少し前になりますが、昨年10月13日(火曜日)の毎日新聞夕刊にあった「直感鍛えて生き残れ」という特集記事が頭に残っています。今日はそれを御紹介します。
 「直感」といえば、実生活ではそれに頼ることも多いところですが、論理や統計を重んじる分野では軽く見られがちです。しかし最近、人工知能やビッグデータに絡んでこの言葉が取り上げられ、その重要性が見直されているそうです。

 脳科学者の茂木健一郎(もぎ けんいちろう)氏は、株式会社東芝の不正会計問題について「トップの指示を忠実に実行するやり方が浸透し、逆に問題が起こりやすくなった気もする。現場は直感を大事にすべきだ。ビッグデータ、人工知能時代の盲点は、数値化できない直感に重きが置かれなくなっていること。おかしいと思ったりしたとき、その直感は案外正しい」と言っておられるそうです。

 また、茂木氏はこう説明します。「直感は、『メタ認知』と呼ばれる脳の機能の一つである。直感のほか、自分をもう一人の自分が外から見つめる、自分と対話する、無意識から発想の種を拾い上げるなどもメタ認知に含まれる。この機能には個人差があって、鋭い人と鈍い人がいる」そうです。

 茂木氏が直感に重きを置くのは「受験エリートのような頭の良さや計算力はいずれ人工知能に置き換えられてしまう」からだそうです。

 米エール大学で脳神経科学の博士号を取得し、現在はヤフー株式会社CSO(最高戦略責任者)の安宅和人(あたか かずと)氏は「直感を得る、全体を見渡す、本質に気付くといったメタ認知は人間の最も高度な知的 能力の一つで、人工知能は手も足も出ない分野」だと言っておられます。人工知能時代を生き残るには直感を鍛えることが大事なようです。

 それでは、直感はどうしたら身に付くのか。安宅氏によれば「直感を得る能力の高い人と一緒にいたり、仕事をすると伸びる。」また、「異質な生の経験を増やす。ビジネスではハイテクなどの一業界だけでなく、転職などで重工業、商社も知っている方が知恵が浮かび、賢くなる。全く関係のない分野の友人を多く持つのもいい」そうです。