財務省や外務省あるいは防衛庁から昇格した防衛省。この「省」という字が日本の役所の名称に付いていることについて、皆さんは深くお考えになったことがあるでしょうか。

この「省」という字には「省く(はぶく)」という意味があります。実は、古(いにしえ)の人たちは、役所が本質的に肥大化するということを知っていたのではないでしょうか。そこで、戒めとして、肥大化しないように役所の名前そのものに「省」という名前を付けて、「省いて、省いて、省きぬけ!」という意味を込めたのではないか、私はそのように解釈しています。ひょっとしたら、勝手な解釈ではなく本当にそのような解釈になっているかもしれません。

森内閣の時に、大蔵省という役所が財務省になりました。比較的、近代的な名前に変わり、そして厚生省や労働省などが統合されて役所の数が少なくなりました。

しかし、一方では大臣以外に「副大臣」が新たに設けられました。そして、各省の役人のトップは事務次官でありますが、「次官級」という名前の事務次官待遇の役人がたくさんいます。例えば、なんとか長官とか財務官とか、技監であるとか、それぞれの役所に次官級がいつの間にか増えてきております。
加えて、「局長級」とか、あるいは「審議官級」という人たちもいつの間にか増えてきております。

埼玉県では、私が知事になってからは、訳の分からない名前の役職については全てやめました。例えば、理事と聞いても県民からすれば何の仕事をしている人か分かりません。

人事的な話になれば、できるだけ課長など役職の数を増やしたいというのが役所の常でありますが、私は「増やしたいのであれば、その分だけ減らすように。」と言っています。
本質的に人は役職が好きなのかも知れません。したがって、放っておけば、どんどん役職が増え、意思決定が遅くなり、それだけ県民に迷惑をかける話になります。民間企業では役員の数をどんどん減らして、意思決定を早める努力をしています。

役所はそれに逆行していますので、くれぐれも「省く」こと。仕事もそうです。毎年新しい課題が生まれてきますので、放っておけば仕事は増えるばかりになります。逆にいえば、新しい仕事をする余力がなくなります。仕事を省くということも役所の務めです。省くこと。極めて大事です。しっかりやるものとやらないものを仕分けることが大事です。