11月24日(金曜日)に埼玉県、日本医師会、埼玉県医師会の主催で「超高齢社会の医療を考える」というシンポジウムを開催しました。はじめに、日本医師会の会長であり、現在世界医師会の会長でもある横倉 義武(よこくら よしたけ)さんの基調講演、続いてパネルディスカッションを行いました。私も終わりの方で出席し、宣言文の読み上げと挨拶の機会をいただきました。

パネルディスカッションでは、5人のパネリストの皆さんがそれぞれの立場からコメントをされました。森田 光一(もりた こういち)東松山市長はウオーキングによる健康の視点から、大石 昭則(おおいし あきのり)さんは在宅看取り(みとり)の体験者の立場から話をされていました。
また、本田 麻由美(ほんだ まゆみ)さんは読売新聞の医療ネットワーク事務局次長という立場で医療全体を幅広に、齋木 実(さいき みのる)さんは埼玉医科大学国際医療センターの総合診療・地域医療科准教授という在宅医療に熱心に取り組む医師の立場から発言されていました。
厚生労働省で保険局長を務められ、現在、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の事実上のトップである唐澤 剛(からさわ たけし)地方創生総括官は、様々な地域づくりの観点から医療の在り方について話をするなど、皆さんがそれぞれすばらしいコメントをされました。それを慶應義塾大学の田中 滋(たなか しげる)名誉教授が、座長の立場でうまくまとめられました。

現在の保険制度は治療に偏った制度であることから、やはり予防と治療の連携を重視した保険制度の改革なども考えていかなければならないことが重要な論点として挙げられていました。
普段の生活そのものが予防医学にもつながるという考えのもと、准高齢者(65歳から74歳)には、働くことも含め、社会を支える一員として活躍するチャンスが与えられるべきこと。また高齢者(75歳から89歳まで)は、コミュニティーの一員として地域の中で生きがいを持って生活すること。超高齢者(90歳以上)は、楽しみを持ちながら自らの生活を営むこと。そして、人生の最終章は人としての尊厳を持って過ごせるようにすることなどが、参加者共通の認識になりました。

人生の最終章をどう過ごすかは極めて難しい問題です。基本は、本人の意志を尊重するということですが、その心も揺れ動くのが現実だということを良く分かった上で、人間としての尊厳を尊重したいと考える人が多くなっていることが報告されました。
単なる延命治療は、個人、家族、社会の全てにとって苦痛と負担が大きいことなどをしっかり踏まえて、先入観を持たずに最適な対応を心掛けることなどが大事ではないかと考えさせられたところです。そういう意味で画期的なシンポジウムだったのではないかと思います。