「週刊東洋経済(4月22日号)」に、我が国を代表する企業である株式会社東芝が解体・再編の危機的状況にあるという記事が掲載されていました。

これまでにも、東芝の様々な部門が売却されていますが、現在、話題になっているのは、半導体部門の売却です。

日本の半導体技術が中国など海外へ流出するのはいかがなものかということで、政府や経済界からは日本の企業連合を作って、東芝の半導体事業を守るべきだというような議論も出ています。

そこで、改めて、世界の半導体売上高ランキングの推移を見てみました。
バブルの頂点にありました1989年、当時の1位はNEC、2位は東芝、3位は日立製作所、4位にモトローラ(米国)、5位にTI(米国)、6位に富士通、7位に三菱電機、8位にインテル(米国)、9位に松下電器、10位にフィリップス(欧州)。このように、日本企業が1位から3位を独占し、ベスト10の中に6つの企業が入っていました。
これが2000年になると、1位インテル(米国)、2位東芝、3位NEC、そして、8位に日立製作所となり、日本の企業は3つしか入っておりません。
さらに2016年を見てみますと、1位インテル(米国)、2位サムスン電子(韓国)、3位クアルコム(米国)となっており、日本勢は8位に東芝が出てくるのみとなっています。

現在、東芝のみがベスト10に入っているわけですが、仮に日本の企業連合を作ったとしてもベスト10からは外れてしまうでしょう。いわんや海外の会社に吸収されるとなると、完全に日本企業はなくなってしまいます。

また、日本企業の半導体市場におけるシェアも、かつては60パーセント近くを占めていた時代もありますが、現在は10パーセント程度と言われています。つまり、日本の技術が海外に流出してしまうと心配する以前に、とっくの昔に流出し、海外は海外で独自に半導体技術を確保していたわけです。

今や日本経済は、自動車産業の一本足打法とも言われていますが、決して好ましいことではありません。新たな産業を育てていくイノベーションが必要だと思います。

埼玉県は小さな力ではありますが、あえてそれに挑戦しています。