モノの国際取引を示す「貿易収支」とは別に、「技術貿易収支」という指標があります。特許権やノウハウの提供、それに伴う技術指導、著作権使用など、知的財産の国際取引を表す指標のことで、各国の技術力や産業競争力を把握する重要な指標の一つとなっています。

日本は高度経済成長期以降、モノづくり大国として、製造業を中心とした輸出によって貿易黒字を稼いできました。特に1980年代から90年代前半にかけては年間10兆円を上回るような黒字を生み、自動車、電気製品など様々な分野で貿易摩擦を生じさせました。

しかし一方において、技術貿易収支に関しては1990年代になるまでは一貫して赤字の技術輸入国でした。

それが、1993年には技術貿易収支が輸出超過、つまり黒字に転じました。その後も、自前の技術力を高めながら、アジア諸国への企業進出に伴う技術供与・技術指導の影響も加わって技術輸出は飛躍的に拡大し、今やアメリカに次ぐ世界第2位の技術貿易黒字国となっています。

経済協力開発機構(OECD)の2014年のデータを基準として主要国の技術貿易黒字を比較すると、1位はアメリカ469億ドル(4兆9,699億円)、2位は日本297億ドル(3兆1,473億円)、3位はオランダ274億ドル(2兆9,036億円)、4位イギリス262億ドル(2兆7,764億円)、5位ドイツ171億ドル(1兆8,121億円)という順になります(国際通貨基金〔IMF〕が公表した為替レートにより換算しています)。

総務省の科学技術研究調査によれば、2015年度における日本の技術輸出額は3兆9,498億円です。最大の輸出相手はアメリカで1兆5,979億円(40.5%)、次いで中国4,765億円(12.1%)、タイ3,273億円(8.3%)と、アジアとの取引も活発です。

産業別では、自動車を中心とする「輸送用機械器具製造業」が2兆3,277億円を稼ぎ、技術輸出額の58.9%を占めています。以下、「医薬品製造業」の4,771億円(12.1%)、「情報通信機械器具製造業」の3,482億円(8.8%)と続きます。

これからも日本が世界市場の中で存在感を保っていくためには、付加価値を高め、技術で稼げる先端産業を更に広げていくことこそが進むべき方向であると、私はそう確信しています。