平成27年度「農林水産祭」のむらづくり部門において、三芳町上富(かみとめ)地区でサツマイモの生産に取り組む三芳町川越いも振興会が天皇杯を受賞しました。
「農林水産祭」とは、国民の農林水産業に対する認識を深め、農林水産業者の技術改善や経営発展の意欲の高揚を図ることを目的として、農林水産省と(公財)日本農林漁業振興会が、毎年、勤労感謝の日を中心に開催している国民的な祭典です。
 県内の天皇杯受賞は、これまでに養蚕・地域特産部門や林産部門などで8回の実績がありますが、むらづくり部門では平成22年度の小川町の「下里農地・水・環境保全向上対策委員会」以来2団体目であります。大変名誉なことだと思っております。

 所沢市から三芳町にまたがる三富新田(さんとめしんでん)の一つである上富地区は、東京日本橋から約30km圏内にあり、総世帯数は1,466戸、そのうちサツマイモ、野菜、茶等を栽培する農家が113戸で、専業農家の占める割合が約65.5%と、県内では専業農家の多い地域です。
 三富新田は江戸時代中期に開拓された農地で、1戸あたり約5ヘクタールの短冊状の細長い土地が道路に面して配分されています。その地割は道路側から屋敷地、耕地、「ヤマ」と呼ばれる平地林の3つに区分されており、平地林からの落ち葉を堆肥としてサツマイモを栽培する循環型農法が当時から守られています。
 三芳町川越いも振興会では、そうした伝統に基づいて栽培したサツマイモを「富の川越いも」という商標登録等でブランド化し、直売による収入の安定化にも成功して、後継者も多く確保されているとのことであります。

 また、県内の造り酒屋等と共同で開発した芋焼酎をはじめ、芋ようかん、サツマイモアイス等を製品化するなど、多角的な経営もやっておられます。こうした先進的な事例が成功することによって、他の地区での農業の展開にも大きな勇気を与えるのではないかと私は思っています。「富の川越いも」の美味しさを是非一度お試しください。