8月12日(土曜日)付けの日本経済新聞のコラム「春秋」に目が留まりました。タイの首都バンコクの人通りの多い場所のあちこちで、「Ochaya」という横文字の看板を掲げ、タピオカパールを入れた冷たいミルクティーを売っている店をよく目にするそうです。

このチェーン店ビジネスを立ち上げたのは台湾出身のスタンレー・ユー(游 啓仁)氏とのことです。元々、台湾のIT関連会社からタイに派遣され、土地勘と人脈を養ううちにお茶を生かしたビジネスの可能性を見いだして起業したそうです。「お茶は飲み口がさわやかで健康的なイメージがある。タイの消費者に広く受け入れられる。」とにらんだといいます。もくろみが当たり、創業から10年で店舗の数は250店を超え、その結果、台湾からタイへのお茶の輸出拡大に貢献しているそうです。正に新たな需要を創り出す起業家のセンスと突破力がここで発揮されたわけです。

このコラムを読みながら、「うーん、これが狭山茶であったならば。」と考えたところでした。こうした新しい需要を創り出すセンスや突破力というものがもっともっと今の日本には必要なのかもしれません。

日本企業は、中国やASEAN諸国にどちらかと言えば製造業で進出している例が多いわけですが、これからは消費者の需要をしっかり捉えることができる起業家が必要なのかもしれません。人口減少時代の日本にとって、巨大な人口を持つ中国やASEAN諸国は、新たな需要を掘り起こす可能性を秘めた有望な市場です。官製の株式運用や公共事業、補助金頼みでは知恵が出るわけがありません。