埼玉県蓮田市黒浜地内の「新井堀の内(あらいほりのうち)遺跡」において、公益財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団が行った発掘調査で、大甕(おおがめ)に納められた国内最大級の埋蔵銭(まいぞうせん)が発見されました。

埋蔵銭は、15世紀前半に焼かれた常滑(とこなめ)焼の大甕の中にありました。甕の推定容量は280リットルで、国内でも最大級の大きさです。甕には緑泥片岩(りょくでいへんがん)製の丸い蓋(ふた)が載せられていました。このような石蓋が使用されている例は、東京都と埼玉県で5例ほどしか知られておらず、大変珍しいものだそうです。

甕の大きさから埋蔵銭の枚数を推定すると10万~20万枚台の銭が入っているとみられるそうです。一緒に発見された木簡に記された文字が「二百六十貫」とも読めることから、一貫約1,000枚なので26万枚の可能性があります。甕口から見える銭だけで判明した銭種は19種類で、最も多い銭種は永楽通宝(えいらくつうほう)という中国の明の貨幣だそうです。
この甕が埋められた時期は15世紀以降と考えられるそうです。この「新井堀の内遺跡」は、岩槻を治めていた太田氏の家臣の武士の館という伝承があります。このようなお金が一体、何のために埋蔵されていたのか。いざという時の軍資金だったのかなど興味が湧いてきます。一武士が持つには大きなお金ですので、もしかしたらこの館の主は太田氏の出納係だったのかもしれません。いずれにしても、当時の明の貨幣が東国まで浸透していたことが分かりますね。

3月14日(水曜日)から3月18日(日曜日)まで、熊谷市にある埼玉県文化財収蔵施設で特別公開が行われます。関心のある方は、是非、足をお運びください。

埋蔵銭特別公開のお知らせ(外部リンク:埼玉県埋蔵文化財調査事業団 PDFファイル)

※特別公開期間中は、土日も開館しています。