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 安倍総理は、アベノミクスの果実として積み上がった輸出型企業の内部留保に着目してもっと設備投資や賃上げに反映させるようにと言われています。確かに企業は2014年度時点で300兆円を超える内部留保を有していると言われています。

 なぜそんなことになったのか。これはバブルの崩壊後に過剰な債務、過剰な雇用、過剰な設備といういわゆる「3つの過剰」により逆境に立たされた日本企業にとってコストカットが至上命題になり、正規雇用を非正規雇用に代えるなど人件費を中心に様々なコストカットを行ってきたことが原因の一つと考えられます。そして、リーマンショックを乗り切るためにも、経営基盤を強化し筋肉質の体質に変えるように努めました。また、東日本大震災も影響を与えたかもしれません。いずれにしても、我が国の大企業の多くはしっかりと強靭な体をつくり、少々のことではびくともしないような経営基盤を整えているようです。このことが多額の内部留保の存在となって表れてきているのですが、逆に言うと、リスクを抱え込んででも勝負をしようとする体質が失われている面も否定できません。

 逆に、中小零細企業は正に零細から小へ、小から中へ、中から大へと飛躍するためには、リスクに次ぐリスクを抱えながらもイノベーションに次ぐイノベーションにより、それを突破することでワンランク上の企業に成長してきたわけであります。今の日本を支えるトヨタやホンダの歩みがそれを証明しています。私は、これからの日本の経済的発展は、安倍総理が願う大企業のイノベーションや投資に頼るのではなく、確かな技術と熱い情熱を持った中小零細企業の新たなイノベーションとそこに向けた大胆な投資にかかっているのではないかと思います。もちろん、いくら革新的なアイデアや情熱があっても中小零細企業のイノベーション能力や投資能力には限界があるというのも事実です。また他の企業や大学、研究所などとのネットワークも課題です。

 埼玉県が取り組んでいる「先端産業創造プロジェクト」は、そうした課題を全て解決できるかは分かりませんが、その期待にできる限り応えようとする試みです。このプロジェクトでは、産業技術総合センターや産業振興公社など埼玉県の支援チームに加えて、2,000人からの研究者を擁する国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)とも専門的、先進的な技術分野での連携を行っています。そして、資金の供給や研究開発のマネジメント分野では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けています。もちろん県内外の金融機関による支援にも期待していますし、埼玉県も100億円規模の基金を用意して、このプロジェクトの推進を図っているところです。埼玉県ではこのように中小零細企業のイノベーションや投資を支える仕組みをしっかりとつくっているところです。

 1月25日(月曜日)のブログでも御紹介しましたように、このプロジェクトからはリチウムイオン電池に代わる可能性を持つマグネシウム蓄電池の実用化に向け、大きく前進するという成功事例も出ております。これから多くのイノベーションがこの先端産業創造プロジェクトから出てくることを楽しみにしております。

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