正月なんかに引っ張り出すということ自体は、奥さんでも引っ張り出してこないと、なかなか申し訳ないなと思いますね。

NHK

この件に関連してですけれども各社の世論調査と言いますか、街頭の声を聞いていますと「辞めるべきじゃないか」という声もありますし、一方で前任者がまさにこういう問題で辞任していることを受けて「何回も選挙するのもしんどい」という声もありますが、知事は今回の件を受けて進退についてはどうあるべきだとお考えですか。

知事

進退は本人が考える話で、他人がとやかくいう話ではないと思います。犯罪行為だとかそうしたことであれば話は別でしょうけれども、解釈を巡って議論がなされているところを、誰かがこの解釈が唯一絶対のものだとは、なかなか言い難いと私は思います。

准看護師養成校の新設について

朝日

准看護師の関係で。以前弊社の取材に応じていただいて。准看護師の養成校が県内でも久しぶりにこの4月にできましたけれども、改めて今准看護師と言うのは全国的には例えば日本看護協会等は廃止を求めてたり、そっちの意見も根強い中で、新たに作られた意義というのを一点改めて教えていただきたいのと、あと弊社の取材では神奈川県の方ではそれは知事の肝入りだとは思うんですけれども、廃止という方向にもっていっていて、埼玉県の対応というのは理解できないということをおっしゃっていたりするんですけれども、それについて知事御自身としてはどう思われているかを伺えればと思うんですけれども。
知事

いわゆる職業の選択の自由みたいなのもありますよね。准看護師を望む人たちが現にいると。正と准を分けることはいかがなものかと。一種の差別ではないかという議論もあります。

しかし、准看護師からスタートすることが、自分の人生の中ではやりやすいとかそういう人たちもいるという非常に難しい話です。難しい話ですので、最終的には正看護師だけの世界が望ましいと私も思っております。ただし、そのプロセスの中で准看護師が絶対悪だという話にするにはちょっと酷な話があると。現実にニーズがあるし、希望される方々がいて、なおかつ医師の方々もそれを許容されておられると。より高いレベルでということを要求される看護協会の皆さんたちの公式論もよく分かります。しかし、現場は違うところの論理でも動いておりますので、この辺がなかなか辛いところですよね。認可保育所が良いはずだと。しかし、無認可で全部否定できるかというと、なかなか否定できないという。そういう話と少し似たところあるかもしれません。認可のところで経営がきちっとしているかどうかというのも課題がありますし、無認可だけれども良い保育をしているところもありますし。准看護師さんの中ですばらしい看護活動やっておられる方々を准看護師だからだめだといって否定ができるのかという、こういう話もやっぱりあると思いますので、これはちょっと時間をおいて解決していくものではないかなと思っています。

舛添東京都知事の政治資金の扱いについて 2

産経

舛添さんの件なんですけれども。知事も御家族とか政治的な面で関連のある方等々と御旅行に行かれることもあるかと思うんですけれども、そういうところでよしんば仕事の話を少しされて、それが会議と言えるのなら会議になるかもしれない、言ってみれば舛添さんがおっしゃているのと行っている場所は違えどかなり近しい状況になる場合があると思うんですね。そういった場合にこの政治資金を使うことについてのお考えを聞かせてもらえたらと。

知事

先ほどもちょっと申し上げたつもりですけどね。トップリーダーというのはルール上可能なことでも、一般的に見て合理性がないと思われることはできないですね。だから正月のホテルの話で言えば、自分だったら政治資金の扱いには絶対ならないですね。

平成28年5月10日(火曜日)

不妊治療費助成の拡充について
春日部市の特養で医師以外の者が死亡診断書を作成した事案について
公用車の使用等についてについて
公用車の使用等についてについて2
庁舎・公の施設のマネジメント方針について
庁舎・公の施設のマネジメント方針について 2
埼玉古墳群について
IHIとの交渉状況について
知事発表
不妊治療費助成の拡充について

不妊治療費助成の拡充について(PDF:872KB)

知事

本日は、不妊治療についての埼玉県の施策について、改めて県民の皆様にお知らせをして、より安心した治療を受けていただくことが可能になるような態勢をとりましたので、御報告したいと思います。まず、「知っていますか?不妊の現状」ということでありますが、残念でありますが3組に1組の夫婦が不妊に悩んだことがあるというアンケートがございます。実は、平成17年当時と比べると増えているという状況がございます。そして、実際不妊検査や治療を受けた夫婦の割合も増えてきております。実際こうした不妊治療についても、正しく理解されておりません。男性にも実は原因がある、一般的に女性に原因があると言われてきたわけですが、こうした不妊の原因には約半分は男性側にあるという、この事実もよく知られていないということがございますので。そしてまた、不妊治療しても場合によっては年齢が重ねられると妊娠率がどんどん低くなっていくという、こういう事実もあるということについても、やはり理解をしていただきたいと思っているところです。したがって、不妊に関する情報の発信を、県としてもしっかりとやっていきたいと思っております。そこで、これまで先駆的に不妊治療についての助成事業をやってまいりました。不妊治療のうち高額な特定不妊治療、体外受精であるとか顕微授精の費用について、1回あたり上限を15万、最大6回までの助成を行うと。残念ながら43歳未満ということで、年齢制限を設けております。これは女性の可能性の問題ということもありますので、誠に申し訳ありませんが年齢を区切ったりしております。そして、それを今回改めて、初回に限ってだけは15万を30万にしようと。したがって、例えばこの治療費が40万円だった場合、これまでは15万だったのですけれども、30万ということで。4分の3は負担が減るということになりますので、とにかく不妊治療の検査を受けやすくなったと、治療を受けやすくなったというかたちになっております。とにかく、早めに行ってくださいという意味を込めて、初回だけはちょっと高い額に、すごく応援しますよという、まさに応援であります。また、男性不妊治療費の助成についても、これまで特定不妊治療に必要な男性不妊治療、精子の採取術の費用に対しても、これまでは10万円だったのを女性と同じように15万ということで、上限が最大6回まで同じようにしてまいりますので、一般的にいえば治療費の目安が20万から50万くらいの間ですので、このうちの15万は出していただけるということですので、20万だった場合は4分の3は治療費がかからないというかたちで、自己負担が減るというかたちになりました。是非、不妊治療に関しては夫婦一緒にしていただくと、こうしたことをやっていただきたいというふうに思っております。男性不妊に関する簡単な検査であれば、一般的には産婦人科もしくは泌尿器科などに行くことが可能であります。そこで、強力な応援団に出現していただきました。ダイアモンド星ユカイさんであります。レッド・ウォーリアーズのボーカルとして活躍されておられましたが、最近ではタレント業として幅広く活躍されていますけれども、私生活で男性不妊治療をやって3人の子供を授かったというかたちで、御自身が実は大変悩んで悩んで悩み抜いた。しかし、ちゃんと治療を受ければうまくいきますよということを、オール男性の皆様に知っていただきたいというかたちで、一生懸命応援をされております。著書でも、自身の無精子症や不妊治療体験について語っておられます。メッセージとしてこんなことを言っておられます。「不妊治療は女性だけのものではありません。男性の100人に1人は、無精子症です。自分もそうでした。夫婦ともに不妊治療に立ち向かい、今は、掛け替えのない子供達と一緒です。こうのとり大使をやらせて頂く上で男性不妊を出来るだけ多くの方に知ってもらう事を使命と感じ頑張っていきたいと思います。」というかたちで、埼玉県こうのとり大使に今度なっていただくことにしております。5月23日13時に知事室にて就任式を行う予定でございます。こうしたダイアモンド星ユカイさんみたいな、とにかく明るい感じで、しっかり不妊治療をやれば大変楽しい、楽しいという言葉は失礼かもしれませんが、夢が開きますというかたちで一生懸命応援をされておりますので、ダイアモンド星ユカイさんのメッセージも紹介させていただきました。最後に、不妊治療に関する相談の窓口の御案内でございますが、面談のところでは埼玉県不妊専門相談センターであります。専門医が面談形式で相談にお応えします。埼玉医科大学総合医療センター内でございます、川越市の。予約していただきたいと思います。電話で予約をいたします、049-228-3674。面談の日時は毎週火曜日と金曜日、午後4時から5時というかたちになっております。そして、現在行っている治療に不安がある方々に対しては、電話相談ができます。不妊・不育症・妊娠サポートダイヤル、助産師が電話でお話を伺います。電話番号が048-799-3613、毎週月曜日と金曜日、午前10時から午後3時までであります。また、こうしたことについても遠慮なく埼玉県の保健所などにも御連絡をいただければ御案内をさせていただきます。また、県の広報広聴などについてもお尋ねがあれば親切に対応していきたいと思います。以上、不妊治療費助成の拡充、あるいはまた不妊の現状そしてその対策について御報告させていただきました。以上です。

日経

今の御説明で1点。この助成なんですけれども、これまでもやられてきたということですが、これまでの利用実績がどれくらいあるのかということと、そういった利用状況を鑑みてのこういう今回の拡充なのかどうかというところをお話いただければと思います。

知事

数的には極めて少ない。まだまだ不妊治療そのことがマイナーな世界になっている。これはもう意外な結果でもありました。ちょっと数は覚えておりませんが、後ほど御連絡しますが、極めて少ない状況です。制度を用意した割には少ないと。(数が分かれば答えるよう健康長寿課長に指示)

健康長寿課長

今、知事からお話を申し上げたのは男性不妊の関係で、新たに埼玉県として平成27年度から制度を設けました。こちらの実績が44件ということで想定をかなり下回っております。こちらについては、東京なども同様に昨年度から新たな制度としてスタートいたしましたが、同様に2ケタの件数で非常に全国的に傾向として低い状況で、男性不妊についての認知度が低いというのが全国的な状況でございます。

知事

そういうこともありましたので、過去に例のないかたちで、こうした不妊治療に関しての御報告と啓発のための記者会見をさせていただきました。3組に1組くらいは、何らかの形で結婚後不妊などに悩んでおられる事実がありながら、制度がそれぞれ用意されながらも意外に男性の皆さんたちは病院等々に相談されない、あるいは治療を受けられないという実態がありますので、是非この不妊の問題は半分は男性の問題だという認識に立って、是非お悩みの方々は御相談をしたり、あるいは病院に行っていただいたり、そして県の助成事業に注目をしていただいて、自己負担を軽くしながら、気軽に相談に応じていただければというふうに考えているところでございます。

朝日

この不妊治療に関して、国の方も確か補正予算か何かで昨年度組んでいたかと思うんですけれども、県単独でされている部分、独自でされている部分がもしもあれば教えていただければと思ったんですが。

知事

県単独でとは。

朝日

要するに国の方でも補助金等でやっているかと思うんですけれども、県単独でこの不妊治療に関して予算を用意してやっている部分があれば、教えていただければと思います。

知事

先ほど申し上げたように、昨年までの1件あたり15万、最大6回までというのを、初回に限っては30万というかたちにさせていただいたのも、まさしく1回目のインセンティブを高めるために金額を多くして、これはまさしく新しい仕組みだというふうに県として思っているところです。

朝日

これは、15万円から30万円に拡充したのは県が独自に財源を用意して・・・

知事

もちろんそうですね。(健康長寿課長に確認)

健康長寿課長

国の制度でございます。初回上乗せ分についても。

知事

国の制度。県の独自というのはあるのかな。(健康長寿課長に確認)

健康長寿課長

男性不妊の10万円、昨年度やった部分は県の独自でございまして、国が制度を作って今年度から15万円にしたというかたちで、今回は県の制度が国の制度に合わさって充実されたというかたちでございます。

朝日

そうすると男性不妊に関しては県が始めて、それを国が追っかけたということですか。

知事

要するに、男性の不妊に関しての啓発運動があまりなかったということです。ここにポイントを絞ったということになります。

産経

男性不妊について、昨年400件ぐらいを想定されていたかと思うのですけども、ダイアモンド星ユカイさんに、このこうのとり大使に就任してもらってですね、利用を増やそうということだと思うんですけども、具体的に何か、もう既にこんなことをやってもらいたいとか、具体的に決まっていることが何かあれば教えてください。

知事

ダイアモンド星ユカイさんに関して、既にホームページでご紹介をしているところでございます。(後に削除)そしてまた、本人の書籍、「タネナシ。」というものを出版されているところでもございますし、また、本人がいろんなところで番組に出演されているところでも、こうしたアピールをなさっておられますし、今後、埼玉県も彩の国だより、あるいはまた他のラジオ、あるいはまたテレビなどを通じて何らかの形でダイアモンド星ユカイさんに登場していただいて、アピールをどんどんしていただくことを考えているところです。

幹事社質問
春日部市の特養で医師以外の者が死亡診断書を作成した事案について

日経

春日部市の特別養護老人ホームで、医師がいないときに看護師が入居者の死亡診断書を作成したという事案がありましたけれども、県として、再発防止策として、再発防止にむけてどのような指導を事業者にされていくのか、また他の施設に対して調査などをされるお考えがあるのか、そのあたりをお聞かせください。

知事

基本的には医師法違反というかたちで、関係者の法令順守の精神が欠けていたというのが、この問題の一番のポイントだと思っております。基本的には医師が死亡診断のもの(後に「書」に訂正)を記入することになっているのですが、看護師が書いてしまったという、そういうやってはならないことが起こったということでありますので、大体こういうことがあると、ほかのところでもやっている可能性があるのではないかということで、念のために、全て、中旬以降、具体的に全部の指導をするために、特別養護老人ホームを含めて、老人福祉施設を定期指導するときに、死亡診断書のチェックや再発防止を指導していきたいと思っています。これまでの死亡診断書が問題なかったかどうか、そういうのを全部一回は見させていただくということを考えています。大体5月中旬以降それをやろうと思っています。同時に、こうしたことが起こってはならないということで、きちっと指導しようと思っております。もう既にこうした社会福祉法人の管理者の意識改革だとか施設職員に対する研修の充実強化ということを、それぞれの施設長会議や市町村の監査業務担当者会議で具体的な事例を紹介しながら、再発防止を徹底していこうと考えているところでございます。

公用車の使用等について

NHK

連休の前半の方にちょっと表になった話で、東京都の舛添知事なんですけども、毎週末、湯河原に行っていたと。公用車で行っていたということで、その是非についていろんな意見があると思うんですけど、知事は今回の舛添知事のですね、週末東京を離れると。公用車を使って離れるということについてどのようにお考えになるかということと、併せて知事ご自身は例えば休みの日に遠出をすることですとか、公用車の使い方について、どのように線引きといいますか、考えを持っていらっしゃるのかということをお聞かせ願えますでしょうか。

知事

まず、東京都の仕切りに従って舛添知事はなさっていたというふうに聞いておりますので、そのことは問題ないと思っております。それから私が知っている限りでは彼は股関節を痛めておりましたので、温泉治療もいい方法だという判断もなさっていたのではないかと思います。ただ、そのことをあまり強調されていないのかなと思っているところです。ただ、いくつかやはり課題はあると思います。この一年の間にも大雨警報だとか、台風の上陸だとか、あるいは大雪の警報だとかということがありましたので。そういう時はやはり念のために控えておくということは危機管理上必要だと思っております。いろいろな会合でも例えばやはりそういう状況の時には会合には出ても、お酒を控えるということは自ら課している話であります。あと、何らかのかたちで担当者もそうした時にはそういう準備をするというんでしょうか。そうことですので、トップももちろん、実務者の責任者がそういうことをすればトップがそこまでする必要はないという考え方もあるかもしれませんが。ただ、何が起こるかわかりませんので、極端なこと言うと、私は休日でサウナに入っていても一時間おきに携帯を見るようにしております。山火事が起こっている可能性もありますので。そうすると時と場合によっては自衛隊に出動の要請をしなくてはいけない。その判断をしなくてはいけませんので。そういう意味では、休暇を取っていても連絡が取れる、あるいはまた、サウナの中まで携帯を持っていくわけにはいきませんので、一時間おきにロッカーに戻るということをしたりします。そういうことで仕切りをつけているつもりです。もう一つ、後段の部分ですが、公用車の使い方については基本的にはそれぞれの県の規則や慣例や手続きがあると思いますが、その枠の中に入っているからといっても、世間的に見てちょっと違うかななどということに対しては自省しているつもりです。例えばOKだといわれても、場合によってはこれはプライベートな要素が強そうだなと思ったりすれば、自制をするとかそういうことはやっているつもりです。個々の事例で申し上げるのはちょっと困難ですけども、少なくとも公用車の記録を追っかけて、なんかこれは不思議だなということのないようにしているつもりです。

NHK

そうすると、サウナの話とか非常によく分かったんですけど、今回の東京都の知事が公用車を使っていたということ、及び、都外に出ていたということについては、都の仕切りの中、ということで基本的には問題ないという御認識・・・

知事

そうですね。ただ世の中は、法律的にとか規則的には正しくても常識的にはいかがなものかというのがあるので、そういう部分を常に指摘される可能性があるということを、私は考えます。

公用車の使用等について 2

毎日

例えば、5月1日のメーデーの後に知事は大宮駅の駅頭で募金の活動をされて、その後、JRで帰って行かれる姿をお見かけしたんですけども、ああいうふうに、やはりメーデーというのは少し公務に準ずるような、公式的な式典のような活動ではあると思うんですけども、そういうところでもやはりなるべく公共交通機関を活用して移動しているっていうことを心掛けているということなんですかね。

知事

メーデーというのはもちろん埼玉県を代表する連合埼玉労働組合の代表者の大事な集会。そしてまたいろいろな形でこうした連合埼玉とも、埼玉県は雇用の問題、あるいは労働災害等々を含めて協力関係にあります。非常に政治・行政上のパートナーの部分でもありますし、また、公の国会議員や市長さんや、あるいはまた県会議員さんなども多く出席されています。これは何のはばかることもなく公務です。この公務のために車で行って、その帰り道に例えば私用で、どこかに行くとして乗っていても構わないと思っております。ただ、構わないとは思ってはいますが、どっち側が便利かということも含めて、あるいはその後、緑の募金活動。これも一種の公務です。緑化推進委員会の会長という立場の中で、県にもこの緑化推進委員会は協力をしていただいていますし、緑の再生等にも御協力していただいていますし、ボーイスカウト・ガールスカウトの皆さんたちにもいろんなお力添えをいただいております。これもまた公務に準ずるものですから、この仕事をした上で、次のところが仮に私のプライベートなところでも、乗っていくこともやぶさかではないと思っています。ただ、たまたま電車の路線で行った方が早いので、私は電車で行きました。往々にしてそういうことに関しても、必ずしも乗ることの問題はないとしても、多少自制しているところはあります。

庁舎・公の施設のマネジメント方針について

埼玉

先日発表されました県有施設のアセスメントの件ですが、廃止集約化する施設が10施設くらい検討するということでしたけど、中でも上尾運動公園プールに関して廃止も検討するということでしたけど、議会ではセントラルパーク構想を掲げる議員の方もいらっしゃいますけど、知事は上尾運動公園プールに関してどのようにお考えなのかということと、もう1点、関連するんですけど、浦和図書館とか熊谷会館を既に廃止されていますけど、廃止後そのままの状態になっているという状況の中で、やはり廃止するにしてもある程度方向性を持って廃止した方がいいのかなと思うんですけど、知事はこの点はどのようなお考えでいらっしゃいますでしょうか。

知事

あるいは御承知のとおり、28年までに改修をするか、あるいは新築するか、27年度までに耐震能力の無いものは改修するか、あるいはまた新しく造り直すか、あるいはつぶすかというこういう3つの選択肢があって、基本的にはこれはつぶすという判断をしております。したがって解体して、その上で次なる利用が明らかになるまで、暫定的な利用をするというのは当然のことであります。例えば駐車場で暫く使うとかそういうことは考えていきます。無駄のないようなかたちにしていきたいと思っております。ひょっとしたら、いわゆる東日本大震災級、もしくはそれに準ずるものがあった時に崩落の危険性がある以上、速やかに撤去するなりして、その上で当面利用を決めるまでの間、暫定的な利用をするという考え方をしていくと考えています。熊谷会館についても同じような考え方です。上尾のプールに関しては、廃止も含め検討課題であります。利用者数が減っていること、それから老朽化していること、全く新しいものを造る場合どうなるのか、そういういろんなことを考えなくてはいけないと思っていますので、そういうことを踏まえて今後、しっかりと上尾市とも、いろいろな協議をしなくてはいけないと思いますし、また、議会でも適宜御提案もいただいているところですので、そうしたものも含めて考えていきたいと思っています。どちらにしても無駄のないような利用の仕方、県民負担が後世に渡ってあまりならないようにしていかなければいけないと思っています。みんなね、たくさんいろいろなものがあったほうがいいというのは当たり前ですが、それを維持したり、造ったりする費用に関して税金を払うのは嫌だと皆さん言いますので、「ではどうするんですか」という話になってくると、それは借金でというわけにはなかなかいかないと思いますので、やはりそれなりの整合性を持って、限られた財源の中で何を有効に活用するかとか、何を新築していくかとか、考えて判断をしなくてはいけないと思いますので、出来るだけ、県民の皆さんに御理解を頼みながらやっていきたいと思います。

庁舎・公の施設のマネジメント方針について 2

埼玉

その関連で、上尾の運動公園に関して、近くに県立武道館もあり、アイスアリーナも造られて、割と人が集まる空間になっていると思うんですけど、知事としてはある程度人が寄れるような何かテイストというか、そういう青写真はあるんでしょうか。

知事

決定的なものはありません。まず、上尾運動公園そのものが非常に快適な空間でもありますから、そういう快適な空間をどういうかたちで活用するかというのは、やはりいろいろな意見があると思います。そして、それぞれ時代の要請があると思います。例えば子供が多い時代に海なし県の埼玉県にプールが必要だと、こういう課題がありました。現在、高速道路網が非常に良くなって、新潟まで簡単に出れるようになった、千葉まで簡単にもう行けそうと。こういう状況で本当にプールが必要かどうかという話も。やはり、子供の数も減ってきていると。自ずから260万人(後に「140万人」に訂正)いた子供が90万人になっているときに、県営のプールが4つあっていいかどうかという話、260万とか240万で4つだったら、60万で1つということになってくるので、では2つあればいいではないかという話(後に削除)になり兼ねない話です、単純な数字で行けば。ただし、距離なんて問題もありますのでそういう訳にはいかないと。いろいろなかたちで学校にもほとんどプールが設置されていますし、民間にもいろんなプールがありますし、時代時代の要請で、今度は何が必要かというのもやはり必要になってくるんじゃないかなと思いますので、上尾市の意向もよく確認して、埼玉県全体として、いったい何が一番有用なのか考えていくべきではないかなと思います。

埼玉古墳群について

埼玉

行田の埼玉古墳の関係のことで知事のお考えをお伺いしたいんですけど、世界遺産登録ということで活動をされてて、もう一度地元では世界遺産登録を目指して、このゴールデンウィークなんかも大分イベントなんかも行っていたようなんですけど、知事としては今後もう一度世界遺産登録を目指して、なんかサポートなりお考えがあったらお願いします。

知事

そうですね、世界遺産の評価基準が1回変わりましたので(後に「変わってきまして」に訂正)、単体そのものよりもその周辺全体の風景というのでしょうか、そういうものを評価するようなかたちになりましたので、例えば石見銀山なんかも、洞窟そのものではなくて、その周辺の田舎町がそのまま残っていることが、ある意味では評価されているようなところがありますので、行田の場合、9つの古墳群が大変価値のあるものだというふうに思っていますが、その周辺は開発されて、ちょっと十分な風景を作りきれない部分があるので、こうしたものの評価が低かったというふうに思っていますので。あと群として見られるいくつかの、単体ではなくて、例えば東松山のラインまでぐらいの古墳群が、圏央道沿いにいろいろあるんです。そういうものと一括する方法なんかもあるかもしれませんし、あと、ストーリーですよね。その歴史的なストーリーをどんなかたちでもう1回構築するかとか、そういうものも含めて、今、どういったかたちだったら世界遺産に登録されやすいのかということの研究もやはりすべきだというふうに思います。そういうことをしたうえで、改めて挑戦をしなければいけない、こんなふうに思っております。

IHIとの交渉状況について

日経

農業大学校の跡地への企業誘致のことについてお伺いしたいんですけど、先日、報道を受けて知事のコメントとして、「IHIが検討いただいていることについてはありがたい」とした上で、「まだ決まった話ではないのでこれ以上コメントは差し控えたい」というコメントでしたけど、同日の日刊工業新聞さんの紙面を拝見すると一応「双方でいまのところ一致している」とお答えなられているんですが、今IHI側との交渉の状況がどうなっているのか、最終的な局面にあるのか、今後、どういうふうに合意に向けて進んでいかれるのかというところをお伺いします。
知事

基本的にはいい立地場所だという認識を持っておられると思います。鶴ヶ島のジャンクション、圏央道と関越道がぶつかったところでもありますし、なによりもインターから降りてすぐという非常に交通の便もいいところだと。あと周辺はどうなのかという課題も出てきます。周辺のインフラはどうなのか、道路、水道等々です。そういう細かいことも当然企業としては、地元の市と県はどういう対応をしてくるのかとか、大枠として、問題ない極めてベストな地域だと、こういう判断をされるわけですね。でも、その周辺に関しての整備をきちっとやっていただけるのかどうかとか、そういう工場が稼働するときの周辺環境というのでしょうか、そういうものについてどうなのかとかを細かく今度は確認しなければいけないことが出てくるわけです。そういうことを今後詰めていかなければいけないので、その詰める段階で、重要なところで何か欠陥があったりすると、「ゴメンね」という話もあり得るわけです。まあ、しかし、我々もそういうことで、「ゴメンね」という世界をあまり作りたくないですから、鶴ヶ島市が責任を持ってやる部分、県が責任を持ってやる部分等々をきちっと整理しながら、企業側のニーズ、我々が常に言っているのはワンストップ、クイックサービス、そしてオーダーメイド。このオーダーメイドの部分に関しても対応できるようにしてあげたいと思いますし、企業は特にスピードを大事にしていますので、クイックで勝負していきたいと思っていますし、「あっち行け、こっち行け」という話も困る話なので、できるだけワンストップで受け止めていきたいというふうに思っています。こういう条件が整ったときに初めて合意というかたちになりますので、今の段階では大枠では非常に気に入っていただいている、気に入っていただいているということに関しては大変こちらとしてはありがたいし、しっかり受け止めていきたいと。今後細かい話が出て来るでしょうから、その細かい話に関しては今言ったような3つのクイック、ワンストップ、オーダーメイドと、こういうサービスで対応していきたい、こういうことになります。

日経

大枠では県もIHIも一緒に進めていこうということでの方向性では一致しているということでしょうか。

知事

基本的には一致していると思っています。正式なオファーがあったわけではありません。前向きな検討という段階でしょうか。前向きな検討をされていただいていることに非常に有り難いというのが今の状況です。で、その次のプロセスが今申し上げたような周辺がどうなのかということだと思います。

平成28年4月26日(火曜日)

埼玉県の企業誘致の取組について
上尾道路の開通について
旧西武春日部店跡地にオープン予定の「匠大塚」について
投票率向上のための取組について
特別秘書の任命について
衆議院の補欠選挙について
民進党と共産党の選挙協力について
避難所対策について
アレルギーに対応した備蓄について
県内の市町村庁舎の耐震性について
県の地域防災計画の見直しについて
県内の市町村庁舎の耐震性について 2
知事発表
埼玉県の企業誘致の取組について

埼玉県の企業誘致の取組について(PDF:1,111KB)

知事

今日は、埼玉県の企業誘致の取組、とりわけ、平成25年度から平成28年度(後に「27年度」に訂正)までの3年間を中心に県民の皆様に御報告したいと思っております。この期間をチャンスメーカー埼玉戦略3.というかたちで位置付けていました。この間、221件の企業の誘致に成功し、投資総額が3,363億円、そして新規雇用が6,791人。平成17年1月から位置付けた企業誘致大作戦以来の累計では、1兆2,667億円、そして、新規雇用については28,000人、これは立地企業の計画ベースでございます。そして、どういうところが立地してきたかということで、平成17年1月からの企業誘致大作戦ですが、製造業、流通加工業、食料品製造業、その他で237件。そして、平成19年度からのチャンスメーカー埼玉戦略のときには、製造業、流通加工業、食料品製造業、その他で大体、同じような割合ですが、件数が減りました。そして、平成22年度からのチャンスメーカー埼玉戦略2.では、流通関係が多くなってまいりました。これは圏央道の整備でそういう動きが強くなってきました。チャンスメーカー埼玉戦略3.についても、同じように製造業プラス流通加工業、リーマンショックを克服した後の経済の活性化などもあり、徐々に更に強くなってきたというのが全体の流れでございます。1に製造業、2に流通加工業という感じであります。主な立地企業でありますが、北の方から申し上げれば、「(株)シェリエ」、これは洋菓子の製造販売をする企業であります。そして、「(株)アドバネクス」は自動車部品製造業でありますけども、本庄児玉インターチェンジ付近。「(株)ヤオコー」は食品販売のスーパーであります。「(株)協同商事」はコエドビールなどを中心にビールを製造しております。それからさいたま市においては、「オリジン電気(株)」、本社と技術開発部門が移転してまいりました。幸手地区には「トラスコ中山(株)」の物流施設。そして同じく有名な「(株)ニトリ」の物流施設。そして、所沢市にはシチズン時計のグループであります、「シチズン時計マニュファクチャリング(株)」が時計類製造で。そして、「日本光電工業(株)」は所沢市で、医用電子機器開発であります。そして同じく「(株)KADOKAWA」が進出を決めております。書籍製造や物流が中心ですが、中には図書館や美術館、あるいはそれに関連する若干のアミューズメント施設も造られるというかたちで、総合的なものが企画されています。これが平成25年から27年のチャンスメーカー埼玉戦略3.の主だったところでございます。今後の企業誘致戦略で、チャンスメーカー埼玉戦略4.でありますが、ちょうど1000の立地を目指すということで、T(ターゲット)1000というタイトルを付けております。28年4月から31年3月までの3年間で誘致件数は150件、企業訪問件数5,000件を加えまして、誘致業種の重点化と、フォローアップ強化で「稼ぐ力」を向上させましょうと。産業用地の創出と誘導でありますが、一般的に埼玉県はニーズが高くて用地不足の傾向がありますので、そうした用地に関しても、企業局と産業労働部と都市整備部などと共同しながら、しっかり用地の確保をしていきましょう、そして、産業用地開発に向けた市町村、市町村も土地の提供を考えているのですが、誘致そのもののノウハウはあまり持っていないということもありまして、そうしたものをしっかり支援しましょうというかたちで。また、民間事業者でも団地を造成したり、それから紹介案件なんかを扱っている企業もございます。そうしたところと連携しながら、情報を共有化しながら、スピーディーに対応していきましょうというのが決め手であります。基本的には、埼玉県は補助制度がゼロではありませんが、ほとんど、目立つようなものがありません。基本的にはワンストップサービス、あちこち行かなければ出来ないということではありません。窓口1か所で全て行うという仕組みにしています。それからクイックサービス、極めて早く対応するという、そして、オーダーメイド、企業側のオーダーに対して極力それを対応する、この3条件で勝負しておりますので、補助金で何か誘導しようというものはありません。そこで重点的に取り組む分野でありますが、これからの稼ぐ力を高めるということで、先端産業企業や成長分野の企業を誘導しようという考え方を持っています。それから本県は食品加工業(後に「食料品出荷額」に訂正)では全国3位の売り上げを誇っているところでございますし、野菜などの産地でも有力な県でもございますので、そういう意味での食料品製造業や流通加工業などをしっかり活かしていこうという考え方を持っています。また、比較的土地が高い状況であります。これも群馬や栃木や茨城と比べると例えば群馬は埼玉の1/2と、茨城が1/3、栃木が1/5(後に「1/4」に訂正)ということで、逆に言えば埼玉は群馬の2倍、茨城の3倍、栃木の5倍(後に「4倍」に訂正)という価値を持っている土地ですので、研究所やマザー工場、あるいは本社機能を持つようなレベルのものに少し集中していかないとなかなか付加価値を見出しきれないということですので、例えば、グリコなんかも大阪のグリコ本社とは別個に、グリコマニュファクチャリング(後に「関東グリコ(株)」に訂正)という株式会社にして、東側の本社機能を少し持たせたりしているところですが、そういうものにできれば少し重点化していきたいと思っております。また、往々にして、仮に川島町に立地した企業は、生産などが非常に好調だった場合、また、同じ場所でお願いしたいという傾向がございます。まさに操業上の御都合の中で、再投資ニーズというのが結構ありますので、そうした部分にも場合によったら応えられるようにできるだけ、フォローアップしていきたいと考えております。同時に、釣った魚に餌をあげないなんて話もありますが、埼玉県はそれぞれ、埼玉県に来られた企業の皆さんたちと、従来の企業の皆さんたちと、ビジネス交流会などをやって、お互いにまたチャンスが広がるようなことをやっておりますので、立地企業と県内企業のビジネス拡大のチャンスをできるだけ増やそうと考えているところでございます。以上、埼玉県、企業誘致が大変好調でありますが、企業誘致そのものだけではなくて、結果としてこの10年間、平成17年から26年までの帝国データバンクの調査によりますと、本社の移転企業の部分で、埼玉県に転入が、2,468、転出が1,455で、転入超過数、純増の部分で1,013社で、2位の神奈川県が780社、こういうかたちの中で、結果的には企業誘致のプロセスの中で、工場のみならず、本社などについても埼玉県に来ているという事実がありますので、引き続き、埼玉県の企業誘致の取組、一般的に言えば工場誘致というのが多いところでございますが、これからは一貫して工場誘致というよりは企業全体の誘致の中で、結果として工場のみ、結果として研究所のみとか、あるいは本社と研究所とか、あるいは研究所と工場とか、いろいろなパターンがありますが、総合的に取り組んでいきたいと考えているところでございます。以上です。

産経

1点目、もし分かればということで。全国的に見て、都道府県が企業誘致をやっているんだと思いますけれども、その全国的な流れの中で、埼玉の件数というのがどれくらいか。位置付け的なものを。

知事

大体平均すると5番目6番目くらいです。いい時で4番目、悪い時で7番目くらいです。ただし、企業誘致大作戦をやる以前は13番目から16番目あたりにおりました。これを本格的にやり始めて、5番目前後になってまいりました。先ほど申し上げましたとおり、値段の部分でどうしても負けますので、例えば2番手あたりは、群馬、兵庫、茨城、そういったところが2・3・4をよくとっているところです。年によってはもちろん変わったりしますが。

産経

あと、もう1点。これから、今後3年間のチャンスメーカー埼玉戦略4.における部分で、これまで圏央道の整備というものがキーポイントになって増えてきた部分がありますけど、それに類似するようなチャンスとなるネタというのがあるのか、ないのか。もしなければ、これまでと同じようにやっていくのか、ほかにやり様や視点を変えていくところはあるのか。

知事

後程、幹事社からの問いかけもあるのですが、国道17号バイパスに付随するかたちで、これまでボトルネックになっていた大宮と上尾の境目から桶川の間のほとんど毎日渋滞という部分で、パイバス機能を持つ上尾道路の完成が、圏央道まで出来上がることで、このラインも新しい企業誘致にとって大きなものになってまいります。しかも本年度の事業の中で、国土交通省が2階建ての高速道路を、今、旧与野市、中央区の円阿弥というところからカーブして新都心のほうから見沼に抜けている埼玉高速線が、そのまままっすぐ圏央道にぶつかるという、上と下と両方の道路が出来るわけでありますので、しかも、橋桁の部分もおさえてありますので、新たに土地の買収などはありませんので、すぐ、2階建ての高速を造れるということで、これが圏央道までぶつかりますので、このラインも地価の高いところではありますが、有力な研究所や有力な企業の立地空間になり得る。それから北部のほうもスマートインターチェンジなんかも完成してまいりましたので、これもまた新しい誘致などが市町村などで用意されていますので、こちらのほうも非常に有力になってまいりました。もう1つは先ほどちょっと触れましたが、この再投資のところでありますが、圏央道などで、既に立地された企業で、もう一息拡大したい、できれば隣り合わせでとか、こういう話もありますので、それぞれの事情もありますが、地域の開発のポイントだとか、市町村の熟度だとかいろいろなものがありますが、そちらのほうも大変大きなニーズがあるところでありますので、基本的には今までの圏央道を中心としたポイントから、ポイントそのものは少し拡散していきますけど、今申し上げましたように、圏央道の拡大の部分、それから北部のポイント、それから新しく造られる17号バイパスの、埼玉県の一番中央部分、この部分、3つがポイントとなるところでございます。

埼玉

企業の立地件数を平成17年からの3か年で見ていきますと、この28年から31年の3年間、ターゲット1,000という大きな目標の累計があるからだと思うんですれども、150件という数字がちょっと控えめなのかなという感じがするんですけど、これは特にこの数字にとらわれず希望があればどんどん・・・

知事

そうですね。多ければ多いほど良いということではありませんが、やはり雇用に繋がるとか一定程度経済の拡大に繋がるようなところというのが地元ニーズでもありますので、若干一番望ましいのは雇用の拡大に繋がるような、人手をたくさん必要としているようなところの企業などがとてもありがたいと。例えば薬だとか、化粧品なんかのパックをしていく会社でありますPALTACなどは白岡などで1,000人の雇用を確保(後に「計画」に訂正)しておりますので、大変地元にはありがたい話になってきます。同じ物流関係でも、倉庫的機能を持った物流だと人があまりいないと。しかし、作業をする倉庫というんでしょうか、いろんな仕分けをしていくような物流倉庫になってくると人手が多いとかそういう種類がありますので。あまり選り好みをしてはいけませんが、望ましいというのは当然ありますので、できればありがたいお話の方をより優先的に私たちはアピールして、プロポーズして、できれば向こうからもプロポーズしていただきたい。そういう打ち込みをさせてもらっているところです。

幹事社質問
上尾道路の開通について

産経

今お話しありましたけれども、先日国交省から4月29日に「上尾道路、上尾バイパスの部分が開通」と発表されましたけれども、期待される部分、知事としてお考えをお聞かせください。

知事

地図が無いのが残念ですが、17号がメインの道路でありますが、戸田橋から17号バイパスが3車線、一部4車線とかで、片側3車線で走っておりますが、これが上尾に入ると2車線になるということになりまして、ここがボトルネックになって土日も平日も朝から晩まで慢性的渋滞。バイパス機能を持つ上尾道路というのを大宮の一番端っこの方から、上尾との境目あたりから、北鴻巣に抜けるまでの道路の計画が長い間あったわけですが、これがやっと全面開通して、圏央道までぶつかるようになります。一部、江川桶川エリアの、江川の環境問題のために片側1車線のところがありますが、それでも今まで無かった道路が完全に出来ますので、17号のバイパス、そしてまた17号の渋滞の緩和にはものすごく役に立つと。本当に「時間が読めるようになっていくだろう」と言われております。
加えて先ほど申し上げましたけれども、国交省が今年新規に認めた事業の中で最大の規模であります2,000億円という事業が、埼玉高速線、与野の部分から一直線に圏央道にぶつけていく。これはまさに上尾道路の上で、真ん中の分離帯のところに橋桁の部分をもう用意しておりますので、ひとたび事業が始まれば、土地の買収は関係ありませんので、工事のみですので、今年度は工事のプロセスをどうするかという予備調査みたいなかたちでの調査費が入っておりますけれども、これが終えればさっそく工事に入っていって、まさしく2本立てで17号と埼玉高速線、またその下の上尾道路というかたちになっていきますので、計り知れないほど、もちろん4号や254川越バイパスなどあるわけですけれども、ど真ん中の道路ですので、埼玉県の主要都市を通る、そういう意味では一番埼玉県の経済の活性化、それから交通渋滞の緩和、この2つに関しては抜群の効果が、起こりうると意識しています。

旧西武春日部店跡地にオープン予定の「匠大塚」について

産経

旧西武春日部店の跡地に大塚家具の前会長が設立された匠大塚が入ることになりましたけれども、これについて受け止めをお聞かせください。

知事

旧西武百貨店の撤退で、大変賑わいの部分で課題が出てまいったところに、大塚家具が2つに分社したようなかたちになりますが、匠大塚というかたちの中で一流家具メーカーがその後に入るということでありますので、地元の市長さんをはじめ商工会議所なども大歓迎でありますし、非常に駅前の活性化については役に立つ仕掛けになったのではないかと思っています。今後この匠大塚の企画的な家具のセール、企画展というんでしょうか、そうしたものでいろいろ引き付けていただいて、相乗効果が商店街とに起こりうることを期待します。どっちにしても大変良いお話だなと受け止めました。

想定質問
投票率向上のための取組について

テレ玉

この夏の参院選前に久喜市の方が期日前投票をショッピングモールの方で投票所を設置するということで投票率アップを狙っているということなんですけれども、県として投票率アップのためにこういった取組を行っていくような方針があるのかどうか、また働きかけをする予定とか無いのかということをお聞きしたいんですがよろしいでしょうか。

知事

知事として県民参加がより活発になることは大変良いことだと思っております。基本的には選挙管理委員会の業務というかたちになりますので、選挙管理委員会がこういう動きをしっかり受け止めて、具体的なかたちで実行できるように判断をしていただき、実施をお願いしたいと思います。政治家としてもまた埼玉県全体の長としてもやはり政治参加が可能になるシステムがいろんなかたちでできあがっていくことには大賛成です。

特別秘書の任命について

産経

新たに特別秘書を任命されましたけれども、期待される部分等々教えていただければと思います。

知事

基本的には特別秘書は政治的任用職でありますので、公務員と言えども特別職というかたちの中で、政治集会に知事代理で行ったり、あるいはメッセージを添えたあいさつをしたり、あるいは県に貢献のある方々の慶弔事に出席をしたり、そういう仕事があるわけですけれども、やはり長年の経験則の中で向こうから求められればきちんとお相手はできますが、自分の方から積極的にいろんなごあいさつをしたり、人間関係をつくっていくというわけにはなかなかいかないところですが、民間人の経験あり、また衆議院議員秘書としての経験あり、また議長を含む市議会議員としての経験もありますし、また埼玉県のPTA連合会の会長なども歴任したものでもありますので、同じよう代理出席したり、いろんな行事等々にあるいはメッセージを添えていく場合も自ずから代理的な機能などは非常に果たせる、こんなふうに理解をしております。そういう部分で身近に県民の方々あるいは県民を代表する方々と身近に接していただき、政策部分だとかそうしたもののPR部門等などで、また総合調整幹並びに報道長などと調整などは荒井特別秘書にやっていただき、雑事みたいなことを伊地知特別秘書にやっていただく、そういう分類を徐々にしていくのかなと思っております。

衆議院の補欠選挙について

NHK

一昨日衆議院の補欠選挙が行われまして、特に北海道は与野党激突のかたちで与党側の勝利となったわけですけれども、こういうかたちで示された一つの民意ですが、知事は今回の選挙をどのようにご覧になって、その結果を一人の政治家としてどうご覧になられましたでしょうか。

知事

北海道の雰囲気とか京都の雰囲気とかはあまり見えませんので、全国の中で全体が出てくれた場合はコメントがしやすいんですが、個々の選挙区は事情がありますよね。京都だったら自民側の完全なオウンゴールですので、候補者も出せないと。そうすると、長年衆議院議員やった、泉健太さんが候補者として知名度もそれから実績も等々からして勝つのは分かっていると。北海道の場合はまさに与野党が激突したというかたちで何を争点に北海道でなされたか、その辺の部分は新聞報道でしか私も知りませんので、ただ、まさに五分の戦い、勝負は一票でも勝てば勝ちですけど、五分の戦いがあったと、こんなふうに理解をしております。勝った方も油断はできませんし、負けた方も落ち込むこともないと、そういう評価じゃないでしょうか。

民進党と共産党の選挙協力について

読売

今の質問に関連してなんですけれども、北海道も代表的にそういうことだったんですけれども、今後衆院選とか参院選を戦う上で、民進党とかと共産党が協力して今回の北海道に関しても戦って、今後もやっていこうというかたちになりますけれども、民進党と共産党は政策とか理念とか考えとか、かなり大きな差があると思うんですけれども、知事はそうした理念に大分差がある政党が選挙で協力して戦うということに関しては、どういうふうにお考えでしょうか。

知事

一般的なかたちの協力関係というのは、あり得ないんでしょうね。政策に基づく協力関係というのは、ないんでしょうね。個々の事例で国対上一緒に戦うというのでしょうか、一致協力して時の与党とか政府に物を申していくとかということは、あると思います。個々の事例で。ただ一貫して政策協定を持って、噛み合わない部分をやっていくというのは一般的にないのではないかと思います。だから、北海道5区という一つの箱の中での何らかのかたちの協力関係、これ全国規模でそういうことが可能かというと、セオリーとしては難しいのではないでしょうか。ただ、個々の選挙区で一方的に候補者を出さないから、少なくとも例えば共産党の候補が出ない、共産党の支持者の人達がどちらに投票するのかなということに関して、自民よりも民進の方に投票しやすいと。そうすることで、民進党に勝ってもらった方が都合がいいと、共産党が思うのであればそういう判断もあるのかもしれません。ただ民進党から、こうしてくださいなんて言える話ではないのではないでしょうか。そういうことやっていると、どんどん弱くなっていくのではないですか。政党として自立性がなくなってくるのではないでしょうか。私はそう思います。

避難所対策について

埼玉

熊本地震の関連のことでお伺いしたいんですけれども、今も余震が続いていて、現地ではいわゆる災害弱者という方たちが非常に避難所で困難な状況にあると伝わってきていますし、また、車で過ごされる方が大量に出ていると、現地に行ったある自治体の職員の方からも聞いたんですけれども、夜間になると皆さん不安になって、公共施設の駐車場などに次々と避難されていると話を聞きました。避難所といえば、市町村が一義的には対応することになると思うんですが、今回の地震を受けて避難所の対策、県としては何か考えを新たにしたようなことがありましたら、その点をお聞かせください。

知事

毎日ではありませんが、熊本県の地震についての一連の流れについては危機管理防災部で毎日のように追いかけていますが、主力メンバー、知事、副知事、危機管理防災部長、あるいいは知事室長などと少し意見交換をしながら、我々の対策の方にいろいろな意味でのロスがないかとか、漏れがないかとか、危機管理防災部で現在対応していること、後に対応しなくてはいけないことなども、実は協議をしております。1週間に1、2回。定例を決めているわけではありません。そういうかたちで、共通認識を持つようにしております。その中で、例えば埼玉県で熊本と同じようなことが起こった場合には、どういうことが想定できるかとか、やはり家屋が倒れるかもしれないとか、あるいは避難している体育館だって本当に大丈夫かなと思った時には、車に逃げそうな気分になるのも分からないではないと。しかし、このくらい丈夫なんだとかということのアピールをきちっとできるかできないかとか、そういうことの研究などを、実はやっております。例えば、スーパーアリーナみたいな、あんな頑強なものが絶対つぶれるわけがないと思っておられるから、東日本大震災の時も皆さんがこちらに駆け込んできていただけた。あの時も余震はずっと続いていたわけですけども、安心していただいたと。したがって、安心できるような公共施設なのかどうなのかということを、あらかじめきちっと伝えておく。マグニチュード何々に耐えられる、震度何々以上に耐えられるとか、そういうこともきちっと最初にアナウンスしておくことが重要だなというようなことを、熊本の事例も見て我々も蓄積しつつあるところです。いずれにしても、家屋に戻るのがなかなか困難だと。公共施設が限られたところでの地震ですので、安全なところが限られていると。それこそ狭い空間で寝るのがつらいと、それだったらまだ車の方がマシだとか。したがって、車だけのエコノミー症候群が言われているかもしれませんが、あるいは避難所内での部分だって多少はある可能性があるかもしれません。その辺は、私も詳しくは調べておりませんけれども。そういう評価のないままに、実は弱っておられるとか、同じような現象で弱っておられる可能性だってあるかもしれません。どうしても狭い自動車の中ということですので、エコノミー症候群というような、そういう言い方をされてますけれども、避難所の中でも同じようなことが起こっている可能性があるのではないかと思います。そういう病名付けられてないだけで。そういうふうに思っております。

アレルギーに対応した備蓄について

産経

ニュースで耳にしたことなんですけれども、赤ちゃんのミルクとか、アレルギーのある赤ちゃんはアレルギーに対応した粉ミルクが必要とか、そういう結構細かい部分で手の届いてない部分があるというのがあって、ここは埼玉では備蓄の基地の位置づけになると思うんですけれども、必要量がどれくらいで、そんな細かいところまでは計算できないでしょうけれども。例えば、粉ミルクといった時に、全体の粉ミルクだけで済ましているのか、アレルギーに対応した粉ミルクも準備しているのか、その辺の細かい部分は、県はどのような感じになっているのですか。

知事

一般的には、災害時における食料、飲み物については、例外的なものの用意は、あまりなされていませんよね。それこそ、女性のトイレすらも最初は用意されなかったようなところがあって。最近では保健師を入れたりしながら、女性対応の部分は非常にクリアになっています。これは東日本大震災と比べるともうはるかに、あるいは中越地震と比べると、そういう成果が出たところですけれども。今のお話は、今まであまりなかったと、私は記憶しておりますので、今後はそうしたものが教訓化されていくのではないかと思います。学校給食では明らかにそういうことをやっておきながら、こういう避難の場合には、そういうのができていないというのは、そういう意味での少し課題を残しているというふうに理解しておりますので、そういうのもまた俎上に載せていかないといけない課題かなと思います。

県内の市町村庁舎の耐震性について

NHK

震災に関してのことなんですけれども、今回の熊本地震を受けて我々の調査したところ、県内の市町村の庁舎の耐震性が十分でないということで、地震が起きたら壊れる可能性が高いところがいくつも出ています。地震が起きた際に、災害の対応の要となる部分が、いち早く壊れてしまう可能性が各地であるという状況がある中で、今後どのような、県としてはどのような対応を呼びかけたりとか、県として対応する予定があるのか。

知事

2つポイントがありまして、27年度までに公共施設の耐震改修をやりなさいという国の通達(後に「進めなさいという国の基本方針」に訂正)があります。メインとなる公共施設、つまり市役所であるとか、町役場であるとか、それの耐震改修が終わらない場合には、それに代わるものが何なのかということをきちっと明示しておくと。例えば、何とかコミュニティセンターがそれに代わるとか、耐震改修なり、あるいはまた最初から耐震したものが出来上がっているとか、そこが代替機能を果たしますと、そういうことを明らかにしておくと。それからもう一つは、業務継続という概念がありまして、いついかなる時も、最小限度の業務を継続できるように役所はしておかなければならないんですね。それができるようにしておくと。例えば、戸籍管理などは昔から役場の第一の仕事だったわけですけれども、そういったものがバックアップできるとか、仮にどこかの役場が崩落しても、そこを崩落したところを探しながら住民台帳を探しに行くということではなくて、もう住民台帳のコピーなりあるいはICなり等がバックアップして、そのところに保管されていると。したがって、何とかコミュニティセンターで役場機能を果たしますと宣言した瞬間から、もう作業ができると。そういうことが、できていないといけないことになっているんです。基本的には、埼玉県はそれができている。それをやるようになっています。それが本来ならばできているはずなんですが、できていないところがあったような感じですね。バックアップができていれば、どこでも作業はできるはずですね。問題は、その役所がダメになっても構わないんです。耐震改修が間に合わなかったとか、予算の都合がつかなかったとか。しかし、実はこれに代わるものはここですということがきちっと指定され、そこにみんなが結集できるという、そういう態勢ができているかできていないかということが一番の問題ですので、そこがどうなっているかまでは私も全部追っかけていませんが、熊本に関して。この辺はどうだったのか。どちらにしても、埼玉県としても念のためにバックアップ機能などについては今後、今日やるのかな、市町村との連絡会議か何かが今日入っているはずです。危機管理関係のですね。そういうことのチェックをして、崩落した場合に代わりのセンターがあって、そちらにバックアップ機能を移せるようなかたちを、市町村全部できるように、県としても一緒にやっていきたいと思っています。

県の地域防災計画の見直しについて

埼玉

熊本地震を踏まえて、県の地域防災計画なども新たに何か盛り込むことが必要なのかどうかについて、その辺はいかがでしょうか。

知事

そうですね。基本的にはそう盛り込むことは多くはないと思いますが、ただ必ず出てくると思いますので。補項と言うのでしょうか、留意事項だとかいうかたちで、何らかの形で放り込む必要があれば一部放り込んだり、補充でくっつけていくとか。また、議会の方でも報告したり。また、関連事業者ともそうした内容については連絡をして、お互いに認識をし直すことは必要ではないかと思っています。どこまでやっても、完成することはないのではないでしょうか。

県内の市町村庁舎の耐震性について 2

産経

庁舎の耐震化の関係で、都市整備の担当だったと思うんですけども、6月ぐらいにまとめると思うんですけども、県建築物耐震改修促進計画の中で、県の建物については耐震化率はだいぶ耐震改修が100パーセントに近い数字で終わっていて、市町村の側を見ると、学校とか体育館はほぼ9割とか8割とか高い数値だったですけど、一般的な庁舎と呼ばれる部分がまだ7割ちょっとぐらいにとどまっていて、まさに今回の熊本の件なんかは、そこがやられて指揮できないということになっていますけど、ちょっと聞いてみたらそれはどういう、どこのなんという建物なんだというところまでは、県は聞いても把握されていなくて数字だけをまとめているということだったんですが、広域に災害が起きた場合にですね、そういう把握も、ある程度把握しておいた方がいいんじゃないかなという思いを取材する中で感じたんですが、その辺知事はどうお考えですか。

知事

担当者がどう答えたかは分かりませんが、どの部分が改修が終わっているかはわかっているはずです。建物別に。問題はどこが改修が終わってないところに関しては、代わりの機能を果たすんだというところの確認は終わってないかもしれません。先ほど言った、何とかセンターとかコミュニティーセンターが新築で造られているから、こちらがいざというとき役場になりますと。それもやはりチェックしなくてはいけないんではないかと思います。まあ終わってるかもしれませんが。ただ正確にその時言えなかったかもしれませんが、多分、役場が改修されているかされていないかは分かっているはずです。当然もう我々の務めですので。ある程度分かっているはずですが、数値をきれいに挙げきれなかったと思います。一番大事なことはやはり業務の継続ですので、つぶれてもいいんです、極端なこと言えば。きちんと代わりのものがあって大事なものだけはきちんとバックアップされてれば。基本的にはそういうふうになってますし、またそれが危機管理なんですね。何よりも。だから役場もいずれ建て替える年数がいつから始まるということで決まっているという時に、費用対効果の問題で改修するかどうかということに関しては、ではもうもうちょっと待って新築にしましょうと。でもその場合でも、明日起こった時にはどうするんだという時がありますので、何々コミュニティーセンターを代わりに使いましょうとか、あるいは商工会館ががっちりしているからそちらを使わせていただくとか、そういうことはやはりしておかないといけないということになります。まあどちらにしてもちょっと、私も全部確認しきっていないので後で整理させていただきたいと思います。

平成28年4月19日(火曜日)

熊本県熊本地方を震源とする地震について
さあゴールデンウィーク 県営公園に集合!
衆参同日選実施の功罪、考え方について
主権者教育の考え方について
自殺対策基本法について
議院選挙区の合区について参
全国知事会について
知事発表
熊本県熊本地方を震源とする地震について

熊本県熊本地方を震源とする地震について(PDF:175KB)

知事

今日はまず、熊本県熊本地方を震源とする地震災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に対して、心からお見舞いを申し上げます。被災地域における救援活動が速やかに行われるように、埼玉県としても全力を尽くして応援したいと思っております。私の方も、まずは蒲島知事にお見舞いのメッセージを出して、14日の前震発災直後に危機管理防災センターに情報連絡室を設置して、情報収集や国、全国知事会と連絡を取りながら支援活動を行ってまいりました。これまで、警察本部から広域緊急援助隊78人、DPAT、これは災害派遣の精神医療チームでありますが4人を派遣し、21日からは保健師も1チーム派遣することになっております。また、18日から県職員による義援金の募集を開始しております。さらに、埼玉りそな銀行と武蔵野銀行で、義援金の募集の受付の口座を設置していただきました。手数料を無料にするための手続きがありますので、4月22日から6月24日までというかたちになっております。県のホームページなどでも明らかにしておりますので、義援金の受付についても県内の金融機関で受け付けることができます。また、日赤埼玉県支部でも受付ができますので、御利用賜りたいと思っています。
こんなかたちで順次、被災地から様々な要請を全国知事会や国からの要請を受けながら、私どもの準備はすべて整っております。例えば、企業局においては上水道などの破損の修理や点検。また、下水道局においては下水道の破損、点検などが、いつでも技師を派遣できるような態勢。都市整備部においても、いわゆる家屋の状態などが今後どうなっていくのか、そうしたものを調べる調査チームなどを派遣できるような態勢はしております。まだ、現地の受入態勢が十分でない部分もありますので、順次全国知事会の幹事県、あるいは国の要請に応じて、埼玉県としても全力で応援していきたいと思っております。また、県民の皆様にも、街頭の募金活動などございましたら、御協力を賜りますことを心からお願い申し上げまして、熊本地方における大地震の災害についての、今の時点での埼玉県の対応について御報告をさせていただきました。

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さあゴールデンウィーク 県営公園に集合!

さあゴールデンウィーク 県営公園に集合!について(PDF:294KB)

知事

続いて、深刻な話の後に大変恐縮で、時によっては不謹慎と思われるかもしれませんが、多くの事で自粛しなくてはならないこともたくさんありますが、また同時に自粛ばかりの中で経済が疲弊するということは必ずしもいいことではありません。そういう意味で、最小限度の自粛をしながらも、活発に県民活動を行っていくということも重要だと思っております。そこで、ゴールデンウィークが近づいております。時と場合によっては積極的に外に出ていただき、場合によっては消費を喚起していただき、経済のカンフルにも使っていただきたいと思っているところです。特に、埼玉県が運営しております県営公園では、どんなことを現在企画しているかということについて、県民の皆様にお知らせをしながら、お気軽に行ける県の施設を御案内したいと思っております。こども動物自然公園でありますが、東松山市にございます。東武東上線の高坂駅から近いところですが、この動物自然公園のウリは、極めて手近に動物と触れたり見たりすることができるというのが特色で、とりわけペンギンヒルズ、ペンギンの丘がございますし、水槽をそのままガラス越しに見ることができます。あるいはコアラ、人気のコアラが、また新しく昨年オーストラリアから3頭いただきましたけれども、2頭赤ちゃんが生まれております。あとレッサーパンダ、カピバラなどが非常に人気がありますが、加えて今度は新人が登場しました。ヤブイヌという、非常にコロッとした顔に長い胴体というのが非常に愛らしいという、私まだ見ておりませんが、評判であります。それから、今までもワラビーはいたわけですが、加えてシマオイワワラビーという方で尾っぽが縞で岩に生息しているという、このシマオイワワラビーが新しく仲間入りをしております。カンガルーやこうしたワラビーが園内の道路やちょっとした茂みの中にいますので、びっくりするくらい。また、コアラもまさに手を伸ばせば届くばかりのところにいたりしておりますので、お楽しみいただくことができると思います。また、ペンギンも餌付けタイムもございますので、この時には自分の足元、あるいは手で触れんばかりのところまで来ることができます。さいたま水族館、羽生の水郷公園内にありますさいたま水族館ですが、これは70種類の淡水魚がこちらにはありまして、淡水魚の水族館では国内では最古のものでございます。最も古い淡水魚の水族館で、70種類の淡水魚がいます。魚類、両生類、甲殻類などでございますが、庭の池にはニシキゴイやチョウザメがいて、直接エサをやったりすることができます。あるいはまた、探検ツアーなどがあって毎週土曜日に、この水郷公園の中でカヌーの体験などもすることができます。また、水族館のバックヤードを見学できて、飼育員から魚の飼育方法などを聞くことができます。また、春の特別展として「おもしろ名前の魚 大集合」ということで、名前の面白い魚40種類が6月19日まで展示、開催をされます。コリドラス・パンダ、パンダの顔をした金魚みたいなフグみたいな感じの魚であります。スベスベマンジュウガニ、つるりとしたまんじゅうの形をしたカニ。パンケーキ・ガメなど非常に珍しい魚類、あるいは甲殻類などが現在集合しているところです。さらに西部方面では、所沢航空発祥記念館。所沢航空公園内にございますが、これも御案内のとおり、日本で最初の飛行場として、この所沢飛行場ができまして、明治44年にフランスの複葉機、アンリファルマン機が初めて飛行に成功した記念的なところでもございます。こうした記念館には、この複葉機が展示されております。改めて、日本航空発祥の地である所沢の、所沢航空発祥記念館などをご覧になってはいかがかなと思います。また、所沢航空記念公園も広い空間でございますので、こちらも楽しめることができると思っております。またさらに、ビルの高さでいえば地上30メートルでビルの8階あたりのところにまで、気球で昇ることができる、眺めることができるという気球体験もできます。ただし、若干料金が高くて、中学生以上は2000円、小学生が1000円ということになっております。プールで夏は賑わうしらこばと公園もプールだけではないということで、大型遊具が公園内にコバトンアドベンチャーがありまして、非常に大人も子供も楽しむことができます。100種類以上の遊び方ができる複合遊具は大変魅力的でありますので、こうしたしらこばと公園なども活用できるのではないかと思います。また、東部地域には、非常に平坦で山がないわけですが、まつぶし緑の丘公園では、20メートルの里山が完成をいたしました。真っ平らなこのエリアにおいて、20メートルの高さというのは大変な高さで、東部エリアでは幸手市が7メートル、あるいは栗橋も7メートルでありますし、越谷、春日部あたりでは3メートル、4メートルの世界、草加市では2メートルの世界でございますので、まさしくこの最も高いところが、このまつぶし緑の丘公園の里山ということになります。頂上から富士山やスカイツリーなどが、特に朝の時間帯などはしっかりと見ることができると言われております。こうした公園をお手軽に県民の皆様達には楽しんでいただきたいと思っておりますので、どうぞお出かけをいただきますことをお願い申し上げます。以上であります。

産経

まず、熊本地震の件ですけれども、現時点で県として、自粛の絡みになるんですが、何か中止とか延期が決定したこととか、検討されているものがもしあれば教えていただきますでしょうか。

知事

まだ大きなイベントは、県として行っておりません。近々にあるのは、水素ステーションの開所式をやりますが、これも一般県民向けのものでもございませんので、淡々とやっていくつもりでございますので、特段中止とか自粛というのは今のところは考えておりません。

産経

今回また地震が起きて、こちらの方では首都直下地震への備えというのも、また重要視することになろうかと思いますけれども、改めて県内の備蓄状況はどうなっているのか。県民に不安がない程度まで備えられているのかということと、今回の熊本地震を受けて、現時点で新たに何か整備が必要だなと考えていらっしゃることがもしあればお願いします。

知事

現時点における備蓄状況は、防災基地やスーパーアリーナをはじめ、常に交換をしながら準備万端整っているところでございます。ブルーシートをはじめ、食料品あるいは水なども要請に応じてすぐ出せるような態勢にはなっております。なお、今後熊本大地震の検証などが進んで始まった時に、改めてまた東日本大震災とは違ったかたちの様相も見られておりますので、そうした様相を確認した上で、さらに万全な防災体制が可能なのかどうかは注視していきたいと思っています。

埼玉

改めて県営公園に、ゴールデンウィーク中に大型レジャー施設などにはない県営公園の魅力もあると思うんですけれども、知事御自身県営公園の魅力、料金が割安というのもありますけれども、どんなところにあると…。

知事

例えば、こども自然動物公園は最近における入場者の伸び率全国3位で、例えば上野動物園のパンダが新しく来ましたので、その部分で抜かれましたけれども2位であったり、非常に好調です。その理由は、やはり手近に触れることができる。もう触れんばかりの状態にあると。コースを歩いているときにカンガルーがいたり、ワラビーが出てきたり、いろいろそういうものを触れることができる。ペンギンにしても、極めて身近なところで見ることができる。コアラも、ほぼあと50センチ手が伸びればという空間に、コアラもたくさんいると。こういうところが一番の魅力だと思っています。手に触れんばかりのところにいる。いわばコース内を歩いているさなかに、思わぬ動物と遭遇することができるという、そういう魅力的な空間がたくさんあると思っています。それが、例えばこども動物自然公園の魅力ですが、それ以外にも水族館としては日本では最古のものでもありますし、淡水に関してはですね。意外に意外というところでもありますし。また、その他のところに関しては、身近なところで楽しむことができるということで、ある意味では大型連休で、前半で少し遠出をされて少し疲れたねという時に後半で手短なところに行くとか、日程の都合上で後半に大型連休を活用される人達は、前半戦で県営公園などを巡ってお金をあまり使わないで楽しむとか、そういう使い分けができるのではないかと思います。まるまる1週間、10日海外に行くというパターンもあるかもしれませんが、大体半分分けみたいなところが一般的だと思いますので、半分に分けたところの残りの部分をこうした手短なところに行かれてはということをお勧めするところです。

朝日

地震の質問に関連して、かなり不謹慎な質問なのかもしれないのですが、現在進行中なので仮定の話になるんですが、今回こういう地震が起きて、特に永田町の方とかでは、消費増税の話、10%の話であるとか、同日選の判断にも影響があるのではないかという声も出ているのですけど、知事御自身は、前回消費税10%の話もされていたかと思うんですけど、今現段階ではどのようにその2つについてお考えでしょうか。

知事

ちょっとこれまでの地震と違う様相があります。いわゆる帯状に動いて地震が多発しているという、したがって、本震だと思ったものが前震だったと、で、後のものが本震だったと。しかしこれからもあり得るかもしれないという、そういう不安な思いというのが、たぶん、私もいろいろな人とお話しているのですが、私も含めて、本当に終わるのかなというような、ひょっとしてもう1つぐらい出てくるかもしれないというような、そういう不安感があります。そういう中で、衆参ダブル選挙、なんかのお話が一方では進んでいるということが許されるのかなと、世論が。場合によっては起きるかもしれない、そういう可能性があるなと思います。今の地震の多発の様相であればです。これが早く一旦収まって、余震が小さなものになっていって収束に向かっていますという状況であればまた話は別ですけど、まだ、収束に向かっていますという雰囲気では全くないような気がいたしますので、非常にこれはまだこれからも、2次災害、3次災害の可能性もあるので、いち早く避難者をより安全なところに移送したり、あるいはまた十分な手当てを、医療的な手当て、精神的な手当ても含むいろんな意味での手当てを総力を挙げてやらなくてはいけない。で、現在のところ、例えば、医療チームなどは、九州管区からスタートして徐々に枠を拡げているという状況ですが、これが関東とかに枠が拡がり、また、東北まで、あるいは全国までというかたちになってくる。どこでも医師や看護師の不足は明らかでありますので、いろいろ不都合があっても被災地を優先的にカバーするということが必要になっているわけですから、そういうものはオール日本的な話になってきますので、そうすると政治的に、まあ、参議院選挙は定められたルールですので、しかし、衆議院選挙というのは任期があって、その途中での大義名分というのは、その秤をかけなくてはいけないと思いますので、どうなるのかなというのは非常に重要な判断が来るのではないかと私は思っています。今までとはちょっと違うなと思います。また、景気に対しても何らかのかたちで九州一円、とりわけ、自動車産業なんかの部品ネットワークが少し切れておりますので、こうしたかたちでの生産活動の影響を全国的に受ける可能性がありますので、そうした部分でも若干、2~3か月遅れることでも経済的に痛い面もありますので、消費増税に関しても判断の材料が1つ加わる可能性があるのかなと思っています。

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幹事社質問
衆参同日選実施の功罪、考え方について

産経

今の部分とちょっとかぶるんですけど、衆参同日選が取りざたされていますけど、質問通告が地震の前だったので、質問がちょっと前後してしまいますが、実施することの功罪、考え方をお聞かせいただきますでしょうか。

知事

基本的には両院があるということで、片方が選挙を行っていても、もう1つが残っているということで、その期間に大規模な災害があっても国政が麻痺しない、これが2院制のいい部分でもあります。従って衆参は選挙を一緒にしないというのは、これはルールだと思っております。ただ、一方、衆参同日選挙というのは、国民の関心が高くなって、投票率が上がったり、争点が明確になってきたりするメリットもありますので、参議院も半分は残っていますので、いたずらに全部なくなるという話でもありませんので、半分の国会議員は残っているということで、国政が100%渋滞(後に「停滞」に訂正)をするということではないと思いますし、閣僚の皆さんたちは現実的に基本的には選挙期間中といえども、行政として継続しておりますので。建て前論的には衆参同日に選挙というのはあまりよくない。しかし、現実的にそんなにたくさんの被害があるかというと、そんなに被害があるものでもない。こんなふうな認識ですので、必ずしも同日選挙が良くないとは思っておりません。良い部分もあると思っております。弊害を極力少なくすれば必ずしも、批判されるものではないと思っております。

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主権者教育の考え方について

産経

公職選挙法の改正で18歳以上が選挙権を持つことになりますけど、新年度になって少し時間が経ちましたので、改めて、お聞かせ願えればと思いますが、主権者教育についての考え方をお願いします。

知事

より早い年齢、とりわけ、全ての子供たちと言ったら語弊があるかもしれませんが、18歳というと高校生ということですので、改めて正式な意味で、選挙権、被選挙権ということを根本的に学ぶチャンスが与えられる、これが20歳からとなると学生の方で学ぶ方もあれば、もう就職をしていて、丁寧に学ぶチャンスを失うとか、そういうこともあり得るかもしれませんが、高校3年時において、この主権者教育をしっかり学ぶということは良いことだと思っております。ただ、いくつか課題があると思っております。これは別に18歳だけではなく、生活者になっている、18歳でも生活しているわけですが、一般的に言うと、例えば結婚をされて、子育てをすると、保育園の場所をどうするかとか、幼稚園の場所をどうするかとか、あるいは子供の医療の無料化のあるところ、ないところとかいろんな生活の場面とかで、具体的なかたちで利害や特質というんでしょうか、そういうものが出てきますけど、そんなには、一般論として、学生生活の時期には、そういう意味での利害関係が出てこない部分がありますので、そういう時期にどれだけ具体的に何かを想定しながら学ぶかにかかっていると思います。例えばエアコン設置するかしないかということ、設置するためにはどれだけの税金がかかるか、費用がかかるかとか。一般的に言えば、エアコンは家にもありますので、学校にも付ければいいじゃないかと。しかし、その費用はどうするんだとか、そういうことで具体的な事例としての主権者教育を学ぶことが出来ます。ほかにも例えば授業料だとか、あるいは奨学金だとか、そうしたものの制度がどんなかたちになっているのか、そして、具体的に、奨学金は基本的に返す話になっているけど、これを返さないような奨学金の仕組みにするためにはどれだけの費用が掛かるんだと。それを1人当たりの税金に直すとどれくらいお金がかかるのかとか、そういう、納税の義務も含めて、主権者と義務と負担、こういう関係を学ぶことで、一種の主権者としての意識が生まれる可能性が高いんではないかと思います。それをミーティングで、高校時代に整理しておくとかなり良いのではないかと思います。一般的には、選挙などではこういう負担がありますよという話は皆さんされませんので、こういう良いことがありますよという話をされる場合が多い、しかし、その裏にはこの負担があるんですというお話をされないことが多いわけですから、逆に教室の中では良いこともあるんですけど、逆に負担もありますね、という話などをしっかり行っていけば、逆に言うと選挙で調子のいい人を見つけることができるとか、そういう意味での教育にもなっていったりするのではなかろうかと思ったりします。

産経

まさにその義務と負担の話があると思うんですけど、高校の現場でそういうことができるかとどうかという不安があるかと思うんですけど、その辺についてのお考えはどうですか。

知事

そうですね。個々の都道府県立の高校であれば教育委員会に基本的なことが任されておりますが、そこは、文部科学省でもいくつかのモデルパターンを用意しても構わないと私は思っております。それは国家が教育を統制するということではなくて、こういう分かりやすい事例があるじゃないですかというかたちで提案することで、それに合わせるかたちで、それぞれの都道府県の特色のある分かりやすい事例なんかを作り上げていけば良いのではないかと思いますし、極力そういう強制をしないで良いモデルがあれば、文部科学省でも出す。ただし、これはまさに参照しろということで、地域のそれぞれの都道府県の特色のあることに関してやっていけば良いのではないかなと思っております。北海道は北海道で観光で受け入れをたくさん行っているわけですども、この収入が北海道の財政の中でどのくらいの割合を占めているのだとか、そういうことをきちっと言うことで、北海道民は全ておもてなしに努力しようという世界を作れるかもしれません。それが分からないとおもてなしの気分も分からないということになりますので、ただ単にしましょうねというよりは、実は大きな財源の1つですということが分かればそういう気持ちになっていくかもしれません。そういうものを用意すれば良いのではないかと思います。

NHK

建て前的には良くないけど、弊害を極力低くすれば必ずしも批判されるものではないとおっしゃいましたが、そうかなと思うところと、一方で自治体としてはダブルになると、5票開票を処理していかなくてはいけないと、現場の実務の大変さというか、経験された方が選挙制度も変わっていますし、居ないなかで、実務を司る、現場を仕切る長として、その批判されるべきものではないとお考えなのか、実際ダブルになると場所をどうするのかとか、開票所が本当にあるのかとかいろいろな問題があるかと思うんですけど、例えば、知事、意見交換されたりとか、頭の体操とか、こういう想定をしておけという指示を出されたとか、そういうことをされているのかお聞かせください。

知事

必ずしも衆参ダブル選挙だけではなくて、市長選挙と参議院選挙がダブルになったり、衆議院選挙とその他の議員選挙が一緒になったりする事例も全く無いわけではありませんので、それぞれノウハウが無いわけではないと思っております。直近では61年の衆参ダブル選挙かなと思いますが、ではその当時の職員が全く居ないかというと全く居ないわけではない。記録はいろいろ残っておりますし、役所レベルではそういう継続的なことが可能になるようなことが基本的にはできていると思っています。ただ、御指摘のように煩雑なことは確かで、また有権者も煩雑であることは間違いないと思います。こういう部分も含めて出来るだけ、もし、仮定中の仮定ですが、こういうことになったら、まさに選挙管理委員会はそうした煩雑さだとか、分かりにくさだとかをより分かりやすくするという、そういうところの努力をせざるを得ない状況かと思っております。原則、それぞれ制度が違うわけですから、例えば衆議院だったら、地域も含めた細かい民意だとか、参議院であればどちらかと言えば大くくりの民意と、こういう分け方もありますので、自ずから院の性質も違いますので、バラバラに分けてやるのが本筋だと思います。しかし、絶対的にそんなふうにしなければいけないかというと必ずしもそうとばかりは言えない。現に過去に行われてきている事例もありますし、特に近年投票率が下がっているという課題がありますので、そういった部分では効果的だと思われますし、利害がそれぞれ、一長一短ありますので、なかなか一概にこれですと言い難いというのが率直な感想です。

読売

今、知事から昭和61年の衆参ダブルの話がありましたけれども、知事はそのダブル選の時も新自由クラブから当時の中選挙区の埼玉5区で出馬されていると思うんですけれども、なかなか今マスコミも含めて体験した人がいない中、上田知事から見てダブル選というのは、当時の状況とか思うところとか印象みたいのがありましたら教えていただけるとありがたいです。

知事

そうですね。新自由クラブという小さな政党でしたので、参議院の候補を抱えていなかったので、実質的には衆議院だけやっていたということでもありますので、個人的には衆参ダブル選挙という言葉が発していても、個人的な体験的には衆議院選挙のみと。そういう感覚であったことを、かすかに記憶しております。参議院のことまで、とても考える余裕もなかったし、そういう立場にもなかったということで、自身の衆議院選挙のことだけで頭一杯というかたち。ただ投票率が高かったことが事実であることは、よく覚えております。

毎日

先ほどNHKさんもお話しされていましたけど、投票・選挙制度がその頃と、前のダブル選と変わっているという点で、今参院なんかが非拘束名簿方式ということで、そもそも夜が明けるぐらいまで、通常の参院選だけでも開票に時間がかかる。それにプラスして衆院選の開票もしなければならないという。ちょっと僕も全くどんなことになるか想像できないんですけども、相当開票とかに時間がかかってしまうと、いろいろな弊害があると思うのですがそのあたりについては。先ほど知事も首長の選挙と国政がダブルになることはあるとおっしゃっていたが、煩雑さが多分それとはまったく次元の違うものになると思うんですけど、実際問題、事務的なこととして、はたしてそのようなことが可能なのかという点についてどのようにお考えでしょうか。

知事

実は、そういう選挙事務も非常にスピーディーになってきておりまして、かつては翌日に開票で、お昼頃にならないと判明しないというぐらいの状況でありました。今は即日開票で、だいたい夜の8時から開票して10時ぐらいになるともうだいたい大勢は決まるという状況。場合によっては出口調査などでもっと前から分かっていたりする場合もありますが、ただ、確定的になるにはやはり10時までぐらい。非常に選挙事務がスピーディーになってきております。これはいろいろな意味で、様々な機器の発達といったことも含めて、事務処理の技術が飛躍的に向上していることなどがいえると私は思っております。そういう意味で、精度も高まってなおかつスピーディーになってきているということで、煩雑ではありますが、どちらかというと投票者が煩雑ではないかなというふうに思います。衆議院でも選挙区候補者、それから比例の候補者。参議院でも選挙区の候補者、比例の候補者。政党名でもいいし、個人名でもいい。加えて最高裁判所の選挙と。こういう意味で、やはり投票する人の方が煩雑。事務をやっている方は、なんだかんだ言いながら事務的処理の優れた人達が集まっているところでもありますので、それなりに消化できるというふうに思っております。だからその部分をどういうふうに評価するかではないでしょうか。先ほども有権者の教育の話もありましたが、有権者を大事にするという観点からいくと、投票が煩雑になっているという。そもそもが煩雑なのに、さらにもう一つ加えることでさらに煩雑になるという。「それでいいのでしょうか」という、そういう問いかけは確かにあるんではないかなと私は思っています。投票する人たちの判断というものが、困らないようにするという。そういう意味での、政治の判断といいますか、時の政府の判断といいましょうか、それはあるんではないかと思います。

毎日

確かに知事がおっしゃるように、最低5枚の投票用紙を書かなければいけない。うっかり例えば衆院と参院を入れ替えて書いてしまうと、それがせっかく1票を投じているのに無効票になってしまう恐れがあると。そういう観点から、ひょっとしたらやってもないからわからないですけども、いつもより無効票の割合が増えてしまうかもしれない可能性があるわけですよね。そういう観点で行くと知事は投票者のことを考えるといかがなものかというお考えをお持ちということですか。

知事

そうですね、だからすべてそういうことを、政府というのは責任がかかっているわけです。例えば地方の事務をどこまで考えてくれているのかという。これはいくらか我々がクリアするとしても、有権者の煩雑さというものを本気で考えているのかとか。それから、もともと衆議院と参議院の性質の差はありますよね。この性質の差を一者択一の争点の元に、入れ込んでしまって、同じ意味みたいな雰囲気にしてしまう。そのこと自体が二院制度の意味をなくしてしまうという。しかし、技術論的には先ほどから言っているように可能なんですね。ただし、本質論からしていくといろいろ課題がありますので、それはやはり政治が受け止める話で。どういうふうに責任をしっかり取るのかという。こういうのは政府がきちっとその政権与党が判断することではないかと思います。もちろんその批判を受けるわけですから、場合によっては、本当は参議院選挙だったのに、みんな衆議院選挙になったではないかと。参議院は所詮お付録かいと。こういう話を時々されるわけですよね。衆議院のカーボンコピーだと参議院は。価値があるのかと。そういう話がでてくるんですね。参議院選挙だったのに衆議院選挙を加えることによって、メインが衆議院選挙になってしまう。参議院はなんか付け足しみたいになってしまった。本来の、少し大きな枠組みで物事を考える人たちを出していくという、参議院の本来の役割というものがそこでいくらか消されてしまっているという。そういうのが、場合によっては批判を受ける。それも含めて、政権与党というのは全部受け止めなくてはいけないわけです。多分そういう批判を、例えばメディアの皆さんから批判をされる可能性だってあるわけです。そうすると、それを受けたうえで戦わなくてはいけないわけです。それはそれで大変なことだと思います。だから、やはり私が良し悪しをいうというよりは、政権がどう判断をするのかというものになるのかなと思ってはいます。

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想定質問
自殺対策基本法について

埼玉

自殺対策基本法が4月から改正されましたけども、今回の改正では自治体ごとに、自殺者の傾向を分析して、自治体ごとに計画づくりをしていくということになりましたけども、埼玉県としては、減少傾向にはあると思うんですけども、どのような傾向を踏まえてどのような対策を講じられていくのかというところをお聞かせ願えますでしょうか。

知事

まず、傾向として、以前からそうですが病気を苦にして自殺される人たちが圧倒的に多いという、この傾向が動いておりませんので、いかにして病気の方々の、精神的な医療やケアをどうするかというのにかかっているわけですので、そういう傾向の、多少いろんな意味で、私は専門家ではありませんが専門家の先生方に聞くと多少はやはり傾向があるというので、そういうシグナルが出るような人に関して、早めに治療やケアをしていくという体制を、きちっとそれぞれの関係のところでやっていくというのが、計画の基本だと思っています。したがって、そうした精神科医をはじめとする、そうしたケアに長じた方々などの意見を参考にしながら、また、若干地域ベースなどでもたくさん出やすいところ出にくいところもございますので、そうした地域ベースのところでは、正しく県の方からそれぞれの市町村にこういう傾向があるとか、そういったことを情報開示・提供しながら市町村別にも対策を練っていただくと。この二面作戦でさらに自殺防止がより精度をあげていく形になっていくのかなと思っております。

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参議院選挙区の合区について

時事

参院選でこの夏から導入される合区、選挙区の合区の問題について伺えますか。全国知事会はこの合区に反対し、解消しようという狙いから、地域代表制を憲法で規定したらどうかというようなことを提起する動きがあります。各知事に意見を聞いているところだとは思いますけども、知事はどのように、賛成、反対を考えますか。

知事

定数是正の苦肉の策としての合区が出ておりますが、都道府県合併をやっていない段階で、定数是正一本槍で、合区という考え方は、必ずしもいい考え方ではないと思っております。まだ他にも方法があったわけですけども、一番手っ取り早い方法を選んだと。非常にこれはそのエリアの県民の皆さんにとってみては不愉快な話で、例えば埼玉と東京を一緒にやりますとか、埼玉と群馬をいっしょにやりますという話は、到底、私個人的には認められない話。多分それぞれの県知事さん達も到底認めがたい話ではないかと思いますし、県民の皆さんたちも不愉快千万と思っておられると思います。きちっとした恒久的な制度を考えるべきだと思います。仮に今回こうであっても、一回こっきりで、きちっと3年後の参院選には恒久的な形をとるべきだと思います。少なくとも県を代表する形にするか、ブロックで何人とかいう形にするとか、いろんな形を考えるべきだと思います。

時事

知事会で議論されている地域代表制というのがもし採用されると埼玉のような人口が多いところは定数が減ってしまうという可能性も考えられますが、埼玉のような自治体としてはどういうふうに受け止めますか?

知事

衆議院と参議院との違いなども、この際、毎回、根本的に見直したらどうかと思います。衆議院の方は例えばアメリカの下院と同じように、厳格に人口比例にしていくと。そのかわり、上院は小さい州であろうと大きい州であろうと2名とか。そういう考え方で自ずから決めていけば、この定数問題の憲法問題は解消されるわけでありますから。鳥取県でも2名、埼玉県でも2名。東京でも2名。そういう位置づけとかがあり得ると思います。そうすると、せめて1対2の範囲内にとか1対3の範囲内にとか、そういう話が消えていくと思っています。そういう根本的なことから議論しないと、常に時間に追われて、当面の選挙を憲法違反といわれないようにしようというところからの選挙制度改革ですから。常に。もうけしからん話じゃないですか?何回やったって同じようなことの繰り返しじゃないですかそれでは。やはり根本からやらないと。だから5年後なら5年後にきちっと決着を出しますということを最初に決めておいて、答えを出していくとかです。利害関係者がないようにして、3年後の世界だと利害関係者がいるので、少なくとも5年後ですということだったら、自分の時には大丈夫だからということで、皆さんが丸をしてくれるので。そういうやり方でいかないと利害関係者がみんな反対して、結局小手先の改革で終わっちゃうと思いますね。これはやはり利害関係者が決める世界ですから、逆に利害関係者に関係のない年月に決めるということを決めたうえで制度改正すればきちっと決まると思います。これは県議会にも言えることですけどもね。全てのことが言えるんです。国だけではなくて。大体追いつめられてどこでもぎりぎりでやってますので。

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全国知事会について

埼玉

全国知事会のことで1点知事にお尋ねしたいんですけども、事務総長が前任の埼玉の橋本さんからですね、今、再び旧総務省OBではない神奈川県の副知事が就任されましたけども、このことについて全国知事会としてはですね、どのような期待をされるのかというのが1点と。それから橋本さん、任期途中でお辞めになりましたけども5年間の貢献度などを知事はどのように評価されているのか。

知事

まず後段から言うと、まあ任期4年でいいだろうという話だったんですが、山田会長からどうしてもと慰留されて、プラス1年を加えて、ちょうど切りのいい時期に退任するということでやりました。橋本事務総長は埼玉県の副知事から転身していただいたわけですが、まず知事会の内部の改革をやっていただきました。事務局の改革ですね。あまり規定がないものが多くありましたので、ほとんどのものになる規則的なものをきちっと定めて、慣行から規則に変えていくようなことをまずしました。それからちょうど就任早々に東日本大震災ということで、私も担当者ということで、当時、被災者生活再建支援法のお金がまったくない状態でしたので、当時の、災害特命担当大臣と、どういう負担の割合で全国知事会と国とでやっていくかということで、その補佐もやっていただきました。それからその被災者の特定作業と支払い作業なども全国知事会の中にある全国知事会館(後に「都道府県会館」に訂正)という枠の中のコンピューターで、そういう手配をするということにしましたがその人員が不足していたり、その人員をどのようにして集めたりするかという、そういう非常に混乱した時期に適切な事務を執行しましたし、その後もハローワーク特区だとか、地方と国の協議の法制化だとか、折から地方分権の流れがあったにしても、事務方を率いて適切に、会長はじめ各委員会の委員長などを補佐していただいたと思っています。一般的に言えば、さりげなく不満不平は私の耳に入ってくるはずなんですが、そうした声は聞こえなかったように思えます。よくやっていただいた、こんなふうに思っています。こういう事例もありましたので、やはり引き続き、総務省的にはまた事務総長は総務省から復活したいという気分があったとは思いますが、良き慣例は良き慣例で続けようという、こういうお話で、山田会長の方からも御相談がありましたし、また埼玉県というわけにもいかないでしょうということで、どうしても住宅手当だとかそういうものについても、あるいは通勤手当についても、会費で賄っている会ですので、利益団体でもありませんので、限界がありますので、まあ千葉か東京か埼玉か神奈川だということで。まあ東京は御案内の通り1対46という構図もありますし、またオリンピックパラリンックの担当の自治体ということもあって、困難だということもあり、神奈川県に打診したところ、そういう意味ではうまく適材の方がおられて決まったと。非常にいい形になったなと思っております。次あたりは千葉県あたりになるのかどうかわかりませんが、できればそういう形で、地方6団体はそれぞれのメンバーから出せるものがあれば、出していくといういい慣例ができたからいいんじゃないかなというふうに思っております。以上です。

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(終)

平成28年4月12日(火曜日)

糖尿病重症化予防対策について
空自入間基地所属の「U125」の事故について
県出身のバトミントン選手が違法カジノ店に出入りしていた問題について
交通政策審議会の答申案について
競泳のリオデジャネイロ五輪代表に選出された埼玉県出身選手に対する期待について
都知事の海外出張費について
保育所待機児童の解消について
全国知事会の活動について
知事発表
糖尿病重症化予防対策について

糖尿病重症化予防対策について(PDF:985KB)

知事

今日は、糖尿病重症化予防対策の埼玉県の手法が、内閣府でも大変注目されまして、埼玉県方式で全国展開したらいいんではないかということで、そういう評価をいただいているところでございますので、改めて埼玉県の糖尿病重症化予防対策の課題とこれまでの取組について、県民の皆様にお知らせをしながら、是非糖尿病にならないように、あるいはなった場合は重症化しないように、そして重症化した人達はそれ以上進まないように、そういう取組をお願いしたいということで、御報告したいと思います。
まず、現状で申し上げます。糖尿病患者は本県において、平成13年に15万2千人が、12年経った今日、平成25年のレベルで31万8千人ということで2.1倍になっております。高齢化の割合が埼玉県はどんどんスピード化、速くなっていることもあり、全国の平均よりも少し高い状況であります。同じように週に3回程度重症化された方々が透析をしなければならない患者の皆さんたちも平成13年当時9、962人、それが平成25年度16、753人ということで1.7倍になっております。この数も全国平均よりも少し多い状態です。基本的には糖尿病が重症化するとどうなっていくかということで、3大合併症と言われていますが、1つは人工透析をしなければ、いわば体の毒素を取り除くことが、肝臓・腎臓等でできないために、最終的には中毒患者として死亡するということになりかねないということで、人工透析をやったりしなければなりません。2つ目は網膜剥離などの障害が起こって失明していくということであります。3つ目が神経障害が起きて、とりわけ、足の部分に感覚が無くなって、切断までに至ってしまうという、この3つが大きな恐ろしい病気だと、糖尿病そのものというより、糖尿病から起こってくる合併症ということで。とりわけ、体の毒素を取り除くことができないということで、中毒死になってしまうということで、週3回、1日4時間ないし5時間の通院が必要で、しばらくベッドの上でいろいろなことをしなければならないということで、実は普通の糖尿病であれば、(医療費が)年間50万円くらいでありますが、透析患者ですと500万くらいかかるということで、大変費用のかかる話で、国民健康保険などの医療保険などの費用を圧迫していくというかたちにもなっております。そこで埼玉県は県医師会、埼玉糖尿病対策推進会議、県の3者が一体となりまして、予防プログラムを作成しまして、対象者を選定して、受診を勧奨してさらに保健指導の方法を細かく指導して糖尿病にならないようにする。あるいはまた重症化にならないようにしていくということで、26年度と27年度には30の市町で、埼玉県国民健康保険団体連合会と共同して、検診・レセプトデータから、当然いろいろな数値が出ていますので、そのデータからピックアップすればどの方が糖尿病か、あるいはハイリスクまで行っているかどうか分かるわけですから、ハイリスクの者をピンポイントで特定して、通院していない者にはあなたは重症化のリスクがありますから、是非受診してくださいということを連絡する。そして、通院している人には専門家が更に保健の指導をしていくことで重症化を防ぐということをやっております。
具体的にどういうかたちで30の市町で行われているかというと、受診勧奨の効果として、(勧奨実施前が)未受診者4、896人のうち新規受診者491人で、勧奨実施後は未受診者4、405人中新規受診者が807人に、また、新規受診者の割合が(勧奨実施前)10%だったものが(勧奨実施後)18%に、新規受診者が増えていくというかたちに結果的になっています。そしてそういう方々がどういうふうに良くなっていくかというと、具体的に参加した人は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)、これは糖尿病のメルクマールになる値ですが、これが7%未満であれば、合併症になりにくいということで、保健指導参加者にはこれを目標にしております。7%よりも下になれということであります。参加した人達は0.3ポイント改善し、6.8%になっていると。で、参加しなかった人は悪い意味で増えてしまって、26年の健診と27年の健診で、7%が7.1%になっていると。こういうことになっていくということで、糖尿病の重症化予防対策が効果があるということが、明らかになってまいりました。
したがいまして、事業参加者とかかりつけ医の声でありますが、参加者の自己管理に関するアンケート結果でありますが、「記録がきちっと出来るということで、重症化する恐れがあるとは思いもよらなかった。けどもあらためて、こういうことが確認出来ることによって、生活習慣の改善が大切だという自覚に繋がった」と。そしてかかりつけ医のアンケートに関して、「患者さんに『合併症が問題である』という意識を持たせることが出来た」「医療以外での食事と運動等、生活面での改善が重要との認識が持たれるようになった」と。具体的に数値を見ることによって、患者さん達は具体的な行動になっていくということでありまして、今年度は30の市町で行っていたのですけど、これを40に代えていこうと。そして、29年度にはこれを63市町村に持っていこうと、全県で取組をしっかりやっていこうと。そしてまた、受診率を上げる努力をそれぞれの市町村の保険組合の方でもやっていただきたいと考えるところであります。で、この話が伝わってまいりまして、日本健康会議で、「重症化予防に取り組む市町村を800以上に」と、ホームページ等で紹介していますが、特に埼玉県の場合は埼玉県全体でやっていると、全国では呉市などで1つの市で展開しているところもあるのですが、県レベルでやっているところはないということで、埼玉県の取組は非常に広域的で望ましいということで、大変評価をいただいているところでございます。  したがいまして、日本医師会や日本糖尿病対策推進会議、厚生労働省においても、今後、埼玉県の3者連携というものを踏まえて、埼玉県の方式というものをもう少し研究して、重症化予防プログラムというものを、国としても作っていって、埼玉県と同じ方式を全国に展開していこうと、こういう話ができあがっているところでもございます。そういう意味で今後、高齢化が進むほうが、もちろん、若い方で糖尿病の方もおられるわけですが、糖尿病のリスクは高齢者のほうが高いわけでありますので、高齢化社会における糖尿病対策ということで、埼玉県は高齢化のスピードが早いということもありますので、こうした取組を真剣に行っているということを、改めて、県民の皆様にお知らせしながら、市町村から声がかかったこの取組に関しても、積極的に御参加いただきますことをお願い申し上げまして、報告に代えます。

産経
平成28年度40市町村ということで、ほかの23市町村について、目途といいますか、いつごろまでに全県展開とお考えですか。
知事
今のところは29年度までに63市町村も完成させたいというふうに思っております。また、そのくらいのスピードでやれるんではなかろうかというのが、目安になっております。1~2がひょっとしたら間に合わないということがあるかもしれませんが、原則、なんとか間に合わせたいと思っております。

産経
現時点で40市町村ということでありますけど、難しいのかもしれませんけど、どのくらいの医療費削減に繋がるか、すぐには結果がでないと思いますけど、行く行くどうなろうかという規模感、目途感というのはありますか。

知事
そうですね、簡単ではないのですが、今の時点では答えにくいのですが、概算はかなりできるのではないかと思っております。例えば30市町村の国保で140万人で、糖尿病患者が6万人と。で、ハイリスクの人達が未受診の人達で5、622人が抽出されておりますし、通院の人達のハイリスクが26、421人が抽出されております。これなど、合わせると3万人くらいの方々がハイリスクだと。このハイリスクの方々が透析患者にならないということを前提にしていくと、例えば、3万人掛ける500万円と、そういう数字とかで、その部分が最終的には例えば30市町村に関しては言えるとか、そういうことは、ザクッとは言えるかもしれません。ただ、あまりにも概算過ぎるので、ここでそういう数字は言えないので、専門家が確認したうえで、あるいは御報告できれば、後程、連絡させていただきます。

朝日
今回まだ国民健康保険というレベルだと思うんですけど、被用者保険の部分で、資料の中にも声掛けするということがありましたけど、一定程度被用者保険の方というのはたくさんいらっしゃるので、こちらもある程度やってもらえるとより効果がでてくると思うのですけど、県としてはどのようにお声掛けすることを考えていますか。

知事
どちらかというと、それぞれ、協会けんぽだとか、あるいは共済だとか、企業の組合というのは、医療保険組合の健全な運営ということに関して非常に熱心ですので、市町村の加盟するところの国保よりも熱心なところがあるんです。また、数も少ない。ところが、国民健康保険の方は一般的に自営業者の方々とそれから退職後に入ってきた人達という構成になってますので、平均年齢も高い、で、非常に病気がちだとか、リスクの高い人達が多いということですので、やはり、こっちをきちっとしていかないといけないということで、今のところ市町村が管轄しておりますが、近い将来県が管轄致しますので、ただ、実務は市町村で担っていただきますので、やはり市町村レベルで健康を管理していただく、健康長寿のプロジェクトをやっていただくとか、いろいろやっていただいているわけですけど、やはり、市町村国保の合計が足し算すると、年間300億からの赤字になっているのです。これは一般会計からの補てんをしております。そういうものを減らすために、こういう重症化のリスクを減らすことでより長く生きる、しかも苦しむことなく長く生きることが可能になるとか、なおかつ、それは国保の医療費を減らして健全な財政になって、一般会計からの繰り出しも無くなって、その分だけまた違う予算を使えるとか、いいことづくめになりますので、そういう意味では共済を始めいろいろな健康保険、企業保険のほうにも、呼びかけをしなくてはいけませんが、まずは、この一番困難な国民健康保険の部分にしっかりと手を入れていくというのが大事だということですので、まずはここに手を入れて、こういう事例のいい部分というのがたくさん出てくれば、これはまた情報として提供しながら、参考にしていただく部分は参考にしていただくという、そういうことが順番かなと思っております。

NHK
最後の全国展開へというところなんですが、例えばこの埼玉モデルを全国に発信するために知事としてこういう場で訴えていくとか、対外的なPRとしてお考えのことがあれば教えてください。

知事
どちらかというとこれまでも各市町村レベルで、特に呉市などが丁寧にこうしたことをやって成功モデルを見せているところですが、全県モデルというのは例がないということで、埼玉県のこの全県モデルを内閣府や厚生労働省が注目をしていただいているんですが、ただ、埼玉県のものがまだ完成形ではないので、まさに今成長プロセスみたいなところですので、できるだけこれを完成形に持っていって、全国もこれから完成形でない埼玉方式みたいなものをやっていくと思いますが、できれば埼玉で完成形をなんとか30年までに作って、このとおりやればというものを提案出来れば、これはまさに埼玉県が手掛けて完成させたものだと。今埼玉県が手掛けていますということですので、埼玉県が手掛けて完成しましたというところに持っていきたいと思っております。

毎日
この施策がどういうアイデアでできていったのかということ。最初に医師会からアイデアがあったとか、何か経緯を教ええていただければと思うんですが。

知事
基本に埼玉県全体の市町村国保で300億からの赤字が出ていると。それが一般会計を圧迫していると。とりわけ小さな町や村で1人の透析患者などが、1人じゃなくて数名に増えてくると、相当それはまた圧迫してしまうという、こういう事例などは時々聞こえておりました。したがいまして、保健医療部のメンバーが何らかのかたちで重症化、ある程度糖尿になる分にはやむを得ないけれど、それ以上進まないようにという、このブロックが非常に重要だと。しかも場合によっては失明する、切断せざるをえない、あるいは命を失う、ということだけは避けるためのことはやらなくちゃいけないということで、どういう対策を取ったら良いかということで、医師会などとも相談して「じゃあ一緒にやりましょう」というかたちで自ずから取組が始まったところですので、問題意識が元々あったところで、市町村国保が埼玉県の方に移管されると、そうするとこの300億というお金は、一定程度国が補てんをすることを約束はしていますが、そのうち反故になる可能性だってありますので、健康は自ら作っていくということで、そういうところに基本的な要因はあると思います。やはり埼玉県が責任を持たなくてはならないということで、県全体として今の内から全体に取り組んでいこうというかたちで、まだ市町村が責任を持った国保ではありますけれども、将来のことも考えながら進んでいるというこんなふうに理解していただければと思っています。

毎日
まず県の保健医療部の職員の方々が人工透析の費用負担に着目されて、それを医師会に相談してこのシステムができていったということなんですね。

知事
そうですね。医師会の協力無しにこれはできませんので。現場はやはり医師会ですので。

毎日
それを市町村に伝えて、協力を要請したということですね。

知事
そうですね、はい。なぜ町村が入っていないかと言いますと、郡医師会の部分と町村が弱いんです、関係が。どうしても都市部の医師会と行政は関係が深いんですが、郡部の方は医療行政があまり町村でやってませんので、そういう意味で関係が薄いことから、スタートが遅れているということになっています。

毎日
確かに病院が無い自治体とかもありますよね。

知事
そうですね。元々医師との関係が薄いとかそういうのがあります。

毎日
受診勧奨の効果というところで、新規受診者の割合が10パーセントから18.3パーセンと1.8倍になったということなんですけれども、この18.3パーセントというのは他県との比較で見た場合、これが多いのか少ないのかって、他県のデータってございますか。

知事
他県とのデータというのは今私の方は持っていませんので、後程データがあれば開示させてください。

幹事社質問
空自入間基地所属の「U125」の事故について

産経
先日、航空自衛隊の入間基地所属の航空機が鹿児島のほうで事故を起こしまして、6人亡くなられたということですけれども、基地自体埼玉県内にありますので、住民の方、その航空機の安全というところでは非常に気にされると思うんですけれども、県として何か対応の取り方はあるのでしょうか。

知事
はい。まず事故で亡くなられた搭乗員6名の方、また、その御家族の方々にお悔やみを申し上げたいと思います。事故そのものは、入間基地から遠隔地で起こっているわけでありますけれども、入間基地そのものが比較的住宅地が周辺にありますので、内陸部の悲しいところでもありますので、しかも飛行機は離発着が一番事故の多いことでありますので、こうした離発着で事故が起きたわけではありませんが、近隣に住宅があるということですので、入間基地には、やはり今後も安全対策については、もちろんずっとやっていらっしゃるわけですが、とりわけ丁寧に対応していただきたいなということを改めて申し上げたいと思いますし、基地対策協議会などでも毎年度毎年度、そうした申入れも行っているところですが、今回の件を受けて今年度は改めて、丁寧にそうした点については申し上げていきたいと思っています。

県出身のバトミントン選手が違法カジノ店に出入りしていた問題について

産経
オリンピックに出場経験のある県出身のバトミントン選手が違法カジノ店に出入りしていたという問題がありましたけれども、今年度から県のほうでも若手の育成に力を入れる予算を組んでいらっしゃるかと思いますけれども、若い頃から違法なものには手を染めないという教育が必要なのかなというところもあるかと思いますけれども、その点から対策があればお聞かせください。

知事
そうですね。自ずからスポーツ選手というのは、他の事もそうかもしれませんが、何よりもさわやかなスポーツマンシップというのがファン、そして国民の期待するところでもありますので、そういうところでは、バドミントン、野球に限らず、こうした違法な賭博行為というは断固、染めてはいけないことではないかと思っております。ただ、残念ながらそうしたところでの抑止、抑制が利かなかったということは残念です。まあ、リーダー格に誘われて、ついついというようなお話がバドミントンでもありますし、野球のほうでもそうしたこと、オリンピックとは関係ありませんが、そうしたことが指摘されておりますし。なぜ、こういうスポーツ選手が憧れの対象になるかというのは、基本的には我々の能力をはるかに超えた高いレベルの競技力とか精神力とか、それを達成した人たちが称賛されるという、そういうことが国民的に見て憧れの対象になるわけです。また、青少年にとってみたら、我々だったら絶対そういうことは考えられないわけですけど、まだ無限の可能性がありますので、そうした人たちが、子供たちにとっては、すごい夢になるわけですよね。憧れというか。そういう点では、夢を壊すような話ですので、ちょっとこう立場が違うということなどを、青少年の夢の存在だということを自覚されれば、たぶん抑制力がつくのではないかと私は思いますので。すごい高みにある人たちだと、ゆえに尊敬され、憧れている人たちだと、自覚していただければいいのではないかと思います。あんまり、答えになってないかもしれません。

産経
具体的に今年度から強い選手を呼び込むという話で、そういうところでも、こういう事業というか集めてやることも可能なのかな、そういう教育をすることは可能なのかなと思いますけれども、そういうところには…。

知事
まあ、なかなかそういうことを、わざわざ言うのかなという感じはありますけどね。小さい時から、スポーツマンシップの精神を養うことをある意味では義務付けられてこられた方々ですし、それから、オリンピックの出場選手になる、あるいはなれる資格を持った人たちというのは特別な存在だというかたちでの自覚不足に尽きるわけですから、やはりこの自覚ということを、こういう機会に改めて感じていただければいいのではないかと思います。

埼玉
県が東京オリンピックを見据えて、本年度選手の強化費ということで5,600万円ほど付けられていると思いますけれども、その対象となる選手は、おそらく選考委員会というところから挙がってくると思うんですけれども、この件を受けて対象となる選手を選ぶ際には選考委員会にこういうことをチェックしてくれということを求めるお考えがあるのか。あと、強化指定選手を指定した後に何か発覚した場合に、強化費を返還するというような文言を入れてもらうとか、そういうようなお考えは現時点でありますでしょうか。

知事
今の時点では、何もそういうことは考えておりませんが、こういう事態が起こったので、県民の税金を使う以上、関係者の皆さんと一度、どういうかたちで自覚を促すかということについては、何らかの方法を考えてみたらいいかなと思います。ただ、注意するとか、そういう話ではないような気がしますけどね。いかに誇りを持っていただいて自覚を促すかという、そういうお話ではないかなと私は思っております。もともとはレベルの高い人たちです。自己を抑制し、好奇心に耐えながら、頑張ってそういう立場になった人ですから。だから、魔が差したものにどんどんはまっていくという、そういうことですから、何らかのかたちで軽いはずみでもダメなんだということを改めて自覚していただく以外に方法がない。もともと好奇心の強い人たちですから、きちんとしたことが理解していただければ、ピシッとなるのではないかと私は思っています。

交通政策審議会の答申案について

産経
先日、交通政策審議会の答申が出ましたけれども、知事のお考えをお伺いできればと思います。

知事
そうですね。過去の運輸政策審議会などでは、何年までに延伸が望ましいとか、期日などを明らかにされていたわけですけれど、今回はそういうものがなくて、評価と課題というかたちで出てきました。概ね、埼玉県が提案してきたことに関しては、全部網羅していただきました。ただし、いくつか課題が指摘されておりますので、その課題がクリアできるようにと思っております。なぜ、そんなふうになってきているかというと、やはり人口減ということであります。それから、鉄道事業というのは非常に莫大な費用がかかるということなどから、やや国のほうも採算ベースだとか、そういったものはよく考えなさいという、そういう仕掛けをきちっと作りなさいという意味で、イケイケどんどんではない丁寧な作業が必要だぞというようなことを今回は特に感じました。どうかすると、これまでの運輸政策審議会のレベル、交通政策審議会の前のレベルの時には、理想とされる部分までぐらいが答申で出ていました。今回は、理想よりも現実可能な部分の位置づけが出てきたという感じがいたしました。

時事
今のお答えというのは、これまでの答申とは違って、今回のもののほうが現実的で地に足が着いていて、よい評価をしていらっしゃるということですか。

知事
はい。評価的には厳しいかもしれませんが、逆に言うと、今答申でもらえたことは、達成可能なものだというふうに理解いたします。課題をクリアすれば。以前のものは、我々から見ても何年までに延伸するのが望ましいとか、ちょっと現実離れしたような年度が出ていたりしていましたから。とてもではないけれど、買収なんかそんな年度で出来るわけがないという数字が平気で出ていました。年度が。常識的に。そういうのは全く消えていますので。逆に言うと課題とか、はっきり出ていますので。現実可能な、つまり実現可能なものになったので、答申をもらえたことは、逆に我々はそれを目指すことが可能だと理解をしやすくなったと思います。

毎日
答申なんですけど、読み進めてみると、一見その意義というのは認めているというのは認めているんですけども、どちらかというと、もともと県の試算でもそういうものが出ていたと思うんですけど、事業性というか採算性に相当課題がありますよという、どちらかというとネガティブじゃないですけれども、かなり厳しいことも言われていると思うんですけれども、そのあたり本当に実現可能性があるものと捉えて考えていくというお話でしたけれども、本当に実現可能性があるのかというところが、そこが実は国に結構突き付けられた部分があったかと思いますけれども、そのあたりのどうお考えですか。

知事
そうですね。でも、ある意味では、ちょっと差をつけているんですね。例えば、我々は川口駅(後に「川越線」に修正)の複線化をお願いしていたわけですが、複線化というかたちでの表現はないんですね。(川口駅は)駅空間の質的進化に資するプロジェクト等で自治体から提案があった事業として受け止めるというかたちなんですね。だから、明確に複線化という言葉でやっていない。例えば、課題についての段階表示みたいなかたちは多少あります。一段階目の評価と二段階目の評価と、そういう意味での差は多少ありますので、全て厳しめで差をつけているというような感じではなくて、まさに実現可能な部分として取り上げていただき、それを可能にする課題は何かということを言っていただいていると。こういう表現ではないかというふうに、私は理解をしております。旅客ホームの新設ですね。川口に関しては、旅客ホームの新設です。失礼しました。

毎日
ホームとかに関しては、大宮駅についても課題というより、それこそ意義があると書かれていたと思うんですけど、いわゆる新線に関する部分については、かなり厳しめの、それは県の試算でもそうなったと思うんですけど、そもそもの事業性に問題があって、と言われてしまっている。まちづくりをそもそもしなさいという。そのあたりの受け止めはいかがでしょうか。

知事
まあ個々の部分で、それぞれニュアンスの違いはありますけれど、課題を明らかにされていますので、例えば、12号線の延伸問題なんかでは、アクセス利便性向上に意義ありと、大泉学園から東所沢までの延伸は事業性に課題があると、特に一体的整備については東京都の協調性が必要だと、きちっと触れておられると。ある意味では、これも卵が先か鶏が先かというところの世界であって、まちづくりができて線路を敷けば安心して線路が敷けるという話ですが、線路ができればまちづくりがしやすいという部分がありますので、その事業の採算性というのは、結局どちらを優先するかというところもありますので、たぶんそれは両方ではないかなと思います。徐々に周辺整備をしながら、なおかつ延伸などができると一気に今度は整備が進んで、延伸の黒字化も比較的長いスパンではなくてそれが短くなって。例えば、30年以内にというのが一つの目安になっておりますので、黒字化の。それが50年の話が30年になっていくとか。そういう試算をそれぞれ、例えば新座市は新座市で車両基地などを新座のほうで用意するので、あえて都営地下鉄だけれども埼玉県そしてまた清瀬という東京都を通って東所沢に出るという、大変有意義な提案をされていて、そういったところはやはり正しく評価されていると、こういう理解をしております。それぞれ個々の部分での評価と課題について、一つ一つまたコメントすると私が何か答申の委員長みたいな感じになってしまいますので、それは避けたいと思いますが、基本的には概ね、比較的埼玉県の部分に関しては、100パーセント満足というわけではありませんが、ちゃんと実現可能性を残したかたちでの答申が得られたと、こういう理解をしております。

その他
競泳のリオデジャネイロ五輪代表に選出された埼玉県出身選手について

埼玉
昨日日本水連が競泳のリオデジャネイロ五輪代表を発表しまして埼玉県からは瀬戸大也選手や星奈津美選手それから20年ぶりに中学生代表となった酒井選手ら五人が選ばれましたが知事の期待などありましたら教えてください。

知事
すごく期待できますよね。埼玉勢いずれも金を目指すことが可能な人たちばかりですので大変嬉しいというんでしょうか期待しております。かなりのレベルで皆さん頑張っていただけると確信しています。

都知事の海外出張費について

埼玉
東京都の舛添知事の海外出張費がかなり高額じゃないかという指摘が出ていますけども、埼玉県の状況というのはどのような感じになっているんでしょうか。

知事
東京都だけが不交付団体であとは地方交付税をいただかないとやっていけない46道府県になっていますので、東京都は財政に余裕があるということで、少し大らかなお金の使い方かなと。少しじゃないか、結構大らかなお金の使い方だなと。それが許容されているというふうに、これまでは。ただ、都民目線からはどうなのかな。あるいは日本国民目線からはどうなのかなというのは正直思います。ただ、その渦中にいると案外わからないのかもしれません。例えば私は埼玉県の財政の規律を守りたい気分がありましたし、行財政改革を進めたいという気分がありましたので、例えば国会議員時代はファーストクラスに乗せていただいたようなところもありましたけれども、知事になってビジネスというふうに自分自身を位置付けてまいりましたし、県内の新幹線で移動する場合は自由席、場合によっては混むような時期だけは席を確保するという意味で指定席ですけれども、「自由席で良いよ」と。「大宮から本庄までぐらい別に立っていてもどうってことないよ」という気分でいつもおります。そういう点で、できるだけ普通の県民から離れるような感じにならない努力はしたいなとは思っております。

保育所待機児童の解消について

東京

待機児童の問題で1点お伺いしたいんですけれども、県内の待機児童数なんですけど、県内の取組もあって一時期に比べるとだいぶ少なくなってきてはいると思うんですけれども、それでも昨年来大幅にまた増えてしまって、1、000人超は保育所に入れず、運よく入れても家から遠かったりという問題が起きていて、国の方でも最近緊急対策と言うのをまとめましたし、国会の方でも保育士の給料を上げたらどうかという議論も起きているんですけれども、知事として待機児童の問題を解消するために国の制度や県の政策で何が必要だとお考えでしょうか。

知事
基本的には市町村によって事情が異なっておりますので、市町村支援というのが非常に重要になってくると思います。鉄道が交差するようなところはどうしてもマンションなどそういうものが、住居ができて急遽人口が増えたりします。そういったところはなかなか間に合わないというんでしょうか。従って、そういう民間需要などを計算しながら、市などでは保育園あるいはまた保育士などが確保できるような努力をそれぞれしているところでございます。県も最大限にそうした市町村の動きを支援するようなかたちでやっているところですが、2つがポイントだと思います。
やっぱり人口急増地域での保育士の確保。これには待遇面での部分がきちっとされるのが1点。
もう1つはそれぞれの市町村で土地の手当てなどを、運営するところは無いわけじゃないんで、ただ手当てがなかなか難しくなっております、人口が急増するようなところは。そうしたところでの土地の手当てなどについては市町村が協力をすると。そうしたことが施設などを増やすことになってくると思っていますので、そうしたことが必要だと思っています。
今、国が「少し基準の緩和をしたらどうだ」という提案をしておりますが、我々が聞くところでは、心ある施設を運営されている方々はあまり基準緩和を好ましいと思っておられません。「質の低下というのは子供の幼児期の教育に非常に良くない」、こんなふうに考えてる人たちが多いということですので、この辺もやや政府の考え方は数を揃えたいという焦りがあるんじゃないかと。もう少し現場の声を聴けばやはり基準の緩和ではなく、保育士に対する待遇改善、それから国の方だって遊休地など持ってますので、そうした部分をそれぞれの人口急増地域がどこかをピックアップできるわけですから、そこにおける国の遊休地などのピックアップなどをして、それを市町村とドッキングさせていくとか、そっちの方の支援なんか可能じゃないかなと私は思っています。

全国知事会の活動について

朝日

全国知事会の現状をどのように見ているかというのを知事の御所見を伺いたいんですけれども。今知事は副会長をされたり東日本大震災の復興本部の本部長をされたりとかで、いろいろ国に要望とかされたりという動きを積極的にされているかと思うんですけれども、知事会って一時期は地方分権の時とかは結構注目される存在だったのかなという印象を受けているんですが、今知事会の活動、国に対する活動とかをどのように知事は見られているかという漠然とした質問なんですが、御意見があれば。

知事
一定程度の成果を得てきた部分があるんで、少し大人しいようなところもあるかもしれませんね。例えばハローワークについては(地方移管の)全面展開はできませんでしたけれども、特区を通じて結果的には特区と同じようなことを47都道府県準じてそれができるようになって、市町村もその取組ができるようになったという、かなり激しい戦いをやっておりました。それがひと段落着いたとかですね。例えば国と地方との協議機関を設置しろと、これも定例化してきちっと協議ができていると。いくつかやっぱり民主党政権時代に話題になっていた、それ以前から話題になっていて、民主党政権時代に少しできた部分とかができて、その後もそれを国と安倍政権も引き継いでいただいていますので、少しドンパチやる課題が減ってるのかなと。それで少し大人しく見えるきらいはあるのかなと思いますが、ただ課題が無いわけじゃないんですね。臨時財政対策債みたいな、国の借金を地方が肩代わりするような話というのは、これはあってはならないことが平気で行われているわけですから、こういう問題も戦う材料になってきます。むしろ国のほうから地方創生なんて言われて、我が意を得たりという感じになってきてますけども、言われなくたってみんな地方創生やっているわけですから、そういう意味で安倍政権ていうのは考えようによっては、面倒見が良すぎる政権なのかもしれません。

したがって、ドンパチがしにくいのかもしれません。同一賃金なんてことも言ってますしね。労働組合側が要求するようなことを政府が言っていますから。ある意味では、戦いの芽を取っていくのが得意なところがあるような感じがしますね。ただ本質的な部分は終わってませんので、例えば税制がそうですが、地方が6割使っているのに、実は4割しか実質財源が無い。地方交付税を始め何らかのかたちで国がコントロールしなければ、東京都以外は生きていけないというこういう根本的なところにまだ突っ込んでいないんですね。もちろん根本的なところを譲らないからなかなか戦いができにくいという部分があるかもしれませんが、やっぱり根本的をもっと声を出していく必要があるのかなと思います。
ちょっと枝分かれしたところをだいぶ、きちっと整理ができたので、本当に幹の部分をやっていったらいいかなと思います。そうすると存在感がまたでてくるんじゃないでしょうか。

朝日
5年前に知事会長選に出られていろいろ訴えられた部分があって、そこは今いろいろ改善されたりとか実現された部分もあるかと思うんですけれども、来年、まだ全然気が早いんですけれども、来年また会長選ありますけれども、そこに打って出ようというお考えというのは今のところは。

知事
無いですよ。不自由ですから。副会長でも不自由ですから。

(終)

平成28年4月5日(火曜日)

「埼玉版」ヒートアイランド対策PART1について
新年度の抱負について
生涯現役起業支援助成金について
消費税率10%への増税について
公衆電話の有用性について
消費税率10%への増税について2
北海道新幹線開業について
知事発表
「埼玉版」ヒートアイランド対策PART1について

「埼玉版」ヒートアイランド対策PART1について(PDF:827KB)

知事

こんにちは。今日は涼しい日ですけども、「埼玉版」ヒートアイランド対策PART1というかたちで、これから、とりわけラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、外国の方々もたくさん来られるということで埼玉県、会場がございますので、できるだけ涼しい空間を作りたいということで、改めてヒートアイランド対策について、しっかりやっていきたいと思います。認識として、例えば熊谷、「あついぞ!熊谷」の熊谷でありますが、昭和36年から40年の平均で年間で3.4日が24日に、平成23年から平成27年の平均でです。これだけ、猛暑日が増えているという、この実態があるということであります。しかも、毎年3千人程度の人たちが熱中症で搬送されているという事実がございます。しかも、約50パーセントが65歳以上の高齢者であるということ、中には不幸にしてお亡くなりなる方もおられる。したがって、暑さに不慣れな外国人旅行者が今後増加していくことを前提に考えれば、改めてヒートアイランド現象の原因をきちっと究明したり。ある程度はもう分かっているわけではありますが。農地の宅地化や道路舗装の進展、あるいはまた都市への建築物の集積、自動車や空調室外機からの排熱、こうしたものが、ある程度原因になっていますので、できるだけ緑化作戦を展開しようというかたちで、都市の徹底した緑化を展開しましょうということで、これまでも進めてきたわけですが、校庭・園庭の芝生化、それから大規模駐車場、とりわけ500平方メートル以上の緑化、とりあえず県庁駐車場の芝生化をモデルとして展開したいと思っています。とにかく涼しく過ごせる推進モデルをきちっとやりましょうということで、トップレベルの対策を講じた新築住宅街を提案してみたい。それから、既存の建築物、特別養護老人ホームの二重窓化のモデル事業、熊谷スポーツ文化公園の並木、ミスト等の整備をやって、熊谷スポーツ文化公園そのものが、まさに全体としてヒートアイランドのモデルと言うんでしょうか、見本市にしていこうという考え方をもっております。この中身であります。ご案内のとおり、これまで8年かけて、みどりの再生事業の取組を行ってまいりました。実際、7、720ヘクタール、特に、とにかく失われた6、500ヘクタールを8年間で再生すると同時に、プラスアルファで、7、720ヘクタールのみどりの再生ができたこと、身近なみどりの創出では、校庭・園庭の芝生化456か所、12万4、130平方メートルの緑化、さらに駐車場の緑化で8か所、2、943平方メートルと。こういう取組をやってきたところですが、本年はさらに人工被覆面の緑化を推進するために、1千平方メートル以上の校庭芝生化の補助を強化するというかたちで、今年度の目標として、2万5、000平方メートルを芝生化する。特に、先ほども少し申し上げましたが、500平方メートル以上の大規模駐車場の緑化補助を新たに新設をいたします。今年度はちょっと量は少ないんですが、実験的に進めるところもございますので、7、500平方メートルを緑化いたします。民間の自主的な取組も合わせて、この約4倍の3万平方メートルを緑化すると。例えば、県庁の駐車場でありますが、一部芝生化していくというかたちをとります。さらに、こうした部分に関して、緑化補助事業というものを展開しますので、本日から募集を開始して、例えば、民間の事業者の人たち、あるいは大規模駐車場などを持っている方々などが、県のこの補助金を活用する中で何らかの緑化をする場合には、県が補助金を出すというかたちをとっております。補助金の金額についても公立で1千平方メートル以上に関しては限度額700万、そして1千平方メートル未満で公立私立を問わず補助率2分の1、限度額1千万。それから幼稚園・保育園の園庭の芝生化などについては、公立補助率が2分の1、限度額150万円。それから、私立の場合は補助率3分の2の限度額150万円というふうなかたちで、補助金を出しながら、募集をしてまいります。問い合わせは、県のみどり自然課が窓口になりますので、是非ご利用いただきたいと思っています。そこで、クールに涼しく過ごせる推進モデルを、本年度3つのパターンで展開したいと思っております。新築の住宅街そのものが、まさにトップレベルのヒートアイランド対策を行っている住宅街の建設をやっている民間のモデルを、埼玉県モデルとして認証して、予定認証数はその1街区だけでございます、まずは。こういうかたちでやると涼しいんですよ、風の道。それから申し上げましたように緑化、浸透性の舗装道路、駐車場、あるいは緑の駐車場等々。徹底して、このヒートアイランド対策を行った一つの住宅街を県として認証して、埼玉県のモデルとしてそれを進めていこうと考えております。このことができれば、その次の街区に関しても、大々的に募集を展開しようと思っております。それから、既存建築物への支援ということで、とりわけ窓からです。熱の侵入は7割窓から侵入するそうであります。したがいまして、特別養護老人ホームの窓のリフォームに対して、徹底的にリフォームしよう、つまり二重窓等々を作ったりして、温度を下げるというこの実験を4か所でやりまして、その効果を今年の夏確認して、秋口等々に検証して、大々的にどのパターンだったら進められるのかを進めていきたいと考えております。それから、県の率先遂行ということで、ラグビーワールドカップの会場にもなっております熊谷スポーツ文化公園、ここを丸ごと、可能な限り順次ヒートアイランド対策の、見本市にしていこうということで、本年、可能な部分からスタートさせていただきます。並木の整備2か所、合計300メートルの並木です。あるいは寄附による県民参加での記念植樹、ミストの整備、あるいは遮熱性の舗装だとか、そういうものを全部組み合わせて、どこまで温度を下げられるのか。極端なことを言えば、熊谷駅に降りて、温度計を見ると37度だと。このスポーツ公園、文化公園に来たらその37度ではなくて34度だと。そういう違いが分かるようなことが可能になるかならないかを、本年度一部実行していこうと思っております。もとより、これは3年がかりでラグビーの日程に合わせて、行っていこうというふうに考えているところでございます。いずれにしても、「埼玉版」ヒートアイランド対策に関しては、九都県市で一緒にやっていこうということですので、できるだけ推奨モデルを作って、どれが一番効果があるかということを、まずは実証実験を行って、官民併せて、それを展開していきたいというふうに考えているところでございます。以上でございます。

産経

駐車スペースの緑化なんですけれども、これは基本的に校庭と同じで芝生を敷くことを想定されているのか、それとも木を植えても緑化につながるし、ヒートアイランド対策になるかと思いますけれども、お考えとしてはどちらを意味しますか。

知事

場所等にもよります。例えば、県立がんセンターでは、駐車場にホウキケヤキを植えて、今実験もしているところでございます。どのレベルで本当に行けるのか。それから、県庁のメインの駐車場でB駐車場、さいたま地方裁判所の前と埼玉県庁の間にある駐車場でありますが、ここは樹木でちょっとカバーするのが困難な状況でございますので、駐車場を一部芝生化するというかたちで考えております。したがいまして、今後のモデルとして、緑化補助金を提案するわけでありますが、やり方はそれぞれの所の環境に応じて、認めていく考え方であります。芝生化あるいは樹木等々です。できるだけ一番可能なやつでやっていただきたいと思っています。

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幹事社質問
新年度の抱負について

産経

新年度に入りまして体制を一新されましたけど、政策的な面から新年度の抱負を聞かせていただければと思います。

知事

3本柱を丁寧に行っていくということで基本的には思っています。日本経済の競争力の低下というのが明らかになっております。ご案内のとおり、自動車のみとは申し上げませんが、自動車を中心として、家電、電機、電子あるいは、精密機械等々が非常に苦戦しています。なんらかのかたちでこの先端産業というのを日本は育てない限り困難であろうと。例えば、自動車産業は3万点部品だと言われていますが、航空機だと300万点と。したがって、航空機・宇宙産業などにも既に参入していますが、もっと参入できれば、当然、自動車の部品を超える大きな需要を起こすことができる。あるいは、カーボン・ナノカーボンなども新しい産業だと思っていますし、それから医療イノベーションなども、大変大きな展開が期待されるところであります。これはさいたま市にあります本県の企業でありますが、いわゆる3Dでの、裸眼で内視鏡で立体的に見えるんで、お腹の中を切らずに横とかを見ることができるということで、非常に全世界から引き合いが今出ているところですが、これも医療イノベーションの分野での、製品化が近い、トップレベルの研究開発の成功の一つですし、正にイオン電池(後に「リチウムイオン電池」に修正。以下同じ)が今主流で、これは埼玉を代表する企業と、埼玉県の研究機関でありますサイテックの共同開発でできたマグネシウムの蓄電池でありますが、これも実用レベルまでの展開にしていくと、いわゆる電池(の勢力)図が一変するかもしれない。リチウムイオン電池から、マグネシウム電池に代わるかもしれない。鉛電池がリチウムイオン電池に代わったのと同じようなことが起こり得る。こういう展開をまさに稼ぐ力、先端産業で行っていきたいと思っております。

2番目にはシニア革命と言っておりますが、いわゆる日本の社会ではかつてからこんなことが言われておりました。12~13人で1人を支えるのが30年前の世界でありました。12~13人で1人を、30年前は支える社会だったわけですけど、騎馬戦型になってきて、最終的には肩車になるんだと。この肩車のときにはもう、支えられる人も支える人も泣き顔になっていると、このイメージが展開されているんですが、そんなに社会が暗いんですかということを丁寧に調べていくと、ご案内のとおり、10人いらっしゃれば入院通院している人は2人と、あと8人がバリバリ元気とは言いませんが基本的には元気だと、もちろんサプリだとか、あるいはちょっと腰痛持ちだとか、あんまり歩きすぎると膝が痛くなるとか、いろんな課題があるかもしれませんが、65歳以上の人達の10人のうち8人が元気だと。この10人のうちの8人がもっと元気に社会の中で様々な活躍ができるのではないかというのが基本的な考え方であります。この部分では1億総活躍と似ているかもしれませんが、シニアがアクティブになれないかと、その条件づくりを埼玉県でどんどん展開したい、一つは健康長寿で、あるいはまた糖尿病の重症化予防であったり、あるいは介護の認知度を下げていく作業であったり、そういうことを行っていくことによって積極的に仕事をしたい人は仕事を、あるいはまた社会的なボランティアをしたい人はボランティアを、趣味の世界には趣味の世界をというかたちで、各々がその個性と能力とそして意欲に応じて、その場を得るような仕掛けをたくさんやっていくことで、基本的に日本の力が発揮できるというふうに、地域社会の力が発揮できるというふうに考えております。

3番目には、2番目と若干重なってまいりますが、まさしくそういう多くの人達が時と所を得ていく、高齢者だけでなく、女性も障害者もそういうかたちで取り組んでいけるように、例えば、埼玉版ウーマノミクスプロジェクトをたくさん展開していくとまだまだ課題があるわけです。いわゆる30代のM字型カーブと言われる部分です。この部分が社会の中で活躍されればまた一変するわけです。ただ、この30代の人達は子育てなどが困難な状況にありますから、まさしく子育て支援、そういう若い人たちに対する子育て支援だとか、あるいは経済的負担の解消だとか、そういうものを運動することで文字どおり社会が活性化する。こうしたことを具体的に今年度モデル事業的に展開して、そしてまた全体としての安心のための地域包括ケアシステム、これが2025年問題の一番のキーワードになるのかもしれませんが、この部分を3つ4つのパターンで展開して、2~3年以内にモデルを作って、それぞれの63市町村がそのモデルをピックアップしていただいて、若干の味付けをしていただくにしても、一定程度のモデルで展開していただくと、そういう意味では今年は非常に重要な年だと思っております。時代を10年後に設定したかたちのなかでの施策を主に取り上げております。年度年度の仕事もありますが、10年後の仕事というのが、特に課題で挙げておりますので、そういう意味では10年後の仕事ですので、3年くらいでモデルを作ってそれを実現していくという、そういうパターンになっていきますので、今年中にはその目標が出来上がっていくというふうにはできないところがちょっと辛いところですけれど、しかし、10年後には必ず実現しなければならないところを今年度からきちっとスタートさせるという、そういう意味では全く今までにない、政策的な展開ではないかと思っております。5か年計画というのは過去にありました。これからもそれはずっと展開しますが、10年後というところの大筋の中で、政策を展開してそれを実現するということに関してはそれは初めての出来事ではないかという、そういう意味での意気込みは強くもっているところでございます。

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その他
生涯現役起業支援助成金について

テレ玉

国が60歳以上の高齢者の起業を後押しするため、今年度から、雇用創出にかかる経費のうち最大で200万円を補助する助成制度を創設しました。知事はシニア革命を掲げているわけですけれど、まずはこの制度についての知事のご所見を伺いたいというのが1つと、県がシニアの起業家を支援する取組を今後やっていく考えがあるのかということと、もし現在やっているのであればその取組について教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。

知事

創業ベンチャー支援センターを通じて、大体60代以降の人達の新しい創業というのは大体7%前後くらいのシェアです。正直なところ、今まで勤めていただいていたところから、下請け的に仕事をいただくとか、一部切り分けて仕事をやるとか、そういうパターンが一般的に多い。そのために会社組織にするので相談をされていくというかたちで、売り上げも例えばそれ以前のものであれば、8000万とか1億という世界もあるのですが、こうした方々はそこまでの意欲ではなくて、継続的に仕事をすればいいということで、2500万だとかそういう前後の売り上げが多いというパターンが実際です。で、今回の国のが200万、なおかつ、1年以内に2人の高齢者を雇うことが前提になっていますので、事業を始めたばかりで2人を確実に雇うという仕掛けができて200万しか貰えない。なんかちょっと話が小さいかな。しかも、その判断を一度も商売したことのない、ビジネスをやったことのない埼玉労働局がやるというのもなんかおかしな話だなと。もし、私がやるのであれば金融機関に利子の補給だとか、国であれば、(信用補完制度における)国の再保険の負担額を国がたくさん出すことで、金融機関の負担額を減らして、それで積極的に高齢者の起業をまさしく助けるための資金を金融機関に貸し付けしていただく、そっちのほうが、いいやり方ではないかなと思います。判断する力のない人たちが、はっきり言って申し訳ないですけれど、金融とかやったことないわけですから、企業の収支決算書なんか見たことないでしょうし、それを労働局にやらせてどうするのかと、私なんか、正直言ってそう思います。雇用対策ということなのかもしれませんが、例えば高齢者を雇ってくれという意味での。それはまた違った仕組みがあるのではないかと。私は、ちょっとまさにバラバラのものをくっつけているような気がします。あまりというか、評価できないと思っています。それでもやらないよりましだという話はあるかもしれませんが、効果は薄いのではないでしょうか。

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消費税率10%への増税について

埼玉

来年4月に予定されています、消費税の10%への引き上げについてなんですけれども、再延期したほうがいいのではないかという意見も出ていますが、個人消費が低迷するなかで、知事は来年の引き上げについてどのようなお考えをお持ちでしょうか。

知事

そもそも論に戻ると、消費税の引き上げをしませんということで、1年4か月前に安倍総理は解散の大義名分を立てられました。そして次は必ずやると、そういうことを言われました、お約束されましたので、それはやはり重いと思います。しかし、10%に引き上げをして、経済がガタガタになってしまうということが理論的にも実際的にも明らかになったら、それは国民の皆様にお詫びして「ごめん、確かに1年4か月前にそういうことを言ったけど、事情は変わった」と言って、ある意味では、撤回するというのでしょうか、引き上げをやめる。ただ、そもそも論にまた戻れば、この消費税の5%から8%、10%というのは、高齢化社会における社会保障政策を充実させるという、税と社会保障との一体改革というので、当時の民主党政権、自民党、公明党の3党での非常に重い合意であったわけです。したがってこれは相当考えておかないといけない話ですので、是非、この社会保障政策を先延ばしするわけにはいきませんので、待ったなしですので、この高齢化社会への歩みそのものは。従って、財源をどうするか、2%の引き上げをしない、5兆円分をどうするのか、その財源をやはり明らかにして、消費税を背負うことの結論を出されることは、私は構わないのではないかと思います。もちろん経済状況が、消費税が8%から10%に上がっても、現在よりも悪くならないという確信が持てるのであれば、そのような判断をなされることも有りかなと思っています。いずれにしても3党合意のそもそも論、税と社会保障の一体改革、特に社会保障の不安というのも、消費の減退にも繋がりますので、やっぱり貯金しないと将来ダメだなとみんな思えば消費に繋がりませんので、ある程度使っても大丈夫という仕組みが出来上がってしまえば、ある程度また消費も進む分もありますので、この辺はやはりどっちが先かとなかなか言いづらいところですが、やはり両方やるべきではないかと思います。

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公衆電話の有用性について

埼玉

先日、朝霞市の女子中学生の誘拐事件に関連したことで知事のお考えをお伺いしたいことがあるんですけれども、女子中学生が救出の時に、助けを求めるときに、公衆電話からSOSを出したということになっていますけれども、公衆電話の設置ということに関しては、NTTなどに聞くと、月に4千人利用者がいないと撤去の対象になるという方針があるそうです。ただ、東日本大震災があった段階でも重要性が見直されましたけれども、県として県有施設に公衆電話の設置は、今後もある一定程度置いておきたいという考えがあるのかお伺いしたいんですけれども。

知事

そうですね。二つ考え方があると思います。一つは、災害時に公衆電話を早急に取り付けていくために回線を残しておく。急所急所にです。これは営業ベース的には、あまり問題にならない話ですので、きちっと残しておく。いざ災害時には、公衆電話を設置して、いわゆる携帯などがつながらないような時に、避難者の皆さんたちが、順繰りそれを使っていくとか活用する。これが一つだと思います。あとは、それこそ携帯忘れましたとか、たまたま電池が切れましたとか、他に方法がない時に、そこそこのところで、公衆電話が見つかるか見つからないかというのは、やはり重要ではないかなと思います。私も、羽田空港で公衆電話を探したことがあるんですけれども、携帯を忘れてです。なかなかなかったですね。相当歩かないとなかったです。あの距離であの程度だというのは、ちょっとつらいなあというような経験がありますので、より公共的なところにおいて、これはまたNTTの判断もあると思いますが、そういう点での見直しもあってもいいのかなと。単に選択肢がない可能性もあった時に、重要な役割を果たすと。今回の朝霞の事件では重要な役割を果たしたと。ただ、最近では公衆電話のかけ方を知らない方もおられるそうです。だから、社会学習として小中などで必要なのかもしれません。使ったことがないので、かけ方が分からないという、そういうお話もありますので。県とすれば、一回防災の部分と公共性の高いところで、きちっとそれが可能な状態になっているのかどうかも、よくNTT側とも危機管理防災の部分でいつもお付き合いがありますので、一回認識の共有をさせていただきたいと思っています。

埼玉

県有施設でもですね、割と通りに面しているところに設置されている場所もあれば、結構建物の陰になっていて外からなかなか見づらい公衆電話もあるように思うんですけれども、その辺の位置などについても少し検討するような…。

知事

分かりました。ご提案はきちっと受け止めて、そういう場所があれば、まさに公衆電話の意味をしっかり踏まえて、場所変えなどを検討させてもらいます。

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消費税率10%への増税について2

日経

先ほどの消費増税に関連してお伺いしますけれども、経済がガタガタになった場合はごめんなさいということもありうるということをおっしゃっているけれども、知事ご自身の現状の景気認識として消費増税10パーセントに引き上げた場合にかなり県内経済に与える打撃が大きいとご覧になられているのか、あるいは現状の景気の状況だったら10パーセントに引き上げても問題ないというふうにご覧になられているのかそこら辺のご認識を。
県内にある施設についての結論もどう思うかということと、今回一連の中央省庁、研究機関の移転が本当に地方創生に繋がるのかという議論もありますが、どのように考えますか。

知事

今の状況だと非常に課題があるのではないかなと思っております。少し上がりはじめると踊り場に戻るというようなことの繰り返し、株価も非常に安定しておりませんし、実質賃金が下がっていることもあり、消費が非常に倦怠気味であること、そういった状況で良い材料をどれだけ今掴むのかという話になってくると、若干困難な部分が見え隠れするなというふうに思っています。

ただ、今後、大型補正とかを組んでその波及効果がどれだけ考えられるのかとか、あるいはせっかく円安で企業が過去最大に利益が出ても、それが設備投資に回らなくて企業の内部留保に繋がってきていると。

一方では、一般の勤労者は実質賃金が目減りしているという、こういうアンバランスな成果が出てますので、こういう部分が是正できるのかどうか、一方で法人税の減税なんて言って、なんか法人税を減税して投資が進むのかという話で、法人税が高い時代には投資が進んでいたので、それだけのものが需要が起きてたんで、高くてもみんなが買う、だから法人税の分が上乗せされてもそれだけのものを皆さんが買うというかたちで、法人税を引き下げたからといって、ではそれが製品価格に繋がっていくのかとか、そういうことが無い限り、もっともっと企業だけが儲けてしまうということになりかねないんで、やはりそういう法人税を引き下げるがゆえに賃金が上がりますという、そういうものがワンセットになっているかどうか、今年度の春闘でもあまり答えが戻ってきていませんので。では法人税減税というのは、一体何のために行われたんだという話になりかねないんで、少し打ち込みがバラバラではないかと、さっきの労働局を通じて高齢者の起業支援を行うというあれはちょっと違うんじゃないかという、高齢者の起業支援であればそれはどっちかというと産業面からの取組になるべきで、経産局かなんかがやるべきで、労働局がやる話ではないのではないかと。いわんや金融なんかが全く分からない労働局がお金を動かすような話をしても全く違うような感じがするんですね。だからこれが国の辛いところかもしれません。省あって、国無しと言われている。この辺が県庁と違うかもしれません。それぞれ採用されるのも各省庁別ですし、県庁であれば県庁で一括して、人事も各部ごとに動いていますので一体感を保てるんですけれども、なかなか一体感を保てないと言うんですが、政策のその辺が少し個人的にはイライラします。  法人税を引き下げること自体はそんな悪くはない。しかし、何のためにそれを引き下げるんだと、企業の投資や企業を活性化させるためだと。でもそれがもし使われなかったときはどうするんだと。意味ないじゃないですかと。企業の内部留保に繋がっていくと。そういうことをさせないために実は賃金を上げますという、そういうものがもちろん社会主義国じゃないですから政府がそんなことできるわけありませんが、そっちの誘導策ができていないじゃないかとそんな感じがいたしますね。そういうのを総合的にやっていただければ、少なくともアベノミクスを通じて一時的にはずっと下りっぱなしだったものが浮上しかかったわけですから、そこは「もう一回なんとかしなくては」と、これは日本とともに足引っ張るんではなくて日本全体が良くなることを考えなくてはいけないと思います。

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北海道新幹線開業について

毎日

北海道新幹線が開通した件でお伺いしたいと思います。新幹線が大宮駅に停まるということで、北海道の観光客としては埼玉県民がターゲットになっているわけですけれども、逆に埼玉県側のメリット、どういうふうに経済効果が呼び込めるか、というのはどのような方法があるとお考えでしょうか?>

知事

はい。一般的に北海道の方が外に出ない傾向があるということだけは数字上で明らかになっているわけです。あまり外に出ていかないので。だから、どちらかというと埼玉県民の方が外に出ていきますので、埼玉県的には出超というかたちで、出ていく方が多い。入超には中々ならないところがあるんですが、ただ、北海道に、埼玉、群馬、新潟3県の周遊ルートもございますので、打ち込んでいくとかです。やはり蔵造りの街並みなんかの川越の人気というのは、最近とみに高い状況でもありますし、あるいは鉄道ファンにとっては、鉄道博物館というのは相当なものでありますし、また盆栽に関しても好きな人たちに大変にうれしい空間でもありますし、ネタがないわけではありません。私たちも実はもう打ち込んでおりまして、北海道の方にも、今後その打ち込み方も、どちらかといえばもう毎日みたいに北海道だとか京都だとか沖縄だとかなんかというのは、旅行会社そのものが、打ち込んでおります。新聞の広告とかでです。そこまでは旅行会社が埼玉を買ってはおりませんので、残念ながら、その部分は県独自に、札幌、あるいは函館などに打ち込んでいく必要があると思います。石川県の知事からも聞いたのですが、やはり東北方面からも大宮を経由して、金沢に行ったりもしているんです。したがって、途中下車をさせるというようなことなども必要だと思います。それぞれこれは北海道に限らず、途中の仙台だとか、そういうメインの駅などに、埼玉県の観光案内をもっと打ち込んでいく必要があるというふうに思っています。そうすれば、北海道新幹線に限らず、埼玉県の東日本における意味というのがより強くなっていくと思っています。

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平成28年3月29日(火曜日)

平成28年4月1日付け人事異動について
民主党と維新の党の合併について
「埼玉県まち・ひと・しごと創生総合戦略」の修正可決について
朝霞市の不明女子生徒の発見について
政府関係機関の地方移転について
知事発表
平成28年4月1日付け人事異動について

知事

今日は4月1日付け人事異動について発表させていただきます。人事異動の考え方でありますが、基本的には「安心・成長・自立自尊の埼玉」を作っていくための人材をしっかりと活用したり、育成するというのが大きな目標であります。とりわけ、女性が活躍していく社会を目指していくなかで、残念ながらトップレベルは女性の採用そのものが少ない時代でありましたのでまだまだ数が少ないところですが、副課長や主幹級になってきますと、相当のメンバーが女性で採用されていますので、数が多くなってきたのが今回の特色の一つであります。また、最小最強の県庁を作るためには、年齢・性別を問わず、常に人材本位ということで、登用しているのが事実であります。

今回の人事異動件数は、規模で2,464件で、27年度に比べますと58件減少ということでございます。

特別職の登用では、公営企業管理者と下水道事業管理者が新任になっております。公営企業管理者は財政分野を長くやって、なおかつ、幅広に総合調整幹として県政を眺めてきましたので、今回、公営企業管理者として登用致しました。また、下水道事業管理者については、下水道局そのものの事業がいろんなかたちで見直しの時期に来ています。例えば施設の老朽化を見直していかなければならない、あるいはまた量が減っていく時代になって、採算ベースを考えたときには、水素ガスを下水道の廃棄物から取り出していくとか、あるいは資源化していくとか、非常にアイデアと実行力が必要としてきますので、幅広い感覚を持ったメンバーを管理者として採用させていただきました。

加えて、今回の人事異動の特長は、基本的には2025年を目指した3つの柱、いわゆる稼ぐ力、シニア革命、そしてまた人財の開発、加えて子育ての安心などを重視したかたちで、極力若手で元気な人たちに頑張っていただきたいということで、そうしたところを中心に据えさせていただきました。更に地域包括ケアという、厚生労働省がいつもであれば何らかのかたちでモデルを出すことが普通はあり得るのに、医療資源や福祉資源が必ずしも地域で異なることからご当地主義ということで、全くモデルのないかたちで地域包括ケアシステムを市町村で作っていく。こういう課題については、どうしても医療と福祉を兼ね備えたかたちになっていかざるを得ませんので、両方経験したメンバーを部局横断的に政策が展開できるように地域包括ケアシステムのための地域包括ケア局長というかたちで、部局横断的な副部長級の局長を新たに制度化しました。それからラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックに向けたかたちの中で、大規模スポーツイベントに向けた体制も合わせて取らせていただきました。

最初に申し上げました女性の視点ということで改めて確認しましたところ、県民生活部長、環境政策課長、総合調整幹に初めて女性が登用されました。また、秘書課長も女性というかたちになりました。この割合でありますが、副課長級以上の女性管理職が78名、管理職に占める女性職員の割合は8.7%でございます。この割合は過去最高でございます。また、女性の役付職員は890名であり、役付職員に占める女性職員の割合も20.2%になってきております。先ほど申し上げたとおり、より若くなればなるほど、女性が入庁しておりますので、これからますます女性の役付職員、あるいは管理職職員が増えていくという状況になるかと思っております。こんなところが今回の人事の特色でございます。以上です。

朝日

今回の人事の主眼の1つで女性の活躍の推進というのがあるかと思うんですけど、国の方では数値目標を設定して、2020年までに何割ということを設定したりしておりますが、県の方ではそういう目標なり設定されたりとか、その辺知事はどのようにお考えでしょうか。

知事

私は基本的に女性が故に下駄を履かせるとか、そういう考え方は嫌いであります。あくまで人材本位というかたちであります。一般的に福祉関係なんかが女性が適切であるという考え方も持っておりません。能力と意欲と経験に応じて、それぞれふさわしい方にふさわしいポジションになっていただくということを意識してまいりました。ただ、土木職だとかそういった方面に圧倒的に女性の数が少ないことは事実であります。これは技術系の資格の問題などもありますので、そういったところに女性があまりいないということもありますが、しかしそれも徐々に変わりつつありますので、今後、入庁者のうちの4割が女性になってきておりますので、かつての10%くらいとは全く訳が違うので、今後はまさしく女性に特化したかたちでの採用だとか、女性が故に何%の目標ということではなくて、男性に劣るということは全くありませんので、むしろ、感性というんでしょうか、そういったところではむしろ女性が勝るようなものを持っておられる場合が多いので、時と場合によっては女性の方が能力を発揮される可能性が高くなる。こんなふうに私は思っておりますので、政府と同じように「何%でないとならない」とか、そういう考え方は全く持っておりません。確実に増えるということだけは確信を持って言えると思います。

埼玉

女性の登用というか職域拡大ということで知事としてはどのような効果、県庁のマインドとかを醸成されるというような期待を持っていらっしゃるのかをお聞かせいただきたいんですけれども。

知事

はい。例えば現在報道長であります稲葉さんは、今度県民生活部長ということでありますが、県民生活に直結した部門の統括者になるわけですが、(従来は)比較的男の視点で行政を見ている、あるいはそういう部分が無きにしも非ず。そういった部門が女性という視点から見た時にどう変わるのかと言うのも大変楽しみな部分であります。報道の部分で女性が故にどうのこうのということはないかもしれませんが、県民生活という(県民との)関わりの部分で、非常に県民生活と密着した部門の統括者でありますので、この部分が女性の視点で見た時にどういうかたちで課長の皆さんたちと意見交換をしながら新しい視点を入れていただけるかどうかということに関しては、非常に楽しみ。もちろん課長自身も女性が結構いる訳でありますけれども、そういう意味での楽しみがあると思います。ご案内の通り、最近の商品開発なんかでヒット商品というのは女性が考えたものが多いというのも、何かやっぱり日本経済の低迷の中で何かを突破するのに新しい考え方というのはあるいは、ある意味では今までそういう経営にタッチする部分は女性は少数派だったんですが、その少数派の女性が経営などに参画することによって、新しいビジネスモデルを出してきているのと同じように、県政の場でもこれからどんどん課長、副課長、主幹というかたちでリーダー格の皆さん達の中に女性がたくさん入ってきますので、また違った視点がどんどん入ってくるんじゃないかというふうにして、私はもう期待しております。多分4年後ぐらいから6年後ぐらいというのは、相当女性課長がもっと誕生すると思います。

テレ玉

知事部局に新たに3つ課が新設されるということですけれども、これについての理由、新設される理由とか知事の意気込みとか期待とかその辺を伺いたいのですけれども。

知事

そうですね。何よりも今日的課題を片付けるということに関して、大事な部分。私たちが2025年問題をどう捉えるかということに関して片付けていかなくてはならない部門。それからやはり巨大なスポーツイベントと言って決して過言ではないと思います。アジアで初めて行われるラグビーワールドカップの会場に本県の熊谷市が入っていること。またこういうことも考えれば、自ずからその準備を丁寧にやっていかなくてはならないということ。そしてまた、これは埼玉県だけでなくて日本全体の問題にもなってくるというふうに思っていますが、やはり2025年問題というのは埼玉県だけではなくて、日本全体の問題であります。どれだけシニアの人たちが健康で活性化されるかということ。それから自動車に続く新しい産業をどれだけ見出せるか。こういった部分は日本の未来に掛かってるというふうに思っておりますので、こうした部分を更に充実させていきたいというかたちでの考え方でございます。

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幹事社質問
民主党と維新の党の合併について

朝日

(3月)27日に「民主党」と「維新の党」が合併して「民進党」の結党大会が行われましたけれども、このことについて2点お伺いしたいのですけれども、まず1つが今回の自民党の1強に対抗する動きとして生まれたというところの要素が強いかと思うのですけれども、今回の合併を知事ご自身はどのように見られていると思うのかという点と、もう1点は各種世論調査を見てもなかなか新党に対する期待感というのが高いという状態ではないと思うのですけれども、自民党に対抗し得る党にどのようにすればこう生まれ変わっていくとお考えでしょうか。その2点、お伺いします。

知事

はい。まず1点目でございますが、それぞれ課題があって、例えば民主党の応援団などからは「民主党という名前を外すな」というお話もあった中であえて外す。また、維新の党にしても解党した上で新しい党を作るというリスクを冒すという。居心地のいい部分をそれぞれが一旦外して、新しい政治勢力を結集しようということで合流されたことに関しては評価したいと思います。

2番目の期待感が必ずしも高くないという課題でありますが、もちろん民進党の主流が政権運営に、まあ3.11という困難な事態があったとは思いますが、政権運営に必ずしもいい運営ができなかった。マイナスの民主党を引きずっているかたちが残っていますので、期待値が低いのではないかというふうに私は思っております。ただ一方では、国民も一強他弱という状況が本当に望ましいのかということは思っていないと思います。やっぱり政権交代可能な緊張状態というのが世の中を良くする、政治を良くするというぐらいのことは皆さんご承知だと思います。マラソンで言えば、後ろからひたひた付いてくる人がいれば、前の人は記録がいいんですね。後ろが遠く離れてしまうと、確かに1位は1位かもしれませんが、記録は必ずしも良くならないんですね。同じように政治もとって変わるような人たちが常にいれば、与党政府は非常にしっかりした政策や提案を国民に提示し、いいものを作られるというふうに思います。一方、野党がだらしないと与党もそれに引きずられてしまう。そういう部分が私はあると思います。一部与党政府のたるみの話が出たりしていますけれども、それは他弱のせい。あるいは野党第1党の民主党の弱さのせいというふうに思わざるを得ませんので、少しでもそれを強くしていこうという意欲を、国民の皆さんたちが買うような、そういう戦いぶりを今後なされれば、本来の緊張感のある政治を見出しうる可能性はやはりあるんではないかと思いますし、またそういうことが可能になった時には、国民の期待値が上がるんじゃないかなというふうに私は理解しております。以上です。

読売

今の関連なのですけれども、上田知事は民主党の国会議員もやられていたと思いますけれども、民主党これまで20年間続いてきて自民党に対抗する勢力をということでやってきたと思うのですけれども、その民主党という名前が無くなることに関して、元民主党の国会議員の知事としては「寂しい」とか、感じられるところはあるのでしょうか。

知事

そうですね。私の政治人生の中で候補者としての新自由クラブの10年が基本的にありましたし、党本部の政策スタッフとしての新自由クラブがありまして10年があって、その後の「新生党」、「新進党」、「民政党」、「民主党」というかたちで、10年の間で細川連立政権で自社さきがけ政権ができて、それに対抗すべく新進党ができて、そしてまた新進党崩れがあって、旧民主党、民政党と民社党が一緒になって民主党を作ってという、そういうプロセスがありましたので、何て言うのでしょうか、党の変遷がずっとあったので、そんなに長い民主党帰属というか、そういう気分があんまりないので、そういう意味の考えはないと思います。「最初から最後まで民主党でした」という人であれば、そういう気分があるかもしれませんが、今の幹部の皆さんたちは大なり小なり私と同じようなかたちがあったので、政党が目的じゃないというふうに私は思っています。国民生活の為に何ができるかということが問われていますから。まあもちろん有権者に対してよりなじみのある名前というのは非常に大事な事だとは思いますけれども、まあしかし、より緊張感のある政治のために、あえてなじみのある名前を捨てたということは、これはやっぱり覚悟の要ることですから、見事じゃないかなというふうに私は思っております。

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その他
「埼玉県まち・ひと・しごと創生総合戦略」の修正可決について

埼玉

改めてお伺いしたいんですけれども先日閉会しました2月の定例会で「まち・ひと・しごと創生総合戦略」自民の修正案が可決しましたけれども、知事は執行部案を作られたときに、「よりベターなものを」作られたというお話をされていましたけれども、47カ所修正が加わった修正案に関しては更にベターなものになっているという受け止めをされてますでしょうか。

知事

基本的には、やはり10回委員会を開いて審議をしていただいていますし、我々のものもベターだと思っておりますが、ベストだと思っておりませんし、ご指摘について納得感のあるところもありますし、あるいは出生率なんかについては極めて短い年度で目標を立てろということについては私は納得しているわけではありません。なかなかそういうのは政府もそうですが、長いスパンで政府も目標を立てておりますし、一般的にはそうすべきではないかなと私は思っております。ただ、やはり修正案として議会で多数で決まったことですので、どこまでできるかは別にしても、そうした部分に関しても修正案を大事にして、なおかつ議会の皆様方も執行部の(案)を丸飲みするんではなくて、丁寧にページをめくりながら掘り下げていただいたということで、まさに議会と執行部が両輪になってより良い地域を作り出そうということになってきたと思っていますので、そういう意味ではよりベターになったというふうに思っています。

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朝霞市の不明女子生徒の発見について

テレ玉

朝霞市の女子中学生が行方不明になってから2年たって無事保護されたわけですけれども、これについてまず知事がどのようなお考えがあるかというのを伺いたいというのと、あと今後難しいとは思うんですけれども、このようなことが起きないためにはどのようにすべきかという、どのようなことが考えられるか、こういったことを伺いたいんですけれども。行政としてどのような取組ができるかということですかね。

知事

行方不明になって以来多くの方々がご心配されて、いろんなかたちで発見できるような努力をしておられました。いろんなアピールを私も含めいろんな人たちが関わってきましたので、正直言って保護されたことは率直に喜んでおります。良かったなと思っております。ただ極めて、思春期と言うんでしょうか、難しい時期ですので、できるだけそっとしておいてあげたいなと思っております。

後段のこうした誘拐と言うんでしょうか、こうした事件、特に小さい子どもを含めて比較的まだ世の中とかのことなどを判別できない少女以下の子どもたちなどが狙われるという時代になってきておりますので、やはり地域の見回り活動、「わがまち防犯隊」などの活動もありますが、地域社会の絆みたいなものをどうすれば本当に強くできるのかとか、横にできるだけ地域の住民の皆さんたちのネットワークを拡散させる。建物そのものはマンションなんかはドアロック型で受付にもろくろく入れない密閉型の集合住宅なんかができておりますので、非常にコミュニケーションが取れないんですが、できるだけ地域社会のコミュニケーションが取りやすいような仕組みづくりを町内会などを中心に、自治会などを中心により広げていくしか方法は無いのかなと。やはり目線があるところではそういうことはできないんですね。目線が無いところでそういうことが可能なんで、やはり地域社会のあたたかい見守りの目などを大きく広げていく運動こそが最大の防止策だと私自身は思っております。

また、幼児教育等々でも知らない人には安易についていかないとかそういったことについても、きちっと教育もお願いしたいと思っております。

朝日

今の話に関連してなんですけれども、無事発見された女子生徒が間もなく中学校卒業で本来なら4月から高校生というかたちだったと思うんですけれども、今後県として何か教育面とかでサポート求められる場面も出てくるかなと思うんですが、知事としては何か今の段階でお考えとかはありますでしょうか。

知事

今の段階で何も思いついておりません。まずは家族の元で保護されて一旦安心されて、いろんな意味で心身ともに落ち着かれて、その上で朝霞市の教育委員会などからご相談があれば全力でご支援をさせていただきたいと思います。

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政府関係機関の地方移転について

時事

少し前に政府で国の機関の地方移転の話がまとまりました。 埼玉県内にある研究機関などに対しても一部の都道府県から移転の要望が寄せられていて、結果は一部機能を移すといったような結論も出ました。
県内にある施設についての結論もどう思うかということと、今回一連の中央省庁、研究機関の移転が本当に地方創生に繋がるのかという議論もありますが、どのように考えますか。

知事

中央省庁及び中央省庁の関連機関などが首都移転をするという考え方に、そう反対する人はいないと思います。首都に集中しすぎているんではなかろうかということで、総論的にはそうだと思います。ただ、設置された時の経過などはある程度意味があってそういったところに設置された経緯があると思います。例えば埼玉県で話題になりました日本語国際センターなどは、やはり東京に置いても別にかまわないところなんですが、少し離そうということ。しかし教師の方々を確保したり、あるいは学ぶ人たちの便宜というんでしょうか、便利さを考えた時はぎりぎり埼玉の浦和、大宮周辺ぐらいの世界、あるいは横浜ぐらいの世界とか、あるいは千葉市ぐらいの世界であったわけですね。それを大分へという話になってくると、元々設立の目的そのものから逸脱するような話になってしまうということですから、移転ありきからスタートすると非常に無理がある世界だと私は思っています。ただ、政府機関で本当に可能なものがあるとすれば、これからもそうしたことを積極的に行っていくことは悪くはないと思いますが、ただ、移転ありきからスタートすると、ハレーションだけが起きて、少し無駄な時間を過ごすことになるのかなと思っております。文化庁が京都へというのも、やはり関西方面に非常に文化的な遺跡も多いし、相当な一理がありますので、理論づけも非常に高く、それなりに意味があると私は思っております。今後も政府機関並びに政府そのものの移転で可能なところについては、ずっと検討を続けていいんじゃないかと思います。間違ってもただ移転ありきからスタートするととんでもない議論になってしまうということだけは理解していただきたいと思います。例えば理化学研究所なんかもそうであります。あれを移転させるとなると、移転させる費用分で新たな研究開発ができる可能性が十分あると私は思いますし、今日本に必要なのは新たなる研究開発であって移転が目的ではないと思います。そういう意味で考えなければならないのかなと思います。移転ありきでスタートするととんでもない間違いを起こすのかなというふうに思います。

(終)

平成28年2月12日(金曜日)

平成28年2月定例会付議予定議案・平成28年4月1日付け組織・定数改正について
男性育児休暇取得を表明した宮崎健介衆院議員の議員辞職について
知事発表
平成28年2月定例会付議予定議案・平成28年4月1日付け組織・定数改正について
知事

今日は平成28年2月定例会付議予定議案について、説明を申し上げます。招集日は2月19日金曜日で、提出議案は51件で、(内訳は)予算が21件、条例が21件、事件議決が7件、基本的な計画の策定等が2件であります。内容について申し上げる前に基本的な考え方について、まず県民の皆様にお伝えしたいと思います。

まず第1に、10年後の問題であります「2025年問題」に総合的に取り組んだことであります。埼玉県は、今後この規模とスピードに関して言えば、全国屈指のもので、異次元の高齢化問題になると理解しています。この間、「健康長寿埼玉プロジェクト」や「糖尿病の重症化予防対策」など、国に先駆けた取組を実施して、医療や介護需要の爆発的な増加に備える対策に取り組んできたところでもございます。28年度予算では、さらに、高齢者が地域で安心して暮らせる「地域包括ケアシステム」を確立できるように、市町村を徹底的に支援していく仕組みを作っております。既に、県内には和光市のように地域包括ケアにしっかり取り組んでいるところもございます。国に全国共通のモデルはありません。ご当地主義ということになっております。和光市などの取組を参考に、地域で高齢者のケアをするだけの仕組みではなくて、むしろ介護度を引き下げるような、そういう取組を積極的に発信していけるよう考えているところです。また、家族のケアも含めた認知症対策を重点にしたモデルを作って、先行モデルをしっかりと確立したいと思っております。更に「地域包括ケアシステム」を確立するためには、最も重要な「医療と介護の連携を図るためのネットワーク」を構築いたします。既に県内30の郡市医師会と連携して、全県域で入院患者を在宅に繋げる体制を整えてきております。28年度予算ではさらにその医療と介護が垣根を越えて情報連携が出来るよう「ITCによる医療・介護ネットワーク」を構築してまいります。

2番目に、日本社会の大きな課題であります「少子化問題」への総合的な取組です。私たちは比較的今ある危機には取組ができますが、将来の危機について取り組むことについて遅れがちになります。まさに少子化対策は20年後の長期スパンで考えなくてはならない課題だというふうに思っております。つまり、改善には20年かかる、こんなふうに思っております。そこで本県では、27年度から第3子の保育料の無料化などの多子世帯支援に取り組んでまいりました。国は平成28年度からこの第3子の教育費を無料化するという動きが結果的に出てまいりました。「少子化問題」は、若者の非正規雇用問題、或いは低所得化などの経済問題や、高学歴化に伴う晩婚や教育費の負担など社会全般に関わる問題であります。そこで、28年度は「実効性のある少子化対策」として、福祉部門だけでなく、トータルで考えるように致しております。

その1つ目が、教育費にかかる負担の軽減です。とりわけ私立学校の教育費を実質的に無償化する対象を、年収350万円から(年収)500万円に拡大することで、子育て世代の家計負担を緩和する、そういう仕組みを作らせていただきました。

2つ目が「若者世帯への住宅の供給」です。特に所得の低い若い人たちにとっては、首都圏の住宅費の高さというのは大変困難であります。従って、県営住宅をしっかり確保して、こうした所得の低い若者向けの県営住宅を確保していきたいと考えております。さらに、県営団地の建て替えなどで生みだした新しい空間を「子育て支援施設」に切り替えていくなど、総合的にその体系を作っていきたいと考えております。

そして、第3が「稼ぐ力」と「人財の開発」であります。産業政策は従来、国が主導するものだと言われてきましたが、埼玉県では「通商産業政策の地方分権化」ということを訴えてまいりました。むしろ積極的に県が産業政策を行うべきだという考え方をとって、海外に進出する中小企業の支援なども積極的に行ってきたところでございます。また、加えて、平成26年度からは、生産年齢人口の減少に伴って、もっと日本全体の経済力を付ける必要があるという考え方に立って「先端産業(創造)プロジェクト」を行っております。それは日本の産業がかつては自動車・電気・電子のこの御三家の技術産業に支えられていると言われてまいりましたし、また、裾野の広い産業でありましたが、電気・電子はご案内のとおりであります。自動車だけの1本足打法になっていると言っても決して過言ではありません。故にナノカーボン、医療イノベーション、ロボット、新エネルギー、航空・宇宙産業など新しい産業分野を切り拓く必要があるということで、この先端産業に26年度から取り組んできたところでございます。100億円の基金を設置して、そしてこの中から、既にご案内をいたしましたように、場合によってはリチウムイオンからマグネシウムに世界中が変わるかもしれないという、マグネシウム(畜)電池の開発に成功したところでもあります。この商品化・実用化をさらに進めてまいりたいと思っておりますし、28年度の研究開発テーマを更に拡充して、単純に製品開発に満足するのではなくて、やはり売れ筋商品にしていく、そこまで考えなければならないと考えています。

更に、「人財の開発」についても8年前からウーマノミクスプロジェクトに取り組んでまいりました。これは生産年齢人口の減少という人口動態を踏まえての動きでもございましたし、そしてまた、全国でも例がありません、「発達障害児・者への総合支援」、早期発見・治療(後に「支援」に修正)のために、1万500人からのいわゆる見分け(ができる)人を確立していく。そして、診療・療育機関の設置、さらには、就労支援というかたちでの動き、そうすることで障害者といえども、社会の有力なメンバーとして、まさに「人財」として生かされていく、そういうことを予算の中でもしっかりと取り組んでまいりました。そしてご案内のとおり、2025年問題の主役、75歳以上の高齢者、或いは65歳以上の高齢者が単に社会に支えられる人たちではなくて、ともに社会を担う人になりうる可能性が高いということは、その10人中8人が入院や或いは通院をしてない人たちである、元気な人たちであるということであります。こういう人たちが、就労や、或いはボランティアや、或いは生涯の趣味の世界、こういったところで活躍できるような仕掛けを掲げております。私たちはそれを「アクティブシニアの活躍支援」という形で、予算化させていただきました。セカンドキャリアセンターを設置して、「働く意欲のある方への就職サポート」、或いはボランティアのサポートなど、従来のシニアのイメージを変えるからこそ、「シニア革命」であります。

その他、ヒートアイランド対策を熊谷スポーツ文化公園で集中的に投資をしてその成果を検証しながら、全県的に展開できるようにして、私たちは、できるだけ、日本の縮図であること、そして、高齢化社会のスピードや規模においても、日本屈指であることなどを考えて、より先行モデルを発信していきたいという思いで編成をさせていただきました。

それでは(パネルで具体的に説明)。「2025年への挑戦元年」というかたちで当初予算を組みました。一般会計では、1兆8,805億2,600万円、前年比2.8%増です。そして、特別会計全体も含めまして、2兆8,092億9,483万円、前年比では3.9%増です。また、国の補正予算が成立して、それに伴う補正が、2月補正というかたちで、一般会計の中にもしっかり打ち込みをしていきたいと思っております。86億8,820万2千円、この部分は早期に実施することによって、いわば経済対策として切れ目のないかたちにするために、平成28年度とあわせ13か月予算として執行していきたいというふうに考えております。早急に議会のほうでもこの予算についてはご審議、また、議決をお願いしたいと思っております。

先ほど大枠でお話したとおり、「稼ぐ力」の強化、シニア革命、「人財」の開発、個別に説明をさせていただきたいと思います。そして、その下敷きとしての5か年計画の最終年度の具現化に繋がります。

まず「先端産業創造プロジェクト」の推進でありますが、先ほども話しました、これまで行ってきたところの今年度のポイントは、実用化に向けた研究開発の支援で、研究開発のテーマ数を計70テーマに拡充して、中小企業の高度人材の育成を兼ねて、ナノカーボンやロボット分野の実践講座を開催してまいります。そして、事業化に向けた新たな仕組みの構築として、「医療機関」「ものづくり企業」「製販企業」の3者が連携して、売れる医療機器を開発致してまいります。すでに裸眼3D画像による内視鏡手術システムの開発を、さる企業が、この医療イノベーションの先端産業創造プロジェクトを通じて行って、今や世界中から問い合わせが引っきりなしであります。こうしたものの第2弾、第3弾ができるような仕掛けをさせていただいているところでございます。そして、今は熊谷にあります農業大学校でありますが、過去にございました鶴ヶ島の農業大学校跡地の活用のために更地にして、そしてここに先端産業の関連企業を徹底的に誘致したいというかたちの予算組みもさせていただいているところです。

また、県内企業や中小企業の競争力を強化するために、「ものづくり企業のIoT活用支援」のために、様々な仕掛けを用意しているところでございます。とにかくインターネットを使った様々な支援をやることで、より競争力を強化していただきたいと考えております。また、企業立地などでも、圏央道ができましたが、圏央道に繋がるアクセスの道路についてもどのくらい目的地まで時間がかかるのか、あるいは開通までにどのくらい時間がかかるのかをすべて見える化をして、まさに「時間が見えるインターアクセス道路整備」のために22億1,500万円の予算組みをしながら、結果として中小企業の競争力強化を進めているところでもあります。

「儲かる農林業の推進」が「稼ぐ力」の中の1つにあります。埼玉県は食品産業・工業が全国3位の規模を誇っているところです。こうした食品産業関係は埼玉県の野菜なども使っておりますが、全国の野菜も使っております。できれば、埼玉県で一括にしていただきたいというかたちで、食品加工業の企業と、そして新たな野菜産地をオーダーメイドで供給するという。そういう仕掛けをすることで、産地のパワーをアップさせていく。そして、食品加工企業にとっては安定的に野菜を供給できる。なおかつ、地産地消で近いところからの供給が可能になることからコストを下げていく、というオーダーメイド型の生産地の育成を進めていきたいと思っております。また、養豚の生産性の向上のための予算、或いは、米のなかでも「彩のきずな」では「特A」を獲得して、値段の高い、高付加価値のお米を作ることで県産米全体の評価を高めて、販売力向上に繋げて、農家の利益を上げるようなかたちをしっかりやっていこうということで、研究・開発、生産、流通と、全面的にこの「彩のきずな」の「特A」に向けての支援をすることを考えました。

そして、シニア革命の1つでありますが、ご案内のとおり、肩車社会のイメージが世の中で流通してしまいました。騎馬戦型、3人で1人、しまいには1人で1人を支える社会になるんだということで、支える人も支えられている人もショボショボ顔のイメージのマンガが世の中に出回っていますが、私たちは10人のうちの8人が元気だという事実に着目して、アクティブシニアの活躍こそがまさに生産年齢人口の減少による日本の危機を救う1つの鍵だ。あるいはウーマノミクスプロジェクト、女性の力でそこをカバーしていくという。この2本立てが必要だという考え方に立っておりますが、アクティブシニア応援協議会を市町村や関係団体と連携してまさにムーブメントにしていこうと考えています。そして、(スマイル)ウーマンフェスタをやっておりますが、ウーマンだけではなくて、シニアの夢を実現するフェスタの開催を行って、改めて、就職やボランティアのきっかけづくりのイベントにしたいと考えております。そして、シニアの方々も、意欲はあるんですが地域デビューがなかなかできないという方々も決して少なくありませんので、支援機関のネットワーク化等を行うモデル市町村の補助を行って、徹底的に市町村単位で(後に削除)、シニアのデビューができるようにしていきたいと思います。こうした、働きながら地域貢献、或いは徹底的なボランティア、いろんなパターンを賄うことができるように。例えば、働きながらの地域貢献ですが、シルバー人材センターの改革が必要だと思います。例えば子育て支援など、じい様ばあ様のイクメンがあってもいいのですが、シルバー人材センターにはそういう項目が分野の中に入っておりません。自転車の修理、或いは造園、一定程度決まってしまっています。もっと視野を広げるべきだと思っております。あるいはまたセカンドキャリアセンターを作って、いわば第2のデビューをしていただくよう、県内8か所でお会いをして、アクティブシニアになっていただきます。いずれにしても働き方に関してもいろいろやり方があると思いますので、いろんな対応ができるような非常に柔軟な仕組みをとっていきたいと考えております。

そしてこのアクティブシニアの鍵は同時に健康長寿であります。すでに健康長寿プロジェクトの拡大を行って、とことんモデルで志木市と三芳町、さらに埼玉モデル、規模が小さいものを18市町村でやっておりますが、これをそれぞれ、5市町村と36市町村に倍増して、それぞれの市町村で全県展開のための準備をさらに進めてまいります。そして今度は健康マイレージ制度の構築を行って、いわばパスワードでシステムを作ることによって、(後に削除)どの程度自分の健康が上昇しているか分かるようなシステムを今年度作って、29年度からそれを稼働させたいということを考えております。例えば、駅前やスーパーや役所の支所などで、そうしたカードを当てれば自分がどのくらい1週間自分がどのくらい運動したか健康になったか(後に削除)がわかる仕組みです。そういったものを展開したいと考えております。さらに埼玉モデルの普及・拡大の下支えをするために、健康長寿サポーターの拡大、或いはスーパーサポーターの拡大などを行ってまいります。

そして、最も重要なものの1つ。地域包括ケアシステムの確立でありますが、市町村単位でございますので、市町村の(後に削除)自立の促進、あるいは介護予防、生活支援。この3つの取組を2、3年で実施をして、認知症モデルを1市町村で選定してそれぞれのところの先行モデルをしっかりと提供して、それを全県に広めていくというやり方を行ってまいります。その鍵は、まさに医療と介護の連携であります。在宅しながら医療を受ける、介護を受ける。それには、医師と看護師、あるいはケアマネジャー、ヘルパー。こうした人たちの連携が大事であります。希望する郡市医師会でケアマネジャーがぐるぐる回りながら市町村の包括支援センターを中心に(後に削除)ヘルパーさんが患者さんの基本情報を共有して、それぞれ場合によっては医師が往診をする。あるいは看護師が訪問看護をする。そして、そうしたものをマネージメントする。あるいはヘルパーさんがカバーをする。こうしたものを全地域に導入をしていくために15カ所から30カ所に今年度は増やしてまいります。

そして「人財」の開発でありますが、実効性のある少子化対策が必要だということを私たちは申し上げております。いろんな角度から考えていかなければなりません。今までは、例えば子育て支援のための保育所をいかに充実させるかという論点とか、あるいは医療費の免除であるとか、そういう論点でありましたが、総合的に考えなければならないでしょう。例えば子育て世代で一番困難なのは、住宅と教育費が高い。現在は市町村によって医療費の無料化などが行われておりますが、この私立学校における教育の負担の軽減のために111億800万円の予算を組んで、いわゆるこれまで350万円未満の所得のところだけ無償化していたところを500万円まで引き上げることによって、実質的にほとんどの私立学校における教育費の負担が無くなってしまうという、思い切った子育て世帯の負担の軽減を予算化させていただきました。そして新規に、都市の住宅事情が悪いこともあり、県営住宅を積極的に活用するかたちの中での、住宅供給で支援をする。例えば7万円、8万円払っていたものが2万円、3万円の世界になってくると、4万円、5万円からの住宅費が少なくなるということで、実質的に所得のカバーに繋がっていくという、こうしたことを行ってまいります。そして、保育サービスの充実に関してはこれまで(平成27年度)の6千人分(拡大)を(平成28年度は)6千500人分拡大をしてまいります。さらに2人目から3人目への支援というかたちで多子世帯保育料の軽減事業を引き続き行ってまいります。これは国の方も追随してまいりました。さらに多子世帯向けの住宅の供給促進を行ってまいります。そしてまた「多子世帯向け応援ショップ」の事業など、割引などの特典を提供する協賛店を大きく開拓してまいります。さらに結婚、妊娠への支援などをしっかりと拡充してまいります。

生産年齢人口(の減少)に伴うカバーのもう1つの論点は、女性の働きやすい環境であります。既に埼玉県ではシルバー、ゴールド、プラチナというかたちで多様な働き方の企業の認証を行うことで積極的に企業の女性の活用についての取組を推奨してまいりました。シルバーからゴールド、ゴールドからプラチナへとどんどん進むような仕掛けを組んでまいりました。さらに男性の育児(休暇)取得の促進のための奨励金の交付を当面25社、4年間で100社行うことでさらに拍車をかけたいと思っているところでございます。そして、一部新規です。業界団体、商工団体との連携強化ですでに一定の業界の中で女性の活躍(推進)を行っていただいているところでありますが「女性活躍推進リーダー」の育成をさらに進めることで各会員企業の中でさらに女性の活躍を進めるようにしていきたいと考えております。女性キャリアセンターでの積極的な就業支援をさらに進めてまいります。また「働く女性応援団」によるウーマノミクスの発信をさらに行っていただきたいと思っています。

そして、私たちは新たに「学力・学習(状況)調査実施事業」というものを教育委員会で展開していただきます。これは、文科省やOECD(経済協力開発機構)が注目している事業であります。小学校4年から中学3年までの6年間を通じて継続して学力の伸びを把握する事業であります。得点を測っていく事業ではありません。一人一人のいわば学業の伸びを測ることによって、よりはっきりとした教育方法や教育成果を教える側も学ぶことができる。もちろん教えられる生徒も学ぶことができるわけですが、何よりも埼玉県の学力向上のために効果的な指導方法が明確化される。あるいは、この成果は大学や研究機関などが、民間の力を活用することで更にいろんなかたちでこのデータを活用して、オール日本、場合によっては世界に効果的な学習指導、学習方法、あるいはその研究成果などがデータベース化することによって実態的に、指導方法により学力が向上するという新たな仕組みを徹底的に行ってまいります。

さらに、地球温暖化対策なども含めたかたちのエコタウンプロジェクトの拡大・深化を行ってまいります。所沢市と草加市で新しい試みが行われます。所沢では、家庭用蓄電池普及モデル事業というかたちで団地全体の中での蓄電池を用意することで余った電気をそこに一旦蓄電して、それをバランスよく供給して地域で電気をうまく活用するモデル事業を行って、ピークカットの取組を行って、費用を回収するという。そういう新しい事業を所沢市で進めてまいります。草加市では、賃貸の共同住宅に太陽光パネルを載せることでスマートハウス化して、いざという時には防災コミュニティの場所にしていくとか、新しい取組を進めてまいります。その他、ミニエコタウンの拡大については、既存4社だけではなくて新規の3つのハウスメーカーがさらに参加して拡大を進めてまいります。ヒートアイランド対策では小学校の芝生化の重点化、あるいは駐車場の緑化の推進、さらにモデル住宅地の創出や老人福祉施設などを二重窓化することによってエネルギーのロスを減らしたりして、同時にまた快適な住空間を創ることによって、より良き介護の体制づくりを行っていくというかたちを新規に行ってまいります。

医療体制の充実についてでありますが、ご案内の通り一昨年度の県立新がんセンターの完成、さらに本年12月には小児医療センターの完成、そして循環器呼吸器センターの新館の建設というかたちで県立4病院の主力3病院がそれぞれ新設、あるいはまた一部新設というかたちの中で、最大限に充実してまいります。小児医療センターが28年の12月、新病院としてオープン。そしてこちら(循環器・呼吸器病センター)の方は29年3月に新館がオープンということで感染症対策とか肺がんなどの緩和ケアの病床新設などが行われてまいります。更に順天堂大学の附属病院、あるいは大学院、看護学校などの誘致に向けての予算組みもしているところでもございます。

公共事業関係でありますが、補正予算も活用したかたちの13か月予算の枠組みの中で公共事業が切れ目なく実施されて、事業者の皆さんたちが「手が空いて困った」ということの無いようにしていきたいと思っております。県内全体的には圏央道プロジェクトが終了したこともあり、国の事業は随分減りましたが、その分県単の事業を道路では10%増やし、河川では12.2%増やすことで全体のバランスを取りながら事業者の皆さんたちが急に仕事が無くなったとか、そういうことのないようなかたちをとってまいります。

更に緊急治水対策の推進。昨年の集中豪雨で新方川(流域)の氾濫(後に「被害」に修正)などがございましたので、これを1年で一気に堤防のかさ上げをしてこういったことが無いようなかたちにさせていただきます。また、新芝川の堤防に関しても機能を強化するための仕掛けをしっかりとさせていただきます。更に歴年による施設等が劣化をしている所があちこちにあります。例えばこの土手というのでしょうか、そういった所がぐしゃぐしゃになっている所などをきちっと整備していく。護岸の復旧、土砂の撤去などを行って、まさに「集中豪雨などが起こった時にこれは耐えられませんね」というようなことだけはもう一気呵成に一気に片を付けていくという。こうした緊急治水対策事業を推進してまいります。

さらにご案内の通り「ラグビーワールドカップ」「オリンピック・パラリンピック」が2019年、2020年に来ます。これに向けた体制づくりを行っているところでありますが、特にオリンピックは同時に文化の発信でもありますので、彩の国(さいたま)芸術劇場の芸術監督であります蜷川幸雄監督による1万人の群像劇をオリンピック・パラリンピックで展開したいということで、2016年にはキックオフセレモニーと3千人の群像劇を行ってまいりますし、(東京オリンピックの)サッカー(後に「バスケットボール」に訂正)会場であります(さいたま)スーパーアリーナ、あるいは熊谷のラグビー(ワールドカップの)会場であります熊谷ラグビー場、あるいは(東京オリンピックの)サッカー(会場)の埼玉スタジアム2002、こうしたところの整備を計画的に行って、まさしくおもてなし、お迎えができるような体制のための予算組みを順次行っておるところでございます。

知事

予算は以上でございますが、平成28年度の組織・定数改正についても若干のご説明をいたします。全体として(知事部局の)組織は現在98課120所でありますが、3課プラスします。定数はプラスマイナスゼロであります。先端産業(創造プロジェクト)をさらに進めるための「先端産業課」を1つ。そしてずばり「シニア活躍推進課」。そしてラグビーワールドカップ大会の運営を整備していく「ラグビーワールドカップ大会課」。そして地域包括ケアのシステムを作るために、全体としてこれは医療と福祉の連携でもありますので「地域包括ケア局長」というかたちで、横断的なかたちをとらせていただきます。福祉部と保健医療部を横断するかたちで連携を強化します。再編としては「エコタウン環境課」というかたちで、これまで複数課で所管している省エネ・創エネ施策を集約し一体的に推進してまいります。病院局は141人増えます。ご案内のとおり小児医療センターの新病院の大なる充実と、循環器・呼吸器センター新病棟の開設準備がありますので、大幅な増員であります。

一部下水道局で新設として「下水道事業課」というものを作って、全体の下水道のマネジメントを行っていく課を作ってまいります。これは、定数そのものは変わりませんが、一部限定された組織を作ります。以上です。ありがとうございました。

東京

幹事社から1問だけ、まずお聞きします。今回の予算、前年度比2.8パーセント増という大きな規模になっておりますが、知事は以前の記者会見で「予算の編成過程を透明化したい」というお考えを示されておりましたよね。今後、どういうかたちでいつぐらいに公表したいとか、もし決まっていることがあれば教えていただけますでしょうか。

知事

はい。どこまで公開すれば一番いいのかなということについてはだいたい概略は決まってまいりました。例えばもう最初から最後までというふうになると膨大な資料になってしまいますし、途中で消えたものもたくさんありますし、そういったことを考えれば、知事査定に入ったところからがポイントじゃないかなと。重要な論点があるのを私の方から指摘させていただき、押し返してまた査定をするという仕組みがありますので、なぜそこで押し返されたのか、なぜ認められたのか、なぜ切られたのかというところが県民に見えると、予算編成というのは「なるほど、こんなかたちで議論をしているのか」、「こんなかたちで予算が決まっているのか」というかたちが分かるのかなと思っておりますので、その部分に集約させようかと考えているところです。

この発表はいつのタイミングがいいかということについて、若干まだ検討中でございますが、議会が始まってからでは意味が無いと思いますので、しかしあまりにもまた早々とやることで何と言うのでしょうか「議会軽視」と言われてもなかなか辛いところでもありますので、その辺の兼ね合いをちょっと議会の方にも若干相談してみたいなというふうに思っております。

朝日

今回の新年度予算の中で「シニア革命」とか、選挙の時から「2025年問題」とか言われていたと思うのですけれども、具体的な施策で一番知事がこれという思いを込められたものはどれになるのでしょうか。

知事

やはり、地域包括ケアシステムというのが一番ポイントになるかと思っております。非常に地域で心配なく医療や介護を受けられるのかという不安感が皆さんにあります。さりとて何も分からないでそれこそ病院にみんなが行ってしまったら、病院がパンクしてしまいますから、#8000もあれば#7000もあって何でもかんでも救急車を呼ぶというようなことをしないようにしていますし、あるいはまた、軽度な人たちがやたらめったら病院に行くというのもいかがなものかということでありますので、一種の地域で見回り体制というのをどう作れるのか。しかしこれは実はモデルが無い話ですので、先行モデルが幾つかあります。例えば都市部などでは和光市などが今、大きな評価を得ているところです。要介護の人たちというのは一般的にどんどん要介護度が高くなっていくんですね。悪くなっていくんですけれど、ここは減じているという非常に希な動きをしているんです。それは何なのかというとまさにケアシステムが充実しているからです。そういうことを地域地域で医師会、あるいはまた看護協会等々と調整をしながら市町村ごとに作っていかなくてはなりませんが全ての市町村でいきなりどうしようと言っているよりは比較的、手を挙げていただいて、モデルを作りやすいところから作っていただいて、で、A・B・C3通りくらい多分作らなくてはいけないと思っています。郡部向け、都市向け、それから大きい所と小さい所、市の。3通りくらいあると思いますので、そのうちどれかを選ぶようなかたちで作っていく。まさにこれは手探りでありますが、幸い医療と介護の連携ということに関しては非常に医師会も協力的で、その実績も例えば糖尿病の重症化対策などでも、もうすでに実績を見せていますので、この応用編で地域包括ケアシステムを作らせていただきたい。こんなふうに考えております。これが1つ。

もう1つはやはり少子化対策です。少子化対策もですね。バラバラでどっちかと言ったらやっております。一般的に言えば何て言うのでしょうか「子育てができないから保育所を作れ」こういう話。女性が働くためには子育てしなくちゃいけない。しかし「自分が全部できないから保育所を作れ」という話。ではそれで働いて「所得が増えたから子供が産めるのか」という世界になってくると、必ずしもそうとばかりも言えない。阻害している要因は一体何なのかということになっていくと、いろんな統計で明らかになってきたことがはっきりしています。基本的には所得が低い。そして、住宅がそれだけのキャパが無い。こういう問題。もちろん高齢化だとかそんなのもありますが、これは個々の差ですけれども。行政で用意できるものとしてはやはり住宅と所得の部分で、勝手に企業に「所得を上げさせろ」というわけにもなかなかいきませんから。では「住宅でカバーしましょう」とか、あるいはまた「教育費でカバーしましょう」とか、あるいは「保育に係る費用でカバーしましょう」とか、こういったところを今回は総合的に打ち込ませていただきましたので、この2つは相当思い切ってやらせていただいたというふうに思っています。

埼玉

地域包括ケアシステムに知事はかなり力を入れるというお話は分かりますが、途中のアクティブシニアの方が若干前面に出てきているのかなという印象も受けるんですが、これはバランス、あるいは地域包括システムの方がより長期のスパンで見てらっしゃるのか、その辺の兼ね合いをおっしゃっていただけますか。

知事

最終年度が地域包括ケアシステムの確立が2025年、10年後に、9年後に作ってくれというのが厚労省の仕組みですので、ここ2、3年ほど少しモデル事業的なものでメニューを先ほど言ったようにA・B・Cぐらい作りたいと思っています。そうすると、それぞれのところがAを選択したりBを選択したりCを選択しながら一気呵成に進むと。みんなが一緒に進むというのも一つの手かもしれませんが、比較的そうするとロスが多くなるんで、準備が比較的進んでいたところ、あるいは先行事例でその型がもともとあるところなどを軸にして作ってしまって、それで後を追っかける方が時間的にもあるいは費用的にもロスが少ないものだと思っています。県はそういう役割を果たすのかなと。市町村が勝手バラバラに手を挙げて適当にやっていくのではなくて、やはり先行しているところが幾つかありますから、そういったところの人たちにお願いをして、さらに先行してやっていただきたいと。それを県として全面的に支援して、一定程度確立したものを選んでいただくと、それにプラスアルファで調味料が付いていくであろうし、何かの味付けがそれぞれの市町村ごとに出てくると思います。またその味付けをする時に県が何かの方法で支援するとかという方法もあるかと思います。そういうやり方が比較的今のところ、未来会議などでも議論が出てきているところですので、またこの問題については市町村の皆さんとさらに協議を進めて、より良き方法を選んでいかなくちゃいけないと思っています。

少子化対策もそうです。今年度で全て決めようと思っていません。一旦打ち出します。やり方をいろいろ決めて市町村と議論をしながら、市町村単位で頑張って頂かないと、なかなか隅々まで手が及びませんので、私たちはやっぱり議論をしっかりさせてもらおうと思っています。そういう場も予算化して用意しています、協議会の場も。そんなふうにやろうと思っています。

アクティブシニアはいつでもどこでもできる話ですので、もうできるところからどんどんどんどんやっていくというかたちです。

埼玉

少子化対策のところでお聞きしたいんですが、多子世帯向け住宅というのを今年度から始めていらっしゃると思うんですけれども、知事はかなり力を入れてらっしゃると思うのですが。今年度の多子世帯向け住宅で成果と課題が出たと思うのですが、さらにそれを今度の予算にどのように反映されたかお聞きしてもよろしいでしょうか。

知事

今年度の部分ではどっちかというと中古住宅の支援でありましたが、今度は若い人たちは所得が少ないということで、県営住宅を新設する、2,000戸分。500戸ずつ(後に削除)そういう人たちに提供するというのが新しい仕組みです。これはなぜ500戸(後に「400戸」に修正)なのかという部分に関しては、建設の供給側の準備などを考えてそういうレベルです。今年度はそういう部分も行って実質的により大きな成果を得ていきたいと思っております。

3人目以上の多子世帯に関しての成果でありますが、この部分については一定程度の評価というか、使われ方が行われているところですが、まだ最終年度が全部終わっていませんので統計の成果を全部もらっているわけではありませんが、引き続きこの部分は必要だという認識の中で今年度も予算化しているところです。

(多子世帯向け住宅の成果について)まだここで数字を持っていませんので、あとで数字を提供させてもらいます。

産経

4期目に昨年当選されて4期目初年度ということで全般的になるんですが、意気込みというか今回の予算編成にあたっての意気込みと、あともう一点知事選のところで、将来に向けた道筋をつけるための足がかりが非常に重要になるというお話盛んにおっしゃられていたかと思うんですけれども、その辺の部分についてどのような打ち込み、実際の施策でも結構ですし、思いでも結構ですし、その辺をご説明いただけますか。

知事

結構8、9年前から仕込みはいっぱいあるんですね。2025年問題にしても言わば、人口統計、人口動態を実はあまり政府は使っていなくて、その場その場の経済対策をやっていたんですね。私は9年くらい前からこの人口動態をすごく気にしていて、生産年齢人口の低下というのが大きい。従って、地方でも産業を興すべきだということで、通商産業政策の地方分権化とか、あるいはまた女性のチャレンジ支援まで含めるとウーマノミクスプロジェクトを8年やっているわけです、女性の社会参加の拡大ということでは。そして健康長寿プロジェクトに関してもやはり高齢者が社会参加していかないと持たないということでの数字でもありましたので、この部分に関しては実際に8年前4年前からやってた世界、あるいは(後に削除)9年前、5年前からやっていた世界、それで知事選からのことで言えば、少子化にはそんなに踏み込んでいなかったんですね。例えば保育の拡大だとかいうのは、「今ある危機」だったわけですね。ところが、一般的に少子化対策というのは難しい。子どもを産んでくださいというのを本当に人に頼めるのか。しかし、現実的にはやっぱり少子化というのは相当な危機だと思わなくちゃいけないんですね。結局20年後、10年後の需要を意識しながら企業は投資をしていくわけです。人口がどんどんどんどん少なくなっていくということを前提にしたり、子どもが少なくなっていくということを前提にすると投資意欲が沸かないわけですから。まさにこれはデフレの道ですよね。人口が増えますね、あるいは子どもの数が増えてきますね、ということがある意味では日本の成長を支えてきたわけですから。それが無くなっていくということは、これはやっぱり相当な危機だと思わなくてはいけないわけなので。子どもの産み方に関しては、あんまりものを言ってはいけないと私自身は思っていましたが、言うことは言わなくても、少なくとも意欲のある人たちに関する準備はしても良いんではないか。だから不妊治療だとかこういったことに関しては踏み込んだ予算組みなどもやってまいりました。より産みたいと思っている人たちが産めるように。男性の不妊治療の費用は出していなかったんですね、ほとんどの自治体が。埼玉県がスタートさせてもらいました。今では国の方もするようにしました。まさに思いがある人たちだけにしか私たちは準備をしていなかったんですが、今のところ思いが無くても後に思いが出てきた時にはいつでもそういう準備があります、ということを少子化対策で打ち込もうというふうに、実は選挙の時思っておりました。それがまさに「今ある危機」ではなくて「将来への危機対策」だということの一つです。

もう1つ、高齢者対策の中で一般的にシニアの元気というのはそこそこ全体の空気の中でできることですが、医療と介護の連携作業などはそれぞれがバラバラになりがちなので、こういうのをまとめるのが県の調整力だというふうに思っておりますので、この部分は県の出番だなというかたちで、まさにこれは10年後の世界ですが、ここ3年ほどで全部確立すれば、まさにあとはAのモデル、Bのモデル、Cのモデルをそれぞれが使っていただければ良い。こんなふうに考えているところで、この2点がどちらかというと意識した道筋、先にある道筋を考えたところですね。

日経

今回4期目の最初の予算ということで、いろいろ取材の過程で議会との関係でなかなかあまり良くないようなふうに見える関係もあって、職員の方からなかなか新しい政策が打ち出しづらい、議会にいろいろ言われるんじゃないかと、知事がおっしゃるようなまさに「縮こまる(知事困る)」というような状況が若干見受けられる部分があったのかなと個人的に思ったんですけれども、知事のご認識としてそういうことは全く関係なく、きちんとしっかりとした政策を打ち込めたというご認識なのかどうかについて。

知事

縮こまる(知事困る)じゃ困っちゃうんですよね本当に。勝手にそういう部分で忖度してはいけないと思っています。それは職員の課題ではないですから、議会との関係は。まさに特別職の知事や副知事が考えることだと思っておりますので。そういうことは勝手に思ってはいけないと思いますが。それ以上に私たちが心配しなくちゃいけないのは、やっぱり役所というのは国もそうですが「今ある危機型」なんですね。だから、そこにある危機には対応しやすいんですけれども、将来の危機にいかに対応してないかというのは、まさにこの少子化を招いている昭和42年当時は「4人家族で結構だ、これ以上子どもが増えたら困る」と、産児制限を訴えたくらいですから。私も(昭和)42年当時の文献を見てびっくりしました。なんと日本は昭和42年ごろには人口抑制策をやっていたんだと。誰も今時知らないです、そういう事情を。しかし、基本的にはそういう流れできたのが事実ですよね。4人家族で全て制度設計がされている。年金であろうと、医療であろうと、住宅であろうと、何であろうとですね。もう、そこにやっぱり間違いがあったわけですね。4人家族で(制度設計をして)、4人家族を形成できなかったときには現状維持どころか、本当に大幅に減っていくわけですから。(合計特殊出生率が)2.3で維持するわけですから、むしろ5人家族みたいな話をして、言わば定常人口みたいなかたちですよね。なぜそういう打ち込みができなかったんだろう。何かやっぱり将来を見越す力が無くて「今ある危機」の方に負けてしまったということだと思います。我々はできるだけ「今そこにある危機」もそれはそれで非常に重要ですけれども、10年後、20年後、場合によっては100年後とかそういうことを考えるべきだと思っています。例えば先端産業(創造)プロジェクトに関しても、外れたらどうするんだと、こういう批判を受けます。当然受けます。全部成功するわけがない。でも私はそれをやりたいと思います。批判を甘んじて受けたいと思っています。しかし必ず幾つかは成功して、必ず埼玉から「なるほど」というようなことを評価される、そんなふうに思っていますので。もう先端産業(創造)プロジェクトなんか博打の世界だと思います。考えようによっては。失敗したらどうするんだ100億円。「福祉に使え」なんて話になるかもしれません。しかし富を生み出す力というのはこういったところからスタートするわけですから、富を生み出せないで、福祉ができるわけありませんから。でも何となく「100億円あるんだったら福祉に使え」という話の方が、説得力を持つ可能性がありますけれども、あえて100億円を投資して、それ以上の富を生み出す努力を私はしたいと思っています。

朝日

今回の議会側から出た要望をどのように反映されたかということなんですが、私立学校の教育費負担軽減は大きいものだと思うんですが、自民党側からの要望だったと思うんですが、その辺りは。

知事

ずっとこれは固定化されていく予算ですので、それなりに多きな予算組みになりますので、悩ましいところがありましたけれども、単に私立学校関係者からずっと以前から出ていた話であります。しかしそれを土台にした話だとNOという話だったかもしれません。しかし少子化対策で何がネックになっているかというのを丁寧に調査していくと、先ほども申し上げたとおり、若い人たちの所得の無さでありますが、所得の補填を私はすべきだと思っておりません。それは自分で稼がなくてはいけないと思っております。そして賃金を勝手に県や国が決めるものでもないと思っています。そうしたことをすれば必ず経済に歪みが出てくると思っております。ただ、最低賃金だとかそういった部分には当然そうしたものを下敷きにしなくてはいけないと思っていますが、では何をしなくてはいけないかと言うと、例えば教育費がかかるが故に、例えば公立の方であればそんなにかからないけれど、私学の人たちはかかる。では私学に通う人たちのカバーをすべきでしょうという議論で、少子化対策ということで言えば十分価値のある話になってきます。これは私立学校を助けるという話ではありません。まさに少子化対策という一番重要な課題の一つになってくる、そういう判断がありました。

随所に各党各会派からの要望事項はございますし、後程個別に回答はそれぞれにお返ししたいと思いますが、基本的にはそういう政策の流れで、優先順位で決めたりしております。例えば箇所付けで言えばいろんな要望がありますけれども「1年で片付けましょう」という緊急水害対策みたいなのがあるわけですね。集中豪雨は前回あったことは必ずあり得るということは基本にならなくてはいけないんですね。前回を大幅に上回るという話になってくるとなかなかそれはきりがない話になってきます。カスリーン台風で被害を受けた利根川の改修、あのレベルまでぐらいはしっかりやらなくてはいけないというのは基本になりますし、新方川で今回溢れた(後に「被害のあった」に修正)部分のところはカバーしなくちゃいけない、あるいはまた破堤による新芝川の部分、この部分なんかもやっぱり最小限のあの程度のことだけはカバーしよう、これは1年以内に起こることがあるんだということを前提で組み立てたりしております。こういうのは要望を超えた話です。一般的な要望は「何とかしてくれ」ということですから「分かりました。調査をしましてそれから、なんとかかんとか」という話なんですけれども、これは「分かりました。一気にやりましょう」そういう話です。

読売

今水害の話も出たかと思うんですけれども、新しい事業で幾つか昨年の9月に豪雨災害が起きてから、それに対応するような河川の管理とか整備に関して新規事業も幾つか入っていますが、その豪雨や災害に対する今回の予算に向けて知事の危機意識や思いあたりを聞かせていただければ。

知事

災害自体をどう予算で評価するというのはなかなか見えない部分もたくさんあると思っています。全体としての危機管理防災というかたちで、ソフトのパワーもたくさんありますので、予算が要らないところもたくさんあります。あっても大した予算じゃない部分もたくさんありますが、現に起こった事故といいますか、そういうものはそこまで起こり得るということを前提にしたかたちをとらなくてはいけないと思っています。例えば雪害があれば、あの程度のことは100年に一度だと思わないで、毎年だってあるかもしれないという対策を考えざるを得ない。同じように新方川の氾濫(後に削除)なども、あれは特別だったと思わない。また起こり得る。だったら1年以内に片を付けましょうという話に。しかし、これ以上起きたときどうするという話までし始めるときりがなくなってしまいますので、前回の部分に関してのカバーはできましょう。そういうことは。これはやっぱり災害対策の基本だと思っています。こういうのにはあまり時間をかけないでやりましょうというかたちもあります。全体の予算でどうなっているかというところまで、全部一個一個追っかけろと言われたら、今の中の質問に対してはお答えにくいですね、基本的にはそういう考え方になっているということでお答えしたいと思います。

朝日

議会との関係で、予算をまとめられて議会で議決されないと全く意味の成さないものになると思うので、最大会派の自民の意向というのは基本的には無視できないものだと思うんですけれども、先ほどの質問とも関連するんですけれども、本当はこういうのやりたかったけれども、ちょっと賛成してもらえるか分からないなということで見送ったものとかあったりするんですか。

知事

今のところ無いですね。

朝日

知事がやるべきことというのは盛り込めたという。

知事

そうですね。まだ熟していないもので、いずれやらなくてはいけない課題はいくつかありますけどね。図書館の問題だとか。ただ現実に切り立ったというんでしょうかね、ずば抜けた案が教育委員会から出ていませんので、持ってきていませんので。いずれこれはやらなくちゃいけない話ですよね、ただ相当議論になるかもしれませんが。今のところそれは無いんで、そこは全く議論してませんので。少なくとも今回の中で「これは嫌がるからやめましょう」という話はないと思います。

朝日

今回4期目に入られて、1期目、2期目と状況を比較して、例えば少子化とか高齢化というある意味どこの都道府県とも共通の課題を抱えている中で、独自色というのは出しづらくなってきているのか、それともあまり変わらないのか、知事のお考えというのはいかがでしょうか。

知事

これはまさに先行モデルは厚労省の優等生と言われていますから、埼玉県は。生活保護の教育支援からスタートして、糖尿病の重症化の対策、あるいは和光市における介護の重症化を逆に減じるというこういうモデルなどは、あるいは発達障害の取組なども含めて。厚労省の優等生と言われているぐらいどんどんモデルを出せると思っています。むしろ深刻な問題があるところほど徹底的にそういうことを出していけるんじゃないでしょうか。埼玉県なんかまさに高齢化なんかのあるいは少子化に関しても決して良い方じゃありませんから。そういう課題があるところほど、たくさん良いモデルを出せるんではないですか。出さざるを得ませんよね。そんなふうに思います。

朝日

知事選のときにはシニア革命というワードは確かまだなかったと思うんですが。

知事

そうですね、言葉としては無かったと思います。

朝日

どのようにしてそのワードが生まれたのか、名付け親って…。

知事

結局はイメージが先行していたんですね、騎馬戦型と肩車型と。1人が1人を支える時代になるんだと。実はみんなが弱るんだというイメージが先行していたんですね。ところが、よく統計を見ていくと65歳以上の人たちで現在現時点で通院入院していない人たちが8割です。膝が痛いとか肩が張るとかいろいろあるかもしれませんが、基本的には通院とか入院を必要としない人たちが8割というこの事実を知ったんで、結局今までのイメージとは全く違う世界だなと。今までは支えられる側なんだというイメージの方を先行させたんですね世の中。「医療が大変だ」「介護が大変だ」とこればかり言っていたわけですね。そうではなくてむしろ場合によっては社会を担う人たちが8割いる。その人たちにそれぞれの居場所を作れるかどうかが大変なんです。だからまさに革命なんですね。それぞれが自分たちの居場所ができるかどうか。うっかり濡れ落ち葉族になったら困る。地域デビューができなくて困っていると本当の病気になってしまったとか、そうならないようにするにはどうすればよいか。そうすれば今までヤングキャリアセンターを作って成功していたように、セカンドキャリアセンターを作って、自分の居場所がつくれない人たちは来てください、相談しましょう。そういうかたちでアクティブシニアをどんどんつくりだしていく。シルバー人材センターなんて言っているとそれだけで老けてしまうような、ちょっと寂しいイメージになってしまう。違うところもありますよ。しっかりやっているところもありますけど。もっとこれだって改革しないといけないんじゃないですか。シルバー人材センターなんていったらもっと活き活きするような話にならなくてはいけない。それがそうであるかということに対して私は疑問を持っていますので、我々の所管ではありませんが、何らかのかたちで提案したいと思っています。そういう意味でやっぱり革命的な話になってくるんじゃないですか。だから何となく出てきました「シニア革命」が。

朝日

知事から?

知事

はい、私から言いました。

毎日

関連してなのですけれども、全国共通の課題で少子化というのがある中で、やはり知事の4期目の独自色というのは、そういった中で先行事例を出していくことが、知事の独自色ということでよろしいんでしょうか。

知事

単にモデルを出しただけでは意味は無いんですよね、そのモデルが普及する、そして実証的な効果を出していくということが大事だと思っています。県庁の職員で、一番最近で私がヒットだと思うのが、やはり(発達)障害者の見分け(ができる)人を1万500人作ったことです。なぜ1万500人必要かということを実証的に積み上げたことです。今までの(埼玉)県庁だったり他の県庁であれば、各市町村から2、3人集めて研修をやって「そういう見分けができる人たちを育てています」で終わったと思うんです。保育園に何らかのかたちで発達障害の可能性がある子供がいる、その時に「ではないか」ということをお母さんたちにきちっと説得できる人が園長を含めて3人いる、各園に。あるいは幼稚園に3人いる、園長を含めて。小学校に校長を含めて6人いる。市町村には3つくらいの課にそれぞれ2人ずつくらい、合計で6人いる。その人数をずっと計算していくと1万500人になった。この1万500人を育てるには「どのくらい育てられるのか」、「1年間3,500人が限界ですね」、「3年かかります」、3年かけて1万500人作った。あとはだいたい700人ないし800人をローリングしていけば、この1万500人は確保できるでしょうと。その1万500人の人たちは何をするか、具体的に一度作業療法士が巡回してきますから「見ていただけませんか」と「立ち会っていただけませんか」と、作業療法士もあるいはそうした先生方も「精密検査をする必要があるかもしれません」ということで、病院でしっかり精密検査もしていただいて「これは発達障害の診断をせざるを得ません」と、だったら、そのための療育をどうすればよいかという、今度はプログラムになってくるし。そういうプログラムを受けた子供たちは、さほど障害が社会の中で問題にならない。問題にならないようなかたちになってくれば「人財」になる。ところが大きくなるまで放置されていると、場合によってはなかなか社会の中に入っていけなかったりするので「人財」にならなかったりする。こういう実体的に物を考えて結果を出すようなことがぼちぼちできている。

どのくらいの数をすればいいのか、一般的には県というのは単位が大きいもので、モデルさえ出せばそれでもうOKというようなところがあったのですが、それだけにとどまらずに市町村や関係団体に協力をお願いしてかなりの量を実践する。そういうことができるようになりつつあるということです。またそうしないと、モデル先行だけではやはりダメだと思っています。糖尿病の重症化の予防体制というのは、これは全県ですから。呉市でだけうまくできた例はあります、市町村レベルでは。全県展開をやろうとしているのは埼玉県だけです、今のところ。だから厚労省が取り上げているんです、厚労省というよりも内閣官房の「健康・医療戦略室」が評価してくれているんです。

そういうことなどが私は必要だと思っているんです。単にモデルを出すだけではなくて、実体を作っていくという。だから、かなりウーマノミクスプロジェクトもやはり数が多いです、企業の数も。何か「幾つか表彰して終わり」という世界ではないですから。そうすることで、埼玉県、全県的な運動になってくると思っています。全てのトラック事業者のところで「女性だっていいよ」という世界とか、建設会社でも「いいよ」という世界がどんどんできつつあります。意外に評価が高いんです、女性の評価ですね。今までの男性と違った視点とか、違った丁寧さだとかそういうのが評価されていますので、やはり実体をつくる運動を埼玉県はやっていきたいと思っていますね。

産経

今年、新たに打ち込んでいく事業はそういう実体をつくれるという自信がおありという理解でよろしいんですね。

知事

もちろん。「自信がおあり」というよりも、自信というよりもまさに関係団体や市町村との協力、また議会のご理解等々が必要ですから、オール埼玉で取り組んで行けば、まさにムーブメントになりますので。

埼玉

先ほどの図書館のお話のところで一つ確認をさせていただきたいんですけど、熊谷会館については特に今回、方針というか、何か特に跡地活用に関しては入ってなかったんですが、これに関しては特に議論にはまだなっていないということでしょうか。

知事

教育委員会から持って来ていませんからね、話として。まあ「尖ったやつを出してくれ」と私は頼んでいます。一番お金を使った図書館を作るわけでもないんで、何かやはり「ああなるほど!という切り口を持ってこい」と、こういうふうには言っています。あれもこれもという、何と言うかみんなくっつけたようなものではなくて、「なるほど!」というようなやつを考えてくれと言っています。

埼玉

個人的な見解で恐縮なんですが、16年度予算、ちょっと知事にしては県民に対するメッセージ性がちょっと弱いんじゃないのかなという印象を受けたのですが。例えば、先ほど知事が伝えたいことというのは「地域包括ケア」と「少子化対策」だというお話をされたんですが、例えばそれだったら記者発表資料でも前面に、前に出してくるのが今までの知事だったような気がします。

「縮こまる(知事困る)」というお話もありましたけど、例えば3期目の時、3大プロジェクトの時は積極的に市町村に手を挙げてもらって「やるんだ」という予算と人を配置した。2年前の先端産業(創造)プロジェクトの時は100億円という規模を出して、それなりのメッセージ性というのが、すごい予算で強く出ていたと思うんですが、今回もバランスは良くできているという印象は受けるんですが、一方で知事らしい思い切った見せ方、県民または市町村に対して「地域包括ケアをもう県は一生懸命やるんだ」と、そういう面でのメッセージ性がちょっと弱いんじゃないかという印象を受けたんですけど、どうでしょうか。

知事

うーん。それは捉え方の問題じゃないですか。3大プロジェクトの時には。最初から申し上げているように、(パネル(3)「平成28年度当初予算案の重点分野」を指しながら)私がなぜこの表どおりに言わずに、考え方の説明をしたのかということがまさに私のメッセージなんです。「今ある危機」しか政治はやっていないんです。投票だとか自分の座を死守したいがために。「今ある危機」はやりますが、「将来ある危機」に対応しないじゃないですか。8、9年前から生産年齢人口の低下を意識した打ち込み、どこの誰がやっていました「今ある危機」しかみんなやっていないんです。今回のも10年後、20年後にどうするかということを最初に訴えました。

それは100億円とかいう数字が分かり易いかもしれません。しかし「10年後、20年後という将来の危機に備えた施策をやっているんですよ」というメッセージ、「なぜ100億円を先端産業に使っているんだ」と「100億円あればもっと福祉に使えるじゃないか」と「もっと医療の無料化にお金を出せばいいじゃないか」とかという話でしょう。「でもそんなことはしません」と言い切っているじゃないですか。これはまさに県民に対するメッセージなんです。「今年度だけではないんです、10年後、20年後の仕掛けなんです」ということを全てに渡って言っているんです。だから「稼ぐ力の強化ですよ」「福祉も医療も稼ぐ力がないとできませんよ」「それぞれが人間らしく長生きしていくんですから、生きて行くための仕掛けはどうするんですか」「居場所をどうするんですか」ということでの「シニア革命」。人がそれぞれ宝にならなくてはならないでしょうと、女性も障害者も若い人も「みんな貧乏で苦労してます」と「それじゃ困ります」と。3大プロジェクトという言い方はしていませんが、まさに「稼ぐ力」「シニア革命」そして「人財の開発」、私は十分メッセージを出していると思っています。

埼玉

その中で具体的に知事が「地域包括ケア」と「少子化対策」を、これが大きいとおっしゃいましたよね。その政策に対して「もっと県がやるんだ」というようなかたちの…。

知事

それは質問の仕方に答えただけですから。今の質問の仕方だと、こういう言い方をしますよ。「その中でも」と聞かれたから。第一、最初に言っているじゃないですか、この画面を見ないで、私自身の考え方を「今ある危機ではなくて10年後、20年後にどうするかということを予算の大きなものにしています」ということを言っているんです。

そこを読んでいただかないと、そういうのを優しくメッセージに代えてもらうのが皆さんの仕事じゃないですか。私ばかりに仕事を与えないでください。

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その他
男性育児休暇取得を表明した宮崎健介衆院議員の議員辞職について

埼玉

男性の育休取得を提唱していた国会議員の宮崎議員が先ほど辞任を表明されましたが、県でも新年度、男性の育休取得にかなり力を入れていて、奨励金を用意したりとか、結構力を入れていると思うんですけれど、この宮崎議員の辞任の一連の流れについて知事の所見を聞かせてください。

知事

あまり詳しく知らないんですね、だからあまり、答えにくいんですが。あまりコメントする必要も無いんじゃないかなという程度の話じゃないですか、そんなふうに思っています。

(終)

平成28年2月2日(火曜日)

発達障害児・者への総合的な支援
甘利大臣の辞任を受け、安倍政権が進める政策の停滞や「政治とカネ」の問題について
LGBT成人式の後援申請について
教科書発行者による不適切な宣伝行為について
「まち・ひと・しごと創生総合戦略特別委員会」における閉会中審査について
知事発表
発達障害児・者への総合的な支援

発達障害児・者への総合的な支援について(PDF:843KB)

知事

こんにちは。本日は、発達障害児、発達障害者への総合的な支援のこれまでの成果と言うのでしょうか、取組について報告をしたいと思っております。まず、発達障害のある人たちというのは、先天的な脳の障害でその症状というのは低年齢から現れる。一般的には対人関係とかコミュニケーションの部分がとりにくいと言われていますし、そして行動面にも問題を抱えている場合が多い。従って、集団生活に馴染みにくいというような性格を持っていると言われています。外見から分かりにくいために、周囲から誤解を受けやすい場合がありますし、また外見で分からない部分がありますので、適切に対応をされずに高学年やあるいは大きくなってから初めて発達障害だということに気付いて、治療(後に「支援」に修正)がしにくい状況になったりするということが起こったりしています。

そこで、埼玉県は早期に気付き、適切な支援を受けることで、本人と家族の負担をとにかく軽くしようというところに主眼を置いて、もう一つは得意分野で大変能力を発揮される方も多くて、そういう意味での「人財」として自立が可能であるという。このことを重点化して「発達障害児・者支援プロジェクト」というものを5年間続けてまいりました。平成23年からスタートして27年度までの成果について、ご報告したいと思っております。基本は、早期発見・早期治療(後に「支援」に修正)と言われておりますが、早期発見で早期に支援することだと。成人期の就労支援までのとにかく支援体制というのをしっかりやろうということで取り組んでまいりました。

早期発見・早期支援ができる人材をまず育成しましょうということで、この数が桁外れであります。発達障害に早期に気付いて適切な支援ができる人数を、1万546人育成をしました。この数を割り出したのは、実は保育所だとか幼稚園で1園に3人の気付きができるメンバーを育成しようというふうに致しました。具体的には園長先生は当然でありますが、それ以外に2人。比較的女性の方が多いこともあり、結婚されたりあるいは出産等々で休みを取られても、3人いれば2人は残っているとか。そういうかたちで3人の支援体制。市町村において障害福祉、子育て支援、母子保健の3分野のメンバーに769人。小学校では1校6人のメンバーを作ろうということで計算をしましたら、約1万500人必要だということが分かりまして、年間にどのくらい養成が出来るのかということを計算したら、3,500人くらい養成が出来るということが分かりましたので、3年間でこの1万500人を超える、見分けることができる人たちを育成しようというかたちで取り組んでまいりまして、現実にこういう数字が出てきたところでございます。元より、園長先生や見分けをする人たちだけの判断ではなくて、作業療法士等の先生方に巡回を、来ていただきまして、これも年に約1,000回近い巡回をいただいて、1万8,826人の子供を支援する。つまり、保護者の方に園長先生などが「場合によっては発達障害の可能性がある」ということをお伝えしながら、念のために「作業療法士の先生が巡回に来るのでその時に見ていただいたらどうですか」というかたちで相談をする。そして、その相談の結果、保護者のご了解をいただければ改めて病院に行って診断をしていただく。そして、発達障害だということが分かれば、まさに早期治療(後に「支援」に修正)のための様々なプログラムをやっていただくという。そういう段取りが完全に(後に削除)出来上がっております。そして、そうした園とかあるいは家庭での支援をさらに強化するために「中核発達支援センター」を3か所作りました、この間に。要するに診療・療育の拠点として、医療的な支援が必要な子供に対して、診察・投薬・個別療育を行う所を3か所作りました。そして、実はこれが多くなって、実際もう医療的なものはしなくても済みますが、療育が必要だという、この部分に関して今度は「地域療育センター」というものを作りまして、これは6か所ですが、基本的には身近な地域の療育支援。そして発達が気になる子供に対する専門的な個別療育を専門職が行っていく。その「地域療育センター」6か所。そして医療的な支援も行う「中核発達支援センター」。この2つを組み合わせながら、実際は気付きをしていただく。そして専門的に診ていただく。専門的に療育をしていただく。そして場合によってはフィードバックしてご家庭でまた園であるいは学校でというかたちで発達障害の皆さんたちにある意味では社会、集団の中できちっとした活動ができるような体制をしていく。

その早期発見、早期支援の結果どのようなことが起こってきているのかということを保育所や幼稚園の研修受講者にアンケートをとって、実際先生方がどういうふうな変化が出てきたか。例えば、早期に気付くことができるようになった。以前は「うーんどうかな」なんて思っていたものを、「明らかにそうじゃないか」ということを、確信をもって言えるようになったというのが受講後には82.3パーセントにまでなったとか。あるいは園全体で対応することが出来るようになったとか。園全体で気が散りやすく集中ができない子供に短い言葉ではっきりと声掛けができるようになったとか。こういうことをするようになった。また、子供たちの変化ですが、子供の行動に変化があった。事前に絵カードなどで1日のスケジュールを示して、みんなと行動ができるようになったとか。こういうことが変化してきた。それから保護者に関しても、保護者の行動に変化が見られたということで、これは先生方から見たそれぞれの変化であります。そしてまた、子供が園で集団生活に馴染んでいない状況を受け入れ、専門機関に通うようになったなど、変化がこういうかたちで表れた。

そうした診療・療育の成果として「中核発達支援センター」これは医師がいるところでありますが、受診者の数がどんどん増えてきております。そしてまた「地域療育センター」の利用状況でありますが、これも増えております。増えることがいいことかということには課題がありますが、いずれにしてもこうして新しい発達障害の皆さんたちを受け入れてくれる医療機関、そしてそれをしっかりと支えていく支援機関、こういうものがしっかりマッチしてその子供たちの変化を支えていくというようなかたちがこれで出てまいりました。

最終的には、要は大人になっても社会の中で孤立せずに、社会の中でそれぞれ能力と才能に応じて活躍が出来るというのが一番望ましいわけでありますから、発達障害者の就労支援センターを設置して、運営をしております。就労相談から職業能力評価、就労訓練をワンストップで「ジョブセンター川口」、「ジョブセンター草加」、「ジョブセンター川越」ということで(それぞれ)26年、26年、27年というかたちで設置をして、隅から隅まで就労支援を行っているところでございます。また、就労相談そのものは本人だけでなく、家族や学校、企業からの相談も受け付けて、しっかり対応しております。企業で受入れをしていただいたものの、必ずしも上手くいかない。なぜ上手くいかないのかとか、そういったことについてもまたフィードバックしていただく。そしてまた、さらにそういった場合改めて就労の訓練をし直すとか、また就職を目指して改めて頑張るとか。そういうことをどんどんやっていただいています。もちろん全てが成功するわけではありませんので、一旦は引き上げて、もう一回訓練を受けて再度就労をするというような、そういうことを繰り返しております。いずれにしても、能力と才能、そして意欲に合わせてワンストップで支援をするというかたちをとらせていただいているところであります。最終目的はこちらに繋がってくるようにというのが目的であります。そのためには早期発見・早期治療(後に「支援」に修正)というのが何よりも大事だということで、よくお父さんお母さん、あるいはおじいちゃんおばあちゃんは自分の子供や孫が可愛いですから、子供の時には「大したことないよ」というかたちで何と言うのでしょうか、大きく問題を捉えないでいて最終的には後で困難になってくるというようなことが起こってくるのですが、何よりもやはり早期発見・早期治療(後に「支援」に修正)というのが大事ですので埼玉県としてはこうして1万500人からの見分けることが可能な人たちをそれぞれの教育機関で、あるいは関係機関で養成をして、発達障害が仮にあったとしても社会の中できちっと生きていくことが可能になるような体制を取らせていただいているところでございます。以上です。

東京

知事の方からこの5年間の成果について、今ご説明いただきましたが、見えてきた課題だとか今後の新規事業を含めて県の政策について何かあればよろしくお願いします。

知事

見分けることをする人たちをたくさん、増やせば増やすほど逆に早期発見が可能になりますので発達障害の人たちがある意味ではたくさんおられることが分かる。たくさん養成する、そうするとまさに発達障害あるいは発達障害と思われるような方々を発見する、そして、そういう人たちに適切なアドバイスや治療(後に「支援」に修正)をしていくというかたちになってくるとどうしてもやはり数が増えてくる。そうして数が増えてくるので医師を含むこの発達支援センター、この中核的なものが必要になってくる。これがその機能を果たせば果たすほど満杯状態になってきて、もう医療的な手ほどきはしなくても済むような人たちは、やはり今度は療育中心にしていく。それは比較的毎日、もしくはそれに近いようなかたちですので、(後に削除)近場があればあるほど良いということですので、現在6か所。場合によってはこういった所が今後増えざるを得ないというような状況が生まれると思っているところであります。

(パネル(2)を指しながら)早期発見・早期治療(後に「支援」に修正)が十分できればできるほど、出現率が高くなってくるきらいがあるのかなと。そういうのが無いと気付かないですから、全く気付かないまま行ってしまう。ただし、卒業の段階だとか高学年、高校とかに入って初めて分かったとか、そういうかたちになってくるとやはり難しい、つらい。小さい時であれば集団行動などでも早く馴染みやすい。従ってできるだけ早くというのは一番大事なことですので、まさに保育所、幼稚園でたくさん見分けることができる人がいる。あるいは各市町村においても、市町村ごとに10人を超える人たちに、各課に3人ずつくらいはいる。あるいはまた、小学校も学校ごとに6人ずつくらいはいるというかたちで低学年を中心に早く見つけていただく。そして早く保護者の方々にそのことについての理解を進めてですね、治療(後に「支援」に修正)あるいは療育をやっていけばまさに社会の戦力になると、ただこれをやればやるほどメンバーが増えるので、こういう部分がより充実せざるを得ない、こういう側面を持っているかなというところで、またこのメンバーをしっかり確保するのがまた大変なところ。(パネル(2)「早期発見・早期支援できる人材の育成」の部分を指しながら)こちらの方は気付きメンバーですから、普通の方々に研修をしていただければいいわけですけど、(パネル(2)「診療・療育体制の強化」の部分を指しながら)こちらはもう具体的な専門家になってきますので、この専門家もまた必要になってくるという、こういう課題はこれからもあるということです。ただありがたいことに、こういう早期治療(後に「支援」に修正)ができて、皆さんが社会の戦力になっていくと、どこかで滞留している人たちがたくさんいるという状態が無くなりますので、社会としてはプラスになる。こちらの方で専門家を養成する費用だとかそういったものも、ある意味ではそうやって戦力になった発達障害の軽い方々などが頑張っていただいて、逆にこちらの方を支えていただける可能性があるということですので、基本的にはそういうふうに良い社会を作るべく頑張るべきだなと思っています。本当にこういうレベルというのは画期的です。

NHK

早期発見のための、人の育成というのはどのような研修をされているのかというのと、例えばその研修を受けた方には県独自の認定証を与えるとか、何かそういう取組とかはされているんですか。

知事

そこまではちょっと詳しく知りませんので、後ほど担当者からお答えしたいと思いますが、専門家の皆さんたちに基本的には講師をやっていただいて手ほどきを受けております。修了証とかそういうのはどういうかたちを取っているのかはちょっと私も知りませんので後ほどお答えさせていただきます。

朝日

今年度でこのプログラム、5か年で終わるかたちになると思うんですが、先ほどの質問と被るかもしれませんが来年度以降もこういった取組を続けていくとお考えであるかということと、あと先ほどご指摘のあったセンターを増やしていくという取組を来年度以降もされていくということでよろしいでしょうか。

知事

常に補充的なかたちをせざるを得ません。特に保育所、幼稚園などはお辞めになったりする場合もありますし、それから市町村においてもメンバーが変わったりしますので補充を、これは補充のローテーションをずっとやってまいります。それからこちらについてはニーズがパンク状態になれば当然、分所というんでしょうか新たな新設とか、そういうことは必要になっていきますので、そのニーズに合わせて拡大せざるを得ないというのは基本的にあるんじゃないかと思っています。

朝日

これまでプロジェクトというかたちで5か年で進めてこられたかと思うんですが、ここで一応ひと区切りということで、今後はニーズに合わせて補充なり拡充をされていくということで…。

知事

基本的にはそうです。

産経

もし分かればで結構なんですが、この1万546人、何と言ったらいいか分からないんですが、子供の割合、子供のニーズに対する割合とかで、他の都道府県と比較すると、他の都道府県と比べてどうなんですか…。

知事

従来の位置付けだったらこういう感じになったと思います。例えば埼玉県に63の市町村がありますので、それぞれ2名か3名ずつ養成して基本的には終わりという世界。でも100万人からの各学年の人数がいる訳ですから、その中で発達障害がどのくらいなのかというのはちょっと今正確に打ち出すことはできませんが、具体的に園などでそういうことを見分けることができる人たちをやはり育てないことには保育所だとか幼稚園で見分けることができない。

例えば市町村に専門家がいて「幼稚園にたまたま来ました」と、それで「こういう方が発達障害の可能性があります」、「そういう方がおられたら最寄りのどこどこに来てください」とか言ったくらいだと、なかなか親との信頼関係だとかそういうのでとてもじゃないけど「おたくは発達障害じゃないでしょうか」なんていうことを園長先生を始め皆さんに言えないと思います。ところが、それなりの研修を受けた園長以下2人の幼稚園教諭なり保育士なりが協議して「あの子供はその可能性が高い」と判断して作業療法士の巡回の時にまた見てもらって、ある程度確信すれば保護者と一緒に病院に行くことが可能だ。そういう人数をずっと割り出してきたのが、この1万500人という数だったんですね。絶対的にロスの無い人数だったらどのくらいなんだろう。その上で数を確保して、その上で何年経ったらそれが養成できるんだろうということで、養成する人たちのメンバーだとか、そういう人たちの引っ張り出しが可能な人数を計算したら、1年間に3,500人くらいは何とか研修ができるという計算を立てられた。「じゃあ3年でこの1万500人は養成できますね」ということが分かったので、そのプログラムを展開した。現場からずっと上がってきた人数なのでかなりレベルの高い話です。今までだったら漠と「こういう問題があるからみんなで研修して来てください」と、「それが解決になるかはならないか分からないけど研修して来てください」という世界だったと思います、このラインだったと思います。それを脱皮したというのはすごいことだと、私は職員のアイデアでここまでできたのは大変な結果だなと思っています。私はよく成果を出す行政、それから725万人という規模感というのを忘れないように、モデルでやった以上はそのモデルでもおかしくはないんですが、それが浸透するにはどうすればいいんだということが無い以上は、やったふりになってしまうということをよく言っていますので、まさにこれは「やるための仕掛け」ということですね、そんなふうに自負しています。

もう既に注目しつつありますので国も含めて、多分に本当に発達障害を何らかのかたちで解決するにはこういう方法を取らざるを得ないと思っています。(早期発見・早期支援できる人材の育成が)26年に埼玉が5,112人のレベルの時に、東京は1,171人、神奈川が439人、千葉が1,500人、大阪府が743人という、こういうレベルですので、仮に同じようなレベルで行っていたとすると大体5倍規模くらいで推移しているきらいがあるかなと思います。大きな東京だとか大阪と比べれば埼玉が5倍くらい大きい。

テレ玉

今、国の話もチラッと出たんですが発達障害に関して厚生労働省が、この春から各都道府県と政令市で地域の開業医を対象にした研修を行うということなんですけれど、県として医師とか看護師などを対象とした研修というのは実際に実施されているんでしょうか。

知事

既に埼玉県としてはやっているところですが、国の機関でやっていただく部分がありますので、それと合わせながら、合わせ技でより充実させていただきたいと思っております。埼玉県としてはこれまで5年間で延べ278人の医師がこの発達障害支援のための研修を受講しております、平成23年からですね。そういうこともあって発達障害を診察できる、診療できる医療機関が22年の64か所から26年には128か所に倍増してるという良い意味での成果を得ております。また国がこうしたかたちを取っていただきますので、より国の費用も活用して埼玉県としては更に充実した体制を取ろうと思っています。

幹事社質問
甘利大臣の辞任を受け、安倍政権が進める政策の停滞や「政治とカネ」の問題について

東京

先週なんですが、甘利経済再生担当相が千葉県内の建設会社側から金銭を受け取った問題で辞任致しました。今後、国会での新年度予算案の審議やTPPの承認、春闘などに影響するとみられていますが、安倍政権が進める政策の停滞や、「政治とカネ」の問題について知事のご所見をお聞かせください。

知事

ちょっと難しいと思いますが。質問の趣旨がどこまでなのかちょっと分かりかねるところがありますが、まず、甘利大臣がTPP所管大臣であったということで、非常に長い時間をかけて交渉をなさって来られて、評価についてはいろいろ議論があるかもしれませんが、それなりの評価を得ておられるということを前提に、これから予算委員会を中心に、どういう議論の経過を経てこういうふうに決まったのかとか、詳しい話を多分聞かなければならない部分がたくさんあったと思いますが、その部分が聞けなくなるんではなかろうかというところに残念な部分があると思います。核心的なところで、大臣だけが知っているような交渉部分というのがあったんじゃないかなと思いますので、そうした部分が明らかにされないという意味での残念な部分があると思っています。それが1点。

もう1点は、国会が空転するというかたちを、つまり政治とカネの問題に焦点が当たって、肝心のTPPの話だとか、予算の話が進まないというかたちになってくると、本末転倒ですので、国会審議を優先されるということで潔く身を引かれたということに対しては、やむを得ないのかなと。ある意味では、消化されるのかなというふうに思っております。ただ、政治とカネと言うのでしょうか。URとのいろんな秘書さんとの、やり取りの記録などがUR側から出たりしておりますし、地検なども動いているところもありますので、軽々に物が言えませんが、やはり、何らかのかたちで影響力があったのかなかったのか、補償金についてもですね。あるいは、そうしたことが、どうだったんだということがやはり解明されることが必要だと私は思っておりますので、それはそれで、何らかの機会に、別立てでも解明されればいいのかなというふうに思っております。予算委員会は貴重な時間ですので、その中でやったらもったいないと思いますので、政治倫理委員会とか、そういったところがありますので、そうしたところで、そうした問題を大きく取り上げて、予算のほうは予算のほうでしっかりやっていかれればいいんじゃないかなと私はそう思います。

東京

アベノミクスという経済政策がこれで遅延するのではないかという可能性が出ているんですけど、これに関して知事のお考えは。

知事

今の問題でアベノミクスが何らかのかたちで問題になるということはないと思っております。もうTPPも交渉結果が出ておるわけですから、後は国内法的な課題の整理と批准の問題だけですのでそれはいいと思います。ただ、経済再生全体の責任者でもありますので、そういう部分での責任者が変わったということで、影響が全くないとは言い難いとは思いますが、経済再生担当大臣だけで経済が動いているわけではありませんので、それは極小化されるのではなかろうかと思っております。

埼玉

甘利さんというと、知事と新自由クラブの結党のメンバーでもあったかと思うんですけど、さきほど潔かったという話もあったかと思うんですけど、知事としては一連の報道があったときに、かつて知る人物だと思うんですが、お辞めになるなという感じはしてたんでしょうか。

知事

辞める以外ないかなと思っておりました。国会審議に影響を与えるんで、多分今国会は株価の大変動などもあり、いろんな意味でスピーディーに審議なんかがされていかないと政治的なダメージによって経済もダメージになる可能性があるんで、そういう意味では選択の幅が狭かったのかなと。これがもし、あまり経済の変調がなく、株価も上昇気味、何の問題もない状況ならともかく、いろんな意味で日本経済が踊り場という状況の中で、ご自身のせいで、踊り場から上に上がる分にはいいんですけれど、下に下がるようなことになっては、政治家としては不名誉な話になるんで、多分選択肢は辞める以外なかったのではないか、と私は思っておりました。

その他
LGBT成人式の後援申請について

朝日

今週LGBTのさいたま市である成人式で、県のほうで後援の申請を受け付けなかったというふうに聞いているんですけれど、理由としては、申請段階の活動実績が認められないからという説明だと思うんですが、ただ、LGBT成人式という内容に懸念があったのではないかというふうに思われているかもしれないですけど、この件に関して、LGBT成人式に関する受け止めと改めて後援しないことの理由についてお考えと、それと来年以降後援の可能性があるのか知事のお考えを。

知事

性的マイノリティに対する偏見ですとかそういうのが世の中に無いわけではありません。しかしできるだけそういうのを私たちは払拭していかなければいけないという務めがあると思います。これは障害者に関してもそうであります。かつては色が違うだけで参政権が無い時代もあったわけであります。あの自由の国アメリカといえども、本当に黒人の参政権を得られたのがなんと1960年代ですから、恐ろしいほど遅いんです。その位、人間の偏見というのはあったりしますので、そういう意味で公の場においては、そうした偏見というのはより取り除く必要があると思っております。そういう認識を持っています。

2点目、後援をしなかったというのか、できなかったというのでしょうか、この点は頭固いですからね、もうちょっと頭をやわらかくすればいいんでしょう。例えば、確かに代表者の人たちはみんな東京都の人だ、埼玉県ではない。で、活動実績もゼロだ。そうすると、過去の慣例的には、「ちょっとゴメンね。もう少し実績を見させていただきますね。」というのがまさに模範解答なんですね。模範解答をやったんです。ただし、今申し上げたように性的マイノリティという立場の方々をある意味では励ます、非常に考えようによっては立派な活動となるわけですから、そういう部分の実態をよく見て、主催者と何度も会ってみるとか、話を聞くとか、そういう柔軟な(対応の)必要性があったんじゃないかなと思います。ただ、固いのが役所の特色でありますからね、あまり柔らかいと、それこそ補償金を出してしまったりするかもしれませんからね、必要以上に。だからある意味では、固いのはやむを得ないと思っています。だからもうちょっと事務レベルだけではなくて、高いレベルまで話が行けば、場合によっては実績がないことよりも全体のことを考慮してOKということもあったのかもしれません。ただ、何件も何件もそういうのがありますから、では間違っていたとはなかなか言い難い。比較的まっとうにやった。しかし、もっと大きな判断もあったのかなというのが私の考えです。

朝日

さいたま市は今回、後援しているかと思うんですけど、来年も主催者は開催したいということらしいのですが、来年も申請があれば後援する可能性があるということでしょうか。

知事

1年やられれば、もう1つの実績ですので、一種の評価になるんではないでしょうか。

教科書発行者による不適切な宣伝行為について

埼玉

教科書の関係で伺いたいのですが、教科書会社が検定中に教員に教科書を見せて謝礼を支払っていた問題で、167人の教員の方が関与していたことが分かっていますが、検定中の教科書を外部に見せることは文科省で禁じられていますし、会社が金品を渡すというのは業界の中ではルールとして禁止されているということなんですが、そういうことが起きた実態について知事の所見をお聞かせください。

知事

まずは教科書(発行者)側の課題がありますね。やってはならないことをやっている。で、それに全く対応しない人が当たり前なんですけど、対応した人もいる。これは対応した人達の常識が疑われるという話だというふうに思っております。人付き合いがいいのもほどほど、という話になります。最終的には教育委員会で、何らかのかたちでの措置があるんでしょうけども、私の立場で物を言えば、仕掛けたほうが一番悪い。しかし、仕掛けられて貰わなかった人たちもたくさんいるわけですから、貰った人たちはいかがなものかということがやはり問われる。不謹慎だなというふうに私は思っております。

「まち・ひと・しごと創生総合戦略特別委員会」における閉会中審査について

埼玉

12月定例会で「まち・ひと・しごと創生総合戦略」案が継続審査になって、その後閉会中まだ開かれていないんですけど、執行部を代表して知事はいつ開かれてもいい準備をなされているのか、それともう一つ、12月定例会の閉会後のぶら下がりで、対案をという考えを述べられたかと思うんですけど、それについてもう一度確認したいと思うんですけど。

知事

そうですね。ベストとは思いませんがよりベターを、私たちは常に案として提案しているつもりです。気持ちベストに近いベター、あまりベストというと横着になりますので、そこまでは言い難いですが、ベストに近いベターを出しているつもりですので、それ以上の物を求めたいということでありますから、閉会中審査を通じてですね、それ以上の物をアイデアとして出していただければ、私たちはそれをしっかりと受け止めて、よりベター、よりベストに向かってやっていきたいというふうに思っております。現在のところいつやるか申し出はありませんが時間も迫っていますので、そう遠くない時期に何らかのアクションがあるのではないかと思います。

(終)

平成28年1月19日(火曜日)

“マグネシウム蓄電池”の実用化に目途
狭山市における3歳女児の死亡事案について
先端産業創造プロジェクトの成果について
埼玉県厚生農業協同組合連合会における病院事業の譲渡について
斎藤雅樹投手の野球殿堂入りについて
平成28年1月17日からの降雪による農林業への被害状況について
知事発表
“マグネシウム蓄電池”の実用化に目途

“マグネシウム蓄電池”の実用化に目途についてのパネル(PDF:1,415KB)

知事

こんにちは。今日は埼玉県産業技術総合センター、SAITEC(サイテック)が開発に成功しましたマグネシウム蓄電池についてのご報告をさせていただきます。現在、「先端産業創造プロジェクト」をやっているところでございますが、それ以前からの研究開発ですが、その延長線上で新エネルギー分野の一環として研究開発を推進しました。県内企業と連携して(マグネシウム蓄電池の)開発に成功した訳でありますが、小型民生用の様々な機器に活用される大きな可能性が出てまいりました。

その内容であります。これまでの小型蓄電池の主流はいわゆるリチウムイオン電池であります。携帯(電話)であり、あるいはまた時計であり、小さな蓄電池でたくさんの機能を果たしたわけでありますが、しかしリチウムイオン電池には若干の課題があります。電池容量の拡大に限界があること。水などに触れた時に発火の危険性があったりして、その安全性にも課題があります。よく飛行機などでリチウムイオン電池が何かの接触があった時にそういう可能性が高いことで非常に心配されることなどがそういうものであります。それから、原料のリチウムはレアメタルで高価であること。原産地が限られた地域にあったりして、いわゆる国際紛争などの時にそうしたものの調達が困難になったり、必要以上に高くなったりする場合がある。

そこで、これまで開発されてきたマグネシウム蓄電池にもやはり課題がありました。例えば低温で使うには安全面に課題、比較的高い温度で使われておりました。それから、充電の繰り返しによって劣化する。例えば60℃の温度でマグネシウム蓄電池が使われるとすると、腕時計には絶対使えないということになります。そういうものが今回は解消されまして、リチウムイオン電池の2倍を超える大容量が可能だ。ということは同じ量で言えば、仮に携帯(電話)で1日電池がリチウムイオン(電池)だったらもつということであれば、マグネシウム蓄電池であれば2日もつ。場合によっては容量が2倍になるわけですから、機器そのものを小さくすることができるということになります。それから発火の危険性がほとんどないということで、安全面でも非常にレベルが高くなっております。原料のマグネシウムそのものは安価で豊富であります。リチウムの25分の1の程度の価格で済む。極端なことを言えば海水からも取れる。無尽蔵に日本の場合はある。それから先ほども申し上げましたように、室温での使用でも安全性は確保できております。つまり、温度が低い状態で使えるようになった。そして充電を繰り返しても劣化が少ないというこれまでのマグネシウム蓄電池の課題を突破したということでございます。

そこで、この開発の経緯でございますが、平成20年度から平成23年度まではマグネシウム蓄電池の正極材量を開発する第一段階。これはNEDOの委託事業で特許の取得がもう済んでおります。この正極の部分であります。それから平成23年度からマグネシウム蓄電池の実用化に向けた開発を開始して、県内企業と連携して開発を進めてきました。加えて26年度からの「先端産業創造プロジェクト」に位置付けて、開発を加速させました。そしてこの27年度に入りまして、マグネシウム蓄電池の開発が事実上できまして、小型民生用の実用化に目途がついて、現在新たな特許出願中でございます。出願の届出は済んでおります。

この開発の内容ですけれども、(パネル(3)の開発内容の図を指しながら)基本的にはこの正極と負極、そしてマグネシウムとこのセパレーターになっておりましてこちらに電解液があって、この2つが重なることで電池の性能を出す。現在のところは大体10センチ四方で厚さ3センチ弱の物ができておりますので、これをどんどんどんどん圧縮していくことが可能でございますから、小さく小さくしていけば、いわゆる携帯(電話)、あるいはまた様々なパソコン、スマートフォン、タブレット等々。それからまた、ウェアラブルの機器などにも例えば温度が高ければメガネの横という訳にはいかないし、あるいはベルトとか、あるいはスーツとかそういったことも難しいわけですが(室温で使えるマグネシウム蓄電池なら)そういったことも可能です。これがリチウムイオン(電池)であれば水に弱いですから雨に濡れたり、あるいは湿度の高いところでは困難なところが出てくるということですが、非常にそういう点での汎用性が高くなってくる。で、SAITECが中心になりまして電池メーカー、あるいは県内企業と共同開発をしながら今後マグネシウム蓄電池の製品化につなげて、商品を開発していこうということを考えているところでございます。安全、小型、軽量で大容量が使えるということで場合によっては画期的な発明になる。また、画期的な製品化の動きを加速させるということになってくる可能性が高いのではないかと思っているところでございます。

なお、この後SAITECのセンター長の方から詳しくこの中身については後で質問を受けたいと思っております。私は技術的な事ではなくて、全体的な事についてのご質問を受けたいと思います。以上です。

共同

幹事社から質問をさせていただきます。このような研究成果が得られたことについての感想とか期待をよろしくお願いします。

知事

そうですね。当然、ここにも出ておりますようにSAITECが中心にはなっておりますが、県内企業の力と電池メーカーなどのアイディア、あるいはこれまでの蓄積などもやはりアドバイスをいただいたりしておりましたので、結果的にはこういうかたちになってきた。今やっています「先端産業創造プロジェクト」の中でも研究サロンを作っていろいろな意見を吸収しているところです。ナノカーボンにしてもロボットにしてもあるいはまた医療イノベーションにしても、研究開発のための一段階前の研究サロンでいろいろな人たちに集まっていただいて、いざという時にそういうネットワークを組んでいろいろなかたちで側面から上から下から横から斜めから見ていただくという。そういう作業ができるようになっているのがここまで来れた原因の一つだと思っております。

これからもやり方は同じですのでSAITECではとりあえずこの新エネルギーを中心としたマグネシウム蓄電池の開発に成功したところですが、それぞれナノカーボン、あるいは医療イノベーション、ロボットの方でも、どこが主体になるかは別にしても埼玉県が関わっている範囲内で大きく成功に結び付けていきたいと思っています。

日刊工

一点、今回の開発に関しましての総額の投資額だとか費用がありましたら教えてください。

知事

申し訳ありません。ちょっと私の方で把握してはいないので後ほどセンター長の方から。

日刊工

もう一点すいません。県としてはこの成果をどう今後サポートして、共同研究、製品化に向けて具体的な取組などありましたらお願いします。

知事

当然、共同開発していただいた県内企業と相談をしながら、どことどういうかたちで組んでいくか。そういうことをきちっと詰めながら、より商品化、製品化の方に向けてかたちを作っていきたいと思っています。

朝日

まず製品化はいつぐらいを目途にされるご予定なのでしょうか。

知事

今の段階ではメーカーの都合でメーカーの名前を申し上げる訳にはいかない段階ではありますが、このメーカーとの調整をして、そのレベルで時間的なものは出てきますが、これはやはり早ければ早いほどいいということですので、その調整次第ということになります。

朝日

目安としては来年度中とかもあり得るのでしょうか。

知事

そうですね。その辺も含めてセンター長に聞いていただければと思います。

朝日

マグネシウム電池を京大のグループとかでも開発されたという発表が2年ぐらい前にあったみたいなのですが、どういう点が今まで無かったというか、新しい部分なんですか。

知事

さて。そこになってくると京大がどの程度なのかというのを私知りませんので、それも含めてごめんなさいね。センター長に聞いていただければと思います。

幹事社質問
狭山市における3歳女児の死亡事案について

共同

狭山市で火傷を負った3歳の女児が死亡した事件で、その後母親と同居の男がLINE(ライン)で虐待の方法を検討していたことや、押し入れにロープ用の金具が取り付けられていたこと、女児の栄養状態が悪かったなどということが、次々と明らかになりました。この事件に関して県として新たに把握した情報があれば教えてください。また、先日の会見で、検証して防止策に活かしたいとのお話がありましたが、具体的に検証の話がどの程度進んでいるのかも合わせてお願いいたします。

知事

大変痛ましい事件で、「知事への提言」でも大阪の方からもお手紙をいただきました、こんなに痛ましい話はないということでですね、本当に信じられない世界だというふうに思います。一般的に女性には母性があると言われていますし、人間には幼児を何となく愛おしむ本能があるとも言われていますが、そういうものとかけ離れた現象が起きているというようなところが昨今見られることに大変、人間の感性がどうなっているのだろうという、そういう思いを持ったりもします。

それはさておき、本件の事件に関して言えば、警察で捜査中ということで現在のところは報道以上の情報は上がって来ていません。一番、私が今の時点で気になっているというのは、例えば、この家庭においては2年くらい前に乳幼児(後に追加)健診をしていなかったという事実があったこと。そして、警察は警察の判断で通報があって立入りをなされて、その時点での判断は虐待事件ではないと判断をされた。しかし、通報があったというのは一つのシグナルであった。しかし、虐待の案件とまで見る中身は無かった。こういう時に、もし通報があったということが何らかのかたちで関係機関に伝わって、念のために関係機関で「母子(後に「乳幼児」に修正)健診なんかちゃんとやっているかしら」と見る。そうすると母子(後に「乳幼児」に修正)健診をやっていない。ある意味ではいい加減な育児をやっている。そうするとリスク1、リスク2、リスクの例が2つ出てきた。通報だってやっぱりリスクの一つだ。乳幼児(後に追加)健診も一つのリスクだ。2つ出てきたら「これは一回ちょっと丁寧に見る必要があるね」とか、結局それぞれの機関に壁があるので、まあ連絡協議会などが、いわゆる要保護児童対策地域協議会などがあって、そういうことができるようにはしているのですが、それはまさに全部が集まらなければ、またそれができないかたちになっていますから。シグナルが2つくらい出れば、1個だけではともかく、シグナルが2つ出れば、もうそれは少しでも交差しているということで何らかのかたちで踏込みを強くするという。そういうことが可能かなということを、私は検証が必要だということを先週申し上げた時に、今の時点で自分なりの感じ方をしているところです。まだこれはどこの機関にも話したことではありません、この記者会見場で初めてお話をすることです。したがって、今後検証を丁寧にしなくてはいけない話ではありますが、検証の材料の一つとして、今後シグナルが2つ重なったら「これは何かあるぞ」。一つだけだと確かに重大案件にならない可能性がありますので、それぞれが違うところでたいしたシグナルが出ていない。しかし、二つも三つも出てくると小さなシグナルでも、それは大きな可能性があるというふうに見るようにするという。そういうやり方もあるのではないかということを、私は今考えたところでありますので、私の考え方もお伝えしたいと思いますし、検証の段階で当然、検証するたびに一つ一つ私たちは知恵を深めて防止策を高めていることは間違いないと思っています。よりレベルの高い防止策を作ることで、こうした悲惨な非常に痛ましい事件を極力、絶対に起こさない、そういうことに繋げていきたいと思っています、話の回答にはなっていませんけれど。

先端産業創造プロジェクトの成果について

日経

冒頭の発表に関連してちょっと先端産業創造プロジェクト全体についてちょっとお伺いしたいのですが。今年でプロジェクト3年目に入って、ようやくというか一つ研究の成果が出てきたわけですけれども、これは知事としましては、当初始めた頃に想定していたより「思ったより早く結果が出た」というご認識なのか「結構時間がかかったな」と思われているのか、進捗状況の評価、ご自身としてはいかがでしょうか。

知事

これもですね、私自身が技術的な判断を持つだけの知見を持っていませんので、早い遅いというのは言い難いところですが、ただ一般的には最低でも5、6年かかるというのがこの手の世界だというふうに聞いています。たまたまこれは若干助走期間も、まだ先端産業創造プロジェクトの前からありましたので、まあそれでもやっぱり5、6年掛かっているということですので基本的には。ただ「芽」と言うんでしょうか、「これは行けそうだ」というのは「10あったら3つくらいは行けそうだ」とか、その3つの中から最終的には1つになるかもしれませんし、3つともダメになるのかもしれませんが、そういうのは3年目くらいでそこそこ見えてくるというふうなお話は聞いています。場合場合によるのかなと思いますので、比較的先行事例の多いロボットなんかの汎用、例えば医療器具に使うものだとか、こういうのは比較的早いはずだというふうに思っています。本来的にはナノカーボンなどは、本当に全ての材料の中身を変えるくらいに大きな革命的な話なんですよね。ずっと早くから注目されているわけです。鉄よりも固く、柔軟でなおかつ錆びない、腐らない。場合によっては自然に戻すこともできるという、夢の素材な訳ですよね。現実に今、それが使われ始めてきた。これは大量に使われる可能性が高いのですが、意外にスピードは遅いですよね。これはやはり価格との関係なんかもありますので、一旦利用されるとあっと言う間に広がる部分があると思いますが、いわゆる今の薄型テレビも200万円の時には全く広まらなくて、60万円になってぼちぼち動き始めて、30万円になった途端にうわっと広がって、とうとうもう10万円以下の世界になってしまった。そういう価格との関係なんかも出てくるのでないかと思います。単に素晴らしいだけではなく、そことの関係もあるので、そことの競争だと思います。ただ医療(用)ロボットとかそういうのは自分の命に関わったり、自分の体の代替機能も果たすのでお金に余裕のある人はどんなに高くても調達する。命には代えられない。薬剤なんかと同じですよね、あるいは手術なんかと同じですよね。だから、価格競争とは関係なくそういうものはどんどん出て行くと思いますが、まさに一般に使われるような商品になるものは価格との関係もありますので、そことの競争で少し時間がかかる部分があると思います。汎用、実用化は早くできても、製品としてずっと広がるにはちょっと時間がかかったりするところがあると思いますので、ケースバイケースで今のところはあまりそんなにどれがこれとは言いません。ただ、一般的に言えば先ほど申し上げたような医療(用)ロボットだとか命に関わるような話、自分の体を補強するような話というのは比較的値段が高くても広まりやすい。こんなふうに思っております。

埼玉県厚生農業協同組合連合会における病院事業の譲渡について

埼玉

先日、JAの埼玉県の厚生連が公的要素の強い熊谷、久喜両総合病院を売却するという発表があったのですけれども、これまでも二次指定の救急病院だったり、患者の、受入れ困難な方を積極的に受け入れてくれているという病院でもありますけれど、患者さんの声を聞くと不安な声もあるようでして、その耐震性の問題とかですね。県としてこの売却、あるいはその先を見据えて、どのような関与、関わっていきたいというお考えがありましたらお願いします。

知事

基本的には譲渡元があり譲渡先があるという、この関係の中では県は立ち入りできませんが、医療全体に関しての、例えば救急告示病院の指定をするとか二次救急の指定をしていくとか、そういうことそのものも病院としての一つのプライドと言うのでしょうか、格と言うのでしょうか、価値というものを高めていくことにもなりますので、そういう意味での県の関わりというのは非常に重要になっていきますし、これまでの厚生連の久喜総合病院、熊谷総合病院、いずれも譲渡先の病院グループがこれまでと同じ扱いをしていく。それから、基本的には医師も看護師もそのまま雇用関係は継続するということを発表されておりますので、今の時点では約束どおり、そのことをなされるかどうかを県としては見守りたい。そして、可能なだけご相談事には応じて、これまでどおりにやっていただきたいし、場合によっては全国展開している病院ですので、それ以上のことが可能になるかもしれませんので、場合によってはそれ以上のことをお願いできれば、まさに「災い転じて福と為す」というか、「災い」と言うと大変失礼な話ですが、経営がなかなか困難であった状態から、比較的大きな病院グループですので、いろんな意味でのやりくりが可能になりますので、非常に経営が安定してくると、そういう経営が安定した中でより高度な医療や受入れをやっていただく。そういう枠組みを広げていただければありがたいと思っております。またそんなふうになるのを期待していますので、県としていろんなご相談があれば最大限に協力したいと思っています。

斎藤雅樹投手の野球殿堂入りについて

埼玉

野球殿堂についてなのですけれども、川口市出身の斎藤雅樹さんが昨日(野球)殿堂入りをされましたけれども、知事のご感想を言っていただいてもよろしいでしょうか。

知事

斎藤元選手は埼玉県にも関わりが結構深かった方ですよね。そういう意味では、「何でも埼玉」っていう感じでありがたいことだと思います。大変ある時期は力のある選手として活躍もされておられましたので、そういう点では改めてきちっと発表されてそういうことが表に出てくると「ああ、あの人だ」というかたちでですね、野球ファンの埼玉県民の皆さんは喜んでいただいているんじゃないかなというふうに思います。大変うれしいなと思います。

テレ玉

今後、県として何か表彰するとか何か関わっていくみたいなことはあるのですか。

知事

そうですね。まだそこまで考えてはいませんでしたが。また事務方からのお話もあるかもしれません。どういうパターンで今まで対応していたか。多分初めてかな。(野球)殿堂は。(野球)殿堂は初めての例ですので、ちょっとよく調べてから返事してみたいと思います。

平成28年1月17日からの降雪による農林業への被害状況について

埼玉

雪の関係で伺いたいのですが、昨日県内各地で積雪があり、秩父や小鹿野など29市町で62棟の農業用ハウスに被害が出ましたが、農作物の詳しい被害状況と今後の支援について何かお考えがあればお聞かせ下さい。

知事

はい。まだ全部が全部掌握している訳ではありませんが、結構パイプハウスの損傷が明らかになっております。金額もまだ明らかになっておりませんが、現時点で(埼玉県)農業災害対策特別措置条例に基づく特別災害の指定が適用できるのかどうかを(調査するよう)指示しております。で、調査をした上でこれが適用できるというかたちになれば指定をして、できるだけまた農業に対する意欲を強く持っていただくための様々な手助けをしたいというふうに思っています。

(終)

平成28年1月12日(火曜日)

埼玉教育の振興に関する大綱
無料低額宿泊所等への対応について
狭山市における3歳女児の死亡事案について
虐待防止条例について
県と梶田隆章氏が共同で行うことについて
障害者スポーツの環境改善等に向けての取組について
埼玉教育の振興に関する大綱(2)
国会議員の育休について
知事発表
埼玉教育の振興に関する大綱

埼玉教育の振興に関する大綱についてのパネル(PDF:1,113KB)

知事

こんにちは。本日は埼玉教育の振興に関する大綱について発表させていただきます。実は昨年「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が改正されまして、これまでは教育委員会の責任において全ての教育行政がなされておりましたところ、「地方公共団体の長は、教育基本法第17条第1項に規定する基本的な方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱を定めるものとする」という形で地方公共団体の長、つまり、知事や市町村長が全体の考え方というものを教育委員会の皆さんと相談しながら定めろと、首長のリーダーシップのもとに大綱を定めなさいと、そういう法律ができあがりました。もとよりこの大綱を定めて、実際実施する機関については教育委員会であるわけですが、念のために、この第1項の規定について、「地方公共団体の長に対し、第21条に規定する事務を管理し、又は執行する権限を与えるものと解釈してはならない」というかたちで、まさに事務を管理したり、執行する権限を持っているものではない、首長に関して言えば大綱を定める、それが任務であって、それを実務でやっていくのは別の機関である、つまり教育委員会であるということをこの法律で明確にされています。そこで私並びに教育委員の皆さんと有識者を交えて5度にわたって、議論をしながら定めたものが大綱であります。

(パネル(1)を指しながら)大綱のポイントは埼玉県のすべての子供たちへのメッセージにしたことでございます。基本的には教育は誰かのためにあるわけではなく、子供たちのためにあるということが1番であるということを私たち自身が認識していることであります。

そして教育においても「不易流行」、これは松尾芭蕉の言葉でありますが、いつの世においても変わらない大事なものはしっかり守る、しかし、社会の変化や時代の要請に合わせることが極めて重要だ、こういうことを考え方の基礎に置いています。

そして何よりもすべての子供たちは、埼玉県にとって大切な「宝」であり、かけがえのない「財産」である。従って、ただ材料の「材」ではなくて、まさに「宝」だという意味で「人財」ということにいたしました。

(パネル(2)を指しながら)このポイントに沿って子供たちへのメッセージはまさに「子供たちには様々な能力と可能性がある。そして、大人の使命というのは、能力と可能性を十分に開花させること、障害がある或いは家庭の貧困があるなどいろんな困難を抱えていてもそういう人たちには手を差し伸べて、どんなに失敗しても何度でもやり直すチャンスがあること、そのチャンスを与えること、こうした環境を整えるのが、私たち大人の使命である」ということを明確にいたしました。まさに「人財」ということは大人の使命として能力と可能性を高めていく、そのことを明らかにしました。

(パネル(3)を指しながら)そして、この育成すべき「人財」の中身は何だというと、自らの力で人生を切り拓いてほしい、自分の人生に満足できるようになってほしい。「ならぬことはならぬ」、要は、「いじめは理屈を超えてダメなんだ」そういう人としての基本を身に付けていただきたい。そして異なる多様な価値観を受け入れることができる広い視野と寛容な心を持っていただきたい。いろいろな考え方があるけれど「なるほど、そういう考え方もあるんだ」ということについていろいろな価値を広げていただきたいと思います。そして私たちが忘れてはいけないのは、やはり自分たちだけで存在しているのではなくて、多くの人たちに育てられ支えられ、そして、ずっと以前から後世の人(のため)に努力をしてくれた人たちのためにも、「世のため、人のため、後のため」、この「後のため」というのは本県の偉人であります塙保己一翁がよく使われた言葉であります。この「世のため、人のため、後のため」という公の心を持って、地域や埼玉そして日本の将来を考えることができる人になっていただきたい。故郷や我が国の歴史、文化を誇りに思って、同時に世界から尊敬されるような多様な価値観を持っていただきたい。こういうことを育成すべき「人財」の項目にさせていただいたところでございます。

既にご案内のように皆さんのお手元には全体の文書が渡っているかと思いますが、文部科学省が作成するような膨大な量の中身ではありません。極めてコンパクトであります。その気になればどんな人でもさらりと読むことが可能であります。そして言っていることもシンプルにまとめました。いろんなことを言って何がなんだかわからないということではなくて、明確にこの大綱では一番大事なことだけを正確にお示しをさせていただいたところでございます。以上でございます。

共同

大綱を策定されたことで、これまでに無かった実務的な取組とか、既に具体的にこういうことをしたいということは何か決まっていることはあるんでしょうか。

知事

基本的にはこれまでやってきたことの延長線上にこの大綱もあるわけであります。それを確認をしたと言ったほうが正確なのかなと思っております。特段、埼玉県の教育方針が変わったということではございません。ただ、念のために有識者の意見も踏まえて、教育委員の皆さんと私と何度も議論しながら、確認をとりながら、「こんな形でとりまとめてよろしいですね」ということで確認をさせていただいたものでございますので、特に絶対的に変わったというふうに思っておりません。強いて言えば私たちは子供のためにという視点、教育委員会としてこういうやり方のほうがやりやすいとか、あるいは知事部局としてこんなふうにやった方がやりやすいとか、そういう観点からは極力ならないように、子供のためにどうなのかということを常に意識して考えましょう、ということを特にメインにやってきました。従って、こうした形でわざわざ大綱のポイントを3点挙げたり、我々の基本的な使命というものはまさに能力と可能性を開花させることですということで、私たちの使命は皆さんのために努力をすることが私たちの使命でありますということを明確に、大人の使命とさせていただきました。できればちょっと贅沢かもしれません、大人として子供たちに頼むことに関して。でも難しい話ではありません。「いじめられるのは嫌でしょ、嫌なことは人にしてはいけないよ」ということでございます。で、「やっぱり自分で拓く以外方法がありませんよ、誰かがしてくれるわけではありませんよ」。そして、「自分の考え方を受け入れてほしいと思う時には人の考え方も受け入れてほしいね、そういう寛容な心を持ちましょうね」。そして、「自分のことをやっているんだけど、結果的にはそれが『世のため、人のため、後のため』になるようなことを意識されたらどうでしょうか」ということを言っています。そういうことをしていると自ずから日本並びに日本人そのものが世界から尊敬され、それぞれの個々の皆さんたちも自分たちが国や郷土を誇りに持つことができます。こういうストーリーに最終的になってくるということで、個々に至っては例えばこういうものをもつにはどういうふうにしたらいいのかということでいけば、例えば埼玉県のグローバル人材育成基金を活かして海外に雄飛しましょう。ただ雄飛するだけではなくて、戻ってきたら県内の海外拠点のある企業などで、インターンシップをやってさらに磨きをかけましょうとか、そういうことを受け入れることで多様な価値観を受け入れたり、広い視野とか寛容な心ができるでしょうとか、あと応用編がいろんなところに制度として出てくると、そして自分たちの人生を切り拓くために日本でトップレベルの奨学金或いは貸付金を用意していますよとかそういうことを、まさに条件づくりを県としてやっていく、こういうことになると思っております。

幹事社質問
無料低額宿泊所等への対応について

共同

無料低額宿泊所の入居者が、生活保護費を搾取される貧困ビジネスへの対策として、さいたま市が昨年12月、岩槻区にある無届施設について新たな利用者を制限する行政処分を行いました。県内では3,500人以上が同様の施設に入所しているとされており、行政への届出を済ませている施設でも悪質な例があるようです。根本的な解決に導くためには、県としてどのように対応していくべきか、お考えをお聞かせください。

知事

はい。無料低額宿泊所という概念そのものが福祉の概念からスタートしていて、時と場合によっては無料で受け入れたり、あるいは低額で受け入れて、困難な状況にある人たちを一時的にそこで受けとめて、そして再就職していただいたり社会復帰していただくという。そういう社会福祉の概念からこの無料低額宿泊所というのができているのですが、これを悪用して有料高額宿泊所に変えている人たちもいるということであります。それが問題だということであります。なぜそういう実態が起こってくるかということに関して申し上げれば、基本的にはやはり届出制に課題があるのかなというふうに思っております。実態があるということを届出すればいい。そして県や政令市、あるいは中核市が年に一回、査察というのでしょうか立入をして実際、ガイドラインに沿ったかたちでやっているかやっていないかをチェックをするという。少なくとも、問題があってもそれ以前は問題があったことについて事実上、手をつけられなかったということになりますので、届出制ではなくて許認可制にすれば自ずからどんな団体がどんな代表者がどんな設備で運営するのかということがチェックできますので。そうすると多少は情報がありますので、札付きの人がいれば丁寧に、(後に削除)条件をきつくしていきながら対応を丁寧にしていけば、例えば事実上開かせることができなくさせるようなことをしていくとか、あるいはまた開所するにしても丁寧な条件を付けることによって暴利をむさぼるとか、本来の趣旨を履き違えるというようなことができなくなる。従って、この部分に関してはやはり規制の強化ということでは国の法律を変える。届出制から許認可制に変えるということをきちっと関係の皆様方に、県も政令市や中核市の実態等をしっかり協議して意見を踏まえた上で、この点について最終的にはそこに持っていかなくてはいけないのではないかなと思っております。プロセスの中ではやはり住宅ソーシャルワーカーであるとか、あるいはまた生活実態の把握ができるようなかたちで入所者の支援をして就労させる。あるいは新しくきちっとしたアパートに入っていただく。こういうことを丁寧にやっていかなければいけないと思っています。

ただ、まあ残念ながらそういうことが3,500人中どのくらいできているのかということになってくると、まさしく6分の1ぐらいの方々しか支援、あるいは救済ができていないということですので、6分の5の人たちが全て困難な状況にあるとは思いませんけれども、まだまだ決定打には至っていないと思っております。今の時点で可能なことを現場の皆さんたちが非常に頑張っていただいていますので、できるだけ、県とすれば情報のアンテナを高くして、どの施設が非常にそういう際どいことをやっているのかどうかとか、そういったことを掌握して、是正勧告したり、あるいはまた時と場合によっては、法律や条令違反というかたちで摘発をしていくというかたちで当面は進めていくしかないかなと思っておるところでございます。

その他
狭山市における3歳女児の死亡事案について

NHK

狭山市で起きた3歳の女の子の遺体が見つかったという事件のことについてちょっとお伺いしたいのですけれども、近隣の住民から通報を受けて、警察が何度か自宅に伺っているということなのですが、その情報が児童相談所の方には共有はされていないということが、今のところ分かっているのですが、この事件について県で把握されていることと、本来、こうした状況があった時にはどのように情報共有を図って、事件を防ぐべきだったのかというところを教えていただけますでしょうか。

知事

大変痛ましい事件であります。今の時点では詳しく掌握している訳ではありません。県としてですね。児童相談所には相談が無かった案件であります。実は、近年警察の方からすごい量で通報が児童相談所に入るようになっております。例えば、件数そのものはそんなに変わっていないのですが、年間のですね。(後に削除)平成15年(後に「平成15年度」に修正)当時は警察からの通報は90件だったのですが、昨年(後に「昨年度」に修正)レベルではそれが7,000件の約半数近く。警察からの通告になっているんですね。従って非常に県警と児童相談所との連携は強くなっておりまして、そういう意味での連携状態はそんなに齟齬があるというふうには思っておりません。

ただ、今回に関しては警察の判断の中で私ども児童相談所の方にはまだ連絡が無かったということであります。それについて、今後なぜそうだったのかとかも含めて何らかのかたちで私どもの方にも情報がきちっと入ってくるというふうに思っておりますが、今の時点ではそうした情報の検証ができておりません。やはりこれはどういう状況だったのかということをきちんと聞いて、検証して「念には念を入れろ」という世界なのか、もうなかなか「訪問まで以上の踏み込みはできなかっただろうな」とか、そういうグレーゾーンの部分がどこにあったのかとか、そういうのをしっかり検証して、これからの防止策に活かすべきだというふうに思っております。

できれば何でも通報をすればいいという話もあるかもしれませんが、しかし一方では何と言うのでしょうか非常に丁寧にやって、それで済んだりする事例もありますので、一概に・・・なかなかこう難しいんですね。本当に年がら年中というのは分かりやすいんですね。ところが、時折の中の一発だけで死亡事故になってしまうという、こういうのはなかなかこう防ぎづらい。小さなことを何回もやっていれば、そういう繰り返しであると近所からの通報、警察からの調査、そして児童相談所の立入りというプロセスを経て、完全に救助ができるのですが、そうでない場合、なかなかこうちょっと難しい部分があるということだけはご理解賜りたいと思っています。いずれにしてもしっかり県警と情報交換をして、検証した結果を踏まえて私たちも対応しなければいけないと思っています。

NHK

これから検証されるということなのですけれども、検証した上で改めてそういう連携強化とか地元の狭山市さんの対応なども含めて、もっと強化するための指導とか何かこう連携体系づくりをもう一度やるというような方向なんでしょうか。

知事

そうですね。検証の内容によっては、ひょっとして何かにロスがあったのかもしれませんし、ロスがあったとすればなぜそういうロスができたのかとか、そういうことをやはり考えなくてはいけないと思います。一般的には協議会が出来上がっていて、そういう案件で未然に防止ができるような体制はできているはずなんです。しかしはずでも、ひょっとしてロスがあったのかもしれませんし、やはりチェックしなければいけないと思います。

虐待防止条例について

朝日

今の関連なのですけれども。ちょうどそれこそ一昨年ごろに国としてもそういう連携を強めるようにというお達しがあったかと思うのですけれども、それを踏まえて県として条例を作ったところもいくつかあると・・・「虐待防止条例」のようなものを作っているところがあったかと思うのですが、埼玉県としても今後そういう条例の制定も考え得るということでしょうか。

知事

そうですね。条例そのもので防止できるわけでは無いわけですね。基本的には、関係の機関が連携して極力ロスの無い仕組みを作って、年がら年中どういうロスが出そうだとか、どういう意思の疎通が上手くできなさそうだとか、そういうことを繰り返し繰り返しやはり作業をしないと完璧なものにはならない、というふうに思っています。条例を作ることで引き締めるとか、そういう効果もあります。そしてまた条例を作ったりすることで一種の宣言にして、それを持って新たにまた取組を強くしていくとかそういう方法もあるかと思っております。従って、今回の事例がどんな事例だったのか、よく検証して時と場合によってはそういうことも必要かもしれません。そうでなければ、またよく検討して「条例先にありき」というよりも「条例をどう活用するか」というところに課題を持っていけばいいんじゃないかというふうに思います。

県と梶田隆章氏が共同で行うことについて

埼玉

先ほどノーベル物理学賞を受賞された梶田先生の県民栄誉章の贈呈式がありましたけれども、梶田先生はあいさつの中で「埼玉県のためにより尽くしていきたい」というお話もされていましたけれども、今後例えば県と梶田さんで何か一緒にやっていくというようなことというのはあるんでしょうか。

知事

ありがたいですね。科学するという心とか、大変重要な問題でありますので、子ども大学かわごえからスタートして県内にもう10校(後に「50校」に修正)ぐらい子ども大学というのが出来上がっています。中学校とか小学校では「こうなっている」ということを教えてくれるんですね。飛行機は飛ぶ。しかし、「なぜ飛ぶか」というのを教えてくれないんです。また知らないんです。担任の先生があるいは理科の先生が。それを子ども大学の専門の先生が子供たちに易しく、「なぜ飛行機が飛ぶか」というまさに「はてな学」を教えていただいている。

それと同じように梶田先生が「考えてみるとお世話になったけれども、自分は埼玉県のために何をしたんだと考えていくと何もしていない、恩返しをしなくちゃいけないね」というようなお話がございましたので、まさにノーベル物理学賞という、まさに金字塔を作りあげられました梶田教授にまさにこういう子供の「はてな学」というんでしょうか、「宇宙はどう動いているんだ」とか、「宇宙を構成している物質はどうなっているんだ」とか、そういうことなどを中学生や小学生の高学年に分かり易くご講演していただくようなことを、例えば今年の埼玉県民の日に広く希望者を募って(講演を)していただくとか、そういう機会を(梶田教授に)甘えてせっかくああいうお話をされましたので、今後は梶田先生のお言葉に甘えて県としてアプローチして、子ども大学の大学院版みたいなことを梶田先生にお願いすれば子供達にとっては大変夢や希望、勇気そして何よりも科学する心を養うことに繋がるんではないかということを、実は私もあの瞬間に思ったんです。「ああ、ありがたいな」なんて思って。「早速予約しなくちゃいけないな」というぐらいのことを思っておりましたので、ぜひ梶田先生にはそういうことをお願いして子供達のまさに科学する心を養ってもらいたいなと思います。ひょっとしてその中から、よくありますよね。小さい頃に優れた方々の話を聞いてその道を選んだという、そういう人がいますので、優れた梶田先生のお話を聞いて、まさに科学者の道を歩むような子供達が出てくればとても良いことじゃないかと思っていますので、ぜひそういう企画を立ててみたいと思います。

障害者スポーツの環境改善等に向けての取組について

テレ玉

2020年の東京オリンピック・パラリンピックについてなんですけれども。特にパラリンピックについて、お隣の東京都の方がパラリンピックの障害者スポーツの環境改善ですとか選手の発掘の方に施策を講じているかと思うんですけれども、また障害者スポーツの選手たちからも、なかなか競技があること自体を知っている人がいなくてパラリンピックなんてとてもという声も聞かれるんですけれども、何か県としてパラリンピックの環境改善もしくは選手の発掘に向けて、何か今後力を入れていく、また取り組むようなお考えというのはありますでしょうか。

知事

毎年9月に障害者による「秋季ふれあいピック」(後に「彩の国ふれあいピック秋季大会」に修正)というかたちで障害者のスポーツ大会を、熊谷ドームを中心に行っているところでありますけれども、そういう試みをしっかりやっておりますので障害者スポーツ協会を通じながら今後パラリンピックに関する選手の育成あるいはまた盛り上がり等々について当然スポーツ局を中心に企画を立てていかなければならないというふうに思っています。まさに今年はリオのオリンピック・パラリンピックがありますので、それに向かって実施のための実際の視察、実際始まったら始まったで現場の視察、そういうものを通じながら、何を成すべきか、何をしなくてはならないかということについて、しっかりと組織委員会とも打合せをしながら取り組んでいく必要があるというふうに思っています。今の時点でこれとこれをやりますということは正式にそこまで積み上がっているものがあると聞いておりませんので、準備をしているものだと思っています。

埼玉教育の振興に関する大綱(2)

埼玉

先ほどの知事発表の件に戻ってしまって申し訳ないんですが、大綱には決まった形式が無くて都道府県ごとに形式が無いのでバラバラだと思うんですけれども、埼玉県の場合はあえて具体的な施策に触れずに子供たちへのメッセージ性を強調した狙いと言うのは改めてどんなところにあるんでしょうか。

知事

最初にちょっと申し上げましたけれども、教育基本法(後に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に修正)の改正で首長のリーダーシップというものが強調されるあまり、首長に何でもやれるのかというイメージがちょっと先行したきらいがあったかと思っています。
一方では、同じ法律の中で実は自制するように、首長が自制するような条文も書いてあるんですね。要は「あまり実務の方に入っちゃいけないよ」というような話をきちっと書いてあるんですね。そういう意味で理念を明らかにさせていただいて、それで個別案件はむしろ教育委員会で理念に沿ってきちっと中身を詰めていただきたい。もちろん詰める過程の中で当然総合教育会議の主催者である私の方に情報も入ってきますから、私は私で意見を申し上げる機会は何度もあると思っていますので、個別案件についても参考意見を述べさせていただきたいと思っています。ただ個別施策をつくる担い手としては教育委員会が実務者になる。こういうことですので、ここではまさしく理念体系を明らかにさせていただいたということになって、個別施策を明らかにしたわけではないということであります。

埼玉

個別施策ではなくて理念を明らかにしたということですが、今回は知事のお考えが前面に出ることができたというふうに考えて良いのでしょうか。

知事

はい。日頃から前面に出して、皆さんとの意見交換はこの総合教育会議以外でもやっておりますので、全面的に受け止めていただいていると思っています。ただ、私以上に皆さんの方が知恵がありますので、私の考え方をはるかに超える意見や知恵をいただいたというふうに思っております。

国会議員の育休について

埼玉

男性の衆議院議員、国会議員の育児休暇のことで知事にお考えを一つお伺いしたいんですけれども、先ほど自民党の衆議院議員同士でご結婚されて、子供さんが生まれるということで男性の方が育児休暇の制度改正も含めて取得したいという党内で議論になっているようですけれども、これに関して知事のお考えをお伺いできますでしょうか。

知事

なかなか難しいんですが、極めて個人的な感想を申し上げれば一般的に言うと国会議員になるような人は極めて短い時間に多くのことを成して、人の5倍も10倍も働くような人たちです。そういう人たちでないとなかなか職務を全うできないと思っています。したがって、いろんな意味で最大限に時間を上手く活用して制度云々という前に国会活動も頑張る、育児も頑張る。実際キャリアウーマンの方々はお仕事も頑張り、子育ても頑張っておられるわけでありまして、それと同じような考え方に立っていただければありがたいというふうに思っております。まだ生まれておりませんので、生まれてやっぱり困難だということをご本人が自覚されたときに初めて育児休暇の制度だとかそういったものを国会内にきちっと打ち立てるべく努力をなされて良いんじゃないかと思っています。まだ生まれて育児もしてない時から育児休暇が必要かどうかは、やってみないと分からないじゃないですか。私はもっと女性代議士がたくさん増えてきたら将来まさに院内保育だとかそんなことで必要になる時代がくると思います。そういった時にはきちっとした制度をつくり、まさに病院ではありませんが、衆議院、参議院と「院」がついていますので院内保育ができるじゃないですか。上手い具合に「院」がついていますよ。だから院内保育だって可能になるんじゃないでしょうか。ただ今回に関してはまさに先駆け的にご自身がまずは努力をされて実際に出来るのか出来ないのかやってもらってみれば良いんではないかと思っております。過去にも困難なことをやってこられた女性代議士がおられるわけですから。子育てをしながら国会活動をやってこられた人たちもいますから。いろんな条件が異なってきますので、家族構成とかいろんなものでまた違ってきますから。一概に言えませんが、今の時点ではやはり先駆けとして育児休暇制度を活用されるというよりは、ご自身が実践されて困難だということが分かれば、その時点で育児休暇制度を法律で制度化される努力をされると良いんではないかと思います。ちなみにほとんど規制が無いんです。国会議員は仕事に関して。原則本会議や委員会に出なくてはいけないというのが、一種の義務みたいなもので、何時に来なきゃならないとか、何時に終わらなきゃはならないとかそういう話が全く無いんですから比較的自由なはずです。そういう柔軟な対応を最大限に生かされるチャンスのあるお仕事でもあると思っています。

(終)

平成28年1月6日(水曜日)

北朝鮮による地下核実験について/li>
平成28年 年頭あいさつ
今年1年の抱負と特に力を入れたい県内の課題について
県議会議員との賀詞交歓会について
北朝鮮拉致被害者の救出について
平成29年度公立高校入試における学力検査の改善について/li>
リオデジャネイロオリンピックへの期待について/li>
県北・秩父地域振興施設と県営メモリアルガーデンについて
予算積算の発表方法について
若年層への政治教育について
知事発表
北朝鮮による地下核実験について

知事

改めて、明けましておめでとうございます。

まず、北朝鮮による地下核実験についての非難を申し上げたいと思っております。本日、北朝鮮が4回目の地下核実験を行ったという報道が確認されたところでございます。水素爆弾の地下実験だということが言われているところであります。言うまでもなく、平成25年の3月の国連安全保障理事会決議に違反するものでもございますし、国際社会に対する重大な挑戦だと、このように思いますし、また日本の安全保障にとっても重大な意味を持つものでもございます。

既に、安倍総理が12時50分頃にコメントを出されたと聞いておりますが、また北朝鮮も(日本時間)12時30分に水素爆弾の実験が成功したという発表もしておるところから、基本的にはこうしたことが事実であるというふうに私たちも認識せざるを得ないということを前提に、県民の安心と安全を守るために、早速、大気の状況あるいは浄水場の状況など大気、水に関して県民の不安の無いように、しっかりと監視し、コントロールをして何か異常があれば早急に明らかにし、なおかつ問題解決のための体制をとっていきたいというふうに思っております。

現在のところは、全く異常はございません。これまでの流れからすると、大きく心配することはないと思いますが、念のために県としても大気や浄水場などの監視を強めていくということをとっていきたいと思っております。いずれにしても大変残念な結果であること、そしてまた北朝鮮が国際社会の平和と秩序に限りなく挑戦していることに対して断固、埼玉県民を代表して抗議をしたいというふうに思います。まず何となく新年のあいさつがきつい話からスタートいたしましたが、思わぬ不快な情報が入りましたのでお許しをいただきたいと思います。

平成28年 年頭あいさつ

知事

さて、県民の皆様には大変過ごしやすい正月をお過ごしになったのではないかというふうに思っております。近年になく暖かい正月で、かつ天気が良く過ごしやすい正月だったと思います。本年は、丙(ひのえ)の申年(さるどし)ということで、干支で言えば「物事が明らかになりそして盛んになっていく、栄える」というような意味があるそうですし、猿は「申」という字でもございますので伸びる。従いまして物事が明らかになり、そして繁栄し、そして伸びていくという。こういう年であるというふうに理解をしていいのかなというふうに思っております。

昨年来この丙申(ひのえさる)に近いような状況が埼玉県に起こっております。埼玉県にゆかりの梶田教授のノーベル賞、そしてまた関係の深い大村智教授、日本人2人のノーベル賞が埼玉県の生まれ育ちそして埼玉大学という純粋な埼玉っ子である梶田先生。そしてまた北里大学のメディカルセンターが北本にありますがこの開設にご尽力をいただいた大村智先生。埼玉に関わりの深い方がノーベル賞をとられ、昨年は圏央道の埼玉県内全線が完成。そしてまた北陸新幹線。今年の3月の終わりには北海道新幹線の函館新駅に北海道まで新幹線が延びるというかたちになってまいります。いよいよ埼玉県、そうした意味でのロケーションがますます非常に良くなっていくという状況がございます。

一方、75歳以上の高齢者が10年後には118万人に増加し、医療・介護の爆発的な需要が予測されて困難な状況が起こるのではないか、こういう悲観的な話もございますが、一方では高齢者の元気というものをどれだけ社会の中でしっかりと活かしていくか、活かされていくかということが大きな課題にもなっております。現実問題として、埼玉県では65歳以上の方々の10人のうち8人が元気な方々であるということ。2割の人たちが入院や通院をなさっているという、こういう実態があること。こうした人たちがさらに働きたいと思ったら働ける。あるいは趣味の世界で生きていくとすれば趣味の世界で。ボランティアの世界で頑張るとすればボランティアの中で。それぞれの役割を果たすことができるようになっていく可能性が高いと思いますし、そして医学の進歩も急速であります。すでに昨年はC型肝炎の新薬ができて、毎年3万人からの人たちが死亡されているわけでありますが、これが96パーセント以上の治癒力を持った新薬が開発され、欧米を中心に昨年1兆5千億円からの売上げを上げるという、そうした新しい動きもございますし、日本の薬品メーカーの中には世界に4千万人いるという認知症の患者の中の6割、アルツハイマー型の方々が6割おられると聞いていますが、そうしたアルツハイマー型の認知症を治す新薬の開発なども進んでいるというふうに聞いておりますので、私たちはまた高齢化社会におけるこうした新薬の開発、医学の発達、そしてこれまではどちらかといえば自動車産業をはじめ、機械装置としてのロボットが活かされていたわけでありますが、これからは、場合によっては不自由な身体をカバーする介護用のロボット、医療用のロボット、ウェアラブルの何らかのかたちでの医療器具、こうしたものが将来に渡って高齢者を助けていく可能性も出てまいりました。決して高齢化社会というのは暗い社会ではなくて、前向きに捉えることもできるという意味で、私たちはそれを「シニア革命」と捉えて一つの前向きな社会づくりに活かして行きたいと考えております。

2つ目に私たちはやはり「人財」の確保が大事だというふうに考えております。少子化対策も含め、そして障害者や若い人たち、あるいはまた女性が社会の中で正しく評価され、正しく活かされていく、そういう仕組みをどんどん作っていかなければいけないと思っているところです。

3つ目には、残念ながら日本社会はこのところ国際競争力を失った産業が幾つか出ております。自動車・電気・電子などは御三家と言われ、日本の輸出産業のまさに花形でありましたが、もうすでに電気・電子が大きく遅れをとり、国際競争から取り残されております。しかし、また新しい芽も出ております。ホンダが小型ジェット機を開発しました。三菱重工業が中型ジェット機を作りました。この航空機産業は自動車が2万点ないし3万点の部品からなるのに比べて、100万点からの部品があるということで、その裾野は10倍、場合によっては100倍という。そうした部品の装置産業が生まれるということも考えられるわけです。そういう意味で先端産業をいかに作っていくかというのが私たちの課題でもありますので、もとより国レベルの問題がこれは大きいとは思いますが、私たちには少し肩の荷が重いのですけれども、それでも先端産業創造プロジェクトを2年前から展開し、いよいよ今年辺りからそうした意味の結果を出すことができる準備が出来上がってきましたので、そうした結果を出しながら県民の皆様方にまさに先端産業創造で「稼ぐ力」を作っていこうということを強く申し上げていきたいと思っています。

この「シニア革命」、「人財」の開発、「稼ぐ力」。この3つを何らかのかたちで予算に反映させ、あるいはまた、次年度から新しく始まります(後に「の」に訂正)5か年計画の中にしっかりと打ち込んでいきたいというふうに思っております。引き続き埼玉県、ある意味では日本の縮図であります。埼玉県の成功モデルが日本の成功モデルに繋がっていくような先進的な取組をこれからもしっかりやっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

幹事社質問
今年1年の抱負と特に力を入れたい県内の課題について

共同

幹事社質問に移らせていただきます。今年1年の抱負と特に力を入れたい県内の課題について教えてください。

知事

今の3つの大きな課題と目標について申し上げたところでございますが、特にと言えばこの3つを中心にして取り組んでいくということになると思いますので、ご理解を賜りたいと思います。

その他
県議会議員との賀詞交歓会について

埼玉

昨日、県議との賀詞交歓会が行われましたけれど、知事選以降、自民党会派との接触がなかなか難しい状況の中だと思うんですけれど、昨日の賀詞交歓会では自民党会派の方との意見交換というのはうまく出来たのでしょうか。

知事

そうですね、自民党県議団との正式な意見交換会は知事選以降やっておりませんので、そういう意味では全体の県議団というかたちになりますけれど、自民党県議団のほとんどの方々がご出席されていますので、できるだけ私もテーブルを回りながら個々にお話をさせていただきました。いろんなイベントでは大半の方々に知事選以降も、そういう意味では親しく懇談はしているんですね、局所局所でね。2、3人ずつの場合が多いわけですけれども、とことん訪問を始め、いろんなイベントでご同行いただいたりしていますので、お話は良くしているところですけれども、まとまったかたちでは初めてということで。特段何かということではなくて、言わば年の初めですので、やはり一番の話題は地元問題などで知事にしっかり印象付けとけというような話がやはりちょっと多かったのかなと思います。印象としてですね。当然、私も知っているわけですけれど、念のために地元問題は皆さん、これから予算の時期でもありますので、そういうお話をちょっとなされる方がいたのかなと思っております。

朝日

関連なのですが、昨日の賀詞交歓会の中で、知事のご挨拶で「報道にあるような対立とかそういうことではない」というようなことも言われていたと思うのですが、今年になって昨年から続いているというか、自民との正式な会談の場が持てないとか、そういう状況を知事の方からアクションを起こして改善されたいというようなお考えはあるんでしょうか。

知事

毎回、申入れしていますよ。例えば、県議会が終わったら会派のあいさつ回りをしているところですが、「まだ待ってくれ」というような話だとかですね。ただ実は予算の要望だとか、そういったかたちでの意見交換会とかはやっているんですね、一貫して。正式な意味での意見交換会なんていうのはやったことはほとんど無いんです、これまでも。本当にやったこと無いんです。ただ「打上げ会があるんで良かったら出て来ないか」とか「自民党内での正・副議長のお祝い会をやるので出て来い」というようなお話がある時には行っていたということで、その時にいろんな意見交換ができていたということで、いわゆる何か設定して意見交換会を特にやっていたというのは元々無かったんです。だから、求めて何か意見交換会ということはあまりこちらからお願いすることは無かった。ただ、たまたま他の会派から政治倫理条例のお話なんかもあったのでそのことについても相談したいということで、非公式に申し入れをした経過はありました、そのレベルです。

朝日

その多選自粛条例に関しては、新たにまたアクションを起こすということは今のところは考えていないということでしょうか。

知事

それはもうありません。

毎日

関連してなのですが、賀詞交換会をまた来年以降も自民党としては議会側と交互に開きたいという意向があるようなんですけれども、そのことについてはどういうふうにお考えになりますでしょうか。

知事

私は個人的に賛成です。議院内閣制とは違いますので、地方は二元代表制ですので、執行部招待の賀詞交歓会もあれば、議会招待の賀詞交歓会があるというかたちがあってもいいんじゃないかなと思っています。

北朝鮮拉致被害者の救出について

産経

北朝鮮の核実験の絡みなのですけれど、拉致の再調査も全く進んでいない、やっているのかやってないのかも分からないとそういう状況の中で、まさに知事のおっしゃるとおり国際社会の平和に挑戦するような態度を取り続けるというのは非常に問題というか、どういった意図があってやっているのか分からないのですが、拉致の問題が進まないという、日本はそういう問題を抱えている中でこういうことをされるという点については、知事はどうお考えになりますか。

知事

なかなか別枠で考えろとは言いづらいところですけれど、極力別枠で考えていただきたいなと思っています。軍事的な誇示などは外に向かっているわけですから、逆に言うと内側が弱いもので、外に敵を作ったり、外に向かって国内なりを団結させる、あるいは内部の権力を掌握する、これが一般論ですね。国家の権力構造としてですね、それを最大限に今使っているというわけですから、逆に言うと内部が弱いはずなんです。だから、また交渉もしづらい時だと思います。それこそ担当者はいつ後ろから鉄砲で撃たれるか分かりませんから、おちおち交渉もできない、そういう状況があるんではないかなというふうに推察せざるを得ません。それでも私は分けて、拉致は人道問題ですから、少なくとも国際赤十字はあらゆる戦火の中でも守られていますので、そうしたものに準ずるかたちで人道問題として拉致問題の解決のために、我々には外交権やそうしたものはありませんし、情報も弱いですから、やはり政府は全力を尽くして別ルートで頑張っていただきたいなと思います。

平成29年度公立高校入試における学力検査の改善について

埼玉

高校入試改革について伺いたいのですが、来年3月から県内の公立高校の入試の英語と数学で難易度の異なる2種類の学力検査が実施されることになりましたけれど、一部では受験生の差別につながるという声があったり、ネットではその学校選択問題を実施する10校から15校が予想されるとか、そういう動きなんかも出て来ているみたいなのですが、知事として試験問題が2種類あるということに関してどういうふうにお考えでしょうか。

知事

差を付けるために必要以上に難しい問題もあるという指摘も県議会などでございました。一般論としてもそういうものがあったので、易しく問題を作るという流れができた反面、なかなか差が付かないので一部の高校では入学者のいわば線引きが出来ないということで、難しい問題も加えた試験問題の方を選択するということがあり得る、選択肢が残されている、それを選択することについて、知事の立場であまり良いとか悪いとか言いにくいかなというふうに思っています。止むを得ない選択もあるのではないかなというふうに思います。できれば全部同じテストの方がいいかもしれませんが、それでは差が付くことができないと思われるような高校で少し難しい問題を加えた試験問題の方を選択される。もうこれは止むを得ないのかなと思います。それで何か差を付けたとか付けなかったという、人生そこで差が付くわけではないし、いわゆる受験で一番難しい大学の卒業生の一部上場企業の創業者なんていうのはほとんどいないという話ですから。日本の企業の創業者で日本経済を引っ張っている人は、実は一番優秀だという大学の人は(あまり)いないということですから。考え様によってはどういうことかなという風にも思われるわけですから、そういうことはやはり違う価値観をしっかり教えることだと思いますね。イチロー選手の出身大学を探す人はいないでしょう。「あのイチローさんはどこの大学だったっけ」って思わないよね。そういう社会であるべきだと私は思っています。違う価値観を認め合う社会を作れば、そういうのは吹っ飛んじゃうんですね。試験問題がどうのこうのなんて言う話なんか、もうどうでもいい話になってしまうと思っています、それは何か受験のヒエラルキーというか、それだけの中身になってしまっているので、価値観がそっちの方に行ってしまっておかしくなってしまっているので、あまりそれは気にしなくてもいいんではないかというふうに思っています。

リオデジャネイロオリンピックへの期待について

テレ玉

今年はオリンピックイヤーということで県内在住、出身者でメダルが期待されている選手が何人かいると思うのですけれども、オリンピックへの期待というのはいかがでしょうか。

知事

早いようで、やはり短いなと思ってきました。もう4年後が東京オリンピック・パラリンピック、そして、その1年前にはもうラグビーワールドカップということで、したがって、今年リオでのオリンピック・パラリンピックが終わったらもうすぐやってくるということですので、やはり東京開催。そしてまた熊谷市が開催都市にもなっていますけれども、ラグビーワールドカップの体制づくりについてしっかり頑張っていきたいというふうに思っていますし、また埼玉にゆかりのある瀬戸大也選手を始め有力な選手もたくさんおられますので、そうした方々がやはり金メダルを獲っていただくことで、さらにスポーツ全体が盛り上がり、そして県民の関心が高まって、そしてまたラグビーワールドカップの大成功、さらに東京オリンピック・パラリンピックの成功に、埼玉県としてもしっかり支えさせていただければというふうに思っているところです。

県北・秩父地域振興施設と県営メモリアルガーデンについて

埼玉

県の事業のことで一つお伺いしたいのですけれども、昨年12月の定例会で県の企業局が、墓園構想と花園インターチェンジ周辺の県北・秩父地域振興施設の施設整備事業を今年度予算執行しないという方針を示しましたけれども、かなりお墓なんかも県南部でと具体的に構想なんかもあったと思うんですが、この執行しないということに関して知事のお考えをお聞かせ願いたいと思うのですけれども。

知事

そうですね。企業局という一つの独立企業体でありますので、人事案件等について私の影響力があるわけでありますけれど、企業局の考え方として、後者のほうですが、深谷市の事業に協力をいただきたいという話がありました。基本的には深谷市並びに県北の地域振興というかたちで、県が1枚加わることで信用度が増すということが本音ベースだったと思います。県としても深谷市の、あるいはまた県北地域の市町村の強い要請を受けて、企業局が一画をお借りしてアピールをしようと、こういう企画になったところですが、深谷市が誘致しています事業者の計画の中身の中で、県が果たすべき役割の部分をそこも役割を果たすということが判明して、どちらかといえば「屋上屋を重ねることになるので、まことに恐縮ですが」というお話なもので、県としては「そうですね。そういうことであればあまり意味はありませんね」ということで撤退。ということですので、これは両方のウィン-ウィンだというふうに思っております。

霊園の関係でありますが、基本的に霊園不足である、あるいは今後霊園不足になりうるという可能性を見ながら、有識者等々との意見を聞きながら、霊園事業を企業局としてなすべきではないかということで、予備調査もして、十分ニーズがあるという判断をして議会にかけて、昨年の2月定例会に全会一致で新たにこの墓園事業を企業局の仕事に加えることを了承いただいた経過がございました。ただ詳細調査を、事業を始めるに当たってやったところ、いわゆる手元遺骨と言うのでしょうか、墓園に遺骨を入れる前にご仏前に遺骨を置いたりしますよね、それを手元遺骨と言うらしいのですけれども、手元遺骨は当然お墓に行くものだという計算をしておりました。企業局が言うには。よく詳細調査をしたら、現在ではずっと手元遺骨はそのままにしておられる方も結構おられることがわかりまして、逆に需要と供給のギャップが生じていることが判明しましたので、このことを正直に議会で報告をして、当面、造ることを延期する。そのギャップが出てくる時期に事業をする方がいいのではないかという判断をしたということで、まさに手元遺骨の解釈を企業局的にはお墓に入れるものだという計算をしていたところ、詳細調査をしたところ、半分くらいの人たちはお墓に入れないということがわかったので、結局墓園事業としては、足りない部分を埋めるというかたちにはならない。それは県の信用で事業を展開すれば売れるかもしれませんが、逆に言えば民間の補完ではなくなってしまいますので、県の事業というのは民間の補完ということですので、そういう営利に関わるような話であれば、県しかできないことではありませんので、事実墓園事業者がいらっしゃるわけですから。補完の役割を超える範囲内であれば、それはしない方がいいだろうという判断を企業局としてきた。それはそのとおりではないか。私は「了」としたいと思っております。

予算積算の発表方法について

朝日

昨年の11月の会見で、清新で活力のある県政推進ということで、予算編成時の知事審査をどのように行ったのかとかを公表したいという話があったかと思うのですけれど、もうまもなく行われてくるかと思うんですけれど、具体的にどういうかたちで、どのように発表しようというお考えがもしもあれば、教えていただきたい。

知事

そうですね。今、どういうタイミングとスケジュールでやったらいいかということは、事務方で詰めているところです。以前から問題だと言われていたところは、今ではそんなことはありませんが、事業開発の場所などで先物買いという話とか、そんなことをされたら困るではないかとか、以前からそういう話がありました。特異な例ですけれども。そういう特異な例などとの関わりがあるのかないのか、最小限度チェックをして、本当に全部オープンにできるのかどうか、できるだけオープンにするにはどのタイミングでやったら一番いいのかとか、多分に知事審査、今も審査をしているわけです、現実には。今もしているのです。で、投げ返して、最終審査のところで見てもらえれば、一番いいのかなと思っております。今見てもらうと、極めて詳細な話まで見ていただくかたちになってしまいますので、また折り返して戻ってきますので、前に話した話と違った話が戻ってきたりしますので、最終の段階で見ていただこう。そういう考えを持っております。

朝日

タイミング的には、知事審査が最終的に行われている場面だとか、実際に新年度予算案を発表する段階か、2月定例会が始まる段階か、どの辺で公表しようとお考えでしょうか。

知事

最終審査の段階だと思います。逆に予算案として固めているところをオープンにしたら、「予算にも出していないのにオープンにするとは何事だ」と、こういう話にもなりますので。やはりプロセスを公開するというかたちで。中身を公開するというよりも、意見交換をしているプロセスをしっかり公開する。こんなふうに理解してもらえればいいのかなと思っております。

朝日

11月にいろいろ方針を出されたかと思うのですが、具体的に公務日程とかは公表されているかと思うのですが、例えば今後こういうことをやれるのではないかとかお考えの部分がもしも何かありましたら教えてください。

知事

今はすぐに浮かんできませんが、ご提案は時々ありますのでそういう提案があった段階で取り上げていきたいと思います。

若年層への政治教育について

産経

昨年なんですけれども、県内の市立中学校の話になるんですけれども、教室で政党機関紙のコピーを学校の先生が配布されるなどして、政治的中立が守られていないというような指導をされているような場面があったと把握しているんですけれども、今年参院選で18歳選挙権が(始まり)、県なので、県立高校になるんだと思うのですけれど、若年層からしっかりと政治教育というものをしていかないと、主権者教育をしていかないといけないと思うのですけれど、知事のお考えを改めてお聞かせいただければと思います。

知事

教室であれどこであれ、学校の現場で特定の政党のビラを配るというのは言語道断というか、非常識だ。そういう世界ですね。世の中を変えるいい非常識もないわけではないですけれども、これは良くない非常識です。そんなふうに私は思います。

それから、政治教育は非常に微妙だというふうに思います。政治教育は公教育の中でいろいろなことを教えるにしても、全く教師の主観がないかというと、ないわけでもないと思いますので、どうかすると力が入ったりするかもしれません。ただ、Aという考え方もあればBという考え方もあるとか、それから各党の考え方はこうですねとか、多様性が世の中にあるんだということをしっかり教えてほしいです。「社会現象で絶対的な正義というのはなかなか難しいよね」と。その上で「大多数が考える正義というのを私達は実現しようね」とか、そういうふうに教えていくべきだというふうに思います。そういうことを学ぶような仕掛けというのでしょうか、そういうものを教師も学ばなければいけないんではないのでしょうか。どういう教え方をするかということに関してです。それが非常に大事だと私は思っています。

(終)

平成27年12月24日(木曜日)

平成27年 埼玉県10大ニュースについて
平成27年 今年の漢字について
1年を振り返っての感想について・18日付けで大阪市長を退任した橋下氏について
シリアでのジャーナリストの消息不明について
被災地支援の今後の方向性等について
年金生活者等支援臨時福祉給付金(仮称)について
知事発表
平成27年 埼玉県10大ニュースについて

平成27年 埼玉県10大ニュースについてのパネル(PDF:468KB)

知事

こんにちは。今年の10大ニュースの方から、皆様にお知らせしたいと思います。私が選んだ埼玉県10大ニュースということでございます。

まず、10番目ですが、行田の田んぼアートがギネスの世界記録に認定されました。まずこれを挙げたいと思います。行田市の「古代蓮の里」の東側に隣接する田んぼに、毎年のように田んぼアートを描いていたわけですが、これがギネスの認定委員までお越しになって、そして、完全にギネスの世界記録に認定されるということが起きました。大変圧巻です。丁度、蓮の池を見るためのタワーがありますが、そこから見ますと、非常にいい風景が見られます。

9番目はムーミンをテーマにしたテーマパークが飯能市に2017年(予定)にオープンすることが決定しました。6月の事件ですが、フィンランド生まれの人気キャラクター・ムーミン谷の仲間たちをモチーフにして、フィンランド以外では世界で初めて、埼玉県飯能市にテーマパークを作るとして、ムーミンワールドが宮沢湖を中心に造られることが決定しましたので、これも埼玉県の見どころの一つになる可能性が高いと思っております。

8番目に、順天堂大学医学部付属病院の誘致が決定いたしました。3月27日に県は順天堂大学の医学部付属病院の整備計画の採用を決定しました。さいたま市内の浦和美園地区に進出するということで、一般病床800床というのは県内最大規模でございます。つまり、(県内)最大(後に「最大級」に修正)の病院ができるということであります。また、大学院医学研究科のほか、看護学部も設置される。そして、構想の中では、県内の医師不足にも対応するため、他病院への医師派遣にも協力関係を作っていこうということを盛り込んでいます。埼玉県にとってもいい話だと思っています。

7番目ですが、大宮アルディージャのJ2優勝と、1年でJ1に昇格するということであります。また、浦和レッズは通算では(優勝を)逃しましたが、ファーストステージでの優勝というかたちをとっています。現在、天皇杯の準々決勝に進んでいるところでございますので頑張っていただいて、正月早々いいお年玉を頂ければと思っているところです。

6番目に、上野東京ラインが開通し、北陸新幹線が金沢まで開業し、県民の足が一層便利になって、また埼玉県の大宮を中心とする交通網の、いわばロケーションの良さというものが、一層高まった年にもなりました。その象徴的なものがこの上野東京ラインであり、大宮から東京までだったら9分短縮、大宮から品川までだったら10分短縮。そして、大宮~金沢間で1時間20分短い2時間で到着と、大変便利になりました。

5番目ですが、第1回さいたま国際マラソン、女子のリオ(オリンピック)の切符を手にすることが可能になるかもしれないと言われている、日本における女子国際マラソンの代表的なものが、埼玉県さいたま市で行われたことであります。しかもここでは、坂戸市出身の吉田香織選手が日本人最高2位で入賞されておられます。現在は市民ランナーということですので、県庁の川内優輝さんと並んで男女とも有力な方は市民ランナーという、こういう珍しいパターンになっております。

4番目ですが、「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」が国天然記念物の指定を受ける段取りになりました。まだ指定を受けたわけではありませんが、文部科学大臣に答申が行われましたので、一般的にはこれで指定がされるということで、秩父の辺りが海であったということと、哺乳類などの化石が大変残っているということで、大変有力であります。これまでの秩父の魅力を更に増すものの一つになるのではないかと思われます。

3番目ですが、圏央道の桶川北本ICと白岡菖蒲IC間が供用開始となりましたので、これで完全に県内区間が全線開通しました。これで埼玉県は圏央道を使って東日本のみならず、西日本のエリアも色んなかたちで、特に道路を使った交通網で有利な展開が可能になりました。これまでも企業誘致などで圏央道の果たした役割が大きいところですが、これから益々そうした役割が担えるものだと思っております。

2番目は、熊谷ラグビー場がラグビーワールドカップ2019の試合会場に決定いたしました。ありがたいことに2019年のワールドカップの4年前であります本年に、優勝候補の一つであります南アフリカに日本勢が勝ったということで、一気にラグビーブームが盛り上がり、先般も熊谷ラグビー場にパナソニックのチームが試合に来たところ、1万人からの入場者があって、大変盛り上がったという報告をいただいているところです。「西の花園、東の熊谷」と言われるくらい、高校のラグビー界では聖地としてそれなりの、熊谷ラグビー場は聖地として位置を示していたところでございますが、この2019のワールドカップのために、スケルトンを残して全面改修することで、今後2019年のアジアで初めて開催されるラグビーワールドカップのためにしっかりと準備をして、それ以降も日本を代表するラグビーの会場として、熊谷市がラグビータウンの名に恥じないような展開をしていくように、県としても支援をしていきたいと考えております。

1番目は、ご存じのように、県ゆかりの梶田隆章教授、大村智教授がそれぞれ、ノーベル物理学賞、ノーベル生理学・医学賞を受賞されたことでございます。とりわけ梶田隆章教授は東松山市生まれ、東松山市の中学校卒業、そして川越高校、埼玉大学と生粋の埼玉県人ということで、友人知人も多く、非常に関係者も多く、大変埼玉県全体にノーベル賞に対しての感激というものを多くの者に伝えたり、あるいは改めてノーベル賞の意義、あるいはまた科学技術の意味等々について、埼玉県中にいわばアピールをしていただくことができました。そういう意味でこれからも梶田教授に負けないように、色んなかたちで追っかけていただくようなことをそれぞれ小中高大学などで目指していただけるものだと期待しているところでございます。以上が、私が選びました埼玉県10大ニュースでございました。

平成27年 今年の漢字について

知事

今年の私が感じるところの漢字は、走りの「走(そう)」です。なんで「走(そう)」なんだと、ダジャレではありませんが、まず、世界の先端を走る研究が梶田教授のもとで行われた。こんな風に思って、ノーベル賞を受賞されたことを契機に日本は益々科学技術立国に走り出す必要があるという思いを込めました。

そしてラグビーワールドカップ2019の会場に熊谷市が決定しました。まさにラグビーこそ走る世界でありますが、南アフリカに勝ち、日本勢の強さ「サムライ魂」というものを世界中にアピールできたラグビーの走りを意味します。

そして圏央道が県内全線開通しましたので、各高速道路と直結しまして、まさに自動車の走りによって、県に立地の優位性が格段に高まったという意味を持っております。第1回さいたま国際マラソンの走りもそうであります。
そして、大宮アルディージャや浦和レッズの活躍、このサッカーも走りです。

そして、2025年問題への挑戦もそうです。10年後に一番層の厚い団塊世代が75歳という歳を迎える時がいろいろな意味で医療や介護で不安を持つ人が多くなっておりますが、そうならないような仕掛けというのがどういうものなのか、改めて日本が、世界の先端を走る日本の高齢化社会というのが、世界に示す、高齢化社会を乗り切る。そういうスタートダッシュの走りにしたい。

こういう思いを込めて、私は今年1年を走りで締めくくりをさせていただきました。

読売

今の10大ニュースについて、幹事社から伺いますけれども、今知事が挙げられた10大ニュース。非常に明るいニュースが多かったように思うのですが、県内でも豪雨災害とか熊谷市の連続殺人事件とか色々暗いニュースもありました。また、全国ニュースでも安全保障法制とか結構大きなニュースが多かったのですが、ここに挙げられた以外でそういった暗いニュースとか、硬いニュース、全国ニュースなどで何か印象に残ったものが特にありましたら…。

知事

そうですよね。一番直近では熊谷の事件が大変印象に残った訳であります。めったにないことでありますけれども、色々な条件が重なって不幸な事件になった。しかし、こうした不幸な事件を一つの契機にして住民と市役所と警察署が一体的な関係の中で連絡体制をとるということが、これまであったようで意外に無かったということも明らかになった訳ですから、こうした一体的な関係をしっかり作って、これまでも多大な成果を挙げてきた県警ではありますけれども、これを契機にまさに犯罪抑止力。それはまた犯罪検挙率などについても大きな成果を出していただきたいというふうに思っております。

あと、やはり前の方の暗い話はどんどん忘れていくのですが、日本が災害列島だということを、常総市を中心とする鬼怒川の氾濫で改めて私たちは確認をした訳でございます。災害リスクというのは非常に高いレベルで近年頻繁に起こっていることを改めてしっかり踏まえて、危機管理、あるいは災害対策については念には念を入れてでもやっていかなければならないということを肝に銘じているところでもございます。

たまたま10大ニュースは明るい話題にしております。特に暗いから外したということではありませんが、順番で行くとそうなってしまいました。

朝日

今年1年を振り返ると、知事ご自身の選挙とかもあったかと思うのですけれども、10大ニュースには含まれていなかったですけれども、何か意図的に外したとかそれとも低かったのかというのは…。

知事

まあ自分のことは言いづらいですよね。だから意図的に外しました。はい。

朝日

県議選とかそういう選挙も含めてという。

知事

そうですね。何かやはり後半戦の方のイメージの方が大きくて。それとやはり、より県民が喜ぶ視点というのですか、そっちの方に目線が行ってしまって、自分自身の知事選、あるいは統一地方選挙などについてなかなか思い浮かばなかったですね。

朝日

意図的に外したというのは知事選。

知事

知事選は意図的に外しました。私自身のことなので。

朝日

ご自身的にはもちろん県内ではすごく注目された選挙でもありましたけれども、仮に外さなかった場合は入っていたというような…。

知事

う~ん。そうなるのかもしれませんね。はい。あまり考えなかったもので、もう最初から外すっていう気持ちだったので。入る、入らないとかもあまり考えなかったきらいはあります。ただ、入る可能性は高いでしょうね。

埼玉

この10位まででかなり順位を迷われたようなところはあるのかというのをちょっとお伺いしたいのですけれど。割と1位はもうスムーズに決まったのか、この順位付けのところで…。

知事

う~ん。まあ正直なところ、1位以外は全部迷ったと思ってもいいのではないでしょうか。もうほとんど、そんなに差が無いと思います。

毎日

やはり知事の4選というところを改めて振り返って、どのような思いかというところを教えていただきたいのですけれども…。

知事

そうですね。私自身の政治信条を曲げてでもあえて手を挙げさせていただいたということでございました。この多くの理由は、県内を代表する市長会、町村会、あるいは各種団体の皆さんたちの熱い要望。そして、私自身の政治家としての一つの自負ですね。「私ならできる」という。そういうものと重なって。

しかし、批判があることは当然分かっていますし、場合によっては轟々たる非難の中で、私自身の全ての名誉を失う可能性もあった訳でありましたが、幸いと言うか私自身の考え方とこれまでの実績の評価の中でその4選出馬に絞り込んだような、極めてネガティブなキャンペーンも行われた訳ですが、そうした人たちの主張よりもはるかに私自身に対する期待だとか信頼だとか、そういったものが圧倒的であったということで、私自身はほっとしました。もし、これがギリギリで当選するとか、あるいは圧倒的に負けるというリスクもあった訳ですから。そういう意味では、支持をしていただいた県民の皆様方に大変ありがたく感じていますので、自信を持って県政の運営に取り組んでいきたいと思っています。

幹事社質問
1年を振り返っての感想について・18日付けで大阪市長を退任した橋下氏について

読売

2つありまして、続けて言いますけれども、ちょっと今皆さんから質問が出たところにもかなり近いのであれなのですが、今年おそらく最後の記者会見となりましたけれども、県議選とか知事選もありましたけれども、1年を振り返っての感想をお願いします。

ということと、大阪市の橋下徹市長が18日付けで退任し、政界引退も表明されています。大阪都構想とか大きなものは実現しなかったところもあるのですけれども、行政改革にはいくつか着手をして、日本維新の会などを率いて国政にも大きな影響を与えました。知事としては、橋下さんの知事、市長としての任期を振り返って功罪をどう分析するかということと、今後も色々憶測はありますけれども、どのようなことが期待されるかということを教えていただければと思います。

知事

はい。まず1年を振り返ってということであれば、やはり埼玉県民的には梶田教授の生粋の埼玉生まれ育ちのノーベル賞受賞というのは、大変県民に夢と希望と感激を与えたという意味でのすばらしさがあったのかなと思っております。あと幾つか挙げたようなこともあります。

まあ私自身にとっても先ほどもご質問がありましたが、苦渋の決断をさせていただきました。人生の中でもめったにないことだと思っております。知事選に最初に出る時も、私の時には現職の衆議院議員としてもう総選挙が間近だというのに自民党の公認候補もいないという最も日本で恵まれた政治情勢の中に居ても、やはり私を熱心に推す人たちが朝から晩まで詰めかけて、結果的にはその熱情に押されて知事選に出ました。衆議院議員でいる分には、何のリスクも無いのに知事選というリスクを抱えて、その時も出ました。

3期12年で予定通り終われば褒められて、そして円満に卒業ができるのに、あえてそこに棹をさして色んな批判を受けながら結果的に出ることになって、まあ最初の知事選もそうですが、4期目の知事選も考えてみると多くの人たちの熱情にほだされて、自分自身困難な選択をいつもしているなというふうに思っています。

ただ、そういう困難な選択も一つ一つクリアして、いい成果を出してきた自信もあります。県にぶら下がっていたほとんどの出資法人が赤字でしたけど、ほぼ全部黒字にしました。それだけではありません。私は全国の競輪施行者協議会の会長をやっていますが、全国の競輪事業者もみんな赤字でしたけれども、これを全部黒字にしました。そういうふうな運動をしたからです。色んな意味で天下りも廃止しました。そういう一度自分自身が決めたことについては全部やってきたつもりです。色んなかたちで成果も出してきました。やはり、日本の構造的な課題であります少子化と高齢化、そして産業競争力の低下、それに生産性の低さ。この4つが日本の構造的な問題なのですが、まあ国際競争力、産業競争力の弱さというのはどちらかというと国の責任だと思いますが、高齢化社会への対応とか少子化対策に関しては国ばかりに責任を負わせる訳にはいかない。地方での特に20分の1の実験、埼玉県のことは大体日本という国でいうと人口の20分の1ですし、GDPも20分の1ぐらいですので、20分の1の実験という意味でそこそこの成果を出すことで日本の解決のモデルになるということで2025年問題を中心とした課題にこの4年間を少子化対策と高齢化対策に関してはしっかりやって、私自身の政治家としての最後の、ある意味ではけじめをつけたいというか、一つの成果を出したい。こんなふうに思っているところです。

2番目の「橋下市長の功罪をどう分析するか」ということと、「今後の期待を」ということですが、功罪。なかなか辛いですね。「罪」まで付くとですね。プラスマイナスだったら言えるかもしれませんが、罪人にするんですか。ちょっと可哀そうですね。同じような職業でございますのでちょっと可哀そうですけれども。プラスは何と言っても1個の力で、発信力だけで1つの政党を作り、一種の第3極ブームを作ったあのパワフルな動きというのはもう誰にもできない大変なことだと。石原慎太郎といえどもできなかったことをやったという。もちろん「日本維新の会」ということではタッグも組まれたわけですけれども、大変なことだと思いますし、それから府庁改革や市政改革。市庁舎とか県庁舎の内部の行政改革の課題に果敢に取り組んだかたちとその成果というのは、私は正しく評価しています。彼と初めて地域主権戦略会議で委員(後に「構成員」に修正)に一緒になっていろいろな話をしましたけれども、はっきり言いました。「府政改革はまだ全然できていないけれど、府庁改革はすごいですね。府政改革は駄目ですよ。経済が弱いですよ。犯罪が多いですよ。高校生の中途退学なんか最下位ですよ。犯罪も最下位ですよ。経済も最下位ですよ。」データを見せました。「埼玉も実は下から2番目だったんです、この3つとも。でも全部私は上げてきました。もう1年目から上げています。」そういうデータを見せて、3チームが研究に来られました。経済チーム、治安チーム、そして教育チームです。そういう意味で学ぶ力も持っておられる方でございますので、必ずしも府政改革のことについて成果が充分でなかったかもしれませんが、違ったかたちでまた、何らかのかたちでいつの日かまた成果を出されることもあるのではなかろうかと期待をしています。そういう意味で、今後どのように期待するかというのはそういうことも含めて期待したいと思っています。ただ、引退されると言っているのにあんまり期待するなんて言っちゃいけないのかもしれませんので。ただ「政治家としてもったいない」という気持ちは私も含めて多くの方があるのではないかなというふうに自分自身は感じております。以上でしょうか。

その他
シリアでのジャーナリストの消息不明について

NHK

フリージャーナリストの安田純平さんの拘束情報の関連について伺いたいと思います。本日も官房長官、外務大臣それから国家公安委員長が言及して政府として対応にあたっていくという姿勢を示されていますが、それに関して3点。

まず1点目は県として現在把握されている事実関係について教えていただきたいのが1点目と、2点目は今後の対応について。2004年の時には対策会議を設けられたと思うのでそういった絡みが1点。最後は県知事としての姿勢というか声明の部分を伺えればと思います。よろしくお願いします。

知事

入間市にお住まいであったという経過がありますので、埼玉県にも関わりの深い方だというふうに思っております。そういう意味で注視はしております。たまたま、お昼のニュースの外務大臣のぶら下がりのコメントだけを聞いておりましたが、それ以外はまだ聞いておりません。けれども外務大臣も情報の掌握について明確なことを言っておられませんし、対処方針についても明確に言っておられなかったように思っております。今の時点では多分に人命とか、そういったことも含めて安田さんのことを考えるとあまりお話はできないのかもしれませんので。それ以上のことはなおさら私どもとしては言い難い状況です。ただ、情報の共有ができるように関係のセクションには今後注視をしていく努力をさせたい、こんなふうに考えております。

NHK

2004年にイラクに4日間拘束された時も上田知事は対策会議を設けられて、それでコメントを発表されていましたが、今回2度目という部分でもありますが、その辺知事として受け止めはいかがでしょうか。

知事

心配ではありますが、今申し上げたように一番情報の集まっている外務大臣ですら、なかなかコメントできない状況ですので、軽々に私がコメントを出来るような状況には今無い。ただ、関係機関からの情報を収集して最小限度の情報共有をできる範囲内でしておきたい、こんなふうに考えております。ご理解ください。

被災地支援の今後の方向性等について

埼玉

来年で東日本大震災から5年になりますけれども、知事は知事会の復興協力本部長も務められて、今月上旬には東北視察にも行かれていましたけれども、現地ではどんな意見交換をされて、今後どのようなかたちで復興に向けて、お考えはいかがでしょうか。

知事

正直言って何て言うんでしょうか、現地の知事さんたちは今復興工事などのピークだということで引き続き政府の支援、あるいは知事会全体の特に技術者の支援などについての強い要請がございました。ただ、私個人的にはなぜこんなに遅いんだろうというふうに感じます。もちろん簡単じゃないことは良く分かるんですが、何とかならんのかなというふうに思っています。特に福島県の場合これは去年も一昨年も感じたことですが非常に、放射性物質の検査などが桃1個1個まで全部調査した上で市場に出荷して100パーセント問題が無い状況で出荷をしたりしています。そういう状況でも汚染水などが漏れたりするとあっという間に売れなくなる。こういう状況の繰り返しを何度も何度もやっているということの悲痛な叫びを感じておりましたので、先の政府主催の全国知事会(後に「全国都道府県知事会議」に修正)でも総理に対して私はまさしく汚染水問題の処理に関しては「東京電力に任せないで、政府が中心になってやってください」ということをお願いしました。もう全ての科学者・技術者の知見を結集して、何としてでも汚染水の漏れは止める。そして処理をする。これをやらないと福島県は立ち上がってはコテンパンにされてとやっているうちに、もう立ち上がれなくなると思いますので、これはぜひやっていただきたいと思っています。これは汚染水の処理とは全く関係の無い、いわゆる修学旅行・教育旅行でも半分ぐらいまで回復しておりますが、まさに半分しか回復していない。これも学校関係者では理解ができているところですが、どうしても保護者の関係ではリスクを避けるというんでしょうか、それも汚染水の処理についてのゴタゴタが尾を引いていると思っています。あたかも汚染水イコール空気の汚染、そういうものとごちゃまぜになってしまうという、そんなものだというふうに私は理解しておりますので。特に被災3県に関しては今建設のピークですので、復興のピークですので、引き続きまさにお金の支援とそして技術者の支援、そして福島県に関してだけは汚染水の処理。除染問題は時間との闘いですので、徐々に表土が削られどんどん濃度が低くなっていくというこのプロセスだけははっきりしているわけですから。汚染水の処理をやはり東電任せではなく政府でやっていただきたい。そういう思いを持っております。以上ですね。

年金生活者等支援臨時福祉給付金(仮称)について

埼玉

政府の案のことでお伺いしたいんですけれども、低所得な高齢者に3万円を給付するという案を示して、自民党の部会でも了承されたようですけれども、党内でも高齢者優遇という異論があるようですが、知事の高齢者に3万円給付するという、この考えについてのお考えお聞かせいただきたいのですが。

知事

基本的にアベノミクスで何が変わったかというと、株価が上昇して、高揚感が市場関係者を中心に出て、これは良いマインドをつくっていると、これが一点。もう一つは円安を中心にした海外の取引業関係を中心に大企業の大幅な企業収益が出ていること。これは非常にプラスの側面なんですが、非常に雇用の拡大ということで安倍政権の関係者も言われるんです。確かに、100万人とかという雇用が増えたと言っていますが、あれは不正確で122万増えています。178万の非正規雇用者が増えて、56万の正規雇用者が減っているんです。プラスマイナスで122万の非正規が増えている。ご案内のとおり非正規と正規では、給与は2.8倍差があります。これを掛け合わせていくと全体の所得ではあまり変わらないという。

日本の課題は何かというと格差が拡大したまま止まっていないということです。平成元年に預金ゼロも含む金融資産ゼロの人たち、2人以上の世帯ですね、1世帯に2人以上いらっしゃる方々、この金融資産ゼロの人たちが8パーセントだったんです。今30パーセントいるんです。この安倍政権3年間でそれが29、28、27、26になったかというと全然なっていない訳です。そして非正規が相変わらず減らない。この非正規の課題というのは結婚がしにくいとか、またそれが少子化につながるとかいろんな課題がありますので、こうしたものにもっと取り組まないといけないのではないかと思っています。

もちろん低所得の高齢者に3万円のお金が出ることで消費が拡大されるとか、一種の安心感が与えられるとかプラスの面が無いわけではないと思いますが、一般的に言えばばらまきという批判があるように、本筋ではないような気がします。本流ではない、支流だと思っています。やはり本流はこの少子化と高齢化の部分に真正面から取り組むことだと私は思っておりますので。特に3万円の給付は金額そのものは4千億円弱かもしれませんが、事務費に2千億円、3千億円(後に「2百億円」に訂正)かかるのではないかと言われておりますので、そうしたことも考えると手放しで喜べない。経済政策としてもっと有効な方法があるんではないかという議論にある程度賛同を示めさざるを得ない、こんなふうに私自身は思っています。

ただ、経済政策は分かりませんので。何が最大に有効かというのは。ひょっとしたらこれで高齢者が消費に向かって、高齢者の数は多い訳ですからどこかで良い反応が出るのかもしれません。政策は結果論ですから軽々に申し上げることはできませんが。ただ、本筋に向かっていかないと日本の構造改革はできないと思っています。

(終)

平成27年11月25日(水曜日)

平成27年12月定例会付議予定議案
清新で活力のある県政推進に向けて
マイナンバー通知カードの誤配達が相次いでいる件について
埼玉朝鮮学園への運営費補助金について
TPPについて
「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」の国天然記念物指定に係る文化審議会の答申について
H2Aロケットの打ち上げ成功について
埼玉大学との共同意識調査結果について
大阪のダブル選挙について
茨城県教育委員の発言について
知事発表
平成27年12月定例会付議予定議案

平成27年12月定例会付議予定議案についてのパネル(PDF:689KB)

知事

こんにちは。今日は、12月定例会付議予定議案についてご報告をします。もう1つ清新で活力のある県政運営に向けての1つの試みを発表させていただきます。
まず付議予定議案ですが、招集日は12月2日でございます。議案としては50件。条例11、工事契約の締結2、財産の取得1、訴えの提起2、事件議決34。
主な内容としては、「知事の権限に属する事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」。長い名前ですが、要は市町村への事務の移譲の内容であります。それから「首都高速道路株式会社の埼玉県道高速葛飾川口線等に関する事業の変更の同意について」。首都高と圏央道との関係の中で、料金体系が若干変わることについての同意案件であります。
報告案件としては6件。専決処分報告が5、環境の状況に関する年次報告書が1。それでは中身について若干ご説明致します。
先ほどお話しましたように、事務の権限移譲をどんどん埼玉県としては進めてきております。平成12年当初からスタートしてきて、毎年少しずつ増えてきております。今回も、例えば認定こども園の認定等を行う場合に県がやっている部分に関してさいたま市にやっていただくなど3事務が移譲されます。それから、パスポートの申請受理や交付等について新たに熊谷市、所沢市、狭山市(に移譲すること)などを含め、32の事務がいろいろございます。それから、勧告などについても(後に削除)アイドリング・ストップの勧告などについても毛呂山町などもいくつかあり(後に「に移譲し」に訂正)ます。こうしたものを全部含めまして、着実に移譲事務が進んできております。基本的には「窓口が身近であればあるほど住民にとって便利でしょう」という。これが1つの理屈でありますし、また「地域の実情を踏まえた迅速・的確な対応もできるでしょう」というのが理由であります。ちなみに「47都道府県で移譲事務が比較的進んでいるのかどうか」ということで言えば、5番目ということであります。じゃあ1番目のところが1番進んでいるかどうかというとまた一概にそれも言いにくいところがあるかと思います。例えば県が音頭を取るとさっと市町村が対応するところもあれば、1つ1つ市町村が吟味をして、必要に応じて移譲を受けるというそれぞれ個性がありますので「進んでいるから絶対いい」ということでもありませんし、「進んでいないから絶対悪い」ということでもないと思っています。一般的に言えば、より進めばいいのではないかということでありますが、それぞれ市町村の事情もありますので、一概に絶対的にこれが善だとは言い難いと思っております。ただ埼玉県的にはできるだけ移譲を進めるための説得や条件づくりについて、支援をさせていただいております。
圏央道の内側について、料金体系がこれまで1キロメートルあたり43.2円だったものを、36.6円にしましょうというかたちに今度なります。それで結論から申し上げると、例えばここから首都高を通って久喜に行ったとします。こちら(圏央道を直接進むルートを指しながら)の圏央道からそのまま行ったら圏央道の方が距離がある。故に圏央道の方が高いのではみんなこちら(首都高経由のルートを指しながら)を行きますので圏央道を造った意味がなくなります。従って、少なくとも首都高を通るレベルまで料金が落ちなければ意味がないというかたちで、このとおり、例えば東名厚木インターから常磐道の桜土浦インターチェンジまで行ったとしますと圏央道経由だと5,050円かかる。都心経由だと3,930円かかる。こういうことになりますので、それじゃあおかしいということで、ちゃんと圏央道を通っても都心経由と同じ料金になるようにという仕組みを全体で作る。そのための事業の変更があるということであります。従いまして、新たな料金の適用を28年4月からこういうかたちで行っていきますので、基本的には「都心を通れば安くつきますよ」という話はもうなくなるということで、圏央道を通ってスピーディーに目的地に移動をするという仕組みが出来上がります。こういうことが、埼玉県内での部分に関しては埼玉県の同意を得なくてはいけないというかたちで、議案として出させていただく訳でございます。

清新で活力のある県政推進に向けて

清新で活力のある県政推進に向けてについてのパネル(PDF:264KB)

知事

先般から、多選自粛条例に関わって「政治倫理条例などを作ってはいかがか」というお話が各会派との議論の中で出ておりまして、私も当初は飛びついたところがありました。しかし、よくよく調査・研究をしていきますと、第1条の「清新で活力のある県政」推進という部分が必ずしも政治倫理の部分で担保できるということにはなかなかならないというようなことも良く分かりました。仮にいろいろな基準を作って、その基準から漏れていればそれでいいじゃないかというふうに指摘を受ける可能性もあると思います。逆に言えば、基準通りやっていれば政治倫理は確保されている。故に「清新で活力のある県政」だ、こんなふうに思われても少し語弊が出てくるというふうに考えました。
大事なことは、要するに広く、オープンな県政運営ができるかできないかということでより「清新で活力のある県政」が可能になるというふうに思っておりますので、内部での問題はさておき、できるだけ外部に開かれた県政運営を推進して行こう。内部は内部で一生懸命開かれるように努力しておりますが、外に向かってオープンな県政運営をやっていこうということで、政策決定の議論のポイントを公表しよう。これまで当初予算編成の知事審査における部分に関しては公表されておりませんでしたが、主な議論があった部分に関しては、整理して公表しよう。どういう議論の過程でこういう重要な予算の決定が行われたのか、こういう問題を明らかにしようというふうにいたします。
それから、どのような公務日程なのかということについて、どういう仕事をしているかということを一部の新聞で日程を公表していただいている訳でございますけれども、全部ホームページで公務日程の予定と結果を公表して、どういう仕事をしたりどういうイベントに出ているのかということを理解していただく。そうすることで、またそのイベントの内容などをピックアップしていただいて、そしてどういう具体的な提案をしたらいいのか、そういったものも県民に知っていただく。そういうチャンスが増えるのではないかと思っております。意見を言えるチャンスが増えるように、公務の日程についての予定と結果をホームページで公開する。
それから、こちらの(オープンな県政運営の推進の)方では見えるようにしていくということですけれども、こちらの(政策に係る広聴機能の充実の)方では今度は耳を大きくしようということで、政策に係る広聴機能をもっと大きくしよう。これまで主要政策について有識者からの意見や提言をいろいろなかたちで頂いてはいるんですね。頂いてはいるのですが、それが正式なかたちで公表をしておりませんでしたので、外部有識者等から意見・提言を聴取した場合、それを公表していく。取りまとめた部分を明らかにしていく。こんなふうにすることによって、さらにそうした問題についての県民からの意見聴取が可能になるだろう。また、政策提言が多くなるだろう。こんなふうに考えております。
また、専門家である議員の皆さんからのいろいろな政策提案もある訳ですけれども、そうした提案とまた違ったかたちで、県民なりの、予算はあまり考えない、あるいは手続はあまり考えない、故に特別な、新鮮な案が出てくる。埼玉大学の学生の政策提言などを受けている訳ですけれども、まさに予算とかはあまり考えない。真剣な、新鮮な議論が出ておりますので、そうした提言をいただくために、時々テーマを設定して、県民から政策提言を募集しよう。こんなふうに考えております。もとより毎日のように来る政策提言の中には、そうした予算はさて置いて、全く新鮮な提案もありますけれども、具体的なテーマを設定して、県民から直接いろいろな議論をいただいて、まさしく頭を柔らかくする。県庁の壁を取り払う。そういうこともしっかりやっていこうと考えているところです。もとより比較的「この政治倫理条例は今一つだな」と思ってからの限られた時間でありますので、これ以上にもたくさんいろいろな提案があるかもしれませんので、そういうことも含めて今後「清新で活力のある県政推進に向けて」の議論などをよく承った上で、随時追加をしていきたいと考えているところでございます。以上で今日は報告を終わります。

NHK

幹事社から1点質問をさせていただきます。「清新で活力のある県政推進に向けて」に関してなのですが、それぞれの取組の中でオープンな県政運営の方の(1)の方は当初予算ということですが、その他の3つについてはいつ頃、どんな事案を対象にという辺りはそれぞれどんなふうにお考えでしょうか。

知事

日程の公表は技術的な点をクリアすれば、すぐにできることですので、例えば1か月後とかそういう世界ではないと思っています。1週間以内とかそういうところでできる話だと思っています。それから、とりあえず今日なども税務行政などにご協力をいただいている各種団体の例えば青色申告会であるとか商工会議所、商工団体中央会あるいは納税貯蓄組合連合会のトップの方々と税制についての議論、交換をしたところですけれども、そういうのは今後やはりどういう議論があったか、どういう議論の方向性がまとまったか。そういうのをどんどん発表していこうと思っています。従いまして、これもそう遠くない時期にやったものに関して可能な部分に関しては、これからではなくて、これまでにやった部分で直近のものであれば入れてもいいのではないかと思います。例えば、埼玉大学の学生の提言なども、あるいは入れてもいいのかな。手間暇のかかるものは少し時間がかかるかもしれませんが、順次ですね、今後は入れていきたいと思いますし、ここ1か月、2か月の間で行ったようなことであれば、時間的なというのでしょうか。事務に手間がかからないものであれば、どんどんやっていきたいと思います。また、政策提言の募集などについては、今後ちょっとスタッフの皆さんと相談しながら、「こういうところで知恵がなかなか出てこないな」というようなお話があれば、「よし、そういったものを思い切って聞いてみよう」とか、あるいは今後テーマになりそうな部分に関してあらかじめ聞いておくとか、そういうものが選ばれる可能性があると思いますので、これに関しては今すぐとは思いませんが、それ以外はもうほとんど今すぐというふうにご理解ください。

産経

多選自粛条例はどうされるのですか。

知事

はい。まあ元々、多選自粛条例の目的が「清新で活力のある県政」推進というのが、第1条で謳われていますので、これを実現するために必要なことをどんどんやっていくということに尽きると思っています。

産経

任期の規定を変えたり、廃止をされるとか、具体的な何かアクションというのは特段考えていらっしゃらない。

知事

特に今のところ考えておりません。

産経

そのまま生かして置いていくということで。

知事

そうですね。

朝日

多選自粛条例の話で、知事は知事選が終わった直後に、マスコミの取材等に、「条例の意味がなくなった」との発言があったかと思うのですけれど、今は「まだその存在意義がある」というふうにお考えが変わったということでしょうか。

知事

今の言葉は記者のどなたかが言われました。セリフそのものは。そのことは私、肯定的に言いました。「存在意義は薄れている」、もしくは、「意味を失ってきている」。しかし、第1条の意義というのは、半永久的に失ってないわけです。出来るだけ自粛する、3期12年をもって。このこと自体はもう、自粛しなかったわけですから、少なくとももう実効性を失っている。しかし、第1条に関してはまさに、第2条の目的が第1条にあったわけですから、第1条を実現していく、常に。一番重要なことだと思っていますので、そちらに重点を移すということです。

朝日

先ほどの質問ともかぶるのですけれど、廃止どうこうということよりも、条例をいかに今後県政に活かしていくかということを考えていくということでしょうか。

知事

そうですね。第1条を重点的にしっかりとやっていくためにはどうすればいいかということを意識していきたいと思っています。

朝日

ちょっと基本的なことで知事のお考えを改めて伺いたいのですけれど、「清新で活力のある県政運営」というのが、分かるようで、実態がどういうものなのかということが分かりづらい部分があるのですけれど、知事のお考えとしてはもう少し具体的に言うともう少しどういうふうになればそういうふうなことになっているとお考えになっていますでしょうか。

知事

基本的には、より県民の意見が通る、県民の意見が聞こえるこれに尽きると思います。その代表者である議会の皆さん達からの議論というものがより活発になったり、あるいはまた執行部との議論が活発になったり。そういうかたちの中でそれが担保されていく。しかし、議会だけですべてが解決するわけでもありませんので。そういう隙間がありますので、そういう隙間をいろんなかたちで縫うことができると思っています。

朝日

議会との関係で言いますと、今自民との関係で難しい状況だと思うのですけれど、県議会を通して、なかなか県民の声が反映されていないのではないかというお考えはあるのでしょうか。

知事

それは、県議会は議会として県民を代表されているものですから、それが反映されていないというのは県民に対して大変失礼な言い方になると思います。そういうのは口が裂けても言えない話じゃないのでしょうか。ルール上そうなっていますから。ただし、ご案内のとおり、県議会では限られた時間、限られた人達しか質問ややりとりがなかったりしますので、そのためにいろいろな広報広聴がありますし、日々の政策提言もありますし、いろいろなツールがあって、多分こういう記者会見もそうでしょうし、皆さんが書かれる記事もそうでしょうし、いろいろなものを駆使しながら、県民世論というのは形成されていくのではないかと思います。その中心に議会がある。しかし議会だけでは吸収できない、そういうふうに思っております。

朝日

今も県が政策などをまとめたりした際に県民コメントを募集したりということがあるかと思うのですけれど、現状ではそれがまだなかなか不十分ではないかというお考えもあるのでしょうか。

知事

それは特定のテーマに向かっての県民コメントですから、当然その都度その都度コメントをもらっていますから、それが十分ではないとは思いません。ただ、100パーセント十分かどうかというのは別問題ですけれど。常に100パーセントというのはないと思いますね。ただしその項目に関してはプロセスとしてしっかり県民コメントをいただいている。私の言うのはそういった意味でのパブリックコメントではありませんので。包括的な話になっていますから。

産経

難しいことになってしまいますが、多選自粛条例の1条の目的の部分はまさにそうすべきだというのは万人が見てとれるところだと思うのですけれど、その2つ目の実効性を失ってしまった部分を放っておくのも1つだし、無くしてしまうのも1つであると。で、1条は1条で置いておけばいいという意味であるなら、別にそこは無くしてもいいのではないかなとも今ふと思ったのですけれど、そこについての整理というのはどうなっているのですか。置いておくという判断をされる理由、その1条にシフトするというところはもちろん理解できるのですけれど、だからといって、実効性を失った部分をそのままにしておくということには直接は繋がらないかなという気持ちがあるのですけれど。

知事

直接は繋がらなくても特に邪魔になるものでもないですから。むしろ、第1条を強化することによって、第2条の実効性が無くなっても、(清新で活力のある県政推進に向けて)より実効性を高めていく、こんなふうに考えればいいのかなと思っております。

日経

清新で活力のある県政推進に向けてというこのペーパーというのは、条例とかにする類のものではないと思うのですけれど、県としてなんらかの形でオーソライズされるようなものなのか、あるいは知事がここでお話になったことによって、それをもって方針として決まっているものなのか、これは何なのでしょうか。

知事

当然、県民に向かっての約束ですから、一種のこれまでの政策決定の公開の部分に関して、より強化をするという強化策の発表になります。

日経

これをさらにきっちりした文書にするということではないのですか。

知事

そうですね、まあやりようはあるかもしれませんが、とりあえず、政治倫理条例との絡みのご質問があったので、こういう形で取り急ぎ。議会も近々始まりますので、いわゆる記者会見もなくなるので、「早めにやっておかなくちゃ」という気持ちで、形はあまりこだわらなかったです。

朝日

「清新で活力のある県政推進に向けて」は条例とかではないと思うのですけれど、今日この場で発表されて、元々自民からは聞けていないけれど、各会派からは意見を聞きたいということだったかと思うのですけれど、これに対して議会の意見を聞くという予定はないということでいいのでしょうか。

知事

各会派に関しては政治倫理条例のアイデアをいただいた2会派などに関してはちゃんと「なかなか政治倫理条例で第1条の目的を達成するかたちには十分なりませんね」という中での接触をさせていただいて、内々にこういうかたちを付けていきたいという話をさせていただきました。

朝日

その他の会派とは特に話をしていないということでしょうか。

知事

もともとこのアイデアを出す以前から「まだしばらくはそういう議論は勘弁してくれ」と言われているところには、何もお話をしていません。

埼玉

清新で活力のある県政推進に向けての2の(政策に係る広聴機能の充実)ことで確認させていただきたいのですけれど、「外部有識者等から意見・提言を聴取」とありますが、県政アドバイザーという方もいらっしゃるかと思うのですけれど、知事としては、何か将来的にはシンクタンクのようなものを作りたいという、そういうイメージをお持ちなのでしょうか。

知事

現在でも有識者からいろんな意見を聞いております。定期的なものもありますし、ものによっては特別に聞いたりもしますし、いろいろなかたちでいろいろなグループがありますので、ただそれをまだオープンにしてなかった部分もありますので、そういうものを全部今後はオープンにしながら、どういう議論がなされて、何がテーマで、今後どういうかたちでそれが県政に活かされる可能性があるのか、あるいは即活かされるとか、そういうものを明らかにすることで、より県民世論を盛り上げていく、そういうことがいいのかなと、こんなふうに考えたところです。

埼玉

新5か年計画もまた17年度からスタートすると思うのですけれど、それに関してもかなり、そうしますと今度有識者の方であるとか、県民の方もかなり、意見なり施策を求めたいという考えはあるのでしょうか。

知事

これは議会と関係の中で一緒になって作っている訳ですから、その都度中身がメディアを通じて伝わっておりますので、一定程度関係団体とかにはこの中身に関して摺合せなどをやったりしていますので、どちらかというと、有識者とか専門家とかにはなじむかたちにはならないのかなと思います。県の施策の具体的な実務上の計画みたいな話になっていますので。どちらかといえば、今先ほど話した部分は、そういう実務上の部分はない部分でありますので、その辺は差があるのではないかと思います。

読売

今の質問の関連なのですけれど、外部有識者に意見を聞いた場合に、これは原則オープンにするということなのですか。有識者の中にはクローズだから言いたい意見を言えるとか、提言を出来るという場合もあるかと思うのですけれど、その辺は了解をとるとか、原則オープンで一部出さないとか、その辺のあれはどういうふうなかたちになるのでしょうか。

知事

その辺は聞かなくてはいけないと思います。原則オープンですけれど、例えばA教授という名前だったらいいとか、Aという経営者だったらいいとか、そういう話はあるかもしれません。

幹事社質問
マイナンバー通知カードの誤配達が相次いでいる件について

NHK

日本郵便によるマイナンバー通知カードの誤配達が相次いでいる件に関してなのですが、今月19日の段階で5件がすでに明らかになっています。いずれも配達員による住所や氏名の確認不足が原因だったというものであるのですが、最初の誤配達後も改善が不十分な現状があることについて知事のご所見を伺いたいと思います。

知事

これは、全て日本郵便の責任だと思っております。基本的には。私もまだ届いていませんので、私も間違えたりすると大変ですけれども、届いてから本当ははっきり言えばいいのかもしれませんが、文字が小さいので、夕方とかに届いて確認がしにくいとかそういう話も聞いております。相当気を遣う仕掛けを、日本郵便の方で現場の指導というのでしょうか、そういうのを徹底してもらうしかないのかなというふうに思っています。間違えて違うところにいくという場合も当然これはある訳ですから、普段。しかし、これは間違えてはいけない郵便物ですので、そういう意味では本当に趣旨を徹底してもらいたいと思います。人間のやることですから、それこそ製造業でも10万個あれば2個までは許されるというような話を聞いたことがありますけれども、10万通あれば2通までぐらい許されるというような話の一般の郵便物ではない。これだけは間違えてはいけないということですので、そういうふうな認識で、案外一般の郵便物と同じような感覚でいらっしゃる可能性があるところが考えられると思われますので。これはちょっと一般の郵便物とは全く違うという認識を徹底していただきたいなと思っています。以上です。

その他
埼玉朝鮮学園への運営費補助金について

朝日

埼玉弁護士会の方が朝鮮学校への補助金の不支給について人権救済の申立てを受けて、警告の決定をされて、今日ちょうど警告されたということなのですけれど、これに関して知事の受け止めと、あちらの話だと「拉致問題とかの情勢と財政の健全性というところで停止されているけれども、財政の健全性はもう解決してそれは差別だ」と、あちらは言われているのですけれども、その理由についても改めて教えていただきたいのですが。

知事

財政の方は全く解決されていません。どのような話を聞かれてそういう判断をされたのか、確認が取れておりませんが。こちらはずっと時系列的に何年も追いかけてきていることです。帳簿上はそういったことが可能でも丁寧に追いかけて行くと、例えば幼稚園を売却してそのお金が入ったとか、じゃあそのお金が入った部分がどういうかたちで支払われていったかということをちゃんと預金通帳や相手先やらそういったところをずっと追いかけて行くとすべからくつまびらかにならない、これはもう何度も確認して、そのことについては常にうやむやになっていくということですから。1円でも県民の税金を使う以上はやはり法律に則って、基本に則って、きちっとやらなければいけない。この点はもう何て言うのでしょうか、ある意味ではこちらの方にはきちっとした証拠書類が残っていますので、文書のやりとりは弁護士会からありました。しかし、証拠の文献まで丁寧に見に来られたわけでもありませんので。私どもはきちっとやっておりますので。弁護士会が人権擁護の戦いを日頃から一生懸命にやっておられることは高く敬意を表し、尊敬するところでもありますけども、私学振興法や地方自治法等々から安易に認めるものではないと私たちは思っていますので、これはもう残念ながら何て言うのでしょうか、警告は元々強制力もありませんし、そうした御尽力と言うか御努力には敬意を表しますが、中身については「認識が異なります」ということをはっきり申し上げるしかありません。

朝日

今のところ来年度以降も予算には計上しない予定で…。

知事

そうですね。財務の状況がつまびらかにならない限りは、中々ならないのではないでしょうか、内部的には。内部でいろいろやりとりをやっていますので、整合性を最終的に尽くすのが困難ではないかと思います。尽くせるのならもうとっくの昔にやっていますよ、簡単だったら、当然補助金は必要なのですから。それを尽くせない理由がやっぱりあるんですよ。それが残念なんですね、私たちは別にいじめるとか人質に取るとかそんなことではありません。やはりきちっとした対応をしないと逆にまた弁護士会から訴求を受けます。

NHK

今の質問に関連してなのですが、朝鮮学校側に主張というところを聞くと、元々その交付を凍結する時の理由が財務上の話で、さらに今回予算の計上をしていないと、今年度含めてですね、していないというところについてはミサイル実験等含めた部分、政治的理由もあって、それを理由にその文化、いわゆる教育の部分に影響を及ぼす、それを理由として予算を計上しなかった、凍結を延長したということについて不服を申し立てたようなのですがその辺りについては。

知事

元々凍結はですね、問題が出てきたことが判明したからです。しかし、その解明までは私たちは十分しておりませんでしたから、例えば予算を解消するとかそういう話ではなかったんですね。だから凍結だったんです、明らかになるまで。「明らかになったら解除という方法があります」、「きちっとした理由があるので解除します」、「きちっとした理由が無いので凍結どころか、これはしばらく支給できませんね」という話だと思います。「きちっとした理由が無いので、凍結する理由が無くなりました」、「したがって逆に予算の計上ができません」とこういうプロセスを経たんです。当初は問題が出てきた故に凍結、解明する時間を私たちは必要とした。また聞き取りもしなくてはいけなかった、その結果、不明瞭な点が多すぎて事実上、財務上の課題が多すぎたので。これはとても支給できる体制にないということで予算の計上をストップした。そういう経緯です。

NHK

朝鮮学校側は2つの理由、元々財務上の理由があって、その上で新たにこういう理由で今止められているという話をしていましたが、県としては財務上の理由は基本的にはずっと続いているという認識がまずあって…。

知事

もちろんそうです。

NHK

それがベースということですよね。

知事

あとは県議会の決議、拉致問題等への決議。これもやはり重く受け止めています。

TPPについて

日経

TPPについてお伺いします。先日、知事は記者会見で「基本的には農家への対策を政府の責任のもとでやられるべきだ」とおっしゃっていましたけれども、今日政府の対策本部の方で対策がまとまりまして、米の輸入で増える分の買い入れだったりとか、牛肉、豚肉の畜産業者への損失の補てん等の対策が示されましたけれども、こうした政府の案に対してお考えがあれば、お伺いできればと思います。

知事

その部分は私も読み切っていません。大綱が出たことは知っていますが、読み切っていませんので、軽々に申し上げられませんが、自分の立場ははっきりしております。TPPに関しては、やはりメリットとデメリットが必ずあるわけですから、メリットを極大化する方向で、デメリットを極小化する方法でやるしかないという。例えば、政府が最初に言っていた、「主要5品目、これは絶対守ります」と言っておられたので、私的にはこれは守ってほしかったと思います。しかし、相手もあることですから100パーセント守れなかったら、守れなかったで、なぜ守れなかったかということの理由をやはり説明しなくてはいけませんし、なぜ守ろうとしたのかという理由がある訳ですから、それをきちっとカバーするだけの政策展開が必要ですよね。そういうことをきちっとやれば関係者は納得するわけですね。約束事は約束事で実行しなくてはいけないと思います。しかし約束事が守れなかったことなんかやっぱりある訳ですよね。その場合、なぜ守れなかったかということをきちっと申し上げて、そのために起こり得るマイナスの部分をどうすればカバーできるかということをきちっと押さえていく。これしかない訳ですから。私はこの主要5品目を絶対守るという話から大幅に後退しながらも何かその辺の説明が十分じゃないというふうなきらいがあるのかなと、これは思っております。ただ、やはり米なんかも量で勝負すれば日本が、それこそ一人の収穫量の1万倍(後に「100倍を超える」)くらいオーストラリアなんかでは作れる訳ですから。そういうものと勝負ができる訳がないですから、しかし、質で勝負するためにどうすればいいのかとか、そういうことについてはどちらかと言うと農協サイドだけの努力、あるいは農家サイドの努力には限界があるので、例えば、農総研とか国の研究所、試験場、あるいは埼玉県の研究所、試験場、こういった部分なんかの活用とか連携とかがかなり必要になってきますよね。より品種改良したり、より多収穫にしたり、あるいはほとんど農薬を使わないで済むとか、より安全性が高いとかですね。そういう部分をどんどん作ることで価格での劣勢を品質でカバーするとかですね。そういう方針をしっかり打ち立てていただいて、その辺はしっかり、逆に言うと、政府がこうするということだけではなくて、農業者の代表である、まさにJAが積極的にそういう議論を持ちかけて、やはりそういう意味での要求をしっかりやるべきではないかなと私は思っています。そこはやはり遠慮しないで、日本のためになるわけですから、JAのためだけではないですから、堂々とやったらいいのではないでしょうか。

日経

もう1点、先日JAの埼玉県中央会の若林会長が記者会見で県と連携して、いろいろ県内農業への影響の試算をしていきたいというふうにおっしゃっていたのですが、これは県としても影響の試算をまとめられるということでよろしいんでしょうか。

知事

当然ですね、それはもう現時点における状況でやはりやりたいと思います。ただ、今申し上げたように違う仕掛けを作っていくことで、このマイナスのものを極小化することも可能ですので、そういうことをやはりやらなくてはいけないのではないかというふうに思っています。

「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」の国天然記念物指定に係る文化審議会の答申について

埼玉

天然記念物についてなのですけれど、秩父の地層と化石群が県内では48年ぶりに国の天然記念物に指定されることになりますけれど、秩父の観光にもすごく好影響を与えると思うのですが知事の御所見をお願いできれば。

知事

これまでも「ようばけ」だとか秩父の地質学的な部分でのレベルの高さだとか表に出ている部分だとか大変評価が高いわけで、また詩人で有名な宮沢賢治などが泊りがけで若い頃に研究に来たりだとか、そういった事象もありますし、そういったことも含めて秩父の観光に相当役に立つ。また地質学上も改めて大きな評価をいただいたわけですから小学校なんかの修学旅行だとか中学校などの修学旅行、あるいは県内の遠足なんかにも相当活用できる。社会科見学的な遠足というんでしょうか、そういうものにも活用できると思いますし、秩父市が中心となって組立をしていただく訳ですが、県としても最大限に援助をしていったり、あるいはPRの部分に関しては秩父市以上にPRの努力をしていきたいと思います。

H2Aロケットの打ち上げ成功について

テレ玉

国産初の商業衛星H2Aロケットが打ち上げに成功しましたけれども、県としても航空・宇宙産業に力を入れていると思うのですけれど、現在の進捗状況というのはいかがなのでしょうか。

知事

今、各分野別で言うとこの分野はまだ具体的にそんなに進んでおりません。その材料で使われるナノカーボンなどの素材の一部商品化だとかそういったものが今進んで来ております。そういったものが今後、航空機、あるいは宇宙ロケットなどに活用される可能性が相当高いと思っています。軽さだとか熱の伝わり方だとかあるいはまた燃えなかったりするので、内部の火事、火災というものにも非常に強いとか、素材としてそっちの方の研究は進んでいますが、直接じゃあ故にすぐロケットかというところまでは行っておりません。

埼玉大学との共同意識調査結果について

埼玉

先日、県と埼玉大学が共同で行った住民意識調査について伺いたいのですけれども、定住要因として交通の利便性や病院が近くにあることが挙がりました。知事としてこれをどう受け止めていて、今後どのように政策に反映させていくのかお聞きしたいと思います。

知事

ある程度の定住促進のための条件というのは一定程度決まっている訳ですけれど、具体的な市・町を対象にして綿密な調査をしていただいていますので、この類似の市・町もそれを応用でき易いという意味では大変意味のある精密な、綿密な調査の結果だったというふうに理解しています。当然、今後の県北の振興だとか人口減に見舞われているところの市・町の振興、あるいは現在大詰めのところにまで来ておりますけど5か年計画(後に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に訂正)等についてもこういったものが加味されていく。また、計画そのものだけでなくて、随時今後の県の政策の中でそれが取り入れられていくということについては間違いがない、こんなふうに思っています。

大阪のダブル選挙について

朝日

先日の大阪のダブル選で維新の会が圧勝した結果についての受け止めと、県内でも維新の党から大阪に移るという方もいるみたいですけれど何か影響など、埼玉への影響というので考えられる部分があればお願いします。

知事

後段の部分で直接的に埼玉に何か影響があるというふうにはあまり思っていません。ただ今後の野党結集を巡る再編成に関しては何らかのかたちで全国的に影響を与えていくのではないでしょうか。特に「おおさか維新」という、何て言うのですか、原点に回帰された時の強さというのが、やはりテーマがはっきりしているのでクリアなかたちでの論争の中で評価を受けた。橋下さんという稀有なリーダーの存在が光ったのではないでしょうか。例えば維新の党をぶっ潰してでも、大阪だけに専念するというこの割り切りの良さと言うのですか。大阪だけをテーマにすれば、やはり大阪の方は喜びますから。「どこにも目はありません、大阪だけです」と、これだけ言い切る人は中々いませんから、やはり強いですよね。そこまで言い切って頑張る。また府知事候補の松井現知事も大阪市だけしかやらなかった、もう優勢であるということが分かっていたから。普通だったら一回りしますよね、1回くらいは。それもしない。大阪市がリードと言ってもそんな強いリードでないということが分かれば、それを徹底して勝利に導くというね。この執念。政治家としては卓越したリーダーシップではないでしょうか、そういったところが感想ですね。

茨城県教育委員の発言について

朝日

他県の話で恐縮なのですか、知事のご所見があればお聞かせください。茨城県で教育の総合会議で、委員の方が、障害者の方の話で「出産前に障害自体が分かるようにならないか」という発言があって、その方、結局委員を辞任されるという話になりましたけど、茨城の知事が、全てではないという話はあるのですけれど、「問題ないのではないか」という見解を示されて、そのあと撤回されるという動きがあったのですけれど、茨城県の知事とは面識もお有りだとは思うんですけれど、こういうような発言なりがあった動きに対して知事はどういうふうに見られていたかとか、もしありましたら。

知事

発言の内容がきちっとはメモされていませんので、間違うと大変なことになりますので、コメントはあまりしたくないですが、決して障害を持つ人を差別するとか、あるいはそれに関わっている人を差別するとか、そういう考え方はなかったはずだと思います。少なくとも公職にある人達はそういうのをクリアして仕事をしてきたはずです。しかもあの方は長くやっていらっしゃいますから、そういうことはないのではないかと思います。基本的にはそういう認識です。それでもこの話の中で、悪い意味で言うのではなくて、やさしく同情される形の中で、結果的にそれが差別的に聞こえたりすることがあるかもしれません。そういう範疇だったのかなというふうに私は理解しています。

(終)

平成27年11月17日(火曜日)

奇跡の人ヘレン・ケラーが尊敬した塙保己一 塙保己一大賞決定!
政治倫理条例について
パリにおける連続テロ事件について
フリースクール法制化の自民党容認について
精神医療センター職員の懲戒免職処分について
政治倫理条例について(2)
民主党・維新の党の解党等について
知事発表
奇跡の人ヘレン・ケラーが尊敬した塙保己一 塙保己一大賞決定!

奇跡の人ヘレン・ケラーが尊敬した塙保己一 塙保己一大賞決定!についてのパネル(PDF:902KB)

知事

こんにちは。本日は奇跡の人ヘレン・ケラーが尊敬した塙保己一の名前にちなんだ塙保己一大賞の決定についてご報告したいと思います。まず、大変難しい字ですが、塙保己一という方はどんな人なのか。埼玉県が誇る偉人の一人でありますが、江戸時代後期に活躍した国学者であります。現在の本庄市児玉町に生まれて、7歳の時に失明をされましたが、我が国の文学・歴史研究に不可欠の文献を、全国に散逸していた文献をいろんなルートを介して集めて、そしてそれを収集し、666冊の巻にまとめて、群書類従というかたちで編集して、しかもそれを出版したという大変な偉業を成されております。その群書類従は今日も、日本の文学や歴史を研究される方にとっては大変貴重な文献になっております。ヘレン・ケラーさんはご案内のとおり、三重苦と言って、奇跡の人というかたちで、世界中が尊敬された方でもありますが、実は日本の塙保己一の存在を当時の家庭教師に教わって、まだ見ぬ尊敬する人というかたちで、大変敬愛されて、日本に1937年に初めて来られた時も埼玉会館、今の埼玉会館ではありません。その前の埼玉会館で講演をされて、「今の私があるのは、苦しい時でも、塙保己一先生を目標に頑張ることができたからです」ということを講演の中でも言われたくらい、塙保己一を尊敬され、そして渋谷に塙保己一の(編纂した)群書類従の本物があります、温故学会の建物の中も訪問されたぐらいで、二度(後に「三度」に訂正)日本に来られて、そのうち二度何らかのかたちで、塙保己一の関係のところを訪問するくらい大変敬愛されていた方であります。そこで埼玉県はこの塙保己一にちなみ、障害があっても不屈の精神で努力をされて活躍をされた方、そしてまた、そうした方達を支援されている人並びに団体・企業などを表彰して、まさに障害者の皆さんたちを励まそうという意味で、平成19年度から塙保己一大賞、あるいは奨励賞・貢献賞などを発表し、表彰してまいりました。これまで33人・団体を表彰してまいりました。今回は大賞として笹川吉彦氏、視覚障害1級で82歳の方でありますが、視覚障害者の転落防止用ホームドアの設置に大変尽力があった方で、一種の基準も作られた方であります。一部バラバラだったものに、特に東京オリンピック・パラリンピックに向けての案内点字ブロック(後に「室内点字ブロック」に訂正)の基準づくりなんかにも貢献された方でございます。奨励賞は視覚障害1級の方で、滋賀県の彦根市在住でありますが、バングラディシュ出身で、初の海外出身者の受賞ということになります。支援組織を設立されて、バングラディシュの視覚障害者に対して奨学金を提供されておられる方であります。貢献賞は日本点字図書館という社会福祉法人の団体に差し上げることになりました。本格的な点字図書館を造られ、また全国の点字図書を扱う施設等が加盟する情報ネットワークを整備されて、まさにここなくして点字図書館はあり得ないという、そのネットワークの中心にあるところでございます。
これに合わせて一般的な表彰式で終わるのではなくて、記念コンサートを始めいろいろな企画を同時並行して行っております。
例えば第6回障害者アート企画展「Discover あなたも見つけに」というかたちで、1000を超える応募から、選りすぐりの作品300点を展示して、アーティストと支援者が作る美術展というかたちで、大変質の高い美術展になっております。近代美術館で12月16日から20日までの間、行ってまいります。
それから障害者のダンスチームでございます。有名なダンスリーダーの近藤良平さんが指導されておりますハンドルズ。まだ半分だよというかたちで、「いつまでも親のすねはかじれない」というタイトルで、カリスマ、コンドルズ主宰の近藤良平さんによる演出・振付。そして共演で、メンバーはダンサーとして、役者として著しい成長を遂げていらっしゃる障害者の方々ばかりで編成されております。これが彩の国さいたま芸術劇場小ホールで、12月5日土曜日に午後3時から開演でございます。毎年このような企画をやっております。
(塙保己一賞表彰式後の)記念コンサートでは片岡亮太さん、全盲の和太鼓の方でございます。山村優子さん、ジャズフレンチホルン。この方は健常者でございますが、夫婦だそうですけれど、この組み合わせで、当日、本庄市児玉文化会館セルディホールで、表彰式の後に記念コンサートが行われる予定になっております。ただし、無料でありますが、事前の申し込みが必要でございます。以上、塙保己一賞表彰式並びに記念コンサート、企画展としての障害者アート企画展、あるいは障害者ダンスチームによる舞台公演など盛りだくさんでありますが、また、今月は障害者の月間(後に「12月3日から10日は障害者週間」に訂正)でもありますし、障害者の方々の才能を発掘したり、あるいは障害者の方々の社会参加をより盛り上げるための企画があちらこちらで行われておりますので、是非、メディアの方々にも取り上げいただきたいし、県民の皆様にも是非こうしたものを見ていただいて、すばらしい障害者の活動があるということを知っていただきだいと思っております。

NHK

今月が障害者福祉の月間ということですか。

知事

12月3日からの1週間が障害者週間です。

NHK

埼玉県独自の取組なのか、国を挙げての週間なのか。

知事

各市町村でもいろいろな取組をやっておりますが、埼玉県も障害者のつどいを狭山市で行う予定になっております。国全体の取組でもあります。

幹事社質問
政治倫理条例について

NHK

今年8月の知事選後にですが、知事から検討課題として政治倫理条例についての言及がありましたけれども、12月定例会を控えて議会への条例案の提出について、現在の考え方を教えていただければと思います。

知事

各会派の皆さん達と、自民党も含めて、いろいろな意見を聞きたいということでお話合いをさせていただきました。自民党の会派からは見合わせていただきたいということで会議ができませんでしたが、それ以外は会合が出来まして、その時の案で、多選自粛条例を守ることが出来なかった、しかし、趣旨はもともと「清新で活力のある県政」を作るというのが趣旨ですので、それに代わるものを作ればいいじゃないかという意見の中の一つとして、「政治倫理条例などはどうだ」というお話が出ましたので、「ああなるほど」というふうに受け止めたりもしました。その後もいろいろなお話があって、例えば「情報公開なんかをもっと趣旨徹底していけば、その分だけ清新で活力のある県政なんかができるではないか」というお話があったりしました。
政治倫理条例は、例えば職員の倫理規定規則があったり、あるいは議会でも政治倫理綱領があったり、知事本人を縛るだけの政治倫理は自明の理みたいなところもありますので「清新で活力のある県政の効果としてはいかがなものか」という声もちょっと出たりしております。そういう諸々の声を全部整理して、何らかのかたちでそれが条例に似つかわしいのかどうかも含めて。例えば現在の情報公開の枠の中でも、もっと情報公開ができるものがないのかどうかとか。そういうのも精査して、より清新で活力のある県政を作るために必要なものを何らかのかたちで、どのようなかたちで出すかはちょっと別にしても提案してみたいと思っています。

NHK

それはもう12月の定例会でのアクションとして提案したいと。

知事

そうですね。その定例会の案になじむのかどうかはまた別問題ですけれども。通常のアピールとして記者会見をするとか、そういう内容かもしれません。条例になじまないものもあるかもしれませんので。条例が目的ではありませんので。「清新で活力のある県政」を作るというのが目的ですので。条例も含めてどういうことが可能かちょっと考えております。

朝日

条例の件なのですけれども、一点ご発言の中で「効果としていかがなものかという意見もあった」とお話があったかと思うのですけれども、それはもう少し具体的に言うとどの辺が「いかがなものか」ということなのでしょうか。

知事

まあ政治倫理条例ですので、何らかのかたちで私自身の政治倫理を縛るものでありますので、どの程度内容があるかということを少しチェックしたら、あまりないような状況がある程度判明しました。例えばもうすでにいろいろなことをやっておりますので、それに加えるものがそんなにあるのかどうか。親戚縁者が例えばこの何らかのかたちで入札とかに参加しないとか、じゃあ親戚縁者がそういうことをやっているかというと誰もやっていませんので、土台ない話ですので、ない話を作ってもしょうがない。そういう部分が結構一般的に例えば政治倫理条例なんかの各市なんかでやっているやつをピックアップしたら、あまり私と関わりのないことが多いもので。そういう意味ではあまり意味がないなあというふうに判断もさせていただいたところです。そういう趣旨です。

朝日

今の段階では知事として、前回定例会が終わった段階でのぶら下がりでは条例というところのお話があったと思うのですが。

知事

そうですね。去る県会議員お二方から、「政治倫理条例なんかいいのではないか」というようなお話があったので、「そうですね、それはいいアイディアかもしれません」ということで受け止めました。そういう話をぶら下がりか何かでお話をさせていただいたような気がします。ただ、具体的にそれを他のところなどの政治倫理条例なんかを見ていますと、何か不祥事があって、その不祥事に関連するかたちで、チェックをするというような話が多くて、何というのでしょうかそれに類するものが私自身にあまりないというのでしょうか、あるいは私の周辺に。だからそれを作っても「意味のないものを作っているね」ということで批判される可能性もあるのかなと、そういうふうな感じを持ったりもしました。ただ「全くそれは意味がないと言えない」という判断もあるかもしれません。ひょっとしたらそういう親戚が出てくるかもしれませんので、今後ですね。子供たちで結婚していないのもいますので、ひょっとしたらそういう親戚が出てくるかもしれませんので。その時には何か有効になるのかもしれませんが。ただ、現時点ではなかなか項目を見ているとあまり参考にならないという感じがしました。

朝日

確認になるのですけれども、現段階では条例というものは、あくまで目的ではないと先ほどお話があったかと思うのですけれども。

知事

それはもう最初から条例が目的ではありません。自粛条例を守れなかったという事実があるわけですから。その自粛条例とは何だったのかと第一条の目的が、「清新で活力ある県政」に努めるという。この目的を達成するために、それに代わるものを何らかのかたちで打ち出せばいいではないかという議論がありましたので、これはもう選挙前からそういう話も出ておりましたので、そのことは少し意識の中にありますので、まあそれを移管して、何らかのかたちで出したいなという思いはあります。

朝日

ちょっと意地悪な聞き方かもしれないのですけれども、要は後退したという訳ではなくて、「何か他の手段がないか」というところを今後模索していくというようなことでしょうか。

知事

後退とか前進とかではないのですが、まあ要するに第一条の目的を達成するためにどんな方法があるのかということで、提案があったのが政治倫理条例という提案でした。しかし、政治倫理条例というのは規範の条例で「清新で活力のある県政」というものとはちょっと違う感じもニュアンス的にはあります。これも指摘されました。やはり議会人から。「ちょっと違うのではないか、もうちょっといいネタがないかな」とか。そういう中の一つとして「情報公開の徹底」なんかというのは間違いなく県民がよりたくさんアクセスできますよね。そうすることが活性化につながるのではないかと、そういうお話がでました。そういう案なんかもちょっと念頭に置いて整理しているところです。

読売

今の質問に関して確認なのですけれども、じゃあとりあえず現状としては政治倫理条例というかたちでは、次の議会では出さない。で「情報公開の徹底」とかですね、別の手段によって「清新で活力のある県政」を目指すというふうなお考えに立っているということなんですか。

知事

そうですね。今の時点で、政治倫理条例で「清新で活力のある県政を作る」という目的に合うような条項をちょっと見出しておりません。少しチェックをしましたけれど。そうすると目的外の話になってしまうかなという感じがあります。それ以上に勝るものがあるような気もいたしますので、元々の目的に合わせたかたちで政治倫理条例に勝るようなものがあれば、そちらの方を選択すべきかなというような感じ方を持っています。

埼玉

今のお話で「清新で活力のある県政」とは知事ご自身に当てはめるものなのか、それとも都道府県知事などにも広く当てはまるものなのか、その辺は何かこう煮詰まっているのでしょうか。

知事

これは一般的にそうではないでしょうか。第一条の目的はそうかもしれません。で、その手段の一つとして自粛条例だったのですが、それは公選法の規定や、職業の選択の自由という憲法の規定上難しいので、私一人に規定をさせていただいたという経過がございます。若干無理筋の条例であった。ただ、「清新で活力のある県政」を求めていくというか、努めていくというのは大事なことだというふうに思っていますので、このこと自体は一般論として、どなたにでも通用する大事なことだと思っています。

その他
パリにおける連続テロ事件について

NHK

パリでのテロ事件が起きましたけど、あの事件を受けての受け留めと、それから県内の警備を強化するとか、何か動きがあれば教えていただければと思います。

知事

断じてテロは許される手段ではないというふうに思っております。ただ一方日本国は、一種のキリスト教対イスラム教というこの対立概念を超えたところに日本というのは存在しておりますので、なんらかのかたちで基本的にはテロに屈しない、あるいはテロは許されないという判断をしながら、もうちょっと日本として、なかなか今の政治状況では難しいのかもしれませんが、仲介というんでしょうか、なんらかのかたちで憎しみの連鎖みたいなものをちょっとでもストップをかけるような、そういう動きができる国々というのはもう数少ないと思うんですね、そういう中の1つではないかと私は思っていますので、そういう取組なんかもなんらかのかたちで政府の方針としてもやっていいんじゃないかなとそういう感想を少し持っております。これが1点です。
それから警備に関してはたまたま今日庁議のほうで県警本部長のほうから、東京オリンピック・パラリンピックあるいはラグビーワールドカップに向けてのテロなどに対する一種のブロック体制を官民挙げて連携活動しなければいけないという問題提起をされて、今後そのための組織を作ることについての協力要請がございましたので、当然、そういうことについて官民挙げて、どんな連絡体制が必要なのかとか、チェックポイントがどこなのかとか、これはやっぱりプロの目と素人の目では全く違いますので、そういったところを、ライフライン関係であるとかスポーツ関係であるとか、施設管理関係の民間企業であるとか、いろんなところにそういうものを一緒に学んでいいただいて、連携がスムーズにいくように、もちろんブロックが一番大事なことですが、仮に起きた場合でも最小限度に食い止めるための、被害だとか物事の拡大とかを最小限度に食い止めるためにはどうすればいいのかとかをしっかり学ぶための組織づくりをやろうというご提案がありました。たまたま今日の話が回答になるのかなと思います。

フリースクール法制化の自民党容認について

埼玉

フリースクールの法制化についてお伺いしたいのですが、不登校の子供たちがフリースクールなんかで小中学校以外の教育を受けた場合でも、義務教育の終了を認めるという議員立法を自民党の議員連盟でまとめましたけれども、来年の通常国会で通過すれば早ければ2018年の4月からそういう制度が始まるということですけれども、この点に関して知事のお考えはどうでございましょうか。

知事

フリースクールで義務教育と同じようなかたちの仕組みができあがることは、否定はしません。ただ、本論ではないと私は常に思っております。本来学校で受け止めるべきだと思っております。学校の方が人数も多いですから、いろいろな多様な考え方を学ぶチャンスにもなってきますし、また社会人になる過程の中でも多様な訓練と多様な空間というのは必ずや生きるはずだと思っています。そういう点ではフリースクールは比較的少人数と非常に小さな空間でもありますし、施設等々に恵まれているわけでもありませんので、そういう点で課題があると思っております。
ただ、そこでしか学ぶことができないという極限状況に置かれている人にとって見れば、最後の命綱みたいなところもあるわけですから、それまでも私は否定しているわけではありません。ただ安易にあっちに送ったらどうだという考え方は良くないと思っております。やっぱり小・中学校は義務教育ですので、基本的にはしっかりと受け止める努力がなされるべきだというふうに私は思っております。そういうぎりぎりの判断をされたことも私は、それはそれで評価をしたいと思っております。

精神医療センター職員の懲戒免職処分について

朝日

別件なのですけれども、病院局で県立精神医療センターで職員が懲戒免職されたというふうに聞いたのですけれども、不適切な患者との関係ということだと思うのですが、それに関して公表されていないと思うのですが、懲戒免職を。改めて公表されなかった理由と、警察に告発されていない理由と、あと知事のご所見に関して伺いたいのですけれども。

知事

病院事業管理者の方から報告がございました。病院局に勤める職員が不適切な行為を未成年の少女にしたということについて報告がありました。もちろん即懲戒免職であります。許される行為ではないというふうに思っております。また、そのような職員の監督責任ももちろん病院局にありますし、間接的には全体の執行者である私にもあるというふうに大変残念に思いますし、お詫びもしなければいけないと思っております。
ただ、ご家族に希望がございました。まだ未成年であること、将来の大変ある方でもありますので、いろいろなかたちで相談をされた結果「公表を避けていただきたい、そして刑事告発もしないで内部的に弁護士を通じて(後に削除)処理をさせていただきたい」というご家族の強い希望がありましたので、そちらの方の判断を病院局としては受け止めるというふうに判断をして、私のところに報告も来ました。私もご家族の判断が優先されるべきだというふうに思いました。そんなふうに思いましたので、病院局の判断を是として受け止めさせていただきました。そういう意味で公表を避けたところでございます。以上です。

朝日

確認なのですけれども、それで公表されなかったということで警察への告発についても、本来はその義務もあると思うのですけれども、それよりも被害者の感情を優先したということになるのでしょうか。

知事

はい。未成年者であるということと、実際の被害者ということで、精神的な動揺だとかそういったときに、最終的な判断はご家族がされるかたちになるのかなというふうに受け止めざるを得ないと思います。そのご家族の判断を最優先するというのが、こういうときには一番適切なのかなというふうに私は思っております。どうしても刑事告発だとかそういったかたちになってくるとプライバシーが見えたりしますし、特定化されたりして逆に(被害者の)将来の方に悪い影響があるという。そういうご判断をご家族はされたというふうに受け止めて、それを是としていく以外私たちの判断は無いような気がいたします。「いえ、これは警察に届けるのが筋ですよ」というような筋論をとても言えるようなものではないような気がします。

政治倫理条例について(2)

日経

先ほどの条例の話に戻るのですけれども、先ほどご自身に関わりのない部分が多いので、あまり出す意味がないのではないかというふうにご判断されているということですけれども、これはこのまま政治倫理条例的なものを作って議会に示してもなかなか理解を得られるようなものにならない、という議会だったり県民の理解を得られないというふうにご判断をされたという理解でよろしいでしょうか。

知事

まだ最終的に判断したわけではないんですね。過去にある、他にある政治倫理条例なんかを参考に見ていると、どうも質というのでしょうか、今回の案件とはちょっと違うなというふうに思いました。一般的に不祥事が起きた後にそれをブロックするためのかたちが圧倒的というのでしょうか。そういうかたちになっておりますので、普段からの政治倫理条例、私自身を罰するようなかたちの政治倫理条例というのは、ある程度例えば交際費が全面公開であるとかいろいろなかたちの中で、もう既にある程度あるんですね。故に、例えば親族が関わらないようにするとか言っても、じゃあ親族で事業している人がいるかといったらいないとか、なんか無いんですね、そういう項目が極めて少ない。あるものは「もう既にやっている」というようなことで、ちょっとこう苦しい。極端なことを言えば、物事が十本あれば、半分ぐらいはあまりそぐわないもので、そのうちの半分ぐらいはもう既にあるものと、じゃあ残ったものを出すのにどれだけの意味があるんだということの方がちょっと課題があるのかなというふうに、今そんなふうに思っております。ただ、分かりません。もっと良いアイディアが出るのかどうか、それも含めて検討している最中です。

民主党・維新の党の解党等について

埼玉

民主党のことでお考えをお伺いしたいのですが、党内で維新との統一会派を優先すべきという意見や解党して出直しというような意見が今噴出しているようですが、知事ご自身は自民一強に対するにあたり、どのようなスタンスで臨まれたら良いのかとお考えがあったらお願いします。

知事

自分の政治信条ですが、政権交代可能な民主主義というのが世の中を良くすると思っていますので、一強は良くないという判断をしております。常に緊張感があることが良いことだという。これはたぶん一人一人の政治家に聞いたり、一人一人の政治学者だとか政治評論家に聞けばみんな同じことを言われるのではないかと思います。だから特に変わった話でも何でもないと思っています。そういう努力を松野氏などは「年内に百人クラスの衆議院の勢力をつくる」ということを以前から言っておられた。それには民主党を解党してもらったらやりやすい。そういう考え方の方がおられる。一方では、そんなに一つ一つ積み上げて来たものを簡単に壊すものではないという議論をなされる方もおられる。政治状況がそういうものを決めていくのではないかと私は思っております。両方とも正論でしょうから。両方とも正論の時にはどちらが選ばれるかというのはやはり政治状況がそれを選択するというふうに思います。そんなふうなかたちで判断が最終的にはなされていくのではないかと思います。特に多くの人に結集してもらおうと思ったら、もう白紙にしたら結集しやすいですよね。維新の党の方も、大阪と維新の党の中間にいらっしゃるような人たちとか。あるいはみんなの党が解党して宙に浮いている人とか、そういった人たちも参加しやすいですよね、白紙になれば。ただ、白紙からスタートするということがどれだけまた困難なのかというのはまた大変な話でもあります。そういうことも考えれば、例えば新進党が崩壊して旧民主党、民社や民政党が合流した現在の民主党ができた時、ある意味では旧民主党に合流した部分が白紙よりも良かった部分があったのかもしれません、その当時は。その当時の鳩菅新党と言われた民主党にそんなに拒否感が世間的になかったですから。それをまた羽田孜先生や鹿野道彦先生など保守の人たちが入って厚みが出るというのでしょうか、それからまた民社系の人たちが入ることで、いわゆる同じ連合でも民間労組的な要素の強い人たちが入ってきて活力が出るというそういう要素が加味されていってプラスだったのではないかなと思います。それと比較した時の今の民主党はどうなのかというのはやはり判断であると思います。なかなか今拒否力がまだ高くてちょっと苦しい。そういう状況もあるので、白紙にした方がやりやすいのではないか。そういう議論も出てくるのはやむを得ないのかなと思っています。ただ白紙にするとそこからつくってくるのがまた大変だ、そういう問題がどうしても出てくる。そういうAとBの選択の中でどっちを選択するかというのがやっぱり政治状況だというふうに思っています。あの当時はまだ切迫感が無かったのですけれども、今はやっぱり時代のテンポが速いですから、早く政治の課題に取り組まないと間に合わないですよね。いろいろな出来事が速いテンポで進みますから。
だから、そういう部分を加味して最終的にはそういう政治リーダーの人たちが判断することではないかと思います。中途半端なことしか私も言えませんが、最終的に決めるのは政治状況かなと思います。

(終)

平成27年11月10日(火曜日)

旭化成建材に関する「杭工事110番」の設置について
埼玉県のグローバル人材育成
旭化成建材のデータ流用問題について
県警と市町村の連携強化の取組の具体的内容、時期について
ムサシトミヨの大量死について
国民連合政府構想について
知事発表
旭化成建材に関する「杭工事110番」の設置について

旭化成建材に関する「杭工事110番」の設置についてのパネル(PDF:196KB)

知事

こんにちは。今日はグローバル人材の育成についての報告の予定でしたが、それももちろんやりますが、旭化成建材に関する問題が県民に不安を与えておりますので、もうすでに関係の県営東宮下団地の方では住民説明会などを開いておりますが、そこに参加できなかった方々もおられますので、そのフォローの意味も含めまして、旭化成建材に関する「杭工事110番」を設置することに致しました。
この図にありますように県民の方で旭化成建材に関する工事に関して不安のある方々に対してワンストップで相談の窓口を作ろうというかたちで埼玉県庁の都市整備部建築安全課が窓口になり、そして川越建築安全センター、熊谷建築安全センター、越谷建築安全センターの3カ所を含めて4カ所が窓口になって対応することに致しました。具体的にはどういうことになるのかと言えば、建物の不具合に関することについて、ただし場合によっては県のいわゆる権限外である12の特定行政庁、例えばさいたま市であるとか川口市であるとか川越市、所沢市、熊谷市だとか、いわゆる大所の市などでは、独自に権限を持っていますので、場合によってはそちらの方で調査をしていただいたりする場合があります。また、施工状況に関することであれば元請業者にまた県として改めて確認をしたりしますので、ワンストップではありますが内容によっては若干折り返しの時間がかかる場合があります。まあできるだけ早急にお答えをしたいと思っています。そして、まあこういうことでありますので購入した時の様々な課題などでの法律相談などについては「住まい相談プラザ」。これは住宅供給公社の中にある訳ですが、こちらの方に問合せを県として斡旋していく。あるいは「公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター」などを斡旋したりしながら、県がそれを一括的に受け止めながら関係機関と連絡をしながら着実に旭化成建材に関する「杭工事110番」の設置を通じて、県民の不安を一掃していくという。こういう中身を作りましたので、県民の皆様方にご案内を申し上げます。もちろん、県庁の代表電話で「建築安全課」と言っていただければそれでも繋がるようにしておりますので、このようにご理解を賜りたいというふうに思います。以上、旭化成建材に関する「杭工事110番」の設置について申し上げました。

埼玉県のグローバル人材育成

埼玉県のグローバル人材育成についてのパネル(PDF:890KB)

知事

本題であります。埼玉県のグローバル人材育成についての現況と最近の展開などについてご報告をしたいと思っております。基本的には日本から海外への留学生の推移ですけれども、平成16年がピークで後は急激に少なくなっている状況がございました。平成16年のピークから比べると3割ほど減っております。ちょうど私、この頃にこのデータを見る機会を得ました。「これではいけないな」というふうに思いました。財団などの金利が低下することで10人送れるところが1人しか送れないとか、そういう状況になったり、それから折からの財政が厳しい状況の中で、企業あるいは自治体、政府などの奨学に関する費用を削減するという状況の中で、こうした留学生の数が減ってくるという、世を挙げて「グローバル時代」と言うのに、グローバル人材そのものは減っていくという、こうした相反することが起こっておりましたので、「これはいけない」ということで埼玉県は23年の段階で「埼玉県グローバル人材育成基金」に10億円を用意して、6年間の使い切りを予定しながら、徹底して海外へ留学生を送りこもうということを考えました。その理由は、例えば各種成長政策の長期的効果を試算したものが、経済産業省の経済産業研究所の副所長であります森川さんが「成長戦略の経済分析」で、例えば研究開発投資に対して(後に「の投資額を」に訂正)GDPを1%それに投資すれば、(後に「に対して」に訂正)1%上昇させれば(GDPを)0.3%上昇できる。あるいは25歳から44歳までの女性の就労率を5ポイント上昇させれば0.2%上昇する。法人税率を10%引き下げれば0.1%程度GDPが上がる。TPPも0.1%弱GDPが上がる。これに比べて学力の世界トップレベルの上昇を行えばGDPの寄与は0.6%で抜群に効果がある。つまり「教育が最大の投資」だということを森川さんの分析などで明らかにされていることなどを鑑み、埼玉県として「グローバル人材育成基金」を通じて大々的にグローバル人材の育成を行うということで、スタートをさせていただきました。
平成23年に県が10億円を出資して創設して、幅広にグローバル人材を育成しようということで、奨学金を出して、あるいは県立高校生をハーバード大学等へ短期派遣をする。あるいは中小企業の若手社員の海外研修支援などを行うという。この3つのパターンを考えてスタートさせました。
私たちは「ただ送りこめばいい」ということではなくて、留学前にも留学の裾野を拡大するようなかたちで、例えば「留学フェア」ということで留学関連の最新情報を12月19日に提供をする。それから、一種の特訓ですね。(グローバル)キャンプを埼玉で行う。実際、国際関係等の講座や日本文化の体験を英語漬けで4泊5日の疑似留学。まあ駅前留学ではありませんが、「埼玉留学」でしっかり基礎学力をつけていただく。
そして留学をしていただく。この23年からの5年間で1,400人の留学生を派遣しております。4つのコースで応援しております。学位取得コース、大学生等の協定・認定留学コース、理系学生の理系短期留学コース、あるいは高校生の留学コース。こうしたかたちで毎年280人前後の学生たちを送り込んでおります。自治体ではもうトップクラスではなくてダントツのトップの規模でやっております。
留学後の帰ってきてからも、それで終わりということではなくて、インターンシップを中心に様々な支援を行っております。特に就職面接とインターンシップの説明を一体化した「ジョブフェア」を行っております。海外に拠点を持つ企業の方々と、そしてまた海外の拠点を持つ企業などでインターンシップをしていただいたりしながら、実際の就職面談などを行っていく。それから、県内企業等の理解を深め、将来のキャリア形成の参考となるように就業体験を行っていただきます。この場合も県内企業の配慮を、例えばホンダであればオハイオに行って2週間ほど現場で勉強してくるとか、あるいは海外のジェトロで勉強をしてくるとか、県内企業の海外拠点などにまた改めて行って実際の仕事をしてくるとか。そういうかたちで、(後に削除)留学して学んだ部分と実社会でまた学んだ部分を併せ持ちながら、結果的にこれは埼玉県の税金を使った育成資金ですので、できれば県内の企業に就職していただく場合がありがたいということもあり、県内企業の中でも海外に拠点を持つ企業とのインターンシップ、あるいは就職の面接と一体化したかたちでの「ジョブフェア」などを展開しているところでもございます。そしてまた、埼玉大学と連携して、グローバル・リーダー研修などの講義も受けていただいたりしながら、さらに磨きをかけていただくというかたちをとっております。
実は、こうした埼玉県の取組に関して民間側からも支援の輪が出来てきております。FMナックファイブでは高校生の海外スポーツ研修をサポートしていただくかたちになりました。参加者8人の費用を負担していただいて、埼玉県のオーストラリアの姉妹州でありますクイーンズランド州でスポーツ研修と地元高校生との交流をやっていただくための費用を出していただいております。
ニッシン・ブレーキ・オハイオが機械工学系のスカラシップを行って、学生2人に2万ドルの奨学金を出していただいて、フィンドレー大学での授業プラス現地工場でのインターンシップ。フィンドレー大学で具体的に理学、座学(後に削除)を学びながら、同時にニッシン・ブレーキの工場でインターンシップを行っていただく。その費用を2万ドル出していただく。こういう仕組みができております。ただし、機械工学系というかたちで、それでもし気に入っていただければまたニッシン・ブレーキの方にお誘いがあるのではなかろうかと思いますし、また学生の方もここが気に入ればぜひニッシン・ブレーキへという、企業にとってもメリットのある仕組みだと思っております。
また県立浦和高校の同窓会でも海外留学のための奨学金を出すための奨学金財団の設立をしまして在校生や卒業生に奨学金を支給する仕組みを作りました。このように追い風が出てきております。
今度、11月16日に具体的に協定を締結するわけでありますが、国際交流基金と新たな連携がスタートいたします。これまでも連携した部分があります。国際交流基金の1つのセンターであります日本語国際センターが北浦和にあります。こちらの方で「ワンナイトステイ事業」ということで日本語国際センターで研修する海外の日本語教師が県内でホームステイをするようなことについての取組を埼玉県とこの国際交流基金とやっております。海外に22の拠点21か国にそうしたワンナイトステイ事業を展開しているところでございますが、そうしたところで(後に「また海外21か国に22の拠点があり、」に訂正)例えばさいたまゴールドシアターがパリ公演をする時に一種の共催をしていただいて、いろいろな支援をしていただいたりしております。
今後、国際交流基金が「日本語パートナーズ派遣事業」というものをしていかれるわけですが、中身は東南アジア地域へ大学生やシニアを現地の日本語教師のアシスタントとして派遣する。つまり、日本語教師の助手として派遣をいたします。派遣期間は6か月ないし10か月です。で、インドネシア、タイ等でその枠を埼玉県枠ということで10人用意をしていただきます。現在こういう県単位で枠を持っているのは福岡県、そして今度埼玉県ということになりますが、いずれにしても海外で学生あるいはシニアが日本語教師の責任ある立場ではありませんが、日本語教師をアシストするアシスタントとして、この国際交流基金が派遣をしてくれる。6か月ないし10か月。もちろんこれは国際交流基金が全額費用を持つわけですが、こういう機会を通じてまさに国際人になるチャンスが与えられるということで、この日本語パートナーズの派遣事業にも埼玉枠が作られますので、この埼玉枠を埼玉県の中でもしっかり確保していこうと思っております。その他の連携としては、今後2020年東京オリンピック・パラリンピックなどに向けたスポーツ交流や観光・文化情報の発信事業などで国際交流基金と今後どのような連携ができるかをしっかりと検討しながら、可能なだけ活用していきたいと思っているところです。
東京都や大阪府なども最近増えてきましたが、まだ150人とか100人という規模です。(後に削除)以上、報告を申し上げました。

NHK

今の知事発表につきまして、杭工事110番に関して3点質問させていただきます。1点目なのですが、110番設置の背景と目的、それから対象者についての想定、どんな人に向けたものかということについて改めてよろしくお願いします。

知事

全ての方になるのかもしれませんが、基本的には旭化成建材に関するということになります。ただ、「うちはどうなんだ」という問合せなどがたぶん来ると思いますので、それについては元請業者の確認ができないとどうにもなりませんので、そういったことを確認して、あるいは確認していただくとか、そういうこともあるかもしれません。そういうかたちで対応していきたいと思います。
いずれにしても埼玉県では、現在のところ、先週も発表させていただきましたが、埼玉県の県有施設に関しての部分だけは、(「旭化成建材(株)が杭工事を行った県有施設に関する調査の進捗状況」のパネルを持ちながら)6か所の9件のチェックをして、先週はこの2つが調査中だったのですが、調査を終えて、データの転用があることがはっきりしたので、現在、どういうかたちでそういうデータの転用があったかということの経緯についての調査を行っているところでございます。その他のところは基本的には無しということですが、1か所浦和東警察署の新築電光表示装置の設置工事に関しては、まだ調査中でございますが、こういうところで、特に東宮下団地では多くの住民の方々が不安を持っておられますが、説明会に全ての住民の方が参加しておられませんので、そうした方々の不安にまずは応えようというかたちで、「いつでも対応しますよ」というのが一番目の主眼であります。そして、民間レベルで当然旭化成建材を活用した建物もあると思われますが、現在のところ、まだ埼玉県分が明らかになっていませんので、今後明らかになった時点でもいろいろ問合せがあるだろうということを予測して、その体制を作ったところでもございます。いずれにしても、我々が意図した所以外の話も出てくるかもしれませんが、それはもう、通常からいろんな相談窓口として、こういうものがあって、いろんなご相談を受けておりますので、「これじゃないとダメですよ」と明確に言うつもりはございません。普段からいろいろなものを受けておりますので、特に気になることがあればご相談は受けたいと思っています。ただ、メインは旭化成建材に関する杭工事、これについてどうにも、どうしても気になる方々については私たちが責任を持って説明をする。「こういう時にどこに行けばいいんだ」、「どこに(電話を)掛ければいいんだ」ということで、お悩みになられるのはもう一般的なことでございますので、もう私たちの方で、あらかじめ「ここですよ」とはっきり出すことで目的は達成できるというふうに思っています。

NHK

2点目なのですが、この110番、ワンストップサービスということで、行政庁、相談プラザとかそういうところとかと、連携しますと。今、図では3つに分けられているかたちだと思いますが、住民からの相談、700万県民を対象にすると考えた時に、県が調べて回答するもの、もしくは電話番号を住民の方に教えて斡旋するもの、そのあたりの棲み分けというか、県の考え方としてはどのようにお考えですか。

知事

これはですね、どういうご質問があるかということで決めていくしかないもので、軽佻なものであれば当然、その軽佻なものの境目をここで仕切れるかというとここではなかなか仕切れません。軽佻なものであればその場でワンストップでお答えができる。中身を追っかけて行ったらこれは明らかにさいたま市の課題であるということであれば、我々が調査した上で「これはさいたま市ですね」ということをお答えする。で、「さいたま市の場合はここですよ」という、そういうお答えをすることになってくると思います。

NHK

例えば元請会社なんかは住民が直接照会をしてもなかなか…。

知事

それは無理だと思います。我々が元請業者を聞き出してチェックするというかたちになるかと思います。

NHK

3つで考えたときには施工会社に関しては基本的には県が住民の方に回答するかたちで、残りの2つについては住民の方にそちらに電話をしてもらうかたちということでしょうか。

知事

中身によって、簡単な法律相談であれば我々にもできるわけですね。込み入ってくると我々の範囲を超えていますので、当然、「こうした専門的な課題に関しては、こちらの方で対応していただきますから、そちらの方でご相談してください」というかたちになってくるかと思います。

NHK

110番の設置場所というのは、建築安全課を含むこの4か所に設置するという理解でしょうか。

知事

そういうことです。

NHK

最後3点目なのですが、設置に先立ってというか、県民に向けてコメントをお願いします。どういったことを不安に思ったら気軽にということなのか、そのあたりのコメントをよろしくお願いします。

知事

そうですね、基本的には皆さんのほうでご理解いただきたいのは、杭工事というのは例えば鉄筋コンクリートの5階建てだとかそういう以上のものであるというイメージです。2階建てだとか3階建てだとかの木造建築というのは一般的に杭なんか打ちません。土台を型枠で固めてそこで基礎工事を済ませてあとは上を造っていくというかたちになっておりますので、「2階建ての家でちょっとヒビが入っているのだけれど、これは旭化成建材と関係あるかな」と言われたらちょっと困るなという感じがいたします。そういうのはご相談しないでいただきたいと思います。ただ、何らかのかたちで不都合とか不具合があれば、通常の業務として私達は建築安全課やあるいは熊谷建築安全センター、川越建築安全センター、越谷建築安全センターなど、あるいはまた、住まいの相談プラザとかいろいろそういう市のほうでも対応しますので、そういうことだというご理解をしていただきたい。一軒家の木造で杭の話は無いものだと。「うちの方は杭がしっかり入っているかな」と言われてもそれは困る。基本的には入っていません。例外はあるかもしれません。軟弱地盤とかそういうところで、例外はあるかもしれませんが、通常の建売だとか分譲だとかではそういうことは無いと思います。元沼地であるとかそういうところの例外などはあるかもしれませんが、そういうところだけは県民の皆さんにご理解いただきたいと思います。それくらいでしょうか、基本的な部分の認識ということについては。

NHK

県民に対しては、旭化成建材絡み、しかも鉄筋5階建とか、そういった大きいものとかにお住まいの方とかで、これをいただきたいと。ではそのあたりのコメントをいただけたら。

知事

あくまで旭化成建材に関する杭工事ということでございます。県民の皆様に対してですね。通常の皆様がお住まいになっています、いわゆる木造2階建て、あるいは3階建てなどは杭工事はございません。原則ございません。よほど軟弱地盤だとか、特定の所でない限りございません。コンクリートで土台固めをして、そしてその上に建物が建っていくというかたちをとっています。従って、杭工事の110番の対象にはなりません。通常の建築安全等々で気になることがあったら、それは、こちらとは違うかたちでご相談いただければと思っております。マンションだとか5階建以上のビル等で不具合があるとか、旭化成建材か分からないけれど非常に気になるという時があればご相談をしていただく。その場合、できれば元請業者がどこだったかとか、実際工事をしたところがどこだったかとかを当然工事会社のところとかがご存じのはずですので、そういったところは明らかにしていただければ、県としても対応がしやすいということになります。また、比較的早く対応ができると思っております。以上でございます。

毎日

この110番ですけれど、県営の建物の担当は営繕課だと思うのですけれど、それも含めてこの建築安全課で一本化するということでしょうか。

知事

はい、結構でございます。

毎日

これは土・日はやっていないということでしょうか。

知事

基本的にはやっておりません。

埼玉

既にこの杭工事に関する相談というのは何件か寄せられているのでしょうか。

知事

はい。既にいろいろなかたちでの相談はあります。ただ、さっきちょっと申し上げましたように2階建ての木造などであまり関係のない話とかでも相談があったりします、「杭がちゃんと入っているのだろうか」と。杭の概念がよくわからなかったりされておりますので。街中を歩いていると木造住宅なんかを造られている時なんかは、コンクリートの土台なんかが先に出来上がっているのを見たことがあるかと思うのですけれど、その下に杭が打ってあるわけではないのですが、たまたまその杭打ちを見てなくてそういう土台だけを見ていると、その下にまた杭があるのかなと思っていらっしゃる方々がおられて、勘違いなんかの電話があります。そういった場合なんかは説明をして、「ああ分かりました」というかたちで済んだりしております。

毎日

関連して、旭化成建材が工事したか分からない、会社自体が建物名を公表していないので。その自分のところが、旭化成建材の杭工事をしているかどうかの質問からでも受け付けるということでよろしいでしょうか。

知事

そうですね。どんな質問でも基本的には受けます。ただ、お答えができない部分もやはりあると思います。なんというのでしょうか、先ほどの木造建築の話も出ましたが、結構不安なんですよね。ただ、それだけ聞いてみれば「そうだった」「考えてみればそうだね」と、「普通の家は杭なんか打っているわけないよね」と、そういうことで納得されることもあるんですよね。それと同じようにいろいろ不安があればお聞きしてもらって不安を解消してもらったら、それでいいと思っています。

毎日

不安なのはマンション住民の方だと思うので、そのあたりは旭化成建材か否かはお答えいただけると考えてよろしいのでしょうか。

知事

分かってはいただいていると思っております、基本的には。ただ、そういうことに関して情報不足の方で、なかなか落ち着かないという方があれば、それはもうお電話していただいて、丁寧にこちらの方でお答えして、「ちょっと待ってください」というかたちで、「今、国のほうで調査をしておりますので、旭化成建材の民間事業がどのくらいやっているのかも分かった時点でまた、ご連絡申し上げます」と、そういうお答えになるかと思います。

幹事社質問
旭化成建材のデータ流用問題について

旭化成建材のデータ流用問題についてのパネル(PDF:52KB)

NHK

旭化成建材のデータ流用問題についてということで、まず、県有施設の調査の進捗状況、新たに判明した事実があればよろしくお願いします。

知事

(「旭化成建材(株)が杭工事を行った県有施設に関する調査の進捗状況」のパネルを持ちながら)先ほども出させていただきましたが、先週の時点で、6施設の9件に関して、調査中が6件でありました。その結果に関して、データ転用に関しては、東宮下団地の第3工区と第5工区のデータ転用が明らかになりました。第4工区だけが明らかになっていたのですが、残る2つもそうだということが分かっております。現在は経緯等を調査中です。その他のところでは、先ほどもちょっと申し上げましたが、浦和東警察署庁舎の新築電光表示装置設置工事での部分がまだ、調査が進んでおりません。それ以外は調査が進みまして、データ転用は無しということが明らかになったところで新しく分かったところではそんなところです。

NHK

続きまして、同じくデータ流用問題に関してですが、滋賀県などで、旭化成建材が関わっていない県有施設に関してもその調査対象とする動きがみられます。埼玉県としての考え方を改めて伺います。

知事

基本的には、国が有識者会議を早急に開いて、原因究明だとか、再発防止を議論しております。従って他の事業者も転用の可能性がありうる可能性があるということもございますので、こういう検討状況を踏まえて、県として最終的に決めていきたいと思っております。滋賀県の事例についてはまだ詳しく聞いておりませんが、多かれ少なかれそういう準備を得た上で、進めるということではないかなと思います。だから、濃淡に差があると思いますが、やり方はやはり同じになるのではないかと思います。何らかのかたちでの調査結果を得て、やるやらないを最終的に決めるかたちになると思います。

県警と市町村の連携強化の取組の具体的内容、時期について

NHK

もう1点、今度は熊谷の事件に関してですが、6人が殺害された事件で今月6日に地元住民から署名の提出がありました。その中で知事から、県警と市町村の連携強化について言及があったと思うのですが、取組の具体的な内容。それからいつまでにやるのか、そういったものを含めて、考え方についてよろしくお願いします。

知事

基本的に私自身の考え方は知事室長を通じて県警の方には伝えております。県警の方も私とだいたい似たような考え方を持っておられるようです。最小限度、熊谷警察署と熊谷市と整理された論点や課題について協議をして、どういうかたちで今後シグナルを発信していけばいいのかとか、そういったことを、もう既に水面下では始まっているようではございます。ただ、私的にはたぶん熊谷市と言っても教育委員会というのは独立行政委員会ですので、たぶん教育委員会も加えなくてはいけないんじゃないかなと思ったりもしますし、自治会連合会などもやはり代表者が入って協議などを行った方がモラルアップと言うんでしょうか、士気が上がるのではないかというふうに思っておりますし、防災無線の関係で言えば熊谷消防署などにも何らかのかたちで参加してもらった方がいいのではないかというふうに思っておりますので、引き続き協議会と言うのでしょうか、早急に協議会を開いていただいて、そこで論点整理だけはもう警察の方はしっかりやっておりますので、この論点整理の部分を協議していただいて、どういうかたちで、課題が起きた時にそれにうまく対応できるようにするには、どういうプロセスを経て連絡網を作ったらいいのかとか、初動体制を作ったらいいのかを、最終的には協定書でも作って「熊谷モデル」を作ってもらいたいですね。そして、いくつか少し訓練をしていただいて、実効性の高いものだということであれば、埼玉中に警察署管内ごとに作っていただければありがたいなと思っております。そういうことができれば、まさに今回の事件で起こったこと、被害者のご家族などに対する最大の、何て言うのでしょうか、逆に言えば一番のいいことにつながるんじゃないかなと思います。そういうことをしないと浮かばれないと言うんでしょうか。第2、第3、第4の、熊谷だけでなく、日本中で起こり得る話でもありますので、せっかくですので「熊谷モデル」みたいなものを私は作ってもらいたいなと思います。

産経

今のお話だと、警察署といわゆる地域の機関にとどまるかと思うのですけれど、それを県内全域に拡げるとか、そういう側面から見た場合に、全県的に見ているのは県警本部だったり県だったりするわけですけれど、そこにコミットしていくというおつもりはないのですか。

知事

当然です。今ちょっと話の中では漏れましたけど、例えばオブザーバーで北部地域振興センターが、県もそこに入っておいてですね、協議の内容などについても把握していくということが大事だと思っております。最終的には全県レベルになりますので県警本部の役割、埼玉県の役割、こうしたものが大きいと思っております。それから消防は各消防本部で、県全体というかたちにはなっておりませんが、できるだけ各消防本部が集まってそうしたことについても理解を進めていくことも必要になっていくと思います。いずれにしても現場ごとで稼働するかどうかを確認するには全体では確認しにくいので、まずはやはり熊谷でせっかく論点整理をされましたので、課題解決のために「熊谷モデル」をやはり早急に作ってもらいたいなと思っております。それを作って、若干の演習と言うのでしょうか、訓練と言うのでしょうか、それをやった上で相当有効性が高ければ、全県的にそれを展開してもらえれば、埼玉の安全度というのはもっと高まるのでないかと思います。

NHK

これは、いつ頃までにまとめるといったような、そういった部分についてはいかがですか。

知事

早ければ早いほどいいですよね。もう熊谷市とは協議を始めているみたいですので、当然、熊谷市あたりから、私もちょっとその話を聞いていますので「教育委員会や消防も入れないとまずいんじゃないですか」という話だけは打ち返しておりますので、たぶんそういうのも加わってきて、協議が進めば。とにかく課題はもう整理されていますからね。後は実動部隊をどう作るかというだけのことですから。やはりいつまでにと私の口から言えるわけではないですけれど、今年に起きたことは今年の内に片付けてもらいたいなという感じはしますね。

その他
ムサシトミヨの大量死について

埼玉

先日、県の発表で、県の天然記念物のムサシトミヨ(正確には「元荒川のムサシトミヨの生息地」が県指定天然記念物)が保護センターで大量死したという発表があったのですけれども、その後、何か調査で明らかになったことがあるのかということと、もう1点なのですが、熊谷の、世界でそこにしか生息していないという元荒川の源流域にですね、かなり外来魚も入って来ているという地元の方からのお話も伺いましたけれど、県として何か駆除なりの対策などのお考えがあったらお願いします。

知事

現在2か所、正確に言うと(羽生の)さいたま水族館、羽生の方で1か所、3か所(後に削除)にもムサシトミヨが分散されているわけであります。今回、繁殖池の中で、いくつかのプールでこういう大量死という事件が起きました。現在のところどういう毒物なのかというのが判明しておりません。そして、どのようなかたちで投げ込まれたのか、まあ投げ込まれたのか、それ以外のことかもまだ分かりません、調査中でございます。ただ、まさに希種、貴重なものでございますので、この2か所だけでいいのかとか、こういう議論をまたしなければならないのかなと、ちょっと遠くから投げ入れることが可能だというようなかたちでいいのかどうかですね、そういうことも含めて保護に関して、再度「守る会」の皆さんからも意見を聞きながら。ただ現実的にはあまり保護するための、何て言うのでしょうか、そういう飼育能力と言うのでしょうか、そういう人たちも少ないですから、多く分散できるかどうかというのもなかなか難しいところですが、場合によってはしっかりそういう技術を学ぶ人を育てて、もし分散が必要だと言うことであれば、そういう守る人もまた育てなければいけないというふうに思ったりしています。いずれにしてもまずは調査が先、その後このような体制で良いのかどうかについても、もう一度練り直しと言うのでしょうか、今までの2か所に分散させるというのも、1か所だけに置いていれば危ないということで2か所にしておったのですが、それでもこういうことが起こっておりますので、これだけでいいかどうかも含めて検討しなければいけないと思っています。

国民連合政府構想について

埼玉

共産党がですね、来年の参院選またその先の衆院選を見据えて、政権交代を目指して野党で連立政権をもう一度ということで「国民連合政府構想」というのを打ち出しましたけども、それに関して民主党なんかでは多様な意見があるようなのですが、自民党一強に対抗するためにはこの構想、知事としては一つ考えとしては評価されるのかどうかその辺りをお伺いしたいと思うのですが。

知事

連合政府というのはちょっとなかなか難しいのかなと思っています。というのは「安保破棄」だけ、1点だけ一致すればそれでいいと言うのですが、政府ができた瞬間から外交、防衛、社会保障政策、経済政策、金融政策、ありとあらゆるものが同時にスタートしていくわけですので。私も旧民主と民政党と民社党が一緒になって今の民主党ができる時の政策の擦り合わせの責任者になっていたのですが、70項目ぐらい擦り合わせをやっておりました。当時の旧民主のメンバー、それから旧民社のメンバー、そして我々、旧新進党の保守系のメンバー、民政党の羽田先生や鹿野先生あるいは岡田克也さん等々ですね、こういうメンバーでやっていたのですけれども、私の記憶では70項目くらい擦り合わせ項目がありましたので、現実に政党を作ることでもそれぐらいの擦り合わせがあるのですから、政府を運営するとなるとやはりその程度のことは擦り合わせしておかないとできないので、ただ「安保破棄」の1点を共通して政府を作ろうというのは、それは難しい。選挙政策であれば一方的に、例えば野党第1党である民主党をできるだけ勝たせるということで、仮に共産党が一歩ずつ譲るとか、そういうことはあるかもしれません。ただそれでやれるかというと比例区もありますしね、衆議院の小選挙区なんかではいろいろそういう方法もあるのかもしれませんが、比例区もありますからそういうことが本当にできるかと言うと、なかなかしづらいでしょうから、まあそういうことだから「連合政府」と言うのでしょうけれど、ちょっと私は難しい話かなと、ただ一部の選挙協力はあるのではないかなと思います。

(終)

平成27年11月4日(水曜日)

アセアン訪問について
旭化成建材(株)のデータ転用等について
維新の党の分裂について
「警察の対応と今後の取組」の公表について
2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会の新種目誘致について
県立三郷特別支援学校に関する裁判について
2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会のキャンプ誘致について
知事発表
アセアン訪問について

アセアン訪問についてのパネル(PDF:658KB)

知事

こんにちは。今日は先週行ってまいりました、アセアンの訪問についてのご報告をさせていただきます。ご案内のとおりアセアンのエリアは非常に元気な地域で埼玉県を含む日本全体でも海外の工場進出を含めた企業投資が多いところでございます。埼玉県の調査などでは、一番目にベトナム、それからタイ、インドネシアという順位で規模が多いところでございます。そしてこれまではタイとベトナムにサポートデスクがありましたが、今回新たにインドネシアについても支援していこうということで訪問を1つ増やしました。目的は現地政府との協力関係の構築・強化でございます。ご案内のとおり、新興国・発展途上国においては、政府の力が強く、また商慣習は様々な手続がどんどん変わったりしますので、そうした部分に関してもきっちりとした情報を手に入れていく必要がありますので、現地政府との協力関係を大事にしたいということでございます。それから人手不足は日本だけではなくて、現地でも起こっております。従って現地での大学での関係などを構築しながら、現地で人材を確保するという意味での大学との連携が必要になってまいりました。そしてまた現地の金融機関との関係なども非常に重要だということでございますので、その協力関係づくりもやってまいりました。そしてまた全体としてのネットワークづくり、つまり進出企業同士の交流・人事交流なども行いながら、商談会をからめつつも、なお且つ同時に、異業種交流なども行いながら、共に情報交換をやって人脈を拡大しながら、ビジネスの拡大につなげていくという。この3つを重視しながら、10月25日は行くだけの日で、10月30日は帰ってくるだけの日なので、実質的には26日から29日。ベトナムでグエン・タン・ズン首相にお目にかかる機会をいただきました。30分時間をいただきまして、直に埼玉県の概況や、企業が進出する場合の様々なネックについての規制緩和等についてお願いをいたしました。ブイ・クワン・ビン計画投資大臣、この方は都合3度目になりますので、非常にフランクにお話ができる状態であります。また、この計画投資大臣も日本からの海外進出が成功する事例として、ベトナム政府と日本政府、あるいは埼玉県、両方からの支援が必要だということとか、それから、ベトナムにはあまりお金がありませんので、日本の金融機関の支援が大事だと。それから、今回ベトナムで、埼玉県がレンタル工場に進出したことについての高い評価もあり、まとめて進出していただくと、非常にベトナムにとってもいいという、この3点などをかなり強調していました。また、ベトナム全体の情報を聞くために深田日本国大使などにお話をお聞きしました。それからインドネシアでは投資調整庁の長官が訪米中でございましたので、副長官にお目にかかってベトナムと同じようなお話をさせていただきました。ラフマット・ゴーベルさん、彼は日本とインドネシア日本友好協会の会長でもありますし、日本の中央大学に4年留学された日本通の方で、お父上はパナソニックと合弁会社を最初に作られた方で、実業家の息子でもあり、今パナソニックのインドネシアの代表でもあります。また同じように日本国大使谷﨑さんともいろいろな情報交換をさせていただきました。あるいはジェトロのインドネシア所長からもお話を聞いたり、また自動車部品工業会等々必要な所に伺ってまいりました。
(パネル(2)を指しながら)大体今お話ししたようなことがここにメモとして書いてありますが。
(パネル(3)を指しながら)ハノイ工業大学を訪問し、現地の人材確保に向けた協力関係づくりで意見交換をしまして、今後日本企業が埼玉県を仲介しながら、ハノイ工業大学からの人材を受け入れていくというのでしょうか。そういう協力関係を口頭ではございますがしてまいりました。それから、インドネシアにおいてはまだ、サポートデスクを作っておりません。しかし、りそなグループの「りそなプルダニア銀行」というのがもう50年まえから、大和銀行時代からございまして、非常に現地に根を張った企業で、極めて強力な金融機関がインドネシア・ジャカルタにございます。通称「プ銀」と言っているそうで、「武銀(ぶぎん)」と間違いやすいですけれど「りそなプルダニア銀行」の社長と覚書を締結してまいりました。中身は要するに埼玉サポートデスク的なものを代行していただくというかたちであります。従って、例えば、販路拡大やマッチングについても取引企業が非常にたくさんありますので、必要なところとのマッチングが非常にやりやすいというかたちになっております。そういった方達と新たに関係を作ってまいりました。現地進出企業との意見交換や商談会などもやってまいりました。埼玉県の企業11社も現地に行き、また、ベトナムや(後に削除)インドネシアに進出した企業との意見交換会、あるいは商談会などをやったりして、また、交流会などもやってまいりました。現地の進出企業や現地の政府要人等が出席し、ベトナムでは92人、インドネシアでは91人が出席をいたしました。
(パネル(4)を指しながら)おさらいの意味で、どのようなかたちでアセアン進出の支援をしてきたかということでありますが、ベトナムに関しては、まずはベトナム政府の計画投資省との覚書を締結して、現地のサポートデスクを設置し、今度は計画投資省の中に埼玉県専用の相談窓口も設置されました。埼玉デスクというところであります。これが25年度の終わりころに設置されました。同時にハノイ市との関係強化のために覚書を締結しております。政府とハノイ市の2つ、ベトナムに関しては締結をさせていただいてます。そして、進出企業との人脈交流会というかたちでのネットワークづくりもさせていただいております。タイについてはタイ政府、投資委員会との覚書を締結しております。で、現地サポートデスクも設置いたしました。進出企業のネットワークも25年度からスタートしています。インドネシアとの協力合意というかたちで、協定書の締結までできませんでしたが、要望書を提出して、その要望書については理解をしたというかたちでの関係をつくらせていただきました。まさに協力が合意というかたちできちっと、投資調整庁において埼玉県との合意を進めていく。なお、投資調整庁長官は来年1月に来ることになっています。そして、現地金融機関と協定を締結して、事実上のサポートデスクの代行業務をしていただくというかたちで、関係を構築させていただきました。もとより、埼玉りそな銀行の池田社長に大変中に入っていただいて、お力添えいただいたことをご報告したいと思います。そして、ネットワーク化を同時にさせていただきました。これで、ベトナム、タイ、インドネシアに埼玉県の橋頭堡というのでしょうか、濃淡はいろいろあるのですが、でき上がったかたちで、今後、埼玉県の中小企業、特に独立系ですね。どこかの下請けをやっているということではなくて、そういう独立系の企業の皆さんが進出する場合、どうしても情報不足、それから、リスクをどうヘッジするかという部分に難点があるということに、県としてそれを最大限にサポートしていくという体制がベトナムでは比較的完成しつつあり、タイでも相応に完成しつつあり、インドネシアではその端緒を作ってきたという、そういうかたちでございます。以上ご報告申し上げます。

NHK

知事発表に関して1点質問させていただきます。今回のアセアン訪問で知事が最も大きな成果と感じているものと、それから現地で特に印象に残ったもの、人、風土、やり取りでも結構ですが、そちらありましたらよろしくお願いします。

知事

まずベトナムではズン首相にお目にかかったということで、一国の代表者、特に今度の共産党大会では書記になられる可能性も高いということで、ナンバー3からナンバー2になられる可能性が高いというようなことでありますので、今まで計画投資省のお墨付きというものが時の政府のトップのお墨付きというかたちになることが一つの成果があったと思います。
それから人材の確保という点で、特に中間管理職が日本語もできてなお且つ技術的な判断ができる人たち、そういう部分をカバーするのがなかなか難しいとよく言われております。5年単位、10年単位になってくるとそういう人たちが育つのですけれども、事業規模を早く拡大する時にどうしても中間管理職がいない。それがハノイ工業大学の卒業生を受け入れて、その人たちを研修したりする、本社で研修してまたベトナムに戻ってくるとか、そういうことを繰り返すところで、早期に人材を確保することができるということで、これは非常に大きかったなというふうに思っております。
それからインドネシアではまだ体制ができていない時にサポートデスクを作ってもサポートが十分できないということになりかねませんので、そのマイナスを補うために「りそなプルダニア銀行」がその代わりをしていただくという大変ありがたいことが可能になりましたので、当面「りそなプルダニア銀行」を活用しながら、埼玉県進出の企業の支援をさせていただきたいというふうに考えております。もとよりインドネシア投資調整庁などの関係などが、より強く構築できればその時点で何らかのかたちで「埼玉サポートデスク」を作るなり考えていきたいと思っておりますが、当面「りそなプルダニア銀行」を最大限に生かしていきたい、また活用させていただければありがたいと思っております。
もう1つ非常に印象的なのはゴーベル前商業大臣でございます。インドネシア大統領と一緒に訪米をなさっておったのですが、サンフランシスコから戻られてきました。最初はそういう事情であったのでキャンセルだったのですが、戻ってきたということで、そういう情報が谷﨑大使からもございましたので、それならばということで再度アプローチをしたところ快く会っていただきまして、非常に国際協力銀行の前田代表取締役専務取締役など仲が良いものでお互いに。私もそうで、ゴーベルさんもそうで。そんなこともあり、非常にお目にかかって意気投合して「ぜひ埼玉にも来たい」ということで、非常に日本通でもありますので、良いパートナーに巡り合えたかなと思っております。なおこのゴーベルさんに言わせるとイスラム教の皆さんたちは今は形骸化していて、最もイスラム教らしいのは日本だというような話を聞いてきました。「どこがどうなんですか」と聞いたら、「思いやりの心や公共心の厚さ」そうしたところは実際イスラムの教えなんだと、そういうものが今のイスラムにはあまりない。日本にはそれが満ち溢れている。イスラム教の教えというのは私はあまり知らなかったのですが、改めてそうしたことを聞いてびっくりしたところです。以上です。

幹事社質問
旭化成建材(株)のデータ転用等について

旭化成建材(株)のデータ転用等についてのパネル(PDF:65KB)

NHK

旭化成建材のデータ流用問題についてです。今日埼玉県内でもデータの流用が確認されたということが発表であったと思うのですが、これに対する受け止めをまずお願いいたします。
それから改めてになりますが、県独自で例えば調査の範囲を広げるですとか、調査について今後のご予定ということと、それからこうした問題に対して再発防止のために県がとっていくこと何かお考えありますでしょうか。

知事

まず基本的には目に見えない部分はごまかしても大丈夫というような思想が大手の関係者の中にあったということが非常に残念であります。目に見えないからこそまさに基礎工事というのは大事であるわけで、なぜ高層ビルが建っているかというのは基本的にはドロドロした土の中ではなくて、いわゆる岩盤と言われる支持層と言うのでしょうか、そこに杭を打ちつけることで固定化して頑強なビルが出来上がったりするわけですから。その見えない部分をいい加減にすれば何かあった時には、つまり大地震などがあった時にはそこから崩壊していく可能性があるということですので、極めて残念な出来事だったということと思います。大体こういうことは一つ出てくると他にもあると思わざるを得ませんので、建設業界内部のまさに倫理の問題として広く受け止めていただいて、「あそこの社がやったぞ」なんていうことではなくて、「自分たちにないか」という受け止め方をしていただきたい。こんなふうに思っております。それから、県はとりあえずもちろんやらなければいけないのは、公共施設が重要だというふうに思っております。(パネル「旭化成建材が杭工事を施工した県有施設に関する杭調査リスト」を示しながら)民間は私たち深く掘り下げてああなっている、こうなっているということを追いかけるのは極めて困難ですので、まずは県有施設をきちっと調査をさせていただきました。6施設の9つの工事がございます。とりあえず例えば県営大宮東宮下団地、県営岩槻諏訪山下団地、吉見浄水場、荒川右岸流域下水道終末処理場、浦和東警察署、吉見浄水場変電設備。この6カ所に9つの工事がございましてこれを全部確認しましたところ、いわゆるデータ転用があったのが、東宮下団地第4工区の建築工事でございました。そして、現在調査中のところが、同じく第5工区でございます。それ以外は転用の部分はないということが判明いたしました。そして、旭化成の確認の部分では吉見浄水場のところでは完了しております。それから吉見浄水場の変電設備も完了しておりますが、それ以外はまだ調査中というかたちになっております。安全確認状況については、旭化成側からではまだ調査中で、まだできておりません。ただ、県が独自にやったところでは問題が出てきたところでは東宮下団地の第4工区。第5工区は現在調査中。ただ、4工区の調査に関して言えば、今の時点では詳細データ等を当然旭化成からまだ取り寄せておりませんので、絶対とは申し上げませんが、今の時点では安全性については問題ないという判断が事務方の方から出ております。引き続き再確認というのでしょうか、より詳細データをいただいて、より安全度を高めるような確認をさせていただきたいと思っております。今後の処置でありますが、当然旭化成側から埼玉県下の全ての工事についてのデータ転用の有無についての詳細データを提出していただかなければいけないというふうに思っております。そしてその上で正確に安全かどうかを確認して県民の皆様方に具体的に「全体として安全です。ただしここの部分に関してはこういう問題がありました」とかですね。そういう発表をさせていただきたいと思っております。また、これまでは抜き打ちでこういう杭工事などの立ち入り調査と言うのでしょうか、そういうものをピックアップでやっておったのですが、今後一つ一つの杭工事にそうした現場立会いというものが必要なのかどうかなどについても広く業界の皆さんからの意見も聞かなければというふうに思っております。同時に、国においてもこうした工事施工体制での現場の立会いをどうするかとか、あるいは検査体制をどうするかということについても再検討をしていただいているところでございますので、まあ全国規模で展開しているようなところについては当然私どもよりも国の方が掌握しておりますので、国のそうした検討状況などもしっかり私どもの方でも勉強させていただいて、その上で最終的な今後の体制づくりについては、決めていきたいと思っています。現時点では、そういう状況です。

産経

今のご説明の中で、今後その一つ一つの杭工事に現場の立会いが必要かどうかを検討していくという事ですが、それはもちろん県有施設のという理解で…。

知事

(※下の補足参照)一般的には全体と思っておりますが。はい、ただ工事発注者が検討する。それから例えば民間の場合だったら監督者が居る訳ですね。その監督者がどういうかたちで立会いをしているかとかそういうものも業界からヒアリングをしなくてはいけないと思うんですね。本当に必要なのかどうかとか。そういうことを業界の皆さんとも意見交換をして決めたいと思っています。それと同時に国などでどうするかということも確認して、総合的に最終的には決めていきたいと思っています。ただなかなか大変にはなりますね。コストが上がってくるかたちがありますので。

※後に建築安全課が文書で補足
今後、すべての県発注の杭工事については県職員が現場立ち合いを行う予定だが、民間施設の杭工事では県職員が立ち会うのではなく、しっかりした施工監理や検査の仕組みが必要と考えているという趣旨である。

朝日

先ほどの説明の関連で、全ての工事について転用があったかどうかについて提出してもらう必要があるとおっしゃっていましたけれど、この全ての施設というのも県有施設のことということでよろしいですか。

知事

はい。そうです。

朝日

あともう1点、もちろん県としてはなかなか民間の施設とかの状況というのは向こうからの報告がないと難しいと思うのですが、現段階で例えば県有施設以外で何か県内の民間施設とか含めて何か問題があるという報告は受けていますか。

知事

今のところは受けておりません。ただ調査中だというふうに聞いております。

産経

最初問題が発覚した時に、横浜市のマンションを担当された方がやっているのが問題なんじゃないかというお話から始まって、今はまあ他の自治体でもいろいろな人がやっているんじゃないかという疑念に拡大しつつあるのですけれども、その点について知事は、いわゆる会社なのか業界なのか、いろいろな見方ができると思うのですけれども、それはまさに今後の調査の範囲などとも被ってくるとは思うのですけどその辺、どういうふうに捉えていらっしゃいますか。

知事

最初にちょっと申し上げたように、一般的に「ゴキブリが一匹出てきたら一匹だと思うな」というのが世の常だと思っておりますし、県などでも不祥事があれば他にもある可能性が高いということで念のために全部調べます。むしろそういう考え方を持っていますので、1件旭化成で起きてその人だけだっていうふうには思いません。他でもやっている可能性があるし、旭化成グループでそういうことが起こっているとすれば、他のところでも起こっている可能性だってゼロではない。従って、最初に申し上げたとおりやはり受け止めていただいて、「自分のところにも無いだろうな」というかたちでチェックをやはりしていただく。特に今後首都直下型、あるいは首都北部直下型、東南海等々の大地震の可能性というのはいろいろ言われている日本ですので、そういうことも考えれば当然そうしたことについて各業界の皆さんたちも「自分のところでなくて良かった」ということでは無くて、やはり下請グループなどでそういうロスが無かったのかとか、そういったことについて抜取りでもいいですから、やはりやってみる必要があるのではないかなと思っております。ただこれは私の希望でありますので、するかしないかというのはその企業グループの判断ですのでこちらからとやかくは申し上げにくいですが。そういうことがあり得る可能性はゼロではないと思っております。

毎日

引き続き旭化成の問題についてですけれども、今回の不正について「問合せをしている」ということですけれども、旭化成建材からではなくて、元請から連絡が来て結局は間接的な連絡、内容は正しいとは思いますけれども、元請からの話ということで直接旭化成建材から話が無いということに関してはどう思われますでしょうか。

知事

そうですね。これも発注者と実際仕事をする人との関係の中で、発注者が重く受け止めて全体を掌握しようという責任感の中で出てきた話かなというふうに思いますし、旭化成建材からの実務部隊よりは逆に全体を掌握しているからそういう方向で表に出ているのかなというふうに思っております。

毎日

旭化成建材から説明を求めたいというご意向はありますでしょうか。

知事

詳細データで分からなくなったらそういうことも起こり得ると思います。

その他
維新の党の分裂について

読売

先日維新の党が分裂しまして、新たに大阪の議員たちで「おおさか維新の会」というのができたのですけれども、知事は知事選で維新の党から支持を受けていたと思うのですけれども、そういう政党が分裂して、かなり泥仕合的な状況になっておりますけれども、その辺の受け止めをお願いします。

知事

残念ですね。それなりにインパクトを与えられるグループだと私は思っておりましたので、それぞれ3通りくらいに分かれるんですよね。中間派というのでしょうか、まず胸中を明らかにできにくいという人たちも含めて、3通りに分かれるということ自体が戦力がそれぞれ低下しますので、残念だなというふうに思っています。各政党のリーダーの皆さんたちがきちっとまた理念を、また政策を構築されて何らかのかたちで再結集がされれば良いなというふうに思います。

読売

大阪の橋下市長は出ていって、「おおさか維新の会」を創るという話なのですけれども、かなり元々いた「維新の党」のことに関してかなり厳しく批判をしていますけれども、その辺での大阪橋下市長の行動というのは理解できるとお考えですか、それともおかしいと…。

知事

そうですね、大阪都構想を推進する母体としての政党のイメージをやっぱり創られてらっしゃるのが基本ですよね。ところが全国政党となってしまうと、大阪都構想だけの推進ではなく幅広になってきますよね、今回の安全保障法案に代表されるように、時の課題というものに、自ずから全体として取り組まなくてはいけないようになりますよね。そうすると大阪都構想の推進という部分が弱くなりますよね。そうすると自分の立脚点が無くなってくるというかたちになってくるので、その辺がどうしても不満になってこられるのではないでしょうか。私はそんなふうに受け止めています。

「警察の対応と今後の取組」の公表について

埼玉

熊谷で6人が殺害された事件に関することなのですが、先週県警の方で検証報告書を公表しましたけれども、その中で、「報告書検証がちょっと甘いんじゃないか」という意見もあると思うのですが、その点に関する知事のご所見をいただきたいのと、あともう1点さらに検証がもっと必要なのかどうかということ。さらにもう1点防災無線に関することなのですが、「防災無線を活用することで、自治体ごとに差があってなかなかやりづらいので、県警がガイドラインを示したほうが良いんじゃないか」という声もあると思うのですけれども、その点に関して知事のご所見はいかがでしょうか。

知事

なかなか難しい質問だと思います。事件認知前の対応と事件後の対応について分かれた報告書が出てきたわけでありますが、それぞれの事案に対して他に取り得る方法として課題があったのではないかという論点はきちっと整理されているというふうに私は思っております。そういう論点をきちっと具体的な行動に結び付けられるようにするのが今回の事件をしっかりと受け止めることになるというふうに私は思っています。必要以上に自分たちを卑下したり、あるいはまた必要以上に士気が落ちるようなことにならないように、課題と論点をしっかり踏まえて、それを踏まえた上で、どういう行動をすれば今後未然にこうした事件を防ぐことが可能なのか。これがやはり比較的私は埼玉県警、個々の事案については頑張っている県警だと思っております。
そして2番目のいわゆる事件が起こった後に、2番目3番目の事件を防ぐためにはどうすれば良いかということについて、非常に不満があるんですね、住民的には。これはやはりアナウンスの問題であります。これについても後知恵的にはいろいろなことが言えると思います。必要以上に不安を煽ってしまって収拾がつかないようになるというようなこともあり得るかもしれませんが、そういうことも論点整理でなされておりますので、どういう場合にはシナリオ1でいく、シナリオ2でいくというような、そういう想定が私は現場にあまりあったようには思えないと思っておりますので、そういうものをやはりきちっと作ってもらえるようになさっていただきたい。特に地元の自治体そして地元の自治会など、そして特に小学校などは判断力や逃げる力とかそういうのが特にありませんので。小・中学校なんかには教育委員会との関係で日頃から関係を作っておいていただきたい、こんなふうに思っております。ただ、かばう意味で言うわけではありませんが、通学路の確保を早急にされたことは私は評価しています。いち早く通学路にパトロールの体制を敷いたことに関しては私は評価しています。ただ、それが防災無線などを通じてもっと周辺の家々に伝わるようなことはできなかったのかという後知恵的な残念な部分は誰でもあると思います。私もあります。たぶん本音の部分では誰でもあるのではないかと思います。ただ、それがその時に必要だったのか、あるいはまた適切だったのかというのは、またいろいろな判断があると思います。後知恵的には絶対必要だったのではないかと思います。ただ、繰り返しますけれども実際事件が起きたからこそ、そういうふうに思うわけでありまして、起きなかった時には、いたずらに不安を煽ってということの批判なども多く出る可能性もあると思いますので、やはりシナリオを幾つか用意をされて、連携されて、たとえ非難を受けても関係者だけは理解していただけるという、そういう体制を作っていけば私は良いのではないかなと。いわゆる最近避難行為で「空振りでも避難の指示をしろ」というようなことをよく言われますが、「空振りを非難されることを恐れてはいけない」ということが最近は避難の鉄則になっていますので、そういったことも参考にされていかれればよいのかなと、そんなふうに思っています。

2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会の新種目誘致について

埼玉

2020年の東京五輪の追加種目の候補に、野球・ソフトボールとかサーフィンなど5種目が挙がっていて、宮崎県には宮崎県内での開催を要望する動きも出ていますが、もし野球・ソフトボールが決定した場合にソフトボールの盛んな埼玉での開催を大会組織委員会に要望するお考えというのはあるのですか。

知事

そうですね、すでに埼玉県4会場ありますので、あれもこれもと言って手を挙げていると、4会場あること自体も私批判を受けております。正直言って関東知事会などで、若干叱られております。でも、それぞれの主管団体というのでしょうか、関係団体が手を挙げて要請活動をなされるとなってくれば、話は別ですが、今の4会場がある段階で知事がしゃかりきになって走り回るということは今の時点でそういうことやると、そうでなくても怒られている、羨ましがられている状態ですので、ちょっと自分自身の立場ではしにくいという状態です。むしろ関係団体から盛り上がってくればその地点でアプローチなりして、また会場等の確保が可能かどうかを考えながら、全体としての体系や全体としてのキャパがあるかどうかそんなことも含めて検討させていただきたいと思います。

県立三郷特別支援学校に関する裁判について

朝日

先日さいたま地裁の方で三郷市の三郷特別支援学校の体罰の件で県に賠償慰謝料の支払を命じられて、控訴されないということだと思うのですが、あらためてこの件に関してのコメントをいただけますか。

知事

この案件に関しては基本的には教育委員会マターですので、教育委員会が判断したことについて、尊重したいというふうに思っております。現場の中身についてはどうしてもこちらが調査して深く追っかけていくという体質のものではありませんので、教育長を中心に現場を調査したうえで、埼玉県側にも理はあるにしても、今後上訴等をしても理があるかどうかということについてはあまり無いという判断をされて今回取り下げ(後に削除)たということでございますので、それは教育委員会の判断を尊重して受け止めていきたいと思っております。

2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会のキャンプ誘致について

産経

五輪に絡んでキャンプの誘致とかはどうですか。

知事

これは基本的に良いことだと思っております。各市町村が手を挙げていただいて県を通じながら運動を展開していくと。地元でも展開していくと。どういう受け入れができるかということについても内々に組織委員会にアプローチしながら、例えばこの可能性、全く可能性の無いものに手を挙げてもしょうがないですから。どういう種目だとこのエリアこの市にはふさわしいとか、そういったもののマッチングをさせていただきたいと思いますので、まだ案外手を挙げているところが少ないもので、やっぱり手を挙げていただければありがたいと思います。

(終)

平成27年10月20日(火曜日)

平成28年度予算編成方針について
11月は埼玉県地産地消月間です!
梶田隆章氏への県民栄誉章授与の意向について
圏央道県内全線開通について(1)
藤本所沢市長に今後期待すること
圏央道県内全線開通について(2)
横浜マンション杭工事の施工不良について
TPPのプラス・マイナスの面について
新しい条例の制定について
さいたま市の市民活動サポートセンターの直営化について
知事発表
平成28年度予算編成方針について

平成28年度予算編成方針についてのパネル(PDF:182KB)

知事

こんにちは。今日は28年度の予算編成方針と、11月は埼玉県の地産地消月間ということで、2点ご案内と報告をいたします。
まず、28年度の予算編成方針でありますが、基本的な方針は3つでございます。「2025年問題」への対応であります。ご案内の通り高齢者が増えて生産年齢人口、働き手が減っていくというそういう構図が人口構成の中で明らかになってまいります。従いまして経済を活性化するための「稼ぐ力」、新しい産業を興すとかそういう意味での「稼ぐ力」が必要です。そしてまた、生産年齢人口が減っていくという現況に合わせて、そのまま座していれば当然持続的な成長ができなくなってしまうということで、それをカバーすべき女性やシニアなどの「人財」をもっと活用できるような開発。改めて「人財」としての内容になっていくようなしかけを作っていく。そしてまた、高齢者そのものは弱い人だというイメージが強いわけでありますが、65歳以上の方々の現況を現在でも見ていくと、2割の人が確かに通院、入院というようなかたちで、なんらかのかたちで体に不都合な部分があるわけですが、8割の人たちは実は元気だという、この実態がある以上、単に高齢者は支えられる人だけではなくて、支える人でもあり、また社会を担う人でもある。そういう意味で改めて高齢者が社会を担う、そういう意味での「シニア革命」ともいうべき概念を持ってもいいのではないかというふうに私は思っております。例えば、高齢者の方々が3日働いて4日休む、あるいはまた4日働いて3日休むとか。あるいはまた、単に働くだけではなくて、趣味の世界あるいは様々な地域活動、ボランティアなどをすることで、まさに社会を担う。そういう存在になっていくというようなことを心がける。そういうしかけをいろいろなかたちでやっていきたいというふうに考えております。それから、「安心・成長・自立自尊の埼玉」5か年計画の最終年度が28年度ですので、これの総仕上げをしなければならないと思っております。すでに指標を達成しているものもあれば、非常に困難な状況になっているものもありますので。とりわけ遅れているもの、あるいはまだ困難な状況にあるものを中心に、極力この5か年計画の達成に向けての事業をしっかり重点化したいというふうに思っております。そして3番目では、国は財政に関して非常に野放図になっておりますが、埼玉県は着実に県債残高を、県でコントロールできる県債残高を減らしてきております。そういう意味での財政の規律をきちんと確保しながら予算編成をやっていこうという考え方でございます。これが大きな基本方針です。
例えば今申し上げました県債残高は、実は私就任時の平成15年、2兆5,778億円の県債残高がございましたが、これが16.6パーセント減って、2兆1,489億円、約4,000億円以上ですね。自らコントロールできる県債に関しては減らしてきているという実態があります。(パネル(2)の臨時財政対策債残高の部分を指しながら)じゃあこの赤い部分は何だと。これは臨時財政対策債。つまり地方交付税を県に現ナマで渡すことをしなければならない部分が、財源不足だから「悪いけどお前のところで借りといてくれ」と。「後で金利も含めて返すから」と。その交付税の肩代わりした部分がこの赤い部分の残高でございます。つまり、交付税という現ナマが3,000億円あるとすれば、そのうちの2,000億円は現ナマで来たけれども、1,000億円は県が肩代わりをしているとか。あるいは逆のこともございました。現ナマで1,000億円しか来なくて、臨時財政対策債で2,000億円、県が借りておいてくれ。後で返すから。そういう仕掛けになっておりますので、なかなかこの部分が我々ではどうにもなりませんので、とりわけ比較的財政力の強い神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪などは交付税が大幅に減額されて、この臨時財政対策債で振り替えられる、こういうかたちになっておりますので、私どもも全国知事会、とりわけ政府主催の全国知事会などでは、私などはこの図表を示しながら、こういう実態をご存じかというかたちで是正をお願いしているところ、若干、ここ2年ほどはその振替額が小さくなってきているところはございますが、本質を解決しているわけではございません。こんなかたちで予算編成全体の大枠は決めているところでございます。

11月は埼玉県地産地消月間です!

11月は埼玉県地産地消月間です!についてのパネル(PDF:965KB)

知事

もう1つ。「11月は埼玉県地産地消月間です!」ということでございます。ご案内のとおり埼玉県は野菜の生産額(後に「産出額」に訂正)が全国6位で花の生産額(後に「産出額」に訂正)が全国5位というかたちで、非常に農業生産額も全国の平均の伸び率よりも高いという屈指の農業県的性格も持っております。そこで、消費地と生産地が近いというこの立地を活かして、地域の農産物を地域で消費する地産地消運動を展開しております。「近いがうまい埼玉産」ということで、実は埼玉産農産物の直売所、非常に平成15年当時から比べると伸びていきました。だいたいこのところ立ち止まっているところですが、その代わりといっては何ですが量販店、スーパーなどでの地場産コーナーがどんどんと増えてきております。例えば平成16年度当時は146カ所だったのが、もう501カ所というかたちで昨年度は増えている。それから農産物を扱っているレストランとかいろいろなお店が非常に増えてきているということで、県産農産物のサポート店も2,286、もう倍増に近いくらい増えてきている。平成16年度から比べると桁外れに増えているということで、県民運動的に「近いがうまい埼玉産」というかたちで企業、関係者の皆様方のご協力をいただいているという状況でございます。
そこで、象徴的な行事の1つとして、11月14日、15日の2日間に渡りまして、「2015彩の国食と農林業ドリームフェスタ」が開催されます。いわば人口の多い、生産地から比較的遠い、SKIPシティの空間、川口市で今回は行われます。旬の県産農産物の販売。あるいはお米のまつり、新米の試食・販売。あるいは農業関係で際立った功績を上げた方々の農業大賞の表彰であるとか。あるいは木工教室、園芸相談。また、観光農業の紹介。また特設ステージでの様々なトークショー等々、非常に盛りだくさんなドリームフェスタが開催されます。まあ登山用のリュックぐらいじゃないと買い物に間に合わない。ちょっと背中を隠す程度のリュックでは買い物ができなくなりますので、お勧めは登山用のリュックなんかを持ってたくさん買い物をされれば楽しいのではないかというふうに思うところでございます。非常に楽しい空間でございます。
そしてまた、この時期はレストランや飲食店でもこの地産地消のメニューを提供していただいております。浦和ロイヤルパインズホテルでも11月1日から30日の1か月間、ホテル内のレストラン、あるいはラウンジで農産物などを使ったかたちでの料理が提供されています。そしてホテルブリランテ武蔵野でも同じように11月10日の18時から21時まで県内屈指のシェフ達による県産ブランド農産物を使ったフレンチのフルコースが味わえる集いがございます。予約・問い合わせに関してはホテルブリランテ武蔵野の048-601-5570にお問い合わせをしていただけば、予約で席が決まります。お試しをしていただければありがたいと思います。また、ぎょうざの満州などでも、県内の野菜等々を使ったかたちでのメニューが提供されます。それから食材会社の関東食糧でもさいたま野菜のバーニャカウダのスタンプラリー、さいたまヨーロッパ野菜研究会の共同企画によるスタンプラリーを取引先レストラン25店舗で、2カ所以上のレストランで食べると抽選などでペアランチチケットなどが当たるなど、いろいろ特典があります。これは11月1日から12月31日までです。また、焼き鳥で有名なひびきなどでも県内や都内の22店舗で彩の国黒豚、県産の卵やねぎ等を使用したメニューを提供してアピールをします。
さらにコンビニ、量販店、JAなどでも様々な地産地消の運動を展開していただきます。セブン-イレブン・ジャパンでも深谷ねぎを使った商品、あるいはJAでは県産米のキャンペーン販売などをJAいるま野、JAあだち野、JAあさか野などで販売月間があります。イトーヨーカ堂でも深谷ねぎを使ったぎょうざを全19店舗で販売します。そして、県内全ての店舗で埼玉県フェアが開催されます。与野フードセンターでも県内の17店舗で地元埼玉産、それから近県のうまいものの市を展開いたします。ベルクにおいても58店舗で地産地消月間をやります。イオンにおいても県内の全18店舗で埼玉県フェアを開催いたします。埼玉県の県産野菜を販売してアピールをするということで、まさしくこの11月は埼玉県の様々なお店あるいは量販店、あるいはコンビニ等々で、またレストラン等々で協力をしていただきながら埼玉県の農産物の地産地消を中心に展開させていただくことになっておりますので、県民の皆様方もぜひ注意深く見ていただきまして県産農産物を味わっていただきたいというふうに考えております。以上です。

毎日

28年度予算編成について基本方針が示されております。知事が知事選で2025年問題というものに対応するとおっしゃっていましたけれども、その中で新しく「シニア革命」という文字が入っていますけれども、この革命においてどういった施策を打ち出していくのかお聞かせ下さい。

知事

先ほども若干申し上げましたが、2025年には65歳以上の高齢者が198万人に埼玉県はなる確率が高い。このうちの約2割の41万4千人が何らかのかたちで支えられる側になっている。これも細かく分けていけば要介護の4から5くらいの人たちが8.1万人の4パーセント。入院や通院している人たちが28万人の14.1パーセント。日常生活に若干支障がある人たちが41万人で、20.9パーセント。それ以外の人たちは比較的元気だと。もちろん全く何も無いという方は少ないかもしれませんが、若干時々膝が痛いとか腰が痛いとかそんなことあるのですが、それは若い人でもありますので、まあ日常生活に障りが無いという方たちが8割。この数が156万6千人という大変多くの数の方々がおられます。この方々がどれだけ社会の中で一定の役割を担うか担わないかで社会は劇的に変わる。この人たちが一種の要介護の予備軍としていらっしゃるかどうかということと、全く予備軍ではなくて社会のむしろ中核にいらっしゃるというかたちになるのとはもう全く違うということですので、私たちはやはり今も健康長寿プロジェクトもやっております。様々な共助社会づくりのための努力もしておりますが、例えば民間の防犯パトロールの数5,863団体、この数の団体の数は日本全国の8分の1。膨大な数の方々が参加されております。1団体10人としても5万8千人という人たちが参加されている。こういう役割をいろいろなかたちでやっていくかたちでシニアというのは肩車社会で一人の人が一人を抱えるという、そういう困難な時代をイメージしておりましたけれども、よくよく冷静に考えるとそうではなくて結構元気だと。そういう元気な人たちをどう社会の中で位置づけていくかということでまさに革命的な出来事になっていく。こんなことを私たちは考えなければならない。そのことを意識して、何らかのかたちで高齢者が社会を共に担う「シニア革命」ができないか。いろいろなパターンがあります。働く場にいる、あるいはまた共助の活動、つまりボランティアなどをやっていただく、あるいは趣味の世界で頑張っていただく、多彩な活動があると思いますが、この3分野でそれぞれダブったり、トリプルで活動される方々もおられると思いますが、どちらにしても大変な戦力だ、こういう方々は。そんなふうに位置づけながら、その機会をできるだけ作れるような仕組みづくりを県として用意していきたいというふうに考えております。そのはしりを今年度の予算の中でそれぞれの部局で何らかのかたちでこの高齢者が社会を共に担うことができるような施策の展開をより厚みを持って展開させていただきたいと思っております。以上です。

NHK

先ほどの知事の発表の中で「遅れているもの」、それから「困難なもの」についてはしっかり重点化していきたいとおっしゃっていました。改めてこの分野、どの部分が遅れていると認識されていて、さらに重点化していくのか。

知事

例えば、綾瀬川、中川などの汚れが全国のワースト1とかワースト2は免れてきてはいるのですが、それでもワースト5に入っている。できればこのワースト5から脱出したいわけです。こういったものが残っております。川の再生に関しては一番県民的には評価されている部分があります。県内各地区で非常にきれいになったという評価、あるいは水辺の再生プランなどの展開によって遊歩道や岸辺が非常に散歩しやすくなっただとか、あるいは川辺の遊びなどのアクセスがしやすくなったとか、最も県政世論調査などでは評価の高いところですが、一方では、この中々困難な綾瀬川と中川という構造的な川の問題がありますので簡単ではないのですが、それでもワースト5から脱出させるための努力をしたいというのが、一番念頭に出てきますね。後は、細かい指標になっていくので各部で比較的遅れているものなどをもう1回よく吟味して、ラストスパートをかけて達成できるようにやっていくと、そういうことになると思います。さっき言った中川と綾瀬川は若干構造的な問題もありますので、少しやはり時間がかかると思っております。

幹事社質問
梶田隆章氏への県民栄誉章授与の意向について

毎日

県内出身者の梶田さんがノーベル物理学賞を受賞しました。県民栄誉章を含めて、県としてどういうような表彰をするかというところのご意向を教えてください。

知事

一応、県民栄誉章というのが県が出す最高の章であるので、この対象者だというふうに考えて、まずは県民栄誉章で検討しているところです、基本的にはこの方向で県民栄誉章を受け取っていただきたいと考えております。
それからもう一人、大村智先生ですが、この方も実は埼玉にゆかりのある方であります。特に北里大学の北本メディカルセンターの創設に関わって事実上の創始者という方でもあります。自らの発明・発見の賞金などをこの北里大学メディカルセンターにつぎ込んで、今日の高度な医療機関としての存在を北本市に作っていただき、近隣の医療圏の中でも非常に高いレベルでの治療などを行っている、その功績も合わせてこのノーベル賞の機会に贈呈させていただければと考えているところです。

毎日

お二方合わせてということで考えてらっしゃる。

知事

はい。

埼玉

梶田さんのノーベル賞受賞は科学に興味のある子どもたちにも非常に大きな刺激になったと思うのですが、夢を与えるものということで、県では「夢のかけはし事業」を行っていると思うのですが、それに梶田さんを講師として招くお考えなどはあるのでしょうか。

知事

どちらかというと「夢のかけはし事業」は比較的低学年で、例えばスポーツ関係ではレッズで活躍した選手なんかに教えてもらって「私もレッズの原口元気みたいになりたい」とか、シェフ(後に「パティシエ」に訂正)で名高い朝田さんなんかもやっていただきましたけれども、朝田さんと直にやることでお菓子作りの、将来の夢を描くとかですね。いろいろと将来の夢を描く、あるいは水泳のメダリストなどから学んで自分もまたその夢に賭けようと、そういう思いを持つような比較的体験型の学習と言うのでしょうか、そういう傾向ですので、梶田先生であれば、埼玉県内にも9校の公立高校と1校の私学がスーパーサイエンスハイスクールというかたちで文科省から指定を受けてレベルの高い科学教育ができる高校ということですので、こちらの方で先生にお出ましをいただいたり、何らかのかたちでこちらの学生を先生のところに押しかけたりしながら、まさに「夢のかけはし」を作っていただくというのが一番マッチするのかなと。今までの「夢のかけはし事業」とはちょっと違う、もしやるとすればパート2みたいなかたちで、すごくバージョンアップしたかたちでしょうか。あるいはまた違うかたちでのお出ましをお願いするということで、まさしく埼玉会館を借り切って、あるいは大宮ソニックなどを借り切ってスーパーサイエンススクールの生徒のほとんどが結集して梶田先生からお話を聞くとか、そういったことなどが非常に良いのかなと。過去には川越高校などで梶田先生の講義を聞いたりしていますし、それが全体としてスーパーサイエンスハイスクールの生徒たちに関わりを持たせれば、すごい感化というのか良い影響を与えるのではないかと思っていますので、何らかのかたちで検討したいなと思っております。

テレ玉

大村先生に関しては北本の病院の創始者であったりという簡単な贈呈理由があったと思うのですが、梶田さんに関しては具体的にはどういった理由で対象となるのでしょうか。

知事

まさに本県生まれで本県育ちと言うのでしょうか、東松山の中学校、川越高校、埼玉大学というまさに本県のメインストリームを歩いた方ですので、そして今回のノーベル賞受賞ということですので、文句なしに埼玉県にゆかりが深く、功績のある方ということで受章の対象になるものだと思っています。

NHK

スケジュール感なのですけれども、受章に関して、県民の日等を想定していると思うのですが、今後の選定、それから実際に内定、それから受章、それぞれどういったスケジュール感を考えていらっしゃるのでしょうか。

知事

ちょっとスケジュール感については私も細かに知りませんので後ほどご報告させてください。

その他
圏央道県内全線開通について(1)

埼玉

今月31日に圏央道の県内部分がようやく全線開通することになりましたけれども、県もこれまで産業基盤整備などに力を入れてきましたけれども、改めて今回県内全線開通することによって県内にどのような効果を知事は期待されているのかお聞かせいただきたいのですが。

知事

まず産業基盤としての圏央道、極めて有効なものだと思っています。例えて言えば、海老名まで久喜白岡から行けば、これまで都内の主要高速道路を使っていくのと比べると約1時間近く早くなる。時間のロスが相当短縮できるということで、しかもご案内のとおり県内の東京外郭環状道路が県内区間はでき上がっておりますので、埼玉県内では扇形の環状道路ができることになります。東京、大阪には高速の環状道路があるわけですが、他のところではそうした環状道路があるところはございませんが、埼玉県内での環状道路が事実上出来るという、この意義は大きいと思っております。それから大宮バイパスから上尾道路、これが27年度中、来年の3月までに圏央道の桶川北本インターチェンジ(後に追加)とぶつかるというかたちになっておりますのでメインのところでもこういった道路が交差していくかたちですので、非常に産業面でのインフラということでは非常に大きなものだと。それから観光でも主要なラインにこの圏央道からいろいろなかたちでアクセスができるということで、埼玉県民もいろいろな使い道がありますが、埼玉県が通過道路になることなく、呼び込みもやはり埼玉県としてやっていかなくてはいけないと思っております。いろんな意味で圏央道は、これまでも圏央道プロジェクトということで田園都市産業ゾーンという、インターチェンジ周辺に20ないし40ヘクタールの工業立地(後に「産業基盤」に訂正)を整備してきて、非常に高い人気を誇っておりました。この部分のプロジェクトはかなり終えたわけですが、これにアクセスしている道路関係の部分でもやはりニーズが高いですから、そうした部分でも適地があればしっかりとそうした産業基盤を作って地元市町村のニーズも踏まえたかたちで対応していくことで、非常に便利になる。とにかく東北道、そしてまた関越道、あるいは中央道、東名高速というかたちですべて繋がっていきますので、あとはもう常磐道の部分が完成して千葉まで行けば、もう本当に隅から隅まで関東一円、その真ん中に埼玉県がありますのでいろんな意味で利点があるというふうに考えています。

藤本所沢市長に今後期待すること

テレ玉

日曜日に所沢市長選挙が行われまして、現職の藤本氏が当選されましたけれど、藤本市長が進める政策というのはエアコン問題や保育園の育休退園問題など、全国的に注目される施策に対して反対がある中当選されましたが、今後所沢の市長としてどんなふうな市政を進めることを期待されるのか、知事のお考えを聞かせてください。

知事

エアコン問題に関しては4年前の東日本大震災での脆弱なエネルギー背景、日本におけるエネルギーは非常に基盤が弱い、そういう中で言わばリサイクルや再生型のエネルギーを重要視していこうという藤本市長の姿勢の表れが、いたずらにエアコンは使わないと言うのでしょうか、いたずらにということでありますので、それを全面的に止めるとかそういう話ではなかったと私は理解しております。時と場合によっては高齢者、あるいは弱った方に暑い中我慢しなさいという話にはならないと思いますし、学校も山林に囲まれた学校と都市部の道路ぎわにあるような学校ではそれぞれ違いますので、環境に合わせて上手にエアコンを使われるという趣旨だと私は理解していますが、何か極端な部分だけが争点になったきらいはあったのかなと思います。従ってもうちょっと丁寧な説明の中で藤本市長が考える、まさに自然との共生とかご自身が考えられている環境政策などをきちっと市民に訴えられて、その後理解を進められていくべきではないかなと思います。それなりに一定の批判票があったわけですから、大差を付けて勝たれたことも事実ですが3人分の足し算をするとそれなりに批判票があったということですので、たぶん説明不足だったのはあるのではなかろうかと思っています。

テレ玉

育休退園問題というのも今回争点になったかと思うのですけれども。

知事

そうですね。これも、役所的にはちょっと説明が下手な方が多いですから。これもまた、誤解を招くような話ですよね。いろいろなパターンがあったはずなのですけれども、原則論と全くダメだという話がごちゃまぜになってしまったというふうに私は理解しています。どうしても引き続きいたいということであれば、そういう道筋があったわけですけれど、何か原則論だけが窓口で話されてしまって、それが故に全てがそうだというようなかたちになってしまったのではないかというふうに思います。これも説明不足、そして柔軟な対応が窓口でできなかったこと、それからまた全体として柔軟な体制を作るような仕掛けというのですかね。それができていなかったこと。3つ問題があったのではないかと思っていますので、これも解決できる問題ではないかと思っています。

圏央道県内全線開通について(2)

埼玉

圏央道のことなのですが、観光面で通過道路にならないように呼び込みをしていかなくてはいけないということをおっしゃりましたけど、東北道までつながって観光面ではすごくチャンスになるかと思いますが、県としてこれを契機に何か打って出るというのはあるのでしょうか。

知事

さっき、「近いがうまい埼玉産」ということですが、安心の安と近い、そして非常に手軽にという、短い時間をうまく活用して、十分活用ができるというふうに思っております。例えば、これまでであれば、都内から車で秩父方面に抜けるにしても途中の混雑などいろいろ考慮しなければならなかったのですが、アクセスが2通りあるわけですね。例えば東京外郭環状道路に乗って、東北道が混んでいれば、関越道の方に廻りこんでいくとか、あるいはまた逆であれば、逆から廻っていくとか、帰りの方も逆コースもいろいろ考えながら、埼玉の場合は、東京外郭環状道路と圏央道がちょうど並行するようなかたちで扇形を作っていますので、そういう活用方法でどちらかが混雑しても片一方がうまく抜けられるとか、そういう選択肢ができる。それから栃木方面の方々にとってみれば、東北道でまっすぐ下りてくる分には良かったのですが、それをまた一旦、向こうから言えば右折して秩父方面に抜けていくというのは手間暇のかかることだったのですけれど、今度は久喜白岡インター(後に「ジャンクション」に訂正)でそのまま鶴ヶ島まで行って、それから花園に抜けて秩父に行くとか、あるいは、北関東道路なんかも使えますので、いろんなバリエーションが埼玉県の場合は可能になりますので、埼玉県側からも便利ですけど、埼玉県に来ていただくこともやはり便利だと思います。とりわけ、最近人気の高い川越なんかは、あまり車で来られたら困る部分もありますが、車で来た時にどうするかという課題もまた考えなくてはいけないと思いますが、非常に便利な状況ができていることは事実だと思っております。
それから、神奈川県も埼玉県に勝るような人口を抱えておりますが、従来神奈川から埼玉に来るというコースはどちらかというとあまりなかったわけですけれど、最近はよく神奈川ナンバーが秩父や川越に来ております。こうしたものを、圏央道(の県内全線開通)を境にまた引っ張り込みをしっかりやらなければというふうに考えているところです。

横浜マンション杭工事の施工不良について

日経

三井不動産グループが販売したマンションが傾いている問題で、今国土交通省が主体になって、旭化成建材が施工した建物を調査されているかと思うのですけれど、県として何か独自に調査されていることだったりとか、あるいは県内にどれくらい対象のマンションがあるのか把握されていることがあれば教えてください。

知事

まず、国交省が今月の22日までに47都道府県別に旭化成建材が仕事をした建物についての報告を出せということですので、埼玉県分をまずはチェックしたい、こんなふうに思っております。それから埼玉県としては公的施設はチェックできますので、民間まではなかなかチェックする能力はありませんが、旭化成建材側からの報告を待つしかないかたちですけれども、公的施設はどこがやったかというのはチェックできますので、念のため、都市整備部を通じながら、公的施設に関わった部分があるかないか。あるとすれば状況をチェックする必要が、まあ向こうも出してくると思いますが、これは我々でもできますのでやらなければと、今のところ方針を立てております。

TPPのプラス・マイナスの面について

日経

今日、政府がTPPの関税撤廃の全容を明らかにして、農産物の大半が、関税が撤廃されるということが明らかになってきましたが、埼玉県に対するその農業への影響と、一方で県内に自動車部品メーカー等が多いので、プラスになる部分あると思うんですけど、TPPのプラスマイナスどういうふうにとらえているのか。

知事

ホンダを中心にした部品メーカー・関連メーカーなども多く、あるいはホンダだけに限らず輸送用機械の産業連関図の中では22%くらいでしょうか、埼玉県はそのシェアをもっていますので、そういうところはより利益を上げやすい体制ができると思って、メリットのあるかたちに、最終的にまだ批准がされるかというのはもちろんあるのですけれど、大筋合意という方向はそういうことだと思っています。一方で農産物に関しても食品加工事業者や消費者にはプラスの部分もあるのですが、農業生産者の所得の確保が可能なのかどうかということがございます。もちろん今後技術の指導や農業生産の生産性を上げていく中での価格の勝負だとか、あるいは品質の勝負でやっていかなくてはならない部分がありますが、こういうのは時との戦いでもありますので、その間の農家の所得補償とか、こういう課題についても当然考慮されるべきだと思っております。過度な保護は却って産業を駄目にすると思いますが、暫定的な保護というのは次なる飛躍のステップにもなりますので、そういう暫定的な保護は時と場合によっては必要だと思っておりますので、次に繋がるような保護ですよね。そういうことはやはり是非政府においても考えていただきたいと思いますし、また、我々も生産者グループの皆さんからも意見を聞いて、制度として国なんかにも取り入れてもらえるよう努力したいと思っています。

日経

対策は県でやるよりも国が責任も持ってやるべきということですか。

知事

これは国対国の交渉ごとの一つの合意でありますので、基本的な責任は国にあると思っています。我々は現場を預かっていますので、現場の声をしっかり届ける、そして、時と場合によっては制度改正を要求する、こんなかたちになると思います。

新しい条例の制定について

朝日

先週15日の9月定例会が終わってからのぶら下がりの際に、12月議会に向けて新しい政治倫理に関する条例を研究したいというお話をされていたかと思うのですけれど、今回9月定例会中にも改正するか廃止するかということで、各会派の話をまず聞いてみたいということで、自民党の話をなかなか聞けない状況にあったかと思うのですけれど、今回新しい条例を検討するにあたって、また、同じように各会派のお話を聞いたり、例えば自民の意見をまた聞きたいという姿勢で臨まれるおつもりでしょうか。

知事

基本的には各会派から聞きました。自民党の皆さんからの意見は聞くチャンスがありませんでしたので、引き続き自民党の皆さんからもお話を聞きたいと、こんなふうに思っております。聞いた中身についても、第一条の「清新で活力のある埼玉県政の実現」、この部分が一番肝ですので、これにふさわしいものが何なのか、たまたまアイデアとして政治倫理条例なんかどうだというのも出たりしました。ただ、これが目的ではありませんので、例えば情報公開の現在の部分で100%の満足なのかどうなのかとか、いろんな多角的な検討をしてみたいなと思います。

朝日

新しい条例を出すにあたって、条件として、各会派の意見が聞けているかどうかということは、条件設定として、知事の中でありますでしょうか。

知事

ちょっとよく分からないです。

朝日

例えば条例を出すにあたって、一つの会派から意見が聞けていないから出す出さないを決めるとか、そういう条件として、各会派の意見が聞けてるかどうかというのは、知事の中でそういう条件というのはありますでしょうか。

知事

各会派の意見も聞きたいということで聞けなかったらどうするかという話ですか。

朝日

聞けなかった場合に出さないという判断をされるのか、聞けなくてもきちんとしたものができれば出すという判断をされるのか。

知事

きちんとしたものができそうだということであれば、またそれも含めて聞けなかった会派に対しても、そういうのを内々にとか、あるいはオープンにお伺いするというのも一つの考え方でしょうね。聞く聞かないが前提というよりもできるだけ聞く努力をするということでしょうね。それから良いものができたと思っていても、また改めて各会派に聞いたらもっといい話があるかもしれませんので、そういう部分ではいろいろな意見を聞きたいというふうに思います。

さいたま市の市民活動サポートセンターの直営化について

東京

さいたま市の話なのですが、先週、浦和駅前の市民活動サポートセンターという所が、これは今指定管理者制度で運営されているのですが、NPOの運営から市の直営に替えるという条例案が可決されまして、知事は国会議員時代にNPO法制に携われたということを側聞しているのですが、このことに関してお感じになっていることがあったらお聞かせ願えますでしょうか。

知事

正直なところ、細かな背景と現状を掌握しておりませんので、軽々な発言は控えなくちゃいけないかなというふうに思っております。どのようなかたちの背景で、一旦指定管理をしたNPO法人をシャットアウトして直営でやれというような条例改正になったのか、その背景は分かりませんので、ちょっとお答えしにくいかなと思います。知っていれば自分なりの考え方を申し上げることは可能かもしれませんが、比較的私はノーコメントということは言わない人間なので。でも知らないことはやはり軽々に言いにくいかなと思っております。NPO法制に一生懸命やったのは事実ですけれど、どういうかたちで指定管理者になったのか、そして指定管理者としてあるまじき行為があったのかどうかとか、そういった部分の背景を全く承知しておりませんので、今の質問についてはちょっとお答えできないですね。ご理解ください。

(終)

知事記者会見テキスト版 平成27年9月17日

録画を見る(約34分)

平成27年9月17日(木曜日)

平成27年9月定例会付議予定議案
台風18号による大雨被害の農作物への影響について、安保法案を今国会で成立させるべきかについて
熊谷市で起こった殺人事件について
熊谷市で起こった殺人事件について(2)
浦和警察署巡査部長の逮捕について
台風18号等の農林水産被害額について
知事発表
平成27年9月定例会付議予定議案

平成27年9月定例会付議予定議案についてのパネル(PDF:773KB)

知事

今日は、平成27年9月定例会付議予定議案について、県民の皆様にお知らせをいたします。招集日は9月24日でございます。議案は13件、(内訳は)予算関係2件、条例4件、工事契約の締結3件、財産の処分1件、訴えの提起1件、事件議決2件であります。また、主な内容ではまた後程お話しますが、「平成27年度埼玉県一般会計補正予算」「法人の県民税の特例に関する条例の一部を改正する条例」であります。また、報告案件では、専決処分報告3件、行政報告書1件、継続費精算報告2件、公社等の経営状況報告2件、私債権の放棄に関する報告1件というかたちになっております。
9月補正予算に関しては、歳入歳出予算では5億158万3千円で、補正後の累積は1兆8,295億5,233万7千円というかたちになっております。そのうち(後に削除)債務負担行為は8,076万7千円。内容はさいたま新都心医療拠点の機能強化を中心とした債務負担行為でございます。これはまた後程詳しく説明したいと思いますが、遠隔胎児診断支援システムの導入。国の事業でありますが、埼玉県プロフェッショナル人材戦略拠点の設置。バイパス整備などの推進の費用。また、台風11号により被災した河川の復旧などがございます。
で、実はさいたま新都心の医療拠点、小児医療センターとさいたま赤十字病院が今建築中でありますが、従来、お母さんのお腹の中の赤ちゃんの画像ですが、一般の病院で診ることができるわけですが、高度な専門医でないこともあり、少し分からないことについて、見逃したりそういったことがないようにということで、この小児医療センターやさいたま赤十字病院との診断支援・技術指導というかたちと、支援依頼というかたちの締結(後に「協定」に修正)を結びまして、この画像をこちらの専門の小児科医であったり、産科医であったり、そういったところに送られて、そこで丁寧に見ていただいて、先天性疾患の診断などが、分かったりすることによって治療の遅れが無くなったり、あるいは母体・新生児の救急搬送についても、産まれる前から搬送の準備をしている、そういうことが非常に可能になる。今までであれば産まれてから分かった、それで慌てて高度な医療病院に運んでいたというものが、これからは、あらかじめ発見でき、早期治療や、救命救急の搬送の準備もしていて、故に救命率が高まり、場合によっては先天性の病気などについても、重くならずに済むという。そういう仕組みを今のうちから準備しておきましょうというかたちでシステムを導入させていただきたいと思っているところです。また、県の産婦人科医会という、産婦人科の医師の団体があるわけですが、こちらのほうも当然、メンバーの皆さん達と、研修をして、その研修に関しても高度な医療技術を持つ先生方の、小児医療センター、さいたま赤十字病院の高度な先生達にも来ていただいたりして、ご講演あるいはいわゆるデータベースを見て、自主的な研修というのでしょうか、ケース・バイ・ケースの実務研修なんかをやっていただく協力関係をやりましょうという、こういうさいたま新都心医療拠点を核とした医療ネットワークが28年度(後に削除)中の医療拠点のオープンに合わせて実際に行っていきますので、そのための予算を今議会で、提案をしていくところでございます。今回の予算に関してメインとしましてはこういうことになります。
最初に…大変ご無礼いたしました。このたび、台風18号で洪水、浸水等で被害を受けられた関係の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。埼玉県も防災ヘリをはじめ、消防関係のメンバーも現地に派遣し、救命救急、救難のために尽力をしていること、そしてまた埼玉県内で床上床下浸水の被害者・被災者の皆さんにも、越谷市・春日部市を中心に、そして県としてもバックアップを一生懸命やっているところでもございます。一日も早く現状に復旧されることを心から祈念をいたします。以上です。

埼玉

遠隔胎児診断支援システムのことで、お伺いしたいのですけれど、例えばこれを導入することによって、導入前、導入後、ここ(パネル(3))にも効果がありますけれど、救命率の向上など、数字的にシミュレーションしている数字がありましたらお示しいただければと思うのですが。

知事

現在のところはシミュレーションは資料としていただいておりません。今回のことのデータというよりも過去のデータですね、例えば先天性横隔膜ヘルニアの生存率ですが、治療無しの場合10~40%ですが、遠隔操作(後に「遠隔診断」に修正)というのでしょうか、事前に知りうる状況になっているとそれが40~80%に上がる。それから双胎間輸血症候群の2人のうち1人の生存率が事前に治療がなかった場合には50~60%のものが実際行った場合には80%に上がるとか、こういうデータはあるようでございます。ちょっと細かいデータはまた担当を通じて他にも病例がたくさんあると思いますので、追っかけがあれば提供していきたいと思います。

埼玉

それともう一点なのですけれど、知事ご自身の多選自粛条例に関してなのですけれど、これは少なくとも開会にあわせて、改廃なりを、提出する予定はないということでよろしいのでしょうか。

知事

そうですね。まだ、全部確認したところではないのですが、いろいろな意見がございますので、自分なりに交通整理をしてみたいと思っています。時間を無理に区切って、いつまでに云々ということではなくて、いいアイディアをきちっと押さえてみたいと思っています。

埼玉

以前、知事が「議会と相談を」というお話をされていたかと思いますが、先日、1会派とお話ししたという話がありましたけれど、その後は何か進展があったのでしょうか。

知事

1会派を除いて大体、意見聴取ができました。それぞれ意見がございますので、そういったものも含めて自分で最終的な判断をしたいと思います。

テレ玉

医療拠点遠隔胎児診断支援システムの関係なのですけれども、現在のところ導入を検討しているというところが県内の産科機関のおよそ3分の1ぐらいと聞いています。何年度を目途に100パーセントを目指すとか、何かそういう数値目標みたいなものがあったら教えてください。

知事

最終的には全部できれば一番良いと思っております、当然。ただ、初めてのことでありますので、1つのモデルケースを実績として、どのレベルだったらどのくらい進めるということになりますので、これから実績を重ねてそうした目標値を出せば良いのかなと言うふうに感じます。

朝日

先ほどの質問と少し重なるのですけれども、確認ではあるのですが、冒頭、今回の提出議案に入っていませんけれども、今後会期中にまた提出というのは今後考えていくという理解でよろしいのでしょうか。

知事

まずは白紙でですね。

朝日

会期中はまだ提出するのもありうるという。

知事

そうですね。自分の考えがきちっとまとまって、もう少し皆さんの意見のチャンスが聞ければ、そういうことも可能かなと思います。

朝日

先ほど一会派を除いてという話でしたけれども、一会派というのはちなみにどちらになりますでしょうか。

知事

自民党になります。

朝日

まだ意見が聞けていない状態ということで。

知事

はい、そうです。

朝日

知事からはアプローチなりはされているという。

知事

そうですね、非公式にお願いしております。

朝日

まだ向こうが通常、話を…。

知事

「まだ今のところはやめて欲しい」と言うようなお話ですね。

朝日

何か理由とか説明とかは。

知事

聞いておりません。

朝日

まだ聞いていない。そこの自民党なりの意見をまた聞いたうえで、知事なりのご自身で考えて…。

知事

何といっても最大会派ですからね。

幹事社質問
台風18号による大雨被害の農作物への影響について
安保法案を今国会で成立させるべきかについて

埼玉

2問ありまして。1つが先日の台風18号による大雨被害で県東部地域を中心に農作物の影響が懸念されています。被害の全容が判明するのはこれからですが、県として今後どのような対策が必要と考えていらっしゃいますかというのがまず1点です。
それともう1点、安全保障関連法案の採決をめぐり、今まさに与野党の攻防が続いております。法案に関し知事は7月の定例会見でもっと審議、議論が必要との考えを示しておりました。その後、議論は尽くされたと感じていらっしゃいますでしょうか、また本国会で成立させるべきだと考えていらっしゃいますでしょうか、改めて伺いたいと思います。以上2点です。

知事

まず前段の部分ですが、県東部を中心に米、水稲ですが4,000ヘクタールが浸水して、ソバは約27ヘクタールが浸水しております。これは、水は引いているのですが、品質を均等化させるということで、浸かったものと浸かっていないものが、ごちゃまぜにならないようなこの努力が基本的には必要だというふうに思っております。被害の全容はまだ正確には上がってきておりません。従って、決して大きい話ではないのですが、じゃあ軽いのかというとそうでもない。こういう認識を持っているところであります。何気に今度の対策としては、やはり通常の排水形態がどういう形になっていたのか地区ごとでやはり違うと思いますので、そうした部分をよく調査しておいて、できるだけ今後速やかに水が流れるような形にしていくことなど、現場現場の細かい対策が必要だというふうに思っているところです。ただ、ソバ農家では収穫が減った部分でも国の経営所得安定対策交付金というものが確実に受けられるように、被害状況の写真とか作業日誌の準備などを丁寧にしていただいて、実質的な被害に繋がらないようにしてあげなければいけないなというふうに思っております。
また幸いと言うのでしょうか、埼玉県は金融機関なども非常に熱心にこうした救済対策に関しても取り組んでいただいておりますので、関係金融機関などがいつでもカバーできるようなかたちで、しかも金利を一旦下げたりしてそういうことも可能ですので、そういう部分では丁寧にやっていけるのではないかと思っています。
それから安保法制に関してでありますが、審議時間は異例の長さになっているというふうに理解をしております。それ相応に審議をされていただいている、論点もそれなりに出している。ただ、収れんさせるという作業が与野党に欠けているのではないかという考え方を私は持っております。例えば、自分の考え方で恐縮ですが、今日の極東アジアを中心とした国際情勢というのは「やはり日本の抑止力っていうのは高めておかなくてはならん」と、日本という国に何らかのかたちで、ちょっかいと言うのでしょうか、手を出せば手痛い目に遭います。そういう意味での戦力、あるいは他国との同盟関係、あるいはさまざまな連携などを、あるいは国民の強い意識、そういうものを高めていく必要がある。これは意外と共に同じ考え方を持っているはずだと思っています。
それからもう1つは、一定程度「憲法9条を守れ」ということに熱心な方々には大変ご無礼で恐縮な部分もあるのですが、9条だけをしっかり守れば私は平和が来るというふうには思ってはおりません。ただ、9条の精神をいろいろなかたちで生かすということが大事だと思っておりますので、その部分でも例えば9条を守れば平和になると、そんなふうに思わない人でも、9条の精神は非常に重要だと、そこまでは接点がやはりあるはずなんです。そういう接点を収れんさせていくのが私は議会だと思っております。最初からイエス・ノーがはっきりしていて、議論を始めるのだったら、選挙が終わった瞬間に、全ての勢力図が決まり、全て国の方針が決まってしまいますので、やはりそうではなくて、一定程度の勢力比は出ても、やっぱり議会の存在というのはやはり国民の意志というものをそれぞれが代表した人達が収れんをさせながら一番良いところに落としていくと言うのでしょうか。落としていくという言葉が適切かどうか分かりませんが、収斂をさせていくというか、それが一番大事だというふうに思います。そうすることが実は安全保障上、どの国よりも強くなる、与野党がいろいろな議論をしながらも一定程度の幅の中で締まるということが、例えば強行採決で決まりました、実は世論はあまり納得しませんでした。議席こそ自民党は多かったのですが、決めた時には非常に支持率が低かったんですとか、そういうかたちは良いかたちではないと思っています。ぎりぎりの段階で、どんなかたちができるのかよく分かりません。ただ、幾つかの小さな政党との、修正協議なども努力されていることなども、補完勢力だとかいろいろな悪口もあるかもしれませんが、ぎりぎりのご努力をされているということで私は評価をしたいと思いますし、いずれにしても野党を代表する民主党などとしっかり協議をしていただいて、極力収斂をしていただきたいなというふうに思っています。

その他
熊谷市で起こった殺人事件について

朝日

昨日熊谷市で児童2人を含めて4人が亡くなって、それまでに計6人が亡くなったというような事件が発生しましたけれども、この事件を受けて知事の受け止めを伺えればと。

知事

私なりの認識ですが、埼玉県犯罪の認知件数が多かった、また警察官の数の1人当たりの負担率が高い、こういう現況が平成16年就任当時ありました。限界があったわけですけれども、大方3分の1くらいに全体として減らしてきた、特に私は県警本部に当時からお願いしてきたことは、数の少ない警察官の部分をカバーするために、日本で最大の民間防犯パトロールをつくって、いわゆる軽ちょうな犯罪をブロックする、特に住宅侵入盗などをブロックする。県警においては、強盗・殺人・放火・誘拐・強姦、こういう凶悪犯を断固たる決意でブロックしてもらいたい。またそういう事件が起きた時には何がなんでも、検挙して欲しい。こういうお願いを実際していて、やはり平成16年当時凶悪犯の検挙率が47都道府県で下から2番目だったのですが、5、6年たって25番目までくらい、平均ぐらいまでには上がってきたんですね。非常に現場でご努力をしていただいているということを、一人当たりの警察官の実労働とか検挙率とか見ていると評価できるものがあるんです。そういう中で先には警察官本人の殺人事件ということが起こって、非常に確定的な状況、犯人として非常に警察の信頼を歪める。千日の努力もたった一人の一日の不埒なことで全てが飛んでしまうような非常に不愉快な話として、これは何らかのかたちで県警的にはたがを絞め直してもらわなくてはいけない。熊谷で連続で起こった事件、まさにこういう事態をどう受け止めるか。そうした不安がもし今言われている方が犯人だということであれば、どういうかたちで捕捉が今までできなかったのかということが、そういったこともやはり問われると思いますので、なかなか人権との関係で難しいところですが、やはり本当に難しいです。いろいろなかたちで動く人をどう見るかということについて、辛いところですけれども、勝手に犯罪者扱いすることもできませんし、勝手に変な人だということにするわけにはいかないところがありますけれども、これはあまり警察行政というのは私たち素人ですので、どういう識別をされているのかよく分かりませんが、連続して起こったということに関しては「どこかで単発で止めることが出来なかったのか」、そういうことについてしっかり研究していただきたいとなというふうに思っています。

熊谷市で起こった殺人事件について(2)

毎日

今の話に関連してちょっと改めて確認になるかもしれないのですけれども、熊谷の事件での県警本部の対応についてお聞きしたいと思います。熊谷の事件の容疑者は別の事件で13日、事件のある前の13日に逮捕状が出ていて、熊谷署で実際に話を聞いていたけれども姿が見えなくなるという経緯がありました。その後に子供を含む6人の命が失われていますけれども、その経緯について改めてご所見をお伺いしたいのと、実際にそういう検証が必要とお考えになるかどうか教えていただきたいと思います。

知事

これまで繰り返しますが大阪辺りで捕まらなかった人を上尾の土手で捕まえたり、千葉で捕まらなかった人を捕まえたり、埼玉県警が特別な力を発揮した事件なども、ここ数年の内に幾つもありました。全国的に褒められた事象もありました。今回の熊谷の件について、記者の方が若干の疑念を持たれる。やはり私たちも「単発で済まなかったのか」、「なぜ連続なのか」というのが残念なようなところであります。ただ、これが不可抗力なのか、それとも何らかのかたちでもっとブロックができたのかどうかというのは、今の時点では分からないことであります、私にとりまして。従ってきちんとした回答はできません。ただやはり言えることは、何でもそうですけれど連続は良くない。不幸にして悪いことがあったりしますけれども、それでも一番嫌なのは連続ですよね。「なぜブロックができないんだ」というところですよね。これがなぜそうなったのかということについてはやはり丁寧な検証というのでしょうか、分析とかというのが、県警本部においてなされるべきだとは思います。

毎日

知事としてもこの検証を、分析を求めたいというお考えということでよろしいのでしょうか。

知事

そうですね。

浦和警察署巡査部長の逮捕について

産経

また県警の話で恐縮なのですけれども、先週の土曜日に現職の警察官が殺人容疑で逮捕されるということもありました。この件についてのご所見をお伺いします。

知事

先ほども申し上げました。埼玉の警察官、1人当たりの担当範囲っていうのは日本一厳しい状態です。今全国の平均が1人で480人ですが、埼玉県は1人で630人ほどの負担がございます。その割には、ほとんどの事象における1人あたりの検挙率とかというのはほとんどの分野で、全国で3番以内に入るぐらい実は頑張っておられます。しばしば警察庁長官賞を埼玉県警はとっております。そういう部分での評価は私は常にしているところでございます。そういう中でも、千日訓練しても一日失敗すればもう千日の訓練がもう終わりということになってしまいます。そういう事例になってしまったということが非常に、もう残念至極であります。これは私以上に現場の警察官の皆さんたちがもっとそういう悔しい思いをされていると思っています。もう悔しくて悔しくてしょうがないと思っています。全てを、一人の人の責任なのですがある意味では全体責任みたいなかたちで背負わなくてはいけないようなところが無きにしもあらずですので、本当に悔しい思いをされていると思っています。ただ私は、私自身の考え方とすれば埼玉県警の全ての警察官の特に現場を歩く警察官の方には胸を張って、やはりまなじりをちゃんと上げて、確かに仲間のうち一人不埒な者がいたのだけれども、「我々は違う」ということを明確に意識していただいて、今まで以上に捜査の実、あるいは犯罪を未然に防ぐための努力をしていただき、また親切に様々な警察サービスをしていただきたいというふうに思っています。

台風18号等の農林水産被害額について

日経

大雨の話に戻るのですけれども、現状で農業被害額がどの程度に上るのかというのを県として知り得るものがあれば教えてください。

知事

はい。実はまだ、被害額の報告は無いんです。それで、国が公表した被害額、特に森林関係で被害額が1億4千万円程度。治山関係で2カ所、一部石が落ちてきたとかそういったところ。それが3千万円程度の報告があって、国が公表した被害額の73億円のうち、埼玉県の被害額は1億7,150万円という国の方への報告があるのですが、まだまだ分かっておりません。現実にはよく分かっていないところです。分かり次第、またご報告させるようにしておきます。

(終)

知事記者会見テキスト版 平成27年9月9日

録画を見る(約45分)

平成27年9月9日(水曜日)

下水道資源の有効活用
マイナンバー制度の県民への周知、不安の解消にどう取り組むか
安倍総理の自民党総裁への無投票再選について
多選自粛条例について
文理佐藤学園・学園長の海外出張における私的流用について
軽減税率のマイナンバー利用について
児童相談所の体制強化について
文理佐藤学園・学園長の海外出張における私的流用について(2)
9月議会にどのような姿勢で臨むかについて
飲酒及び喫煙年齢の引き下げについて
知事発表
下水道資源の有効活用

下水道資源の有効活用についてのパネル(PDF:860KB)

知事

こんにちは。今、台風が接近しておりますが、18号の影響で飯能エリアや秩父エリアでは大雨が降る可能性も、また降っているところもございますので、県民の皆様にも注意をしていただきたいというふうに思います。
今日は、明日が下水道の日というかたちになっております。改めて埼玉県の下水道、とりわけ県が管理しております流域下水道について県民の皆様にご理解を深めていただきたいということで、最近の状況などについてご報告をしたいと思います。まず下水道には、県下の市町村にまたがったかたちの流域について管理をしている、これは都道府県がやっているわけですが、流域下水道というものがございます。公共下水道というものがもう1つありまして、これは市町村が管理をしているものでございます。こういう2つの下水道がありますが、埼玉県(が行う流域下水道)では8の流域で9の処理場があります。47市町をカバーしているようなかたちになりますが、ただし処理の人口では県の人口の7割、530万人分をやっております。どのくらいの量なんだということで言うと、25mプールで約3千杯、といってもピンとこない感じでありますが、(さいたま)スーパーアリーナだと2.4杯分という感じであります。(さいたま)スーパーアリーナをひっくり返して、そこに下水道処理の水を貯めたということになると(さいたま)スーパーアリーナの2.4杯分、毎日処理をしているというかたちになります。実はこの流域下水道は埼玉県、全国で1、2、3の3つそろってやっているんです。荒川の水循環センターのエリア、新河岸川、そしてまた中川。いずれも全国の流域下水道の1位、2位、3位。最も大きいところを埼玉でやっている。ご案内のとおり大きな川もありますし、また多大なる人口を抱えているということでこのようなかたちに結果としてなっております。で、見て分かりますように下水道管があちこちに張り巡らされてそれがまとめて処理場の方に入って、ドロドロとしたようなものも含めて、きれいにして川に流す。この川に流したときには川と変わらないような状況にしている。従ってきれいに処理された下水でありますので、海の魚や貝がきちっと育つ。そういう海の魚や貝などが、また自然循環のかたちで私たちのお腹に入ってくる。あるいは水蒸気で上がっていって、雨水として山に降ったり平野部に降って、それから川に流れていって海に流れていく。そういう基本的な循環をやっていますし、その上に下水処理をするプロセスの中で汚泥が出てきたりしますが、固形燃料になったり、後ほどご報告しますが、建設の資材になったり、場合によっては水素まで作れたりいたします。そういう下水処理に関してまさに包括的に資源循環のサイクルをきちっとつくっているというのが、この流域下水道だということもご理解を賜りたいと思っております。
で、どのくらい実際きれいになるんだということで流域下水道に入った時にはBODの量がリッターあたり160ミリグラムが4ミリグラムになるということで極端に小さくなります。このBODの単位でございますが、だいたいアユが棲める割合ですが、(後に削除)このBODの科学的な汚れの具合でありますけれども97パーセントこの汚れをとってしまう。残りが3パーセントですが、実はアユが棲める河川の割合の状況が、平成6年当時29パーセントだったのですが、これが84パーセントになっている。こういう状況がまさに下水道の普及率と重なるようなかたちで実際うまくやってきたというふうに思います。また河川のBODがどんどん減っていくプロセスでございます。このBODの数が減ることによって、河川が浄化されていくという、こういうかたちでございます。
そして先ほど話しましたように、資源化されている下水道だというふうにご理解をいただきたいと思います。例えば下水汚泥。建設資材の材料にもなるというふうに申し上げましたが、資源にもなりますよということであります。建設資材、道路の歩道なんかにも敷かれるやつだとかいろいろなものができておりますが、バイオガス発電で下水処理で出てくるメタンガスで発電ができるというかたちになります。その(メタンガスの)最大量が本県では年間約最大で1,300万ノルマル立方メートル、これは東京ドームの10個分でありますが、これを発電量に直していくと最大で年間2,500万キロワットアワー。一般家庭の5千世帯分。ここまで可能だということになります。で、この発電による温室効果ガス削減量は最大で年間1万2千トン、一般家庭の約2,300世帯分を見込んでおりますが、平成31年度に元荒川、中川の水循環センターでスタートして、その後新河岸川、古利根川水循環センターにそれを拡大していこうという計画であります。いずれにしても最大級でここまでできるということが明らかになっております。結果的に最大、埼玉県の流域下水道で発電の可能性は5千世帯分ぐらいできますよということであります。
また、ご案内のとおり処理場の部分が相当大きく面積を押さえておりますので、そうした部分にソーラーパネルを設置していこうということもしておりますが、これは来年から発電開始で中川の水循環センターと小山川水循環センターの2カ所でスタートして、可能な発電量が400万キロワットでございます。一般家庭では800世帯分が可能になるというかたちで、バイオガスの発電や太陽光発電の資源にもなっていくというかたちでございます。
それから、最初に申しましたように下水道から今話題の水素も供給することが可能でございます。汚泥から消化タンクを通じてメタンガスが発生します。そのメタンガスを水素に切り替えてCO2フリーの水素ができあがるかたちになります。現在平成32年の供用開始に向けて中川の水循環センターで事業化のモデル調査を実施しております。基本的には水素ステーションが作られることが可能だということの調査であります。そして、供給可能な状況かどうか。そして事業収支と実現方法の検討などをやっております。基本的に可能だという方向性がもう基本的に見えてきております。従って、(県内には)現在9基の水素ステーションがあってこれを(平成)37年までに30基つくる予定になっておりますが、それに加えて4カ所でステーションができるというかたちも考えられるところでもございます。中川をはじめいろいろなところの水処理機関のところで水素ステーションをつくって、特に供給量が大きいですからいざというときにたくさんの水素を使った自動車などの供給ができるというふうに思っております。それから、下水道処理場が全国各地に展開しておりますので、埼玉県でのこの実験を全国に発信することで全国で2,140カ所、場合によっては水素ステーションもできますよということをアピールできるのではないかというふうに思っております。特に内陸部。一般的には水素のタンクは海岸部にありますので、内陸部でもそういうことが可能になるということを先駆けて埼玉県で証明していこうということを今考えているところであります。このように流域下水道、県の下水道というものが、単に下水処理をして川の水をきれいにしたりするだけではなくて、まさしくそれを資源化して、オールラウンドに循環型の社会を創っていこうという、こういう仕組みづくりを積極的に進めていることを改めて申し上げたところです。
(パネル(1)「下水道による資源循環サイクル」の図を指しながら)下水道による資源循環のサイクルですが、生活排水を下水処理しております。それを処理をした処理水は河川に放流されます。水循環の中でまた蒸留水として雨になって川に落ちたり、あるいはダムの水が貯められたりしてそれがまた水道になり、そしてその水道を使ったかたちの中での生活排水として下水処理がされる。一方では、汚泥が残った部分を固形燃料や建設資材等に使ってまいりますし、場合によってはこの汚泥からメタンガスをつくり、そしてそれを発電材料にしていく。そしてさらに水素をつくって水素社会を創っていくということでエネルギーの資材にしていくというまさに循環社会を全般的に進めていくというかたちで流域下水道が役に立っているということを県民の皆様方にご理解をいただきたいと思っております。近くの水循環センターなどでこの下水道の日、9月10日(前後)にいろいろなイベントなどが行われておりますので、県民の皆様方はこういったところに多分、近場ではアピールされていると思いますので、見ていただいて感じていただければ大変ありがたいというふうに思っております。以上です。

テレ玉

先日、下水道局の経営懇話会で、人口減に伴う使用量の減少によって収入減の課題があると議論されていました。今発表のあったとおり、再生可能エネルギーについてなのですが、売電して収入減とするお考えがあるのかどうかという部分と、懇話会の委員からは、下水道の資源循環サイクルなどについてもっと一般の方にPRしてもいいのではないかといった意見がなされていました。という意味で、工場見学などのルートを作ったりだとか、荒川水循環センターの中には実験などもできる施設もあったりしたのですが、そういったものをより整備していくお考えがあるのか、ご所見を聞かせてください。

知事

基本的にはそういう発電などの収益も加味していくというところを検討しているところでございます。さらにこの流域下水道の入り口のところ、確か下水道の日のイベントを通じてのアピールなんかがなされています。また社会科見学などでも使われたりしているのですが、より一層、アピールする機会なんかを考えていただきたいと思っております。それから水の使用量あるいは下水道使用量などが落ちてくることに関してどうなのかということでありますが、当然その分が、収入が減っていくということも考えられますが、これもまたより高度な技術革新を行いながら、コストを吸収していくというかたちで、やっていくしかないのかなと伺っているところです。

幹事社質問
マイナンバー制度の県民への周知、不安の解消にどう取り組むか

テレ玉

先日、改正マイナンバー法が衆議院で可決成立しました。年金の不正受給や納税に関する情報管理のためとはいえ、個人の資産について把握されることなどについて、情報の流出への不安であったり、その解消が必要となります。また、来年1月からの税や社会保障に関する情報管理のため、来月には個人番号の通知が順次行われることになっていますが、一般の人たちのこの法律に対する理解が進んでいるとは言えない状況にあると思います。こうした中で、医療機関や特別養護老人ホームといった施設にいる人や住民票を移さないで引っ越しをした人などへ通知カードが届かない可能性があることや、マイナンバー制度を語り個人情報を聞き出そうという不審な電話も増えてきていると言われています。制度の周知などについては国が行うべきだとは思いますが、県民への周知、不安の解消など県として何か取り組む考えがあればお聞かせできればと思います。

知事

個人情報保護というのが大前提になっているものであります。個人情報の保護がなければ制度としてありえない、つまり、悪質なかたちで個人情報にアクセスされるというかたちが起こったら、この制度そのものが否定されてしまうというかたちになりますので、万全を期して、政府においては個人情報の保護をしなければいけないと思っております。まだセキュリティー対策について、例えばこのようにしなさいというかたちで県のほうに具体的なかたちで届いているわけではございません。現在のところ、県とすれば、基本的には、彩の国だよりを通じて広報を行ったり、商工会や商工会議所連合会などの出前講座、また、県民の皆様には、マイナンバー制度に関わるかたちでの個人情報を聞き出さんばかりの電話、これはありえない訳であります。県や市町村やあるいは国の機関を語って、何らかのかたちで、マイナンバーなどが発表(後に「通知」に訂正)された後に、それを聞き出す輩というのでしょうか、そうした人たちが国の機関の名前を語ったり、あるいは県の機関、あるいは市町村の機関などを語って、電話をしてきた場合など、絶対対応しない。聞く訳がないから。そんな風にまずは理解をしておかなければと思っておりますので、そうした部分についても改めて発表(後に「通知」に訂正)される前後の時に、この辺のアピールを県、あるいは県を介しながら市町村を通じて、ありとあらゆる方法を通じて、そういう犯罪に活用されるようなことを避けるようなことを徹底的にアピールしなければいけないと考えております。現在のところ、県としてどういうかたちで、セキュリティーをより強く意識していくかということについては、国のほうの対策をきちっと踏まえてからやっていきたいと思っております。

その他
安倍総理の自民党総裁への無投票再選について

産経

先日もお話になられているようですけど、安倍総理の自民党総裁のことでの、再選について受け止めをお話しいただけたらと思います。

知事

はい。一般的に対立候補が出て、自民党内における政策論争が起きるというのが望ましいというふうに一般的には思われると思いますし、私もそうやったほうが、国民的に改めて、政権の、アベノミクスなどの評価とか、今後の経済政策の展開だとか、こういったところがより国民に理解をされて、そして、また、官民一体となって日本の経済を強くすることにつながるのかなとは思います。ただ、現実的にはそういう状況に至らなかったということですので、若干陰りがこのところ見えてはおりますが、やはり客観的に安倍政権になってからの日本の経済が良くなってきたということについても、一定程度の評価がやはり、各派・各グループにあるということ、それから、国の安全などを決める安全保障法案の審議が山場にあるということなどもあって、このこと自体は自民党内では一致されている訳ですから、そういったことを争点化することも難しいので、争点化するものがあまりなかったのかなというところで、結果的に1強と言われる、安倍総理が再選される、無投票で再選されるというかたちになったのかなと思っております。このことが良いとか悪いとかではなくて、現実にそうなっているというふうなことで、より安倍総理には従前のように強いリーダーシップでいろんな困難を克服していただきたいなと期待をするところです。

多選自粛条例について

朝日

多選自粛条例の関係なのですが、以前から議会側からの考えを聞きたいというふうにおっしゃられていたかと思うのですが、現時点で会派とのやりとりをされているのか、これからどういうふうに進められるのか、9月定例会に向けて条例提出についてはどのように考えられているのか。

知事

まだ、一会派だけしか懇談をしておりませんので、そういう意味では、何の結論も出ておりません。皆さんからまだご意見を聞いていないということです。丁度、会派の会合などがあるときに、話を聞くというかたちを採らせていただきたいと思っていますし、私自身の考え方を意見交換させていただきたいと、こんなふうに思っております。

朝日

9月定例会で出されるかどうかは現時点ではどう考えていますか。

知事

何度も申し上げますように、議会からの話を聞いた上で判断ということでございます。

文理佐藤学園・学園長の海外出張における私的流用について

朝日

西武文理学園の学園長の不適正な支出が発覚したと思うのですが、学園は文科省だと思うのですけれど、県からも小中高補助金を出されていると思うのですが、これまで県として把握できなかったことについて、補助金の削減について、調査を待つということかもしれないのですが、今どのようにお考えか、お聞かせください。

知事

私に対する報告の中では、小中高に対する補助金の使い方などについては、不適切な部分はこれまではなかった。ご案内の通り法人本部の会計の中で今回の不適切なお金の使い方があったというふうに現在のところ言われておりますので、今後それ以外にどんなものが出てくるか分かりませんが、文科省が調査をしてどうなるのか。で、私どもも念のためにもう一度、小中高の部分に関して、適切であったのかなかったのかということについても、再度改めて調査をさせていただきたいと思います。

軽減税率のマイナンバー利用について

日経

先ほどのマイナンバーの話と重なる部分があるのですが、今、財務省が軽減税率の代替案として、マイナンバーを買い物の時に提示してポイントを貯めて、年末なりに還付するというような検討をしていますけれども、これでまた買い物の行動であったり、さらにカードを落としたり漏えいのリスクも高まってくるという見方もあって、こういった現状、財務省が考えている軽減税率の案について知事のお考えがあればお願いします。

知事

軽減税率の部分をどう捉えるかということで財務省として一つの案を出したということだと思いますが、個人的にはあまり好ましくないなと思っております。軽減税率というかたちにならないのかなと、まさに10パーセントにしないで8パーセントのままにとどめるという話ですが、いったん10パーセントのまま計算して、何か4,000円を上限にしているような話もありますし、あっと言う間に4,000円くらいに達してしまうのではないかと思いますし、何かこう性格が異なっているのではないかなと思います。それがあるのできちっとマイナンバー(カードを読み取る機械)を全てにおいて設置したり、あるいは小規模事業者にもそういったシステムを導入しろということにもなりますし、事業者はそれに見合うだけの利益を出せるのかどうか、システムを導入してですね。却って負担になるのではないかと。であればいっそのこと8パーセントで売った方がましではないかと、そういったことになりかねないことですので、小規模事業者いじめみたいなことになりかねない、そんなことまでまだ比較検討されきっていないのではないかなと思いますので、これはやっぱり丁寧な検討が必要ではないかなと思っております。アイディアが先に報道に出てしまっていますけれど、少し早すぎるのかなと。もっと丁寧な検討が先になされるべきではないかなと思います。でないと軽減税率の話なんか飛んでしまうかもしれないですし、ちょっと心配ですね。

日経

食品とかの税率を抑えるという趣旨自体には、知事としては賛同されているという…。

知事

基本的に仕分けが難しいので、私は困難なことだというふうに思っておりますが、極めて限定的なものに特化すれば可能なのかなというふうに思っております。極めて限定的な、例えばお米を買う時だけとか、パンを買う時だけとか。でもパンだって難しいんですよね、菓子パンはどうするかとか、パンとお菓子の境目みたいなパンをどう考えるのか、なかなか難しいところがあると思うんです。パンの原料になる小麦はどうなのかとか、非常に難しい話になってきますのでそういったところも全部検討しなくてはいけないので、同じ食料と言ってもなかなか難しいところがあると思いますので。食料に決める場合には相当限定的にならざるを得ないと思っていますので、この軽減税率の話というのはもともと難しい話である、こんなふうに私自身は思っています。

児童相談所の体制強化について

埼玉

児童相談所の関係でお聞きしたいのですけれど、県内の児童相談所に寄せられている通告件数は年々増加していまして、4年間で約2倍に増えています。それに対して児童相談所の職員数は変わっていません、職員数は県の定数で決まっていますが、定数を増やすお考えはあるのか、また、こうした児童相談所の現状についてどうのように受け止めていらっしゃるのか、知事のお考えを聞かせてください。

知事

増えていないのではなくて、人数はずっと増えています。10年で36人増となっております。定数も増えておりますし、また非常勤の方で警察官OBなどの配置だとか、内部的な強化もしています。件数が増えたというのもいい傾向だと思っております。通報などの件数が増えたということも、今まで隣近所でも無関心だったものが、少なくとも通報などが増えております。それから、虐待通告そのものも増えているわけですが、これも例えば軽度のものだとか誤解によるものだとか、そういったものもありますし、全体として関心を持っていただくことで、通報が増えて全てが悪くなったというふうに捉えることはないと思っています。もちろん多くなっているという現況は認めています。少なくとも虐待は増えているということは認めております。ただ通報ほど増えているかというとそうではないという現場の報告も聞いています。つまり関心が増えているので通報が多くなって、あるいは虐待と間違えたかたちでの通報があったりして、そういうのも含めて関心が高くなっているということに、私たちは逆にありがたいことだと思っております。
問題は、追っかけ事案なのか、一時的な事案なのか、そういう識別をきちっと児相でできるかできないか、これが非常に重要だと思います。一時的な話なのか、それともずっと追いかけなければいけない話なのか、しっかり掌握して、その事案を的確に判断するということが実は一番大事なことですので、そういう事案を的確に判断する体制、内部のですね。例えば、より経験豊富な方々が何らかのかたちでそうした判断に加わっていく、そして、必ず追っかけをしていくという。こういうことがきちっとできれば、いくらかというか、ブロックできるものはブロックできるようになる。こんなふうに思っておりますので、その体制づくりが一番重要だと思っております。人数が増えた増えない、もちろん増えれば増えたでいいのですけれど、ただ特別に増やして体制が強化されるものでもなくて、やっぱり一定程度の経験も踏まなくちゃいけないので、そうした部分での体制づくりというのがむしろ大事だというふうに理解しております。

埼玉

ベテラン職員を配置して質を高めていくことが重要だと思うのですが、具体的にいつぐらいまでにベテラン職員を県内の児童相談所に何人くらい配置したいとかという具体的なお考えはあるのでしょうか。

知事

人数の割合とかですか。それはちょっと私が掌握しているところではないもので、後ほどお答えさせていただきます。

文理佐藤学園・学園長の海外出張における私的流用について(2)

毎日

質問が前後して恐縮なのですが2点ほどお伺いしたいと思います。西武文理についてなのですが、改めて調査をしているということですが目途がついていれば教えていただきたいのと、小中高に対する補助金に不適切な部分は無かった、今までは発覚されてないということですけれど、その補助金を出している法人の会計自体に問題があったことへの受け止めを改めてお願いします。

知事

最後のところちょっと…。

毎日

補助金を出している法人の会計自体には問題があったということで、その問題があったことについての受け止めをお願いします。

知事

ご案内のとおり、補助金の性格は県民、国民からいただいた税金ですので、公の金ですので一切の不正は許されない。いわんや個人の部分での使用というのは許されないというのが基本的な考え方であります。今回は法人本部の不適切な処理というかたちで文科省が摘発をして、(後に削除)調査をしているという状況です。そこで埼玉県としては、繰り返しますが高等学校、中学校、小学校、この部門に補助金を出しておりますので、これまでは適切な処理がなされていたことが過去の調査では明らかになっていますが、本当にそうだったかどうかについて再度調査をしているということであります。その目途については後ほど担当の方からお答えさせていただきます。
ちなみに、追加調査の結果次第によっては補助金の減額だとかそういったことも起こり得ると。あるいはまた9月末に交付する運営費補助金についてもしばらく留保するということもあり得るということです。調査が済み次第、こういったことが解除されるということになります。

9月議会にどのような姿勢で臨むかについて

毎日

9月議会なのですけれども、知事選後、4期目としては初めての議会になりますが、多選自粛条例についても重要な案件だと思いますが、他の政策論議も期待されていますが、特に力点を置く政策であるとか、どのような姿勢で臨みたいかというところがあれば教えてください。

知事

当然、新しく就任した知事として、今後4年間で取り組む県政の課題についても改めてきちっと表明したいと思っております。その基本には選挙の時に公約した内容が中心になってきます、2025年問題をどのようなかたちで認識し、そしてどう解決すればいいのかなどについて基本的な考え方を表明させていただきます。それから議案の方はいくつかありますが、一般的には選挙の公約などがありますので、県政に関する一般質問というかたちでいろいろな質問があるのではないかと。その時も決意表明を含めたかたちの中で、基本的に議論は活発にできるのではないかと思っておりますので、そうした機会を通じて今後の4年間をしっかり県民の皆さまに約束したことについての考え方を議会にアピールし、議会との討論なんかを通じてより中身を深化させていくように努力したい、こんなふうに思っております。

飲酒及び喫煙年齢の引き下げについて

埼玉

選挙権年齢の18歳引き下げに伴って、自民党の特命委員会が飲酒・喫煙も18歳に引き下げというような提言をまとめましたが、酒・たばこの解禁に関して18歳ということについて、知事の何かご所見があればお伺いしたいと思うのですが。

知事

健康・医学についての見識を持っているわけではありませんので、なかなかその辺はこういう場で申し上げることは辛いところですが一般論でいろいろ読んだりしておると、まだ内臓機能などは18歳くらいでは、まだ未発達と聞いております。まだ未発達の時に過度の(後に削除)アルコールや喫煙などは、過度な場合ですね、そういう(後に削除)内臓障害などを起こす可能性が高いと、まさに一気飲みなどよく学生さんなんかが倒れたりしますよね、ああいうイメージはあるでしょうけど、そういう意味でまだ体の割には内臓系ができ上がってないというような話をそういうものを特集化したような本なんかを読んでいると、必ずしも20歳未満の皆さん達の喫煙・飲酒について肯定的な感じなものはないような感じがいたしますので、そういうものに反論するような論文みたいなものもあまり見た記憶もないので、それがもし適切であるというようなことであれば、必ずしも選挙年齢に合わせなくてもいいのかなということを私は感じています。
最もその辺はもう少し専門家を通じて議論されたらいいんでしょうね、与野党を通じて。たぶん専門家を通じればその辺もはっきりしてくるのではないでしょうか。

平成27年9月1日(火曜日)

日本一の共助県づくりに向けて
地方創生のための新型交付金について
4期目の舵取りについて
多選自粛条例について(1)
県内にある国の機関の地方移転について
女性活躍推進法について
野党再編について
多選自粛条例について(2)
橋下大阪市長の行動などをどう見るか
五輪エンブレムの中止など一旦決定したことを見直すことなどについて
多選自粛条例について(3)
知事発表
日本一の共助県づくりに向けて

日本一の共助県づくりに向けてについてのパネル(PDF:697KB)

知事

今日は埼玉県の日本一の共助県づくりについて、そして、共助の取組、並びにその展開が現在どのようになってきたかということについて県民の皆様にご報告し、更に多くの方々に参加してもらいたいと思っています。
(パネル(1)を指しながら)まず、一般的に自助、共助、公助という言葉がございます。自分のことは自分でやる。そしてお互いに助け合って事を成していこうということが1つ。そしてなかなか自分達に出来ないことを公の力、自治体や政府などでやっていこうという。この3つの助け合いがあるわけですが、とりわけ共助が近年大きな意味を持ってまいりました。阪神淡路大震災の時に、救助された方々の9割近くが実は隣近所に救っていただいたという経過がございます。近所付き合いということがいかに大事かということがその時に改めて知らされたわけであります。一般的に都市の近郊、あるいは都市は隣近所に付き合いが薄いと言われております。埼玉県でもそうしたことが指摘されることが多いわけですが、できるだけ共助の仕組みを作っていこうということについて、埼玉県は全面的に平成15年から取り組んでまいりました。とりわけ、NPOを育てていこうというふうに考えてきました。NPOにもいろいろございますが、いろんな取組について、県として支援しながら、非営利活動の様々なグループを大きく育てていこうということで、NPO基金を用意して、具体的に資金を援助したり、あるいは具体的に場所の空間を確保してあげたり、そういうことをしながら育ててきました。一方でまさしくNPOではありませんが(後に削除)、地域の支え合いの仕組みを全体として作ってまいりました。まさに「地域支え合いの仕組み」という、タイトルまでそのとおりになりましたが、これは秩父市からスタートいたしましたが、現在60市町村に拡がっております。具体的にどういう中身かというと、困っておられるお年寄りがおられると、例えば、自分で家の中の片付けが十分できるほどの体力がない、夏になると草がボーボー生えて草刈りするだけの体力がない、あるいはまた買い物をする力がない、しかし、(必ずしも)介護保険等が適用されるわけでもない。そういう人たちを助けようではないかというかたちで、ボランティアを募集して地域の社会福祉協議会、あるいはNPO、商工団体などが窓口になって、事務局になって、ボランティアスタッフを募集します。そして、登録されたボランティアの人たちがこの要求をされる、(後に「サービスを提供する。」に修正)元気でないと言ったら語弊があるかもしれませんが、やや自分だけで生活するのに困難な人たちの要請を受けて、この事務局が助っ人を出していく。登録された(後に「サービスを提供した」に修正)方々には、チケットなどの商品券を時給替わりに渡す。そして、若干の手数料をこのNPO団体や社会福祉協議会、商工会などがいただいて、事務的な手続をしていく。こうしたことを現在、埼玉県は展開しております。それぞれの地域によって名前が異なります。猫の手借りたいなんていう、そういう(ことにちなんで)お助け隊の名前が付いているところもあります。いろいろな名前を付けながら、それぞれのニーズを満たすようなかたちで行っています。例えば秩父市などでは、和同開珎の地域通貨を発行して、それを代金でお支払して、地域内でしかそれは使えない。従って、地域経済にも役に立つという、そういう仕掛けを作っております。これがお金であれば貯金されたり、他の市、県などで使われたりするのでお金では払わない。地域の商品券、地域通貨で支払うというかたちになっています。それ以外にも例えば「わがまち防犯隊」5,861団体。日本全国のこの手の自主防犯パトロールの8分の1が埼玉県に存在するという、日本一の団体数でありますし、あるいは「川の国応援団」というかたちで川の清掃をしていただいたり、土手の清掃をしていただいたり、あるいは花などを植えていただいたり、そうした応援団が593団体あって大きく川の再生、水辺再生などにも力を尽くしていただいております。
(パネル(2)を指しながら)ただ、現実問題としてこうしたいろんな団体にも課題がないわけではありません。特に活動資金で苦戦をしているとか、あるいはそれにふさわしい人材がいないとか、例えば会計を行っていただく方がいないとか、NPO法人なども財務の報告をしなければならないのですが、そうした事が不得意だとか、そうした人がメンバーの中にいないとか、そういう課題があるので、「分かりました」というかたちで助っ人を用意しました。この助っ人のことを「共助仕掛人」というかたちで(後に「名付けて」に修正)いますが、埼玉県の共助社会づくり課に1名、熊谷市、川口市、和光市にそれぞれ1名、合計4人。まさに自らの経験・人脈を活かして最適な人材だとか、資金調達のための仕掛けをしていただけると、そういうメンバーが今4人おられて、適切なアドバイスを現在行っております。具体的なかたちをご紹介したいと思います。
(パネル(3)を指しながら)例えば人材面の支援では、社会貢献したい専門家の掘り起こしをして紹介をしていくというかたちであります。専門家の登録が現在233、(内訳は)個人として176人、団体57、建築士、行政書士、ホームページを作成できるIT技術者、企業で経理やマーケティングに携わった定年退職者などそういう方々の知恵を拝借。場合によってはそういう方々が理事に入っていくという事例もあるようであります。そして資金面の支援ですが、NPO基金からの助成金などの支援もございます。また、最近では金融機関がNPOに対する融資を始めてきました。従来NPOというのはそういう意味での融資の対象ではなかったのですが、まさしく法人格を取り、税額控除の手続をするようなしっかりしたNPO法人に対しては8つの金融機関と協定書を結んで、NPO法人向けのローンまでが存在するようになってきました。現実に、NPO法人向けの融資実績、昨年度でありますが、総額で12億円、件数で129件、(総額が)31%増、(件数が)79%増というかたちになっています。ユニークな事例としては、クラウドファンディング、インターネットを活用して資金調達をするという、そうしたやり方も起こっております。クラウドファンディングの運営会社と(県が)協定を結んでおり、その運営会社に(資金調達をしたい方が)自分達の事業の中身を紹介していただいて、そして、資金を調達するための仕掛けをしていただいて、このクラウドファンディング会社に一旦資金が集まって、手数料を払った上で、協定を結んだNPOなどがその資金を調達するという事例が起こっております。極めてレアなケースからスタートしておりますが、今後、クラウドファンディングなども多様化されていく可能性があります。
(パネル(4)を指しながら)この共助仕掛人を中心とするマッチング、成立の中身でございますが、例えば施設改修が具体化するようなかたちで、(後に削除)施設が老朽化した場合、建築士が改修計画を助言して、県の補助金などを活用したりしながら改修をするとか、あるいはコミュニティカフェを開業したい件があったら、住民交流の場を作りたいということで、空き店舗の情報をしっかり押さえて、建築士が改修計画を助言しながらコミュニティカフェを開業するとか、あるいは先ほどご紹介しました、一旦閉店した老舗の惣菜店を交流拠点として再生するときに、クラウドファンディングの紹介を通じて資金を調達して、施設改修の具体化を進めていくと、そして資金を提供した人たちには500円分の惣菜券を2枚、1,000円分リターンさせるというような、そういうかたちができております。最近ではこれはNPOではございませんが、秩父のワイン会社でワイナリーを造るということで、1,500万円の調達(後に「資金」に修正)をこのクラウドファンディングを通じて調達し、この勢いを見た金融機関がまた資金を融通するというような好循環の事例などもございます。こうした新しい動きをこの共助社会づくり課を通じてどんどんやっておりますので、こうした地域の振興に向けて、いろんなかたちでのNPOなどを展開されている方々、そういう様々な(地域の)課題に対して、どうも気になるなということがございましたら、県の共助社会づくり課までご連絡をいただければ、場合によっては「共助仕掛人」が派遣されたり、あるいは関係の皆様達をご紹介しながら、様々なマッチングを展開させていただきたいと考えております。以上、平成15年からスタートしましたNPOの方の展開を通じながら、いろいろなかたちで共助の仕組みが展開されてきましたので、改めて整理をしながらご報告をさせていただきました。

時事

このマッチング事業についてですが、これまでの実績200件あまり上がっていますけど、さらにこれを伸ばしていくためにどんなところを充実するべきだとお考えですか。また、NPOの活動環境をさらに整えるためにどのような課題があると感じられていますか。

知事

基本的にはNPOというのは自発的に自ら動いていくというのが基本であるべきですが、スタート時点についてはなかなかそういうわけにはいかないということで、まさに共助社会づくり課などはもともとNPO活動推進課からスタートした経過がございます。NPOの皆さんたちが多方面に渡って、いわば公的なものと私的なものの境目などをしっかりカバーしていただいて、社会の柔軟性というのでしょうか、そういうものをつくっていただいた方が非常に可能性として高いということで、できるだけNPOを育てていこう。営利団体あり、非営利団体あり、あるいはまた任意の団体があるというかたちで、社会の活動範囲を広げていくため、できるだけこうした非営利団体に頑張っていただこうというのが目的でありますが、しかし、とはいえ、最初に申し上げましたように、一番根底になるのは、人材を確保することなどで苦戦をする、大きな企業ではありませんし、お金を払えばなんでも調達できるという、それほど資金に余裕があるわけでもありません。むしろ資金は苦労するというところがあったりしますので、そういう部分を県としてできるだけカバーをしてあげる、人材をできるだけ確保する、あるいはまたなんらかのかたちで人材を派遣したり人材を紹介することでヒントを与えていく、支援者を増やしていくというかたちをとっていきたいと思っています。そして活動資金を調達することで、さらに大きな活動ができる。その大きな活動をすること自体でまたNPOに寄附をする人たちが増えてくる。その寄附をする人たちが増えれば増えるほどまた活動が大きくなっていく。その活動が信用を得たりしてまた金融機関がまたそれを支援するといういい循環を作れるというのが基本でありますので、この繰り返しを県としてはやっていくということで、これが絶対というものはありませんが、人材面と資金面の援助を繰り返しながらNPO団体が強固になっていくということを期待したいと思いますし、そして、強固になったところは結構ですので、新たに出てくるところをまた支援していくという、こういうことを考えております。

幹事社質問
地方創生のための新型交付金について

時事

政府が来年度予算で地方創生に関する新型交付金を創る考えです。来年度予算の概算要求に1,080億円が盛り込まれました。昨年度の補正予算では1,700億円規模の先行型の交付金があった。これも踏まえて今回検討されている新型交付金の金額の規模をどういうふうに受け止めますでしょうか。
また制度設計について国へ注文することですとか、県としてこの新型交付金、何に使いたいか現時点でのお考えを聞かせてください。

知事

全国知事会をはじめ地方6団体でこの新型交付金の在り方については石破地方創生担当大臣との会見、意見交換などを通じて丁寧にアピールしてきたところですが、正直言って金額的にはちょっと規模が小さいかなというふうに思っています。1,080億円ですので、2分の1補助ということで半分地方が負担するということですので、全体の規模感では2,160億円ということになりますが、1,700台の地方自治体がありますので、市町村を含めて。これを頭割りしていくと1億円にも満たないという世界になってしまいます、金額的には。従って何か大きな事業に繋がるのかなということが懸念されるところであります。ただ、継続的にこうした新型交付金を使い勝手の良い、いろいろな注文がつかない新型交付金がずっとこれからも継続していくのであれば、金額は少なくともそれを継続的に事業として進めていくという意味で使えるということであればありがたい話になってきます。
例えば埼玉県補正で出ていきましたお金約10億円、26年度補正、実質的に27年度で使うということになりますけれども、そのお金が交付金で10億円ございましたが、このうちいわゆる少子化対策で2億2,000万円、いわゆる保育に係る費用の2分の1を、3人目から2分の1を県として補助をする。市町村が2分の1を出せば、保育にかかる部分は3人目からゼロだ。いわゆる子育て支援の一番大きなものの一つとして、3人目、4人目、そこまでお金が無いよという、そういう世界に新しい政策を打ち込んだということで非常に意味のある交付金になったわけです。これが継続的に5年、10年というようなかたちで続けば今後ありがたいことになるのですが、そういうかたちにならないとこれを継続する時に、県の出資というか県が出さなくてはいけないものになりますし、「なんだ一回こっきりで終わりかい」という話も寂しい話でありますので、そういう意味では金額が少ない場合には継続してやっていただきたい、こんなふうに思いますし、継続しない場合には少し大きなお話にしていただければありがたいというふうに思っています。
ただ、一般論で言うとこうした新型交付金等々ではなくて、地方が元々自由に使える交付税、交付金を税源移譲のかたちでやっていくというのが本筋だと基本的には思っています。国が全部抱えてそれを配分しますよという話ではなくて、税源移譲しながら地方が自由に使えるという、そういうかたちの方が本筋だと基本的には思っています。ただ金額は少ない。しかし、一歩でも半歩でも進んだことは正しく評価したいと思っています。

時事

県としては新型交付金が実施されたらどういうふうに使いたいというアイデアはありますか。

知事

使いたいといっても今申し上げたように金額が少ないのでどのぐらい県に来るのかということで、今の時点では最小限度少子化対策の第3子からの保育の無料化が継続できるようなぐらいの程度はおさえていきたいと思っています。

その他
4期目の舵取りについて

埼玉

昨日知事就任書に署名されましたけれども、改めて4期目がスタートしてどんな舵取りをしていきたいというのを…。

知事

基本的には長期トレンドとしての1995年が日本経済のピーク、それが実は働き手のピークだった。これに多くの方々はあまり気が付かなかった。ゆえに景気循環というかたちでの不況だと思って公共事業対策などが中心になって経済対策をやってきたわけですが、働き手が減るということは消費も減るということに繋がるわけで、こういう部分については長い間手をつけなかったということがあります。
しかし、今日においては人口構造のマクロ分析が完全に進んできましたし、しかも2025年がまさに(急速な)高齢化社会へのピークだということも、現在の人口構成上はっきりしている。逆に言うとそれがピークですので、それからはなだらかに緩やかにピークが下がっていくということですので、この時までにいわゆる医療・介護・福祉などのメニューをしっかり作りあげておいて、安心の体系をつくるという、これは量の問題も当然必要になってきます。
例えば77万人、埼玉県で言えば75歳以上がいらっしゃるわけですけれども、これが118万人1.5倍近く増えると、これははっきりしているわけです。また65歳以上で見ていけば、現在65歳以上は約150万人が200万人になるという、65歳以上が。これもはっきりしているわけですから。ただ65歳以上の方々が全て弱い人かと言うとそうではないわけで、要介護4、5の方々、あるいは入院・通院している人(後に「入院・通院している人など」に修正)はその中の2割ということですので、約200万人の方々のうちの2割ぐらいの人たちがそういう状態で、逆に8割の人たちは現役ということです。こういう元気な人たちをどう社会の戦力として、社会の担い手として、逆に私たちは社会参加の担い手にしていくメンバーに加えられるか、これもやっぱり大きな課題だというふうに思っています。ともすれば何か支えられる人たちというイメージだけが先行しています、高齢者は。それプラス社会を支える人、担える人というようなそういう積極的な意味をどれだけつくりきれるかということも、大事なことだというふうに思っています。医療や福祉・介護の量的な拡大。そしてまたそうした人たちを減らす努力。これは健康長寿プロジェクトなどで進めているところです。そして同時に弱いというイメージから生産年齢人口が減る時代において65歳以上の人たちが社会を担う、そういう人たちになりうるかどうかということについても、幅広に研究しなくてはいけませんし、そういう意味でもモデルを埼玉県が積極的につくって、埼玉県の先導モデルによって日本はこういう生き方ができるんだという、日本の生き方と言うのは一番先行して高齢化社会になっているわけですから、世界のモデルにもなる。こんなことを私は絶対やりたいと思っています。

多選自粛条例について(1)

読売

知事選の直後に知事の会見とかぶら下がりで多選自粛条例について改廃も含めていろいろ議会と相談して考えたいと言う話があったと思うのですけれども、9月に入りまして9月議会が今月後半、末近くからだと思うのですが、現状改廃案をどうするかを含めてどういうお考えをお持ちでしょうか。

知事

基本的には議会と相談して、会派のグループごとに話し合いをしながらご相談していこうと思っています。まだ具体的に一つも会派との相談ができているわけではありませんが、近々徐々に日程調整をしながら話をしてそれぞれの会派の皆さんたちの考え方を聞いてそれで判断したいと思います。

県内にある国の機関の地方移転について

時事

政府が地方創生の一環で政府機関の地方への移転を進める考えです。昨日各道府県からの提案が締め切られました。県内の機関としては和光にある理化学研究所ですとか所沢の環境調査研修所といった機関に対して受け入れたいという要望があがっていますが、県側としてどのように受け止めていますか。

知事

他の県が現存する埼玉県の国の機関を受け入れたいと言われても、その機関そのものがどこかに引っ越したいというような話をしているわけでも何でもないのですから。何かあれば、引っ越したいという話があれば受け入れたいという話もあるのですが、私ども何も聞いておりません。理化学研究所がどこかに行きたいという話も聞いておりませんし、またそういう理由も無いような気がします。それぞれ意味があってできておりますし。兵庫県にもありますし、理化学研究所は。川崎(後に「横浜」に修正)でしたっけ、神奈川県にもありますし。3カ所くらい、私の記憶だと3カ所(後に「9カ所」に修正)理化学研究所はあるはずですが。これも集積にメリットもありますが、しかしリスクもありますので、分散の意味もそれなりに意味があるので、理化学研究所の判断の中で分散されてそれぞれ立地されているものだと思いますので、欲しいと言われてもご本人が出たいという話をしていない時に欲しいと言われても困るというのが私の感想でしょうか。

女性活躍推進法について

埼玉

女性活躍推進法が成立しまして、自治体や企業に男女の勤続年数の差やあとは管理職に占める女性の割合など、数値目標の設定が義務付けられました。日本では管理職に占める女性の割合が11.3パーセントと低い状況にあります。また女性の就業率についても、約6割は出産を機に辞めてしまうのが現状だと思うのですが、女性の就業率が男性並みになればGDPは13パーセント上昇するという試算もあります。この法律に対する知事のご所見はいかがでしょうか。

知事

基本的には法律そのものは賛成です。こうした数値目標が企業の自由に任せられております。このことも評価したいと思います。問題は実効性の担保だと思います。企業において効果のあるものを抽出して目標を掲げて制度を実現していくというかたちをとらないと、あまり効果のないところを目標にしてやっても、まさにGDPを13パーセント増やすのはすごいことだと思います。1パーセントとか2パーセントの成長の時代に13パーセント増やすということは大変なことですから。まさに日本の経済にとってもすごいパワーになることを発揮しているわけですから。従って埼玉県もウーマノミクスプロジェクトを展開しているところでございます。基本的には300人(後に「301人」に修正)以上の企業団体は義務付けされてますので、いかに実効性があるかということのその担保をいくつか政府でも事例を出しても良いのではないかと思います。より効果の高いものなど、どうすれば女性の活躍社会のパワーになるのか、どういう事例が良いのか。私たちもウーマノミクスプロジェクトではうまくいっている事例などを紹介しております。これが非常に役に立っているとよく聞きますので、事例をよく出していただいて、それを参考にしていただくと。特に300人以下のところなどは努力義務でもありますし、それから中小零細企業でもありますので、どんな目標を立てたらよいのかということについてもなかなか辛い話もあるかと思いますので、事例を出してその中から選択されるようなことを、目標を設定されるようなことをしていったら、より効果が上がるのではないかというふうに思っています。埼玉県もこういう法律ができたことですので、10年後に(管理職の)20パーセント(が女性の)管理職がなるように、最大限に頑張っていきたいと思っています。

その他
野党再編について

埼玉

国政のことについてお伺いしたいのですけれども、大阪維新の会の橋下代表が新党結成の考えを表明されました。一方で、知事も知事選で支持を受けた維新の党が民主党と野党結集ということで動きだしましたけれども、知事としては今後野党再編どのような姿が望ましいというふうにお考えでしょうか。

知事

うーん。難しい質問ですね。自分も新聞報道ぐらいしか知りませんので。軽々にちょっと今、自分の考え方が整理されているわけでもありませんので申し上げにくいのですが、2通りありますよね。いわゆる政府与党の一党体制に対する対抗軸としての野党協力をメインとしての民主・維新という考え方。それと、そうした協力関係ではなくて一体化するといういわゆる新党というのですか、合流というのでしょうか。そういう2つの考え方がありますので、今の時期にどちらがより国民のためになったり、あるいはいわゆる野党として常に与党政府に対する対案を出しながら問題点を明らかにしながら、国民の理解と支持を求めていくという、常に野党というのは次の政権党でもあるわけですから、そういうかたちをとれるかどうかというものに繋がるかどうかという、そこのポイントがないとやはりこう国民的にはリアリティーが無くなっていくのではないでしょうか。国民が欲しがっているのはやはり今の政治と違う新しい政治というのは一体何が目的なんだ、何が課題なんだという、そしてそれを、政策を実現できるだけのリアリティーがあるかどうかという。例えば1つだけ事例で言えば、民主党に小沢自由党が加わった時、数も去ることながらひ弱な民主党のリーダーたちというところに、非常に一種の椿三十郎みたいなおじさんが加わった。これは毒にもなるし、薬にもなるという。しかし、一種の政権交代のリアリティーというのが出てきたことも事実だと思っていますね。ただ残念ながらこの政権交代の何をどう変えていくかというシナリオについて、今一つ空想的なところが多かったということだけは事実ですので、今度はやはりリアリティーというのでしょうか。「政権交代のリアリティー」も去ることながら「政策のリアリティー」、政策実現のですね。こういうのをもっと打ち出さないといけないのかなというような、どれがどうなるかということは全く抜きにして、そういうことを私は考えます。

多選自粛条例について(2)

朝日

先ほどの多選自粛条例の話でちょっと知事のお考えを伺いたいのですが、各会派と相談しながらということなのですが、知事ご本人としては、提出するお考えというのはあるのでしょうか。

知事

だから。相談しながらということであります。

朝日

その相談というのは出すこと出さないことという。

知事

そうです。

朝日

例えば出すための条件としてはどういうものがあるというふうにお考えですか。

知事

何もそういうのは無いと思います。やはり相談をしっかりするということではないでしょうか。

朝日

それは、少なくとも提出する際にきちんと条例が可決されるという条件がないと提出しづらいということでしょうか。

知事

それも含めて。全て含めて。それぞれ会派の考え方を聞きたいと思います。

橋下大阪市長の行動などをどう見るか

読売

先ほどの維新の橋下さんの関係で確認したいのですけれども、橋下さんは離党を表明して大阪維新の会を国政政党にする意向を表明されましたけれども、まず知事は以前会見で橋下代表の事を結構政治家として評価される発言もかなりあったと思うのですけれども、今回の橋下さんの行動をどう見ておられるかというのと、かなり全国的に知名度が高い橋下さんが抜けることによる維新の党の影響というのはどういうふうに見ておられるのかというのが1点と、あとそれに関連して維新の党と民主党が連携を深めるという話が岡田さんと松野さんが会談をしたりしているのですが、もともと松野さんって民主党にいた方で外に出た方なのですけれども、またそれが戻るのではないかという話もあるのですが、あまりこういう離合集散が続くと政治不信が高まるという考え方もあるのですが、知事はその辺、離合集散するということについてはどういうふうにお考えですか。

知事

まず、前段の橋下さんが抜ける話ですが、稀有な発信能力の高い、あるいは日本一かもしれません。過去においても。そういう発信力のある、表現能力の高い方が維新を抜けるということはやはり維新にとっての戦力ダウンじゃないかなというふうに思います。
それから、松野維新代表がもともと民主党におられた。しかし、まだ何もこう決まったわけでもなくて、松野さんは今年以内に100人の結集ということだけはずっと言っておられる。その結集が、党なのかあるいは会派なのか、あるいはまた国体上の何らかのかたちでの結集なのか、そういうのをやはり私も知りませんので。確認までしていませんので。今の時点ではちょっと何とも言えないという感じがいたします。離合集散の話についても、かなり離合集散はもう行っているわけですね。最も発信力の強い橋下さんも相当な離合集散になっているわけです、もうすでに。しかし、その発信力によって離合集散のことなんか消えてしまうぐらいになっているわけですね。だから問題は先ほど申し上げたように、この国で政権交代が常に可能な現実が見えるかどうかということが一番大事なことだというふうに私は思っております。そういう競争関係が常にあると、政治が活性化するというふうに思っています。そういう状況が、現在あまり見られないという、それは何なのかということについて、やはり民主党なりがもっと考えなければいけないことだと思っております。問題はやはり、政策が非常に理想主義的過ぎて失敗したという部分があると思っております。それと党内も実は、政策の実現能力が高くてグイグイ国民を引っ張っていくと、自民党だって党内がバラバラなのですけれども、実際野党の時はみんなバラバラになってどんどん縮小傾向になっていたわけですから、そうでもないと思っていますけれども。要は政策のリアリティー、やはり国民はどんどん利口になっていますので、政策のリアリティーというのはやはり要求されていると思っています。そして、政権交代のシナリオのまたリアリティーも要求されていると思っています。そういうものが無いと「もう騙されないぞ。あんなに鳩山民主党に期待したじゃないか。そしたら何か飛んじゃったじゃないか。」こういう失望感の方が大きい。期待感が大きかっただけに失望感が大きくなっていますから。そういう点では、現在の民主党あるいは維新の党、あるいはまた橋下さんたちにしてもやはり「政権交代のリアリティー」が、あるいはまた政権復帰のための「政策のリアリティー」というのでしょうか。そういうものが強く打ち出されないとダメじゃないかなというふうに私は思っています。

五輪エンブレムの中止など一旦決定したことを見直すことなどについて

テレ玉

2020年のオリンピック・パラリンピックについて、まだ正式な発表はまだなのですが、ロゴマークの使用について組織委員会が中止をするという方針を固めたという報道がされています。いくつかの競技が開催される県として、広報宣伝活動などに、例えばポスターであったりそういったものに活用されている部分もあるかと思うのですけれども、そういったものに対する影響と、新国立競技場をはじめ今回のロゴマークについても、一度決定したものについて中止であったり、やり直しであったり、こういった問題についてご所見をお聞かせ下さい。

知事

はい。こっちで使っているかなあ。ロゴマーク。今日使った。
そうか。もう使ったんだ。現実にもう使ったみたいですね。そういう意味では、困った状況ができあがったと思っております。早急に仕切り直しをやっていただいて、2020年オリンピック・パラリンピックに向けての盛り上げのための一つのツールですので、しっかりなおかつ早く再構築していただきたいなというふうに思っています。

テレ玉

そもそも一度決定したものをくつがえすという作業は結構難しいことなのかなと個人的には思うのですけれども、まあここ立て続けにあったことについてはいかがでしょうか。

知事

そうですね。ちょっといろいろケチが多いですね。ケチがついてますね。まあただ、我々に決定する権限がございませんので、「今後はそういうことの無いように」ということだけはやはりきちっと申し上げて、速やかにそういう不安を解消していただくしかないということでしょうか。

多選自粛条例について(3)

東京

すいません。ちょっと話戻りまして多選自粛条例の話なのですけれど、条例の改廃について各会派と相談をするといった場合に、知事としては改正かあるいは廃止かと考えると、どちらの方が望ましいというふうにお考えでしょうか。

知事

そういうのも含めて、基本的にはこの問題は6月の定例議会で議会側から「出せ」というような要求もございました。しかし私は、選挙が近いということもあり、直接民意を聞く機会があるということで、ある意味では拒否をして、そして直接民意を聞く機会をいただきました。そういう経過があります。議会の方から、お話が出た経過があります。私の方から提案したことはございません。そういう意味で、今回の議会側の考え方をよく聞きたい。そういう立場です。

(終)

平成27年8月25日(火曜日)

9月・10月はアニメだ!埼玉
民主党の支持率が上昇しない要因などについて
川越公園プール女児溺水事故・しらこばと公園プールの事故について
教科書の採択について
知事発表
9月・10月はアニメだ!埼玉

9月・10月はアニメだ!埼玉についてのパネル(PDF:2,116KB)

知事

こんにちは。(パネル(1)を指しながら)今日は「9月・10月がアニメだ!埼玉 ~埼玉まるごとアニ玉祭~」についてご報告をいたします。「クール埼玉」の代表的コンテンツでありますアニメを活かしたイベントを全県で実施いたします。将来的には、2020年の東京五輪・パラリンピック大会での外国人誘客にもつなげたいと考えております。これは県だけではなくて市町村、それから企業、団体、多くの方々に主体的に参加をしていただくものになります。(アニ玉祭の)期日は10月17日。県内の鉄道会社との連携や企画。そしてまた特別列車の運行も行って、県内各地区で色々な意味での盛り上がりをしていくことを企画しています。
(パネル(2)を指しながら)ご案内の通り、埼玉県は「アニメの聖地」と言われております。「クレヨンしんちゃん」が世界的に有名なのは皆様もご承知の通りです。場合によっては、オバマ大統領の次に知名度が高いのではないかと言われているところでもあります。そしてまた、「あの花」と言われてなかなか覚えられないのですが、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」秩父を舞台にしたアニメであります。あるいはまた、浦和を舞台にした「浦和の調(うさぎ)ちゃん」、アニメであります。それからこれは「レーカン!」ですね。これは、あまり私は知らないのですが。それから「神様はじめました」、これは川越を舞台にしてなかなかヒットしております。そして有名な「らき☆すた」であります。鷲宮神社を舞台にしてまさにアニメの聖地であり、オタクの聖地にもなった。そしてまた「ヤマノススメ」、これは飯能が舞台ですね。このように埼玉を舞台にしたアニメの聖地が多いということで、このアニメを活かした埼玉県の情報発信をしっかりやっていこうというのが今回の企画であります。
(パネル(3)を指しながら)第3回のアニ玉祭になるわけですが、「アニメ・マンガまつりin埼玉」と名前を付けまして、10月17日。場所はソニックシティや鐘塚公園で行ってまいります。「アニメと観光」をテーマにした、県内最大級のアニメ・マンガの総合イベントとなってまいります。声優によるコンサートやステージショーを行います。そして文化放送アニメ番組の公開録音などもいたします。さらにアニメ関連企業・団体・各市町村の70団体によるグッズ販売などを展開しながら、埼玉県とアニメの関連というのを改めて県民の皆さんに知っていただきます。また、県内B級グルメの出展などをこの鐘塚公園周辺で行ってまいります。
(パネル(4)を指しながら)そこで、県内鉄道会社との連携企画及び特別列車の運行でありますが、まず「鉄道でめぐる!埼玉聖地横断ラリー2015」と称しまして県内の聖地7か所を巡るラリーがあります。9月1日から12月23日まで、オリジナルイラスト入りの景品があったりいたします。
(パネル(2)を指しながら)最初に紹介しましたこうした場所をどんどん回っていただいて、(パネル(4)を指しながら)しっかりラリーを行っていただいてスマホなどを通じてきちっと記録を残していただいて、そしてそのことが何らかのかたちで景品につながったり商品につながったりというかたちになってまいります。で、連携鉄道会社は、東日本旅客鉄道いわゆるJR東日本大宮支社、東武鉄道、西武鉄道、秩父鉄道、埼玉高速鉄道、首都圏新都市鉄道、この鉄道会社が参加いたします。そして、西武鉄道と秩父鉄道と東武鉄道はそれぞれ企画列車が特別に運行をいたします。西武鉄道ではこの映画「心が叫びたがってるんだ。」、「ここさけ」というような名前が「あの花」に続いてやっているところですけれど、ラッピング電車が運行いたします。(「心が叫びたがってるんだ。」のポスターを指しながら)「心が叫びたがってるんだ。」ということで、まさに「あの花」のスタッフが制作したもので、まあいわば続編というのでしょうか、(後に削除)感動青春物語というかたちになります。この「ここさけ」、「心が叫びたがってるんだ。」というラッピングの電車が9月6日から予定されています。秩父鉄道でも同じようにヘッドマークSLの運行が行われます。さらに東武鉄道では「クレヨンしんちゃん」の連携企画が企画されていると伺っております。まだ詳細については東武鉄道側が発表しておりません。現在のところ「クレヨンしんちゃん」に係る企画をやる、このように承っているところです。
(パネル(5)を指しながら)それからその他の企画では「心が叫びたがってるんだ。」の完成披露試写会が8月29日に秩父ミューズパークで行われます。それから、「らき☆すた神輿」の関係で、久喜市で土師祭(はじさい)が9月6日に行われます。さらに、埼玉フェスタ2015、9月13日に西武ドーム改め、西武プリンスドームでも「心が叫びたがってるんだ。」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の声優による始球式が行われます。それから、龍勢祭が秩父市において10月11日にありますが、「あの花龍勢」というものが奉納されます。それぞれの大きな竹の筒がロケットになって発射されるわけですが、それが「あの花龍勢」というかたちで奉納されるということです。それから「浦和の調(うさぎ)ちゃん」バージョンの物産観光券販売、アニ玉祭において「浦和の調(うさぎ)ちゃん」公式コスプレイヤーによる「そぴあ」での一日店長などがあったり、色々なかたちで盛り上げる運動を行っていただきます。
それ以外にも細かい話はたくさんございますが、こうした企画が行われて、徹底して9月・10月には埼玉がアニメの聖地であるということを日本全国に発信していきたいというふうに考えているところです、以上です。

埼玉

まず、知事発表に関しまして、幹事社から質問させていただきます。9月・10月のアニメを活かしたイベントの全県展開ということで、知事ご自身としましては、全県的な観光振興という面ではどんな効果なり期待をされているのでしょうか。

知事

アニメのコンテンツというのはクールジャパンの色々なコンテンツの中でも、有力なものの1つとして捉えられているのが一般的であります。幸い、埼玉県にはこの「クレヨンしんちゃん」に代表されるかたちの中で、非常にアニメのキャラとしても有力なものがありますし、なおかつ、一世を風靡した「らき☆すた」、あるいは若い人たちに人気のある「あの花」をはじめ、関係の聖地がたくさんあります。しかも埼玉県は立地の良さがあって全国から集まりやすい特色を持っています。なおかつ、首都圏の中央にも位置しておりますので、大人口を抱える首都圏の皆さん達にもアピールできるというメリットがありますので、このコンテンツを、アニメというコンテンツを使わないという手はないということでしっかりアピールしながら、場合によっては2020年東京オリンピック・パラリンピックにおいても有力な吸引力の1つにしていきたいと考えているところです。

埼玉

それともう1点ですけれど、アニメを活かした街づくりとか活性化とかは全国でも取り組まれているところがあると思うのですけれど、そうしますと埼玉の一番の魅力というか特徴というのは全県的な展開ができるという捉え方でよろしいのでしょうか。

知事

そうですね。基本的にはそれぞれの市町村での街づくりに活かしていただきたいということですが、県ができるのはその援護射撃みたいな役割であります。それとやはり、全国に発信するかたちの中では県が広告塔、PRの役割を大きく持っていくというのは間違いのないことですので、援護射撃プラスPRが中心的で、とこんなふうな考え方です。

埼玉

それと知事ご自身がどこかの会場に行かれて、PRする予定というものがありましたらお願いします。

知事

もちろん、メーン会場には行きますし、それからどこかで、例えば「埼玉フェスタ2015」などは毎年行っていることでもありますので、これも行くと思います。

朝日

将来的には外国人誘客につなげるということなのですけれど、今回具体的に外国人に対する対策というか、多言語による誘致ですとか、そういう部分というのは今年はあるのでしょうか。

知事

今回の企画の中ではそこまでいっておりませんが、要するにいくつか眺めた中で、どういう形で反応していただけるかというのも一つの切り口になるのかなと思っております。若干の時間がありますので、こういう物の見せ方をしながら、どういう反応があるのか、特に外国人にはどういう反応があるのかなどを調査をして、いい意味での誘引の切り口にしていきたい、こんなふうに思います。

朝日

調査というのは具体的に会場というか、やる自治体ごとに報告を上げてもらうとか、そういうことでしょうか。

知事

例えば、秩父という1つの風景がありますよね。あるいは、日本の神社という部分なんかもありますよね。それから川越という江戸時代の情緒を残した部分とかが舞台としてあります。こういうロケーションとしての切り口が1つあると思います。それから「クレヨンしんちゃん」という個性的な部分、あるいは「らき☆すた」に代表されるような個性、こういった物がどういった形で外国人に受けとめられるのかというのも、ロケーションと主人公のイメージと言うのでしょうか、キャラクターと言うのでしょうか、そういうものをしっかり把握して、場合によっては集約していくとか、あるいは共通化していくとかということが必要になるのかなというイメージは持っています。また、そういう部分を研究しているというふうに聞いています。

幹事社質問
民主党の支持率が上昇しない要因などについて

埼玉

大きく2つほどお伺いしたいのですけれど。まず1点が、次期衆院選に向けて、民主党が県内小選挙区で選挙区替えなどにより、候補者を固め始めました。一方、国の安全保障関連法案を巡り、さまざまなメディアの世論調査で安倍内閣の支持率が低下していますが、民主党はなかなか横ばいが続いています。民主党の支持率がなかなか上昇しない要因について知事なりの分析、所見をお願いします。それが1点です。
それともう1点が、来年に改選を迎える参院埼玉選挙区の候補者の民主党の大野元裕議員が、民主党名の入った上田知事との2連ポスターを作成されました。大野議員サイドは「上田知事は尊敬する政治家の1人であり、盟友でもあり、知名度もあるなどの理由から知事にポスターを依頼した」とのことですが、知事は大野議員サイドからどのような依頼を受け、承諾したのでしょうか。
それと、知事選では県選出の民主、維新、無所属の国会議員が知事を応援しましたけれど、参院選の候補者の顔ぶれは定まっておりませんが、埼玉選挙区については知事選と同じようなかたちで大野議員を応援する考えがあるのでしょうか。以上よろしくお願いします。

知事

まず、1点目の民主党についてのなぜ支持率が上がらないかということですが、なかなか難しいですね。まず、結論を先に言ってしまえば、期待が大きかっただけに、政権運営の失敗ぶりのギャップが大きくて、その部分を埋め合わせることがなかなかできない。おまけに超人的な鳩山元首相みたいに、突飛な発言、突飛な行動をされる方もおられたりして、そういう方が足を引っ張るという部分もあると思います。あと、安保もそうだし、経済対策もそうですが、なかなか対案を出して同じであれば意味がないし、全く異なるものであればなかなか信用できない、そういう性格を多少持っていますよね。似通ったものにならざるを得ないという、本当に政権を担う立場からすれば単純な反対なんかできませんし、何らかのかたちで似通った部分があるはずだと思いますよね。そうするとなかなか対案になりにくいので、そういうちょっと辛さがあると思います。今出来ることはやっぱり、年金の長妻さん、あるいはヒューザー事件で耐震構造の脆弱性を突いた馬淵さんの追及、いずれも生命ですとか、それから自分自身の生活に関わる大事な話です。年金はまさに命綱ですが、それがいつの間にか無くなっているという話ではたまらない話ですので。また、あるいは、住まいや通っているビルが何かの時にはあっという間に崩れてしまうという、そういうものでは困るので、生命そのものに影響を与えますので、こういうものを追及した2人などが、ある時期スターになったというのもやはり意味のあることだと思いますので、そういう第2・第3のスターをつくったりしながらヒットを重ねていく。それで信頼を回復していく方法以外、今のところないのではないかなと思います。
それから、参議院選ですが、何度か申し上げておりますが、知事選は知事選で一定の枠組みがありましたが、基本的にはこれは終わった話でノーサイドだと思っております。参議院は今まで、支持をしていただいた経緯もあり、自民党、公明党、民主党の3者を平等に応援するという枠組みがございました。定数が3名区ですので、3名までは応援できるということでございますので、たまたま大野参議院議員から要請があり、また、熱心に応援していただいたお返しもありますので、私としても熱心に応援していただいた方には熱心に応援をし返したいというふうに思っておりますし、また、来るべき参議院選に出馬を予定されている方々と敵対関係にあるわけではありませんので、そうした方々からご要請があれば、その状況に応じて私に出来ることがあれば、また、要請があればその都度その内容に応じて対応していきたいと思います。

読売

確認になるのですけれども、出馬を予定している方と敵対している訳ではないので、まあ要請があればできることをという話が今ありましたけれども、ということを考えるとまあ現職で関口さんという議員が、あと公明党の西田さんに関しても要請があれば知事として応援することはやぶさかではないということですか。

知事

基本的にはそういうことになっていくのではないでしょうか。

その他
川越公園プール女児溺水事故・しらこばと公園プールの事故について

テレ玉

先日、指定管理者になっているとは思うのですが、県営のプールで4歳のお子さんと、72歳の男性が、溺れが原因かはまだはっきりしていないということなのですが、意識不明の重体になるという事故が連続して起こりました。その受け止めと今後の対応策などについて何かお考えがあればよろしくお願いします。

知事

まず、川越での女の子の事故の案件ですが、その時点で都市整備部長から報告がありました。内容はつまびらかではありませんが、とにかく監視体制に盲点はなかったのか、あるいは課題はないのか、再度、基本的な部分についてチェックするようにということを、都市整備部長を通じて指示をしました。昨日、指定管理者であります公園緑地協会の理事長が報告とお詫びに来られました。その際も改めてまた申し上げたのですが、2回続けて、原因はまだ不明ですが、何らかのかたちで事故が起きていることは事実ですので、監視体制の死角と言うのでしょうか、見えづらい部分があるのかないのか、あるいは本当に盲点とかそういうものはないのかどうか、あるいは70代の方はアルコールを飲んでいたという話でもありますので、本来、アルコールは禁止されている話ですので、それがどうして可能になったのかとか、そういった部分についても、これからどういうかたちだったら厳重にチェックできるのか、そういったものについて、対応ができることについては早急に、本当に早急にと、「一度起こることは二度起こる、二度起こることは三度起こる」ということでありますので、私は「早急に対策を講じるように」ということを指示させていただいたところでございます。
まだ原因がはっきりしていない部分があり、また警察等の調査もあり、とにかく中身そのものは分からないのですが、しかし監視体制とか盲点とか、そういうものについては本当に穴がないのかどうかとか、そういうのは可能な範囲ですから、ぜひそれを丁寧にやるようにということだけは指示させていただきました。

テレ玉

昨日の担当課などの会見ですと、事故にあった方々の容体について病院であったり、警察であったりのコンプライアンスの問題で、運ばれた当初の状態などは把握できているけれど、県の方でその後の経過、回復されたとかという状態が把握できないというような話があったのですが、そういったことに関して知事のご所見は。

知事

ちょっと辛いですね。ただ病院側や警察側がそうしたことについて止めておられる以上、深追いができないのは止むを得ないと思っています。(※下の補足参照)ただ、女の子に関しては両親がほっとされたという情報だけは入っておりますので、かろうじてその辺が何て言うのでしょうか、非常につらい局面から少し抜け出しているのかなと。70歳代の方に関しては全くまだ情報が一切入っておりません。

※後に公園スタジアム課が文書で補足
この発言に関しましては、ご本人の病状や状態が確認できておりません。昨日中に、指定管理者がご家族に初めてお会いすることができたので、県がそのように推測したところです。

教科書の採択について

朝日

教科書に関してなのですけれど、明後日、採択日になるのですが、前回の教育委員会があった時点で、市民の方々から請願が6件出ていたりですとか、8月17日付けでは採択のやり直しを求めるような請願も県教委あてに出ていたりするのですけれども、知事としては採択の手順ですとか、そういったことは適正に行われていたと受け止めていらっしゃるのか。あと、そういう請願が出ていることに対してどのように受け止めていらっしゃるのか。

知事

ちょっと請願のことは情報不足でした、私自身は聞いておりませんでした。まあ出されることは別に問題はないと思いますが、教育委員の皆さんたちが責任を持って、しっかり全ての教科書を読まれて、最終的に責任を持って判断され、そして採択をされるということですので、何の問題もないと思っております。とにかく私の方は「ちゃんと読むように」と、少なくとも大変困難ですけれども、それぞれの教科書をよく読むようにということだけは教育委員の皆さん方にお願いをしていますので、多分に丁寧に読まれて、その上で判断されるものだと思っています。

朝日

教育委員の方がしっかり教科書を見て選ばれるというのもあるのですけれど、一方で住民ですとか一般の保護者の意見をどのように取り入れるか、吸い上げるかというのも、一つ課題になっているかと思うのですが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。

知事

教育委員会を通じて、何らかのかたちで教師側の使いやすさだとか、そういったものについて最小限度のヒアリングなりはやっているはずですよね。そういう中で保護者から関係の教諭などに話があったのかどうか、その辺の確認は取れておりませんが。
私はやっぱり現実に使う教師の意見を聞く、それから責任を持って教育委員が一番良いと思われる教科書を選ばれる、これが良いわけで。保護者と言っても何となく無作為に100人なら100人の人たちから意見を聞くという方法なんてありませんので、保護者と言いながらも特定の人たちが集まって、その人たちの意見だけを聞いても、必ずしも保護者という代名詞になるかどうか分かりません、私はそんなふうに理解しています。

(終)

平成27年8月10日(火曜日)

知事選を終えての今の気持ちについて
知事選での投票率について
新科目「公共」の設置について
知事選で得票を減らした要因について
多選自粛条例の改廃について
多選自粛条例の改廃について(2)
「選挙が終わったら白紙に戻る」等の発言について
自民党県議団等への働きかけについて
多選自粛条例についての有権者の反応について
国政が及ぼす今回の知事選への影響について
多選自粛条例の改廃について(3)
自民党県議団との関係について
4期目への気構え等について
知事選で配られたビラについて
知事選での争点について
多選自粛条例について
知事選での投票率について(2)
各選挙の期日を合わせることについて
投票率が与える県政運営への影響について
5期目への道が開けたのかについて
1期で3期分をやりたいとの発言について
彩の国スポーツ功労賞について
幹事社質問
知事選を終えての今の気持ちについて

テレ玉

昨日投開票が行われました県知事選挙についてお伺いします。まずは当選おめでとうございます。今日の午前中には花束の贈呈などがありましたけれども、一夜明けて今の気持ちを改めてお聞かせください。

知事

そうですね。やっぱり一番思うところは県知事という職務の重さです。いざというときには危機管理を全県的に考えなければいけない仕事ですので、一種の、気を抜くことができないという、そういう意味で責任の重さを感じる仕事に改めて就くんだという、そういう意味での覚悟を感じる朝でもありました。

知事選での投票率について

テレ玉

今回投票率が、全国の知事選で過去最低だった前回の24.89%から1.74ポイントとわずかに増加した26.63%となりました。今年4月の統一地方選挙でも過去最低の投票率を記録するなど、県内の有権者の選挙に対する意識の低下というものが懸念される状況だと思うのですが、今回の投票率の低迷についてご所見をお聞かせください。

知事

投票率の低下は埼玉県だけの問題ではなくて全国的な傾向だと認識しております。一つはとりわけ地方選挙に傾向があると思います。国政選挙は争点を巡って与野党が激しく争う問題が一つあります。そしてまた連日テレビ放映、あるいはまた全国紙、地方紙を問わず1面で取り扱われていくという目に付きやすいというのでしょうか。これが国政選挙と地方レベルの選挙の決定的な差だというふうに思っております。特に地方の場合、これは私の経験ですが、生活道路を中心に道路が舗装されていないとか、ゴミの収集の回数が少ないとか、課題があったりするとその地域に関しては、当然議員の方々などが動いたり、また、課題を解決するための何らかの住民運動などが啓発を受けて、政治的関心が強くなっていくと思いますが、最近の傾向として都市部はとりわけ埼玉、神奈川、千葉などの東京都と隣接しているような都心(後に削除)エリアにおいては、集合住宅、いわゆるマンション、これは比較的大手のディベロッパーによる開発が多くて、基本的にはその枠の中できちっと整備がされている。従って道路の問題だとか、ゴミ収集の問題だとか、そういう生活に関わるような課題について、住民が関わらずに済んでしまう。極端なことを言うと管理そのものも管理会社などに委託をされているので、管理部門ですらも何もしなくても済む。こういう生活の課題が、都市部において、マンションなどの住居においては、そうした課題を既に処理をしていると言うのでしょうか。故に地域の課題、あるいは地方の政治行政についてもさほど困らないところからスタートしていくことから関心が薄くなっていく、こういう傾向があるのかなと思っています。

新科目「公共」の設置について

テレ玉

18歳以上に選挙権が引き下げられることを踏まえて、文部科学省のほうで原案ということで、新指導要領のなかで、公共という科目が必修になるというような話も挙がっています。それについてはいかがでしょうか。

知事

社会科(公民科)における公共という科目の中だけではなくて、いわゆる政治教育と言うのでしょうか。政治教育と言うとどうしても政治的な党派制に心配して触れたがらない傾向があるのですけれども、政治が生活にどういう関わりを持っているか、選挙を通じてだとか、あるいは議会を通じてだとか、こういったものが正しく教育の中でもっと訓練されるべきだというふうに思っています。子ども議会などがあったりして、そういうもので関心を持たれるのも一つの方法だと思いますし、模擬投票だとか、そういうものを通じて関心を持っていくとか、せっかく18歳という年齢からの投票ができるということですので、よりそれに近い人たちは、是非そういう教育の場で、政治によって何が変わるのか、選挙によって何が変わるのかなどを具体的な形で感じてもらう。「理論的にこうなります」ということではなくて、「実態的にこうなる」というような体験型の学習というのでしょうか。そういうものをどういった形で工夫できるか、今私もアイデアはありませんが、そういうアイデアを是非考えていただきたいなと、現場の皆さん達にお願いしたいと思っています。

知事選で得票を減らした要因について

テレ玉

今回の選挙結果についてお聞きしたいのですが、今回の知事の得票は前回のおよそ120万票から今回は30万票ほど少ない90万票というかたちになりました。前回の選挙と構図などが違うので単純な比較はできないと思うのですが、今回争点の一つとされた多選自粛条例に関する批判などもあった影響があるのかと思うのですが、得票を減らした要因などについて、何か思うところがありましたらお聞かせください。

知事

そうですね。前回は自民・公明・民主ともに支持、まあ民主の場合は一貫して友情支援ということですけれども、自民・公明は支持ということでありましたので。今回は自民党が単独で候補者を出されました。ちょうどその候補者は多選自粛条例違反というと、違反という言葉が適切かどうか私にはちょっと疑念がありますけども、いずれにしても多選自粛条例を守れなかったということは事実でありますので、そのことを最大の争点にされておられましたので、自民党の票がそっくりそのまま30万少々無くなったということで、足し算をすれば前回の票と同じになりますので。自民党の票がそっくり無くなった、そんなふうに理解しているのかなと思っております。

多選自粛条例の改廃について

テレ玉

その多選自粛条例についてなのですが、条文では「任期を3期以上在任しないように努めるものとする」とされています。昨日、条例の改廃が必要とのお考えも示されていますが、改めて条例の改廃についてのお考えをお願いします。

知事

議会の各代表の皆様方、並びに議長ともまたご相談しなければいけないことだとは思っておりますが、実効性が実態的に無くなってくるものだと思いますので、そういう意味での考え方をお示ししながら、議会の皆さん達と相談をしたい。こんなふうに思っています。

その他
多選自粛条例の改廃について(2)

産経

今の多選自粛条例のことなのですが、実効性が無くなっているとお考えであるということで、その後、その議会とか代表とか議長に考え方を示して相談したいというのは、知事としては改廃をしっかり進めていきたいというお考えをお持ちであるという理解でよろしいのでしょうか。

知事

それも含めて相談したいなと思います。6月議会でこの話が相当持ち上がったわけですから、議会の議論になった話ですから、私はあの時点でもう選挙が間近に迫っていることから、一旦改廃して「私はもう問題ありませんよ」ということをして、出るということ潔しとしないと。あえて課題を残したまま出させていただいて、ある意味では集中砲火を浴びるという、そういうかたちを取らせていただきましたので。
ただ、議会の方では、一般的に特に最大会派の皆さんからは「改廃すべきではないか」と、こういう議論が出ておりましたので、そうした意見も尊重することが必要だと思います。

「選挙が終わったら白紙に戻る」等の発言について

産経

選挙前に知事が「選挙が終わったら白紙に戻る」、「ノーサイドになる」というふうなことを囲みでおっしゃっていたように記憶しているのですけれども、その辺のお考えというのは変化はございますか。

知事

私は県民党でもともと勝負をしております。色々な流れの中で、民主党の友情支援、また維新の党からの支持というかたちをいただきましたし、各種団体の皆さんからの推薦だとか色々いただきましたけれども、一貫して自分は最初の段階でも、民主党を離党してあえて、民主党は当時推薦したいという意向があっても、そうしたことについてお断りをして、完全無所属でやりたいというかたちを言っていたのも、党派制にとらわれて、妙に自分の取るべき道を削がれたくない、県民本位でやりたいということを貫きたいということで、政党からの推薦等々ということは極力緩やかにさせていただいていたという経緯がありますので。もちろん戦があって、その後はまたスタートは白紙というふうになるものだと思っております。公平公正な行政ありということですから、こっちの方の人は味方、こっちの方は敵とか、そういう話には全くならないというふうに思っています。

自民党県議団等への働きかけについて

朝日

ノーサイドということで、知事側から最大会派の自民党県議団等になんらかの働きかけとか、今後していこうと思われていることが何かあれば教えていただきたいんですけど。

知事

まず、儀礼的なこととしては、当然、正副議長をはじめ各派の代表の方にご挨拶をしたいという考え方を持っております。とりあえず、今日の段階では電話で各会派の代表の皆さん達に「当選をさせていただきました、今後ともよろしくお願いをします」という連絡をさせていただきました。これからそれぞれ、各会派の皆様たちにこれからの、例えば今出たような話、自粛条例の話も含め、当然、9月の議会にあたって上程する条例、あるいはその他の議案などについても相談することがあるわけですから、そうしたことについては含めて、きちっと礼を尽くすべきだと思っています。

多選自粛条例についての有権者の反応について

朝日

多選自粛条例のお話で、街頭演説とかでご自身から説明とかをされていたかと思うのですけれども、実際、反応という意味ではどのように受け取られていましたでしょうか。実際聞いている有権者の反応という意味ではいかがでしたでしょうか。

知事

まあ、集まった方々は比較的理解をされた人たちが集まっていただいておりますので、そういう点では非常に理解をしていただいている。このようにまず思います。一方、まさにそれだけを焦点にして、議論を聴いている人たちにとってみれば、何か重大犯罪を犯したような話になってしまったりしていますので、極論まで出たりしておりますので。そういうのを鵜呑みにされる方も中にはおられるでしょうし。「何かおかしいな」「それだけじゃないでしょう」というふうに思う人もおられるでしょうし。それぞれ考え方が異なるのではないかと思います。例えば価値観ですから、人生の中でこうしたいと思っていても違うことをした事例というのは多くの方々いらっしゃるので。そのことをもって全てを非難できるかと言うと決して非難できないということぐらいのことは、皆さんも分かっておられるし。私も価値観的に、非常に個人的には不名誉な話だということを非常に重んじておりますし。しかし、それ以上に多くの皆さんたちの期待を裏切る方がもっと辛い。そういう価値判断を置いて、今回の出馬にあたったわけですから。そういうことを皆さんにお話をする中でご理解をいただいている。また、ご理解いただけない人たちもおられる。こんなふうに思っています。

国政が及ぼす今回の知事選への影響について

朝日

あと、ちょっと角度を変えてなのですけれども、国政の方で今回の選挙を受けて、特に民主党とか野党の方から、上田知事が4選を決めた一つの要因として、今自民党が進めている安保法制の議論とか、今支持率が下がっている安倍政権批判票というのも影響したのではないかというふうに見る動きもあるのですけれども、知事自身はそのような見方についてはどのように思われていますでしょうか。

知事

そうですね。そのこと自体を訴えられた候補者もおられましたので。その方が基本的には受け皿になっていくものだと思います。その部分に関しては。私は単純に埼玉県政だけの話をしておりましたので。安倍政権がどうのとか、安保法案がどうのとか、そういった話は全くしておりませんので。それが受け皿になるとかならないというのはなかなか難しいのかなと思います。まあ後で細かい分析をどなたかがなされれば、そういうものも出てくるのかもしれませんけれど。私自身の今の考え方では、確かに大勢の閣僚の皆さんたちが応援に来られたわけですけれども、党本部としては関わりのない世界だというようなことでおられたような気配も感じられておりますので、そういう点では別枠というふうに見ざるを得ないかなと、私自身は思います。

多選自粛条例の改廃について(3)

毎日

引き続き多選自粛条例についてですけれども、6月議会では「廃止することを潔しとしない」というふうにおっしゃっていました。昨日の話では「廃止して、出るべきというのが正論だった」という発言もあったのですけれども、選挙戦を通じてお気持ちに変化があったということでしょうか。

知事

いや。変化ではありません。筋論からそうでしょうと。端的に廃止条例なんかを出して出るべきだという筋論を議会の方から、特に最大会派の方から出されておりました。しかし、選挙が間近ということでしたので、直接有権者に聞くチャンスがあったわけですから。むしろありのままにお見せして、ある意味では一番辛いことですけれども。そのことでより有権者の判断を仰ぐという、そういう道筋を選んだということです。

自民党県議団との関係について

日経

昨日の当選直後の記者の質問で、自民党との関係について、「正・副議長と相談しながら進めて行きたい」と、で「それほど難しい事ではない」というような趣旨の話を知事がされていましたけれども、これは県議選から続いた知事サイドと自民側の対立がもう選挙がしばらくないことで解消されて、条件が変わるからということなのでしょうか。どういうことで自民党との対話が、今までできなかったことができるようになるという、そこの変化は知事はどういう整理でそういうお考えになっているのか、改めて伺えればと思います。

知事

今回、自民党の候補者は「多選自粛条例違反」これだけで勝負されたわけですから。このことについては一定の評価が、民意としてもう出てきましたので。そういう意味でその民意が出た以上は、そのこと自体がもう争点にはならない。6月議会でも、ほとんどそれが争点になっていましたので。そういう意味で争点にならないという意味で。何というのでしょうか、よりそんなこと自体で対立する要素が無くなりやすい。こんなふうに思っています。

4期目への気構え等について

埼玉

最初に知事は「覚悟を感じる朝」というふうにお話をされていましたが、4期目は気構えなどで3期目とは違うのでしょうか。気持ちを一新して、これまでとは違う上田カラーを示していくのでしょうか。

知事

そうですね。3期の延長線上の4期というふうに捉えずに、異次元の高齢化なんていう言葉が使われていますけれど、異次元というのはもうワープするような話でもありますので。考えようによってはですね。そのくらいの気持ちで覚悟を新たにしたいという気持ちですね。要するに、今までこれで上手くいっていたからその延長線上で全部やっていこうということではなくて、当然ある程度継続的なもので丁寧にやっていかなくてはいけないものは継続的ですけれども。それ以外のことで、「もっといい方法がないか」とか。「ひょっとして違う方法もあるのではないか」とか。往々にして路線を決めると、もうそれがいいものだということが前提になっていますので、そういうことを考えない努力をしようという。そういう意味で極力3期目の延長線上の4期ということではなくて、新たなる1期にしたい。こういう事だと私自身は位置づけています。

知事選で配られたビラについて

産経

あと、ちょっとお伺いしたいのは先ほどもちらっとあったのですけれども、多選自粛条例を破って出られたことについて対立候補というかその背後にある自民党は、選挙のビラでなかなか厳しいというか過激なことをビラに書いて、まあ知事上田清司という名前は無かったとは思いますけれども、一読すれば「これは上田知事のことを言ってるんだな」というのはありあり分かるものでしたが、その部分については選挙戦でああいうなかなか厳しい文言が並ぶというのもなかなか見ないものですから、どういうふうにお感じになられましたか。

知事

一部見たら、何か法定ビラみたいな感じしかしなかったので、もう読みませんでした。以降読んでいません。何が書いてあるのかもよく分かりません。

知事選での争点について

埼玉

選挙戦を終わってみて、今回争点らしき争点というのがあったというご認識でいらっしゃいますか。それともなかなかこう対立候補の方とかみ合わなかったとそういう印象でしょうか。

知事

そうですね。まあ多選自粛条例のみに争点を絞られたので、多くの有権者はそれだけだったのかなというふうに思われるのではないでしょうか。やはり、異次元の高齢化、あるいは少子化、あるいは困難な子育て支援などについてどうするのかとか、そういうものもやはり広範囲に聞きたい範囲はあるのではないかなというふうに思いますので、そういう部分を論点化していって、上田県政の中での例えば子育て支援のどこが問題なのかとか、じゃあ治安対策のどこが問題なのか、経済政策のどこが問題なのか。そういう問いかけの仕方があれば、またちょっと違ってきたかもしれません。環境政策でどこが問題なのかとか。比較的何か、例えば有効求人倍率が低い、全国で最も低いと。じゃあ神奈川はなぜ低いのですか、埼玉と同じように。そんなに神奈川県の横浜と川崎というのは雇用力がないのですか。誰も考えないでしょ。あるはずなんですね。あるんですよ。有効求人倍率というのはあくまでハローワークを通じての求人側のアプローチとそれと供給側のアプローチが数字になるわけで。埼玉とか神奈川の方は通勤されていますし、もう新聞広告なんかで募集していますし、それからフリーペーパーでどんどん募集もしていますし、ハローワークに求人の申込みをしない企業なんていうのは山ほどあるわけで。埼玉県は何で就職が決まったということを統計でとれば(民間の求人広告で就職が決まった人の割合が)56パーセントですから。ハローワークで決まったという方が少ない訳ですから。そうすると自ずから、埼玉県とか神奈川県が全国最下位クラスになる。そんなことぐらい分かるわけですからね。じゃあ埼玉県だけ職が無くて失業者が溢れているかというとそんなことは無いわけで。そういう何て言うのでしょうか、つまみ食い的な論争ですから、論争にならないのではないかなと思います。

多選自粛条例について

東京

多選自粛条例の関係ですけども、知事は条例違反なのかということで、「努力目標、努力義務であるから条例違反というのは当たらない」という趣旨のお話をされているかと思うのですけれども、一方では「条例を守れなかった」という言い方もされているんですね。これは非常に分かりにくいと思うんですね。
つまり、条例違反ではないけれども条例は守れなかったというのはどういうことなのかと説明を…。

知事

いわゆる違反というのは何らかのかたちで罰則がつくような話です。例えば公選法違反、平気で法定掲示板以外にポスターが山ほど貼ってあるわけです。ああいうのは完全な公職選挙法違反なんです。50万円以下の罰則がついてるわけです。そういう認識を私自身は持っています。(多選自粛条例は)まさに政治信条を縛る条例ですから。しかも私個人に特化されているわけですから。目的はより清新な政治を行うという、そのためにできるだけ任期を制限した方がよいだろうと、そういう目標を立てているわけですが、結果としてそれができなかった。それはもう不徳の致すところであり、残念だ。しかしそれ以上の価値を見出した。そのことについて一貫して説明をしてきたということであります。政治行為といわゆる違反行為というのはまた別問題ではないかなというふうに私は認識しています。

東京

「守れなかった」というのは「条例を守れなかった」ということではなくて、「政治信条を守れなかった」ということになると。

知事

結果的には条例を守らなかったということになるのでしょう。中身はそういうことですけれども、条文的にはそうなってしまうでしょう。

知事選での投票率について(2)

産経

投票率の話になるのですけれども、3回連続で20パーセント台で、ワースト5位を見ても、3つが入ってしまうわけですけれども、これっていうのはいわゆる政治家の人に投票率を上げていくというのを求めるのは筋違いなのでしょうか。何かその方法とか。

知事

そんな事は無いと思います。候補者は常に自分自身の投票を求めてやっているわけですから、大勢の方が出れば出るほど、求めている部分だけ政治的効果、政治宣伝の効果が出てきますので、その分だけ一般的には上がるはずです。だから候補者の数が増えれば一般的には投票率は上がりやすい。
ただ、考えていただきたいのですけれど、実質的には6台の宣伝カーだけが、埼玉県内を回っているわけです。市議選で一つの市でも30台ぐらい宣伝カーが回っているわけです。当然狭いエリアで。候補者カーとかに遭遇するのすら困難なんですよね。また候補者本人に合うことも困難という広いエリアですよね。そういう中で、他の媒体を使ってどれだけ、新聞もそうであるしテレビもそうでありますし、いろんな媒体を通じて選管もご努力をされるわけですが、一定程度限界があるのかなと。例えば衆議院選みたいに、先ほども申し上げましたが、連日のようにテレビのニュースに出てくる、しかもゴールデンタイムに出てくる、なおかつ週刊誌などでも当落予想だなんだかんだと出てくる。そして連日のように新聞の一面等に出てくる。そこと比べた時に、「じゃあ知事選はどこに出てくるんですか」、「地方版の地方政治のところに出てきます」。ちょうど終わりごろに夏の甲子園大会とぶつかってくる。どちらかというとそちらの紙面の方が多かったりする場合もあります。今申し上げたように宣伝カーが実質的6台で県内を回っていると。7時のゴールデンタイムに知事選のニュースが出てくるわけでも無い。そういうことを考えると、相当困難な作業だなと私自身は思っています。相当ハンデがあるなと。しかしそれでも熱心に候補者やその周辺の運動員の皆さんたちや関係の皆さんたち、そして選管の皆さんたちもその努力をされている。 また、加えて相当な酷暑。期日前投票なんかの制度があるので随分助かっているのもありますが、一方で時々宣伝カーで走っているときに防災無線で「外出は控えるように」なんていう放送が流れていると、少し正直言ってこちらもガクッとくることも無きにしもあらずです。一方で選管の宣伝カーなんかが走ったりしているのと相矛盾するような話が出たりしているようなところもありますので。
ただ、何か良い方法を見出さないと難しい。しかしやはり国政選挙と比べるとニュースバリューが小さいのでしょうか、ゴールデンタイムのニュースに毎日のように取り上げられるということはなかなかありえない話になっていますので、できるだけ普段から一種の政治投票などの啓蒙活動と言うのでしょうか。特に18歳からの投票権ということになると、中学生、高校生この辺りからの教育活動と言うのでしょうか、これが重要視されてくるのではないかなというふうに思っています。こちらの目線をもっと強くすると良いのかなというように思います。

各選挙の期日を合わせることについて

日経

今のお話に関連すると逆に市区町村別にみて投票率の高かったところを見ますと、1位と3位の小川町、杉戸町は両方町議選を同日選でやっております。統一地方選と埼玉県知事選はずれておりますけれども、選挙がもし重なれば杉戸や小川のように投票率が上がる効果も可能性としてはあるのかなということが今回の投票結果から読み取れましたけれども、今知事がおっしゃった何か良い方法という中に、選挙期日を合わせるというのはなかなか任期を縮めるか伸ばすかしなければいけないので、難しい問題であるかと思いますが、これは一つ検討に値するものなのかどうかお考えをいただければと。

知事

そうですね。災害の時だけ特例がありますので。そういう特例がある以上何らかのかたちで考えられても良いのではないかと思います。(国政選挙の)補欠選挙も4月と10月に合わせてやっていますから。まさにあれだってある意味では特例ですよね。普通欠員が生じればすぐやるというのは当たり前ですけれども、それだとバラバラになってしまうということで、少しでも統一化させようという動きがあるわけですから、そういうことを全国レベルの中で考えていただくというのもありがたい話だと思います。

投票率が与える県政運営への影響について

朝日

投票率の話でもう1問なのですけれども、得票数を見ると全市町村で圧勝というかたちだったと思うのですけれども、投票率の低さということも関連してか、全有権者の20パーセント弱くらいの得票数になるかと思うのですけれども、そこら辺ご自身で県政を運営していく上で、例えば2割弱の支持のみでやっていくというところで難しさというのはあったりするものでしょうか。

知事

正確には私も覚えていませんが、選挙の投票なんかの分析をやっているどこかの研究センターみたいなところで、追跡調査をやって、行かなかったけれどももし行ったとすれば誰に入れたかというのは、だいたい現実に出た票と同じような割合で出ているという分析を見たことがありますので、仮に行かなかったとして、その人たちが完全に放棄したとかという話でもないし、遠巻きに見ていらっしゃるわけですから、その支持というのは実際に投票にいった人たちと同じように比例案分して出てくるという話でありますので、そういうことを思えば「2割の得票率しかないじゃないですか」というのは必ずしも当てはまらないと思っています。

5期目への道が開けたのかについて

日経

3期目当選の直後の記者会見では4期目について出られます可能性はということについて質問が出ておりますが、あえて4選されたこの会見で伺いますが、多選自粛条例を事実上有名無実化した状態になったということで、考え方としては5期目に道を開くことが可能になったというお考えなのか伺えればと思います。

知事

うーん。ただ1期で3期分くらいやりたいなとは思っています。

1期で3期分をやりたいとの発言について

東京

1期で3期分やりたいというお話なのですけれども、それはすなわちこの1期を最後の1期という覚悟でやりたいというお話なのでしょうか。

知事

常に1期1期で勝負をしてきたつもりです。2期目があるからとかと考えたことは1度もありません。3期目があるからと考えたことは1度もありません。1期1期でそれなりに仕事をしてその都度考えるというふうにしてきました。

彩の国スポーツ功労賞について

テレ玉

昨日までロシアの方で世界水泳が行われていました。県内出身の選手の活躍も見られましたが、日本人初の世界水泳連覇した瀬戸選手や今回の大会の金メダル1号だった星選手がいると思いますが、以前、彩の国スポーツ功労賞がオリンピックなどの成績によって贈呈されているかと思うのですけれども、今回もこの活躍で2度目の受賞、表彰というお考えがあるのかお聞かせください。

知事

多少ルールがあるような気がしますのでそれを確認した上で考えていかなくてはいけないかなというふうに思います。

(終)

平成27年7月22日(水曜日)

川の再生の取組 8年間の成果
新国立競技場建設計画見直しのラグビーワールドカップへの影響について
台風11号での高校生死亡事故について
熊谷市内の特別養護老人ホームで起こった事故について
自民党県連への支持要請について
知事選の争点について
知事発表
川の再生の取組 8年間の成果

川の再生の取組 8年間の成果についてのパネル(PDF:6,589KB)

知事

本日は、川の再生の取組の8年間の成果についてご報告を県民の皆様に申し上げます。まず、埼玉の川が持つポテンシャル、川幅で日本一の2,537m。それから、県土面積に占める河川の割合が3.9%で共に日本一だと。しかし、こんなことは自慢にできるわけではありません。やはりいかに清流で、なおかつ河川の周辺が整備されて、なおかつそれを守る人たちがいる。そういう空間があってこそ、私たちは「埼玉県はすごい立派な川の国だ」ということが言えると思って、そういう運動をこの8年間展開してまいりました。「清流を復活させよう」、「安らぎと賑わいの空間を創出させよう」、「県民運動を行っていこう」ということで、まず第1期として平成20年から23年の4年間で「水辺再生100プラン」ということで、100カ所の場所を選んで、とりわけ最初の2年で集中的に(水辺)空間をきれいにしようということで5カ所選びました。それは1つはビフォー・アフターがはっきりすることで、私たちの力はこんなことができるんだということを見せるためです。ただ、これは県の計画だけで進めるのではなくて、計画の段階から地域の皆さんたちに集まっていただきました。自治会の皆さん、町内会の皆さん、そして河川の清掃活動を行っている人たち、あるいは釣りなどを行っている人たち、いろいろな意味で川に関心のある人たちに集まっていただいて、どんな整備の仕方がいいかなどを討論をしていただき、一定程度そうした討論を踏まえて河川の整備を進めてまいりました。とりわけ、先ほど申しました5カ所に関しては、芝川、藤右衛門川では、特に芝川では「素敵な宇宙船地球号」などで何回かに渡り放映をしていただくことができました。
2期目の24年度から27年度については、「点」の整備というよりも「線・面」の再生ということで、市町村のまちづくりと一体となって17の川で取組を推進してきました。例えば単に河川を整備するということだけではなくて、町の観光につなげるとか、地域の振興につなげるとか、そういうやり方を関係市町村と一緒になってやってまいりました。
例えば、これは芝川なんです。このとおりヘドロの川でありました。臭くて汚い、立ち寄ることもできないという。それをヘドロを浚渫(しゅんせつ)した後に、水を導水して浄化して一旦落として、そしてまた浄化装置を通しながら、河川に流していってきれいな川にしていく。そして、両側に遊歩道を作って、地域の人たちが楽しむことができるようにしたというのがこの芝川の2年の実験です。もうこちらには海とも繋がっておりますので、ボラやコイやフナが生息しております。
これは藤右衛門川、さいたま市から川口に流れているところですが、ほとんど藪であります。水もほとんど流れておりません。それを、これは土木工事で芝川(後に「藤右衛門川放水路」に訂正)から水を導水して、小川のせせらぎに変えたかたちであります。住宅地などがすぐ隣接しております。場所によってはこちらに住宅があったりしますので、住宅の庭と延長したかたちでの川があるような、そういう雰囲気を醸し出したりもしております。こうしたものを2年で行うことによって、私たちはその気になればあっという間に一変することができるということを証明することで、「川の国応援団」の皆様たちにこういったものを見ていただいて、本格的に水辺の再生をやっていこうという機運を盛り上げてきました。
もう一つ、水質の改善による清流の復活でありますが、このとおり全県のBOD年度平均値でありますが、要はほとんどヘドロ化して酸素の供給ができないようなものがこういう状況であります。それがどんどんきれいになっていくという状態です。そしてこれは、アユの生息する(後に「棲める」に訂正)水質の河川の割合というのが、この青い線です。例えば平成6年当時は29パーセントの河川しかアユがいなかった(後に「棲めなかった」に訂正)。で、平成15年当時、52パーセントだった。そして現在は84パーセントまできている。同じくこれは、生活排水処理の全人口の普及率の割合ですので、つまり生活雑排水そのものを流している時代が50パーセント以上(後に「くらい」に訂正)あったような時には、やはりアユがいなかった。そして、この整備がどんどん進むことによって、河川の水質がどんどん良くなって、アユの生息も可能になってきたということであります。こういう状況が非常に良くない不老川あるいは綾瀬川、元荒川などが徐々に良くなっていく事例がこういうかたちで見えております。
で、これは(パネル(3)の魚道の整備事例写真を指しながら)具体的にアユの遡上ができやすいように、これでもできないわけではないのですが、もっとできやすいようにというかたちで、河川の改修などを行っております。河川の改修によってアユの遡上が良くできるようにして、いわばアユが解禁された時期なんか、より多くの方々が上流から中流まで楽しむことができるという状況です。
そして、水辺空間の拠点整備を行っていくことで、人々が水に近づいて集える空間というものが104カ所、この平成27年度末までにできあがってくる見込みです。例えば杉戸町、宮代町周辺での「流灯まつり」などは、この河川に段差のある桟敷(となる護岸)を作ることによって、大勢の皆さんたちが楽しむことができるとか、遊歩道があって楽しむことができるとか。こういう状況ですね。段差があることで、皆さんが楽しむことができる。以前は何も無かったので、土手の上からしかみんなが見ることができなかったという状況でありました。
あるいはこれは和光市の越戸(こえど)川ですが、これも(川の上に)柵の(かかった)川でありました。藪の川で柵がずうっとありましたが、柵を撤去して、河川を整備して、今は清流が流れて子供たちが水遊びをしたり、河川の清掃をやったりしています。
これは、赤堀川の桶川市のさくらまつりの時の遊歩道です。
これは、長楽(ながらく)の用水路で川島町ですがウォーキングの場として有名なところです。
これも忍(おし)川でありますが、さきたま古墳群からちょうど忍城のある辺りまで、街の市街地までぐらいずっと続いていますので、遊歩道やサイクリングロードとしても活用されています。
こうした活動を通じて、「川の国応援団」が平成19年当時は104団体だったものが現在は591団体と約6倍近く増えております。また、美化をする土手や河川などの美化(活動)をやっていただいている延長の距離も114キロから515キロまで約4.5倍に増えています。また川の中でなじんで遊んでいただく「川ガキ養成事業」というものをやっているところですが、これの参加者も年々増えて、現在では1,280から約3千近くまで増えてきております。
で、「今年の夏は、埼玉の川で遊ぼう」ということでこれも一つ一つを見せていきましょうか。
これは、嵐山町の槻川で今関東一のバーベキュー場として賑やかになっているところです。
ときがわ町の都幾川でやはり川のバーベキューをやったり、川で遊んだりしている風景です。
これは横瀬川ですね。横瀬町の横瀬川で子供たちが遊んでいる風景です。
これは新河岸川。もうこの辺りは住宅地です。まさにふじみ野市ですが、「灯ろう流し」の復活などが行われて、皆さんが水辺空間を楽しんだりしていただいている風景です。
これは荒川の長瀞の舟下りのスタートの場所がありますが、リバテラス長瀞というかたちでバーベキュー場であったり、そしてまたここはSLが走る陸(後に削除)橋で、カメラマンの一番ポイントのところだとも言われているところであります。
このように埼玉県、川が一つの、海はありませんが川の売りがたくさんありますので、それぞれ楽しんでいただきたいというふうに考えているところです。特に最近ではこうした部分。河川敷の一部を民間の方に占用許可を出す(後に「が使用する」に訂正)ことが、規制緩和で許されるようになりました。従って、民間の事業者がバーベキュー場、河川の占用許可をとって(後に削除)バーベキューの運営をしたりしております。ここは秩父鉄道が運営をしています。こちらはどちらか忘れましたが、関東一のバーベキュー場になっております、嵐山の槻川であります。こうしたところで民間人がバーベキュー場を経営するという。こういうかたちでいろいろな楽しみ方ができるようになりました。極端なことを言えばバーベキューセットを一切持っていかなくても、現地でバーベキューセットをお借りして、あるいはバーベキューの中身も現地で調達してというようなことも可能です。もちろんバーベキューの中身を持って、バーベキューセットだけ現地で借りるとか、いろいろなバリエーションを楽しむことができるようになりました。
このように、この8年で埼玉県の清流復活、あるいは水辺空間の創出、こうしたことが大きく展開するようになりましたことを、改めて県民の皆様に報告し、もちろん水は絶対的に安全ではありませんので、当然安全に備えながらよく楽しんでいただければありがたいと考えているところです。以上です。

産経

確認なのですけれども、川の再生の取組を8年間やられてきて、完成というのはないのかもしれないですけれど、一定程度のまとまりを見せたという理解をすればいいのか、それとも、また、今後課題があるのでしたら教えてください。

知事

実は下流のほうは、家庭の雑排水は一旦下水道に流して浄化してまた流すというかたちできれいに処理ができています。上流は家庭の雑排水が流れても、それを浄化できるだけの量があったりするのですが、中流付近が意外に家庭の雑排水がそのまま流れたりして弱い部分があります。今、共同浄化槽(後に「合併浄化槽」に訂正)なんかを市町村と一緒に、県も補助金を出しながら進めているところですが、これはまだ、進めていかなければいけない課題の一つです。
それから「川のまるごと再生事業」も、市町村のまちづくりと一体でやっておりますので、手を挙げたところから先行的にやっていますので、やはりこれからやりたいというところも出てくると思います。そういったところの要望なども踏まえて、「川のまるごと再生事業」のパート2をどうすればいいかということなども今後検討する課題ではないかというふうに思っています。

埼玉

この川の再生に取り組まれてきて、アユもだいぶ棲める水質になってきたということで、一方で外来魚がかなり県内の河川にも放流されているということがありまして定期的に駆除なんかもなさっていますけど、知事として、川の再生という、間接的なことかもしれませんが、外来魚の駆除に関しては何か今後お考えがありますでしょうか。

知事

そうですね。河川の場合は比較的エリアが広いということもあり、特定の外来種によって一方的に占有されるという事例は少ないわけですが、ちょっとしたため池だとか、池だとか、湖などではそうした事例も決して少なくない事例がありました。特に国の緊急雇用基金を使って、それを丁寧にやって、5万匹ほどの外来種を駆除した時期もございましたが、その後は漁協などにお願いをして、県もそれを支援するという形でやっています。最近の情報については私も把握しておりませんので、また、後ほど事務方のほうからどのくらいのレベルで外来種などの実態があるか、そして駆除の状況がどうかについてご報告させたいと思います。

幹事社質問
新国立競技場建設計画見直しのラグビーワールドカップへの影響について

産経

新国立競技場の建設計画が見直されることになりまして、安倍総理もラグビーワールドカップには新国立は間に合わないと、確か明言されたかと思いますけれども、それに伴って埼玉県でも開催されるわけですけれど、影響等は何か考えられるのか、それとも情報は何か入ってきていらっしゃるのか。

知事

現時点では実は情報は入っておりません。基本的にはラグビーワールドカップ2019組織委員会と開催自治体である東京都と日本ラグビーフットボール協会、この3者で一定程度の枠組みを作っていただいて、それから他の開催都市などにも協力の要請などがあれば、それを受け止めていくというのが今の時点では私の受け止め方です。それ以上はまだ、差し出がましいみたいな感じがあるのかなと思っています。まだそこまで自分も余裕がないと言うのでしょうか、当面熊谷のラグビーフットボール場を、スケルトンだけ残して、新規にきちっと予定どおり完成させていく。こっちの枠組みの方に力を入れております。

日経

先週も伺いましたけれども、国立競技場の建設を巡って、国民に疑問が強くなってしまうと、「残念な状態で、大会の開催の信頼にも関わる」というお話をされたかと思いますけれども、白紙に見直されたことは五輪開催全体にとっては良かったのか、それとも課題を残したものなのかその辺の受け止め、政府の判断について、知事のご所見をいただければと思います。

知事

安倍総理を中心にああいう形で白紙撤回なされたということは、やはり国民世論全体を考えて、なおかつ、総工費の見積もりの過大化というものを考えて、そういったものを考えてご判断されたので、私は賛同したいと思います。

その他
台風11号での高校生死亡事故について

産経

台風11号の時に、桶川西高校の生徒さんが、川の水があふれたところで落ちてしまって亡くなられるという事案がありました。で、亡くなられたあとに学校の校長先生が会見をされて、市のほうに「よく冠水するので対策をとってほしい」という要望をされていたということをおっしゃっていました。当然、災害ですので防ぎようを最大限追求していかないといけないと思うのですけれど、県として何かできることがあるのかとか、まあ、通学路にそういう危険箇所がある場合とかは何とかできるのかなと思いますが、その辺について、具体的にではなくて結構ですから、お考えを聞かせてもらえますか。

知事

今、何が原因だったのかということも含めて、県警も含めて捜査中と言うのでしょうか、探求中と言うんでしょうか、まだ、この中身について、正確に報告を受けておりません。県の中では県土整備部がその中身などについて知るべき立場にあるというふうに思っています。当然、桶川市などと調整をしながら、その原因究明、あるいは何らかのかたちで問題があったのか無かったのか、あるいはどういうことが原因で結果的に悲惨な事故につながったのかなどをしなければいけないと思いますが、いずれにしてもどこにでもそういう場所はあります。ガード下などで急に雨が降った場合ほとんど水没してしまうような急な坂だとか、あちこちそういう場所が恒常的にありますので、そういったものをどれだけ周知徹底することができるかどうかとか、その辺がどこまでなされていたのかということについてもよく調べて、きちっとした回答を学校側にしなければいけませんし、そして、桶川市民にもお知らせをしなければいけないし、また、広い意味では埼玉県民にもお知らせをしなければいけない。こんなふうに思っています。

熊谷市内の特別養護老人ホームで起こった事故について

読売

前回の会見で回答が保留になっていた、熊谷市での介護施設での誤った薬を服用させられて、男女2人が死亡するという事案があったのですけれど、これについての知事の受けとめを…。

知事

すいません。この間は報告を聞いていなかったので内容が分からなくて。報告を聞きました。昨年の12月19日に、施設の職員が80代の女性入所者に誤って他の方の病薬を飲ませて、それが原因でお亡くなりになったという非常に残念な事故で、関係者の皆様には哀悼の意を表したいところです。基本的には、これは施設側の正に責任に尽きるということになるわけであります。十分な薬の取り扱いについてできていなかった。当然、このことに関して、きちっとしたかたちで、県は指導的立場がありますので、こういったことが起こらないようにということで、その後、2月20日に、全老人福祉施設長宛てに、再発防止の通知を出した上で、6月22日には再発防止の通知を県のホームぺージにアップしたり、それから、1月29日には、老人福祉施設協議会の施設長会議で事故発生の原因とか、中身についての報告の周知徹底を依頼した上で、6月からの実地指導の時期に特にこの点を重点化して、指導監督させていただいた経緯はございます。そういうことがありまして、その後、こうした問題について、どの程度の頻度で起こっているのかなどについてもいろいろ調査をさせていただいたところ、事故報告の部分でありますが、24年度は(全体の事故報告件数)665のうち(誤薬の事故報告件数が)4、25年度は(全体の事故報告件数)798のうち(誤薬の事故報告件数が)1、26年度は(全体の事故報告件数)796のうち(誤薬の事故報告件数が)11ということで、このほとんどが転倒による骨折等による事故、そのうち、誤薬(による死亡件数)はこの間、24年、25年、26年の統計の中ではなかった、27年(後に「26年」に訂正)の12月に初めて起こったということで、死亡事故(後の「死亡に結びついた事故」に訂正)は初めて起こったということで、そういうことでございます。いずれにしても、こういうことが起こらないようにしっかりと、老人施設関係のところには、こうしたことに周知徹底を図るべく、努力を県としてもしていきたいと思いますし、また、それぞれの関係団体においても、内部での趣旨の徹底もお願いしたいというふうに思っています。

自民党県連への支持要請について

読売

昨日、新藤県連会長が記者会見を開かれまして、その中で、上田知事が平成23年6月24日付けの埼玉知事名で支持依頼の文書を出したということを公の場で発言されて、新藤会長の意図としては、上田知事が4月の記者会見で、「各党会派などに依頼したことはない、どなたといつどこでと聞きたいくらいだ」とおっしゃったことに反論したいというご意図があるみたいなのですけれども。前回の会見ではもうちょっと漠然としたかたちで聞いて、「あまり記憶がないが形式上出したかもしれない」というようなお話だったと思うのですけれども、今回の新藤会長の主張について事実関係としておかしいところとか、ちがうところとかがあれば教えていただければと思います。

知事

まず、基本的に今の自民党県連が各支援団体だったり、市長さんなんかに推薦依頼書なんかを自分たちで作って要請活動をされておられますが、そういう意味での、例えば私自身の事務所などで推薦文書を持って依頼活動をしたことはございません。そういう推薦文書だとかを正式にどこへでも通用するようなものを持ったことがありません。これは衆議院時代からそういうふうな仕組みにしております。
ただ、推薦をしていただける場合、ありがたく受け取っています。そして時々、推薦するけども手続書類があるんで「これを書いてくれ」とか「これを出してくれ」とか、時には「挨拶をしてくれ」とか「挨拶に出向いてくれ」とか、こういうお話はあります。そういう時には当然その御意向に従っております。
私の記憶も定かではありませんが、若干整理をしました。もちろん1回目の戦いの時には民主党の友情支援のみでした。2回目から自民、公明、民主から何らかのかたちで、特に自民党の皆さん達、特に県議団の主導的な立場の人たちから「知事、今度は応援するんでどうだい」とこういうお話があり「推薦でもするかい」という感じのニュアンスがあって「いえいえ、推薦はちょっと重いので、支持でお願いします」ということで8年前は支持をしていただきました。そして、公明も民主もそれに準ずるようなかたちになったと思います。そして、4年前の件に関しては、自民党の方に私の方が支持依頼書を届けているという、こういう文書が残っているということですので間違い無いことじゃないかなと思っています。そういう「要請文書をよこせ」、あるいは「出せ」と言われれば当然出させていただいています。「挨拶に来い」ということであれば挨拶に行きます、そういうお話だというふうに思っております。ただ、お話そのものはこちらから出していくというよりは「今度どうするんだい」というかたちで「こんなふうにしようと思っています」と言ったら、その時点でそういうことだということで対応しているということで。
ちょっと昨日念のために西山県議団代表に「公明党はどうだったでしょうか」ということで確認しましたら「知事の方から要請は無かったけれども県連本部としての支持を出した記録がきちっと残っている」というようなお話を聞いております。武正代議士にも「民主党の方に私から何か要請したことはありますか」と聞いたら「そうじゃなくて自分たちの方で友情支援というかたちで対応している」と、こんなふうに承りました。基本的には私の姿勢はそうだったと思います。ただ話のニュアンスの中で、若干いろいろあったかもしれません。「どうするんだい」と言ったら「今回も支持でお願いします」とかそういう話はあったかもしれません。そうすると結果的には私の方から言ったことになるのかもしれませんし、「今回はどうするんだい」というお話だったら、そこからのスタートかもしれませんし、この辺はまさに基本的な認識の差で違ってくるかもしれません。
ただ、こちらの基本姿勢ははっきりしていますし、この辺は特に8年前に私の支持に転換をしていただいた当時の深井明県議団団長だとか、特別な敬意を払っていただいておられた野本県議、佐久間県議、当時、三長老というような言葉が使われていましたけれども、お三方などはよくご存じではないかなと私は思っております。私の基本的な姿勢がそういう姿勢であったということ、何か特別に用意をして「よろしくお願いします」というようなかたちで、そういう構えでスタートしたことは無いと、そういう意味で申し上げておるところです。

読売

確認なのですが、要は先方から何か話があって手続上と言いますか、出せと言われたから、それは拒まずに出したということ…。

知事

当然、他の団体でもあるいは連合でもそうですが、手続書類が必要だと言われますので、そういうのを出します。あるいは他の団体でも「こういう形式があるので、この形式に全部書いてくれないか」とか、そういうものを要求されると書きます。当然そういうものは要請されれば、何て言うのか、気持ちよく「そんなものまでいらないよ」とか言うほど横着者ではありません。丁寧に対応して、時にはできれば挨拶してほしいとか、そんな話があったりします。ただ、何かその時々の幹部の方々でニュアンスも違うのではないかなと思っています。全部が全部要請の文書を書いた記憶もありませんし、全部が全部挨拶に来いという話も無かったような気もしますし、その時々の幹部の方々の、何て言うのか、お願いの中で対応していると、そういう記憶があります。私もお礼回りというのですか「できたらお礼に行ってほしいな」とかという声が入ったりすると行きます。入らないといわゆる会派回りというのでしょうか、団回りというのでしょうか、そういうかたちで選挙が終わった時に回ったりしていますが「県連本部にも行ってほしい」とかそういうお話があれば、当然行ったりします。以上です。

埼玉

関連なのですが、自民党の主張としては、チラシまで作られているのですが、知事が直接県連を訪れて要請に来たというような主張をされているのですが、これはそうしますと自民県連の事実誤認ということでよろしいのでしょうか。

知事

当時の長沼県連幹事長にも電話で確認しましたけれど「よく覚えていない」と言っておられました。ただ一般的に「要請文書を持って県連に来い」と言われたような記憶はあまりないと思います。ただ、挨拶した方が望ましいというかたちでそういうご要請があれば当然そういうものは拒んだりしませんし、喜んで行く、またお礼回りなんかもした記憶はございますので、ただ毎回というイメージは無いですね。その時々の感じがあるんじゃないでしょうか。例えば8年前もこういう文書があるかどうか。

知事選の争点について

東京

今の話の流れなのですが、自民県連は推薦候補も含めて、最近その多選自粛の部分だったり、一人当たりの県民所得の話だとか、国との連携なんかも持ち出して知事に対する批判を展開していますけれども、そういう中で明日告示を迎えるわけですが、改めて争点、いろいろな方の主張が出そろってきた中で、一番の争点はなんだとお考えか、改めてお聞かせください。

知事

改めて申し上げれば、やはり10年後に埼玉県の高齢化社会のピークが来るということであります。そして、働き手が少なくなってくるという、こういう事態に対してどういうかたちで現在の埼玉県の元気さを維持するか、そしてまた次代を担う人たちを育てる、育成していく原資を作っていくか、まさか借金でやるわけには行きません、国のように。埼玉県は確実に県でコントロールしている県債は減らしてきています。この12年間で16.6パーセント減らしてきています。そういうことも含めて原資を作らなくてはいけない。なおかつ高齢化社会のピークが来ると、そして働き手が確実に少なくなってくる。一般的に言えば困難ですよね、原資が作りにくくなる、そして費用が増えてくる、こういう困難な課題があるということを県民の皆様にお知らせしながら、しかし、埼玉県はそれを克服する能力があるということを私はいくつかの事例を申し上げながら、きちっと県民に訴えたいというふうに思っております。
何て言うのでしょうか「ばらまき」的なかたちで、県民の皆さんを瞬間的に喜ばすのではなく、やはり事実をしっかり告げながら「40万人、75歳以上の人が増えるんです」、「この10年で1.5倍も増えるんです、これは特別なことなんです」、「働き手が減るんです、圧倒的に、これも特別なことなんです」と。しかし、これから少子化社会に甘んじることなく、3番目の子ども、4番目の子どもを育てられるようなことをしなくてはならない。それには基本的には小中高、所得制限はかかっていますけど基本的には授業料がもうほとんど無料化されています。しかし、保育にかかる費用は結構かかっていますので、この部分を最終的に県としては無料に持っていきたい、今年度それを2分の1にする仕組みを作りました。最終的には無料にするような仕組みを作りたいと思っています。そうすることで子育てにお金のかかる部分をカットすると、あるいは子育てをするには部屋が狭すぎるとか家が小さすぎるという課題もありますので、この部分をカバーするには例えば県営住宅で基本的には4人家族をメジャーにしていました。というか、それしか想定していなかったのですが、それをもうやめて、5人家族でも6人家族でも住めるような県営住宅も作りますよということを、今年の4月からスタートしております。
その原資はどうするのですかというかたちでの新産業の育成だとか、あるいは納税率のアップだとか、いろんな産業を呼び込むだけの埼玉県のロケーションの良さなどを活かして引き続き企業誘致に努めるとか、こういうことをきちっと県民の皆さまに説明する、まさに争点というのは超高齢化社会と、ある意味では異次元ですよね、異次元の超高齢化社会と少子化社会という事態を迎えつつある、10年後に迎えつつある、この10年前の今日にこの事態をきちっと県民の皆さまにお示しして、こういう対策を追っていけば私たちは安心・安全な社会を改めて構築することができる、あるいはまた作らなくてはならないということをお訴えして行きたい。まさに私の争点というのは、やはり10年後の世界を見据えたかたちでの高齢化社会、少子化社会の対応、これに尽きると思っております。

東京

自民県連が推薦する候補の批判については、一人当たりの県民所得の話だとか、国との連携が不足しているという話については、どう受け止めてらっしゃるのですか。

知事

年がら年中会っていますから、知らないだけで皆さんが。だからずっと応援されているのではないですか、国会周辺、党本部周辺で私を、異常に応援されているのではないですか、はっきり言って。むしろ県連の方に冷たいのではないですか、党本部は。党本部は上田知事を推薦しているがごとく応援されているのではないですか。
私は普段から同期の人たちがざっといますので、仲良く会食したり、しょっちゅう会ったり、要望したりしています。また、超党派の国会議員の皆さん達といつも私たちは予算の要望や政策の要望などで意見交換していますし、大半の人が出席されています、8割、9割の人が出席されています。また懇談会の出席率も決して低くありません、皆さんも見ていらっしゃるでしょう。毎度毎度、そういう予算の要望、県の政策に関する意見交換会、国会議員の皆さん達の出席率が9割を超えるくらいご出席されていますし。しかも個別課題については県の副部長や担当課長などが各議員会館をお訪ねして、いろいろ打合せもさせていただいています。
そういう成果がまさしく当時の土屋品子厚生労働副大臣などの存在もあり、田村厚生労働大臣の英断もあって、基準病床などの判断が5年前の国勢調査だったものを直近の住民基本台帳に切り替えることによって、1,502床のベッドが増えるという画期的なことも起こったわけでありまして、これもやはり国会議員団の皆さん達が一生懸命やっていただいた、そして当時、やはり副大臣で活躍いただいていた土屋品子副大臣に大変ご尽力いただき、最終的には田村大臣に決断いただいた、田村大臣などとも私は会食をしていましたし、ちゃんとそういう総合的な角度からお願いをしていましたので、国との連携がないというわけではございませんし、国土交通省などは本当に埼玉県に対しても特別な計らいをされるくらい、一生懸命連携して圏央道プロジェクト、あるいはその他の問題に関しても熱心に取り組んでいただいておりますし、農水省に至っては鍋仲間でもございますし、次官そのものとですね。また大臣とは勉強仲間でもありますし、いろんなかたちで繋がりは深く、国との連携で必要なことはやっております。

(終)

平成27年7月14日(火曜日)

熱中症対策について

知事

今日は報告の前に、本当に急に暑くなりましたので、全国各地で熱中症でいろいろ困難になっている方々が多いということで、改めて県民の皆様に、熱中症対策について、5つのポイントをもう一度、お知らせしたいと思います。
とにかく暑くなる日は天気予報などをよく見ていただいて注意をしていただきたい。そして、高齢者の皆さんにはエアコンを上手に使っていただきたい。急激に暑くなっていますので、比較的涼しい梅雨の時期でしたので、体が慣れていないということもありまして、非常に危険な状態になりやすいということですので、温度調整をしっかりやっていただきたい。それから水分はこまめに補給をお願いしたいと思っております。そしてまた「ちょっと調子が悪いな」と思ったら思い切って病院などに行っていただく、このことが大事だと思います。また、隣近所の方などにもよく相談をしてみるなども大事だと思っております。尚かつ周りの方々も、高齢者の方々を注意していただいて、見守りをしていただけたら大変ありがたいと思います。
繰り返しますが、まだ、体が慣れておりませんので、是非、こうした特別に温度が高いときには注意をしていただいて、お出かけは比較的涼しい朝夕、といっても朝夕も相当暑いのですけれど、何とかそういった時間帯を選んでいただいて、気を付けていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

緑のトラスト保全第14号地を決定

緑のトラスト保全第14号地を決定についてのパネル(PDF:1,002KB)

知事

それでは本日のご報告をさせていただきます。埼玉県は緑のトラスト基金を使って、緑の空間などを確保する努力をしているところですが、このたび第14号地として、三芳町の藤久保の平地林をしっかり確保できて、トラスト14号地として、3.6ヘクタールを指定することにいたしました。ちょうど、三芳町役場があって、淑徳大学があって、この緑があります。そして、町が保存樹林として保存しております(後に「保存予定の」に修正)2.1ヘクタールに連続するかたちで。従いまして、三芳町役場も緑に囲まれた役場ですが、ずっと連続して、淑徳大学まで緑が続くという、こういうかたちで周辺の乱開発から守るための、しっかりとした雑木林を確保することができております。今後の予定ですが、27年度中に用地を測量して、28年度に用地を取得して、環境調査をして、29年度に完全に保全整備を行って、ボランティアの募集を行いながら、保全活動を行っていくという段取り、日程になっております。
14号地の周辺について少し歴史的にも説明したいと思います。(パネル(2)を指しながら)江戸時代こちらに川越街道がございます。ご案内のとおり、このエリアは、松平伊豆守の時代にこの地区を開拓して、新田としたところでございます。その後にも上富地区を柳沢吉保時代にも開発をして、緑豊かな空間であり、現在のいわゆる三富地区の一角になる、いわば、落ち葉を堆肥にして、循環型農業のエリアとして有名なところでもあるわけであります。ただ、この川越街道があり、東武東上線があるこの藤久保地区は、どうしても駅に近い、川越街道に近いということで、開発の波から避けることができなくて、緑の空間が圧倒的に無くなってきております。そして、先ほどの14号地は唯一少し大きな塊をもったところだということであります。そして上富地区はこのとおり、少し駅から離れていることなどもあり、緑の空間がしっかり残っているというふうにご理解をいただきたいと思っているところでございます。
この緑のトラスト基金というのは、そもそも、県民・市民から寄付を募って、緑のトラスト基金という基金を創って、埼玉県下の貴重な歴史的環境や自然を県民の財産としてできるだけ残していこうというかたちで、この基金のほうから3分の2、そして市町村から3分の1、先ほど申し上げたようにこの基金というのは、県民・企業と県が出資して積み立てておいたものを地元の市町村から3分の1を出していただいて、基金の中から3分の2を出して、買い取ってトラスト地を取得して、管理をする。この管理も原則、ボランティアによる保全活動というかたちになっております。第1号地は「見沼田圃の斜面林」をまずは確保いたしました。(第2号地は)「狭山丘陵・雑魚入樹林地」所沢でございます。(第3号地は)「武蔵嵐山の渓谷周辺樹林地」。(第4号地は)「飯能河原周辺の河岸緑地」これは飯能市です。(第5号地は)「山崎山の雑木林」これは宮代町です。(第6号地は)「加治丘陵」の入間市。(第7号地の)「小川原家屋敷林」はさいたま市。(第8号地の)「高尾宮岡の景観地」は北本市です。湿地帯などもあります。(第9号地の)「堀兼・上赤坂の森」は狭山市です。(第10号地は)加須の「浮野の里」。(第11号地は)蓮田の「黒浜沼」。(第12号地の)「原市の森」は上尾市。最後が無線山・KDDIの森(第13号地)、日本薬科大学とがんセンターの樹林地と連続しておりますのでかなり広範囲な緑の空間になっておりますが、このように放っておけば開発の波の中で場合によっては雑木林などが無くなってしまう、そういうものを地域の環境運動などをやっている方々からぜひこれを残そうではないかというような下からの盛り上がりの中で、市町村と一体となって県も乗り出して、そして関係の皆さまの意見を聞きながらトラスト地として認定をしていく。そのプロセスの中で、運動に立ち上がった人たちにぜひボランティアとしても今後も引き続きその景勝地を維持できますようにお願いをするという仕組みを続けているところです。現在までに63.4ヘクタール、13号地までです、スーパーアリーナで言えば14個分の景勝地を確保したことになります。いずれも開発地域と近いところにありますので、ほうっておけば無くなる可能性が高いというそういうエリアでございます。従いまして、人家も結構近いので皆さんの散歩のコースなどとしてもずいぶん活用されております。憩いの森としても非常に利用されています。
同時にこのコースなどをハイキングや自転車などで楽しんだらどうですかというかたちで、一定程度のコースができあがっております。中央地域のファミリーコースというかたちで第1号地、見沼田んぼの斜面からずっと岩槻、上尾、伊奈町というかたちで抜けるコース。それから西部地域で三芳町からスタートして狭山、所沢、入間、飯能河原というかたちで1コース。そしてまたもう一つ東部から中央地域というかたちで宮代町ですね。宮代町から入って蓮田、黒浜、見沼そしてまた岩槻、上尾、伊奈、北本というコースで。(パネル(4)を指しながら)この10番の加須の「浮野の里」はまた違った意味で菖蒲の花が咲く時期などは、船が出ております、田んぼの中に。そういう時期を狙うとなかなか良い趣があります。「嵐山渓谷」などはちょうど今こういうかたちで水遊びもできるような空間でもありますので、そういう利用の仕方、単体でハイキングだとかサイクリングを活用できるという感じであります。
いずれにしても緑のトラスト基金の13号地まで、場合によっては今後予定の14号地まで、県民の皆さま方は、県のホームページでも紹介しておりますので、ぜひご利用いただければと思っております。パンフレットもあります。県民案内室とみどり自然課の方にもこの13号地までの案内をしておりますので、ぜひ県民の皆さまには保全地についてもご活用いただければというふうに思っているところです。

熱中症対策について(2)

産経

熱中症なのですけれども、東日本大震災のあとに福島第一原発事故があって節電と言われていた時期から毎年、暑さの環境に慣れられていなくて高齢者が亡くなっているという事案が毎年毎年起きていてちょうどこの時期になるかと思うのですけれども、そこの部分について積極的に、もう今さらという感じは今年度あるのですけれども、何か取組をされるご予定等はございませんか。

知事

啓発活動以外に大きな方法というのはなかなか難しいというふうに思っております。市町村でもいろいろな啓発活動をやっているところではありますが、大きな気象条件を何らかのかたちで変えるというのはなかなか難しいもので、まさにこまめに対策をとっていただくというのが一番大きなことになるかと思います。
ただ、今年は大塚製薬株式会社が熱中症予防の5ポイントというかたちのチラシを共同で作製していただきまして、市町村や町村会(後に削除)の方々に配布をして、特別に啓発活動を現在やっているところではあります。ただ、なかなか高温障害といってもいいべき状況でしょうか。あまりにも急激に暑くなったということで体のほうがついていかないという高齢者の方々がおられますので、ぜひ高齢者の方々にはこの高温について注意をしていただいて、念には念を入れて熱中症対策に力を入れていただきたいと思っているところです。いずれにしても社会福祉協議会など(後に削除)民生委員等々の関係の皆さま方にも合わせてより趣旨の徹底をお願いしたいと考えています。

幹事社質問
自民党国会議員の若手勉強会「文化芸術懇話会」での発言について

産経

先日、自民党の若手勉強会である「文化芸術懇話会」で沖縄県の地元紙など、いわゆる報道機関に圧力をかけるというような発言が相次いだのですが、その点についての知事の御所見を聞かせていただければ。

知事

よく「論語とそろばん」の渋沢栄一翁の言葉の中に、こういう言葉があるんです「異端を攻むるは斯れ害のみ」と、つまり元に戻ってくるという、「異端を攻めたりすると害はその人に戻ってくる」という話を論語の中から紹介をされております。要するに「自分の考え方と違う人などを攻めるとそのことは害につながる」と、良いことは一つもない。最終的には。こういう話を実は渋沢栄一翁の玄孫(やしゃご)にあたる渋澤健さんという元国際交流センターの理事長をなさった方のレターなどが良く送くられてくるのですが、この中でも紹介をされていたので、私も知事ブログで過去に2、3回紹介した時もあるのですが、非常に違う意見というのは大事だと私は思っています。そういう意味で「異なる意見があったら、けしからん」という発想ではだめだと思っています。政府を構成する与党というのは一種の横綱でありますので、横綱というのは受けて立って、さばいて、押し戻すというのでしょうか、それが横綱相撲と言われていますので、いきなり蹴たぐるとか猫だましをしてはいかんと、こんなところが自分の感想ですね。

その他
新国立競技場建設をめぐる問題について

日経

2020年東京五輪と2019年ラグビーワールドカップに関連して伺います。国立競技場の新競技場について事業費が当初想定をかなり上回る、当初の事業費がかなり乱暴に計算されていたのでないかという、また、その選定の過程において適正に選ばれたのかどうか疑問が生じてきたりしておりますけれど、19年ラグビーワールドカップでも20年東京五輪でも会場が埼玉県内にありまして、この両大会のシンボルとも言える施設に疑問が生じると、国民、地域の人も含めて大会の正当性とか盛り上がりの機運なんかにも影響があるように思えますけれど、この国立競技場をめぐる問題についての知事のお考え、思うところがあれば伺えればと思います。

知事

よく公共事業などで、企画段階では予算を小さくして途中で膨らんでくると、もう今さら引っ込むことはできないというかたちで予算が膨らむ傾向があります。よくとぼけて関係者が言います、揶揄して「小さく産んで大きく育てる」と。これは基本的には間違いだと思っています。正直言って、埼玉県でも埼玉高速鉄道などでは入り込み人数なんかを実際の4倍も5倍も立ててですね、従って当初から赤字鉄道となって苦しんだ経過がございます。とかく公共事業の、これは公共事業の全てとは申し上げませんが、国立競技場においても若干そのきらいがあるのかなと思わざるを得ないと思っています。ただ私も試算表を見たこともありませんし、計算表も見たこともありませんので、なかなか確たることを申し上げることはできませんが、諸外国と比べて7、8倍から10倍近く高くなっているということについての正当性をやはりきちっと説明しないと、今言われたように国民全体、これは東京オリンピックという都市の開催地の名前は付いていますが、間違いなく日本のオリンピック、そしてまた世界のオリンピックでもありますので、日本国民全体にも理解をしていただくというか、支持をしていただくのが大事なことだと思っています。かねてから経費を節減するために、バスケットボールをさいたまスーパーアリーナにだとか、あるいはいろんな競技を他県にも振るとか、予定以上に振る努力などをなさっておられることも事実ですので、そうした努力が無にならないようにしていただきたいと思っております。
埼玉県でもラグビーワールドカップの開催都市に熊谷市が決定しましたので、従来のラグビー場では受け入れができませんので、骨組みを残して改築するわけですが、まさしくこれも新築かというと、可能なだけ元のものを活かして経費ができるだけ安く付くようにという努力をするわけですね。そういうことが結果的には市民、県民の信頼を得て、熊谷の開催都市としての成功にも繋がると私は思っております。そういう意味で、せっかく既存のものを使おうということで、今回は東京都だけでやらずに周辺の近県の施設も利用されるという、非常になんと言うのでしょうか、私的に言わせると非常に良い試みをやってらっしゃるだけに、一番メインのスタジアムがそういうところで疑いを持たれると残念ですね。より正確に説明をしていただいて納得できるようなかたちをとっていただければありがたいと思っております。

ラグビーワールドカップの機運を高める取組について

テレ玉

今のラグビーのワールドカップに関連しての話なのですけれども、ラグビーというとどうしても日本ではまだマイナースポーツという印象が若干あるかなと思うのですけれども、そうした中で今後機運を高めていくために県として取り組んでいくことが何かあれば教えていただけますでしょうか。

知事

基本的には埼玉県ラグビーフットボール協会などが中心になって啓発していく。例えばサッカーのルールは知っているけれども、ラグビーのルールは知らないというのがあります。熊谷市に開催都市が決まったというお祝いの会がつい日曜日(後に「土曜日」に修正)にございました。私も出席してきましたけれども、まさにいかにして広く市民県民に広めるかということに関しての話題も出てまいりました。
これからそうしたメインとなる協会、また熊谷市の協会、県の協会、市の協会、そしてまたそれをバックアップする埼玉県、熊谷市などで何が一番ポイントになっていくかということをしっかり探って、その中身をきちっと決めたら、大々的にそのポイントを県民全体に知らせる運動を展開して多くの共感を得たい、こんなふうに思っています。今の段階ではまだ交通整理ができているわけではありませんので、整理ができ次第アピールしたいと思います。

前回の知事選での支持の依頼について

読売

前回の知事選で自民党から支持を受けたことについて伺いたいのですが。4月の定例会見で上田知事は過去どの政党にも支持の依頼は一切されていないというようなことであったと思うのですが、自民党の方に取材をしてみますと、知事の方から支持の依頼文が出ていると、前回の知事選の際に。支持をお願いしたいというふうな依頼文が出ていて、実際に残っていると。当時の新聞報道を見てもですね、役員会などに出向いて支持のお願いしたというふうな報道がありまして、実際にその事実関係をもう一度改めて伺いたいのですが。

知事

よく記憶はしておりませんが、基本的には私の記憶では「推薦をしたい」というお話があって、「推薦ではご勘弁願いたい」ということで、支持程度にお願いしたいということを言った記憶はございます、各党に。基本的には公認が一番重くて、その次は推薦で、支持と言うのは軽いということで。無所属の立場で戦いたいということでしたので。せっかくお話があるときに「いりませんよ」というほど、私は開き直った人間ではありませんので。ご推薦やご支持がある場合にはありがたいとこんなふうに思っております。それで、より軽いレベルにお願いをした、というふうに思っております。

読売

お願いをした結果知事の依頼文というかたちで出されたというようなかたちで…。

知事

そういう連合なんかもそうなんですが、こちらからお願いをするというかたちよりも、いったん支持をするとか推薦をするという話の時には、いくつかの団体では形式要件として文書を出してくれと、そういう話があるときは当然出しています。
例えば私の事務所とかあるいは後援会の皆さんとか私を支持する議員とかが各種団体を回りながら推薦状を持って、定型な推薦状をもって、今自民党がやっているようなかたちでお願いして回ったりはしておりません。基本的には支持していただけるということについてはありがたく思って、支持をしていただいています。ただし形式要件として書いてくれないとだめだとかというところには、当然そういう形式要件に合うような手続きをとらせていただく、そういうかたちです。

読売

あちらから推薦のお願いがあって「支持にしてほしい」ということで、支持を求めてその上で形式上紙として出さなければいけないということで紙を出された記憶というのはある…。

知事

よく記憶しておりません。そういう手続きは当時の特別秘書などがやっていた可能性がありますので、私自身は覚えておりません。ただ、古参の県議の方が私の方から推薦依頼をしたとかそういったことは無いと、私たちはよく覚えているということを聞いております。

2025年の人口減の問題について

毎日

知事が重要施策とされています2025年の人口減の問題について改めてお伺いしたいと思います。東京から人を呼び込むために周辺3県の中でどう差別化を図っていくか、埼玉県としてどういうブランド力をもって望んでいくかということについてお考えをお聞きしたいと思います。

知事

人口問題というのはゼロサムの世界ですよね、基本的に。どこかが増えればどこかが減るという。基本的にはそういう意味で自分のところだけが良い子になろうという考え方をするつもりはありません。基本的には首都圏全体が高齢化していく、そうすると首都圏のパワーが落ちる。まさに成長エンジンである首都圏のパワーが落ちることに課題があるので、首都圏全体の問題としてパワーが落ちないような工夫みたいなことは首都圏の課題として考えていかなくてはいけないので、埼玉県単体でやる場合もありますが、首都圏全体で考える部分もあるというふうに考えております。特に極端な差別化をしていこうというつもりはございません。むしろ共通な課題ですので、どちらかと言えば、例えば特別養護老人ホームなどは東京都だと100ベッドのホームをつくると100億円かかる。埼玉あたりとか千葉だと30億円で済むという世界ですので、そういう部分をどう今後東京都などと話し合いながら経費を少なくしながら、なおかつ皆さんが安心して、高齢者としての安心感を持てるような作り方ができるのかと、そういうのをやはり協議しなくてはと思っていますので、何か埼玉だけが差別化して良いとこどりだけをしてしまおうという考え方を持っているわけではありません。ただ、埼玉県は絶対そういうことに関して負けない努力は常にしていくつもりではいます。

毎日

それはどういったことなのか。埼玉に住みたい魅力、ブランド力はどこにあると思いますか。

知事

それは埼玉県の得意な関係団体と協力をしながら組み立てていくというやり方です。例えば医師会、看護協会、こういった基本的に関係のある団体と協議をしながら、例えば安心できる高齢化社会というのは何なんだということになると、一番良いのは訪問介護レベルですよね。保健師の皆さんたちが「どうですかお元気ですか」とまわって「元気ですね。特に問題ありませんね」と、「検診もちゃんとやってますね」というかたちで、皆が元気です、時々何かが起こったら「ちゃんと通院でそれはけりがつきますね」とか、通院でだめな時に「入院ができますね」とか、入院にしても通常の入院であれば良いんですけれども、非常に重いものだとか高度なものとかという時には、「ちょっと違った病院になりますね」とか、「そのエリアではもうとても受け取れないような、そういうものになりますね」とか、そういう全体のプログラムを、ネットワークを創って。それが正しく機能するように。例えば救急車の問題で埼玉県も失敗をしております、過去に。毎朝救急消防車に、救命救急の119番の車に、その日の朝の空き状況しか、それが一日通用するコピーですから、もう既に塞がっていたりして、たらいまわしみたいなかたちになってしまう。今タブレットで、今どの状況かというのが分かるようになってきているということで、そういうたらいまわしがどんどん減る。
それと同じようなことを基本的にはやっていかなくてはならないということです。それはやっぱり県だけの力ではできませんから、まさに医師会やあるいは看護協会等々と連携しながら、打ち合わせを丁寧にしながら、市町村単位で行いながらブロック単位で、あるいは県単位でという積み上げをやっていきます。そういうかたちで高齢者の安心ネットワークを創っていこうと。そういうことに関してはたぶん埼玉県は最も得意ではないかというふうに思っています。

熊谷市内の特別養護老人ホームで起こった事故について

読売

今月読売の報道で熊谷市の介護施設、熊谷市にあります老人介護施設なのですが、別の入所者の薬を飲ませてしまって死亡するという事案があったんですね。それで施設が会見を開いて、施設で新たないろいろな事故が起きているということが判明しました。介護施設での事故というのは、かなり水面下でいろいろと起きているという状況があるようでして、県として今後どういうふうにこの事故を防いでいくのかということについて知事としてのお考えを。

知事

あいにくその事故について、報告を受けた記憶があまりないですね。誤った薬を飲んだ?

(報道長から県の施設ではないという説明あり)

読売

そうですね。特養なんですけれども…。ただ、県の認可を受けて運営しているんですね。

知事

いつの話?

読売

発生自体は去年の12月。報道があったのが今月。

知事

ちょっとその話は私は報告を聞いてないような気がします。あるいは聞いたかもしれませんが去年のレベルだとかなり忘れている可能性があります。去年の事故であったら、ひょっとしたら忘れているかもしれませんので、あとで確認してお答えしたいと思います。

所沢市の育休退園について

埼玉

所沢市が第二子以降を出産した母親が育児休暇を取得した場合に保育園に通う0歳から2歳の上の子を原則退園させるという方針を打ち出しました。それに対して保護者は少子化に逆行して女性の社会進出を拒むなどとして市を相手に行政訴訟を起こしていますが知事のお考えをお聞かせください。

知事

所沢市の事件ですね。これは基本的に窓口の職員の知識不足だとか、何て言うのでしょうか柔軟な対応ができない方に課題が基本的にはあると思っております。所沢市が基本的に間違ったというよりも窓口のミスです(※下記の補足参照)。ただし、窓口のミスというのはやっぱり結果的には市長のミスになります、これはやむを得ないことであります。
基本的には第二子が生まれて自分でお育てになっておられるとき、「第一子もついでに面倒を見たらどうですか」という話はある話です。それで「分かりました」ということであればそれで済む話です。「いえ、いろんな事情がありまして、そういうわけにもいきません」という時には、当然それを窓口の方は配慮して受け止めることができるんです、本当は。それが窓口の方の認識不足と柔軟な対応ができないために結局見逃がして断ってしまったという例なんですね。それで保護者はこんなバカなことはあるかというかたちで、まさに少子化対策に逆行するような話ではないかということで訴訟を起こされたということでありますので、基本的には窓口のミスだというふうに私は理解しております。県の立場でも所沢市の立場でもちゃんとした人が対応すればきちっとできた話だというふうに理解しております。そうした申し入れをすることはするんですけれども、特別な理由がある場合にはそんなことはありませんし、きちんと引き続き園に預かることも可能です。
それからまた、一旦ご家庭に戻してもまた元に戻ることが可能なのかどうかということについてのご心配についても、100パーセント保証できるのかという話になってくると、役所的には100パーセント保証する努力をしなくてはいけないんです。ただ、窓口の方の物の言い様によっては「100パーセントという保証はできませんよ」なんていうことを言う可能性があるんです。でも手続き上はそうするんです。でも「何がなんでも100パーセントできるんですか」と突っ込まれたときに、たじろぐ人もいるんです、一般的に。その時に「100パーセントできるとは限りません」なんてうっかり言ってしまったら、まさにそれはまた間違いになってしまうんです。当然また元に戻す努力をするんですと。もし、万が一そういうことが可能でなかった時には次善の策もあるわけですから。それをきちっとお示しすれば済むわけですから。100パーセントというような言葉を言われたときにたじろいで、「いやそれはできません」と言ったらまさに約束事が消えてしまうんですね。それは時々県庁の窓口でもそういうことが起こります。生真面目な方など、そういう方がそういう返事をなさったりされる場合があります。窓口がきちっとした対応をすることが非常に大事ですので、今回の事件は極めて残念。むしろ窓口の説明がきちっとできなかった。所沢市全体の説明が必ずしも丁寧でなかった。これに尽きると思っていますので、ぜひ今後も所沢市は丁寧な説明をして、保護者の方に納得していただきたいというふうに思っております。

(※後に補足)

・窓口職員の対応については、担当職員個人が対応のミスをしたということではなく、所沢市の担当課が単に文書を送付するだけではなく、きちんと相談に乗り、丁寧な対応をするべきであったという趣旨である。

・所沢市は、個々の保護者の希望や子供の状況を踏まえつつ、市の考え方を丁寧に説明し、対応をすべきであったと考える。

「稼ぐ力」が衰えている自治体への支援について

毎日

昨日の公約発表の絡みで恐縮なのですけれども、2025年問題についてなんですが、県内にはニュータウンなどを抱えて、高齢化率が極端に高まる自治体になると思います。そうした自治体の若年層が減るということで「稼ぐ力」というのも衰えていくと思うのですが、そういう自治体を県として重点的に支援する考えはありますでしょうか。

知事

はい。基本的にはご承知の通り地方交付税という枠組みがあって、自主財源が弱い所には、そういった地方交付税が補填されながら均衡化されていくというのが基本的にできております。仕組みの中で。まあその上で、そのエリアにおいて何ができるかっていうことを、やはり市町村単位で考えていくということが大事で、そういう組み立てこそが今回の地方創生の第一義的な目的なんですね。それぞれの地域にあったものをどう作るかという。そういう仕掛けをそれぞれの市町村でやっていただきたいと思いますし、ただ、案外その市町村で物事を考えていると見えなくなったりする場合がありますので、現在県はそれぞれの市町村のご要請も受けながら関係課員がみんな打ち揃ってその会議に先般はなんか秩父には一泊泊まりで関係の課長さんたちが議論しに行ったそうですけれども、まさに他人から見た時どういうものがあるのかとか、そういう目線をやはり支援をするというかたちで組み立ての段階でも支援をさせていただく。実際、稼働する時にもまた支援をさせていただくとか、そういうものをしたいというふうに思っています。特に町村レベルでは全体の予算額が小さいもので、町が持っているお金、それから地方創生で来る交付金、プラス県のふるさと創造資金など3つ合わせると結構膨らんできますので、そういう組み合わせ方などをやはり県としては支援をする対象にしたいと思っていますし、そういうのが有効なのかなと思っていますので、そういうアイディアを提供したいというふうに考えています。

毎日

それは、例えば一つの自治体があって周辺自治体と連携しての取組をコンサルティングするというような…。

知事

はい。今たまたま出したのは、一つの市町村の話などをしましたけれど、物によっては連携もあると思います。その郡市でやっていこうとか。それはあると思います。

所沢市の育休退園について(2)

朝日

先ほどの所沢市の事例で、改めて知事のお考えをお伺いしたいのですけれども、所沢市では育休の際に退園させるっていうのを今年の3月にそのような通知を出しているっていうような話があって、我々の取材とかでも窓口のミスというか、市としてそういう方針をとっているのではないかというような、我々そういうような認識をしているのですけれども、知事としては窓口がそういうミスをしているのではなかろうかという認識でしょうか。

知事

はい。私は政府もそういう通知を出しておりますし、そういう通知を金科玉条に扱っている人たちもいる。しかし、この通知そのものは元々そういう原則はあるけれども、例外的なものもあるということが含まれているやつなんですね。そういう理解に欠けている窓口の方々がいた。またそれを正しく指導しきれなかったラインもあった。そこにやはり例えば窓口でそういうもめ事がある時に、担当の課長さんなんかが「どうしたんですか」というかたちで来て、「いやいやこれは緩やかな話なんだから、ちょっと待って」とお話をもうちょっと丁寧に聞いて、「大丈夫ですよ」とかっていう話ができたと思うんですね。ラインの長なんかがパッと来れば。それを窓口の人だけで片づけたりするとそういうことが起こったりするのですが、まあ往々にして課長は課長でたまたま不在であったとか、そのラインの長がたまたま他の事をやっていたとか、そういった時にそういうことが起こっていると思いますので、私は通知を金科玉条に所沢市がやっているというふうには思っておりません。市長の話が基本的には正しいと思っています。考え方は正しいと思っていますが、運用の部分で失敗している。そしてなおかつそのラインの人たちの正しい指導も十分でなかった。まさに説明が不十分であった。こんなふうに私は思っています。通知の段階でもですね。

朝日

今、知事が「所沢市長のお考えは正しいと思っている」っていうことをおっしゃったかと思うのですけれども、その市長が正しいと思う部分というのはどういう部分ですか。

知事

いやいやいや。この通知に関する考え方です。通知が金科玉条の話ではないということです。柔軟に対応ができるということについての考え方を市長も言っておられますから。その部分は正しいと言っているんです。

鳥獣保護法の改正について

埼玉

鳥獣被害の問題のことでお伺いしたいのですけれども、国の法改正に伴って、民間企業とかあるいはNPO団体などが捕獲できるという、都道府県のこれ認定になると思うのですけれども、埼玉県でも例年のように町村会から鳥獣被害の対策を求める要望なんかも出ていまして、ハンターも高齢化しているというところで、知事としては埼玉県に鳥獣被害を食い止めるための民間企業の力を借りるということの是非に関してお伺いしたいのですけれども。

知事

とても良いことだというふうに思っております。実は関東知事会で捕獲の方法についての知恵をみんなで出し合うことで一致しまして、現在いろいろな捕獲の方法についてのいいものをそれぞれが取り扱うような情報交換をさせていただいております。今回、民間の警備会社などが罠を仕掛けて捕獲をすることができるようになった。これが、群馬県なんかでの成功した事例でございます。埼玉県には残念ながらまだ民間の警備会社などが、罠を仕掛けてやるというような受託事業をやった例はございません。従いまして、今回、正式に国の方が受託事業として民間がそうしたことをすることについて、許可をするという。今まで許可無しでやっていたわけですけれども、正式に許可をするというかたちになったので、例えば森林組合の皆さんなんかも場合によっては働きかけができるのかなと。こちらの方で罠の道具を用意をして、森林組合の皆さんたちは山林管理のためにずっと(森に)入っていかれますので、その時に仕掛けもしていただき、なおかつ回収もしていただくとかそういうことが可能なのかなと思っております。ただこれはまだ思っているだけですので、今後森林組合の皆さんなんかに、こういうことが可能かどうかを呼びかけて、一番今考えられる速い方法というか、アプローチできるところはそんなところかな。もちろんこれから民間の群馬県の事例などを研究して、民間の警備会社などでそういうことが事業としてペイできるのかどうか。それもやはり確認して、より鳥獣被害を少なくする動きを作っていきたい。こんなふうに思います。

介護人材の確保について

読売

老人介護施設の関連なのですけれども、昨日知事が公約を発表されて、「定員を2万人増やします」ということをおっしゃったのですけれども、よりもっと深刻なのが介護人材の確保だと思うのですけれども、これどういうふうに確保していくのか。今不足は将来的に3万人、4万人不足すると言われているのですけれども、この不足分をどういうふうに解消していくのか、というのは今お考えは。

知事

基本的には、ニーズのあるところに人は育つという部分がございます。ニーズがあれば当然そこに向かっての市場が形成されるというかたちになります。ただ、介護人材が定着度が悪いというものは、明らかであります。それは2つ理由があります。新しくどんどんできるので、より熟練された方が引き抜かれていくという。この課題が一つ。もう一つは介護報酬の費用が非常に安いということで、結果的にそれが給料に響いて、介護の方々が給料が低いということですので、景気が良くなったりすると他の分野に人が流れてしまうということでありますので、当然ニーズのあるところに人は育つわけですけれども、ニーズがあることははっきりしておりますので、そのニーズを支えるだけの待遇をきちっと国の制度の中において介護報酬制度をきちっとやはりやっていくこと。これはやはり全国知事会あるいは他の6団体などを通じてきちっとこの部分をしていかないと、せっかく器はできても人材はいない。ニーズは十分あるわけですね。そしてそのニーズに応える人材というのも一般的にはでてくるんですね。ニーズのあるところには人材も育つのが世の中の市場原理ですから。問題はそれが定着するかしないかとか。そして若干引き抜かれて熟練の人たちが新しくできたところに持って行かれるとかこれはある程度やむを得ないんですが、少なくとも中途でやめていくとか、他の分野の方に行かれてしまうというのはやはり残念なことですので、そういうことのないような報酬体系などを、これをやはりやるべきだと思っています。これが一番だと思っています。

産経

その報酬体系っていうのは国がやるべきという…。

知事

基本的には介護報酬が決まっております。で、埼玉県なんかでは報酬の体系なんかをこういうふうにしたらどうですかというものをガイドラインを作って、それをお配りして、それに準ずるようなかたちでだいたい8割ぐらいやってくれているんですね。だからいくらかマシなんです。その中でも。ただ、やはりまさにある意味では気力で頑張っているようなところがありますので、やはり気力だけでは長続きしませんから、具体的な報酬で繋がるようにするには、制度の改正しかないと思っています。ただ嫌がっています。やはり予算がどんどん増えていきますので、国としてもですね。だから「稼ぐ力」が必要なんだと私言っているわけですけれども。

安保法案に対する国民の理解について

朝日

以前、この会見で新しい安全保障関連法案のことについて伺ったかと思うのですけれども、1ヶ月ほど前に伺った際はちょうど審議が始まったばかりで、「まだ国民の理解も広がっていないのではないか」ということをおっしゃってたと思うのですけれども、自民党、与党は明日にでも採決するのではないかというような動きになっていますけれども、この1ヶ月経って、審議時間も100時間を超えているとかありますけれども、知事のお考えとして、今国民への理解というのは進んだと思われていますでしょうか。

知事

そうですね。十分進んだというふうには思っておりません。非常に熱心な議論をしていただいていることは事実だと思っています。論点も相当でてきているというふうに思っています。ただそれが、国民が納得できるようなかたちでの理解なのかということについては、私は不十分だというふうに思っております。基本的に新しい考え方を出してくるわけですから、これは非常に大事な事だというふうに思っていますから。もっと審議をしてもいいのではないかと私自身は思っています。

(終)

知事記者会見テキスト版 平成27年6月15日

録画を見る(約30分)

平成27年6月15日(月曜日

知事発表

平成27年6月定例会付議予定議案

平成27年6月定例会付議予定議案についてのパネル(PDF:783KB)

知事

こんにちは。今日は、平成27年の6月定例会付議予定議案について発表をさせていただきます。招集日は6月22日。議案は14件ございます。予算で1件、条例で11件、専決処分の承認で1件、損害賠償1件。主な内容は後ほどまたご説明したいと思います。そして報告は、予算の繰越報告や専決処分報告など、あるいはまた公社等の経営状況の報告など39件ございます。

補正予算でありますが、一般会計では5,275万4千円。補正後の累計では1兆8,290億5,075万4千円になります。内容は、ラグビーワールドカップ2019の開催で、開催地としての負担金が3億円要求をされているところでございます。これを開催市であります熊谷市と折半で1億5千万円ずつ負担をしますが、3年間の支払いになりますので、1年度分として5千万円。そして1億円、残りの2年間分ですが、債務負担行為を設定させていただきます。それと、イングランド大会におけるPRコーナーというのが設定されておりまして、この部分に関してもブースなどが、我々の方に用意されていますのでこれのアピールなどの予算として、これもまた熊谷市と折半でありますが、275万4千円の負担金を予算として設定しております。

このラグビーワールドカップ2019でありますが、ご案内の通りちょうどオリンピックの前年度に日本で開催されます。全国12の試合会場があり、48試合、世界の強豪チームを中心に20か国の代表チームが出場をいたしまして、9月、10月の間試合を行いますが、県営熊谷ラグビー場で実施をいたしますが、ご案内の通り、高校のラグビーでは「西の花園」、大阪ですね。そして、「東の熊谷」と言われるぐらいの名門でもございますが、この熊谷ラグビー場で世界水準のワールドカップが行われるというかたちになります。この大会での主な中身になりますけれども、実は第7回のニュージーランド大会、イングランド大会の前ですね。この時のテレビ放映地域というのが、207の国と地域。テレビ視聴者数が延べ40億人。観戦入国者数が13万3千人。経済効果が米ドルで換算して、6億2,500万ドルということでございますので、大変世界的には注目されるものだというふうに理解を賜りたいと思います。

そこで、先ほどもご案内がありましたように、イングランド大会において、開催都市のエリアということでジャパンパビリオンに設定していただきまして、日本紹介のブースをそれぞれつくっていただきます。そこで、開催都市エリアで12都市の魅力をPRするということで、埼玉県と熊谷市がその一部を使ってしっかりアピールする機会をいただく。その予算が先ほど申し上げましたように、275万4千円の予算になるわけでございます。

条例の一部を改正するものの中で、県西南部地域に新たな特別支援学校を開校する中身がございます。「埼玉県立入間わかくさ高等特別支援学校」でありますが、28年4月から開校であります。旧入間高校をリニューアルして活用いたします。対象は知的障害のある高等部の生徒であります。埼玉県では、普通科と職業学科を初めて併設したかたちになります。今までは一般的には普通科のみとか職業学科のみとかというかたちですが、併設したかたちになります。しかも、この特別支援学校での学習環境というのが非常に充実しておりまして、職業教育への高いニーズに対応しようということで、いろいろな職業教育を展開させるようなかたちにしているところであります。特にこれから様々な障害がある方も就労ができるようなかたちをしっかりつくっていくというのが大きな課題になっておりますので、その点に大きなポイントを当てているところです。一方、バスの屋根があったり非常に障害者のためにいろいろな工夫がされた学校でもあります。例えば、雨の日でも濡れなくて、バスから降りられるとか、そういうことが可能だと思いますし、また高等部だけでありますので、例えば小中が併設されていると帰る時間帯などが比較的早めに用意されたりする訳ですが、例えばいろいろな職業教育をする過程の中で時間を延長する場合。少し、高等部ということですので遅くバスが帰るとか、そういうことも可能だと。これが、小中学校が一緒であればどうしても帰る時間を一緒にしなければならないということで、研修・実習の中身が少し薄くなったりするということもありますが、高等部だけですのでそういった高いレベルの訓練ができる、あるいは実習ができる、勉強ができるということになります。こんなところが今回の6月定例会における付議議案でございます。あとは比較的、専決処分であるとか、公社等の経営状況の報告とかでございますので、これはまた委員会レベルでしっかりまた議論をしていただく内容になるのかなというふうに思っていたところでございます。以上です。

日経

一点お尋ねいたします。6月の付議予定議案に関連して、付議されていない議案について、ちょっと1個確認させてください。知事の任期に関する条例、通称「多選自粛条例」と言われているものについては、記者会見等でも何度か質問がありましたとおり、6月議会に廃案として議案を出されるのかどうかという議論がありましたけれども、今回正式に予定議案の中には入っておらないということで、もう出されないということでよろしいのか。

知事

そういうことで。はい。

テレ玉

「入間わかくさ高等特別支援学校」の新設というかたちなのですが、直近で新設された特別支援学校がいつできたものであるのかというのと、あと新設する背景とか、まあ設置の目的という部分で書いてある部分もありますけれども、例えば利用する児童・生徒、障害児の増加等々の背景などについてあればお聞かせ下さい。

知事

「入間わかくさ」の前は、平成25年に草加かがやき特別支援学校が設立されております。それから、今後特別支援学校の関係で言えば、これまで常に増加する傾向にありまして、草加ができた後も、県西南部において十分カバーができなかったのですが、この入間ができることで、大体カバーができるような状況でございます。今後、必要になればまた改めて検討しなければならないと思っております。そして、また中身でありますけれども、まさに中身はいかにしたら就労が可能になるかというところに大きく重点をして、以前はやはり学園生活をしっかり楽しんでいただくというか、しっかり充実させていただくというのが大きな課題でもあったのですが、プラス就労支援というのでしょうか。こちらの方に大きな役割を満たすようなかたちで付加されてきているところが特色だというふうに思っております。

幹事社質問

県の個人情報の管理体制について

日経

日本年金機構で大規模な個人情報流出事案が発生しておりまして、みんなが閲覧できる共有サーバーで膨大な個人情報を扱って、さらにパスワードがかからない状態で保存されているとか、管理体制にかなり問題があるような指摘がされておりますが、県も納税情報をはじめ、医療等でかなりデリケートな個人情報も多く扱っていらっしゃいますけれども、今回の問題を受けて、同様の管理に問題があるような事案があったのかどうか。もしくは今回の事案の発生後に何か対策を取られているような場合があったのかどうか伺えればと思います。

知事

いわゆる住民基本台帳に基づく基本4情報、あの問題が出た時に、私は反対の立場でおりました。で、こういう立場で知事になりました。県は廃止したり、中止したりする立場になくて、繋ぐ、接続する立場でありましたけども、やはりセキュリティーが大事だということで、当時、徹底的にセキュリティーをやろうというかたちで、市町村のセキュリティーまで、こう言ったら大変恐縮ですが、一応見学に県の職員が回りまして、例えば、鍵の置き場所がどこになっているかとか、いろいろ見て回りまして、若干余計なことですが、アドバイスなどもさせていただいたりして、チェックをさせていただくことがございます。そういう体制にあっても過去に全く問題がなかったかというと、USBメモリーが紛失したこともあります。しかしそれが故に何か不審な電話があったとか、何かそれによって被害が出たということはたまたまありませんでした。ただ、平成25年度に(後に追加)紛失したことは1件ありました。それからメールの誤送信が3回過去(後に「平成26年度」に訂正)にございます。そういうことはありますが、それも被害そのものは、当然追いかけたりしてチェックをしておりますが、今まではなかった。ただ、今までなかったからこれからもないかというと、やはり、それは慎重にしなければいけないと思っておりますので、例えば、USBメモリーは現在使用できないようにしているかたちを採っておりますし、もちろん、パソコン等々を自宅に持込みとかそんなこともできません。そしてまた、ウイルス感染による個人情報の漏えいとか、こういったものも過去に発生しておりません。でも、絶えずセキュリティーに関しては「これでもか、これでもか」というチェック体制を採っていく必要があるというふうに思いますので、事件が起こるたびにそういう類の部分で、もう一回おさらいをするというようなことは、常にやっていかなければいけないと思っております。

日経

今回の問題を受けて、来年から始まりますマイナンバー制度の運用をもっと慎重に考え直したほうがいいのではないのかという意見がありますが、冒頭にもあったように、基本4情報のときと同じで、国民全体のメリットと安全性のバランスの問題だと思いますけれど、マイナンバー法の運用も今回の6月議会の付議議案の中にも、運用法の条例が入っていますけれども、マイナンバー法は予定どおり施行されるべきなのか、それとももう一回考え直したほうがいいのか、知事のお考えがあればいただければ。

知事

基本的には国会の中で議論されて、この法案として提出されて、成立を図るべく政府として努力をされている。そのことについて、こちらでダメだとかという話ではないと思っております。優れた部分があるのは事実です。ただ、一方、ひとたび漏えいしたりすると大変な被害が起こるということは、今回の年金機構の事件でもしかるべきですので、問題はセキュリティーが二重三重四重にチェックされるかどうかです。この部分を丁寧に議論していただいて、かりそめにも事故が起こらないように、仮に起きても被害を最小限度に食い止められるような危機管理になっているかどうか、その辺をやはりきちっと議論してもらいたいと思います。ただ、技術論として、国会議員の皆さんがそういったところまで細かく分かるかという話になってくるとなかなか難しいと思いますので、是非委員会等でその手の専門家を入れて、どういうことが想定されるかなど、現場検証みたいなことをやっていただきたいなというふうに思っております。

その他

知事選出馬について

産経

知事選の関係ですが、今週発表されると、進退発表されるということですが、現時点で状況どのようになって、ご心境等、何か伺えれば。

知事

特に変わったことはありません。できるだけ、今週は今週ですが、可能なだけ早くと思っております。

不登校対策について

テレ玉

不登校対策として超党派の議員連盟がフリースクールなどを公式に教育の場として認めるという法案を今国会で提出するということなのですが、これについて知事としてはどういう見解を持ってらっしゃるのか、あとは課題があればどういったことがあるのかという知事のお考えを伺いたいのですが。

知事

本来はということで言えば、学校という大きな組織だというふうに私は思っています、フリースクールと比べると。例えば中学生なら中学生を一つの対象としますけれども、小学生も不登校はいるわけですが、中学生を対象とすると一般的に言うと仮に10人不登校がいると、その10人のご自宅に担任の先生なり、関係の先生なりがお尋ねをして子どもたちに「ちゃんと学校に行こうよ」という誘い掛けをすると大体半減すると言われています。それはたまたま親が甘かったり、本人が甘かったりして、あるいは友達の誘い方に課題があったりして、半減すると言われています。そして、ただ残った半分に関しては非常に家庭環境だとか周辺環境、そして本人の過去の課題とか非常に困難なので、通常の担任程度では間に合わないようなところがありますけれども、私はその半減できる各訪問、例えば埼玉県もそうですが、かつて平成18年に私は市町村別に一覧表を作りました。100人のうち何人出現しているかということで。一番多い市で7.6人というのがありました。そのデータをその市町村の教育委員長と教育長にお渡ししたら、トップの1位、2位のところは翌年ほぼ半減しました。つまり、そういう状況になっているということすらも知らなかったということで、教育委員長も教育長も、たぶん教職員の人も知らなかった。やっぱり事実をしっかり見て、「何人この学校に不登校がいるのか」、「なぜ不登校になっているのか」、「実際に担任が訪ねたのか」、担任以上にそういうことが得意な教頭先生がいるとかあるいは他の先生がいるということがあればその方が訪ねるとか、そういう努力をすれば私は半分は救える。まずは極めて短期的に、よく次の日から5人とか6人とかの友達が誘うとか、そういうことをまずやる。そして、残ったいろいろ困難なものに関してはまさにいろいろな総合力でカバーしていくということを、埼玉県では平成18年からやり始めました。当時ワースト8でしたけど、25年度でベスト8まで現実に来ています。そういう対策をきちんとやっているからです。

問題はこのフリースクールなどで受けていただいて、この感性というのでしょうか、フリースクールの指導者の先生の感性とその子どもの感性と、あるいはご両親だとか家庭ともうまくいった場合なんかは非常に効果があったりします。人間はお互いに引き合うものとか、なかなか引き合わないものとかあったりしますので。ただ学校は大きな組織ですので、たまたま担任とうまくいかないからと言っても、そうではなくて他の先生もいらっしゃるわけですから。何のために主任がいたり、校長がいたり、教頭がいるのかというのを考えれば、そういう人たちも出張って、できるだけ学校という大きな広場で受け止めていく方がより大きな人間関係とかを作れるし、ミニ社会ですので、学校だって。フリースクールが悪いということではありませんが、やっぱり小規模であることは間違いありませんから、フリースクールを否定的に捉えているわけではありませんが、それを肯定的に固定化するというよりかは、やっぱり学校の方の課題をしっかり正すことの方が重要だと思っております。過渡的にはそういうフリースクールを活用されて、引き戻すと言うのでしょうか、そういうことは重要だと思っております。以上です。

熱中症対策について

熱中症対策についてのパネル(PDF:557KB)

埼玉

今年度に入って早くも200人近くの人が熱中症で搬送されていますが、県としては市町村と連動したかたちで、何か今夏から取り組むなどのお考えはあるのでしょうか。

知事

(持参したパネルを持ちながら)相当今年は厳しいと思っておりますが、例えば熱中症予防の5つのポイントというのがあるのですが、高齢者の方は比較的我慢強いもので、案外エアコンがあってもエアコンを使わないとかそういったことがありますので、上手にやっぱり使っていただきたい。例えばもう28度超えたら使うとか、28度でなくても湿度の高い時は使うとかですね。仮に温度が上がっていても涼しい風が吹いている時はそうでもないとかはあると思いますが。それからやっぱり天気予報などもよく注意していただいて、あらかじめ備えていただく。それから水分はこまめに補給すると。「どうも調子悪いな」と思ったら、遠慮なく病院に行くとか、なんらかのかたちで対処する。また、隣近所にもやっぱり気を使うという、こういうことがポイントですが、このチラシを15万部、ポスターを1,000部作成して、26年には3万部だったのですが、今年は15万部スポンサー付きでチラシを作成して、多くの世帯に、特に民生委員の皆様などを通じて高齢者のいるところに重点的に配布していただくことを考えています。あと「まちのクールオアシス」ということで協力施設があります。コンビニだとか、あるいはちょっとしたお店だとかそういったところで現在1,473か所だったのですが、今度は2,000か所に拡大しました、今年度27年度でですね。そういったところにも実際はこういうマークがありますので、そういったところに遠慮なく行っていただいて涼んでいただく、ちょっと疲れたなと思ったらですね。そういうことをアピールして行きたいと思っています。とにかく、死亡者の数が年々減って来ている傾向にありますので、今年は厳しい暑さですが何とか熱中症による死亡ということがないようにできるだけ努力して行きたいと思っております。

浅間山の噴火への対応について

埼玉

長野と群馬県境にまたがります浅間山の関係でお伺いしたいのですが、今の噴火の警戒レベルが2という状況ですけども、過去には噴火の際には埼玉の広範囲に火山灰が降ったということがありましたけれども、地域防災計画などにも火山灰の対策は盛り込まれているとは思いますが、何か既に知事として指示されていることがあるのか、また対策などをお考えなのかどうか、ありましたらお願いします。

知事

まさに想定外の大雪がございました。また竜巻もありましたので、防災計画の中にこの噴火による降灰を想定に入れました。そして、その対策を8つの事象として捉えています。例えば、大気汚染、粉じん等のですね、それがどう健康に影響を与えるのか、あるいは農林業被害はどうなるか、それから道路、下水、河川、県営水道。もう一つは降灰そのものをどう処理するのか、また災害廃棄物をどう処理していくのかという8つの事象に分けて、起こり得るということで対策準備をさせていただいているところです。指示をしたというよりも、もう既にこのことはマニュアル化しているところです。したがって、今後そういったことが起こればこういうマニュアルに従っていくわけですが、いかんせんマニュアルですので、実際どこまで本当にできるかということはまだ予断を許しません。ただ言えることは、より早く気象庁などでその可能性についての予見を発表してくれないと、我々はどうにもならないということになりますので、やはり政府においては気象庁の総力を挙げて、このレベルの段階である意味ではきちっと私たちに分かるようなかたちでご連絡をいただきたいというふうに思っております。それが一番のポイントだと思っております。「備えあれば憂い無し」ということですので、いきなりというよりかは今みたいに「レベル2になりました」、「3になりました」、「4になりました」と言ったらこちらもその対策のレベルを上げていけばいいわけですから、そういうことをやっていただきたいなと思います。間違っても、いきなりポンッと出て来ないようにしてもらいたいなと思っています。

(終)

知事記者会見テキスト版 平成27年6月9日

録画を見る(約31分)

平成27年6月9日(火曜日)

知事発表

国の交付金を活用したプレミアム付商品券について

国の交付金を活用したプレミアム付商品券についてのパネル(PDF:1,557KB)

知事

今日はマル得な話です。国の交付金を活用したプレミアム付商品券について、県民の皆様にご案内を申し上げて、そして、できるだけ活用していただいて、楽しんでいただきたいと思います。埼玉県の関わりでは2本ございます。埼玉O・MO・TE・NA・SHI(おもてなし)物産観光券。目的は、県内外の観光客による消費喚起、物産観光関連事業者の活性化に、発行総額9億円を使って役立とうという話が1本。そして、「近いがうまい埼玉産」県産農産物プレミアム付商品券。俗にいう県産農産物の販売促進、農産物直売所の活性化につながるようにしていただこうということで、簡単にいうと、元々直売所は安いわけですけれど、更にもっと安く買えるというかたちで、発行総額24億円。この2本が埼玉県の関わりでございます。それぞれ、ご説明したいと思います。

まず、埼玉O・MO・TE・NA・SHI物産観光券でありますが、4,000円で5,000円分の利用が可能、1,000円券が5枚ですけども、4,000円で買える。プレミアム率が25%あります。発売期間は6月15日から12月31日までということであります。売り切れ次第終了。埼玉県物産観光館そぴあ、ソニックシティの2階にあるところであるとか、ホテル、旅館、あるいは主要旅行会社等520か所で販売をしております。ただし、全国のローソンでも本日6月9日から先行発売をいたします。もちろん、ローソンの分は全体の枠では小さいわけですけれど、全国でも買える。利用期間は6月15日から来年の1月31日までということでございますので、使わないと損をするというかたちになります。利用施設はいっぱいあります。例えば、そぴあでお土産を買うとか、県内の宿泊所、レジャー施設、飲食店、物販店、あるいはローソン等約1,100か所などいろいろな所でも使うことができます。(パネル(2)を指しながら)こういった所で利用が可能でございます。県内のローソンでは本日6月9日から利用が可能となっております。ローソンで物産観光券を買って、そのまま使えるというかたちになります。そしてその物産観光券でありますが、県内455店舗のローソンで県産品を販売しておりますので、それが可能だということを先ほど申し上げました。一方、神奈川県などと連携して、物産観光券の販売を促進しております。これは7月からであります。県外の物産観光展で販売キャンペーンを実施してまいります。例えば、富山の駅でとか、函館の駅とか、東京、大阪などで埼玉の観光アピールをしていくというかたちで、多分お互いに乗り入れになると思いますが、そういうかたちでキャンペーンをしてまいります。さらに大手旅行会社と連携した県内ツアーを販売したりしています。こうしたものにもこのプレミアム付商品券が使えるということでありますので、是非楽しんでいただきたいと思います。

さて、県産農産物のプレミアム付商品券でありますが、県全体の農産物直売所で利用できます全国で唯一のプレミアム付商品券というかたちになります。5,000円で購入したものが、6,000円分のお買い物になるということです。一冊500円分が12枚、40万冊発行でございます。先ほども申しましたとおり、24億円発行となります。まず、7月1日から7月10日まで第1次申込みをいたします。こちらの方はホームページもしくは専用ハガキで申込みをしていただいて、多分に、抽選になることを予想しております。7月30日から8月10日までに第一次販売を行って、JAの支店だとか農産物直売所で、当選メールやハガキを持ってきていただいて、このプレミアム付商品券を買っていただくというかたちになります。有効期間は8月1日から来年の1月31日まで、基本的には農産物直売所であれば、大体埼玉県内であれば買えるということであります。JAの直売所が86か所、JA以外の直売所が31か所、どこでもOKということになります。JAでは農産物直売所の新たなファンを獲得しようというかたちで、日本最大級のデジタルチラシ「Shufoo!(シュフー)」の方にもPRを兼ねて載せていくことが予定されています。また、上野駅、池袋駅で、埼玉に関わりの深いメインターミナルにPR部隊を派遣して、これはJAがやるわけですが、チラシの配布やミニコミ誌の活用などを行っていく。で、東京都民にもPRするというかたちをとります。さらにメールやホームページで旬の情報を随時発信して、リピーターを獲得していこうということでございます。ご案内のとおり、埼玉県は農産物の販売、生産額(後に「野菜の産出額」に修正)が全国6位、本当に近場においしいものがたくさんありますので、是非、「農産物 商品券 埼玉県」というものを本日開設のホームページで検索していただければ。専用ハガキは6月27日以降、応募ハガキ付チラシをJAとか農産物直売所とか県地域機関等に幅広く設置しておりますので、ご活用していただきたいと考えているところでございます。以上でございます。

日経

冒頭の発表について伺います。プレミアム付商品券ということで過去何度か埼玉でも埼玉以外でもやられたことのある景気刺激策ということですけれども、知事が今おっしゃったように、期限付きで商品券を使わせるという手法が、ある一定期間の需要を創出する効果があるのだろうと思う一方、需要の先食い効果であったり、期限が終了した以降の経済的効果というものの持続性のない結果として、数年ごとにこういう政策が提起されているようにお見受けしますけれども、このプレミアム付商品券の持続的な効果とか経済効果について、知事はどういうふうにお考えになっているか伺えればと思います。

知事

そもそも、国が地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金という制度を創って、その交付金を都道府県や市町村に渡すという仕組みができあがりました。私たちが考えたのは、今言われたように需要の先食いの傾向だけは間違いなくある。それは一定程度認めた上で、リピートしたり、あるいはまたこれをきっかけに新しい消費喚起に繋げるとか、何らかのかたちで継続性に繋がるようなかたちでやらないと、意味が無いとは申し上げませんが効果が薄い。このことを一生懸命現場で考えていただいて、一つは分かりやすい事例で言えば地元のスーパーや八百屋さんでお買物をされている方々が、結構近いところに農産物の直売所もありますよ。少し時間のある土曜日だとかそういう日曜日なんかスーパーではなく直売所を覗いてみたらどうでしょうか。「意外にいろんなものがあるね」とある意味ではファン層を獲得するとか、新たな顧客を獲得するというかたちでそれがきっかけになる。もし、このプレミアム付商品券が無ければ、そこまでの動機付けができないかもしれませんが、スーパーで買えば仮にホウレンソウが一番高いレベルの時は200円ぐらいするわけですが、これが20パーセント引きの160円で買えるとか、「じゃ」ということで直売所に行くと、実は他にも新鮮な野菜があって、八百屋さんに無い物、スーパーに無い物が見つかったりして、意外な展開が始まるというかたちで、そういう効果を狙いましょうというのが例えば農産物プレミアム付商品券の中身が、JA全農さいたまと協力しながら、中身を詰めてきたところでございます。

また観光物産に関して言えば、やっぱり埼玉に例えば「川越があるよ」というぐらいは何となく分かってきている。「秩父があるよ」というのは何となく分かってきている。じゃあ足を運ぶだけのインセンティブが神奈川の方にあるかどうか、というのには多少疑問はあるけれども、埼玉で発行するもので25パーセント引き(後に「20パーセント引き」に修正)になるわけですから、じゃあ思い切って長瀞に行ってみようかとか、あるいは秩父の温泉やホテルなどに泊まってみようかとか、こういうインセンティブになるわけで、行ってみればまた違う魅力を発見していただいて、リピーターになっていただくという。

基本的には次の展開を考えるというのを目標にしておりまして、例えば私に言わせると「しゃくし菜」などは野沢菜だとか、高菜などが比較的全国ブランドではあるのですが、決して高菜や野沢菜に負けない、チャーハンにしても美味しいし、酒のつまみにしても美味しいし、お茶を飲むときでも美味しいし、そういう新しい商品を観光をしながら見つけていただくという。そういうことが可能になるような仕掛けというのをこの中に含ませているつもりでございます。極力埼玉の魅力を発見できるような、そういう場所にどんどん行っていただく。例えばイチゴ狩りを秩父でやる。あるいは梨狩りを何らかのかたちで梨の産地神川でやっていく。そういうことをやりながら、宿泊も可能にしていく。これもやっぱり25パーセント引き(後に「20パーセント引き」に修正)だからこそ、場合によっては今まで出かけたことにない埼玉にという、そういう誘発効果を狙って、決して需要の先食いにならないような、そういうことを意識したつもりであります。

幹事社質問

介護施設不足の対応策としての地方移住という手法について

日経

先日、日本創成会議という会議組織が「一都三県、首都圏の介護施設が大幅に不足する」との試算を発表いたしましたが、その時に対応策として「比較的介護受入れの余力のある地域への移住」というものを提言の中に含めておりまして、全国40カ所近く、具体的地名まで列挙されていますけれども、数字で見てしまえば、足りないところから足りているところへ移すという方法はあるかなと思う一方、住民が住み慣れた場所を離れていくというのはなかなかに難しく、高齢の方だと移り住んだ結果、かえって体を壊されるような話もあるやに聞きますけれども、介護施設不足に対応する移住という手法について知事のお考えを伺えればと思います。

知事

残念ながらこの席に、一都三県のまた地方創生石破大臣との会議なんかで私も出席できなかったのですが、この話題も出たということを聞いています。基本的には2025年問題というのは医療と福祉、福祉の中でもとりわけ介護。この課題などが、最も大きく、意外に2025年以降はなだらかなかたちで課題を解決できる。むしろ2025年さえ突破すればそれ以降は多分大きな課題にはならないだろうということが言われております。そういう意味での問題意識は共有しているところですが、やや乱暴なところもありまして、「高齢者の地方移住を具体的に行政主導でできるか」という話になってくると、「基本的にはできない」というのが方向として私は思っております。

一方で非常に国の方も、この日本創成会議は国ではありませんが、人口減少問題なんか大胆な提起があって非常に重要な会議に位置付けられているところですが、国は基本的に例えば国民健康保険を都道府県に移して国保財政を安定化させようという、まあ実務は市町村がやるにしてもこの問題が一つ。それから地域包括ケアというかたちで地域のことは地域で一元的にカバーができるようにしようという、みんなが病院に殺到するんではなくて場合によっては医師や看護師やあるいは保健師などが巡回をするとか、そういう仕組みを創って、あるいは健康長寿のプロジェクトも含めた健康管理などを行って、比較的地域で安定的に過ごしていただこうという。そっちの方を進めているわけです。それなのにこっちでは逆の方向を進めておられるわけだし、数字の把握に関しても、例えば今後10年で2万4千のベッドが不足する。これはこのままだということで、作らないことが前提になってますので、実は埼玉だけでも3年間で1万5千作るんですね、したがって6年たてば3万作るわけですね、したがってこの首都圏の2万4千分は埼玉だけでもカバーすることになってしまうんです、極論すると。10年もあるわけですから場合によっては4万5千くらい埼玉だけでカバーする可能性があります。すみません、2万4千は埼玉の数字でした。3年で1万5千、6年経つとまさに3万で突破するわけですね。そういうことが全然考慮されておりませんし、また、当然需要のあるところはビジネスになりますので、民間がどれほど参入するかということも計算に入っていませんので、何か試算そのものにもちょっと荒っぽい推論というのでしょうか、あるいはちょっと乱暴な議論になっているのではないかというふうに思っております。基本的にはむしろこちらの方よりも、行政なんかがもしやるとすれば、介護職員などをどう育てていくかとか、介護職員などをどう確保していくかというような、こちらの方はどちらかと言えば人材育成に関わってきますので、もちろん民間でもやりますが、行政的にはこちらの方にもっと関わっていた方がいいのではないか。建物ベースは民間ベースがかなりやってきますので、どちらかと言えばこっちの方が民間ベースの計画などをどれだけ把握していくかをきちっとやっていけば、さほど心配することはないと思っております。以上です。

その他

知事選について

産経

本日報道でもありましたけれども、知事がいよいよ知事選に出馬されることを決意されたというところで11日か12日にも会見されるという報道もありましたけれども、現状の捉え方というか、お気持ちを聞かせてください。

知事

まだ何も正式に言ったことはないつもりです。日にちも何も決めておりません。ただ、6月中にということですが。ただ、推薦される方々などもおられますので、そう6月末だとかという話にはならないなというふうに思っております。その程度でご理解ください。

NHK

今の立候補の関係なのですけれども、元々知事は立候補の有無に関わらず、先ほどもおっしゃっていらっしゃいましたけれども「6月中に表明する」とおっしゃっていました。この日取りを選ぶにあたって、どんな基準を考えているかということを教えてください。する、しないに関わらず、表明をすると。その際に県民にどう説明するかという要素が絡んでくると思うのですが、その際に知事の中でどのような基準で日取りを選ぼうとしているかということを…。

知事

まずは、隙間がある日ですよね。それがまあ1つですね。別に大安だとか、仏滅だとかそういうのは一切考えておりません。日にちがちゃんと空いているかどうかということとか、いろいろな全ての政治状況を総合的に考えてということになると思います。

多選自粛条例について

産経

今後まあ報道等で盛んに言われておりますけれど、多選自粛条例があって、撤廃する条例みたいなのを出すべきなのではないかという声もあって、それは県議さん達からもそういう声が上がっているのは事実だと思うのですけれども、それについてのお考えも変わりなくという理解でよろしいのでしょうか。

知事

そうですね。一般論で廃止されて出馬された方々が多いのですが、私が知る限りではそれも批判が多いんですね。廃止条例を出された方々の批判がすごく多いんですね。少なくとも、細かくは見ていませんが、最小限度、徳島県の阿南市の新聞記事だけは送ってきましたので。市長が友達なもので。ほとんど批判なんですね。ほとんどじゃなくて全部ですね。要するに多数支持会派を活用して、自分の都合の良いようにしているという意味で。そういう意味での批判が強いんですね。つまり、それをもって一種の正当性を得ようという「それはいかがかな」という話になるんですね。私もそんなふうに思うんです。議会で認められればそれで全てかと。そういうことだけでもないと思っています。政治姿勢の問題ですので。議案とはちょっと違いますので。議案であれば一つでも多ければ成立ですね。多数が成立になります。決議などは一般的に言えば、できるだけ全会派一致を目指して頑張りますよね。議会の決議になりますので。私も国会の時に、議運の法案担当理事などをやったことありますけれども、やっぱり各会派に全部丸を付けてもらおうと思って、一生懸命字句の修正を始め努力しますよね。地方議会だって一般的にはそうだと思うんです。決議などは、多数派が決めるものではなくて、やっぱり議会の意思になってしまいますので。議案そのものとか予算とか決算は一人でも多ければそれが一応賛成多数ということで決まっていきますけれども。まさに政治姿勢も同じようなものだと思っていますので、「一人でも多かったらそれは正しいんだ」ということではないし、「一人でも少なかったら間違っているんだ」ということでもないような気がいたしますので。その事の手法で、事の善悪だとか、事の是非を決めるのは必ずしも私はよくないとは思っております。選挙を通じて提案した話でもありますので。もしやるとすれば、当然選挙で判断してもらうという話かなと思っています。

知事選への出馬表明をしている人がいないことについて

テレ玉

知事選に関連してなんですけれども、立候補予定者説明会まであと10日ほどとなっている現状で、まだ正式に出馬を表明されている方がいらっしゃらない、この現状について改めてお考えをお聞かせ下さい。

知事

そうですね。なかなかこれは申し上げにくいですね。各党の考え方だとかということについて、触れなくてはいけないので。各党の考え方について、私自身が触れるわけにはいかないので。また考え方を聞いたこともないし。何と言ったらいいのでしょうね。一般的には私はすっすっすっすっ答えている人間ですけれども、答えにくい質問ですね。良いとも悪いとも言い難いし、なかなか難しいですね。「じゃあ政党でないとダメなのか」という話でもありませんし。個人でも良い訳ですから。「ちょっと答えられないなぁ」というのが答えになるのかなって感じです。申し訳ありません。

テレ玉

これまでもやはり選択肢がないということが投票率の低下にもつながるということがあると思うのですけれども、そういった意味では同じ質問になってしまうのですけれども、いかがですか。

知事

そうですね。選択肢は多い方が良いにこしたことはないと思います。

地理的表示保護制度について

埼玉

地理的表示保護制度というのが、地域の特産品をブランド化するということで、国に申請する制度がスタートしましたけれども、現状埼玉ではまだ申請が無いようですけれども、これは生産者団体が申請する制度ということですが、何か埼玉にもいろいろとありますけれども、知事として、もし地理的表示保護制度に相応しいものが何かお考えがあるのかどうかをお聞かせいただきたいのですけれど。

知事

そうですね。埼玉であれば食品関係でのブランドで言えば、「深谷ねぎ」だとか、あるいは「狭山茶」とか、「草加せんべい」だとか、非常にブランド力の高い物がありますが、この制度自体は生産者やあるいは組合の皆さんたちが話し合って決める話なので。相談が今のところありません。相談があれば。しゃしゃり出るのは何かちょっとつらいかなという部分があるので、相談があった段階でどういうふうなかたちで上手くブランド化すればいいのか。あるいはまた、妙に狭めても困るし、妙に広げればあまり効果はないし。その守備範囲というのでしょうか、地理的な範囲をどうするかというのはなかなか難しいですよね。狭山茶の範囲も結構広い所にありますから、そういう意味でも結構悩ましい話なのかなというふうに私なりに感じていますので、良く生産者や関係の団体の皆さん達の意見を聞いた上で、よりブランド名がついた場合にアピールが出来るように、お手伝いしたいなというふうに思います。

(終)

知事記者会見テキスト版 平成27年6月2日

録画を見る(約37分)

平成27年6月2日(火曜日)

知事発表

埼玉エコタウンプロジェクトの拡大・進化

埼玉エコタウンプロジェクトの拡大・進化についてのパネル(PDF:1,513KB)

知事

こんにちは。今日は埼玉エコタウンプロジェクトの拡大・進化についてご報告をいたします。まず、これまで本庄と東松山市でプロジェクトをやってまいりました。合計エコタウン稼働率(後に「エネルギー削減率」に訂正)が22.5%になりました。880の戸数のエコタウン化で。そして、県内企業の皆さんたちに仕事をしてもらうということについても92.7%というかたちで、初期の目的をそこそこ達成しております。もし、この22.5%が(後に削除)埼玉県下の全世帯で行われる(後に「で同様に太陽光発電が普及する」に訂正)ということになると、福井県の全世帯の電力を太陽光発電でまかなうことができるというぐらいの規模のイメージです。そこで、これまでの経験と知見を活かして、プロジェクトを拡大・進化していこうということで、新たなモデル市の2つで既存住宅のスマートハウス化をいたします。そして、各住宅メーカーが造った住宅地を事業者と協働して。まあどちらかといえば事業者がミニエコタウンを造っていくというかたちでのビジネスモデルを構築して、県内各地に広げて行こうと思っております。

まず、新たなモデル市と協働事業者を決定いたしました。所沢市と草加市であります。所沢市では、西武園ゆうえんちの近くの住宅地でございます。そして、草加市では比較的良く言えばいろいろなものが密集している、悪く言えば少しわしゃわしゃ感があるというのでしょうか。住宅や商業やいろいろなものがある。そうしたところでのエコタウン化をやっていこうということで、それぞれ「住宅地」と「入り混じった住宅地」。特色のあるところを選んでいるところです。で、先ほど申し上げました事業者、アキュラホーム、積水ハウスリフォーム、ポラスグループ、パナホームリフォーム。この4社が分譲した、それぞれのタウンを太陽光発電などでリフォームしていただく企画であります。こうすることで、先に展開しました本庄市と東松山市が880戸だったわけですが、今度は3,759戸になるということになります。この所沢市、草加市と、点在しますミニエコタウン化を通じて、3,759戸を新たにスマートハウスにしていくというかたちになります。

まず、展開エコタウンの新たなモデルの2市でありますが、所沢市は比較的西武園ゆうえんちに近い、1,381戸の松が丘地区というところであります。これは、所沢市が「マチごとエコタウン所沢構想」を平成26年の3月に策定しておりますが、その一連の流れの中に県の事業とマッチするということで、今回希望があり、県として「一緒にやりましょう」というかたちで展開することになりました。具体的にはこの築22年が平均でありますが、太陽光発電を当時しておられなかったということで、太陽光発電をやっていただく。それから、住民利用のいわゆる公民館ですよね、公共施設に太陽光発電を設置する。それから公園等に太陽光パネル付きのLED照明を設置していく。調整池にもフロート式の太陽光発電を設置して、丸ごとこの松が丘地区をスマートハウス化していく企画であります。

草加市は、谷塚駅の西口地区1,200戸でありますが、平均築年数こちらも約20年ということですので、当時まだ太陽光発電などが屋根にパネルが載っかっていない時代でありますが、この草加市も平成11年に「人と自然が共に生きるまちそうか」の実現ということで、環境共生都市宣言を行っております。こうした草加市の基本的な考え方と県のエコタウンプロジェクトが合致して、特に下町的なところに、こちらが山の手だとすれば、こちらは下町だということで、谷塚駅前のエコ化を進めて行くということで、街区内の街路灯にもLEDを全部、照明を設置していく。そして駅前の自転車通行空間の創設なども合わせてまちづくりも行っていくというかたちで、良好な住環境をつくりましょうというかたちで、展開をしてまいります。

ミニエコタウンの方でありますが、このとおり決して1つ1つは大きくありません。73戸であるとか、43戸だとか、42戸だとか、28戸、28戸。いわゆるミニの開発かもしれません。しかし、それぞれちゃんとしたきちっとした街並みを作っていただいております。こうした地区を例えばアキュラホームで言えば合計で5街区の214戸をしっかりやっていただこう。そして、積水ハウスリフォームでは、5街区の168戸をきちっとやっていただきましょう。ポラスグループでは5街区の575戸をやっていただきましょう。パナホームリフォームでは4街区の221戸をやっていただきましょうというかたちで、いわば自分たちで一旦造った住宅を改めて再訪問して、そして「スマートハウス化をしませんか」という営業にもなるということになりますが、基本的には良好な街並み、そしてエネルギーの地産地消をやっていくというかたちでの展開であります。基本的には私どももノウハウを提供したりはいたしますが、事業者として自ら開発したエリアを再度良好な住環境に変えていくという、そういう試みになります。

(パネル(5)を指しながら)今後のスケジュールですが、すでに今日6月2日ですから展開エコタウン・ミニエコタウンの決定を発表させていただきました。そして、6月19日(後に「12日」に訂正)には所沢市、草加市との協定を行います。そして、6月中旬から秋口までに展開エコタウンの街区のアプローチを市と詳細な打合せをしながら、住民説明会や街区の調査などを行って、速やかにエコタウンの展開ができるような準備を整えてまいります。ミニエコタウンについても同じようなアプローチであります。ただし、こちらの方は事業者が比較的メインでやっていくというかたちになります。そして、10月頃から街区住民への支援を開始というかたちで具体的に補助の支援を開始したり普及啓発促進をしながら、いわば場合によってはリフォームをしながら屋根にパネルを載っけていく。そういうかたちになっていきます。そして、先行しているミニエコタウン、街区が小さいですから、小さいところはもうできあがっちゃうのが速いですから。そういう先行してできあがっているところは、効果の検証も合わせてもうスタートさせていくというかたちで。

(パネル(4)を指しながら)特に先ほどこのとおり例示を出しておりますが、他にもたくさん持っていらっしゃるので、その成功モデルが自分のところで継承されれば、次もできるというかたちになりますので、それをやっていただくというかたちになります。

(パネル(5)に戻って)モデル街区での取組の効果を継承していただいて、モデル街区以外の分譲街区に自発的に民間の事業者が展開していただく。そうすることで、埼玉中のミニエコタウンが広がっていくというかたちになります。そして、この展開エコタウンの所沢市と草加市に関しては、重点街区のスマートハウス化を加速させながら、徐々にその成果などをまた継承して、さらにどういう課題があるかをしっかり検討して、まさに草加市と所沢市で全面展開をしていただくようなお願いをしていきたいと考えております。以上、ご報告を申し上げました。

日経

エコタウンの広域展開ということですけれども、エコタウンプロジェクトが始まった当時からすると、太陽光発電の固定価格の買取り制度による買取り価格というのが下がって、ひと頃ほど太陽光の売電というのが太陽光発電装置を着けて回収できる期間が長くなるとか課題も出てきていると思いますけれども、地産地消のエネルギーとしてのエコタウン・ミニエコタウンというのはまだエコタウンプロジェクトが始まった当時と今との環境の変化を踏まえても、なお全県、全国的に展開できる可能性があるというふうにお考えになりますか。

知事

メリットが薄まったのではないかという疑問もあるわけですよね。買い取り価格が安くなっていることなど。ただ、一方ではパネルの価格が下がってきている。それから性能が上がってきている。例えば、従来であればこのくらいで仮に電力が1だとすると、今その2分の1で1の電力を吸収する、あるいは(後に削除)作ることができるとか、どんどんその率が良くなってきていますので、相対的な価格で言うと、必ずしも買取り価格が減ったから効率が悪かったかというとそうではないというふうに判断しておりますし、そうした比較表なども出てきておりますし、今後私はフィルムだとか、あるいは本当に小さなパネルで10倍ぐらいの吸収力(後に「発電力」に訂正)があるとか、そういうことがどんどん発明されることで、いずれさらに加速化する。まあ一番端的な例が、こういう薄型テレビが最初は200万円でスタートして、100万円になり60万円になり、そして30万円ぐらいになったらみんなが買い始めて10万円になったという。そういうプロセスがありますので、そういうプロセスをやはり創っていくべきではないかというふうに思っていますので、埼玉はそれを先行させたいという気持ちがございます。

埼玉

今度の新規の例えば所沢市・草加市では導入・設置されるか定かではないのですけれど、東松山市・本庄市のこれまでのエコタウンのところでは、いわゆる省エネルギーを見える化するHEMS(ヘムス)の設置を進めていたかと思うのですが、どうやら第三者からのアクセスが可能ということでメーカーが注意を呼び掛けているのですけれど、その点、県としての注意喚起など、お考えはありますでしょうか。

知事

本庄にしても東松山にしても、いわば消費電力などの見える化や外からの操作などを通じて、よりスマートな生活ができる、賢い生活ができるというのがうたい文句の一つでもありますので、これからもHEMSなどを使った見える化を進めていくわけですが、実は今ご指摘あったように実際事故がなかったわけではありませんので、(後に削除)早速、埼玉県もミサワホームの16件と3件の合わせて19件について不正アクセスの可能性ありということで注意を喚起して、IDだとかパスワードの初期設定値がホームページに公表されていたのを該当ページから削除するとか、そういうことをやっていただきました。これからもそういう注意をきちっとして、外部からの操作や不正アクセスができないようにしていくようなことを、きちっとその都度メーカーを通じながら説明をしていただきますが、県もそういう説明をしていきたいと思っています。

幹事社質問

円安の県内中小企業への影響、県として円安に対応する必要性について

日経

外国為替市場で円安が進んでおり、足元ただいま124円台まで下がっております。原材料を輸入したり調達する県内の中小企業にとっては、原材料価格の高騰というコスト負担が重くなるというマイナスの影響もありますけれど、県内事業者の経営環境ですとか、調達に変化があるか、知事のお考えをいただければと思います。また、もし、ひと頃円安対策などという政策もありましたけど、そんな政策も検討する余地があるのか伺えればと思います。

知事

このところの円安の動きが長期化すると課題が相当出てくる可能性が高いと、まずは思っています。今の段階ですぐ、ご承知のとおり、毎日価格調整をしたりするわけではありませんので。長期契約だとかそこそこの契約で進んでいますので、為替も一定程度の枠の中でやったりしていますので。ことさら強い影響が出て、悲鳴が上がるような電話が来ているわけではありませんが、念のために少しヒアリングをさせていただきました。輸送用機械、いわゆる車関係ですね。「原材料はメーカーからの有償支給で販売価格への転嫁は問題ない。自動車以外の建材等の分野で原材料の自家調達が増えるが、このところの円安水準は製品価格に織り込んであって今のところ問題がない。」というお話がありました。プラスチックのメーカーにもちょっと聞いてみましたら、「原材料価格に為替の影響はないが原材料を国内製造していたメーカーが海外で製造を始めており、今後上昇するかもしれない。一方で海外から部品を調達していた企業が、国内調達に切り替わったりして受注が増えるかもしれない。」という話も出たりしております。あと、金属加工、生産用機械関係なんかで、「これ以上為替が進むと、120円台半ばになると、原材料価格の引き上げ等があるかもしれない。今のところは影響ないけれど、やはり近い将来は心配だ。」という声が出ております。今すぐ、県としての対策が云々ということはありませんが、昨年の10月、円安傾向にダーッと動き始めたときに、いわゆる、総融資枠の3,600億円、県の制度融資ですが、この中の経営あんしん資金、この融資枠を500億円作って、いわゆる売上等が減少する企業などはこの枠を使って当面支えるというかたちの体制を作っていますので、もし、若干影響を受けたところはこの部分での制度融資をまた活かしていただくというかたちになるかと思いますが、増えすぎるのは基本的によくないので、なんらかのかたちで、金融政策の中で政府は対応していただきたいなと思っております。

発達障害者就労支援センターについて

テレ玉

昨年の6月に発達障害者就労支援センターが全国で初めてオープンしたかと思うのですけれど、1年経って、この成果と今後の課題をお願いします。

知事

比較的私たちは順調だと思っております。就労につくまでのプロセスが一番、就労するのがベストなわけですけど、この数はマッチングで(後に削除)28人、来所された方が263人。で、なんらかのかたちで182人が訓練をして、その中から28人ということですので、一見少ないように思われるかもしれませんが、この手の中では比較的成功している事例だと。つまり、ほとんど社会的対応がうまくできない中で、きちっと社会生活を営むことができるまでになったということをまずは評価しよう。今後、定着するかしないかという課題も残っていますが、そんなふうに一般的に言えば、182人も訓練を受けていてたった28人かということですけれど、それはまさに障害がない方々の世界であって、障害のある方々ではまずまずの成果だというふうに私たちは認知しております。ただ、103人の方々が就職をめざして、頑張っておられますので、こういう方々が就職につながっていくと訓練受けた182人の中から、まず28人が決まり、予備軍として100人近い人がいるということですので、これをもう1ランク上げていきたいというふうに思っております。川口と草加だけでやっておりますが、今度県西部をフォローするかたちで川越でもスタートさせていきたいと考えておりますので、できるだけ身近なところで、こういう作業(後に「支援」に訂正)ができるような環境を作っていきたいと思っています。ちょっとまだ詳しく私も把握していませんので、もしよかったら後で調べてご報告させていただきます。

埼玉

今の質問に関連してですが、1日に川越に発達障害者就労支援センターが新しくオープンしました。今までの川口と草加に加えてオープンしたのですが、どういう狙いから川越にも設置したのか。あとは県が23年度から子どもから大人まで支援に力を入れてきたと思うのですが、今後は県北地域にも開設する考えがあるのかどうか、お聞きしたいと思います。

知事

はい、なかなか就職が難しいことは事実です。自分の自己表現とかが苦手な方とかが多いわけですから、一般的に仕事というのは共同作業が多いわけですから、ある程度のチームワークみたいなことに関してうまくできる方しか(後に削除)できないようなところがありますが、それでも気持ちを持っておられる方々が多いことは事実ですので、そこは丁寧に指導を繰り返して、現場に入っていただいて、で、必ずしも現場に入ってうまくいかなくても、違う所に行ったらうまくいったりする場合もありますので、そういう訓練期間を経ながら、正式に入っていただく。また通う場合も近場が楽だということがございますので、比較的県南の方からスタートしましたので、川越のほうでもスタートさせていただく。東西南北というようなイメージが多少ありますので、例えば東にも必要かもしれませんし、北部にも必要かもしれません。ただ、指導する人たちの数も限られていたりしておりますし、現在進行形でやっている部分がたくさんありますので、これの充実ができ次第、そうしたところにも作っていくということで。じゃあ、いつを目途にということは全く考えておりません。川越の体制づくりがまず先で、その後に北部あるいは東部なども考えていかなければというふうに考えております。

東京オリンピック・パラリンピックのキャンプについて

朝日

先日、東京オリンピック・パラリンピックに関するキャンプの誘致に関する会議があったのですけれども、県をあげてやっていくということですが、知事としては埼玉県でキャンプをやってもらうことの効果はどんなところにあるとお考えでしょうか。

知事

一番有力なことは強化選手や関係者を身近に、地元の方々、とりわけ青少年などが見たりすることができる。そして、そういう交流を通じて、何らかのかたちでの国際性などに目覚めるとか、あるいはまた、レベルの高い競技などの練習風景を見ることでまた新しい希望を持ったりする、そういうことに大きな意味があると思っています。何よりも市町村が手を挙げて、そういう誘致をして成功するプロセスも含めていわば2020年に向けてのオリンピック・パラリンピックの機運上昇にもつながっていく。こんなところを私は考えています。

朝日

先日、中国に行かれた時に、埼玉の観光に関して新しく思ったこともあるというようなこともおっしゃっていましたけれど、観光面というか経済的な側面、そういった意味ではいかがでしょうか。

知事

そうですよね、関係者もいろいろ出入りされますので、とりわけ観光面で優れた市町村の場合はそれがきっかけで新たなる取組が見られる可能性もあるかもしれませんし、もっと欲を言えば関係の国なんかと姉妹交流なんかの動きなどもできたりした例なんかもありますので、そのくらいいけるような交流ができればもっといいのかなと思います。それが結果的に観光にもまたつながるかもしれません。

朝日

大枠としては社会的な面というか地元の活性化といった部分が一番大きいのでしょうか。

知事

あんまり期待過剰になっても困りますけれども。万能ではないと思いますけれども。ただ、比較的関東近隣、つまり千葉や埼玉や神奈川は他の都道府県と比べれば有利だと思っておりますので、大いに手を挙げていただいたら、ありがたいと思っています。

朝日

有利な点というのはどういったところでしょうか。

知事

近いという、はい。

標準市議会会議規則の欠席届出理由に「出産」を明記したことについて

埼玉

全国市議会議長会が標準市議会会議規則を改正して、女性議員が出産を理由に欠席できるように規定を明記することを決めましたが、これに対する知事のお考えを聞かせてください。

知事

私も知りませんでしたが、出産が事故だなんていうのは失礼な話ですよね、本当に無礼な話だったなというふうに思います。まともになって良かったなと思っています。「おめでたなのに事故とは何事だ」という感じですね。

安全保障法制について

朝日

知事の基本的な認識でちょっと伺いたいのが、今国会で議論されている安全保障法制のことについて伺いたいのですが。

安倍政権が昨年、集団的自衛権の行使ができる、容認できるという閣議決定をしまして、今国会でその法整備、安全保障法制が議論されていて、与野党でかなり激しい議論も交わされているわけですけれども、知事としてこの集団的自衛権なり、安全保障法制の整備の部分で知事のお考えをまず伺いたいのですけれど。

知事

日本の近海などで年がら年中ミサイルの発射実験を行っている国があり、いろいろ領土問題などで緊迫した状況が過去にもありました。極力、そうしたリスクを減らす外交的な努力が一番重要だということをまずは強く申し上げたいと思っています。しかし、一種の抑止力というのは平和の実現のためには、私は必要だと思っています。その抑止力というのは単に武器や国防予算などがたくさんあるから強いというのではなくて、やっぱり国民自身が国を守る気概を持っていることとか、あるいは自衛隊の士気が高いだとか、そして、きちっとコントロールされていることとか、また、活動する時に不具合がないような状態になっていることとか、そういうものを総合的にやっていって初めて一種の強い戦力になって、強い抑止力になっていくものだと思っておりますので、そういう意味で法整備上の課題、最近における様々な外的環境の変化における法的整備の課題があるのであれば、当然、議論をしてそれを進めていただきたいと思っております。そういうことに関しては基本的に良いのではないかと思っております。

朝日

今の日本の安全保障環境を見ると、知事としてはやっぱり集団的自衛権の行使なりというのは必要になってくるとお考えですか。

知事

今の議論の中では、個別自衛権と集団的自衛権というかたちで話をすれば個別自衛権の範囲内でも可能なことだと思っておりますが、しかし、集団的自衛権の方が一般的には抑止力が高いというふうに世界的には見られておりますので、そういう枠組みが作られること、そして、それがきちっと文民統制を始め、憲法の趣旨やあるいは関連法との関係などで齟齬がない範囲内できちっと整理されればいいのではないかと思っております。

朝日

先週末にさいたま市内で集団的自衛権の行使容認に反対するパレードが行われていたのですが、やっぱりまだ国民にその必要性が浸透しているかというと、そういうわけではないのかなという状況だと思うのですけれど、今の国の、安倍政権の説明というのは十分に説明できていると思われていますか。

知事

まだ国会の審議中ですからね。始まったばかりで説明ができているとはとても思えないと思います。まさに野党の存在はそういう時にあるわけですから、基本的な解釈や法律上の、私も細かくは読んでおりませんが、細かくどころかほとんど読んでいないに近いわけですけれど、一般論として言えば法律というのは完璧なんてものはありませんから、そういう穴の部分をどう解釈するかというところを与野党できちっと合意をしていく。それで合意をしたところはどんどん進めていく、合意ができないところは数の力ですぐに決めるのではなく、場合によっては進めるための時間をきちっと用意していく。無制限一本勝負だとは私は思いませんが、しかし、危機は常にあるわけですから、一定程度のスピードは必要ではないかと私は思っています。ただ、11本もありますので、できるところから片づけていけばいいのではないかというふうに思っています。

憲法改正について

朝日

もう一点なのですけれど、その先の議論として来年の参院選が終わると憲法の改正というのも具体的にスケジュールに載ってくるというふうに言われているわけですけれど。知事の基本的なご認識を伺いたいのですけれども、今時代に合わなくなってきているという意見もあるわけですけど、特に安全保障関係の部分が大きいかと思うのですが、そこについて知事は憲法について改正すべきとお考えになっているのかどうか…。

知事

何回かこういうことにお答えしたことがあるのですが、中学3年生が素直に憲法を読んで、9条で「陸海空の戦力はこれを保持しない」と。どう考えたって戦力です、自衛隊はですね。だから、憲法9条に無理して解釈に解釈を重ねてきていますよね。こういうのは私は良くないと思っています。ちゃんと侵略戦争などは永久に放棄するとか、しかし、国の自衛のための戦力はきちっと整備するとか、そういうことを憲法9条に書き込めばよいと思っております。私自身はそう思っております。

4選出馬について

産経

昨日、市長会から推薦を受けられて、大多数ということで、37くらいという、63市町村あって。町村会からも推薦を受けられていますので、ほぼもう大多数の自治体の首長が上田知事に4回目も知事をやってほしいと、大きな期待を寄せられていると客観的に受け止めることが可能かと思いますが、6月に入りましたし、そこについてのお考えをお聞かせください。

知事

昨日、市長会の有志連合というかたちで推薦をいただいたことには、仕事をしている知事職として、それはありがたく感じています。評価をしていただけるということ自体が、そこを含めて丁寧に自分なりに判断をしていきたいと思っております。今のところはそこまでですかね、申し訳ありません。

テレ玉

自身の去就について正式に発表する場を設けるというお考えはおありでしょうか。

知事

もちろん。これだけ話題になっているので。突然どこかでポンッと言うわけにはいかないと思っております。

(終)

知事記者会見テキスト版 平成27年5月27日

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平成27年5月27日(水曜日)

知事発表

健康長寿埼玉プロジェクトの全県展開

健康長寿埼玉プロジェクトの全県展開についてのパネル(PDF:777KB)

知事

こんにちは。本日は、健康長寿埼玉モデルの全県展開についてご報告等させていただきます。平成24年から26年の3カ年にかけて、モデル都市7市によりますモデル事業を展開してまいりました。随時学会などで発表させていただきながら、成功の方程式、確実に成果を出す秘訣、そしてそれを具体的に取り込んでいく「推奨プログラム」。例えば、毎日1万歩運動をすればどの程度医療費が少なくなるかとか、あるいは筋力アップトレーニングをすることによってどの程度医療費が少なくなるかとか、プラス、バランスのよい食事を行うことで、健康長寿埼玉モデルを作ることが一定程度できました。

これを平成27年度から全県への普及・拡大をしていこうというのが、今回のモデルの全県展開でございます。市町村に取り組んでいただくわけですが、「どうしても初期費用への補助金とか、そういうのがないとなかなかね」という話もございますので、測定器具購入とか、体力測定・血液検査とか、ポイント制導入あるいはICT活用などの費用を県の方で用意をしましょう。そして、県のデータを、これまで作りましたデータなどを使って、サポートしましょう。さらに国保の調整交付金の重点配分などを行ってよりやる気を出していただきましょう。さらに成功の秘訣マニュアルをしっかりと市町村に提供して、具体的に提案して、そして推奨してもらおうというのが目的であります。そのことによって、健康寿命の延伸や医療費の抑制を図っていこうということでございます。

(パネル(2)を指しながら)具体的にはこうなっていきます。これまで健康長寿モデル市町村としてやってきたもの。東松山市、加須市のこの2つは運動でございました。そして坂戸市、和光市は食事、団地まるごとは朝霞市、春日部市、久喜市で行ってまいりましたが、これを「とことんモデル」の2市町にやっていただきましょうということて、公募で、志木市が筋力アップトレーニングを、三芳町が毎日1万歩運動を展開していこうということで、補助金の上限を3,000万円用意することになりました。

(パネル(2)を指しながら)二段目が、埼玉モデルのかたちで上限が500万円ですが、18市町に参加をしていただくことになりました。毎日1万歩運動が10市町、プラス1,000歩運動が1町、そして筋力アップトレーニングが7市町、どこが違うかということはのちほどご説明しますが、基本的には規模感であります。このとことんモデルは1,000から2,000人、比較的人口の少ない志木市や(のちに削除)三芳町ですので、だいたい(40歳以上の)10人のうち1人くらいはみんな参加するというかたちになってまいります。そのくらいの規模感です。

(パネル(2)の埼玉モデルの部分を指しながら)こちらは100人から200人くらいの規模感で、まずはこの「とことんモデル」をやる前に、一度自分たちでもやってみましょうという、そして、その成果がでれば、こちらへという二段階を用意させていただきました。

そこで、この「とことんモデル」でありますが、とにかくとことんやっていただきましょうということですので、志木市で健康寿命のばしマッスルプロジェクト、あなたも一緒に健康貯筋しまっすると、この貯筋が筋力の貯筋ということになっておりますが、基本的には参加目標が平成27年度は1,000人、そして29年度までに2,000人にしていこうということで、医療費の抑制目標も平成30年度で1億2,680万円まで抑制しようという計画も立てています。これはそれなりの健康づくりに加えて、総合的な医療費抑制の取組を実施することによって打ち出された数字であります。参加者のライフスタイルに合わせて筋力アップトレーニングを実施してまいります。そして、生活習慣病予備群の皆さんに対しても、運動教室で、しっかり筋トレをやっていただきまして、この生活習慣病予備群の人たちを予備群から外していこう。さらに健康な人は自宅でできる筋トレとかをしっかり展開していただく。働く世代に対しては土日を中心にスポーツクラブなどを利用して、夜間なども活用していただいで、しっかりと健康ポイントを導入しながら競い合って、モチベーションを上げていこうという。そうした、志木市の取組になっています。

三芳町は、まだ、農家も点在しているということもあり、三芳町の野菜で食育も推進しながら、ほうれん草やさつまいもなども活用して、毎日1万歩運動をしましょう。平成27年度が1,000人、そして平成29年度までに2,000人やっていこう。医療費の抑制目標が1億5,000万円ということになっております。毎日1万歩運動を町内各種団体と連携して、町ぐるみのウォーキングにしていく。そして、高齢者、子育て世代、町内企業、PTAなどとまさに連携しながら、常に刺激を与えながら、お互いに目標を達成していこうという、こうしたとことんチャレンジをしていくというのが、この「とことんモデル」でございます。

今後のスケジュールですが、今日モデルの市町村をこのような形で発表させていただきました。交付決定通知をし、市町村議会で予算計上していただきます。補正予算を取っていただくところが数多くあります。そして、6月23日には署名式典を行って、いわゆるキックオフ、スタートをします。推奨プログラムを具体的に7月、教室等の開始を9月、医療費等の検証を、大体半年程度やっていくと分かってきますので、来年の2月ぐらいからは、具体的に医療費の削減ができるかなどの検証等を行ってまいります。

28年度以降も実施市町村を増やして、さながら全県展開を進めてまいります。とにかく手を挙げていただいたところで、先に100人、150人の成果が出れば、もう、できれば「とことんモデル」でやりたいという話も出てくるかもしれませんので、そういったときにはまた考えて、そうした「とことんモデル」の方に切り替わっていただくことも場合によっては可能かもしれません。いずれにしても63市町村が競い合って、健康長寿プロジェクトを展開していただくなかで、埼玉県全体の健康寿命を延ばして、なおかつ、医療費の抑制につなげていきたいというふうに考えているところでございます。以上です。

東京

高齢化社会に対応する取組だと思いますが、この運動ですとか食事について、こういう人に参加してもらいたいというターゲットはだいたい何歳くらいの方を中心に考えて、想定されているのでしょうか。

知事

例えば40歳以上の方々で、10人に1人、この推奨プログラムをやっていただければ、埼玉県下の現在、国保に赤字で補填している金額の合計額が300億円になっております。このうち100億円は、40歳以上の方が1万歩運動に参加していただくだけで、100億円可能になります。したがって、40歳以上の人が、10人のうち3人がもし参加していただくことが可能になれば、年間に国保に各市町村から逆に注入している300億円がゼロになる、計算上はこうなっていきます。これほど効果があることになるわけですから、この取組というのはご自身の健康の維持と、なおかつ、こうした医療費などを抑制しながら、例えば、予防にお金をかけていくとか、あるいは少子化対策にお金をかけていくとか、そして、特定疾患の人たちに手厚くしていくとか、そうしたいろんな取組が可能になると思っています。(国保法定外繰入金の具体的な市町村の事例を挙げるよう健康長寿課長に指示)

健康長寿課長

平成25年度の国保会計でございますが、志木市の法定外の繰入金が3億7,500万円、それから今回とことん取り組みます三芳町につきましては3億800万円、さいたま市でございますが、参考ですが、法定外の繰入として約12億円、こちらのほうが、国保特別会計のほうに一般会計から法定外として繰り入れている金額でございます。

埼玉県全体で、先ほど知事が申し上げたとおり、約300億という数字でございます。

知事

今申し上げましたように、人口規模の大きなさいたま市なども若い人たちが圧倒的に多いわけですが、それでも12億円を超える法定外繰入を国保の方に出している。人口の少ない三芳町などでも、3億を超える法定外繰入が出ているということで、この動きをすることで、医療費の抑制額が、1億5,000万円ということですので、法定外繰入を1億5,000万円減らすことも可能だと、こういうことになっていくわけです。そうすると各市町村の国保財政というのが楽になってくるし、一般会計からの繰入が減ればその分一般会計の自由度が高まっていくという効果がでてくるわけです。そうしたものをできるだけ少子化対策やあるいはまた特定疾患だとか、そういったものに費用を掛けることで、より多くの人たちを救うということになるということで、一挙両得という言葉がありますが、三得、四得につながるように、埼玉県としてはこのモデルを推奨していきたいと思っております。学会等で一定程度の評価をいただいておりますので、これはある程度実証済みでございますので、あとは規模感でございます。これまでやってきたものが規模感が弱いので、「とことんモデル」で1,000人から2,000人という規模感、まさに人口の10人のうち1人、大人ということになってくると大体5人に1人くらいが参加していくというような、こういう形になっていきますので。また40歳以上になってきますと、もっともっと高いレベルで参加していくということになりますので。非常にそういった意味では効果のある事業だと思っております。

東京

効果の部分でもう1点質問なのですが、1番最後の部分では医療費の検証を2月からやられる、半年後からやられる、それから今この抑制目標は4年目だと思います。何となくイメージですけれども歩いたり食事を改善したりというので、半年とか4年というスパンで本当にそれほど効果が出るのかなというのが率直の疑問なんですけれども。例えばどういう…。

知事

(パネル(1)を指しながら)例えば加須市の筋トレなども半年とか、東松山市の1万歩運動なども半年ぐらいで。例えば1万歩運動であれば、23,800円とかとか約24,000円近い金額などが実証されております。あるいは加須市の筋トレなどでは78,000円などという数字が、しかもこれは学会で発表していただいて、一定程度の評価をいただいたものでございますので、この推奨モデルをどんどん、まさに推奨モデルを展開していくというかたちをとっております。

東京

24,000円とか78,000円というのは、これまでこういう病気にかかりやすかったのが、かからなかったというのは、例えば日常的に風邪だとかそういうようなものの積み重ねでということなのでしょうか。

知事

はい。対象になっている人数の年間の医療費が総計でどのくらいかかっているかということで、それを半年分合計して半年の成果の中で、実際どのくらい今度はかかったかということを頭割りしたときの出てきた数字です。

東京

具体的にどういう分野が特に減っているかというところまでの分析ができているわけではないと。

知事

例えばその中に糖尿病患者が5人いらっしゃるという話になってくるとそうした数値は出てこないかもしれません、通常の予備軍程度の疾患ですね。もう既に患者がいらっしゃったら年間600万円からかかったりしますので、こういう方々を半年後にゼロに近いようなかたちにするのは困難ですので。

朝日

国の方では、昨日経済財政諮問会議があって、医療費抑制で別のアプローチだとは思うのですけれど、後発医薬品ジェネリックの使用割合を8割まで上げるというような議論も今行われていますけれども、例えば後発医薬品とかで医療費を抑制していくというような動きについて知事はどのように受け止められているでしょうか。

知事

はい。これなどは病院などがどういう薬を使うかという話にもなってきますので、そうした絡みの中で医療費が相対的に減ってくるという世界だと思いますので、私たちは市町村と組んで具体的に何ができるかという話です。もちろん予防衛生とかそういった部分では、いわゆる地域の医師会とかそういったものとの健康診断とか様々な要素は持っていますけれど、それとは別個に今私たちが作った健康長寿のモデルの推奨を具体的に大規模で取り組んだ時に、どの程度正確なかたちで成果を表すか、このことを問いかけるための「とことんモデル」というかたちになります。

したがって、例えば今政府が言っている「初診料を少し上げましょうか」とか「ジェネリック医薬品をもっと使いましょう」とか「安い薬を使いましょう」とか、「いきなり大病院に行ったら高いですよ」とか、そういうこう懲罰的なものであるとか、あるいは安い薬を使うとかという、それとは捨象したかたちで、運動と食事に関して一定程度の努力をすれば、それもあまり難しくないかたちで健康寿命を延ばそうという試みです。

あまり難しいと続かないのですよね。だから比較的このモデルは簡単なやつです。

産経

今回「とことんモデル」に2市町、「埼玉モデル」に18市町ですけれど、これは手を挙げられた自治体が全部で20で、その中から全部選ばれていて、落ちたところとかは特段ないということですか。

知事

はい。そういうことになります。まあ規模感を用意しなければいけないもので、「とことんモデル」はあまり手を挙げることができなかったということですね、今回は。時間が経てばもっと用意ができますので、この規模感の準備に合せて「とことんモデル」に手を挙げる方々が増える可能性があると思います。まあ我々はやはり規模感が欲しいですね。より規模感が高ければ高いほど国保とかそういったものに対する影響力が高くなってきますので。

テレ玉

24年度から26年度までの結果について知事がどのように評価されているのかというのと、27年度からの今回の取組についての期待を改めて伺いたいなと思います。

知事

今申し上げたように、7市町村でやりましたモデル事業は特に東松山市や加須市の2つの事例などがより効果的な成果を見せたわけでありますけれども、規模感がまだまだ小さいということで、今回三芳町と志木市の規模感が1,000からスタートして2,000という大台に上がるということで、この人数は三芳町などの人口からすると大変大きなものになってきますので、より精巧な、より精密なデータなんかがとれるということにもなりますので、推奨モデルの精密さというのがまた、よりはっきりしてくる。そうすることで、すでに一定程度の数があれば学会等では評価されているわけですけれども、プラス私たちは学会的な評価とは別個に県民的な評価をいただいて、より多くの方々が参加する契機にしたいと思っております。

幹事社質問

中国訪問の実績と手応え、外国人観光客を呼び込む上での課題と対策について

東京

先週、知事は中国に訪問されて、主に観光面でPRをされて、訴えられてこられたと思います。その手応えと、また一方で埼玉に中国人を始め、外国人観光客を誘致する際の課題というのは今どういう点にあるかと考えていらっしゃるか。その対策と合せてお聞かせ下さい。

知事

いくつかのイベントに参加してまいりました。対日投資セミナーで埼玉県の企業立地や観光の部分についてのアピール。あるいはまた、4県の知事と向こう側の関係者とパネルディスカッションで、観光事業の意味だとか、そして観光のアピールなどについて意見交換をする機会をいただきました。それと一番役に立ったのは、商談会でありました。中国側の旅行会社の大手の旅行会社と中小の旅行会社、それに受入れをしたい日本側の旅行会社ならびに地方自治体のメンバーの皆さんと商談会が1組15分ずつ入れ代り立ち代りずっとこうやるという。これをじっくり見させていただいて、いろいろ解説を聞いてはいまして、一番私たちに欠けていた部分が分かりました。私たちは一種の観光インフラというのでしょうか。例えば言語などの表記を各国ごとの表記できちっとしていこうとか、おもてなしできちっと外国人に分かりやすいようにしていこうとか、また指さし会話のマット(のちに「指さしコミュニケーションシート」に訂正)を使ってコミュニケーションをとろうとか、各事業所におもてなしをしっかりやっていこうとか、一種の観光インフラを作ることによって、リピーターなどを増やそうという考え方をとっていたわけでありますけれども、それ以上にもっと大事なことは、中国側の送り出す観光事業者、この送り出す側のコンタクトをしっかりとらなくてはいけないということです。それも大手と中小の観光事業者では全く違うアプローチをやっていますので、この違うアプローチなんかをきちっと仕分けをしながら、どういうプロセスで、中国で集めていただいた観光の客をどういうプロセスで日本に連れてきて、なおかつ上手く埼玉に引っ張り込むかという。このプロセスをきちっと繋がないと、最初の大量に運ぶということはなかなか難しいと思います。大体1、2回は団体で来られる。2、3回目くらいから個人で来られているのが、中国のパターンだというふうに伺いました。で、なおかつ2、3回目からはいろいろオプションというのでしょうか、自分なりの見どころを見つけたりして、あるいは印象の良かったところとかにもう1回というような、そういうかたちになってくるので、まさにリピーターの世界になってくるというのでしょうか。そういう向こう側のニーズなどを統計上も分かってまいりましたので、これまでの観光インフラをこちらの方で受け皿を用意していくものと、「これから具体的にこういう受け皿があるから、こういう人たちをたくさんこちらに運んでください」というビジネス商談というのでしょうか、この部分が、ルートがある程度見えたし、またそのルートの接触ができましたので、今後はそういうことを県内の観光事業者の皆さんたちと打合せをしながら展開していきたいというふうに考えております。

東京

窓口となるようなものが必要であって、そういうものを整えるために県が一緒になって引っ張っていく…。

知事

そうですね。一定程度、埼玉県という信用がございますので、例えば中国で一番信用があって、一番派遣をしている企業とも接点を持ってきました。具体的にそことどういう交渉がこれからできるかということを丁寧に、向こうの考え方も丁寧に聞いて、それのニーズに合うようなかたちでのセットができるかどうかとかを考えなければいけないのではないかと思っています。

東京

もう1点、観光についてですけれども、埼玉に来られる外国人の方がなかなか埼玉には宿泊をせずに日帰りでというケースが多くてお金をなかなか落とさないという実体があると思うのですが、それは東京から近いという地理的な条件もありますし、そもそも泊まれる施設がそんなにないという状況があると思うのですが、この辺について、例えば今回行かれた中国の方の旅行業者の方からは「もっとそういう泊まれる施設があればいいのに」というような声があったのか、元々そういう場所として期待されているような感じではなかったのか。

知事

細かい部分まで詰めてきてはおりませんが、すでに埼玉県内のホテル・観光事業者で2万人からの中国人を引っ張り込んでおられる方も参加されておりまして、その方などのノウハウも使えるなというふうな感じがいたしました。しっかり中国側とのコンタクトをとっておりますので、こういう方なんかの実践的な成果というのでしょうか、そういうものなんかもいっぱい他の旅行事業者も学ばなくてはいけないと思いますし、埼玉県もそれを活用しなくてはいけないというふうに思います。

また、お話をしている限りにおいては、中国はドロッとしたあまり水がきれいでない川。で、長瀞みたいな一部急流の真っ青なというか、透けて通るような水で岩畳。こういう写真なんかなどにはすごい関心と興味を示しておられるし、また「東京に江戸はないけれど埼玉に江戸がある」という商家の街並みとはこういうものだという川越なんかの写真などにもすごい関心を示しておられますので、東京に近くて隠れやすいというマイナスもありますが、「東京に来たついでにちょっとこっちに来いよ」というこういうオプションを上手く載せられれば、埼玉の可能性というのは格段に上がるのではないかというようなことを感じたところです。いずれにしてもそういうオプションを中国の大手の事業者あるいは中小の事業者の皆さんたちにどうこう上手く結びつけて展開できるかというところにかかっていると思いますので、少なくとも我々は観光インフラという部分だけにとどまっていたきらいが無きにしも非ずだった。そしてなおかつ、埼玉県下の大手の事業者だとか、全国展開している大手の事業者、あるいは埼玉県下の旅行事業者の皆さんたちに少し頼っておったのですけれども、現地の中国の大手の企業の皆さんの生の声を聴いたことが無かったので、直にこれを聴いてきたというのは大きかったなというふうに思っています。

東京

最後にもう1点、そうすると窓口というのがより大事ということだと思うのですが、大体どれくらいの準備時間を…。

知事

もう1回当たらないと、どうしても私はトップということでしたので実務上の詰めまではなかなかできなかったので、もう一度そういう実務上の詰めをしていく必要があるかなと思っていますので、今の時点では「いつまでに、どのくらいの規模で連れてこれるぞ」というようなことはちょっと申し上げ難いですね。

その他

子宮頸がん予防ワクチンの被害者の支援について

テレ玉

子宮頸がんワクチンの関連でお伺いします。先日ふじみ野市が子宮頸がんワクチンの副作用と思われる症状で悩まれている患者さんに、医療費の支援を行いますとか調査を実施するというふうに決めました。全国の他の自治体でも全国的にこういった流れが起きていると思うのですけれども、県として何か支援ですとか調査を行うという予定はないのでしょうか。

知事

現在国において原因究明を図っているところでありますので、基本的には県とするとそれを見守っている立場であります。ただ、現実に被害を被っている方々をふじみ野市において救済しようと、こういうことを試みられたことは大変良いことだというふうに判断しているところでございます。県としてもこうした試みがあれば情報提供などをしながらご支援させていただきたいと思っています。

コウノトリを通じた地域づくりに関する県の対応について

埼玉

先日、こども動物自然公園でコウノトリのヒナがはじめて孵化に成功したそうですけれども、埼玉でも鴻巣市などがコウノトリの環境づくりなど取り組んで、全国的にもいろいろサミットなども行われていますけども、これを契機に何か県としてそういう支援なり、コウノトリを生かした何か取組に積極的に関わっていくお考えはいかがですか。

知事

鴻巣の市の名前そのものが、コウノトリの名前から取ったということをよく聞いております。かつては鴻巣市の一部にコウノトリが生息していたということで、現在でもコウノトリを改めて呼び込むための運動をなさっている方々が多いこともよく知っておりますので、こういう人たちにとっては大変な朗報であります。

したがって、鴻巣のというよりもコウノトリの生息地になり得るところなどを、しっかり掌握して関係の自治体同士がまずは連絡協議会みたいなものを作って、生息可能なエリアを線引きしていくことではないかなというふうに思っております。

肝心の鴻巣市でありますが、荒川の土手などが一番の生息地にふさわしいのですが、肝心のそこで世界のギネスブックに載るくらいの花火大会をやっていますので、あるいはコスモス祭りで太鼓やら笛やらバンバン叩いたり、ピーヒャラ鳴らしてますので、あれでコウノトリ来い来いと言っても、なかなか来ないような感じがいたしますので、今さら花火大会世界一のものを止めるわけにもいかないと思いますので、鴻巣市以外の例えば加須市などにラムサール条約に指定されました「渡良瀬遊水地」あのエリアの皆さんたちと少し連携して生息地をある程度確定させながら将来の生息地に変えていくというようなことなどは可能ではないかなと、私自身は個人的に思っております。

ただ、動物学的な生態学的なそういうことまで全然私頭に入っておりませんので、何らかのかたちでそういった人たちとの共同研究をやっていただいて、鴻巣市などが組んでいただいて、その後に私どもに相談があれば、しっかり対応していきたいなというふうに思います。

知事の多選について

朝日

知事選の関係で恐縮なのですけれども、例えばここ最近で見ると北海道とか、青森、まだ知事選が行われていませんけれどもたまに4選目指して出るというのが最近続いているかなという感じがあるのですけれども、当初、先週の質問でもありましたけれども、多選の弊害というのをずっと語られてきたかと思いますが、知事を12年やってこられて、12年、例えば16年とか長くやることの良さというか長所、メリットというのは何かあるというふうにお考えになってますでしょうか。

知事

最近4選の知事さんというのが増えてきております。多分こういう変動期、社会の大変動期に当たっているので、自分なりの問題意識と責任を感じたときに、やっぱり自負心というのでしょうか、そういうものを「自分がやらなければ」というものをお持ちなのかなと推測いたします。

朝日

自負心?

知事

はい、大きく変動している時ですので、そういう時に手掛けたものがきちっと次にバトンタッチされるようなかたちにならないと、いろいろ混乱も起きるのかな。したがって継続が必要ではないかということの自負心を4選目に入った人たちが思っておられると思います。たまたま北海道の知事さんと偶然お話があって「自分も4期するとは思わなかった」と。「ただ、やっぱり自分でなければという自負心も正直あります」というようなお話をされておられました。このところ4選が多くなってきているのもそういう時代の大きく動き始めている時と重なっているのかなというふうに私は推測しています。

朝日

時代の動きはじめ、今社会の大変動期とありましたけれども、例えばどういったところの変動期というと、もう少し具体的に、どういったところの、今大きく動いているという…。

知事

間違いなく。ご存じのとおり、人口動態の変化やすごい勢いでのグローバル化だとか、社会の全体的な変化、そういったものがもうかつてないような動きではないですか。今までは考えられなかったような状態ですよね。まさかシャープがこけるなんて誰も考えてもいなかったでしょう。亀山モデルなんていうのは私の家のテレビにも付いていますが、亀山モデルと。それが閉鎖しているわけですから。ある時期ではそれが先行のモデルだったわけですから。そんなに昔の話でもないんですよね。そういうことがやっぱり起こっているので、強力な自負心をお持ちではないのでしょうか、皆さん。

朝日

もう1点なのですけれども、4選というところで言うと、北海道はそれで4選を果たしているわけなのですけれども、その過程で世論というか、さほど以前10年前と比較して多選への批判というのが、これはあくまで私の個人的な感触になるのですけれども、さほど大きくなってなかったのかなという感じを受けたのですけれども、世論が当初10年前と比較して多選への抵抗感というのは変わってきていると知事は思われているでしょうか。

知事

一概に言えないかもしれませんが、首長さんたちも何て言うのでしょうか、やっぱりこういう時代の変遷期というのは皆さんが安易に退出しにくいような状況もあるのではないでしょうか。それを認めていただいているのではないでしょうか。そういう自負心というのでしょうか、それを有権者の方々が認めてらっしゃるのではないのでしょうか。もし認めてないとすれば、対抗馬の方々に、一般的には4選目から多選ですよね、その4選の方々が結構敗れていないですよね。だから、そういう点では有権者の方々が敏感に時代の変遷を見ていらっしゃるのかもしれません。

多選自粛条例について

読売

今の多選自粛の関連でお伺いしたいのですけれども、昨日の議会後のぶら下がりで知事がおっしゃたのは「以前は観念論として多選の弊害を申していた」と、「当時多選の首長さんもおられて大変迷惑をかけた」と、「横柄な構えだった」というようなことを発言されたと思うのですけれども、ということはつまり多選の弊害を当時初当選の時に主張した、また多選自粛条例を主張ということは、今考えれば失敗だったのかつまり若気の至りだったのかというお考えはあるのでしょうか、そこをお聞かせください。

知事

失敗とかということではなくて、12年前と現在というのは見方が異なってきているということですよね、12年前はやはり当時、前知事のファミリーの事件があり、一種の何ていうのでしょうか、政治を刷新しなくてはいけないという一連の大きな流れの中で、将来に渡ってそういうことが可能になるように、多選の弊害なんかも起こり得るという観念論を1つ掲げて27のマニフェストの中に入れた。そういう経過があります。当時私自身も多選の弊害があり得るというふうな認識を持っておりましたし、かつて自民党の例えば後に総理やそれに準ずるような人たちが知事の多選禁止法という法律を作られて、名前まで連ねて、結局上程はされなかったわけですけれども、そういう研究までされた経過がありました。そういうのも私は見て、研究もしていましたので観念的にそういうふうな気分というのはありました。そういう気分で、さも自分の方が正しいという考え方で臨んでいた可能性があるので。とすれば当時の多選の首長さんたちに対したり、あるいは多選の首長さんを支持している人たちに対して大変上から目線だったのかなという意味で自らの不明を恥じる、そういうことを申し上げたつもりです。

読売

とすると、今考えてみるとそんなに多選の弊害とかっていうのは選挙のトピックであるとか、あまり強く押し出すものでは、今時代の変動があるとおっしゃいましたけど、現状においてはそういう必要が無くなってきている時代かなと。

知事

もう現実に多選で何人も当選されている人たちがいるわけですから、4期以上をもし多選ということであれば、そういう人たちに大変失礼な話になってしまいますので、有権者を馬鹿にした話になってしまいますので、多選の弊害というのはやっぱり有権者が決めることだと。理論的に何か言うべきものではないというふうに私自身は今思っています。

中国での二階氏との話について

読売

もう1点なのですが、知事選に関してなのですけれども、自民党の二階総務会長が、日本の同行記者団との内政懇で上田知事から知事選への並々ならぬ決意を感じたというような発言をされているのですけれども、中国では二階さんとは結構そういう知事選のお話をされたのでしょうか。

知事

よく記憶はしておりませんが、並々ならぬ意欲をもって説得をされておりました、二階先生の方が。二階先生の方が並々ならぬ決意で私を説得されておりました。

読売

どういう方向で説得を?

知事

どっちかというと逆だったと思います、はい。

(終)

知事記者会見テキスト版 平成27年5月19日

録画を見る(約54分)

平成27年5月19日(火曜日)

知事発表

埼玉版ウーマノミクスプロジェクトの新たな取組

埼玉版ウーマノミクスプロジェクトの新たな取組についてのパネル(PDF:1,282KB)

知事

こんにちは。今日は、埼玉版ウーマノミクスプロジェクトの新たな取組について、県民の皆様にお知らせをしながら、また改めてこの取組にご協力をお願いしたいと思っております。

企業での取組の促進については改めて、これまでも大変大きな力を3年間いただいたのですが、女性の活躍するフィールド拡大事業、後ほどご説明しますが、例えば建設業であれば女性の方のヘルメット姿というイメージが無い訳ですが、実は、こちらの方も非常に職種としてきめ細かい部分なんかがあるので重要だという、そういう認識が現場にありますので、そういった部分をどう広げられるかという課題に取り組んでいこう。それから、まさにムーブメントが大事なのですけれども、さらにどんなムーブメントがあるのか、改めて企業の皆さん達にも知恵を出していただいて、やろうということを後ほど説明したいと思います。こうした(1)、(2)に係るこれまで3年間の実績を踏まえて、具体的に埼玉県の女性就業率の向上などがあったのか無かったのかなどについても、参考資料として提案していきたいと思っています。

これまで、埼玉県としては企業トップへのアプローチを平成26年から5,111社アプローチをしてまいりました。それから、短時間勤務制度普及のための企業訪問を2,049社やって、多様な働き方の実践企業を認証するようなかたちをとってまいりました。要するに、普通だと8時から5時までという企業であれば、子育て中に関しては9時から4時でいいですよ。もちろんその間の給料が下がる訳ですが、キャリアを減らすことなく、あるいはキャリアが無くなることなく仕事を続けながら子育ても頑張るという。そういう事を許容していただく、あるいはまた自由な働き方そのものを実践していただく。そういう企業をどんどん認証していただいておるところでございますが、すでに26年までに1,532社。本年度は2,000社それを登録して、より埼玉県下で広げていこうと考えております。

加えて、先ほど申し上げましたように、商工会議所などの経済団体や女性従業員の比較的少ない業界団体と連携しまして、女性の活躍事例などを紹介したりして男性の職場というイメージを払しょくしよう。そのためには経営者向けのセミナーの開催や企業トップの理解の促進を進めて、女性社員そのもののネットワークをどんどん広げて、女性社員がいわゆる今までないような事例、例えば、今申し上げたところですが公募をしました。そうすると川越商工会議所、川口商工会議所を始め9経済団体が手を挙げていただきまして、「うちでもやるぞ」。それから業界団体12団体、特に建設業協会だとか電気工事、空調衛生、何となくヘルメットをかぶっているイメージがありますよね、男性が。そのイメージ、あるいは最近ではトラックの運転も女性の方がやっておりますけれども、そういうこれまでは「男性の職場」というイメージがあったところに、実はきめ細かい作業など女性が活躍していただく場面も多いのだということもはっきりしておりますので、「この機会だから」ということで12の団体が、それぞれのメンバーの企業などに働きかけて、会員企業数の合計44,000社のところに働きかけながら、6月から団体ごとに基礎調査を行って、コーディネートをしながら団体ごとの課題を抽出して、どう取り組むかを明らかにして、8月から県と各団体と打合せをして「どうすれば女性の活躍するフィールドを拡大できるか」をこの8月の時点で大きくアピールしながら、具体的に女性の方々に一般的に「男性の仕事場だ」といったところにたくさん入っていただく。これを今年大きな取組の目的にしようというふうに考えております。

もう1つ、先ほども申し上げましたように、各企業が取り組むところを認証しながらホームページで「どんな働き方をしているのか」ということを発表することで、他の企業が学ぶというまさにムーブメントを作ってきた訳でありますが、さらにそれを徹底していこう。これまでは「SAITAMASmile Womenフェスタ」などをやって2万人の方々に集まっていただいて、出店者数113社、協賛社59社などで非常に華やかな、例えば子育てをしながらいわゆる小さな企業を開いた方々の成功の話だとか、そういったものを学びながら勇気をもらうとか色々なことをやってまいりました。あるいはウーマノミクスプロジェクトに協賛をしていただく東武鉄道や西武鉄道などがウーマノミクス・トレインというかたちでラッピングをした列車を走らせていただいたり色々そういう協賛企業がございました。加えて「働いているお母さん」、「働いている同僚」、「働いている先輩・後輩」などを応援するメッセージを応募して、そうした人たちを発表することで女性の活躍を応援するメッセージをどんどんやってきました。

27年度は更に加えて、企業そのものが出来るだけ「女性が働いていることが非常にすごいんだぞ」ということを応援していただく。その具体的な取組は、県が配布するグッズなどを使ったPRだとか、企業独自の取組でPRをしたりします。もちろん、この「SAITAMASmile Womenフェスタ」だとかこういったことは、継続的にやってまいりますが。

具体的には、県の方で「何だ、この程度か」ということですけれども、(知事のウーマノミクスPR名刺を持ちながら)これは女性を応援するメッセージカード、つまり名刺でありますけれども、例えばこれは「埼玉県知事上田清司」というのが書いてあります。「何だこのピンクの派手なやつは」と、こういうイメージでありますが、まさに「このウーマノミクスプロジェクトのムーブメントづくりに私もお手伝いをしています」ということが分かるようにしていく。したがって、仮に埼玉りそな銀行なら埼玉りそな銀行の社長さんがこういう名刺を使っていただけるとすれば、それはそれで「うん、何だ?」ということで話題提供になる。こういうことをどんどんやっていこうというかたちでウーマノミクスPR名刺を企業トップの方が「セカンド名刺」として活用していただきましょう。あるいはロゴマークのバッチを使っていただきましょう。タクシーなどにステッカーを使っていただきましょう。PRポスターを貼っていただきましょう。

一方では、企業独自のPRを行っていただきましょう。プロスポーツチームではオーロラビジョンで選手出演による女性応援団のための動画を放映していただく。あるいはコンビニエンスストアでは、女性視点の商品開発とかそういったものを販売するとか。あるいは大型商業施設なんかではタイアップイベントなどを行っていく。もうすでに女性の視点で商品開発がいくつもされている訳でありますが、あえてまたそれを強調することで「なるほど」ということで「女性は色々なかたちでの活躍の場があるんだ」ということを知っていただいて、大きなムーブメントにしていこうということを本年の6月から来年の2月までこのムーブメントづくりの第2弾をやっていこうと考えております。また、この応援団として活躍いただける企業等を募集して、これをアピールすることで、ホームページなどを紹介することで、企業全体のいわば「価値」というのでしょうか、企業の「価値」を上げていただきたいと考えております。目標を、この期間中に1,000社考えているところです。

そこで、埼玉県の女性就業率等の推移でありますが、15歳から64歳までのいわゆる生産年齢人口でどうなのか。なかなか正直なところ苦戦をしているのが実情であります。女性の就業者数が平成20年から23年まで、必ずしも増えておりません。しかし、女性の就業率に関してもジワジワと上がってきております。平成23年には57.9パーセントが平成26年に61.8パーセント。就業者数も4.9万人増えています(後に追加)。全国と比較したらどうなんだということになってきますと、埼玉県では132.9万人が137.5万人で約3.5パーセント増えています。全国では1.7パーセントです。じゃあ「埼玉県頑張っているじゃあないか」ということになりますが、これも考え方が色々ありますので、一概にこの事も言えないと思います。例えば比較的「まるビ」になってきているので、個人の所得が減ってきていますので、実質賃金が減ったりしていますので奥様も働き始めた、こういう側面からの切り口もあるかもしれない。あるいはまた「アベノミクス」の関係から、正規の労働者はさほど増えていないのですが非正規の労働者は格段に増えてきておりますので、この流れの中での雇用人口が増えているのではないか、女性就業者が増えているのではないか、こういう見方もあるかもしれません。ただ言えることは、全国的にそういう傾向の中で、埼玉県が少しそれを上回っているということでございますので、決して埼玉県のウーマノミクスプロジェクトだけがこの原因を作ったということではありませんが、しかし前向きに考えて、こうしたことも何らかのかたちで役に立っている。こんな風に私たちは受け止めておりますので、これに満足することなく、まさに子育て支援をしながら同時に女性のキャリアアップが可能になるような施策を埼玉県下の事業者の皆さんたちと協力して展開していきたいということで、まさしく埼玉版ウーマノミクスプロジェクトの新たな取組を更に進めて行こうと考えているところでございます。以上です。

東京

女性の活躍するフィールドの拡大を図っているということですけれども、一般的に女性のキャリアのことを考えると出産と子育てをきっかけにキャリアを諦めざるをえないというケースが非常に多いのだと思います。一方で、企業側からすればその間本来は育休なり産休をとって復帰をしたり、時間を短縮しながら働いてキャリアを継続するということが一番望ましいとは思うのですけれども、企業側からすればその間「人の手当をどうするんだ」とか、実際それがそういう雰囲気になって働き続けにくいという女性の立場というのも影響しているかと思うのですが、実際そういう制度、体制的になかなか今の体制のままでは難しいという企業が現実としては多いということも指摘されていると思うんですが、この辺についてはもっと抜本的にうまく人に手当てができるようなかたちで企業側の努力が必要だとお考えか、もしくはそういうことに向けて、県としてもし必要だと考えるのであれば、どのようなかたちでリード、リーダーシップを発揮していきたいと考えていらっしゃいますでしょうか。

知事

まず、景気の回復の動きが都市を中心に行われているということは事実だと認識しております。それは製造業が海外に移転する中で人口比例的なサービス産業が都市に集中する。そこでは例えば私ども団塊の世代の人間が毎年5、60万人ぐらいリタイアしていく、それをカバーする人たちは実はいなくて30万くらいしか入ってこない。これは現況ですので、人材が不足しているという局面がすでに起こっています。特に3Kと言われるような、きつい・汚い・苦しい、こういった比較的現場力が強いところに人手が確保できにくいというのがあります。こういう実態の中で女性の戦力というのが各企業においては非常に重要視されてきている。この動きをたまたま3年前からのウーマノミクスプロジェクトと重なってきましたので、ある意味では企業側のご理解もよく進んできたところです。特に、例えば病院なんかの院内保育、これは県などが一定程度の補助金を出すことで、病院あるいはそれに準ずるような施設で院内保育をすることで看護師として頑張っているお母さんたちが辞めずに済んでいるという、そういう事態が明らかに統計上、ちょっと今数字で示すことが出来ませんが、後ほど要求があればお見せしたいと思いますが、明らかになっています。また、一年の産休は当然のこととしても、そのまま辞めてもらうよりは何らかのかたちで復活していただいて、戦力になっていただいた方がありがたい。ただし、働きながら子育てをするというのはじいちゃんばあちゃんが隣近所あるいは一緒にというかたちになれば比較的それは楽です。けれども、そうでない方々は、やはり1時間出社時間を遅らせていただければ、子供を保育所とか幼稚園に預けてから出社できる。それから1時間早く帰ることができればちゃんと保育所・幼稚園に迎えにいくことができる。そして最小限度の家事などもできる。そういうことについての理解のある企業がまさにキャリアの女性を確保することできる、こういうことができております。それも明らかにそういうことをやり始めたところでの定着率の高い部分などが埼玉県のホームページなどでもそういう企業を紹介することで、それに追随する動きをしていただいているところでございます。まさに多様な働き方を実践する企業をホームページなどで紹介しております。この部分が間違いなく女性の新しい働き方についての啓発活動をやっていただいている。これは間違いのない事実でありますので、こういうことを繰り返してやりながら社会全体で子育てというものを応援する、企業が特に応援するというムーブメントを創ることがとりわけ重要だと。よく私はこのことについて週休二日制の話を申し上げております。週休二日制はいきなりできたわけではありません。いわゆる官公庁で、それと大手の企業で週休二日制をスタートしましたが、私もよく衆議院候補者として零細企業を回っておりましたけれども、土曜日も働いておられました、最初は。それでも月に1回くらいは連休を作ろうということで努力をされ、隔週土曜日休みにしようといって、今では零細中小にいたるまで週休二日制が定着してきているところでございます。そういう意味でも現在では必ずしも女性の多様な働き方について「中小零細は困難ですよ」と言っているところが多いです。多いですが、週休二日制と同じように、できるところからどんどんやっていただいて、それを全体を進めていくうちで中小零細のところでも、そういうことをすることで人材を確保できるというふうなかたちになるように私は努めていくべきではないかと考えているところでございますので、広く県民の皆さま方に、この埼玉県の埼玉版ウーマノミクスプロジェクトを広めてご理解いただきたいと考えています。ちょっと長くなって申し訳ありません。

東京

もう一点なのですが、先ほど、女性の就業率の数字のところで、苦戦をしているという評価の部分と、それから一方で、全国的な社会情勢なんかも背景に、県の取組も役立つ形で伸びている部分もあるとおっしゃいましたが、そもそもこの61.8%という数字とか、137.5万人という数字、これは、今後目指すべき姿において、例えば、それを10とすると、どのあたりの達成度だというふうにお考えですか。

知事

あの、実は強調したかったんですね。「明らかに全国の推移よりも埼玉県の方がいいじゃないか」と。ただ、そこまでは、私達が誇示するにはちょっと辛い。色々な要素がありますので、女性の就業率は。例えば、県の政策の部分に同調できたので、企業としてそうできた。故に入った新しくというものもありますが。企業がたまたまそういうことを企画していてうまくいったですとか、たまたま家庭の事情で働かざるを得なかったとか、色々な事情がある中で、「埼玉県の政策だけでこうなりました」と言うにはちょっと辛い部分がありますので。色々な要素があるでしょう。しかし、色々な要素というのは埼玉県だけではなくて全国でも同じようにあるでしょう。そういう意味でいささか埼玉県のほうが勝っている部分があるので、この部分に関しては若干、私達なりに少し評価をしていいのかなと思っているところでありまして、絶対的な評価とするほど私達も思い上がっていないというふうに思っています。ただ、一般的には政策を打ち込んで、しばらく上手くいかず、あまり数字が出てこなくて、ある時期から加速度的にできあがってくることがありますので、そういうものがもし、もっと出てくれば、あるいは私達の成果だということも言えるのかもしれません。そういう時期というのがございますので。例えば、高校の中退率なんかでも、最初のうちの上がり方は小さかったのですが、ある時期にぐっと上がっていくとか、いくつかそういう事例もありますので、今の時点では、「私達の成果です」ということを強く述べるにはまだ早いのかな。ただ若干、「少しいいのかな」という程度に留めています。

朝日

関連してなのですが、帝国データバンクの調査で女性社長の割合、埼玉県6.6%で、全国でも39位と低いという発表もあったのですけれども、知事が掲げられているウーマノミクスプロジェクトでは、管理職の女性を増やすというのは考えられているのでしょうか。さっきお話にあったように、一旦出産とかで退職して、そのあとパートで仕事に就くというのでもいいというお考えなのか。そのあたりをお聞かせください。

知事

あの、基本的には両方だと思います。あと、一般的に社長の多い県ほど高齢化が先に進んでおります。私が確認している限りにおいて、若い県ほど社長が少ない。埼玉県もまだ平均年齢の若い県でありますので、これから、そういう意味では人口構成上、若い人が多いところに社長の数が多い訳がないと思います。そういう意味では、やはり人口構成上の課題もありますので、実際、首都圏の人口の若い県ほど、社長の数が少ない傾向があるというふうに私たちは読んでおりますので、ある程度はそれはやむを得ないのかなと思っております。埼玉県の県庁の職員の女性管理職の数がまだまだ少ないのと同じであると思っております。ただ、やっぱり、その部分の層が確実に厚くなってきておりますので、今後そうした部分では増えていく可能性があると思っています。そんなふうに理解しています。

朝日

社長の平均年齢が上がったほうが、男性社長が亡くなった後に女性になることが多いからということですか。

知事

ん?

朝日

女性の平均年齢が若いほうが女性社長の数が…。

知事

平均年齢が低いほうが、女性社長の数が多いというお話ですか?

朝日

すいません。さきほど、おっしゃっていたのは、多いわけがないということでしたが。

知事

ええ、一般的に、平均年齢が低いところほど、女性男性関わらず、社長の数は少ない、対人口比の中で。そういう傾向があるということを申し上げたつもりです。男女関係なく。従って女性の社長も当然少ない。ただ、女性向けの仕事の多い地域や県などがあれば、比較的そういったところを優位に採用している可能性があるかもしれません。この辺はちょっと、地域別に確認してみないと分かりませんが、確認した上で、お答えできれば、また、お答えしたいと思います。

その他

日中観光文化交流団について

日経

今週後半から中国に行かれますけれど、今回は中国訪問、観光とか、講演等が主目的と聞いておりますけれど、中国でどんなことを取組になるか、伺えればと思います。

知事

基本的には県内2020年までに、つまり東京オリンピック・パラリンピックまでに外国人観光客を100万人にしようという目標を挙げております。それから県議会などでも、外国人の観光客の誘致について、特段関心の高いご質問や提言も頂いているところでございます。実際外国人の旅行者の訪日客数も昨年レベルでいくと1位が台湾、2位が韓国、3位が中国。で、これが本年になりますと、3月末の数字ですが、94万人で韓国、2位が今度は中国が上がってきておりまして92万人。それから、消費動向調査の旅行消費額(後に追加)では、中国が圧倒的に1位で、一人当たり23万円、で、2位の台湾が12万5千円。それから韓国が7万5千円というかたちで、こと消費者動向に関しては外国人平均が15万円のところを中国が圧倒的で、したがって同じ観光客を呼ぶのであれば、中国の方を呼んだほうが、消費拡大につながり、各受入先については、利益が出やすいということが一般的に言われるのではなかろうかと思っております。そういう意味でまだまだ反日の空気の中でもコンスタントに中国人の訪日客が増えている。若干、雪解けムードが出てきている最中でもありますので、二階俊博衆議院議員を団長とするこういう企画があり、またお誘いもあり、北海道、福井、奈良県知事も同行されるという話もございましたので、「これはいいチャンスだな」ということで、なお、現地でシンポジウムの講演の枠だとか、パネラーの枠だとか、そういうアピールするチャンスがありますので、まあ、東京などには皆さん来るわけですから、東京に一番近い埼玉県は、ある意味では「東京に来られた方をうまく引っ張りこめば、かなりのインパクトのあるかたちがとれるかな」と思って、この機会に、せっかくの機会ですので、国家旅遊局を中心とする中国側の窓口とも大きくパイプを拡げてこようということで、今回訪中の企画を立てたところです。

日経

今お話しがありましたが、団長のほか、国内企業も旅行関連を含め多数同行されますけれど、そういった方々との情報交換、会談等は、ご予定としては。

知事

何かVIPグループとその旅行業関係の皆さんとは分けられるようなニュアンスのことを聞いていますので、どこまで、例えば、埼玉県の旅行業者の皆さん達と親しく交流が取れるか確認までは取れておりません。まあ、でも、こういうかたちが、縁が出来れば、今後埼玉県の旅行業協会の皆さん達と、これを機会に県とタイアップした動きなどもできるのかなと思っておりますので、1つの縁を2つも3つも利用するような努力はしていきたいと思います。

東日本大震災の復旧・復興事業への地元負担について

埼玉

東日本大震災に関連したことで知事のお考えを確認させていただきたいのですが、政府が現在の集中復興期間を終えた後、今度、新しい復興期間に道路事業などに地元負担を一部求めるという方針を出しましたけれども、全国知事会の復興協力本部長としての立場もありますが、知事としてはこの方針についてどのようなお考えでしょうか。

知事

基本的にはそのような動きがあると聞いておりましたので、竹下復興担当大臣のところにも、「そういうことがないように」という要望と意見交換をしてはまいりました。「基本的なことに関しては大きく動かすつもりはない」との話でしたが、「しかしモラルハザードになるといけないので、一部負担していただこうという考え方は政府部内で大きくある」ということをその時にはお答えをされておりましたが、残念ながら私どもが期待するかたちにはなりませんでした。で、懸念の無駄遣いの話なのですが、これはちょっと政府側に論理的矛盾があると思います。この復興財源についても各省庁の枠の中で全部使い道に関してはチェックされているんです。チェックした側が無駄遣いがあると言うのは、「チェックができなかった」ということにもなるんです。おかしなことを言っておられるなと私は思っております。チェックをされた側が「無駄遣いがある」と言うのはなんか論理的矛盾だと思います。チェックしないで渡したというのであれば話は別だと思いますが、結構細かくチェックをされておられますので、基本的には無駄遣いがなかったというふうに思っております。もし言うとすれば、「自分たちが行っていたチェックの仕方等に課題があった。故に違う切り口で見ているうちに、これは無駄遣いであった」というようなそういう話ではないかなと私は思っております。復興途中の自治体、3県を中心とする各市町村も含めた自治体が、無駄遣いだったと言われたら身も蓋もない話ですので、被災者の人達の心を傷付けると思います。したがって、もし言われるのであれば、「基本的にはチェックをしていたのだけれど、チェックの仕方に課題があったので、見直した結果こういう問題があったので、ごめんね」という世界だろうというのが基本ではないかなと私は思っております。そういう言い方であれば、受け止め方もあるのではないかなと思います。ちょっと今の政府の物の言い方というのは若干、受け止める側としてはちょっと辛い話かなというふうに思っておりますので、また機会があれば、言い方を変えて頂きたいなと思っております。

オスプレイの横田基地配備に関する県の対応について

埼玉

オスプレイの関係で伺いたいのですが、17日(日本時間18日午前6時)にハワイで着陸に失敗して1人死亡する事故が起きました。そのオスプレイの配備先が横田基地に決まって、入間市や飯能市、日高市が安全性を不安視しています。で、防衛省に説明責任を求める要望書を提出しましたが、騒音測定など知事として、3市に対してどのような支援ができるというふうに考えていますか。

知事

はい。5月12日に配備についての連絡がございました。それを受けてまさに3市は、「通知だけじゃダメだよ、ちゃんと説明責任を果たせ」という文書の申入れをされました。この時点でいい判断をされたと思っておりましたので、見守っていたところでございますが、5月18日未明に、ハワイで墜落事故があったということがございました。それを受けて官房長官の会見の中で、「事故の原因の究明などは迅速に対応していきたい」とアメリカ側が言ってきたということでその推移を待ちたいということを政府として言っておられる。ただ、それではなかなか済まないなと思っておりますので、内部的に検討しておったのですが、明日付けで、北関東防衛局長に対して、私の方からきちっと申し入れをしたいと思っております。基本的には政府間の取り決め、政府間の説明などが中心だと思いますが、該当する現場を持つ知事とすれば、やはり3市の趣旨を活かして、速やかにアメリカから説明が、究明がされた後にはきちっと、基地対策協議会のメンバー全体に対して、県も含めて、きちっと場を設けて説明して頂きたいと、こういう申入れを明日付けでやろうと考えております。このことが結果的には3市の支援につながるし、3市だけではなくて関係している14の市町の基地関連の埼玉県基地対策協議会のメンバーに対してもきちっとした対応ができるというふうに私は考えております。当面政府の出方待ちでもあるのですが、私たちは私たちで北関東防衛局を通じてきちっとルートを作っておきたいと思います。

維新の党の代表交代について

読売

大阪都構想の住民投票をめぐって、橋下大阪市長が政界引退を表明されて、あと江田代表も辞任されました。間もなく午後に、松野頼久さんが新代表に選出されるという予定なのですけれども、維新の党の存在感の低下とか、民主党との連携が強まるのではないかとか色々言われていますが、この橋下さんの政界引退という判断と松野頼久さんの新代表選出について、受け止めというか、どういうふうに見られているかを教えてください。

知事

もう決まったのですか、松野代表は。まだ決まったわけではない…。

読売

間もなくの予定です。まだ決まったわけではないが、ほぼ決まりと。

知事

決まる可能性が高いということですか。橋下徹大阪市長に関しては、まさに江田代表が、稀有な政治家を惜しくも失うことになってしまうことに関して、サポートできなかったということで責任を取られたというお話でありますが、やっぱり日本の政治史上の中でも、とりわけ今日の政治家群像の中で稀有の能力を持った方だと私も思っております。抜群の発信力もありますので、こうした発信力がいろんな意味で改革の道しるべになる可能性というのはやっぱりあると思います。とことんそれを追っかけて成就できるかは別にしても、問題点を明らかにすることで他の方々も取り込むことができるという、そういう意味でもリーダーとしての役割を果たして来られたというふうに私は思っております。残念です。引退ということですけれど、ボクシングの我が県のヒーローであります内山高志選手も一旦は引退した後に出て来てチャンピオンになった事例もありますので、引退した後にまた出て来られることもあってもいいのではないかなと思っております。

それから、松野幹事長が新代表になられるということであれば、民主党出身ということもあり、どちらかといえば自民党以上に民主党との人脈などが多いと思いますので、あるいは、野党再編成のキーマンとして今後注目されるかたちになるのかなと思っております。少なくとも、Aという政策があれば、それに対するBという政策が提案されるということで論点が明らかにされる部分がありますので、一点だけしか論点が出て来ないというよりは複数論点が出て来る方が望ましいと私は考えております。一強多弱ではなくて、弱までは行かない、真ん中くらいのところまでは来てもらいたいなというふうに思っていますので、色々な意味で野党の連携を進めて、常に選択肢を広げていただきたいなと思っています。

簡易宿泊所への指導について

テレ玉

川崎市の簡易宿泊所で5人亡くなられた火事が起こりましたけれど、不勉強で申し訳ないのですが、県内にそういった施設がどれくらいあるのか、またそういった調査等々が行われているのかと、あと何か指導徹底されるお考えがあるのかをお聞かせください。

知事

取り急ぎですね、国土交通省の住宅局建築指導課長から全国の建築主務部長あてに「簡易宿所に係る違反対策の徹底について」という通知文が届きました。この通知文を受けて、最小限度調査をしなければならないというわけでありますが、川崎市で行われたような簡易宿泊所というのは埼玉県では例はありません。似たようなものはありません、基本的に。

ただ、例えばバンガローであるとか山の家とか、そういうものが民宿とかで秩父エリアに多くあるという事実はございます。違法に建築されているかどうかというのが一番の問題になっておりますので、建築安全課だけではなく、どちらかというと建築安全課というのは出来た時点での確認をしていて、その後、変更されたりしていると見えなくなったりする部分がありますので、どちらかというと消防の方がそういった部分を確認したり、あるいは地域の情報が入ったりしてチェックしている可能性がありますので、そういったところと打合せをしながら、そうした危険的なもののチェックは最小限度というか、「違反行為になるのかならないのか」、また「是正行為が必要なのかどうか」ということをやらなければならないと思っています。

既にご案内が、18日の時点で通知が届いておりますので、早速関係の部課などでどういうふうなかたちで進めていくか議論をしているという報告だけは聞いています。ちょっと細かくは知りませんので、もし何だったら後で確認してください。

知事就任当時考えていた多選の弊害について

朝日

知事選に関係してのお話で、ちょっと一点伺いたいのですけれど。今の知事のお考えというか、多選についての知事のお考えを伺いたいのです。全国的に条例とかを見ても3期12年というのが一般的な線引き、ラインなのかなと思っているのですけれど、当初知事が就任された時は、禁止条例だったか自粛条例だったかは別としても多選というものについて、知事ご自身はある意味で否定的なお考えをお持ちだったのかなというふうに思っているんですが、当時そういう条例を作る必要があるというふうに思われていた理由と、今、12年、もう間もなく12年になりますけど、やってみて、この多選というものについてのお考えが、例えば変わった点とか、良い面が見えてきた、何かやることに意義が見えてきたとか、その辺がもしも知事の中でお考えあればちょっと伺いたいのですけれど。

知事

一般的には多選の弊害というのは、マンネリだとか、特定の人事構成になっていくとか、あるいは業界団体との癒着とかで不祥事が起きやすいとか、そういう部分がよく多選の弊害というようなかたちで言われておりました。一般的にはそうなる可能性が高いのかなというふうに当時思っておりました。一般的にそう思われていたし、そういう意味で、国会でも知事の多選禁止などが法律で検討されたこともございました。そういうものに対して、基本的なことについては、私は賛成する立場におりました。

したがって法律上禁止はできないのですが、自粛したりすることは可能じゃないかと、ただ言葉で「自粛します」ということよりも条例上で自粛をしたら、なお精神的にも政治的にも自粛しやすいのではないかという意味合いを込めてやりました。

じゃあ多選の弊害があるのか、ないのかということを自分なりにどんなふうに考えていくかというと、基本的には自制をずっとしてきたつもりであります。自分自身が常に己を顧みて、「きちっと仕事をしているかどうか」、「偏った人事をしていないかどうか」、あるいは「マンネリにならないように色々な人たちの意見を聞いているかどうか」とか、そういった部分で私に実害があるという話はあまりというか、ご指摘をあまり受けたことはございません。県議会の中でも、あるいは実業界の中でも、あるいは比較的自分に言葉汚くものが言えるような人たちでも、そういう実害は聞いたことがありません。

そうするとそこそこ多選の弊害というものはまさに個人にもよるのかな。そして、それをブロックできるような仕組みを作り切れるかどうか、そういうことにもあるのかなというふうには思ってきております。単純ではないなと思いました。自分自身を振り返って意識的に自制することとか、色々なことをブロックする仕掛けというのでしょうか、そういうものを自分なりに作ってきたつもりです。具体的にここで申し上げるには長くなってしまいますが、そういうことが実際あるので、例えば、上田県政の中で、私や周辺で誰かが事件に関わるような話があったか。一度もございません。私が登用した部下の中で、公正公平に欠くような仕事をしている奴がいるかどうか、もちろんケアレスミスや、最近なんかは特に「何か触ったとか、触らなかったとか」そういう事件は起きていますが、そうではなくて「県民に対して公正公平な仕事をしてないじゃないか」とかいうことで指摘を受けているかというと、そういうのはほぼない。そうすると、多選だとそういうことが起こりやすいと言われているのですが、場合によってはそういうことを防ぐことも可能なのかなという思いを持つようにはなりました。もう私自身の12年前の考え方は受動的にそういうものだと思っておりましたので、ただそうではないんだなということが場合によっては自分自身あるいは周辺の人たちの考え方によっても変わってくるなと。

私は常に知事室長や副知事には「諫議大夫(かんぎたいふ)になれ」と、それで文句を言う人を登用したいと。おべんちゃらを言う人は遠くに退けたいというかたちで。おべんちゃらを言う人たちはびっくりしているのではないでしょうか、遠くに行ってしまったので。そういうやり方でやってきていますので、年がら年中「知事これは」と言って、いろいろ言いに来る方々がいます。先ほどのこれなんかも(「パネル(6)(参考)埼玉県の女性就業率等(15~64歳)の推移」を指しながら)「頑張っているじゃないか」と言った途端、文句を言われました「いやウーマノミクス(後に「アベノミクス」に訂正)のせいかもしれませんよ」「まるビになったからかもしれませんよ」とか「一概に埼玉県の頑張りだけでこれが増えているとは言い難いでしょう」と即座に指摘されました。

確かにそのとおりだ。もし私が言いにくい人間だったら言わなかったでしょう。言ってムッとして右向いたり左向いたりして怒った顔をしていたら絶対言わなくなるでしょう。「ああ、そうか」と言って受け止めているので、多分あっさり言ってくれているのではないかと思います。だから、心構えの問題かなと思ってきました。そういう点では間違いなく心境の変化があります。

朝日

あと一点なのですけれども、就任する時、12年という、いろいろ1期目知事になられた時にやるべきこと、やりたいことというのがあったと思うのですけれど、この12年という期間で、やりたかったことをやり遂げる期間としては12年という長さは短いのでしょうか、長いのでしょうか。

知事

正直言って、私には12年計画というのはありません。1期目は4年ですべて終了できるような仕掛けにしていました。2期目の時には8年計画というのはございます。「みどりと川の再生」は8年計画です。仮に4年で辞めても、「ぜひこれは8年やっていただきたいな」という意味で8年計画にしております。時間との関係でその程度は時間がかかるというのが計算上ある程度出ていたからです。基本的には1期1期片づけていくべきものだと考えています。

ただ、一定程度のものはずっと継続していくと思います。例えば、この「ウーマノミクスプロジェクト」などは、確かに3期目の一つの目玉ではあるのですけれども、この動きは多分誰が知事をやろうとやるべきものだろうと思っております。「エコタウン」もそうだと思いますし、「健康長寿」もそうだと思います。常に私は部下の皆さんと話す時は「これは誰が知事だろうと心掛けておいてほしい」というようなこと良く言います。人事の登用の仕方についてもそうです。「誰が知事であろうとこういう考え方を持っていた方が良いよ」と、その年のメンバーの中で一番相応しい人を選ぶのではなくて、何年か先にどういう人たちが揃うだろうかという時に「この部署には人材が薄くなっているね」とか、「じゃあ人材の厚いところからコンバートしておかないといけないね」とか、「そうりゃもう3年前、4年前から意識してコンバートもしておかないといけないぞ」とか、「こういうのは誰が知事になっても必要だ」と、「だから意識的にちゃんと誰が知事になってもそういうことを提言できるように、心してやれよ」というようなことを言ったりしています。

結局、最終的には県民のために何を成すべきかということが一番のポイントですから、往々にして人事は自分たちの処遇が中心になっていますので、うっかりすると自分たちの処遇のための人事になったりしますので、「今いるメンバーの中で一番最適な人は誰だ」という程度でやっていますので、「3年先はどうなるんだ」というところまで考えてなかったりしますので、あるいは「5年先はどうだ」ということも考えた上で、人材を育てたり、登用したりしなくてはいけないというね。これは知事になりたての頃の私は最初分からなかったわけですから。だから、仮に誰が知事になろうとそういうことを事務方の方が意識しないとダメだということです。そういうことはずっと意見交換しています。ちょっと人事の秘密言っちゃったかな、これは。

(終)