秩父市下吉田の椋(むく)神社に奉納される「秩父吉田の龍勢(りゅうせい)」について、国の文化審議会が国指定重要無形民俗文化財に指定するよう、文部科学大臣に答申を行いました。打ち上げ式煙火に関する国の文化財指定は、全国初となります。指定されると、埼玉県内における重要無形民俗文化財は計8件となります。

この「秩父吉田の龍勢」は、松をくり抜いた火薬筒に導火線を通し、真竹の矢柄(やがら)を付けた手作りロケットです。300メートルほど上空に飛んだ後、あらかじめ先端に取り付けていた落下傘や唐傘などの仕掛けが開いて下りてくる風景を楽しむもので、27の流派がそれぞれに工夫を凝らして製作しています。
各流派の皆さんが全長20メートルもある矢柄を担ぎながら打ち上げ櫓(やぐら)まで運び、設置します。そして、独特の節回しの「龍勢口上」が述べられた後、導火線に点火され発射となります。10月の澄み切った秋空に、白煙を残しながら龍勢が飛んでいく風景は見事なものです。

龍勢は、戦国時代に狼煙(のろし)として使用されていたものが各地に伝わったのが起源と言われているようです。秩父地域における、龍勢と呼ばれる打ち上げ式の煙火を奉納する民俗行事の歴史は、江戸時代末期までさかのぼるそうです。現在行われている「秩父吉田の龍勢」は明治8年には記録があり、五穀豊穣(ごこくほうじょう)や天下泰平を祈願するものです。
こうした行事が行われているのは、国内では秩父のほかに静岡県、滋賀県などの限られた地域、海外ではタイ王国やラオスなどと、あまり例がないそうです。

「秩父吉田の龍勢」は毎年10月の第2日曜日に開催されますので、興味のある方は是非、観覧に行かれてはいかがでしょうか。