2月14日(日曜日)の朝日新聞で、生きた芸術と言われる盆栽について分かりやすく解説されていました。盆栽は平安時代の終わりに既に中国から伝わっていたそうですが、当初は「盆山(ぼんさん)」などと呼ばれ、屋内で楽しむことは少なかったようです。江戸末期以降、文人が新たな担い手となり、煎茶会の場で座敷飾りとして、室内で観賞されるようになったとも言われています。

 盆栽といわゆる「鉢植え」との根本的に異なる点は、自然の持つ力を引き出しながら鉢の上に一つの景色を作り上げていくところにあるそうです。盆栽には基本的な味わい方があります。見る時にはまず、鉢の形や木の形など正面を見極めること、特に松の場合、人が手を広げたように枝葉が左右に広がり、横から見ると軽く会釈したような形が美しいとされています。もう一つは全体を見た後に、少しかがんで見ることだそうです。手入れが行き届いているものほど大樹感が味わえ、大木の下にいるかのような安心感に包まれるとも言われています。幹や枝の一部分が枯れ、白くなったところは「ジン(神)」「シャリ(舎利)」などと呼ばれる老木の風格を感じさせるポイントで、一つの「盆栽」の中で生と死を表現しているとも言われています。

 海外でも人気の高い盆栽ですが、ヨーロッパではアート、中国では縁起物と捉えるなど、芸術性を尊重しつつお国柄により向き合い方に違いがあるようです。樹種も様々で、イタリアではオリーブ、南国ではハイビスカスなどの盆栽もあるそうです。それぞれの国や地域に合わせた盆栽文化が根付いているようです。盆栽の世界も大変広いと思います。盆栽は狭い空間の中に大きな題材を表している、日本文化の象徴的なものだと言われています。狭い国土ながらも大きな志を常に発信している、まさしく日本そのものと言うべきかもしれません。

 ちなみに、さいたま市の大宮盆栽美術館には外国の方がたくさん来ておられます。2014年度の国・地域別観覧者では1位がアメリカ、2位がオーストラリア、3位が韓国、以下中国、フランス、ドイツと続いています。盆栽文化の世界的な広がりを納得させられます。
来年の4月には第8回の世界盆栽大会が28年ぶりにさいたま市で開かれます。ラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピックと、訪日する外国人旅行者をBONSAIの聖地に呼び込み、本物の日本文化を埼玉から世界に発信できれば、よりいいなと思っています。